ゲスト
(ka0000)
【初夢】裏生徒会長、サチコ様
マスター:御影堂
オープニング
●
ここは関東近郊にあるクライズ学園。
街をまるごと飲み込む形で存在し、様々な生徒が通っている。異文化交流もとい異世界交流を推奨し、クリムゾンウェストからも多くの学生が通う。
これは、そんなもしかしたらの世界のお話。
クリムゾンウェストとリアルブルーが真に交差し、文化交流を果たした世界。
●
サチコ・w・ルサスールはクライズ学園の生徒会長である。
ただし、裏生徒会の会長である。なんか裏って格好よいよね、という理由で勝手に作った(ここ重要)組織である。
構成員は、彼女一人である。
活動内容は単純明快。困っている人がいれば、助ける。投書箱を私設して、広く相談事を聞き入れる等々。
学園の便利屋と化している。
「はーはっはっは! 私が裏生徒会長のサチコ様ですわ!」
そんなことは気にすることなく、裏生徒会室……と勝手に決めて占拠した教室にサチコはいた。
今日は直々にお会いして、相談したいことがある。そう投書を受けて、部屋で待機していた。なお、相手はまだ現れていない。
今回はどのような依頼だろうと気持ち高ぶり、何度も高笑いをあげていた。そのことは、部屋の片隅に鎮座するダンシングフラワーしか知らないのだ。
「はーはっはっ……ふあっ!?」
訂正しよう。
ドアの隙間からおずおずと覗く顔があった。
入っていいものか微妙な表情を浮かべている。
「コホン。依頼者の方、ですわね? どうぞ、お入りください」
よそ行きの笑顔で取り繕うが、時すでに遅し。
不安な面持ちのまま、依頼者の少女は入ってきた。自己紹介を軽く済ませ、依頼者シスは本題に入った。
まとめると、おおよそ次の通りになる。
学園郊外に位置する旧校舎。石組の西洋風な作りとなっている、その校舎に七不思議の一部が住み着いているというのである。
おそらくは異世界交流の結果、リアルブルーにも影響を及ぼしている歪虚の一種であろう。
一般生徒には手に負えず、かといって生徒会や風紀委員が手出しをする案件でもない。
クリムゾンウェストであれば、ハンターオフィスを通して覚醒者に依頼ができるのだけれど、リアルブルーでは制度が整っていない。
「学生にも、力を持て余している学生は多くいます。是非、力を合わせて倒していただきたいのです」
「あ、はい」
まさかそんな依頼だとは思わず、サチコは思わず、頬をひきつらせた。
確かに知り合いにも、覚醒者はいる。サチコも一応、覚醒者の端くれでもある。
だが、だが、だが……今までの依頼と格が違う。
「報酬は……これぐらいで」
学内通貨で相場相応の額を提示され、サチコは逃げ場を失う。
せっかく築き上げた牙城を今、失う訳にはいかない。
「わ、わかりましたわ。大船に乗った気でいてくださいまし」
「ありがとうございます!」
笑顔のシスに、サチコはそれ以上何も言えないのであった。
●
一転、こちらは生徒会。
本来の学生自治を目指す真っ当な側の生徒会である。
その中央に座るのは誰であろう、依頼者であったはずのシスであった。
「生徒会長。あのまま裏生徒会に仕事を託してよろしいのでしょうか」
「かねてより学生の覚醒者に対する窓口が必要とは、議題に上がっていました。ですが、生徒会が関与しては学生自治に影響しかねない」
政治的判断から、積極的に関与はしてこなかった。
しかし、近年の雑魔を含めた歪虚の動向は気にかかるものがある。
「今回の件、サチコさんが上手くやることができれば窓口として利用すると決めたのは、みなさまでしょう?」
多数決で決まったことに、生徒会長システィーヌは口を挟まない。
粛々と事を運ぶのみである。
「然り」と生徒会役員たちは頷く。
では、失敗した時は?
そのときは、決まっている。裏生徒会という存在はなかったことになるだけだ。
「私は、彼女に期待しています。この学園の生徒なのですから」
いっぺんの曇りもなく、生徒会長はそう言い切るのであった。
窓の外では、人集めにひた走るサチコの姿があるのだった。
●
学園の郊外、旧校舎。
学園の七不思議の一つ、人体模型とガイコツがひしめき合っていた。
ところ狭しと並ぶ人体模型とガイコツは、ガチャガチャと騒がしい。
旧校舎の前に立つ人影……裏生徒会はここに集結した!
