ゲスト
(ka0000)
おおきに屋と聖なる日
マスター:水貴透子

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/12/30 19:00
- 完成日
- 2015/01/07 06:29
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
なんやなんや!
クリスマスっていうめっちゃええ日があるみたいやん!?
美味いモン食うて、美人なお姉ちゃんをはべらす日なんやろ?
※※※
「俺は嘘を吐かれたぁぁぁぁぁっ!!」
ギルド内にイルドの悲鳴が響き渡る。
どうやら、彼は知り合いにクリスマスはとんでもなく良い日だと聞かされていたらしい。
おそらくは彼女のいる人物からクリスマスの概要を聞いたのだろうが、
残念ながら相手のいないイルドには『クリスマス=良い日』にはなりえないようだ。
「ハンターにも『りあじゅー』って奴がおるんやろ?」
「あかん! あかんよ! そんな不健全な付き合いはあかん! クリニックな付き合いをせんとあかん!」
「ん? クリニック? なんか違う気ぃするけど、そないなことは気にしたらあかん、りあじゅー撲滅や!」
心配をするていを装っていても、最後の言葉で本音がダダ漏れである。
「そういうことで、俺の仕事に巻き込んだる!」
「んーと、なになに? 彼女に贈り物をしたいので届けてください、そんなアホな!」
「俺がりあじゅーの手伝いをすることになってしまう、やと……? あかんわ、もう、俺はあかん……」
1人で騒ぐだけ騒いで、イルドは荷物を乗せたリヤカーをゴロゴロと引いていく。
「……えぇと、とりあえずイルドさんからのご依頼なんですけど、本人が行っちゃいましたね」
「あのままにしておくと雑魔の良い餌食になってしまいそうなので、追いかけて頂けますか?」
苦笑する案内人の言葉を聞き、ハンター達は脱力しながらイルドを追いかけたのだった――……。
リプレイ本文
●お騒がせのおおきに屋
「イルドさん、お久しぶりです……お変わりないご様子で……」
メトロノーム・ソングライト(ka1267)は苦笑しながらイルドに言葉を投げかける。
「聞けば『りあじゅー』とやらになれなくて落ち込んでいるとか……せっかくの幸せな贈り物の届け人が、そんな風に落ち込んでいてはいけません、わたし達もお手伝いしますから、元気を出して笑顔で届けてあげましょう?」
先に行ってしまったイルドに追いつき、メトロノームが微笑みながら話しかける。
「プレゼントを貰えるって嬉しいよねぇ、わたしも誰かから食べきれないほどの食べ物が欲しいなぁ……」
ミノア・エデン(ka1540)は小さなため息を吐きながら呟く。彼女の場合はイルドのように、異性から貰う事に関係なく言っているらしい。特に彼女は野宿生活、狩猟、採取は当たり前のせいか煌びやかな物よりも現実的な物の方が嬉しいようだ。
「クリスマスで、りあじゅーとやらだと、女の子をは侍らせられるのかえ? とりあえずこうして女子が多い、ある意味では侍らせていると言っても過言ではないじゃろ?」
ルリリィミルム(ka2221)はクスクスと笑みを零しながらイルドに話しかける。
「なるほど! つまり、今の俺は『りあじゅー』なんやな! ……でも、俺の思ってる『りあじゅー』と何か違うんやけど、こう、イチャイチャが足りんのや!」
一時は納得しかけたが、やはり不満があるらしく「おおおお……」とドン引きするほどさめざめとした言葉で地面に突っ伏している。
「イルドさん、悲しむ気持ちも分かるような分からないような、いまいち微妙な感じなのですが
雑魔も徘徊しているみたいですし、あまり気を抜かずにいた方がいいかと……」
白主・アイノネ(ka2628)が苦笑しながら、イルドに話しかけた。
「あかん、今の俺は気ぃ抜きまくりや……りあじゅーになれへんなんて、聞いてへんもん。クリスマスはりあじゅーの日やて聞いてたんやもん」
