ゲスト
(ka0000)
【郷祭】相手を染め尽くせ薬草祭り!
マスター:ザント
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~15人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/11/02 07:30
- 完成日
- 2018/11/08 00:54
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
農耕推進地域ジェオルジにある村。
普段はそれほど賑わいは無い村だが、今日は違った。
村の中心には大きく柵に囲まれた簡素な会場のようなものが作られており、そこを中心に屋台が設置され、村の内外問わずに人が集まり賑わっていた。
今日は秋の郷祭に合わせて開催される薬草祭りの日。
参加者はチーム毎に分かれ、支給された服と様々な色の薬草を固めた玉を投げて汚し合うという祭りだ。
優勝すればささやかながら賞金が得られる。
賞金目当てで参加する者も居るが、ほとんどの参加者は楽しむ為に参加する。
観戦者も流れ弾に当たって汚れてしまうかもしれないが、そこはご愛嬌。
全員が思い思いの形で楽しみ、汚れ、笑い合う。
それが薬草祭りの醍醐味なのだから。
「これで最後です」
「はいよ」
男は袋に包まれた何かを受け取るとすぐに会場へと向かって走り去って行く。
それを見送り、薬師であるオックスは軽く伸びをした。
オックスと弟子のシャールは昨日までの数日の間、薬草祭りに使う薬草玉を作り続けていたのでまだ疲れが残っているのだ。
とはいえ、すぐに寝ないと倒れるという程ではないので予定通りに祭りには参加する。
「……あっ」
ふと自分の手の平を見て、薬草玉を作った時に付いた汚れを落としていないのに気付く。
すぐに服を確認し、何処にも付いていないのを確認するとオックスは胸を撫で下ろした。
薬草玉の色は水洗いすれば簡単に落ちるが、洗濯物は少ないに越した事はない。
シャールに怒られずに済んだと安堵し、オックスはまだ眠っているシャールを起こすべく家へと入っていった。
「薬草祭りにご参加ですね?」
薬草祭りに参加するべく受付へ向かうと、そこにはハンターオフィス職員のエルリア・ベルソー(kz0267)が居た。
「チーム名と人数をお教え下さい。お一人の場合でもチーム名ありなしは自由です。参加チームが多かった場合は他のチームと合併となる事がありますので、あらかじめご了承ください。あ、そうそう。今回は私も参加するんですよ」
ほらと言ってエルリアは自分の服を見せる。
確かに受付を終えた参加者が着ているものと同じ上下とも真っ白な服だ。
「私は1人でチーム名無しで登録してますが、他の1人チームで登録してる方だと一枚刃や我は孤高。複数人のチームだと薬師スターズとか黒魔女三人組とかがありますね」
エルリアは楽しそうに他のチーム名を読み上げると悪戯っぽく笑い。
「それでチーム名はどうしますか?」
と、尋ねてきた。
普段はそれほど賑わいは無い村だが、今日は違った。
村の中心には大きく柵に囲まれた簡素な会場のようなものが作られており、そこを中心に屋台が設置され、村の内外問わずに人が集まり賑わっていた。
今日は秋の郷祭に合わせて開催される薬草祭りの日。
参加者はチーム毎に分かれ、支給された服と様々な色の薬草を固めた玉を投げて汚し合うという祭りだ。
優勝すればささやかながら賞金が得られる。
賞金目当てで参加する者も居るが、ほとんどの参加者は楽しむ為に参加する。
観戦者も流れ弾に当たって汚れてしまうかもしれないが、そこはご愛嬌。
全員が思い思いの形で楽しみ、汚れ、笑い合う。
それが薬草祭りの醍醐味なのだから。
「これで最後です」
「はいよ」
男は袋に包まれた何かを受け取るとすぐに会場へと向かって走り去って行く。
それを見送り、薬師であるオックスは軽く伸びをした。
オックスと弟子のシャールは昨日までの数日の間、薬草祭りに使う薬草玉を作り続けていたのでまだ疲れが残っているのだ。
とはいえ、すぐに寝ないと倒れるという程ではないので予定通りに祭りには参加する。
「……あっ」
ふと自分の手の平を見て、薬草玉を作った時に付いた汚れを落としていないのに気付く。