ここは関東近郊にあるクライズ学園。
街をまるごと飲み込む形で存在し、様々な生徒が通っている。異文化交流もとい異世界交流を推奨し、クリムゾンウェストからも多くの学生が通う。
これは、そんなもしかしたらの世界のお話。
クリムゾンウェストとリアルブルーが真に交差し、文化交流を果たした世界。
●
サチコ・w・ルサスールはクライズ学園の生徒会長である。
ただし、裏生徒会の会長である。なんか裏って格好よいよね、という理由で勝手に作った(ここ重要)組織である。
構成員は、彼女一人である。
活動内容は単純明快。困っている人がいれば、助ける。投書箱を私設して、広く相談事を聞き入れる等々。
学園の便利屋と化している。
「はーはっはっは! 私が裏生徒会長のサチコ様ですわ!」
そんなことは気にすることなく、裏生徒会室……と勝手に決めて占拠した教室にサチコはいた。
今日は直々にお会いして、相談したいことがある。そう投書を受けて、部屋で待機していた。なお、相手はまだ現れていない。
今回はどのような依頼だろうと気持ち高ぶり、何度も高笑いをあげていた。そのことは、部屋の片隅に鎮座するダンシングフラワーしか知らないのだ。
「はーはっはっ……ふあっ!?」
訂正しよう。
ドアの隙間からおずおずと覗く顔があった。
入っていいものか微妙な表情を浮かべている。
「コホン。依頼者の方、ですわね? どうぞ、お入りください」
よそ行きの笑顔で取り繕うが、時すでに遅し。
不安な面持ちのまま、依頼者の少女は入ってきた。自己紹介を軽く済ませ、依頼者シスは本題に入った。
まとめると、おおよそ次の通りになる。
学園郊外に位置する旧校舎。石組の西洋風な作りとなっている、その校舎に七不思議の一部が住み着いているというのである。
おそらくは異世界交流の結果、リアルブルーにも影響を及ぼしている歪虚の一種であろう。
一般生徒には手に負えず、かといって生徒会や風紀委員が手出しをする案件でもない。
クリムゾンウェストであれば、ハンターオフィスを通して覚醒者に依頼ができるのだけれど、リアルブルーでは制度が整っていない。
「学生にも、力を持て余している学生は多くいます。是非、力を合わせて倒していただきたいのです」
「あ、はい」
まさかそんな依頼だとは思わず、サチコは思わず、頬をひきつらせた。
確かに知り合いにも、覚醒者はいる。サチコも一応、覚醒者の端くれでもある。
だが、だが、だが……今までの依頼と格が違う。
「報酬は……これぐらいで」
学内通貨で相場相応の額を提示され、サチコは逃げ場を失う。
せっかく築き上げた牙城を今、失う訳にはいかない。
「わ、わかりましたわ。大船に乗った気でいてくださいまし」
「ありがとうございます!」
笑顔のシスに、サチコはそれ以上何も言えないのであった。
●
一転、こちらは生徒会。
本来の学生自治を目指す真っ当な側の生徒会である。
その中央に座るのは誰であろう、依頼者であったはずのシスであった。
「生徒会長。あのまま裏生徒会に仕事を託してよろしいのでしょうか」
「かねてより学生の覚醒者に対する窓口が必要とは、議題に上がっていました。ですが、生徒会が関与しては学生自治に影響しかねない」
政治的判断から、積極的に関与はしてこなかった。
しかし、近年の雑魔を含めた歪虚の動向は気にかかるものがある。
「今回の件、サチコさんが上手くやることができれば窓口として利用すると決めたのは、みなさまでしょう?」
多数決で決まったことに、生徒会長システィーヌは口を挟まない。
粛々と事を運ぶのみである。
「然り」と生徒会役員たちは頷く。
では、失敗した時は?
そのときは、決まっている。裏生徒会という存在はなかったことになるだけだ。
「私は、彼女に期待しています。この学園の生徒なのですから」
いっぺんの曇りもなく、生徒会長はそう言い切るのであった。
窓の外では、人集めにひた走るサチコの姿があるのだった。
●
学園の郊外、旧校舎。
学園の七不思議の一つ、人体模型とガイコツがひしめき合っていた。
ところ狭しと並ぶ人体模型とガイコツは、ガチャガチャと騒がしい。
旧校舎の前に立つ人影……裏生徒会はここに集結した!
