ゲスト
(ka0000)
デス☆雪合戦
マスター:馬車猪

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2014/12/30 07:30
- 完成日
- 2015/01/07 05:03
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
雪玉が大木の幹にめり込んだ。
雑魔の手によって固められたそれは並みの氷よりも硬く、飛び抜けた腕力で投げられ鉄板を貫通する威力がある。
鉄矢が雑魔の頭部をかすめた。
十人張りの弓から離れた一矢の威力は凄まじく、頑丈な雑魔でも一撃に瀕死に追い込むはずだった。
なお、雑魔が狙ったのは木から10メートルほど離れた場所に立つ騎士であり、騎士が狙ったのは命中した雑魔の横10メートルで雪玉作り中の別雑魔である。
雪だるま型雑魔が投擲する。
騎士の頭上5メートルを通過して青空へ消えていく。
鉄矢が放たれる。
雑魔の頭上10メートルを通過して青空へ消えた。
「やるな」
分厚い兜の下で、騎士は大真面目なシリアス顔でつぶやいた。
雪だるまは前進することで当たる距離まで近づこうとして、日陰から出た結果頭から溶け出し慌てて日陰に戻る。
こんな間抜けな光景が、既に数十分続いていた。
●
サンタ帽子を被ったパルムが、ハンターソサエティ支部にやって来た。
玄関で雪を払って本部へ移動、同族とハイタッチを交わしたりしながらカウンターの前へ向かうと見せかけ、宙に浮いていた無地の3Dディスプレイに触れた。
ただいま転送中との文字列が浮かんだのは気のせいだろうか。
10秒後、無地だった3Dディスプレイにはパルムが見た光景が再生されていた。
『そこのパルム殿! すまぬが』
全身金属鎧……どうやら中身は騎士らしい鎧に雪玉が大量にぶつけられる。
分厚い分頑丈でダメージはかすり傷未満。しかし降り積もる雪と元雪玉が邪魔でまともに動けないようだ。
『増援を呼ん』
弓矢の音とは思えない轟音と共に鉄矢が発射され、雑魔と遠く離れた崖にぶつかり矢羽根まで埋まる。
『おのれ雑魔共、冷やして狙いを狂わせるつもりか』
最初から今と変わらぬノーコンである。
「なあ、これ」
ソサエティ本部で、ハンターがお笑い番組風戦闘記録を見てつぶやく。
「なんで近距離で戦わないんだ?」
サンタ帽パルムが「いけねっ」という感じでカサを掻き3Dディスプレイに再度触れる。
画面が3つに分割される。
1つは元の画面、もう1つは依頼報酬その他の情報で、最後の1つは氷の円錐を無数に突き出した氷ウニと大剣重鎧騎士の一大決戦。
現雪だるまのウニは鎧を貫けず、騎士は一度も当てられないどうしようもない展開だ。その後両者距離をともに距離をとって射撃戦へ移行、両者とも離脱の決断を出来ずに今に至るということらしい。
「えーと、つまり」
「雑魔と騎士が千日手やってるんで横殴りして雑魔を倒せと」
命のかかった依頼のはずなのに、何故か喜劇番組への出演依頼な気がする。
サンタ帽パルムは「一仕事終えたぜ」という顔で伸びをして、賑やかな街に出かけて行くのだった。
雑魔の手によって固められたそれは並みの氷よりも硬く、飛び抜けた腕力で投げられ鉄板を貫通する威力がある。
鉄矢が雑魔の頭部をかすめた。
十人張りの弓から離れた一矢の威力は凄まじく、頑丈な雑魔でも一撃に瀕死に追い込むはずだった。
なお、雑魔が狙ったのは木から10メートルほど離れた場所に立つ騎士であり、騎士が狙ったのは命中した雑魔の横10メートルで雪玉作り中の別雑魔である。
雪だるま型雑魔が投擲する。
騎士の頭上5メートルを通過して青空へ消えていく。
鉄矢が放たれる。
雑魔の頭上10メートルを通過して青空へ消えた。
「やるな」
分厚い兜の下で、騎士は大真面目なシリアス顔でつぶやいた。
雪だるまは前進することで当たる距離まで近づこうとして、日陰から出た結果頭から溶け出し慌てて日陰に戻る。
こんな間抜けな光景が、既に数十分続いていた。
●
サンタ帽子を被ったパルムが、ハンターソサエティ支部にやって来た。
玄関で雪を払って本部へ移動、同族とハイタッチを交わしたりしながらカウンターの前へ向かうと見せかけ、宙に浮いていた無地の3Dディスプレイに触れた。
ただいま転送中との文字列が浮かんだのは気のせいだろうか。
10秒後、無地だった3Dディスプレイにはパルムが見た光景が再生されていた。