21歳の成人男性の語尾が『もん』というのは、結構聞いているとキツいものがある。
「クリスマスの事など知らなければ、あるいは知るのがもう少し遅れていれば、そこまでの怒りや悲しみに駆られる事もなかっただろう、時期が悪かったなとしか言えないな……」
クローディア(ka3392)がしみじみと頷きながら呟く。
「……はぁ、依頼主があんな調子だし、ただの荷物を送るだけの依頼かと思ったけど、それだけで済むのか心配になってきたわ、それにしても……『りあじゅー』になるのも大変そうねぇ」
深く悲しむイルドの姿を見ながら、ナル(ka3448)がため息混じりに呟いた。
「やはー♪ まぁまぁ、あたし達美少女護衛隊がしっかり貴方をお守りしますっ♪ 明るくお喋りして仕事のお供! 聖夜の労働に潤いを! だから、ホラー機嫌直して! ……それとも、あたしたちじゃ、だめ?」
テトラ・ティーニストラ(ka3565)は、かくりと首を傾げた後、上目使いで問いかける。
「いやいやいやいやいや! あかん事はないよ!」
上目使いにコロッとやられたイルドは鼻の下を伸ばしながら慌てて手を振って答える。
「……りあじゅーになりたいのか? 俺にはよく分かんないけど……いや、それにしても簡単に落ちすぎだろう、変な人に騙されなければいいけどな……」
あまりにも簡単に手のひらを変えるイルドを見て、コロネ・ユイレ(ka3594)は別な意味でイルドが心配になってしまったらしい。
「りあじゅーになりたいのは構わないけど……とりあえず、仕事を終わらせたらどうだ? その後で、思う存分『りあじゅー』すればいいと思うし……」
コロネの言葉に「せやな、仕事中に『トキメキ出会い★俺の運命の人はここにいた!』的な展開になるかもしれへんし!」
「……売れない書物のようなタイトルですね」
イルドの言葉にメトロノームがビシッとツッコミを入れつつ、ハンター達は本来の目的のために動き始めたのだった――……。
●雑魔登場、サクッと倒してしまいましょう。
ハンター達はイルドのリヤカーを中心に護衛を行っていた。
「この辺りは開けておるし、雑魔が現れたらすぐに見つかるじゃろう」
ルリリィミルムが呟くと「そうだね、これだけ開けてれば雑魔を見逃す事は無さそう」とミノアが周りを見渡しながら答える。
「そういえば、さっきからそれをずっと1人で運んでるけど疲れてない? 距離がどれくらいあるか分かんないけど、あたしも手伝ってあげるよ」
ミノアがイルドに言葉を投げかけると「ありがとな、でもそれはあかん」と少し真面目な表情で答えた。
「ハンターさんに頼んだんは俺の護衛や、荷物運びまでさせたらあんたらの負担が大きくなる。それに、これは俺の仕事やからな、気持ちだけ受け取っとくわ」
意外とまともな事を言うイルドに、ハンター達は少し驚いた表情を見せた。
「なぁなぁ、ちょっとええ事を言うたやろ? これでりあじゅーなれんかな?」
「……イルドさん、今の言葉ですべてが台無しですよ。それにクリスマスって別に恋人同士で過ごすだけの日じゃないんですよ? 友達同士で盛り上がる日でもあるんです」
白主が苦笑気味に呟くけれど、恐らくイルドにはその言葉が届いていない。
「私もクリスマスの知識は殆どないが、楽しい事ならば加わりたいぞ」
クローディアが呟いた時、その場にいたハンター全員がある方向を見つめた。
「え? え? 何? りあじゅーりあじゅーうるさいから呆れられてしもたん?」
ハンター達の行動にイルドが少し焦ったように呟く。
「まぁ、ちょっとうるさいかなとは思ったけどそれが理由じゃないよ。雑魔が出ただけ」
コロネの言葉に「えええっ! 雑魔が! あかん、俺死んでまうやん! 戦闘が終わるまで、この岩場でリヤカーと共にシュバッと隠れとくわ!」と風のような速さで身を隠した。
「やはは……あたしもビックリするくらいの素早さだねー♪ ハンターになれるんじゃない?」
テトラは身を隠すイルドを見ながら苦笑気味に呟く。