すぐに服を確認し、何処にも付いていないのを確認するとオックスは胸を撫で下ろした。
薬草玉の色は水洗いすれば簡単に落ちるが、洗濯物は少ないに越した事はない。
シャールに怒られずに済んだと安堵し、オックスはまだ眠っているシャールを起こすべく家へと入っていった。
「薬草祭りにご参加ですね?」
薬草祭りに参加するべく受付へ向かうと、そこにはハンターオフィス職員のエルリア・ベルソー(kz0267)が居た。
「チーム名と人数をお教え下さい。お一人の場合でもチーム名ありなしは自由です。参加チームが多かった場合は他のチームと合併となる事がありますので、あらかじめご了承ください。あ、そうそう。今回は私も参加するんですよ」
ほらと言ってエルリアは自分の服を見せる。
確かに受付を終えた参加者が着ているものと同じ上下とも真っ白な服だ。
「私は1人でチーム名無しで登録してますが、他の1人チームで登録してる方だと一枚刃や我は孤高。複数人のチームだと薬師スターズとか黒魔女三人組とかがありますね」
エルリアは楽しそうに他のチーム名を読み上げると悪戯っぽく笑い。
「それでチーム名はどうしますか?」
と、尋ねてきた。
リプレイ本文
●
「マルカ・アニチキンさん。チーム名は松戸魔擬捨瑠(マッドマギステル)で登録しました。後ほど入場の為に集まって頂きますので、それまでに近くの更衣室でこちらの服に着替えておいてください。それとチームメンバーの変更は入場までに届け出を」
「は、はい」
農耕推進地域ジェオルジにある村。
薬草祭りに参加する為の受付を無事終えたマルカ・アニチキン(ka2542)は安堵の息を吐いた。
普段はおどおどとしている彼女だが、今回は薬草祭りという事でなりたて薬師としては、薬草に携わる祭りで優勝して実績を残すべきではないかと考えて、即決で参加を決めるという行動力の高さを発揮した。
行動力の高さを発揮したとはいえ、薬草祭りはチーム戦でチームは最大四人。
それに対しマルカは一人のみ。
(チームメンバーを探さないと……!)
同じチームとなってくれる人を探すべく、マルカは屋台の方へ足を向けた。
人が多いのでチームメンバーが見つかる可能性は低いが、人混みの中に入って根気よく探すこと十数分。
「え~と、薬草祭り参加受付はどこかな?」
そんな声が聞こえた。
祭り特有の客寄せの掛け声や多くの雑踏の中でその声を拾えたのはひとえに幸運だった。
マルカは機を逃さず声の方を見ると、灰色の髪の少女が歩いていた。
●
薬草祭りに参加するべく参加受付を目指し夢路 まよい(ka1328)は村を歩いていた。
(わ~、なんだかとっても楽しそうなお祭りだね! こういう対戦形式の遊び、私は大好きだよ!)
と、薬草祭りの話を聞きとても興味を持った為だ。
「え~と、薬草祭り参加受付はどこかな?」
「あ、あの」
ふとした呟きを聞かれたのか声をかけられたまよいが声の方に目を向けると、そこには桃髪の女性が立っていた。
「わ、私はマルカ・アニチキンと言います。それで、その」
マルカと名乗った女性はおどおどとした様子だったが、意を決したように口を開いた。
「薬草祭りに参加をするのでしたら、もしよろしければですが……わ、私も参加するので、同じチームになっていただけないでしょうかっ」
「うん、いいよ。私もチームメンバーをどうやって集めようか困ってたんだ~」
言葉通りに参加受付をした後のことを悩んでいたので、まよいとしてもマルカの申し出は渡りに船だった。
「あ、ありがとうございます!」
「私は夢路まよい。よろしくね」
「よろしくお願いしますっ」
マルカはまよいを連れ、メンバー変更の届出をするべく参加受付へと向かい歩き出し、その道中にマルカは誘いたい人物のことをまよいに話し、まよいは誘うことを快諾。
後はその人物を見つけて誘うだけだが、果たしてその人物が入場までに見つかるかどうか。
「ということわけで……」
「あの、松戸魔擬捨瑠です。チームメンバーに変更が……」
「あ、はい」
受付係は誰かと話していたようで、少し慌てて受付表を捲る。
その間に二人は何気なしに受付係が話していた人物に目を向け、そこに居た女性を見てまよいは声を上げた。
「って、居たー!」
その女性こそマルカがチームに誘いたいと言った人物、エルリア・ベルソー(kz0267)だ。