『そこのパルム殿! すまぬが』
全身金属鎧……どうやら中身は騎士らしい鎧に雪玉が大量にぶつけられる。
分厚い分頑丈でダメージはかすり傷未満。しかし降り積もる雪と元雪玉が邪魔でまともに動けないようだ。
『増援を呼ん』
弓矢の音とは思えない轟音と共に鉄矢が発射され、雑魔と遠く離れた崖にぶつかり矢羽根まで埋まる。
『おのれ雑魔共、冷やして狙いを狂わせるつもりか』
最初から今と変わらぬノーコンである。
「なあ、これ」
ソサエティ本部で、ハンターがお笑い番組風戦闘記録を見てつぶやく。
「なんで近距離で戦わないんだ?」
サンタ帽パルムが「いけねっ」という感じでカサを掻き3Dディスプレイに再度触れる。
画面が3つに分割される。
1つは元の画面、もう1つは依頼報酬その他の情報で、最後の1つは氷の円錐を無数に突き出した氷ウニと大剣重鎧騎士の一大決戦。
現雪だるまのウニは鎧を貫けず、騎士は一度も当てられないどうしようもない展開だ。その後両者距離をともに距離をとって射撃戦へ移行、両者とも離脱の決断を出来ずに今に至るということらしい。
「えーと、つまり」
「雑魔と騎士が千日手やってるんで横殴りして雑魔を倒せと」
命のかかった依頼のはずなのに、何故か喜劇番組への出演依頼な気がする。
サンタ帽パルムは「一仕事終えたぜ」という顔で伸びをして、賑やかな街に出かけて行くのだった。
リプレイ本文
雪が舞っている。微細な氷が夕日に照らされている。
「おいおい、おっさんに無理させるんじゃねえよ?」
眼鏡についた雪を払い、鵤(ka3319)は白い息を吐き吐き雪原を駆けていた。やがて馬鹿馬鹿しいほど分厚い全身鎧が見えてくる。
「そこの騎士ちゃん、ハンター様のご到着だぜぇ」
緊張をほぐす目的で、剽げた口調で話しかける。
「感謝する。ハンターど……様?」
帰ってきた声は女性の、控えめに表現して鈍そうな声だった。
鵤は肩をすくめてホルスターから拳銃を抜く。狙うのは崖の陰に隠れた雪達磨型雑魔だ。
「直接攻撃しなくても、敵の進行方向遮ってくれりゃいいんでぇ」
雑魔に近づく味方を援護するためひたすら撃つ。
「いざとなりゃ影ゾーンで大剣ぶん回してくれてるだけもでいい的な? ま、よろしく頼むわぁ」
「承知した」
騎士は大きくうなずき、数十メートル先の雑魔目がけて守りを捨てない速度で駆けだした。
重装備で長時間戦っている割には速い。しかし動きが直線的すぎて良い的だ。
「ガッツはあるねぇ」
ボルディア・コンフラムス(ka0796)が楽しげに笑う。
騎士に当てないよう狙いを変えて銃弾を送り出す。赤銅色の銃身から飛び出した弾は濃密なマテリアルを帯びていて、冷たい空気にも雪に負けず雪達磨へ到着した。
雑魔の腹にこぶし大の穴が開いた。ボルディアは油断無く距離を詰めていく。
雑魔から飛んできた雪玉が砲撃じみた勢いで騎士に当たる。兜の隙間が雪で埋まり、騎士は早速迷走を始めていた。
馬上、ユルゲンス・クリューガー(ka2335)が無言で天を仰いでいだ。元騎士として、別の国の騎士とはいえこんな醜態を見るのは正直きつい。
「先陣は我々が切ろう。貴公はゆるりと参られよ」
鵤の援護射撃のもと、ユルゲンスは愛馬と共に雪原を駆け抜ける。
崖の下の暗がりで2体の雑魔が蠢いている。外見の愛嬌とは裏腹に、移動するたびに大量の雪を押しのけるほど重く分厚く強そうだ。
騎兵用突撃槍を構える。右の雑魔に狙いを定めると同時に愛馬が加速を開始する。安定させづらい雪上での移動、雪が舞い制限された視界という悪条件にも関わらず、ユルゲンスは衝突直前にランスにマテリアルを込めることもして見せた。
「我が一撃、受け切れるか!」
ランスが下段の雪玉を右側から砕いて3分の1ほど吹き飛ばす。背後から王国騎士の賞賛の声が聞こえてきた。
ユルゲンスは、王国騎士の教育は大丈夫なのかと不安になった。彼がしたのは大昔のリアルブルーのように馬の速度と重さを威力に変換したのではない。だからこの程度で勝負はつかない。
馬が巧みに距離をとって雑魔の攻撃圏から抜ける。接近も離脱も容易にするのが、馬の最大の力なのだ。
ユルゲンスは馬がつくった空間でランスを横に振るい、雪達磨の首にあたる部分を4分の1凹ませた。こうなると雑魔のすぐには回復できない。後はハンターのやりたい放題だ。
「オラオラオラー! んなとこに隠れてんじゃねーよ!」
