ゲスト
(ka0000)
歩く焼死体の怪
マスター:きりん

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/11/16 09:00
- 完成日
- 2018/11/16 18:20
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●焼死体ゾンビ
それは、定義するならば暴食に属するゾンビの一種だといえた。
まるで火事で焼け死んだような黒焦げの身体を持つゾンビだ。
その身体はところどころ赤熱で赤く輝いていて、まるで全身が燃える炭のようだった。
一度戦いとなればその身体は瞬く間に炎を纏い、人間型の歩く火柱と化す。
当然触れることは困難で、下手に近寄れば自分が燃え上がることとなるだろう。
しかし離れていれば安全というわけではない。
彼らは口から燃え盛る胃液を吐いて、遠くのものを燃やすことができた。
また、自分たち自身が高い熱を発していることから、辺りの気温を上昇させることもできた。
特にこの気温変化が厄介で、実際の気温と感じる温度をともに引き上げて、複数集まれば季節外れの暑さと熱中症を引き起こす。
そんなゾンビが、ある街の近辺にまで近付いてきていた。
●どこからやってきたのか
そのゾンビがいつどこで発生し、どうやってやってきたのかは分からない。
単なる偶然が連鎖した結果だろうか。
原因を探るには情報が少な過ぎるし、実際に危機に直面しているならば究明よりも対処に努めるべきである。
焼死体ゾンビは八体集まっていた。
同じところで発生したかもしれないし、別々に集まってきたのかもしれない。
街の人間にしてみてれば理由などどうでもよく、このゾンビに対して如何に対処するかの方がよほど重要だ。
そして一番の問題は、街の人間がまだ誰もこのゾンビの存在に気が付いていない点にあった。
ただ、予兆はあった。
●異常気象
秋が深まり冬もそろそろといったこの季節に、その街だけある日酷い季節外れの暑さに見舞われた。
それは、いつの間にか街に近付いてきていた八体の焼死体ゾンビが街の温度を上げていたからだったが、だれもこの時点ではゾンビの存在を見抜けていなかった。
「なあ、何だか暑くないか?」
「この前遅めの台風が過ぎたばかりだし、そのせいだろ」
街ではこのような会話がかなりの頻度で交わされていた。
台風が去った後はかなり暑くなる。
不運なことに、台風一過のせいで気付けるはずだったのゾンビの予兆が、見逃されてしまっていたのだ。
一週間経っても、街はでは異常な暑さが続いていた。
高かった温度はますます上がり、今では真夏並みの温度になっている。
明らかにおかしい。
ほぼ同時期に、ようやく街の外をうろついていた焼死体ゾンビたちが兵士たちに発見された。
一見するとただの雑魔ソンビに見えるということで兵士たちが退治に向かったが、這う這うの体で逃げ帰り、自分たちでは手に負えないと街に報告した。
いわく、あのゾンビはただのゾンビではない。
通常のゾンビとは一線を画した強さを持つ、燃え盛る炎を操る特殊なゾンビであると。
直ちに討伐の依頼が、ハンターズソサエティを通じてハンターに依頼された。
●ハンターズソサエティ
本日も受付嬢が受付業務に従事する中、その一人であるジェーン・ドゥが新しい依頼を公開した。
依頼内容は、異常気象の原因と思われる、街の外をうろつく焼死体ゾンビを駆除して欲しいというものだった。
それは、定義するならば暴食に属するゾンビの一種だといえた。
まるで火事で焼け死んだような黒焦げの身体を持つゾンビだ。
その身体はところどころ赤熱で赤く輝いていて、まるで全身が燃える炭のようだった。
一度戦いとなればその身体は瞬く間に炎を纏い、人間型の歩く火柱と化す。
当然触れることは困難で、下手に近寄れば自分が燃え上がることとなるだろう。
しかし離れていれば安全というわけではない。
彼らは口から燃え盛る胃液を吐いて、遠くのものを燃やすことができた。