「あ、あの。エルリアさん。もし、よろしければなんですが……その、私のチームに入ってください!」
マルカの誘いにエルリアは困った表情を浮かべる。
「誘っていただきありがとうございます。ですが、始まるまで私は運営側ですし、チーム加入は希望した方が優先されるのでお受けすることは出来ません」
「そう、ですか」
その返事にマルカは目を伏せて落ち込むが、成り行きを見ていた受付係が溜息を吐いた。
「それは建前で、本当は入りたいんでしょう」
「名前が強そうだから、凄く入りたいです」
エルリアが加入する意思があることを知り、マルカは顔を輝かせる。
「良かったね、マルカ」
「はいっありがとうございます、まよいさん」
そして受付係に松戸魔擬捨瑠にまよいが加わったことを伝えると、マルカはエルリアに向かって頭を下げた。
「も、もし同じチームになった時は、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
それに対しエルリアは、微笑みを浮かべると同じく頭を下げた。
●
(トマト祭りは出たことがあるが薬草祭り……。というか結局投げるのか……(汗))
似たような祭りに参加したことがあるレイア・アローネ(ka4082)は、内心苦笑いをしながら薬草祭りの参加受付へと向かっていた。
「さぁ、薬草祭りの参加受付はもうすぐ終了ですよ!」
受付終了間近であることを知らせる声を聞き、レイアは考え込む。
(直前参加となってしまったが、入れるチームはあるかな……。受け入れOKのチームがあるなら参加させて貰おう。なければ仕方ない、一人参加で。観戦という選択肢もあるが、せっかくの祭りなんだ。参加しなくてはな)
参加する決意を再度固めると、向かう足を早める。
それがいけなかったのか、人混みの中から出てきた少女にぶつかってしまった。
「す、すまない。急いでいて」
「い、いえ。私こそ余所見を」
少女に手を貸して立たせ、レイアは少女を見る。
控え目に言っても少女は可愛らしく、それだけで可愛い女の子に憧れているレイアにとっては憧れの対象となる。
「すまない」
可愛い女の子を見て保護欲をかきたてれられたレイアは、一言断りを入れてから少女を愛で始めた。
●
時間は少し遡り。
「参加受付は、何処でしょうか」
薬草祭りに参加するべく村へ来たミオレスカ(ka3496)は人混みに流されてしまい迷子になっていた。
「さぁ、薬草祭りの参加受付はもうすぐ終了ですよ!」
受付終了間際の知らせを聞いたミオレスカは焦り参加受付の場所を聞こうとした時、後ろからいきなり抱きつかれた。
「可愛い子発見!」
「ひゃっ!」
「驚く声も可愛い!」
突然のことに思わず声を上げるミオレスカだが、相手はそれすらも可愛いと離さない。
ミオレスカは抜け出すと相手に鋭い目を向けた。
「あ、ごめん。つい」
「……次は、ありませんよ」
それで我に返ったのか冷静になった相手は謝罪と共に頭を下げ、ミオレスカは謝罪を受け入れる。
「私はレミアって言うの。よろしく」
「ミオレスカ、です」
警戒心丸出しのミオレスカにレミアは乾いた笑い声を漏らすと、良いことを思いついたと指を鳴らした。
「ミレオスカちゃんは薬草祭りに参加するのかな。参加するんだったら一緒のチームにならない?」
「それは、願ってもないことです」
元より薬草祭りに参加するつもりだったミオレスカは、時間が無いこともあり背に腹は変えられないと即座に頷いて誘いを受ける。
レミアは嬉しそうにはにかむとミオレスカの手を取って歩きだした。
「あっちにメンバーのシャールちゃんが居るの」
その先にはチームメンバーである少女が……。
「はぁ……癒されるな」
黒髪の女性に愛でられていた。
「貴女……!」
「ん?」
それを見たレミアは険しい表情で女性へと歩み寄ると女性に向かって勢いよく手を差し出した。
「私はレミア。貴女も可愛いもの好きね?」
「あぁ。私はレイア・アローネだ」
それだけで通じ合ったのか自己紹介をしたレイアはレミアの手をとり、硬く握手をする。
「ミオレスカちゃん、シャールちゃん。レイアもチームメンバーに入れていい?」
「は、はい。好きにしてください」
「はい。私も構いません」
「では、よろしく頼む」