十分に距離を詰めたボルディアが銃から釘バットに持ち替え雪達磨に迫る。首がいかれた雑魔は動きが鈍くその場から動けない。
もう1体の雑魔がボルディアと同属の間に割り込む。
釘バットは威圧感は満点でも魔導銃「サラマンダー」に比べると威力が低く、雪達磨の守りを撃ち抜くことはできなかった。
「ちぃっ」
ボルディアが悔しげに舌打ちする。その焦りの態度が演技であることに、雑魔と、ついでに王国騎士だけが気付いていなかった。
雪達磨2体の滑らかに見えた表面が急速に固まっていき、全身から氷の針山が現れた。
この状態に自信があるのだろう。雪達磨型雑魔の全身から濃密な戦意が噴き出す。
ユルゲンスが馬への直撃を避けるために距離をとる。鵤は援護の手を止め防御障壁の準備を調える。ハンター達と雑魔複数が向かい合ったまま、双方互いの隙を探して停止する。
そんな状況と無関係に雪は降り、雪原が太陽によってあかね色に染め上げられる。
美しくも不吉な逢魔が時に1つの影が現れる。夕日の中でも闇色の衣装と白い肌がはっきり見えるマリーシュカ(ka2336)だ。
足取りは優美。衣装に取り入れられた赤色が鮮血に見えるのは気のせいだろうか。
右の雪達磨が氷針を氷柱といえるほど太くし、その全てをマリーシュカに向ける。幼い少女を蹂躙しようとする異形という構図のはずなのに、実際に体積は1桁違いそうなのに、圧倒的上位者が断罪の刃を振るおうとしている場面にしか見えなかった。
少女の身の丈ほどもある魔導ノコギリが回転する。左の雪達磨がハンター3人の足止めに向かい、右の雪達磨が全ての意識と攻撃手段をマリーシュカに向け待ち構える。
小さな唇が可憐に動く。獰猛な機械音が全ての音を塗りつぶす。
氷柱が満開の花の如く広がり、一斉に折れ曲がり上下左右の全方向からマリーシュカに襲いかかった。
見間違いようのない笑みが少女の頬に刻まれた。戦闘に耐えるゴシックドレスが揺れる。精緻なレースが氷に触れ、けれど愛撫するような動きで出迎える。
「宵闇はあたしが好むところ」
雑魔の本命は氷柱の影に隠れた極細の針。針の先端は、マリーシュカが小首をかしげることで眼球の1センチ前を無意味に行きすぎた。
「だけど、冷えるのは御免だわ」
細く小さな体が舞う。魔導ノコギリに速度に速さと容赦の無い向きが与えられ、伸びきった氷の隙間に突き込まれた。
数本の氷柱が砕け、雪達磨の表面が削られ、それだけでなく激突の衝撃で雑魔の体を後ろへ弾いた。
雑魔が陰から抜ける。夕日を浴びた氷が数秒で溶け落ち、壊れかけた雪達磨の姿に変わり果てる。
「さっさと済ませてしまいましょう」
容赦なく追撃をかける。その目的が足止めであることに、雑魔は最期まで気づけなかった。
●
男二人が無言で足を動かしていた。
かんじきと外套風雪中装備の分、ロニ・カルディス(ka0551)が体力を温存できているように見える。
もっとも、覚醒者が戦闘用に使う装備として作られた品ではないので少々嵩張る。
「雪だるまとは何とも緊張感に欠ける敵だな」
榊 兵庫(ka0010)が足を緩めずつぶやく。
夕焼けと雪で見通しが悪いとはいえ、ハンターの視力があれば大きな障害にはなり得ない。
岩の陰に、外見だけは愛嬌のある雪だるま型雑魔が見えた。
「確かに」
無論冗談だ。外見がどうだろうと相手が雑魔であり、雑魔である以上滅ぼさねばならないのはお互い重々承知している。
ロニが眉を寄せる。雪達磨が岩に抱きついているのに気づいたのだ。己にとって有利な場所に籠もるつもりらしい。
「追い出しは任せた」
兵庫は片手斧と透明素材の大盾を携え雑魔との距離を0に近づける。普段使う槍と比べると片手斧の大きさは酷く頼りない。
斧を雪の腕めがけて振り下ろす。雑魔は兵庫に気づくのは遅く、しかし気づいてからの行動は素早く、残像が残る速度で腕を引っ込めた。
雑魔の手首から先が宙を舞い、岩の反対側、強い光のあたる場所へ消えた。
「承知」
兵庫と入れ替わりでロニが雑魔に近づく。利き手の戦槍は素晴らしい業物で、扱うロニの腕も得物に負けていない。
雑魔は己の危機を悟ってとっさに腕を伸ばす。先端が壊れていても槍を振るう空間を潰す程度の効果はあるはずだった。
「さて、日光浴は好きかね。遠慮するな、俺の気が済むまで浴びるといい」
ロニはにこりともせず、見下ろす視線で雑魔とその拳を出迎える。
雪の腕がロニの兜を打つ。ロニの盾は雑魔の攻撃を受け損ね、かわりに攻撃直後の隙だらけの雪玉を大きく押し込んだ。