「でも、ちょうどいいのかもしれないわね。ここから雑魔までは距離もあるし、ここに依頼主がいれば戦闘に巻き込まれる事もないでしょうから」
ナルが呟くと、ハンター達は雑魔退治をするために歩き始めた。
※※※
「わぁ、結構大きいんだね。暫く分の食料にはなりそう……」
ハンター達が相手をしなければならないのは2mほどの大蛇型雑魔。
それを見上げながら、ミノアは少しだけ楽しそうな表情を見せていた。
「向こう側にはイルドさん……ここから向こうには行かせません」
メトロノームはチラッとイルドがいる方向を見ながら『ウインドスラッシュ』を雑魔に向けて繰り出した。
「人に危害を加える前に、残念ですがここで倒れてもらいます」
白主は『堅守』を使用して、雑魔が攻撃を仕掛けてきた所を『鉄扇』で受けとめて『踏込』を使用して『日本刀 白霞』に武器を持ちかえて『強打』で攻撃を仕掛ける。
「単純ですが、単純なれど、です。あまり複雑な技法は所詮この世界に来てからの付け焼刃です。基本を重ねて積み上げていくのが一番効果があるんですよ」
白主は攻撃を仕掛けながら呟く。
「ねぇ、大蛇さん? 倒した後は美味しく頂いちゃっても構わないかな?」
ミノアはにっこりと微笑みながら『踏込』を使用した後『強打』で強力な一撃を繰り出す。
「動きは鈍いが、あまり油断はしない方が良さそうじゃな」
ルリリィミルムは前衛で戦うハンター達に『プロテクション』を使用して防御力を上昇させる。
「……かば焼き、じゅる」
コロネはボソッと呟きながら『仕込み杖』を構えて『スラッシュエッジ』を繰り出す。
「やはー♪ 2mなんてちっちゃいちっちゃい♪ イルドさんはハンター界の蒼き風、このテトラちゃんが守っちゃうよん♪」
テトラは『手裏剣 朧月』を雑魔に向けて投げながら、楽しげに呟く。
「ただでさえ『りあじゅー』になれなくて可哀想なイルドさんなんだから、お仕事の邪魔までしてトドメを刺そうとしないでよねっ♪」
ビシッと指差しながらテトラが雑魔に向けて言葉を投げかけるけど、その言葉こそイルドへのトドメになるのだとテトラ自身は気づいていないみたいだ。
「ちょっと寒いし、手早く終わりたいわね」
ナルはぶるっと身体を震わせた後『魔導拳銃 エア・スティーラー』を2丁構えて、雑魔に向けて射撃を行う。
その際、ナルは『瞬脚』と『ランアウト』を使用して、雑魔を翻弄するように動き回る。
ナルの動きを追っていたせいか、雑魔は他のハンターに対しての注意を疎かにしていた。
「あまり我々を怒らせぬ方が身のためだと思うがな、まぁ、結果としておまえが私達に倒される運命なのだ」
クローディアは呟きながら『魔導拳銃 エア・スティーラー』を雑魔に向けて放つ。
そして雑魔との距離を詰めると『ウィップ アンダイン』でビシッと激しく雑魔を打つ。
クローディアが攻撃を行った後、メトロノームが『ウィンドスラッシュ』を使用して、雑魔の動きを止める。
その攻撃に合わせて『魔導拳銃 エア・スティーラー』の2丁拳銃で攻撃を行うのはナル。
彼女とメトロノームは雑魔がイルドの方に向かわないように上手く気を引いており、その隙を狙ってミノア、白主、コロネ、テトラが攻撃を合わせながらジリジリと雑魔にダメージを与えていく。
「そろそろ仕留めちゃうよー♪」
テトラが呟きながら『手裏剣 朧月』を投げて、ひゅん、と風切音を響かせる。
「さよなら、あんたの犠牲は無駄にはしないよ、ちゃんと俺の腹に収めるから」
コロネが呟く。
「ちょっとちょっと、ちゃんとミノアの分も残しといてよ!?」
コロネの呟きを聞き、ミノアが少し慌てたように言葉を投げかける。大蛇を食べようとしているのはコロネだけではなくミノアもらしい。
「イルドを守るためにこれだけの女性が動く、立派な『りあじゅー』じゃのぅ」
ルリリィミルムが呟いた時、白主とクローディアが攻撃を仕掛け、無事に大蛇型雑魔を退治し終えたのだった――……。
●イルドは『りあじゅー』?