一瞬で意気投合したレイアをメンバーに加え、受付にてチームを登録。
そしてレミアとレイアの二人は、ミオレスカとシャールを入場まで愛で続けるのだった。
ちなみにチーム名は「美少女愛で同盟」である。
●
「参加者の方はこちらから入場してくださーい!」
受付終了から十分後、係員の誘導で薬草祭りに参加する面々が入場していく。
会場は障害物も何もない、柵に囲まれた大きな広場となっている。
「皆さん、支給した服に着替えていますね?」
係員は参加者たちが服を確認すると、手に持った表を読み上げた。
「今からチームを発表と薬草玉の配布を行います。その後、作戦タイムとして十分間設けますので、その間に作戦などを話し合ってください。まずは赤チーム「松戸魔擬捨瑠」マルカ・アニチキンさん、夢路 まよいさん、エルリア・ベルソーさん。青チーム「我は孤高」バレットさん。緑チーム「美少女愛で同盟」レイア・アローネさん、ミオレスカさん、レミアさん、シャールさん。黒チーム……」
係員によってチーム発表と薬草玉が配布されるチーム毎に散り、チーム「美少女愛で同盟」は作戦を話し合う前に改めて自己紹介を行っていた。
「レイア・アローネだ。よろしく頼む」
「私は、ミオレスカです。よろしくお願いします」
「レミアよ。よろしくね」
「シャールです、よろしくお願いします」
自己紹介を終えるとすぐに作戦を話し合い、薬草玉をそれぞれ分け合う。
ミオレスカは受け取った薬草玉の数と握った感覚を確かめる。
(たくさん投げても大丈夫ですね)
大会中は滑って薬草玉を落とさないように注意をすることも忘れないようにするミオレスカだった。
所変わってチーム「松戸魔擬捨瑠」。
「私が考えた作戦を説明するね」
まよいが考えた作戦を説明し、全員がそれに全面的に同意する。
次に一つの選択肢としてマルカが提案をし、それも含めた作戦へと昇華される。
全員が納得した所で話し合いを終えると薬草玉を配った直後、司会が全てのチームを確認すると作戦タイム終了を告げた。
「時間となりました!」
一斉に静まり返る会場。
観戦者が固唾を呑んで見守る中。
「試合開始!」
試合が始まった。
「投技! 分三薬草玉!」
開始早々に自称豪腕のバレットが薬草玉を握り潰すように掴み投げる。
手に収まるそれは指によって三つに分かれ、それぞれが意志を持っているかのようにまよい、レイア、レミアへと向かっていく。
それを当然と言わんばかりに全員が避け、お返しと言わんばかりにミオレスカの投げた薬草玉がバレットの服を汚す。
レイアは的を絞らせないように走り回り、そのレイアを狙ってまよいが薬草玉を投げるが避けられる。
まよいの目が強く輝き、髪や服が吹き上がるように舞い踊っているのは気のせいではない。
その証拠にレミアが放つ鋭い剛速薬草玉を立体的な動きで翻弄しながら回避する。
「ほらほら、避けないと当たっちゃうよ~!」
「今シーズンはいいピッチング出せますっ……!」
「ふっ!」
隙を見つけるや攻勢に転じ、チーム「松戸魔擬捨瑠」はまよいの作戦通りに回避力が高そうな相手に目掛けて薬草玉を投げていき、その猛攻に次々と服を汚していく。
「くっ隙がないな!」
その猛攻で幾つか被弾をし、歯噛みしていた時。
「隙あり」
レイアの後ろで声がした。
「な、はぶっ」
振り向き様にレイアの顔面に薬草玉が直撃し、犯人はすぐに距離を取る。
「私は「一枚刃」のリズ、趣味は人をおちょくること。以後よろしく。じゃあね」。
「絶対に、やり返してやる!」
手短に告げると逃げていくリズにかなり頭に来たのか、怒鳴る様に叫んで薬草玉を投げつけるレイア。
「あぁいう参加者も居るのねっ」
「えいっ楽しみ方は人それぞれですからっ」
「っ……当たって、しまいました」
それを遠目に見ていたチーム「美少女愛で同盟」は薬草玉を可能な限り避けながら反撃を行い、順調に服に染みを付けていく。
「このままならっ」
いけるとレイアが言いかけた時、雪が降った。
今は冬に近い季節ではあるが、雪が降るほどの寒さではない。
参加者達は思わぬ現象に、皆一様に投げる手を止めて上空を見上げる。
「あれ。この雪触れない」
誰かがそう呟くと同時に光弾が上空に上がった。
瞬間、爆発するかのように眩い光が広がり上空を見上げていた参加者たちの目を焼く。
「目が、目がぁあああ!」