雑魔が腕を引き戻す。
両腕で岩にしがみつき、全身から生えかけている氷刃を育てようとする。が、兵庫が手首を飛ばした腕では我が身を支えられず、ロニのシールドバッシュで影から放逐された。
「よし」
兵庫が跳んだ。跳ね起きる雪達磨と影の間に着地し、元から強いマテリアルを持つ手斧に己のマテリアルを注ぎ込む。
「雪遊びはもう終わりだ」
穏やかな口調とは正反対の、重く鋭い振り下ろしが雪達磨の上半分に当たりめり込み貫き雪原まで届いた。
雪を蹴る。兵庫の腕が雪達磨から抜けるのの半秒遅れで半壊した上半分が一回り小さくなって固まり、下半分と一緒になって兵庫に飛びかかる。
が、兵庫に届く前に穂先が下半分を貫いた。
「そこの騎士! 邪魔をするなら下がっていろ」
ロニは単なる事実を口にしながら全身の力を使い槍を引く。引かれるときに雪達磨の穴が拡張され、目に見えない不吉なものが拡散し始めた。
「どのヴォイドも不条理な……」
兵庫が大きな息を吐く。雪達磨にしか見えないものが害をばらまくのも、雪にしか見えないものに刺突武器が効くのも、リアルブルーの価値観では非常識を通り越してファンタジーだ。
「ま、潰せば消えるだけましだけどな」
ライデンシャフトで上下の雪玉を両断する。相変わらず雪にしか見ない体が開きにされて、夕陽の中で急速に融けて消えるのだった。
●
左右の戦場でハンター対雪達磨の戦いが始まった直後、特に変わったところのない大木が揺れていた。
枝に積もった雪が滑り落ち、雪原に当たって独特の音をたてる。
「歳かしら」
ローティーンにしか見えないエリシャ・カンナヴィ(ka0140)がため息をついていた。
防寒具の位置を調節し、気を引き締め直して次の枝に進む。今度は雪の粉すら落ちなかった。
不規則に伸びた多数の枝と、ロッククライマー垂涎の崖を見上げた後、斜め後方で行われている戦いを確認する。
皆頑張って雑魔の注意を引きつけてくれている。
彼女は常人以上の指の力で崖にしがみつき、握力が残っている間に常人とは別次元の身の軽さで崖を蹴って上に行く。
両方の手の平で崖の上に手を突き、全身を引き上げ音も立てずに着地した。
「しっかしアレね、敵より味方に注意しないといけない依頼は流石に初めてだわ」
一度下を見て盛大なため息を1つ。厚さ的な意味で立派な鎧を着ているのに、ハンターの指示を理解出来ない馬鹿が1人いる。もう少しましなら雑魔の注意が完全に地上を向いて、エリシャが半分の時間でここまで来れたはずだ。
エリシャは静かに歩く。分厚く積もっているのにほとんど無音だ。
崖の端まで行って下を覗くと、丁度雑魔が岩陰から放り出された所だった。
両脚を揃えて陰から飛び出す。
冷たい空気を裂いて雪原に着地。雪達磨の逃走路を塞ぐ位置へ移動し、小玉大玉の隙間を狙って太刀を突きだした。
雪達磨の首が半分以上削られる。この一撃で勝負がつかなかったのは、たまたまこの雑魔がいい加減な構造だったからだ。
雑魔はエリシャに気づいた時点で撤退を決めた。エリシャからの再度の攻撃を警戒しながら全速で後ろ向きに動き、逞しさと美しさと女性らしさを兼ね備えた何かにぶつかった。
「よう!」
ボルディアが陽気に笑いかける。
釘バットを両手で構える。
「一発いいのをくれてやるよ!」
ボルディアの筋肉が美しさを増した。
雪達磨が反転し、差し違え覚悟でボルディアに身を投げ出す。
が、触れる前に光の壁に遮られ、壁の崩壊と引き替えに勢いのほとんどを奪われてしまった。
「わるいねぇ。もう逃げ場ねーのよ」
薄紫色の光をまとい、鵤が慣れた仕草で眼鏡の位置を直す。彼の氷より冷たい眼光に、雪達磨が恐怖で一瞬固まった。
「ほら!」
ただの釘バットが、2つの雪玉を潰した。
●
3体の雑魔がハンターに勝てると思い込まされ戦っている頃、1人のエンターテイナーが崖上に現れた。
鼻より上を覆う派手で華麗なマスクと、元気と清楚と自信が並立した口元がちょっとだけアンバランスで、そのアンバランスさが人の意識を引きつける。
「ハッハァ!」
崖がまるでステージのようだ。登坂に使ったらしい投げ輪を華のある動きで回転させ、ひょいと崖下の雪達磨に向かって投げた。
見事首にかかる。
が、いくら頑丈でも戦闘用装備ではないので雑魔にダメージはない。少なくとも物理的ダメージは一切無かった。
リズリエル・ュリウス(ka0233)が崖から飛び降りた。