「ありがとうございます。彼からの贈り物を楽しみに待っていたんです!」
雑魔を退治した後、イルドは無事に届け主の元へと荷物を届けていたが、幸せりあじゅーオーラを受けて、やや落ち込み気味のようだ。
「イルドさん、道中、女性を沢山侍らせて楽しくお喋り……お仕事が終わったら、また別のお楽しみがある……となれば、もうどこに出しても恥ずかしくない立派な『りあじゅー』ですよね」
「メトロちゃん!? 俺をどこに出すつもりなん!?」
ぐっ、と拳を握りしめながら頷くメトロノームにイルドがツッコミを入れる。
「はい、お疲れ様」
「へ? ミノアちゃん、これ何?」
「贈り物だよ」
ミノアがにっこりと微笑みながら、イルドにラッピングされた物を差し出す。
「中身はナイフなんだけどね、完全にミノアの趣味だけど。野宿生活とかでも便利だし、結構多用性あるから」
イルド、21歳、初めて女の子からのプレゼントを貰う。
「うおおおおお! あかん、俺、今最高にりあじゅーやっとるやん!」
ミノアからのプレゼントを大事に抱きしめながら、イルドはこれ以上ないくらい幸せそうな顔を見せている。
そのだらしのない顔にハンター達が引いてしまうほど。
「我からも贈り物をさせてもらおうかの、エール……酒は飲める年齢よの? 我も世話になっているし、イルドが喜べば我も嬉しいのじゃ」
ルリリィミルムからはエールを貰い、イルドのテンションは高くなっていくばかり。
「僕も一曲歌いますよ、ウポポに合わせたリムセは祭の習いです。慣れないならこちらの曲も、知っている曲があるなら希望に沿わせて頂きますよ」
白主は首から下げたオカリナを手に持って、にっこりと微笑む。
「おまえ『りあじゅー』になりたいと言っていたが、私から見れば十分『りあじゅー』になっていると思うぞ? まぁ、私は『りあじゅー』の意味がいまいち分からないが」
クローディアが頷きながら呟き「まぁ、楽しそうで何よりだ」と言葉を付け足した。
「随分と簡単に『りあじゅー』ってなれるのねぇ、異性から贈り物を貰うだけで『りあじゅー』なの? ……よく分からないわ」
派手に喜ぶイルドを見ながら、ナルが首を傾げる。
「やはー♪ でも本人が楽しいなら何でもいいんじゃないかなー?」
ナルの呟きにテトラが答える。
「そういや『りあじゅー』は楽しいって言ってたっけな、今のイルドは誰よりも楽しそうだ。俺もイルドに食べ物をやろうかな、イルド、蛇のかば焼きだけど食べるか?」
「えっ、それってもしかしてさっきの雑魔ですか……?」
コロネが差し出した蛇のかば焼きを見て、白主が驚いたように問いかける。
「いや、近くにいた普通の蛇だ」
「あかん! 俺は足がぎょうさんある奴と、足がまったくない奴は好かんのや! 蛇もあかん! 見てみぃ、さぶいぼが出とるやろ!?」
鳥肌の立っている腕を見せながら「ああああああっ」と叫んでイルドはコロネから距離を取る。
「……美味いのに」
走り去っていくイルドを見ながら、コロネはため息混じりに蛇のかば焼きにかぶりついたのだった。
END
「イルドさん、お久しぶりです……お変わりないご様子で……」
メトロノーム・ソングライト(ka1267)は苦笑しながらイルドに言葉を投げかける。
「聞けば『りあじゅー』とやらになれなくて落ち込んでいるとか……せっかくの幸せな贈り物の届け人が、そんな風に落ち込んでいてはいけません、わたし達もお手伝いしますから、元気を出して笑顔で届けてあげましょう?」
先に行ってしまったイルドに追いつき、メトロノームが微笑みながら話しかける。
「プレゼントを貰えるって嬉しいよねぇ、わたしも誰かから食べきれないほどの食べ物が欲しいなぁ……」
ミノア・エデン(ka1540)は小さなため息を吐きながら呟く。彼女の場合はイルドのように、異性から貰う事に関係なく言っているらしい。特に彼女は野宿生活、狩猟、採取は当たり前のせいか煌びやかな物よりも現実的な物の方が嬉しいようだ。
「クリスマスで、りあじゅーとやらだと、女の子をは侍らせられるのかえ? とりあえずこうして女子が多い、ある意味では侍らせていると言っても過言ではないじゃろ?」
ルリリィミルム(ka2221)はクスクスと笑みを零しながらイルドに話しかける。