また、自分たち自身が高い熱を発していることから、辺りの気温を上昇させることもできた。
特にこの気温変化が厄介で、実際の気温と感じる温度をともに引き上げて、複数集まれば季節外れの暑さと熱中症を引き起こす。
そんなゾンビが、ある街の近辺にまで近付いてきていた。
●どこからやってきたのか
そのゾンビがいつどこで発生し、どうやってやってきたのかは分からない。
単なる偶然が連鎖した結果だろうか。
原因を探るには情報が少な過ぎるし、実際に危機に直面しているならば究明よりも対処に努めるべきである。
焼死体ゾンビは八体集まっていた。
同じところで発生したかもしれないし、別々に集まってきたのかもしれない。
街の人間にしてみてれば理由などどうでもよく、このゾンビに対して如何に対処するかの方がよほど重要だ。
そして一番の問題は、街の人間がまだ誰もこのゾンビの存在に気が付いていない点にあった。
ただ、予兆はあった。
●異常気象
秋が深まり冬もそろそろといったこの季節に、その街だけある日酷い季節外れの暑さに見舞われた。
それは、いつの間にか街に近付いてきていた八体の焼死体ゾンビが街の温度を上げていたからだったが、だれもこの時点ではゾンビの存在を見抜けていなかった。
「なあ、何だか暑くないか?」
「この前遅めの台風が過ぎたばかりだし、そのせいだろ」
街ではこのような会話がかなりの頻度で交わされていた。
台風が去った後はかなり暑くなる。
不運なことに、台風一過のせいで気付けるはずだったのゾンビの予兆が、見逃されてしまっていたのだ。
一週間経っても、街はでは異常な暑さが続いていた。
高かった温度はますます上がり、今では真夏並みの温度になっている。
明らかにおかしい。
ほぼ同時期に、ようやく街の外をうろついていた焼死体ゾンビたちが兵士たちに発見された。
一見するとただの雑魔ソンビに見えるということで兵士たちが退治に向かったが、這う這うの体で逃げ帰り、自分たちでは手に負えないと街に報告した。
いわく、あのゾンビはただのゾンビではない。
通常のゾンビとは一線を画した強さを持つ、燃え盛る炎を操る特殊なゾンビであると。
直ちに討伐の依頼が、ハンターズソサエティを通じてハンターに依頼された。
●ハンターズソサエティ
本日も受付嬢が受付業務に従事する中、その一人であるジェーン・ドゥが新しい依頼を公開した。
依頼内容は、異常気象の原因と思われる、街の外をうろつく焼死体ゾンビを駆除して欲しいというものだった。
リプレイ本文
●まずは……
焼死体ゾンビ達を倒すため、夢路 まよい(ka1328)は今回の依頼を受けた。
「ううん、せっかく涼しい時期に暑苦しい敵が現れたもんだね。もっと寒い時期に、ほどよく暖かくしてくれればいいのに」
戦略としては、誘導で敵を一か所に集めて戦うように心がけるつもりだ。
手分けして見つけ次第振り切らない程度に移動し味方と合流する。
四方を皆でそれぞれ対応するというのが、サクラ・エルフリード(ka2598)の考えだ。
サクラのいる位置へ、各方面から敵を集めてくることになるだろう。
「燃えているゾンビとは……。冬に暖かいのは暖房としてはいいですが、こういう暖かさは勘弁ですね……。こちらの人数も少ないですし、全部まとめて範囲攻撃で殲滅といきましょう……」
静かに準備を進めるフェリア(ka2870)は、依頼の始まりを待った。
「フェリアよ。よろしくね」
待機時間を利用し仲間たちへ自己紹介を済ませ、今回の依頼について考える。
(燃えているならそのまま燃え尽きてくれた方が楽なのですけど。それを待つのも周りの迷惑になりますか。早々に葬った方が良いですね)
魔術師が二人いるので、レイア・アローネ(ka4082)、皆と連携して倒すことにした。
「なんかこれはまた厄介な敵だな……。八体で街の気温を上げるほどの炎とは……。舐めてかかると割と危険だぞ……」
人手があれば個別に撃破した方が街にとっては安全だが、生憎今回は少ない。
強くても知能が低ければ、上手く誘導されてくれるだろう。
時間が来て、ハンターたちは動き出す。
さあ、依頼の始まりだ!