一瞬の目眩ましの隙をつき、チーム「松戸魔擬捨瑠」が猛攻を避け続けていた猛者たちに近づき、薬草玉を投げてその服を真っ赤に汚す。
「負けませんっ!」
いち早く回復したミオレスカが反撃し、それに続くように回復したレイアも反撃をする。
「うわっ」
「きゃっ」
回復していない参加者も薬草玉を投げ、それが観戦者たちにぶつかり汚していく。
「いいぞー!」
「もっとやれー!」
だがそれに怒ること無く、むしろ煽り、一層激しさを増す薬草祭り。
元気だった参加者たちに疲労が見え始め、立っているのはハンターたちのみになった頃、台風の目「松戸魔擬捨瑠」が新たな動きを見せた。
「ぐぁああああ!」
「無念」
「きゃぁっ」
回避力が低いまたは疲労によって動きが鈍り出した参加者へ狙いを変えだしたのだ。
「勝てば良かろうなんですよ!」
「もう楽になっても良いんだよ?」
「はい、残念!」
テンションが上がって口走るマルカと優しく語りかけるまよい、反対側に回り込んだエルリアによって大勢が真っ赤に染まっていく中、ミオレスカの髪から七色の光が漏れ出す。
「えっ」
「のわぁ!」
機関銃のように薬草玉を投げては掴みを繰り返して他チームの全身を染め上げるミオレスカ。
「私も居るぞ!」
レイアもミオレスカばかりに活躍をさせられないと両手でそれぞれ投げつけ、二チームに感化されてか、脱落同然の参加者も活気づく。
「最後の踏ん張り所だ!」
「負けてられるか!」
こうして、笑顔に包まれながら薬草祭りは続いていった。
●
「し、終了~!」
終了の合図と共に一斉に投げる手を止める参加者たち。
「では、集計しますので動かないでください」
参加者同様にマーブル模様に染まった係員によって集計がされていく。
全員が固唾を呑んで見守る中、集計結果が司会に渡される。
「優勝チームは~……チーム「松戸魔擬捨瑠」!」
「や、やった~!」
「やりました!」
「まよいさんの作戦が上手くいきましたね」
拍手喝采の中、他の参加者同様に全身が汚れきった三人は喜び合う。
「はー、疲れた」
「負けちゃいましたね」
「精一杯やったんだ、悔いはないな」
「これでマッサージなどすれば、効果ありそうですね。お風呂のお湯に入れたり、蒸し風呂にも置いておくのもよさそうです」
優勝出来なかった参加者たちも晴れ晴れとした顔で笑い合っている。
「では、これにて薬草祭りを終了とさせていただきます。汚れを落とす為に簡素ではありますが浴場を用意してありますので、ゆっくりとお寛ぎください。それと余った薬草玉は持ち帰っていただいて結構ですのでご自由にお持ちください」
司会はそこで言葉を切ると、観戦者たちと向き合う。
「今一度、参加者の皆さんに盛大な拍手を!」
参加者たちに惜しみない、より大きな拍手が送られた。
「マルカ・アニチキンさん。チーム名は松戸魔擬捨瑠(マッドマギステル)で登録しました。後ほど入場の為に集まって頂きますので、それまでに近くの更衣室でこちらの服に着替えておいてください。それとチームメンバーの変更は入場までに届け出を」
「は、はい」
農耕推進地域ジェオルジにある村。
薬草祭りに参加する為の受付を無事終えたマルカ・アニチキン(ka2542)は安堵の息を吐いた。
普段はおどおどとしている彼女だが、今回は薬草祭りという事でなりたて薬師としては、薬草に携わる祭りで優勝して実績を残すべきではないかと考えて、即決で参加を決めるという行動力の高さを発揮した。
行動力の高さを発揮したとはいえ、薬草祭りはチーム戦でチームは最大四人。
それに対しマルカは一人のみ。
(チームメンバーを探さないと……!)
同じチームとなってくれる人を探すべく、マルカは屋台の方へ足を向けた。
人が多いのでチームメンバーが見つかる可能性は低いが、人混みの中に入って根気よく探すこと十数分。
「え~と、薬草祭り参加受付はどこかな?」
そんな声が聞こえた。
祭り特有の客寄せの掛け声や多くの雑踏の中でその声を拾えたのはひとえに幸運だった。
マルカは機を逃さず声の方を見ると、灰色の髪の少女が歩いていた。
●
薬草祭りに参加するべく参加受付を目指し夢路 まよい(ka1328)は村を歩いていた。
(わ~、なんだかとっても楽しそうなお祭りだね! こういう対戦形式の遊び、私は大好きだよ!)