ロープは崖の縁に突きだした岩に引っかけているため、リズリエルが降りた分雪達磨型雑魔のロープが猛烈に引かれる。
繰り返しになるがダメージは一切無い。
つまりダメージがない範囲で、雑魔の頭部がロープによって削られた。
怒りで震える雑魔。機嫌良くのっぺらぼうに枝と木の身をはめ込むリズリエル。
「ハッハッハ、できたぞ、クラウンメイクだ」
雑魔の頭部に笑顔をつくり、リズリエルはそれ以上の笑顔で場を盛り上げる。
怒りによって限界を超えたのかもしれない。雪達磨の全身から膨大な量のつららが生えた。
リズリエルの体がひらりと舞った。敵の攻撃タイミングが分かっているなら、もとから高い回避力と活かしてこんなことができる。
「雪だるまであればもっと大きな男(?)にもなれたものを、雑魔に産まれたのが不幸だったなっ」
見得を切る。
赤い刀身を縦横に振るい、雪達磨の足に当たる部分に深手を負わせる。
「とどめは、こうだ!」
雪達磨は脚部を負傷しているため回避は諦め守りを固める。リズリエルは鼻歌交じりに一歩横に避けた。
遠くから走ってきたユルゲンスが、お手本のようなランスチャージを雑魔に決める。騎馬の速度とランスの射程に対応できる力も技もなく、雪達磨はあっけなく衝撃で粉砕されるのだった。
●
鵤は銃をホルスターに放り込む周囲を見渡した。
雑魔は既にいない。夜になるまで少しだけ時間がある。
武器の状態を確認したり癒しの技を使う仲間から離れ、半ば雪に埋もれている騎士の前に立った。
「っべーわぁー、騎士ちゃんマジっべーわぁー」
見ていて鬱陶しいポーズと声で騎士の周りを歩く。
「弓どころか近接すら一発も当らないとか、なんかもう逆に尊敬しちゃうぜぇ。いやーんカッコいいー」
大人気ないにもほどがある挑発だ。兜の隙間から見える騎士の顔は涙目で、けれど鵤の煽りのおかげで項垂れてはいなかった。
「体力に胡座をかいているのではないか」
ロニは煽らず推測だけを口にした。誰しも向き不向きはあるとはいえ、騎士の狙いが甘すぎた。
「騎士殿。修行が足りぬようだな。今回の事を恥と思うならば、よく考える事だ」
繰り返しすぎても逆効果だ。兵庫は一言だけ言い残して去りかけ、地図と崖を見比べているリズリエルに気付いた。
「にしてもこの地図、おかしかねーか? 夕方だろ? 西日差してるのに何で日照の向きが逆なんだ?」
雪合戦で遊んでいたペットパルムの間からサンタ帽パルムが現れ、直立不動からの土下座を敢行する。
「あ」
「パルム殿!」
頭の重さに負けて転がっていくパルムを、騎士が大慌てで追いかけていく。戻ってくるまで2日かかったらしい。
「おいおい、おっさんに無理させるんじゃねえよ?」
眼鏡についた雪を払い、鵤(ka3319)は白い息を吐き吐き雪原を駆けていた。やがて馬鹿馬鹿しいほど分厚い全身鎧が見えてくる。
「そこの騎士ちゃん、ハンター様のご到着だぜぇ」
緊張をほぐす目的で、剽げた口調で話しかける。
「感謝する。ハンターど……様?」
帰ってきた声は女性の、控えめに表現して鈍そうな声だった。
鵤は肩をすくめてホルスターから拳銃を抜く。狙うのは崖の陰に隠れた雪達磨型雑魔だ。
「直接攻撃しなくても、敵の進行方向遮ってくれりゃいいんでぇ」
雑魔に近づく味方を援護するためひたすら撃つ。
「いざとなりゃ影ゾーンで大剣ぶん回してくれてるだけもでいい的な? ま、よろしく頼むわぁ」
「承知した」
騎士は大きくうなずき、数十メートル先の雑魔目がけて守りを捨てない速度で駆けだした。
重装備で長時間戦っている割には速い。しかし動きが直線的すぎて良い的だ。
「ガッツはあるねぇ」
ボルディア・コンフラムス(ka0796)が楽しげに笑う。
騎士に当てないよう狙いを変えて銃弾を送り出す。赤銅色の銃身から飛び出した弾は濃密なマテリアルを帯びていて、冷たい空気にも雪に負けず雪達磨へ到着した。
雑魔の腹にこぶし大の穴が開いた。ボルディアは油断無く距離を詰めていく。
雑魔から飛んできた雪玉が砲撃じみた勢いで騎士に当たる。兜の隙間が雪で埋まり、騎士は早速迷走を始めていた。
馬上、ユルゲンス・クリューガー(ka2335)が無言で天を仰いでいだ。元騎士として、別の国の騎士とはいえこんな醜態を見るのは正直きつい。
「先陣は我々が切ろう。貴公はゆるりと参られよ」
鵤の援護射撃のもと、ユルゲンスは愛馬と共に雪原を駆け抜ける。
崖の下の暗がりで2体の雑魔が蠢いている。外見の愛嬌とは裏腹に、移動するたびに大量の雪を押しのけるほど重く分厚く強そうだ。