●焼死体ゾンビを滅殺せよ
レイアの体内で、マテリアルが燃焼する。
炎のように身体から吹き出し揺らめくマテリアルが注目を集める。
気付いたゾンビが二体、振り向くとレイアの方へ近付いてきた。
魔導剣は守りを重視して構えておく。
予想通り知能は低そうで、迷いなく寄ってくるため打ち合わせの位置まで誘導するのは簡単そうだ。
四人しかいないので、東西南北に分かれて散らばったハンターたちのうち、まよいはその一つを担当し、ゾンビたちを探した。
幸い焼死体が歩いているのは目立つので、ほどなくして見つけることができた。
集めてもらう間に、サクラも自分でゾンビたちを誘導しにいく。
「燃えるゾンビとは珍しい相手ですが……やはり熱いですね……。ビキニアーマーを着てくれば良かったでしょうか……。でもビキニの焼き痕が付きそうですね、それはそれで……」
被らないように味方の行き先を確かめ、移動した。
フェリアもまた、他の仲間達と同じように外に出て、ゾンビたちを見つけ出して誘導を試みた。
とはいえ、攻撃されるとどうしても当たる可能性が出てしまうため、攻撃されないに越したことはないが。
四人が接敵したのはほぼ同時だった。
防御を固めながら、誘き寄せるまでレイアは無理に攻撃せず後退に徹する。
幸い見た目通りあまり俊敏な動きはできないようで、攻撃を回避するのはそれほど難しくなかった。
「レイアだ。もうすぐ到着する」
通信機でレイアが連絡を入れている頃、まよいが誘導している途中で炎の塊が飛んできた。
「わっ」
反射的にその場を飛び退くと、つい先ほどいた場所に落下し燃え上がる。
回避しているうちはいいものの、当たったら痛そうだ。
できるだけ早く、しかし敵を振り切らない程度の速度でまよいは移動を始めた。
飛んでくる炎の塊を避けながら。
炎避けゲームをさせられているかのようなまよいの姿が遠目に見えた。
サクラもゾンビに対し盾を構えて炎を叩き落とし、防御しながら時間稼ぎをしていたが、その甲斐あってかなり近くまで来ている。
闇の刃を放ち鎮魂歌を奏で、適度に妨害しながら霊槍を投げつけて削りつつ待つ。
放物線を描いて飛んでくる炎の塊を何とか回避し、フェリアは回避し切れないものを聖盾を構えて防いだ。
「……熱いですね」
炎上するほどではないが、攻撃を受け止めた瞬間は温度が上昇するのを肌で感じた。
幸いこれで射程は確かめられたので、できるだけ射程範囲に入らないようにしながら誘い出していく。
なかなか食いつかないようであれば足を止めて撃ち合うことも考えていたが、杞憂に終わる。
地の精霊への交信を中断し、撃ち合いのために構築していた魔法を途中で破棄するべきか少し迷う。
仲間たちの様子を確認したところ、誘導完了はフェリアが最後だったらしく、全員揃っているので攻撃に転じることになった。
どうせなので、組み上げていた魔法をここで発動してしまう。
おそらく飛び道具の応酬になるだろうから、土壁は役に立つだろう。
直撃からの炎上コンボを喰らうのは嫌なので、まずまよいが対抗策を取る。
「穢れし魂 もたらす災禍 精霊の加護にて 幻のものとせん」
まよいの少女らしく高く澄んだ声が響き、合わせて手足が舞いを踊る。
サクラ、フェリア、レイアはまよいの歌と踊りを見聞きして、不思議な活力が湧いてくるのを感じた。
壁役として、レイアがまよいとフェリアを庇うように間合いを詰める。
生体マテリアルを魔導剣に流し込んで魔法剣を発動させると、鋭く息を吐いて踏み込んだ。
突き出した魔導剣が、焼死体ゾンビたちの胴体に突き刺さる。
消滅を見届ける間もなく、その隙に抱き着こうとしてくる他の敵を回避する。
また別の個体が炎の塊をフェリアに吐き出そうとしていたので、レイアは咄嗟にそのベクトルを捻じ曲げた。
不自然な軌跡を描き自分の方へ飛んでくるのを斬り払う。
一瞬の熱を感じた直後、火が巻き起こる。
「サクラ、回復を頼む!」