リプレイ本文
●
クライズ学園校舎、最上階の片隅に裏生徒会室は存在する。
無断使用の教室で裏生徒会長サチコは唸っていた。
「どうしたらよいのでしょう……むぅ」
持ち込まれた旧校舎の化け物退治に対して、思考を巡らす。
「旧校舎の見取り図は、欲しいですねー」
提案する声がして、サチコは顔をあげる。
初等部5年、最上 風(ka0891)だ。
裏会計と書かれた腕章を付けているところからわかるように、裏生徒会の現在唯一のメンバーである。
「それですわ!」
「まずは情報収集ですよ」
風の助言を受けて、早速行動を開始した。
「旧校舎の地図? 一体、何に使うんだ」
疑問を素直に口にした、イレーヌ(ka1372)は読んでいた本を閉じてサチコたちを手伝う。
サチコが依頼のことを話すと、面白そうだとメガネを光らせた。
「そういうことなら、協力しよう」
書棚から取り出した資料を渡し、イレーヌは告げる。
「ついでといっては何だが、裏生徒会にも入らせてもらっていいか?」
「初等部だと、二人目ですわね」
「イレーヌだ。残念だが、私は大学部2年だよ」
見た目は風と変わらないぐらいに見えた。
こうしてイレーヌは、裏書記と書かれた腕章を受け取るのだった。
七不思議の情報を集めにいった風と別れ、イレーヌと校舎を行く。
サチコは、旧校舎に向かうにあたってもう少し仲間が欲しいと思っていた。
「あら、サチコじゃない。こんなところで何をしてるのかしら?」
はたと声をかけてきたのは、クラスメイトのナル(ka3448)だった。
話を聞き終えると、ナルは一つため息を吐いた。
「あなたが放課後に、何処かの教室に残ってるって話を聞いたことはあるけど……」
何をしているのかしら、とナルは呆れ顔になる。
が、それも束の間。
「いいわよ。今からコイントスをして表が出たら、協力してあげる」
「難儀な性格ですわね」
サチコの言葉を流して、投げたコインを手の甲で受け、
「ま、折角の暴れられる機会だし楽しませてもらいましょ」
と見せたコインは表を示していた。
●
「ここが件の旧校舎じゃな」
レーヴェ・W・マルバス(ka0276)の目の前に、石造りの建物が姿を現した。
校庭で勧誘活動をしていたサチコを見つけ、面白そうだと参加してくれたのだ。
普段は鍛冶をやっているという、暇人だった。
とは、表向きの説明。
彼女が協力する、本当の理由。
それは、
「生徒会が舵取りをしたほうがよいと思うのじゃが」
「いろいろあるのだよ、レーヴェっち」
表の生徒会役員の友人から、密かに今回の一件を聞き、お目付け役を頼まれたのだ。
レーヴェとしては、表の生徒会が動いてもいいと思っていた。
「政治の話はよくわからん。今回の件、どう転んでもガイドラインくらい作れ」
そう告げたときの、苦笑する友人の顔が頭に思い浮かぶ。
「で、ここからどうするのじゃ?」
レーヴェの問いを聞いていないのか、サチコは辺りを見渡していた。
「何をキョロキョロしているのですか」
「いや、あの人がそろそろ来るのではないかと」
風に聞かれたサチコが、答えた時だ。
ぎゅむっと柔らかい感触が背中に当たり、ぐっと重みが増した。
「危なっかしいなあ、なんだぞ」
「やはり、来るのですわね」
諦めたようにサチコはため息を吐く。
背中にメンター・ハート(ka1966)が張り付いていた。
「あたしはサチコの頼れるお姉さん。なんだぞ」
「呼んだ覚えはありません、わ。いい加減、どいてください」
力を込めて、メンターを引き離す。
呼ばずともどこかからやって来る、何かとサチコを気にかける大学部生、それが彼女である。
ただし、背丈はサチコとそう変わらなかったりするのだが。
「お手伝いしてくれるのなら、助かりますわ」
メンターと合流してすぐ、目の前にふらっと男子学生が現れた。
貴重な男子学生成分、鈴胆 奈月(ka2802)である。
「面倒事を避けたら、さらに面倒な事に遭遇した……」
サチコ一行を見て、何事かを悟ったのか、奈月は渋面を隠さない。
だが、貴重な男子を逃す訳にはいかない。
と、サチコが思っていたのかどうかはわからないが、仲間にすることにした。
「旧校舎に用があるのですわね? ちょうどいいですわ、手伝ってくださいまし」
実のところ、奈月はサボろうとしていただけである。
だが、それを説明するとより面倒なことになりそうなので、黙ることにした。
「裏生徒会……? 聞いたこともないし、興味もないな」
事情を聞いた奈月が拒否しても、食い下がろうとする。
結局、なし崩し的に付いて行くことになった。
もう、なにもない。
旧校舎が、石の表面を冷たく晒しているのみだ。
さらに近づき、いよいよ乗り込もうした――その時。
