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  • 陶曲

【郷祭】【陶曲】精霊と氷の巨人

マスター:大林さゆる

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~4人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2018/12/06 07:30
完成日
2018/12/11 23:46

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 今年の郷祭も、そろそろ終わりになる時期だった。
 街道を、ゆっくりと走る馬車が一台。荷台には、収穫した野菜が入った木箱が並んでいた。
「もう少しで、ヴァリオスの街並みが見えてくるな」
 馬車の御者をしていた魔術師スコットが、もう少しで目的地に辿り着くと思っていた頃。
 前方の街道から、何やら足音が響いてきた。
 人のモノではない。巨体が大地を踏み鳴らす音だ。
「あれは……アイスゴーレムだ!」
 馬車を停め、スコットは杖を構えると、ファイアーボールを放った。アイスゴーレムに命中してダメージを与えることができたが、巨人を足止めすることはできなかった。
 護衛に参加していたハンターたちが、アイスゴーレムを足止めしようと追いかける。
「サファイアの精霊さんが、追いかけられてるの?!」
 同行していたラキ(kz0002)は、アイスゴーレムの背後まで接近することができたが、さらに前方を見れば女性の姿をした精霊が逃げるようにヴァリオスに向かっていた。
『どうしよう……このまま街に向かえば、人間たちを巻き込んでしまう』
 サファイアの精霊は、街道から外れた森林へと入りこんだ。
 アイスゴーレムが精霊を追いかけ、木々を薙ぎ倒していく。それを見た精霊は、悲しそうな表情をしていた。
『ああ、植物たちまで、巻き込んでしまったわ……どうすれば……』
 命あるモノを踏み潰していくアイスゴーレム。
「もしかしたら嫉妬の眷属? サファイアの精霊さんを助けないとね!」
 ラキが、ハンターたちのフォローに廻った。
 アイスゴーレムは、背後にいるハンターたちの動向には気にも留めず、ひたすら精霊を追いかけていた。
 このままアイスゴーレムを野放しにしておけば、精霊だけでなく、ヴァリオスまで襲撃を受ける恐れもある。
 それだけではない。周囲の森林までも、破壊されてしまうだろう。草木を愛する者ならば、放置しておけない依頼でもあった。
「どんな理由があろうとも、状況を悪化させることだけは避けたいね」
 ラキの言葉に、頷く者もいた。
 果たして、ハンターたちはアイスゴーレムを倒し、サファイアの精霊を救い出すことができるのだろうか?