「なるほど! つまり、今の俺は『りあじゅー』なんやな! ……でも、俺の思ってる『りあじゅー』と何か違うんやけど、こう、イチャイチャが足りんのや!」
一時は納得しかけたが、やはり不満があるらしく「おおおお……」とドン引きするほどさめざめとした言葉で地面に突っ伏している。
「イルドさん、悲しむ気持ちも分かるような分からないような、いまいち微妙な感じなのですが
雑魔も徘徊しているみたいですし、あまり気を抜かずにいた方がいいかと……」
白主・アイノネ(ka2628)が苦笑しながら、イルドに話しかけた。
「あかん、今の俺は気ぃ抜きまくりや……りあじゅーになれへんなんて、聞いてへんもん。クリスマスはりあじゅーの日やて聞いてたんやもん」
21歳の成人男性の語尾が『もん』というのは、結構聞いているとキツいものがある。
「クリスマスの事など知らなければ、あるいは知るのがもう少し遅れていれば、そこまでの怒りや悲しみに駆られる事もなかっただろう、時期が悪かったなとしか言えないな……」
クローディア(ka3392)がしみじみと頷きながら呟く。
「……はぁ、依頼主があんな調子だし、ただの荷物を送るだけの依頼かと思ったけど、それだけで済むのか心配になってきたわ、それにしても……『りあじゅー』になるのも大変そうねぇ」
深く悲しむイルドの姿を見ながら、ナル(ka3448)がため息混じりに呟いた。
「やはー♪ まぁまぁ、あたし達美少女護衛隊がしっかり貴方をお守りしますっ♪ 明るくお喋りして仕事のお供! 聖夜の労働に潤いを! だから、ホラー機嫌直して! ……それとも、あたしたちじゃ、だめ?」
テトラ・ティーニストラ(ka3565)は、かくりと首を傾げた後、上目使いで問いかける。
「いやいやいやいやいや! あかん事はないよ!」
上目使いにコロッとやられたイルドは鼻の下を伸ばしながら慌てて手を振って答える。
「……りあじゅーになりたいのか? 俺にはよく分かんないけど……いや、それにしても簡単に落ちすぎだろう、変な人に騙されなければいいけどな……」
あまりにも簡単に手のひらを変えるイルドを見て、コロネ・ユイレ(ka3594)は別な意味でイルドが心配になってしまったらしい。
「りあじゅーになりたいのは構わないけど……とりあえず、仕事を終わらせたらどうだ? その後で、思う存分『りあじゅー』すればいいと思うし……」
コロネの言葉に「せやな、仕事中に『トキメキ出会い★俺の運命の人はここにいた!』的な展開になるかもしれへんし!」
「……売れない書物のようなタイトルですね」
イルドの言葉にメトロノームがビシッとツッコミを入れつつ、ハンター達は本来の目的のために動き始めたのだった――……。
●雑魔登場、サクッと倒してしまいましょう。
ハンター達はイルドのリヤカーを中心に護衛を行っていた。
「この辺りは開けておるし、雑魔が現れたらすぐに見つかるじゃろう」
ルリリィミルムが呟くと「そうだね、これだけ開けてれば雑魔を見逃す事は無さそう」とミノアが周りを見渡しながら答える。
「そういえば、さっきからそれをずっと1人で運んでるけど疲れてない? 距離がどれくらいあるか分かんないけど、あたしも手伝ってあげるよ」
ミノアがイルドに言葉を投げかけると「ありがとな、でもそれはあかん」と少し真面目な表情で答えた。
「ハンターさんに頼んだんは俺の護衛や、荷物運びまでさせたらあんたらの負担が大きくなる。それに、これは俺の仕事やからな、気持ちだけ受け取っとくわ」
意外とまともな事を言うイルドに、ハンター達は少し驚いた表情を見せた。
「なぁなぁ、ちょっとええ事を言うたやろ? これでりあじゅーなれんかな?」
「……イルドさん、今の言葉ですべてが台無しですよ。それにクリスマスって別に恋人同士で過ごすだけの日じゃないんですよ? 友達同士で盛り上がる日でもあるんです」
白主が苦笑気味に呟くけれど、恐らくイルドにはその言葉が届いていない。
「私もクリスマスの知識は殆どないが、楽しい事ならば加わりたいぞ」
クローディアが呟いた時、その場にいたハンター全員がある方向を見つめた。
「え? え? 何? りあじゅーりあじゅーうるさいから呆れられてしもたん?」
ハンター達の行動にイルドが少し焦ったように呟く。
「まぁ、ちょっとうるさいかなとは思ったけどそれが理由じゃないよ。雑魔が出ただけ」