騎兵用突撃槍を構える。右の雑魔に狙いを定めると同時に愛馬が加速を開始する。安定させづらい雪上での移動、雪が舞い制限された視界という悪条件にも関わらず、ユルゲンスは衝突直前にランスにマテリアルを込めることもして見せた。
「我が一撃、受け切れるか!」
ランスが下段の雪玉を右側から砕いて3分の1ほど吹き飛ばす。背後から王国騎士の賞賛の声が聞こえてきた。
ユルゲンスは、王国騎士の教育は大丈夫なのかと不安になった。彼がしたのは大昔のリアルブルーのように馬の速度と重さを威力に変換したのではない。だからこの程度で勝負はつかない。
馬が巧みに距離をとって雑魔の攻撃圏から抜ける。接近も離脱も容易にするのが、馬の最大の力なのだ。
ユルゲンスは馬がつくった空間でランスを横に振るい、雪達磨の首にあたる部分を4分の1凹ませた。こうなると雑魔のすぐには回復できない。後はハンターのやりたい放題だ。
「オラオラオラー! んなとこに隠れてんじゃねーよ!」
十分に距離を詰めたボルディアが銃から釘バットに持ち替え雪達磨に迫る。首がいかれた雑魔は動きが鈍くその場から動けない。
もう1体の雑魔がボルディアと同属の間に割り込む。
釘バットは威圧感は満点でも魔導銃「サラマンダー」に比べると威力が低く、雪達磨の守りを撃ち抜くことはできなかった。
「ちぃっ」
ボルディアが悔しげに舌打ちする。その焦りの態度が演技であることに、雑魔と、ついでに王国騎士だけが気付いていなかった。
雪達磨2体の滑らかに見えた表面が急速に固まっていき、全身から氷の針山が現れた。
この状態に自信があるのだろう。雪達磨型雑魔の全身から濃密な戦意が噴き出す。
ユルゲンスが馬への直撃を避けるために距離をとる。鵤は援護の手を止め防御障壁の準備を調える。ハンター達と雑魔複数が向かい合ったまま、双方互いの隙を探して停止する。
そんな状況と無関係に雪は降り、雪原が太陽によってあかね色に染め上げられる。
美しくも不吉な逢魔が時に1つの影が現れる。夕日の中でも闇色の衣装と白い肌がはっきり見えるマリーシュカ(ka2336)だ。
足取りは優美。衣装に取り入れられた赤色が鮮血に見えるのは気のせいだろうか。
右の雪達磨が氷針を氷柱といえるほど太くし、その全てをマリーシュカに向ける。幼い少女を蹂躙しようとする異形という構図のはずなのに、実際に体積は1桁違いそうなのに、圧倒的上位者が断罪の刃を振るおうとしている場面にしか見えなかった。
少女の身の丈ほどもある魔導ノコギリが回転する。左の雪達磨がハンター3人の足止めに向かい、右の雪達磨が全ての意識と攻撃手段をマリーシュカに向け待ち構える。
小さな唇が可憐に動く。獰猛な機械音が全ての音を塗りつぶす。
氷柱が満開の花の如く広がり、一斉に折れ曲がり上下左右の全方向からマリーシュカに襲いかかった。
見間違いようのない笑みが少女の頬に刻まれた。戦闘に耐えるゴシックドレスが揺れる。精緻なレースが氷に触れ、けれど愛撫するような動きで出迎える。
「宵闇はあたしが好むところ」
雑魔の本命は氷柱の影に隠れた極細の針。針の先端は、マリーシュカが小首をかしげることで眼球の1センチ前を無意味に行きすぎた。
「だけど、冷えるのは御免だわ」
細く小さな体が舞う。魔導ノコギリに速度に速さと容赦の無い向きが与えられ、伸びきった氷の隙間に突き込まれた。
数本の氷柱が砕け、雪達磨の表面が削られ、それだけでなく激突の衝撃で雑魔の体を後ろへ弾いた。
雑魔が陰から抜ける。夕日を浴びた氷が数秒で溶け落ち、壊れかけた雪達磨の姿に変わり果てる。
「さっさと済ませてしまいましょう」
容赦なく追撃をかける。その目的が足止めであることに、雑魔は最期まで気づけなかった。
●
男二人が無言で足を動かしていた。
かんじきと外套風雪中装備の分、ロニ・カルディス(ka0551)が体力を温存できているように見える。
もっとも、覚醒者が戦闘用に使う装備として作られた品ではないので少々嵩張る。
「雪だるまとは何とも緊張感に欠ける敵だな」
榊 兵庫(ka0010)が足を緩めずつぶやく。
夕焼けと雪で見通しが悪いとはいえ、ハンターの視力があれば大きな障害にはなり得ない。
岩の陰に、外見だけは愛嬌のある雪だるま型雑魔が見えた。
「確かに」
無論冗談だ。外見がどうだろうと相手が雑魔であり、雑魔である以上滅ぼさねばならないのはお互い重々承知している。
