ゲスト
(ka0000)
【CF】ト・ク・べ・ツうぇるかむパーティ
マスター:ラゑティティア
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/12/06 09:00
- 完成日
- 2018/12/11 14:16
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
リアルブルーの人々が転移した事を受け、冒険都市リゼリオでは、部族会議主催の『ウェルカムパーティ』が開催されることとなった。
華やかな飾りと豪華な料理の数々……
シャンデリアの下、初対面の相手と一夜かぎりのダンスを踊ったりして……
そんなさまざまな期待と共に、一同はハンターオフィスの受付嬢に参加希望を出した。
が。
一同が案内された先は、倉庫らしき場所だった。
外に飾り一つないところから嫌な予感がしたが、それは的中した。
中に入ると、やはり内部はただの倉庫だった。
水や酒樽、果物の木箱などが積まれているかと思えば、奥には農具なども見える。
「この倉庫を自由に使ってください」
受付嬢から指示を受け、この場所まで連れてきてくれた案内嬢は、その一言だけを残して帰って行った。
自由に使ってください……
はじめからそういうつもりだったという事か。
パーティにわくわくしていて寒さを忘れていたハンター達。
今ではすっかり冷たい風がその身に染みていた……
華やかな飾りと豪華な料理の数々……
シャンデリアの下、初対面の相手と一夜かぎりのダンスを踊ったりして……
そんなさまざまな期待と共に、一同はハンターオフィスの受付嬢に参加希望を出した。
が。
一同が案内された先は、倉庫らしき場所だった。
外に飾り一つないところから嫌な予感がしたが、それは的中した。
中に入ると、やはり内部はただの倉庫だった。
水や酒樽、果物の木箱などが積まれているかと思えば、奥には農具なども見える。
「この倉庫を自由に使ってください」
受付嬢から指示を受け、この場所まで連れてきてくれた案内嬢は、その一言だけを残して帰って行った。
自由に使ってください……
はじめからそういうつもりだったという事か。
パーティにわくわくしていて寒さを忘れていたハンター達。
今ではすっかり冷たい風がその身に染みていた……
リプレイ本文
●丸投げされたハンター達
「……マジか?」
傾き始めている光だけが頼りの、土臭いおんぼろ倉庫。
どこをどう見てもパーティ会場には見えず、呆然としたトリプルJ(ka6653) が内心の声をもらす。
「臨時にパーティ運営、ですか。これは随分と無茶なお話ですね」
困った商談相手を目の前にしているような気分になりつつも、鈴木一郎(ka7361)は顎に手をあてた。
(まずは必要な材料を列挙。
クリスマスツリーの製作、クリスマスケーキを含む料理、パーティ開催の告知……)
彼の頭の中で、パーティ準備の段取りが組み立てられ始めたらしい。
「これは、また……」
フィロ(ka6966)も、いろんな意味で重い足で倉庫内を確かめている。
そしてある程度状況を把握するとその足が止まる。
「分かりました、最大限善処させていただきます」
顔を引き締め一礼。
なんだろう、覚悟を感じる。
「宴、ですね。私に何ができるのかは分かりませんが……
人をもてなす心を大切にしなければなりませんね」
春陰(ka4989)は絶望に浸ることなく、静かに考えをめぐらせていた。
だが、その瞳は少々虚空を彷徨っている。
じつは彼はまだ、聖輝節を理解できていない。
「後で覚えてやがれ……!」
シレークス(ka0752)は豊満な肉体の前で、ひときわ熱く拳を作っていた。
思い出すのは、自分達に倉庫を丸投げして去って行った後ろ姿。