念のため声をかけつつ、囮役を続けた。
幸い炎はさほど脅威ではない。
まよい自身に飛んできても、攻撃を受け止めることを捨ててしまえば、踊りの動きと合わせて自然と避けてしまう。
その様はまるで、炎が自ら外れていくようだった。
魔法の矢の詠唱が二重にぶれる。
まるで山彦のように遅れてもう一つ詠唱され、合計十本が空中に展開された。
一つ一つにかなりの魔力が込められている。
「いくよっ、大盤振る舞い!」
焼死体ゾンビ目掛け矢が降り注いだ。
多くは倒れたものの、何体かは運よく回避する。
だが既にサクラが後詰として走り出している。
「数が多いなら纏めて攻撃してしまえばよいのです……。聖なる光の衝撃を……セイクリッドフラッシュ……!」
集合した敵の近くへ切り込み、光の波動を放ち衝撃を叩き込んだ。
範囲外で当たらなかったゾンビがフェリアに炎の塊を放つのを見た。
途中から、不自然な軌道で曲がりレイアの方へ向かう。
どうやら彼女が対応したようだ。
「燃えているのは勝手ですが、こちらまで巻き込まないで欲しい所ですね……」
対抗魔法を準備し解き放つ。
レイアを包んでいた火が消えていくのを確認し、サクラは続いて精霊へ祈りを捧げる。
「回復します……。集まってください……。聖なる癒やしを……ヒーリングスフィア……」
仲間に被害が出てから詠唱を始めるのではなく、見越して詠唱できるようにしておくのだ。そうすれば即座に発動できる。
癒しの光が集合した全員を包んだ。
作り出した土壁を盾に、フェリアは攻撃魔法を発動する。
レイアがフォローをしてくれているので、至れり尽くせりだった。
仲間たちの攻撃と合わせ、ゾンビたちは次々倒れていく。
まよいの歌と踊りの支援があることもあり、あっさりとゾンビたちは撃破された。
●寒さが戻ってくる
武器を納めたレイアが息を吐く。
「……なかなか厳しい相手だったな……。とりあえず怪我の治療を頼む」
サクラが癒しの魔法で傷付いた仲間の治療を行った。
まよいとフェリアはいつの間にか暑さでかいていた汗を拭い、敵の消滅を見届けると撤収の準備を始める。
今はまだ焼死体ゾンビたちが残した熱が残っているものの、それもやがて消え元の涼しさが戻ってくるだろう。
もうすぐ本格的な冬がやってくるのだ。
こうして、今回の依頼も無事終了した。
焼死体ゾンビ達を倒すため、夢路 まよい(ka1328)は今回の依頼を受けた。
「ううん、せっかく涼しい時期に暑苦しい敵が現れたもんだね。もっと寒い時期に、ほどよく暖かくしてくれればいいのに」
戦略としては、誘導で敵を一か所に集めて戦うように心がけるつもりだ。
手分けして見つけ次第振り切らない程度に移動し味方と合流する。
四方を皆でそれぞれ対応するというのが、サクラ・エルフリード(ka2598)の考えだ。
サクラのいる位置へ、各方面から敵を集めてくることになるだろう。
「燃えているゾンビとは……。冬に暖かいのは暖房としてはいいですが、こういう暖かさは勘弁ですね……。こちらの人数も少ないですし、全部まとめて範囲攻撃で殲滅といきましょう……」
静かに準備を進めるフェリア(ka2870)は、依頼の始まりを待った。
「フェリアよ。よろしくね」
待機時間を利用し仲間たちへ自己紹介を済ませ、今回の依頼について考える。
(燃えているならそのまま燃え尽きてくれた方が楽なのですけど。それを待つのも周りの迷惑になりますか。早々に葬った方が良いですね)
魔術師が二人いるので、レイア・アローネ(ka4082)、皆と連携して倒すことにした。
「なんかこれはまた厄介な敵だな……。八体で街の気温を上げるほどの炎とは……。舐めてかかると割と危険だぞ……」
人手があれば個別に撃破した方が街にとっては安全だが、生憎今回は少ない。
強くても知能が低ければ、上手く誘導されてくれるだろう。
時間が来て、ハンターたちは動き出す。
さあ、依頼の始まりだ!