リプレイ本文

 ヴァリオスへ向かう道中。
「フィロさん、すまない。俺は馬車の荷物を守るのに精一杯だ」
 魔術師スコットがそう告げると、フィロ(ka6966)は重魔導バイク「バビエーカ」に騎乗し、アイスゴーレムの背後まで駆け抜けていく。
「スコット様、荷台の荷物を守るのですね。こちらはお任せください」
 木々を避けながら、バイクを走らせるフィロ。
「やれやれ、世間はお祭りムードだというのに、働き者がいたとはな」
 アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)は、すでにアイスゴーレムの前方に廻り込んでいた。『飛花・焔』の残像を纏ったアルトが『踏鳴』で駆け寄り、試作法術刀「華焔」の『散華』によって、すれ違いざまにアイスゴーレムを斬り裂き、さらに『アフターバーナー』を繰り出した。
 凄まじいダメージを受けるアイスゴーレムだが、その巨体はアルトを見下ろすように立ち塞がっていた。
「雑魚ではない……ようだが、自然破壊されては、精霊だけでなく近隣の住人も困るだろうし、やはり倒した方が良い相手ではあるな」
 アルトの超人的な攻撃を受ければ、その一撃で消滅することもあるが、アイスゴーレムは自然発生した雑魔ではなかった。
「サファイアの精霊さん、こっちだよ!」
 ラキ(kz0002)がアクセルオーバーで加速して移動……精霊を誘導して、その場から少し離れることができた。
「ラキちゃん、まだ危険だから、油断しないでね」
 アリア(ka2394)はアルトの後に続き、『瞬脚』を発動させ、スペルブーツ「アウダクス」を駆使した『ランアウト』で加速して、アイスゴーレムの近くまで駆け寄ることができた。
 ラキの『精霊を助けたい』という想いを、アリアは叶えたかった。
 その想いを実現させるためにも、行動あるのみだ。
「まずは、アイスゴーレムを足止めしねーとな」
 ジャック・エルギン(ka1522)が後方からロングボウ「レピスパオ」を構えて『制圧射撃』を放った。アイスゴーレムを狙った矢が命中し、敵は行動不能になった。
「さすが、ジャック! さあ、精霊さん、今のうちに、ここから離れよう」
 ラキが精霊を連れて、およそ16メートル離れることができた。ジャックに頼まれたこともあり、ラキは精霊を守ることを優先していた。
「ラキ様と精霊様はご無事のようですね。でしたら、片付けてしまいましょう」
 アイスゴーレムに接近したフィロが、星神器「角力」の『鹿島の剣腕』を起動させ、『鎧徹し』の連撃を繰り出した。ダメージを受けるアイスゴーレムだが、武器やアイテムを装備していなかったこともあり、フィロのソードブレイカーは発動しなかった。
 とは言え、かなりのダメージを受けているはずのアイスゴーレム。まだ倒れる様子はなかった。
「もしや、カッツォ様の配下でしょうか……ただのゴーレムにしては動きだけなく、何か意図的なものも感じられます」
 フィロは、直感的にそう思った。
「だとしたら、ここで倒した方が良いよね」
 アリアは『アクセルオーバー』を駆使した加速移動でアイスゴーレムの脚に接近し、敵の両脚を潜り抜けると『部位狙い』で関節部をテルハールナイフで突き刺した。
「後ろが、お留守だぜ!」
 ジャックがバスタードソード「アニマ・リベラ」による『渾身撃』を叩き込み、アイスゴーレムは警戒を付与されていた。
 アイスゴーレムは身動きが取れるようになり、アルトたちに『突撃』を仕掛けるが、警戒を付与されていたこともあり全て回避されてしまった。
「フィロさんの言うように、カッツォの配下ならば、遠慮なく破壊させてもらおうか」
 アルトの冷徹な攻撃が炸裂する。『飛花・焔』の残像を纏ったアルトは、『踏鳴』の反動を活かした『散華』によって、すれ違いざまにアイスゴーレムを試作法術刀「華焔」で斬り裂き、『アフターバーナー』の連撃が放たれた。アイスゴーレムの両脚が粉々に飛び散り、胴部から上半身だけが残っていた。
 その隙に、ラキは精霊を連れて、さらに14メートル離れることができた。
『こちらラキ、精霊さんを誘導することができたよ』
 ジャックから借りた魔導短伝話を使い、ラキが報告する。
「こちらエルギン、今回のアイスゴーレム、割としぶといぜ。もう少し離れた方が良いかもな」
 タクティカルヘッドセットで応答するジャック。
『了解。精霊さんに聞きたいことがあるけど、まずは安全第一だよね』
 ラキは精霊に呼びかけ、さらにアイスゴーレムから離れることにした。
 その判断は、正しかったようだ。
 上半身だけが残ったアイスゴーレムが、ジャックに狙いを定めて『突撃』してきたのだ。
「たくっ、器用なゴーレムだな。これ以上、木々が乱雑に薙ぎ倒されると、木こりのおっちゃんたちが困るんだよ」
 バスタードソード「アニマ・リベラ」で敵の攻撃を受け止めるジャック……『カウンターアタック』に上乗せした『カウンターバースト』の反撃が繰り出された。アイスゴーレムの胴部が砕け散り、両腕も飛び散っていくが、頭部だけで残っているではないか。
「頭だけ残っていても、攻撃をしかけてくるかもな」
 ジャックは、アイスゴーレムが魔法を使って攻撃をしかけてくるのではと予想していた。
 重魔導バイク「バビエーカ」から飛び降りたフィロが、星神器「角力」による『鎧徹し』をアイスゴーレムの頭部に叩き込んだ。その衝撃により、敵の頭部は砕け散り、その場から消滅していった。