ロニが眉を寄せる。雪達磨が岩に抱きついているのに気づいたのだ。己にとって有利な場所に籠もるつもりらしい。
「追い出しは任せた」
兵庫は片手斧と透明素材の大盾を携え雑魔との距離を0に近づける。普段使う槍と比べると片手斧の大きさは酷く頼りない。
斧を雪の腕めがけて振り下ろす。雑魔は兵庫に気づくのは遅く、しかし気づいてからの行動は素早く、残像が残る速度で腕を引っ込めた。
雑魔の手首から先が宙を舞い、岩の反対側、強い光のあたる場所へ消えた。
「承知」
兵庫と入れ替わりでロニが雑魔に近づく。利き手の戦槍は素晴らしい業物で、扱うロニの腕も得物に負けていない。
雑魔は己の危機を悟ってとっさに腕を伸ばす。先端が壊れていても槍を振るう空間を潰す程度の効果はあるはずだった。
「さて、日光浴は好きかね。遠慮するな、俺の気が済むまで浴びるといい」
ロニはにこりともせず、見下ろす視線で雑魔とその拳を出迎える。
雪の腕がロニの兜を打つ。ロニの盾は雑魔の攻撃を受け損ね、かわりに攻撃直後の隙だらけの雪玉を大きく押し込んだ。
雑魔が腕を引き戻す。
両腕で岩にしがみつき、全身から生えかけている氷刃を育てようとする。が、兵庫が手首を飛ばした腕では我が身を支えられず、ロニのシールドバッシュで影から放逐された。
「よし」
兵庫が跳んだ。跳ね起きる雪達磨と影の間に着地し、元から強いマテリアルを持つ手斧に己のマテリアルを注ぎ込む。
「雪遊びはもう終わりだ」
穏やかな口調とは正反対の、重く鋭い振り下ろしが雪達磨の上半分に当たりめり込み貫き雪原まで届いた。
雪を蹴る。兵庫の腕が雪達磨から抜けるのの半秒遅れで半壊した上半分が一回り小さくなって固まり、下半分と一緒になって兵庫に飛びかかる。
が、兵庫に届く前に穂先が下半分を貫いた。
「そこの騎士! 邪魔をするなら下がっていろ」
ロニは単なる事実を口にしながら全身の力を使い槍を引く。引かれるときに雪達磨の穴が拡張され、目に見えない不吉なものが拡散し始めた。
「どのヴォイドも不条理な……」
兵庫が大きな息を吐く。雪達磨にしか見えないものが害をばらまくのも、雪にしか見えないものに刺突武器が効くのも、リアルブルーの価値観では非常識を通り越してファンタジーだ。
「ま、潰せば消えるだけましだけどな」
ライデンシャフトで上下の雪玉を両断する。相変わらず雪にしか見ない体が開きにされて、夕陽の中で急速に融けて消えるのだった。
●
左右の戦場でハンター対雪達磨の戦いが始まった直後、特に変わったところのない大木が揺れていた。
枝に積もった雪が滑り落ち、雪原に当たって独特の音をたてる。
「歳かしら」
ローティーンにしか見えないエリシャ・カンナヴィ(ka0140)がため息をついていた。
防寒具の位置を調節し、気を引き締め直して次の枝に進む。今度は雪の粉すら落ちなかった。
不規則に伸びた多数の枝と、ロッククライマー垂涎の崖を見上げた後、斜め後方で行われている戦いを確認する。
皆頑張って雑魔の注意を引きつけてくれている。
彼女は常人以上の指の力で崖にしがみつき、握力が残っている間に常人とは別次元の身の軽さで崖を蹴って上に行く。
両方の手の平で崖の上に手を突き、全身を引き上げ音も立てずに着地した。
「しっかしアレね、敵より味方に注意しないといけない依頼は流石に初めてだわ」
一度下を見て盛大なため息を1つ。厚さ的な意味で立派な鎧を着ているのに、ハンターの指示を理解出来ない馬鹿が1人いる。もう少しましなら雑魔の注意が完全に地上を向いて、エリシャが半分の時間でここまで来れたはずだ。
エリシャは静かに歩く。分厚く積もっているのにほとんど無音だ。
崖の端まで行って下を覗くと、丁度雑魔が岩陰から放り出された所だった。
両脚を揃えて陰から飛び出す。
冷たい空気を裂いて雪原に着地。雪達磨の逃走路を塞ぐ位置へ移動し、小玉大玉の隙間を狙って太刀を突きだした。
雪達磨の首が半分以上削られる。この一撃で勝負がつかなかったのは、たまたまこの雑魔がいい加減な構造だったからだ。
雑魔はエリシャに気づいた時点で撤退を決めた。エリシャからの再度の攻撃を警戒しながら全速で後ろ向きに動き、逞しさと美しさと女性らしさを兼ね備えた何かにぶつかった。
「よう!」
ボルディアが陽気に笑いかける。
釘バットを両手で構える。
「一発いいのをくれてやるよ!」
ボルディアの筋肉が美しさを増した。
雪達磨が反転し、差し違え覚悟でボルディアに身を投げ出す。