●焼死体ゾンビを滅殺せよ
レイアの体内で、マテリアルが燃焼する。
炎のように身体から吹き出し揺らめくマテリアルが注目を集める。
気付いたゾンビが二体、振り向くとレイアの方へ近付いてきた。
魔導剣は守りを重視して構えておく。
予想通り知能は低そうで、迷いなく寄ってくるため打ち合わせの位置まで誘導するのは簡単そうだ。
四人しかいないので、東西南北に分かれて散らばったハンターたちのうち、まよいはその一つを担当し、ゾンビたちを探した。
幸い焼死体が歩いているのは目立つので、ほどなくして見つけることができた。
集めてもらう間に、サクラも自分でゾンビたちを誘導しにいく。
「燃えるゾンビとは珍しい相手ですが……やはり熱いですね……。ビキニアーマーを着てくれば良かったでしょうか……。でもビキニの焼き痕が付きそうですね、それはそれで……」
被らないように味方の行き先を確かめ、移動した。
フェリアもまた、他の仲間達と同じように外に出て、ゾンビたちを見つけ出して誘導を試みた。
とはいえ、攻撃されるとどうしても当たる可能性が出てしまうため、攻撃されないに越したことはないが。
四人が接敵したのはほぼ同時だった。
防御を固めながら、誘き寄せるまでレイアは無理に攻撃せず後退に徹する。
幸い見た目通りあまり俊敏な動きはできないようで、攻撃を回避するのはそれほど難しくなかった。
「レイアだ。もうすぐ到着する」
通信機でレイアが連絡を入れている頃、まよいが誘導している途中で炎の塊が飛んできた。
「わっ」
反射的にその場を飛び退くと、つい先ほどいた場所に落下し燃え上がる。
回避しているうちはいいものの、当たったら痛そうだ。
できるだけ早く、しかし敵を振り切らない程度の速度でまよいは移動を始めた。
飛んでくる炎の塊を避けながら。
炎避けゲームをさせられているかのようなまよいの姿が遠目に見えた。
サクラもゾンビに対し盾を構えて炎を叩き落とし、防御しながら時間稼ぎをしていたが、その甲斐あってかなり近くまで来ている。
闇の刃を放ち鎮魂歌を奏で、適度に妨害しながら霊槍を投げつけて削りつつ待つ。
放物線を描いて飛んでくる炎の塊を何とか回避し、フェリアは回避し切れないものを聖盾を構えて防いだ。
「……熱いですね」
炎上するほどではないが、攻撃を受け止めた瞬間は温度が上昇するのを肌で感じた。
幸いこれで射程は確かめられたので、できるだけ射程範囲に入らないようにしながら誘い出していく。
なかなか食いつかないようであれば足を止めて撃ち合うことも考えていたが、杞憂に終わる。
地の精霊への交信を中断し、撃ち合いのために構築していた魔法を途中で破棄するべきか少し迷う。
仲間たちの様子を確認したところ、誘導完了はフェリアが最後だったらしく、全員揃っているので攻撃に転じることになった。
どうせなので、組み上げていた魔法をここで発動してしまう。
おそらく飛び道具の応酬になるだろうから、土壁は役に立つだろう。
直撃からの炎上コンボを喰らうのは嫌なので、まずまよいが対抗策を取る。
「穢れし魂 もたらす災禍 精霊の加護にて 幻のものとせん」
まよいの少女らしく高く澄んだ声が響き、合わせて手足が舞いを踊る。
サクラ、フェリア、レイアはまよいの歌と踊りを見聞きして、不思議な活力が湧いてくるのを感じた。
壁役として、レイアがまよいとフェリアを庇うように間合いを詰める。
生体マテリアルを魔導剣に流し込んで魔法剣を発動させると、鋭く息を吐いて踏み込んだ。