「あなた達……この先に行くの? ここは世界の境界線、踏み越えたら元の世界に戻れない……としても?」
なにもないと思っていたところから、不意に声がかかった。
気がつけば、夢路 まよい(ka1328)が一行の中に紛れ込んでいた。
「たとえ同じ景色を見ていても、世界のホントを知る前と後じゃ、まるで違って見えてしまう。知ってしまう、っていうのはそういうことだよ」
何を言っているのだろうか、そうサチコたちは顔に表していた。
警告のように思えるが、今は依頼をこなす必要がある。
事情を説明すると、
「そう……それでも行くっていうんだね」と憂いを帯びた表情を見せる。
「ふふっ、こっち側へようこそ、裏生徒会さん」
一転、旧校舎の扉前に立ってまよいは楽しげに笑みを浮かべた。
「それで、あなたはどこのどなたなのですわ?」と問えば、
「私? 私が誰か、なんて認識に意味はないわ」
微妙に噛み合わない返事がかえってきた。
「だって、記憶なんて夢の産物かもしれないもの。私は私、それだけで充分だよ」
「えと……」
サチコたちが反応に困っていると、まよいは笑みを浮かべた。
「でも呼び方に困るなら……まよい、って呼んで欲しいな」
●
埃っぽさが残る旧校舎の一階をサチコたちは隈なく探索する。
風曰く、「一階にはほとんどいないそうですよ」とのことだった。
一階は風の言葉通りだったので、二階へ向かうとした。
そのときだ。
「このバニー部の敷居を無断で跨ぐ物がいるとはな……」
という声とともに、戦闘音が響いてきた。
慌てて駆け上がった先にいたのは、リズリエル・ュリウス(ka0233)。
駆動音のする刀を振りかざし、闊歩する謎のバニーガールだった。
足元にはチョークで書かれた「しきい」の文字。謎である。
「丁重に『おもてなし』してくれるわっ」
そう告げる彼女の目の前に、幾多もの物体が連なっていた。
いうまでもなく、人体模型&ガイコツどもだ。
「ん、実際に見てみるとまた不気味な光景だな」
イレーヌは観察しつつ、制服のボタンを外す。
覚醒状態へ移行した彼女は、背丈とも学年相応になっていた。
「こんなにうじゃうじゃと何処に居たのかしら」
ナルもスカートの下、太もものホルスターから拳銃を取り出す。
鉄扇を構えたイレーヌとともに、前へ出る。
一方で奈月は、
「それじゃ、頑張れ。僕は邪魔にならないように離れているから」
マテリアルをサチコに与えると、さっと身を引く。
加えて風も、
「やっぱり、先陣を切って突入するのは、会長の役目ですよね?」
サチコの背中をぐっと押す。
逃げ場を封じられ、ハリセン片手にサチコも戦場へ突入するのだった。
「まぁ、こちらは覚醒者揃いなうえに、裏生徒会長もいるからな」
イレーヌは人体模型の攻撃を受け止めながら、不意にそんなことをいう。
衝撃をいなし、逆に利用して転ばすと鉄扇を振り下ろし頭部を破壊する。
「問題はないだろう」とサチコに軽く微笑む余裕すらあった。
「今よ、裏生徒会長」
ナルも蠢く手足をくぐり抜けつつ、サチコに気を配る。
弾幕で作った隙を狙い、サチコが踏み込む。
全力で薙げば、ハリセンも相当の威力になる。
「危ないんだぞ」
サチコに生まれた隙を埋めるように、メンターが盾で防ぐ。
どこから取ってきたのか、警備員が持っている盾をメンターは持っていた。
「誰の何処かは知らないけど、あの人もすごいですわ」
庇われた隙間から、サチコはリズリエルの姿を見ていた。
説明しよう。
バニー部とは、「悪却様」を「おもてなし」する美しきバニー姿を誇る部活である。
なぜ、戦闘系であるのかは「おもてなし」が丁重にお帰りいただくの意を含んでいるからである。
今となっては主将たるリズリエルを残すのみ。旧校舎に封じられた、伝説の部活なのだ。
「七不思議の一つにあった気が……伝説は実在したとタレコミしたらお金になりますかね?」
風が漏らしたように、顧問の引き継ぎすらされなかったので存在自体忘れられていた。
様々な理由、主にバニーボーイの変態力がために、隔離されていたのだ。
「バニー部の凄さ、存分に味わうといいっ!」
封印が解かれたバニー部の秘技が、今、解放される。
ショットアンカーで捉えたガイコツを引き寄せ、ハイヒールで粉砕っ!
そのさまは、まさしく女王ではなく、バニー部主将の名にふさわしい優雅さを伴っていた。
●
「依頼が成功すれば、次もまた依頼が来て、報酬でウハウハの酒池肉林かもですよ?」
後方からは、風が励ましか何かを投げかけつつ、援護していた。
援護と言っても、回復や防御支援なのだが……。
「大丈夫ですよ、死なない限り、しっかりと回復しますよ?」
小さく「……有料ですがね」というつぶやきは、喧騒に掻き消える。