が、触れる前に光の壁に遮られ、壁の崩壊と引き替えに勢いのほとんどを奪われてしまった。
「わるいねぇ。もう逃げ場ねーのよ」
薄紫色の光をまとい、鵤が慣れた仕草で眼鏡の位置を直す。彼の氷より冷たい眼光に、雪達磨が恐怖で一瞬固まった。
「ほら!」
ただの釘バットが、2つの雪玉を潰した。
●
3体の雑魔がハンターに勝てると思い込まされ戦っている頃、1人のエンターテイナーが崖上に現れた。
鼻より上を覆う派手で華麗なマスクと、元気と清楚と自信が並立した口元がちょっとだけアンバランスで、そのアンバランスさが人の意識を引きつける。
「ハッハァ!」
崖がまるでステージのようだ。登坂に使ったらしい投げ輪を華のある動きで回転させ、ひょいと崖下の雪達磨に向かって投げた。
見事首にかかる。
が、いくら頑丈でも戦闘用装備ではないので雑魔にダメージはない。少なくとも物理的ダメージは一切無かった。
リズリエル・ュリウス(ka0233)が崖から飛び降りた。
ロープは崖の縁に突きだした岩に引っかけているため、リズリエルが降りた分雪達磨型雑魔のロープが猛烈に引かれる。
繰り返しになるがダメージは一切無い。
つまりダメージがない範囲で、雑魔の頭部がロープによって削られた。
怒りで震える雑魔。機嫌良くのっぺらぼうに枝と木の身をはめ込むリズリエル。
「ハッハッハ、できたぞ、クラウンメイクだ」
雑魔の頭部に笑顔をつくり、リズリエルはそれ以上の笑顔で場を盛り上げる。
怒りによって限界を超えたのかもしれない。雪達磨の全身から膨大な量のつららが生えた。
リズリエルの体がひらりと舞った。敵の攻撃タイミングが分かっているなら、もとから高い回避力と活かしてこんなことができる。
「雪だるまであればもっと大きな男(?)にもなれたものを、雑魔に産まれたのが不幸だったなっ」
見得を切る。
赤い刀身を縦横に振るい、雪達磨の足に当たる部分に深手を負わせる。
「とどめは、こうだ!」
雪達磨は脚部を負傷しているため回避は諦め守りを固める。リズリエルは鼻歌交じりに一歩横に避けた。
遠くから走ってきたユルゲンスが、お手本のようなランスチャージを雑魔に決める。騎馬の速度とランスの射程に対応できる力も技もなく、雪達磨はあっけなく衝撃で粉砕されるのだった。
●
鵤は銃をホルスターに放り込む周囲を見渡した。
雑魔は既にいない。夜になるまで少しだけ時間がある。
武器の状態を確認したり癒しの技を使う仲間から離れ、半ば雪に埋もれている騎士の前に立った。
「っべーわぁー、騎士ちゃんマジっべーわぁー」
見ていて鬱陶しいポーズと声で騎士の周りを歩く。
「弓どころか近接すら一発も当らないとか、なんかもう逆に尊敬しちゃうぜぇ。いやーんカッコいいー」
大人気ないにもほどがある挑発だ。兜の隙間から見える騎士の顔は涙目で、けれど鵤の煽りのおかげで項垂れてはいなかった。
「体力に胡座をかいているのではないか」
ロニは煽らず推測だけを口にした。誰しも向き不向きはあるとはいえ、騎士の狙いが甘すぎた。
「騎士殿。修行が足りぬようだな。今回の事を恥と思うならば、よく考える事だ」
繰り返しすぎても逆効果だ。兵庫は一言だけ言い残して去りかけ、地図と崖を見比べているリズリエルに気付いた。
「にしてもこの地図、おかしかねーか? 夕方だろ? 西日差してるのに何で日照の向きが逆なんだ?」
雪合戦で遊んでいたペットパルムの間からサンタ帽パルムが現れ、直立不動からの土下座を敢行する。
「あ」
「パルム殿!」
頭の重さに負けて転がっていくパルムを、騎士が大慌てで追いかけていく。戻ってくるまで2日かかったらしい。
依頼結果
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MVP一覧
- うさぎのどうけし
リズリエル・ュリウス(ka0233)
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/28 18:18:20 |
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雪原の死闘(予定) ロニ・カルディス(ka0551) ドワーフ|20才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2014/12/29 23:12:55 |