と、薬草祭りの話を聞きとても興味を持った為だ。
「え~と、薬草祭り参加受付はどこかな?」
「あ、あの」
ふとした呟きを聞かれたのか声をかけられたまよいが声の方に目を向けると、そこには桃髪の女性が立っていた。
「わ、私はマルカ・アニチキンと言います。それで、その」
マルカと名乗った女性はおどおどとした様子だったが、意を決したように口を開いた。
「薬草祭りに参加をするのでしたら、もしよろしければですが……わ、私も参加するので、同じチームになっていただけないでしょうかっ」
「うん、いいよ。私もチームメンバーをどうやって集めようか困ってたんだ~」
言葉通りに参加受付をした後のことを悩んでいたので、まよいとしてもマルカの申し出は渡りに船だった。
「あ、ありがとうございます!」
「私は夢路まよい。よろしくね」
「よろしくお願いしますっ」
マルカはまよいを連れ、メンバー変更の届出をするべく参加受付へと向かい歩き出し、その道中にマルカは誘いたい人物のことをまよいに話し、まよいは誘うことを快諾。
後はその人物を見つけて誘うだけだが、果たしてその人物が入場までに見つかるかどうか。
「ということわけで……」
「あの、松戸魔擬捨瑠です。チームメンバーに変更が……」
「あ、はい」
受付係は誰かと話していたようで、少し慌てて受付表を捲る。
その間に二人は何気なしに受付係が話していた人物に目を向け、そこに居た女性を見てまよいは声を上げた。
「って、居たー!」
その女性こそマルカがチームに誘いたいと言った人物、エルリア・ベルソー(kz0267)だ。
「あ、あの。エルリアさん。もし、よろしければなんですが……その、私のチームに入ってください!」
マルカの誘いにエルリアは困った表情を浮かべる。
「誘っていただきありがとうございます。ですが、始まるまで私は運営側ですし、チーム加入は希望した方が優先されるのでお受けすることは出来ません」
「そう、ですか」
その返事にマルカは目を伏せて落ち込むが、成り行きを見ていた受付係が溜息を吐いた。
「それは建前で、本当は入りたいんでしょう」
「名前が強そうだから、凄く入りたいです」
エルリアが加入する意思があることを知り、マルカは顔を輝かせる。
「良かったね、マルカ」
「はいっありがとうございます、まよいさん」
そして受付係に松戸魔擬捨瑠にまよいが加わったことを伝えると、マルカはエルリアに向かって頭を下げた。
「も、もし同じチームになった時は、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
それに対しエルリアは、微笑みを浮かべると同じく頭を下げた。
●
(トマト祭りは出たことがあるが薬草祭り……。というか結局投げるのか……(汗))
似たような祭りに参加したことがあるレイア・アローネ(ka4082)は、内心苦笑いをしながら薬草祭りの参加受付へと向かっていた。
「さぁ、薬草祭りの参加受付はもうすぐ終了ですよ!」
受付終了間近であることを知らせる声を聞き、レイアは考え込む。
(直前参加となってしまったが、入れるチームはあるかな……。受け入れOKのチームがあるなら参加させて貰おう。なければ仕方ない、一人参加で。観戦という選択肢もあるが、せっかくの祭りなんだ。参加しなくてはな)
参加する決意を再度固めると、向かう足を早める。
それがいけなかったのか、人混みの中から出てきた少女にぶつかってしまった。
「す、すまない。急いでいて」
「い、いえ。私こそ余所見を」
少女に手を貸して立たせ、レイアは少女を見る。
控え目に言っても少女は可愛らしく、それだけで可愛い女の子に憧れているレイアにとっては憧れの対象となる。
「すまない」
可愛い女の子を見て保護欲をかきたてれられたレイアは、一言断りを入れてから少女を愛で始めた。
●
時間は少し遡り。
「参加受付は、何処でしょうか」
薬草祭りに参加するべく村へ来たミオレスカ(ka3496)は人混みに流されてしまい迷子になっていた。
「さぁ、薬草祭りの参加受付はもうすぐ終了ですよ!」
受付終了間際の知らせを聞いたミオレスカは焦り参加受付の場所を聞こうとした時、後ろからいきなり抱きつかれた。
「可愛い子発見!」
「ひゃっ!」
「驚く声も可愛い!」
突然のことに思わず声を上げるミオレスカだが、相手はそれすらも可愛いと離さない。
ミオレスカは抜け出すと相手に鋭い目を向けた。
「あ、ごめん。つい」
「……次は、ありませんよ」