風から少し距離をとって、レーヴェはひたすら射撃に集中していた。
廊下という長いだけの開けた空間は、得意な地形だ。
「まずは気勢を削ぐとするかの」
しっかりの狙いを絞り、人体模型らの下半身を崩す。
足を崩され、動きが団子になったところでヘッドショット。
「おっと、残党がおったようじゃ」
時折、教室や柱の陰から飛び出してくるきかん坊がいる。
そういう輩は、すっぱりと、
「やはりいいのう日本刀」で斬り伏せる。
「あははっ、できそこないの人形は壊しちゃわないとね」
レーヴェが団子状に持っていったところへ、まよいが風刃を撒いていた。
派手に風が吹くが、人体模型やガイコツをなます切りにするだけで建物に被害はない。
ときおり、サチコが巻き込まれそうになっている点を除いては……。
「ファイトー会長ー、頑張ってくださいー。フレーフレー会長ー」
風の声援が虚しく響いていた。
「じゃ、始めますか」
なし崩し的に奈月も戦列に加わる。
自身の運動性能を底上げし、ユナイテッド・ドライブ・ソードを展開。
回収しながら敵を斬り伏せていく。
「たまには、こういうのも悪くない」
どこか楽しんいる雰囲気が滲み出ていた。
奈月の目には、電脳世界の如く、半透明のモニタや敵にカーソルが付いているように見えていた。
ゲームを遊ぶような心地で、空間を制圧する。
「今のここは僕の空間だ。1匹たりとも、逃さない!」
「サチコは一人ではないんだぞ」
唐突にメンターがサチコに語りかける。
「サチコの為に、サチコの力になりたい。そう思っている人は、必ず居るのだ。もしかしたらずっと傍に」
サチコは喧騒に紛れる、メンターの声を聞く。
「だとすれば」
そっと近づいて、ささやくようにメンターは告げる。
「サチコは、彼らを導く、使命があるのかもしれないな」
果たしてその言葉通りとなるか。
親玉っぽい最後の一体へ、ナルが道を開く。
「会長なら、ここで決めなさい」
メンターに護られつつ、サチコは踏み込む。
叩きこまれた一撃は、残っていた頭部を砕くには十分だった。
「ガイコツ……ラーメン屋さんとかに持ち込みで、だし用に買い取ってくれませんかね―」
打算的な風の言葉は虚しく、ガイコツはさらさらと風に流されていった。
戦闘を終え、息を整えるサチコへすーっと近づく影があった。
「うらめしや」という声とともに人体模型の腕が肩に置かれる。
「☆◯×!?」
声にならない悲鳴を上げて、サチコは旧校舎を出るのだった。
「冗談なのに」と呟くイレーヌが腕を拾っていた。
●
「サチコは特別なんだぞ。なぜなら、意思をもって、自分の生き方を選んでいるから」
メンターは去り際、そんなことを言っていた。
「それは、特別なんだぞ」と。
その言葉の意味はなにか。ここは生徒会が所有する教室の一つ。
「ええ。彼女はとても、実に利用価値が高い」
メンターの真の顔、生徒会の監視者としての姿があった。
「彼女には人を惹きつける天性がありますから」
「ゆめゆめ、監視を怠らないように」と釘を刺され、
「すべてはこの学園の為。生徒会に誉を……」と一礼して去る。
彼女と入れ替わるようにして、レーヴェがやってくる。
「すべて終わったのじゃ。さっさとガイドライン作れ」
報告を済ませ、ばしっと言ってのける。
「旧校舎も使わないのなら、解体を……決まったのかの?」
旧交者に関する進言は、使用目的が定まったということで取り下げられた。
話を聞くうちに、レーヴェは難しい顔をするのだった。
旧校舎には、今、裏生徒会の看板が掲げられていた。
「また湧く可能性があるので、裏生徒会関係者以外は立ち入り禁止を、生徒会に打診して、秘密裏に秘密基地代わりにしませんか?」 風がしれっと述べた提案が、そのまま生徒会に受け入れられた形である。
だが、裏生徒会以外にもサボりにくる奈月の姿やバニー部の一室もあったりする。
謎のヴェールに包まれた部活、サボりに適した環境……あぶれ者の巣ではないかという意見は聞こえないことにした。
「繁盛するのは、いいことです」
レーヴェが噂に乗せて、七不思議の顛末や裏生徒会について流したことで依頼がよく舞い込んでいた。
コイントスがよければナルも顔を見せて、依頼を受けてくれる。
バニー部も表舞台で堂々と優雅な姿を晒していた。
「い、忙しいのですわ」
お陰で目が回る忙しさのサチコである。
今日も今日とて書類をぱたぱたと片付けていた時、
「ねぇ」と誰も居ないはずの室内で声がした。
まさか幽霊かと恐る恐る振り返れば、まよいが立っていた。
「私ね、夢を見るの」
唐突に、語りだしたまよいの言葉にサチコは手を止める。
「夢の中の私は別世界のハンターさんで……一緒に戦う仲間に囲まれて」