突き出した魔導剣が、焼死体ゾンビたちの胴体に突き刺さる。
消滅を見届ける間もなく、その隙に抱き着こうとしてくる他の敵を回避する。
また別の個体が炎の塊をフェリアに吐き出そうとしていたので、レイアは咄嗟にそのベクトルを捻じ曲げた。
不自然な軌跡を描き自分の方へ飛んでくるのを斬り払う。
一瞬の熱を感じた直後、火が巻き起こる。
「サクラ、回復を頼む!」
念のため声をかけつつ、囮役を続けた。
幸い炎はさほど脅威ではない。
まよい自身に飛んできても、攻撃を受け止めることを捨ててしまえば、踊りの動きと合わせて自然と避けてしまう。
その様はまるで、炎が自ら外れていくようだった。
魔法の矢の詠唱が二重にぶれる。
まるで山彦のように遅れてもう一つ詠唱され、合計十本が空中に展開された。
一つ一つにかなりの魔力が込められている。
「いくよっ、大盤振る舞い!」
焼死体ゾンビ目掛け矢が降り注いだ。
多くは倒れたものの、何体かは運よく回避する。
だが既にサクラが後詰として走り出している。
「数が多いなら纏めて攻撃してしまえばよいのです……。聖なる光の衝撃を……セイクリッドフラッシュ……!」
集合した敵の近くへ切り込み、光の波動を放ち衝撃を叩き込んだ。
範囲外で当たらなかったゾンビがフェリアに炎の塊を放つのを見た。
途中から、不自然な軌道で曲がりレイアの方へ向かう。
どうやら彼女が対応したようだ。
「燃えているのは勝手ですが、こちらまで巻き込まないで欲しい所ですね……」
対抗魔法を準備し解き放つ。
レイアを包んでいた火が消えていくのを確認し、サクラは続いて精霊へ祈りを捧げる。
「回復します……。集まってください……。聖なる癒やしを……ヒーリングスフィア……」
仲間に被害が出てから詠唱を始めるのではなく、見越して詠唱できるようにしておくのだ。そうすれば即座に発動できる。
癒しの光が集合した全員を包んだ。
作り出した土壁を盾に、フェリアは攻撃魔法を発動する。
レイアがフォローをしてくれているので、至れり尽くせりだった。
仲間たちの攻撃と合わせ、ゾンビたちは次々倒れていく。
まよいの歌と踊りの支援があることもあり、あっさりとゾンビたちは撃破された。
●寒さが戻ってくる
武器を納めたレイアが息を吐く。
「……なかなか厳しい相手だったな……。とりあえず怪我の治療を頼む」
サクラが癒しの魔法で傷付いた仲間の治療を行った。
まよいとフェリアはいつの間にか暑さでかいていた汗を拭い、敵の消滅を見届けると撤収の準備を始める。
今はまだ焼死体ゾンビたちが残した熱が残っているものの、それもやがて消え元の涼しさが戻ってくるだろう。
もうすぐ本格的な冬がやってくるのだ。
こうして、今回の依頼も無事終了した。
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
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面白かった! | 4人 |
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MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/11/16 00:35:18 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/11/16 00:32:04 |