それで我に返ったのか冷静になった相手は謝罪と共に頭を下げ、ミオレスカは謝罪を受け入れる。
「私はレミアって言うの。よろしく」
「ミオレスカ、です」
警戒心丸出しのミオレスカにレミアは乾いた笑い声を漏らすと、良いことを思いついたと指を鳴らした。
「ミレオスカちゃんは薬草祭りに参加するのかな。参加するんだったら一緒のチームにならない?」
「それは、願ってもないことです」
元より薬草祭りに参加するつもりだったミオレスカは、時間が無いこともあり背に腹は変えられないと即座に頷いて誘いを受ける。
レミアは嬉しそうにはにかむとミオレスカの手を取って歩きだした。
「あっちにメンバーのシャールちゃんが居るの」
その先にはチームメンバーである少女が……。
「はぁ……癒されるな」
黒髪の女性に愛でられていた。
「貴女……!」
「ん?」
それを見たレミアは険しい表情で女性へと歩み寄ると女性に向かって勢いよく手を差し出した。
「私はレミア。貴女も可愛いもの好きね?」
「あぁ。私はレイア・アローネだ」
それだけで通じ合ったのか自己紹介をしたレイアはレミアの手をとり、硬く握手をする。
「ミオレスカちゃん、シャールちゃん。レイアもチームメンバーに入れていい?」
「は、はい。好きにしてください」
「はい。私も構いません」
「では、よろしく頼む」
一瞬で意気投合したレイアをメンバーに加え、受付にてチームを登録。
そしてレミアとレイアの二人は、ミオレスカとシャールを入場まで愛で続けるのだった。
ちなみにチーム名は「美少女愛で同盟」である。
●
「参加者の方はこちらから入場してくださーい!」
受付終了から十分後、係員の誘導で薬草祭りに参加する面々が入場していく。
会場は障害物も何もない、柵に囲まれた大きな広場となっている。
「皆さん、支給した服に着替えていますね?」
係員は参加者たちが服を確認すると、手に持った表を読み上げた。
「今からチームを発表と薬草玉の配布を行います。その後、作戦タイムとして十分間設けますので、その間に作戦などを話し合ってください。まずは赤チーム「松戸魔擬捨瑠」マルカ・アニチキンさん、夢路 まよいさん、エルリア・ベルソーさん。青チーム「我は孤高」バレットさん。緑チーム「美少女愛で同盟」レイア・アローネさん、ミオレスカさん、レミアさん、シャールさん。黒チーム……」
係員によってチーム発表と薬草玉が配布されるチーム毎に散り、チーム「美少女愛で同盟」は作戦を話し合う前に改めて自己紹介を行っていた。
「レイア・アローネだ。よろしく頼む」
「私は、ミオレスカです。よろしくお願いします」
「レミアよ。よろしくね」
「シャールです、よろしくお願いします」
自己紹介を終えるとすぐに作戦を話し合い、薬草玉をそれぞれ分け合う。
ミオレスカは受け取った薬草玉の数と握った感覚を確かめる。
(たくさん投げても大丈夫ですね)
大会中は滑って薬草玉を落とさないように注意をすることも忘れないようにするミオレスカだった。
所変わってチーム「松戸魔擬捨瑠」。
「私が考えた作戦を説明するね」
まよいが考えた作戦を説明し、全員がそれに全面的に同意する。
次に一つの選択肢としてマルカが提案をし、それも含めた作戦へと昇華される。
全員が納得した所で話し合いを終えると薬草玉を配った直後、司会が全てのチームを確認すると作戦タイム終了を告げた。
「時間となりました!」
一斉に静まり返る会場。
観戦者が固唾を呑んで見守る中。
「試合開始!」
試合が始まった。
「投技! 分三薬草玉!」
開始早々に自称豪腕のバレットが薬草玉を握り潰すように掴み投げる。
手に収まるそれは指によって三つに分かれ、それぞれが意志を持っているかのようにまよい、レイア、レミアへと向かっていく。
それを当然と言わんばかりに全員が避け、お返しと言わんばかりにミオレスカの投げた薬草玉がバレットの服を汚す。
レイアは的を絞らせないように走り回り、そのレイアを狙ってまよいが薬草玉を投げるが避けられる。
まよいの目が強く輝き、髪や服が吹き上がるように舞い踊っているのは気のせいではない。
その証拠にレミアが放つ鋭い剛速薬草玉を立体的な動きで翻弄しながら回避する。
「ほらほら、避けないと当たっちゃうよ~!」
「今シーズンはいいピッチング出せますっ……!」
「ふっ!」
隙を見つけるや攻勢に転じ、チーム「松戸魔擬捨瑠」はまよいの作戦通りに回避力が高そうな相手に目掛けて薬草玉を投げていき、その猛攻に次々と服を汚していく。
「くっ隙がないな!」
その猛攻で幾つか被弾をし、歯噛みしていた時。
「隙あり」