涼やかな風が窓から吹き込み、紙が舞った。
だが、拾うよりもまよいの声が気になった。
「だから、ホントの私が独りでも平気……そう思ってた、けど」
ふわりとスカートを翻し、まよいは一歩サチコへ近づく。
サチコを見上げながら、まよいは告げる。
「できたら……私のお友達になって、欲しいな」
「もちろんですわ。私は裏生徒会長、サチコですわよ」
柔らかな手をつかむ、ぬくもりはしかと感じられるのだった。
クライズ学園校舎、最上階の片隅に裏生徒会室は存在する。
無断使用の教室で裏生徒会長サチコは唸っていた。
「どうしたらよいのでしょう……むぅ」
持ち込まれた旧校舎の化け物退治に対して、思考を巡らす。
「旧校舎の見取り図は、欲しいですねー」
提案する声がして、サチコは顔をあげる。
初等部5年、最上 風(ka0891)だ。
裏会計と書かれた腕章を付けているところからわかるように、裏生徒会の現在唯一のメンバーである。
「それですわ!」
「まずは情報収集ですよ」
風の助言を受けて、早速行動を開始した。
「旧校舎の地図? 一体、何に使うんだ」
疑問を素直に口にした、イレーヌ(ka1372)は読んでいた本を閉じてサチコたちを手伝う。
サチコが依頼のことを話すと、面白そうだとメガネを光らせた。
「そういうことなら、協力しよう」
書棚から取り出した資料を渡し、イレーヌは告げる。
「ついでといっては何だが、裏生徒会にも入らせてもらっていいか?」
「初等部だと、二人目ですわね」
「イレーヌだ。残念だが、私は大学部2年だよ」
見た目は風と変わらないぐらいに見えた。
こうしてイレーヌは、裏書記と書かれた腕章を受け取るのだった。
七不思議の情報を集めにいった風と別れ、イレーヌと校舎を行く。
サチコは、旧校舎に向かうにあたってもう少し仲間が欲しいと思っていた。
「あら、サチコじゃない。こんなところで何をしてるのかしら?」
はたと声をかけてきたのは、クラスメイトのナル(ka3448)だった。
話を聞き終えると、ナルは一つため息を吐いた。
「あなたが放課後に、何処かの教室に残ってるって話を聞いたことはあるけど……」
何をしているのかしら、とナルは呆れ顔になる。
が、それも束の間。
「いいわよ。今からコイントスをして表が出たら、協力してあげる」
「難儀な性格ですわね」
サチコの言葉を流して、投げたコインを手の甲で受け、
「ま、折角の暴れられる機会だし楽しませてもらいましょ」
と見せたコインは表を示していた。
●
「ここが件の旧校舎じゃな」
レーヴェ・W・マルバス(ka0276)の目の前に、石造りの建物が姿を現した。
校庭で勧誘活動をしていたサチコを見つけ、面白そうだと参加してくれたのだ。
普段は鍛冶をやっているという、暇人だった。
とは、表向きの説明。
彼女が協力する、本当の理由。
それは、
「生徒会が舵取りをしたほうがよいと思うのじゃが」
「いろいろあるのだよ、レーヴェっち」
表の生徒会役員の友人から、密かに今回の一件を聞き、お目付け役を頼まれたのだ。
レーヴェとしては、表の生徒会が動いてもいいと思っていた。
「政治の話はよくわからん。今回の件、どう転んでもガイドラインくらい作れ」
そう告げたときの、苦笑する友人の顔が頭に思い浮かぶ。
「で、ここからどうするのじゃ?」
レーヴェの問いを聞いていないのか、サチコは辺りを見渡していた。
「何をキョロキョロしているのですか」
「いや、あの人がそろそろ来るのではないかと」
風に聞かれたサチコが、答えた時だ。
ぎゅむっと柔らかい感触が背中に当たり、ぐっと重みが増した。
「危なっかしいなあ、なんだぞ」
「やはり、来るのですわね」
諦めたようにサチコはため息を吐く。
背中にメンター・ハート(ka1966)が張り付いていた。
「あたしはサチコの頼れるお姉さん。なんだぞ」
「呼んだ覚えはありません、わ。いい加減、どいてください」
力を込めて、メンターを引き離す。
呼ばずともどこかからやって来る、何かとサチコを気にかける大学部生、それが彼女である。
ただし、背丈はサチコとそう変わらなかったりするのだが。
「お手伝いしてくれるのなら、助かりますわ」
メンターと合流してすぐ、目の前にふらっと男子学生が現れた。
貴重な男子学生成分、鈴胆 奈月(ka2802)である。
「面倒事を避けたら、さらに面倒な事に遭遇した……」
サチコ一行を見て、何事かを悟ったのか、奈月は渋面を隠さない。
だが、貴重な男子を逃す訳にはいかない。
と、サチコが思っていたのかどうかはわからないが、仲間にすることにした。
「旧校舎に用があるのですわね? ちょうどいいですわ、手伝ってくださいまし」