やがて、腹黒いことでも考えていそうな穏やかな微笑みが浮かんでいた。
●準備するハンター達
「だぁーもう! と、とにかく、この状況をどうにかしねーと!」
とにもかくにも時間がないので、殺風景な状況をどうにかするべく行動を開始しようとするシレークス。
すかさず鈴木が口を挟む。
「担当を明確化しませんか」
「なるほど、確かにその方が分かりやすいですね」
春陰は頷き、自分ができることを考える。
「そうですね……冒険都市リゼリオを訪れる市民に、宴の存在を知らせる告知を準備します。
毛筆で違和感あると気を惹けないでしょうか」
「とにかく、急いで場を整えねーと……!!」
シレークスは倉庫内の整理整頓のことで頭がいっぱいのようだ。
「俺様はちょっくらオフィスまで戻って必要な物を大量に強奪してくるぜ」
にやりと笑うトリプルJ。
「倉庫内の片付けをお手伝いした後、飾りや食料等の買い出しに行って参ります」
フィロの報告まで一通り聞くと、ひとまず、鈴木が心配していた分部の抜けはなさそうだ。
「私はパーティ開催の告知をメインに行います。よろしくお願い致します」
最後に鈴木自身の行動の確認も終わり、ハンター達はいざ行動を開始。
「あぁーもう、今夜はたっぷり楽しく飲む為に、気張りやがりますよ……!!」
「水や酒樽や果物はパーティに使っちまうとして……農機具は駄目だろ……」
トリプルJのぼやきが聞こえ、ちょうど同じことを考えていたシレークスは、自慢の筋力に剛力状態も付与し力仕事を始める。
農具等の土臭かったり不衛生だったりする木箱もどんどん移動させて大掃除!
その勢いには元軍人のトリプルJも目を丸くする。自分と同じ小麦色の肌がまぶしい。
トリプルJやフィロも、負けじと怪力無双を使用して荷物運びを始めた。
「パーティに使用しない物や見せられない物は、1か所に集めて布を被せて隠しませんか?」
「端に集めてシーツでもかけるか。
壁にもシーツを釘で打ちつけたいんだよなあ……」
「倉庫の雰囲気を変えるのですね」
「ご名答」
力仕事のできる3人がテキパキ動いたため、あっという間に机を置けるスペースがみえてくる。
フィロは火災が起こった際に備え、消火用の水を入れた樽を何個も準備し、さり気なく置いた。
「立食用の机が足りない時はこの大樽で代用もできます。
これなら簡単には動きませんし、いざという時の実用に使えますから」
その説明を受け、シレークス達が「おおー」と感嘆の声を上げる。
「それは便利でやがります!」
「それと、お食事の用意についてですが、換気機能がない倉庫で調理をすると匂いがこもって酷いことになります。
時間も迫っていますし、料理作成自体諦めた方が良いかと思いますが。
洗い場の問題もありますので」
筆を持って告知制作にとりかかっていた春陰は、それを聞いてハッとする。
彼の顔色をフィロがのぞき込んだ。
「春陰様、どうかされましたか?」
「あ、いえ……可能なら東方流に餅や餡子を使ったお菓子を子供達と共に作成したいと思っていたので」
「だったらどっかで厨房を借りて、あらかじめ作った菓子をイベントでふるまえばいいんじゃねえか?」
言いながらのノリで、トリプルJのたくましい腕が春陰をガシっと捕まえる。
「お菓子ですか、皆様に喜ばれそうな企画ですね。
煮たりする物があれば、あらかじめ厨房で作っておいて、それを包んだり盛りつけたり、仕上げの部分を子供達と楽しむという方法もありそうですが」
一緒に告知制作を行っていた鈴木も、絶妙なタイミングで案を出す。
春陰は仲間の意見を参考に対策を考えることにした。
「他に必要なのはテーブルとイス、ツリーとモールくらいだよな?」
トリプルJの脳内にある強奪リストに必要な物が追加されていく。
「照度不足も感じるので、オフィスで懐中電灯を借りませんか?