「聖輝節を独り身で過ごす寂しいゴーレムにアタックでもされたのか?」
 軽口を叩くジャックに、サファイアの精霊は頬を膨らませた。
『ジャックったら、久し振りに会ったのに、それを聞く訳?』
 怒った振りはしていても、サファイアの精霊はジャックの側から離れようとはしなかった。
 まだ不安要素が残っていたからだ。
 アイスゴーレムを倒した後、ラキとアリアが森林の中を偵察していた。
「アリアちゃん、そろそろ戻ろっか。ジャックたちが心配してるかもしれないからさ」
 小さく頷くアリア。
「そうだね。精霊さんからも話が聞きたいしね」
 そして、ジャックたちの所に戻ってきた。
「周囲を偵察してみたけど、嫉妬の歪虚は見当たらないよ」
 フィロは、アイスゴーレムが消滅した場所で、核のような部品が落ちていないか探し回っていたが、それらしい物を発見することができなかった。それは幸いでもあった。
 サファイアの精霊は、緊張が解けたのか、安堵の溜息をついた。
『皆さん、助けてくださって、ありがとう』
「精霊様、お名前を窺っても、よろしいでしょうか?」
 フィロの問いに、サファイアの精霊が微笑む。
『シェリィと呼ばれていたこともあったわ。昔、人間の子供たちが、私に名前を付けてくれたの』
「ではシェリィ、と呼ぶことにしよう。早速で申し訳ないが、聞きたいことがある。同盟では、嫉妬の眷属が動き回っているらしいが、何故、アイスゴーレムに追われていたんだ?」
 アルトの率直な疑問に、ジャックが何やら閃いた。
「精霊は、それぞれの鉱山でマテリアルの流れを監視してくれてたはずだ。まさか、また山脈の遺跡に歪虚が現れたのか?」
『カッツォに占拠された遺跡のこと、覚えてるかしら? ヤツが姿を消してからも、用心のため、遺跡の周辺を監視していたのだけど、また現れたのよ……カッツォ・ヴォイが』
 シェリィは、そのことを魔術師協会広報室の魔術師スコットに知らせようとしたのだが、カッツォに目を付けられ、その後、アイスゴーレムが追ってきたと話してくれた。
「カッツォ、また何か企んでいるのかもね」
 アリアは普段は見せない厳しい眼差しをしていた。
「カッツォ様がリアルブルーから、この地に戻ってきたとも考えられますね。山脈の遺跡は、まだ調査中だと噂で聞きましたが、どこまで判明しているのでしょうか?」
 首を傾げるフィロ。
『入口だと思っていた場所が、入口ではなかったのよ。カイゼルから聞き出した【合言葉】が必要な入口は、扉が閉まっているはずだから、別の場所にある可能性もあるから』
 シェリィが応えた。
 カイゼルとは、トパーズ精霊のファースト・ネームだ。遺跡内部へと入るために必要な合言葉を忘れていたカイゼルのため、宴を行ったことがあったが、ハンターたちが上手く聞き出したことにより、カイゼルは【合言葉】を思い出すことができたのだ。
 ジャックは思案した後、こう告げた。
「そういや、山脈の遺跡でカッツォと戦った時、入口にしては妙な形してたよな。人間が入るには、デカ過ぎっつーか……本来の入口は別にあるってことか」
『ええ、私もそう思っていたわ。大きな入口は、巨人のために作られたような……そんなイメージね』
 シェリィの言葉に、アルトが呟く。
「……巨人が出入りできそうな大きさか。気になるな」
 サファイアの精霊シェリィが、ハンターたちの前に姿を現したのは、カッツォからの新たな挑戦状でもあった。
「追っ手にアイスゴーレムを使うなんざ、見つけてくださいって言ってるのも同然だぜ」
 ジャックが力強く拳を握りしめた。
 同盟に、新たな不穏な動きが流れていた。
 白い仮面の男は、着実に準備を進めていたのだ。

 ……冷たい風だ。
 何かが、起ころうとしていた。

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MVP一覧

  • 未来を示す羅針儀
    ジャック・エルギンka1522

重体一覧

参加者一覧

  • 未来を示す羅針儀
    ジャック・エルギン(ka1522
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
  • 愛おしき『母』
    アリア(ka2394
    人間(紅)|14才|女性|疾影士
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • ルル大学防諜部門長
    フィロ(ka6966
    オートマトン|24才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ジャック・エルギン(ka1522
人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2018/12/06 07:17:27
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/12/03 20:26:45