コロネの言葉に「えええっ! 雑魔が! あかん、俺死んでまうやん! 戦闘が終わるまで、この岩場でリヤカーと共にシュバッと隠れとくわ!」と風のような速さで身を隠した。
「やはは……あたしもビックリするくらいの素早さだねー♪ ハンターになれるんじゃない?」
テトラは身を隠すイルドを見ながら苦笑気味に呟く。
「でも、ちょうどいいのかもしれないわね。ここから雑魔までは距離もあるし、ここに依頼主がいれば戦闘に巻き込まれる事もないでしょうから」
ナルが呟くと、ハンター達は雑魔退治をするために歩き始めた。
※※※
「わぁ、結構大きいんだね。暫く分の食料にはなりそう……」
ハンター達が相手をしなければならないのは2mほどの大蛇型雑魔。
それを見上げながら、ミノアは少しだけ楽しそうな表情を見せていた。
「向こう側にはイルドさん……ここから向こうには行かせません」
メトロノームはチラッとイルドがいる方向を見ながら『ウインドスラッシュ』を雑魔に向けて繰り出した。
「人に危害を加える前に、残念ですがここで倒れてもらいます」
白主は『堅守』を使用して、雑魔が攻撃を仕掛けてきた所を『鉄扇』で受けとめて『踏込』を使用して『日本刀 白霞』に武器を持ちかえて『強打』で攻撃を仕掛ける。
「単純ですが、単純なれど、です。あまり複雑な技法は所詮この世界に来てからの付け焼刃です。基本を重ねて積み上げていくのが一番効果があるんですよ」
白主は攻撃を仕掛けながら呟く。
「ねぇ、大蛇さん? 倒した後は美味しく頂いちゃっても構わないかな?」
ミノアはにっこりと微笑みながら『踏込』を使用した後『強打』で強力な一撃を繰り出す。
「動きは鈍いが、あまり油断はしない方が良さそうじゃな」
ルリリィミルムは前衛で戦うハンター達に『プロテクション』を使用して防御力を上昇させる。
「……かば焼き、じゅる」
コロネはボソッと呟きながら『仕込み杖』を構えて『スラッシュエッジ』を繰り出す。
「やはー♪ 2mなんてちっちゃいちっちゃい♪ イルドさんはハンター界の蒼き風、このテトラちゃんが守っちゃうよん♪」
テトラは『手裏剣 朧月』を雑魔に向けて投げながら、楽しげに呟く。
「ただでさえ『りあじゅー』になれなくて可哀想なイルドさんなんだから、お仕事の邪魔までしてトドメを刺そうとしないでよねっ♪」
ビシッと指差しながらテトラが雑魔に向けて言葉を投げかけるけど、その言葉こそイルドへのトドメになるのだとテトラ自身は気づいていないみたいだ。
「ちょっと寒いし、手早く終わりたいわね」
ナルはぶるっと身体を震わせた後『魔導拳銃 エア・スティーラー』を2丁構えて、雑魔に向けて射撃を行う。
その際、ナルは『瞬脚』と『ランアウト』を使用して、雑魔を翻弄するように動き回る。
ナルの動きを追っていたせいか、雑魔は他のハンターに対しての注意を疎かにしていた。
「あまり我々を怒らせぬ方が身のためだと思うがな、まぁ、結果としておまえが私達に倒される運命なのだ」
クローディアは呟きながら『魔導拳銃 エア・スティーラー』を雑魔に向けて放つ。
そして雑魔との距離を詰めると『ウィップ アンダイン』でビシッと激しく雑魔を打つ。
クローディアが攻撃を行った後、メトロノームが『ウィンドスラッシュ』を使用して、雑魔の動きを止める。
その攻撃に合わせて『魔導拳銃 エア・スティーラー』の2丁拳銃で攻撃を行うのはナル。
彼女とメトロノームは雑魔がイルドの方に向かわないように上手く気を引いており、その隙を狙ってミノア、白主、コロネ、テトラが攻撃を合わせながらジリジリと雑魔にダメージを与えていく。
「そろそろ仕留めちゃうよー♪」
テトラが呟きながら『手裏剣 朧月』を投げて、ひゅん、と風切音を響かせる。
「さよなら、あんたの犠牲は無駄にはしないよ、ちゃんと俺の腹に収めるから」
コロネが呟く。
「ちょっとちょっと、ちゃんとミノアの分も残しといてよ!?」
コロネの呟きを聞き、ミノアが少し慌てたように言葉を投げかける。大蛇を食べようとしているのはコロネだけではなくミノアもらしい。
「イルドを守るためにこれだけの女性が動く、立派な『りあじゅー』じゃのぅ」
ルリリィミルムが呟いた時、白主とクローディアが攻撃を仕掛け、無事に大蛇型雑魔を退治し終えたのだった――……。
●イルドは『りあじゅー』?