紙でカーラーっぽく巻けば誤魔化せるかと」
「ランプでもいいと思うがな……両方用意するか」
「問題ありません。今回の準備にかかった費用はオフィスにつけておきます」
「分かってるじゃねぇか」
「恐れ入ります」
トリプルJはおもしろそうに笑い、フィロは静かに会釈を返した。
そんな会話の隣で、鈴木は企画のアイデアを広げている。
春陰が気になって彼の手元に目を落とすと、順調にカリカリと手書きの告知が作られている。
色彩鮮やかながらシンプルなデザインだ。
『聖なる夜を、あなたは誰と過ごしますか?』と、カップルや子供など他の顧客を連れてくる可能性のある人達に重点的にアピールしている。
「歌の機会もあると良いと思うのですが」
「そうですね」
春陰の同調を聞きながら、聖輝節の曲を歌う機会があることを匂わせる文章を書き加える。
「部族会議主催と聞いていますし、予算を持っていただけるのでしたらプレゼントがもらえるゲーム大会はどうでしょうか。問題がなければビンゴ大会などで」
次々と出てくる企画に、一同は『プロがいる』と言いたげに鈴木を見つめるのだった。
その後頃合いを見計らい、トリプルJはオフィスへ、フィロは飲食物の購入へ、春陰と鈴木は告知の配布へと出かけて行った。
倉庫に残ったシレークスは、やはり力仕事。
隙間風等が吹き込まぬよう塞いで回り、それが終わると今度は机として活用できる木箱を選んで適度に並べ、たまたま倉庫で数枚見つけた綺麗な布を被せ、水や酒の入った樽や果物が詰まった木箱を1か所に並べ、セルフ形式の飲食物スペースを確保。次は工具や使える木材などを探し、日曜大工の知識で簡素な看板や椅子などを拵えに……
「ったくもぉ、聖職者扱き使いやがって!」
彼女が叫んだ相手は、自分達に倉庫を丸投げして去って行ったあの後ろ姿。
●ト・ク・ベ・ツパーティ開催
すべての準備が整った時、外はすっかり暗闇だった。
しかし、パーティ会場の入り口には、しっかりとツリーや看板が備えられている。
会場内にはハンター達がせっせと用意して並べた机や椅子が並び、トリプルJが倉庫っぽさを隠したシーツとモールの壁や、フィロがバイクで往復して用意した料理の数々もずらり。
ランプや一工夫された懐中電灯も用意され、聖輝節らしさを演出してくれていた。
春陰と鈴木コンビの告知配布もうまくいき、たくさんの子供連れやカップルが集まってくれた。
その中には、シレークスの希望で招待された特別客の姿も……。
そう、自分達に倉庫を丸投げして行った、あの人である。
「お招きいただき、ありがとうございます。
さっきも驚きました。
いきなりトリプルJさんがオフィスに来られて、何にもなしで準備できるわけねぇだろおがよ! って」
身に覚えがある本人は聞こえているのかどうなのか、酒をぐびっと飲み干している。
どうやらオフィスでは、周りのハンター達も何事だと騒ぐ目立ちぶりだったらしい。
「それより酒を飲めぇですっ!」
シレークスは自分と同じように酒を持たせ、
「よぉし、野郎共っ♪ 飲めや歌えの大騒ぎでやがりますよっ!」
酒を片手に、妙に盛り上がる。
日中の頑張った分もあるだろうが、どうやらこの特別客を酔い潰すことも視野に入れているようだ。
酒好きなシレークスにかなうはずもなく、相手はすぐにギブ~な状態になったが、さらにその姿を見つけて近づいてきたフィロからは準備にかかった金額の請求も受け、とどめを刺されていた。
鈴木が告知で匂わせていた歌の企画も、会場の一体化にとても貢献した。
開催したビンゴ大会も大好評。
リアルブルー製の玩具やカップル向けの指輪などが当たったと、喜びの声が上がっている。
鈴木は少しほっとした様子でその様子を見守っていた。
(時間が足りない為に十分とは言えませんでしたが、皆様の思い出になればありがたいですね)
そんなことを考えていた時、ビンゴで玩具を当てた母親と子供の姿が目に留まる。
「おかあさん、このプレゼントだれが用意したの?」
子供の質問は容赦がない。
母親は一瞬考えていたが、すぐにまた笑顔に戻る。