レイアの後ろで声がした。
「な、はぶっ」
振り向き様にレイアの顔面に薬草玉が直撃し、犯人はすぐに距離を取る。
「私は「一枚刃」のリズ、趣味は人をおちょくること。以後よろしく。じゃあね」。
「絶対に、やり返してやる!」
手短に告げると逃げていくリズにかなり頭に来たのか、怒鳴る様に叫んで薬草玉を投げつけるレイア。
「あぁいう参加者も居るのねっ」
「えいっ楽しみ方は人それぞれですからっ」
「っ……当たって、しまいました」
それを遠目に見ていたチーム「美少女愛で同盟」は薬草玉を可能な限り避けながら反撃を行い、順調に服に染みを付けていく。
「このままならっ」
いけるとレイアが言いかけた時、雪が降った。
今は冬に近い季節ではあるが、雪が降るほどの寒さではない。
参加者達は思わぬ現象に、皆一様に投げる手を止めて上空を見上げる。
「あれ。この雪触れない」
誰かがそう呟くと同時に光弾が上空に上がった。
瞬間、爆発するかのように眩い光が広がり上空を見上げていた参加者たちの目を焼く。
「目が、目がぁあああ!」
一瞬の目眩ましの隙をつき、チーム「松戸魔擬捨瑠」が猛攻を避け続けていた猛者たちに近づき、薬草玉を投げてその服を真っ赤に汚す。
「負けませんっ!」
いち早く回復したミオレスカが反撃し、それに続くように回復したレイアも反撃をする。
「うわっ」
「きゃっ」
回復していない参加者も薬草玉を投げ、それが観戦者たちにぶつかり汚していく。
「いいぞー!」
「もっとやれー!」
だがそれに怒ること無く、むしろ煽り、一層激しさを増す薬草祭り。
元気だった参加者たちに疲労が見え始め、立っているのはハンターたちのみになった頃、台風の目「松戸魔擬捨瑠」が新たな動きを見せた。
「ぐぁああああ!」
「無念」
「きゃぁっ」
回避力が低いまたは疲労によって動きが鈍り出した参加者へ狙いを変えだしたのだ。
「勝てば良かろうなんですよ!」
「もう楽になっても良いんだよ?」
「はい、残念!」
テンションが上がって口走るマルカと優しく語りかけるまよい、反対側に回り込んだエルリアによって大勢が真っ赤に染まっていく中、ミオレスカの髪から七色の光が漏れ出す。
「えっ」
「のわぁ!」
機関銃のように薬草玉を投げては掴みを繰り返して他チームの全身を染め上げるミオレスカ。
「私も居るぞ!」
レイアもミオレスカばかりに活躍をさせられないと両手でそれぞれ投げつけ、二チームに感化されてか、脱落同然の参加者も活気づく。
「最後の踏ん張り所だ!」
「負けてられるか!」
こうして、笑顔に包まれながら薬草祭りは続いていった。
●
「し、終了~!」
終了の合図と共に一斉に投げる手を止める参加者たち。
「では、集計しますので動かないでください」
参加者同様にマーブル模様に染まった係員によって集計がされていく。
全員が固唾を呑んで見守る中、集計結果が司会に渡される。
「優勝チームは~……チーム「松戸魔擬捨瑠」!」
「や、やった~!」
「やりました!」
「まよいさんの作戦が上手くいきましたね」
拍手喝采の中、他の参加者同様に全身が汚れきった三人は喜び合う。
「はー、疲れた」
「負けちゃいましたね」
「精一杯やったんだ、悔いはないな」
「これでマッサージなどすれば、効果ありそうですね。お風呂のお湯に入れたり、蒸し風呂にも置いておくのもよさそうです」
優勝出来なかった参加者たちも晴れ晴れとした顔で笑い合っている。
「では、これにて薬草祭りを終了とさせていただきます。汚れを落とす為に簡素ではありますが浴場を用意してありますので、ゆっくりとお寛ぎください。それと余った薬草玉は持ち帰っていただいて結構ですのでご自由にお持ちください」
司会はそこで言葉を切ると、観戦者たちと向き合う。
「今一度、参加者の皆さんに盛大な拍手を!」
参加者たちに惜しみない、より大きな拍手が送られた。
依頼結果
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夢路 まよい(ka1328)
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 マルカ・アニチキン(ka2542) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/11/01 21:54:38 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/11/01 20:34:20 |