「ありがとうございます。彼からの贈り物を楽しみに待っていたんです!」
雑魔を退治した後、イルドは無事に届け主の元へと荷物を届けていたが、幸せりあじゅーオーラを受けて、やや落ち込み気味のようだ。
「イルドさん、道中、女性を沢山侍らせて楽しくお喋り……お仕事が終わったら、また別のお楽しみがある……となれば、もうどこに出しても恥ずかしくない立派な『りあじゅー』ですよね」
「メトロちゃん!? 俺をどこに出すつもりなん!?」
ぐっ、と拳を握りしめながら頷くメトロノームにイルドがツッコミを入れる。
「はい、お疲れ様」
「へ? ミノアちゃん、これ何?」
「贈り物だよ」
ミノアがにっこりと微笑みながら、イルドにラッピングされた物を差し出す。
「中身はナイフなんだけどね、完全にミノアの趣味だけど。野宿生活とかでも便利だし、結構多用性あるから」
イルド、21歳、初めて女の子からのプレゼントを貰う。
「うおおおおお! あかん、俺、今最高にりあじゅーやっとるやん!」
ミノアからのプレゼントを大事に抱きしめながら、イルドはこれ以上ないくらい幸せそうな顔を見せている。
そのだらしのない顔にハンター達が引いてしまうほど。
「我からも贈り物をさせてもらおうかの、エール……酒は飲める年齢よの? 我も世話になっているし、イルドが喜べば我も嬉しいのじゃ」
ルリリィミルムからはエールを貰い、イルドのテンションは高くなっていくばかり。
「僕も一曲歌いますよ、ウポポに合わせたリムセは祭の習いです。慣れないならこちらの曲も、知っている曲があるなら希望に沿わせて頂きますよ」
白主は首から下げたオカリナを手に持って、にっこりと微笑む。
「おまえ『りあじゅー』になりたいと言っていたが、私から見れば十分『りあじゅー』になっていると思うぞ? まぁ、私は『りあじゅー』の意味がいまいち分からないが」
クローディアが頷きながら呟き「まぁ、楽しそうで何よりだ」と言葉を付け足した。
「随分と簡単に『りあじゅー』ってなれるのねぇ、異性から贈り物を貰うだけで『りあじゅー』なの? ……よく分からないわ」
派手に喜ぶイルドを見ながら、ナルが首を傾げる。
「やはー♪ でも本人が楽しいなら何でもいいんじゃないかなー?」
ナルの呟きにテトラが答える。
「そういや『りあじゅー』は楽しいって言ってたっけな、今のイルドは誰よりも楽しそうだ。俺もイルドに食べ物をやろうかな、イルド、蛇のかば焼きだけど食べるか?」
「えっ、それってもしかしてさっきの雑魔ですか……?」
コロネが差し出した蛇のかば焼きを見て、白主が驚いたように問いかける。
「いや、近くにいた普通の蛇だ」
「あかん! 俺は足がぎょうさんある奴と、足がまったくない奴は好かんのや! 蛇もあかん! 見てみぃ、さぶいぼが出とるやろ!?」
鳥肌の立っている腕を見せながら「ああああああっ」と叫んでイルドはコロネから距離を取る。
「……美味いのに」
走り去っていくイルドを見ながら、コロネはため息混じりに蛇のかば焼きにかぶりついたのだった。
END
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
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依頼相談掲示板 | |||
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相談の卓 メトロノーム・ソングライト(ka1267) エルフ|14才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2014/12/30 17:10:39 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/29 04:04:33 |