「もちろんサンタさんよ」
「すげー! 明日ともだちに見せびらかしてもいい!?」
大興奮する子供の姿を見ると、サンタクロース鈴木の名刺も必要になるかもしれない、などとちょっと考えてしまった鈴木であった。
春陰も仲間の協力もあり、なんとか厨房を借りることができた。
無事にある程度準備を終わらせ、子供達と一緒にお菓子作りの最終段階にとりかかっている。
「うわぁ、このあんこおいしい!」
「あぁ~! つまみぐいしてるぅ!」
とても賑やかしいイベントになってしまっているが、そんなやりとりを聞きながら不格好のお菓子ができていくのも、なんとも微笑ましい。
春陰は何かを感じとっているように表情を和らげていたが、ふと手を止め、改めてゆっくりと会場内を見渡した。
「この宴には、夢があります。ならば、その夢を壊してはいけませんね。
宴を楽しむ子供達も、愛する男女も……」
誰にも聞こえない独り言。
彼がどこまで聖輝節を理解できたのかは――――彼のみぞ知る。
「……マジか?」
傾き始めている光だけが頼りの、土臭いおんぼろ倉庫。
どこをどう見てもパーティ会場には見えず、呆然としたトリプルJ(ka6653) が内心の声をもらす。
「臨時にパーティ運営、ですか。これは随分と無茶なお話ですね」
困った商談相手を目の前にしているような気分になりつつも、鈴木一郎(ka7361)は顎に手をあてた。
(まずは必要な材料を列挙。
クリスマスツリーの製作、クリスマスケーキを含む料理、パーティ開催の告知……)
彼の頭の中で、パーティ準備の段取りが組み立てられ始めたらしい。
「これは、また……」
フィロ(ka6966)も、いろんな意味で重い足で倉庫内を確かめている。
そしてある程度状況を把握するとその足が止まる。
「分かりました、最大限善処させていただきます」
顔を引き締め一礼。
なんだろう、覚悟を感じる。
「宴、ですね。私に何ができるのかは分かりませんが……
人をもてなす心を大切にしなければなりませんね」
春陰(ka4989)は絶望に浸ることなく、静かに考えをめぐらせていた。
だが、その瞳は少々虚空を彷徨っている。
じつは彼はまだ、聖輝節を理解できていない。
「後で覚えてやがれ……!」
シレークス(ka0752)は豊満な肉体の前で、ひときわ熱く拳を作っていた。
思い出すのは、自分達に倉庫を丸投げして去って行った後ろ姿。
やがて、腹黒いことでも考えていそうな穏やかな微笑みが浮かんでいた。
●準備するハンター達
「だぁーもう! と、とにかく、この状況をどうにかしねーと!」
とにもかくにも時間がないので、殺風景な状況をどうにかするべく行動を開始しようとするシレークス。
すかさず鈴木が口を挟む。
「担当を明確化しませんか」
「なるほど、確かにその方が分かりやすいですね」
春陰は頷き、自分ができることを考える。
「そうですね……冒険都市リゼリオを訪れる市民に、宴の存在を知らせる告知を準備します。
毛筆で違和感あると気を惹けないでしょうか」
「とにかく、急いで場を整えねーと……!!」
シレークスは倉庫内の整理整頓のことで頭がいっぱいのようだ。
「俺様はちょっくらオフィスまで戻って必要な物を大量に強奪してくるぜ」
にやりと笑うトリプルJ。
「倉庫内の片付けをお手伝いした後、飾りや食料等の買い出しに行って参ります」
フィロの報告まで一通り聞くと、ひとまず、鈴木が心配していた分部の抜けはなさそうだ。
「私はパーティ開催の告知をメインに行います。よろしくお願い致します」
最後に鈴木自身の行動の確認も終わり、ハンター達はいざ行動を開始。
「あぁーもう、今夜はたっぷり楽しく飲む為に、気張りやがりますよ……!!」
「水や酒樽や果物はパーティに使っちまうとして……農機具は駄目だろ……」
トリプルJのぼやきが聞こえ、ちょうど同じことを考えていたシレークスは、自慢の筋力に剛力状態も付与し力仕事を始める。
農具等の土臭かったり不衛生だったりする木箱もどんどん移動させて大掃除!