実のところ、奈月はサボろうとしていただけである。
だが、それを説明するとより面倒なことになりそうなので、黙ることにした。
「裏生徒会……? 聞いたこともないし、興味もないな」
事情を聞いた奈月が拒否しても、食い下がろうとする。
結局、なし崩し的に付いて行くことになった。
もう、なにもない。
旧校舎が、石の表面を冷たく晒しているのみだ。
さらに近づき、いよいよ乗り込もうした――その時。
「あなた達……この先に行くの? ここは世界の境界線、踏み越えたら元の世界に戻れない……としても?」
なにもないと思っていたところから、不意に声がかかった。
気がつけば、夢路 まよい(ka1328)が一行の中に紛れ込んでいた。
「たとえ同じ景色を見ていても、世界のホントを知る前と後じゃ、まるで違って見えてしまう。知ってしまう、っていうのはそういうことだよ」
何を言っているのだろうか、そうサチコたちは顔に表していた。
警告のように思えるが、今は依頼をこなす必要がある。
事情を説明すると、
「そう……それでも行くっていうんだね」と憂いを帯びた表情を見せる。
「ふふっ、こっち側へようこそ、裏生徒会さん」
一転、旧校舎の扉前に立ってまよいは楽しげに笑みを浮かべた。
「それで、あなたはどこのどなたなのですわ?」と問えば、
「私? 私が誰か、なんて認識に意味はないわ」
微妙に噛み合わない返事がかえってきた。
「だって、記憶なんて夢の産物かもしれないもの。私は私、それだけで充分だよ」
「えと……」
サチコたちが反応に困っていると、まよいは笑みを浮かべた。
「でも呼び方に困るなら……まよい、って呼んで欲しいな」
●
埃っぽさが残る旧校舎の一階をサチコたちは隈なく探索する。
風曰く、「一階にはほとんどいないそうですよ」とのことだった。
一階は風の言葉通りだったので、二階へ向かうとした。
そのときだ。
「このバニー部の敷居を無断で跨ぐ物がいるとはな……」
という声とともに、戦闘音が響いてきた。
慌てて駆け上がった先にいたのは、リズリエル・ュリウス(ka0233)。
駆動音のする刀を振りかざし、闊歩する謎のバニーガールだった。
足元にはチョークで書かれた「しきい」の文字。謎である。
「丁重に『おもてなし』してくれるわっ」
そう告げる彼女の目の前に、幾多もの物体が連なっていた。
いうまでもなく、人体模型&ガイコツどもだ。
「ん、実際に見てみるとまた不気味な光景だな」
イレーヌは観察しつつ、制服のボタンを外す。
覚醒状態へ移行した彼女は、背丈とも学年相応になっていた。
「こんなにうじゃうじゃと何処に居たのかしら」
ナルもスカートの下、太もものホルスターから拳銃を取り出す。
鉄扇を構えたイレーヌとともに、前へ出る。
一方で奈月は、
「それじゃ、頑張れ。僕は邪魔にならないように離れているから」
マテリアルをサチコに与えると、さっと身を引く。
加えて風も、
「やっぱり、先陣を切って突入するのは、会長の役目ですよね?」
サチコの背中をぐっと押す。
逃げ場を封じられ、ハリセン片手にサチコも戦場へ突入するのだった。
「まぁ、こちらは覚醒者揃いなうえに、裏生徒会長もいるからな」
イレーヌは人体模型の攻撃を受け止めながら、不意にそんなことをいう。
衝撃をいなし、逆に利用して転ばすと鉄扇を振り下ろし頭部を破壊する。
「問題はないだろう」とサチコに軽く微笑む余裕すらあった。
「今よ、裏生徒会長」
ナルも蠢く手足をくぐり抜けつつ、サチコに気を配る。
弾幕で作った隙を狙い、サチコが踏み込む。
全力で薙げば、ハリセンも相当の威力になる。
「危ないんだぞ」
サチコに生まれた隙を埋めるように、メンターが盾で防ぐ。
どこから取ってきたのか、警備員が持っている盾をメンターは持っていた。
「誰の何処かは知らないけど、あの人もすごいですわ」
庇われた隙間から、サチコはリズリエルの姿を見ていた。
説明しよう。
バニー部とは、「悪却様」を「おもてなし」する美しきバニー姿を誇る部活である。
なぜ、戦闘系であるのかは「おもてなし」が丁重にお帰りいただくの意を含んでいるからである。
今となっては主将たるリズリエルを残すのみ。旧校舎に封じられた、伝説の部活なのだ。
「七不思議の一つにあった気が……伝説は実在したとタレコミしたらお金になりますかね?」
風が漏らしたように、顧問の引き継ぎすらされなかったので存在自体忘れられていた。
様々な理由、主にバニーボーイの変態力がために、隔離されていたのだ。
「バニー部の凄さ、存分に味わうといいっ!」
封印が解かれたバニー部の秘技が、今、解放される。
ショットアンカーで捉えたガイコツを引き寄せ、ハイヒールで粉砕っ!
そのさまは、まさしく女王ではなく、バニー部主将の名にふさわしい優雅さを伴っていた。
●
「依頼が成功すれば、次もまた依頼が来て、報酬でウハウハの酒池肉林かもですよ?」
後方からは、風が励ましか何かを投げかけつつ、援護していた。
援護と言っても、回復や防御支援なのだが……。
「大丈夫ですよ、死なない限り、しっかりと回復しますよ?」
小さく「……有料ですがね」というつぶやきは、喧騒に掻き消える。
風から少し距離をとって、レーヴェはひたすら射撃に集中していた。
廊下という長いだけの開けた空間は、得意な地形だ。
「まずは気勢を削ぐとするかの」
しっかりの狙いを絞り、人体模型らの下半身を崩す。
足を崩され、動きが団子になったところでヘッドショット。
「おっと、残党がおったようじゃ」
時折、教室や柱の陰から飛び出してくるきかん坊がいる。
そういう輩は、すっぱりと、
「やはりいいのう日本刀」で斬り伏せる。
「あははっ、できそこないの人形は壊しちゃわないとね」
レーヴェが団子状に持っていったところへ、まよいが風刃を撒いていた。
派手に風が吹くが、人体模型やガイコツをなます切りにするだけで建物に被害はない。
ときおり、サチコが巻き込まれそうになっている点を除いては……。
「ファイトー会長ー、頑張ってくださいー。フレーフレー会長ー」
風の声援が虚しく響いていた。
「じゃ、始めますか」
なし崩し的に奈月も戦列に加わる。
自身の運動性能を底上げし、ユナイテッド・ドライブ・ソードを展開。
回収しながら敵を斬り伏せていく。
「たまには、こういうのも悪くない」
どこか楽しんいる雰囲気が滲み出ていた。
奈月の目には、電脳世界の如く、半透明のモニタや敵にカーソルが付いているように見えていた。
ゲームを遊ぶような心地で、空間を制圧する。
「今のここは僕の空間だ。1匹たりとも、逃さない!」
「サチコは一人ではないんだぞ」
唐突にメンターがサチコに語りかける。
「サチコの為に、サチコの力になりたい。そう思っている人は、必ず居るのだ。もしかしたらずっと傍に」
サチコは喧騒に紛れる、メンターの声を聞く。
「だとすれば」
そっと近づいて、ささやくようにメンターは告げる。
「サチコは、彼らを導く、使命があるのかもしれないな」
果たしてその言葉通りとなるか。
親玉っぽい最後の一体へ、ナルが道を開く。
「会長なら、ここで決めなさい」
メンターに護られつつ、サチコは踏み込む。
叩きこまれた一撃は、残っていた頭部を砕くには十分だった。
「ガイコツ……ラーメン屋さんとかに持ち込みで、だし用に買い取ってくれませんかね―」
打算的な風の言葉は虚しく、ガイコツはさらさらと風に流されていった。
戦闘を終え、息を整えるサチコへすーっと近づく影があった。
「うらめしや」という声とともに人体模型の腕が肩に置かれる。
「☆◯×!?」
声にならない悲鳴を上げて、サチコは旧校舎を出るのだった。
「冗談なのに」と呟くイレーヌが腕を拾っていた。
●
「サチコは特別なんだぞ。なぜなら、意思をもって、自分の生き方を選んでいるから」
メンターは去り際、そんなことを言っていた。
「それは、特別なんだぞ」と。
その言葉の意味はなにか。ここは生徒会が所有する教室の一つ。
「ええ。彼女はとても、実に利用価値が高い」
メンターの真の顔、生徒会の監視者としての姿があった。
「彼女には人を惹きつける天性がありますから」
「ゆめゆめ、監視を怠らないように」と釘を刺され、
「すべてはこの学園の為。生徒会に誉を……」と一礼して去る。
彼女と入れ替わるようにして、レーヴェがやってくる。
「すべて終わったのじゃ。さっさとガイドライン作れ」
報告を済ませ、ばしっと言ってのける。
「旧校舎も使わないのなら、解体を……決まったのかの?」
旧交者に関する進言は、使用目的が定まったということで取り下げられた。
話を聞くうちに、レーヴェは難しい顔をするのだった。
旧校舎には、今、裏生徒会の看板が掲げられていた。
「また湧く可能性があるので、裏生徒会関係者以外は立ち入り禁止を、生徒会に打診して、秘密裏に秘密基地代わりにしませんか?」 風がしれっと述べた提案が、そのまま生徒会に受け入れられた形である。
だが、裏生徒会以外にもサボりにくる奈月の姿やバニー部の一室もあったりする。
謎のヴェールに包まれた部活、サボりに適した環境……あぶれ者の巣ではないかという意見は聞こえないことにした。
「繁盛するのは、いいことです」
レーヴェが噂に乗せて、七不思議の顛末や裏生徒会について流したことで依頼がよく舞い込んでいた。
コイントスがよければナルも顔を見せて、依頼を受けてくれる。
バニー部も表舞台で堂々と優雅な姿を晒していた。
「い、忙しいのですわ」
お陰で目が回る忙しさのサチコである。
今日も今日とて書類をぱたぱたと片付けていた時、
「ねぇ」と誰も居ないはずの室内で声がした。
まさか幽霊かと恐る恐る振り返れば、まよいが立っていた。
「私ね、夢を見るの」
唐突に、語りだしたまよいの言葉にサチコは手を止める。
「夢の中の私は別世界のハンターさんで……一緒に戦う仲間に囲まれて」
涼やかな風が窓から吹き込み、紙が舞った。
だが、拾うよりもまよいの声が気になった。
「だから、ホントの私が独りでも平気……そう思ってた、けど」
ふわりとスカートを翻し、まよいは一歩サチコへ近づく。
サチコを見上げながら、まよいは告げる。
「できたら……私のお友達になって、欲しいな」
「もちろんですわ。私は裏生徒会長、サチコですわよ」
柔らかな手をつかむ、ぬくもりはしかと感じられるのだった。
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【企画】制服PP 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/01/07 22:45:53 |
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打ち合わせ卓 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/01/07 07:35:53 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/02 18:52:23 |