その勢いには元軍人のトリプルJも目を丸くする。自分と同じ小麦色の肌がまぶしい。
トリプルJやフィロも、負けじと怪力無双を使用して荷物運びを始めた。
「パーティに使用しない物や見せられない物は、1か所に集めて布を被せて隠しませんか?」
「端に集めてシーツでもかけるか。
壁にもシーツを釘で打ちつけたいんだよなあ……」
「倉庫の雰囲気を変えるのですね」
「ご名答」
力仕事のできる3人がテキパキ動いたため、あっという間に机を置けるスペースがみえてくる。
フィロは火災が起こった際に備え、消火用の水を入れた樽を何個も準備し、さり気なく置いた。
「立食用の机が足りない時はこの大樽で代用もできます。
これなら簡単には動きませんし、いざという時の実用に使えますから」
その説明を受け、シレークス達が「おおー」と感嘆の声を上げる。
「それは便利でやがります!」
「それと、お食事の用意についてですが、換気機能がない倉庫で調理をすると匂いがこもって酷いことになります。
時間も迫っていますし、料理作成自体諦めた方が良いかと思いますが。
洗い場の問題もありますので」
筆を持って告知制作にとりかかっていた春陰は、それを聞いてハッとする。
彼の顔色をフィロがのぞき込んだ。
「春陰様、どうかされましたか?」
「あ、いえ……可能なら東方流に餅や餡子を使ったお菓子を子供達と共に作成したいと思っていたので」
「だったらどっかで厨房を借りて、あらかじめ作った菓子をイベントでふるまえばいいんじゃねえか?」
言いながらのノリで、トリプルJのたくましい腕が春陰をガシっと捕まえる。
「お菓子ですか、皆様に喜ばれそうな企画ですね。
煮たりする物があれば、あらかじめ厨房で作っておいて、それを包んだり盛りつけたり、仕上げの部分を子供達と楽しむという方法もありそうですが」
一緒に告知制作を行っていた鈴木も、絶妙なタイミングで案を出す。
春陰は仲間の意見を参考に対策を考えることにした。
「他に必要なのはテーブルとイス、ツリーとモールくらいだよな?」
トリプルJの脳内にある強奪リストに必要な物が追加されていく。
「照度不足も感じるので、オフィスで懐中電灯を借りませんか?
紙でカーラーっぽく巻けば誤魔化せるかと」
「ランプでもいいと思うがな……両方用意するか」
「問題ありません。今回の準備にかかった費用はオフィスにつけておきます」
「分かってるじゃねぇか」
「恐れ入ります」
トリプルJはおもしろそうに笑い、フィロは静かに会釈を返した。
そんな会話の隣で、鈴木は企画のアイデアを広げている。
春陰が気になって彼の手元に目を落とすと、順調にカリカリと手書きの告知が作られている。
色彩鮮やかながらシンプルなデザインだ。
『聖なる夜を、あなたは誰と過ごしますか?』と、カップルや子供など他の顧客を連れてくる可能性のある人達に重点的にアピールしている。
「歌の機会もあると良いと思うのですが」
「そうですね」
春陰の同調を聞きながら、聖輝節の曲を歌う機会があることを匂わせる文章を書き加える。
「部族会議主催と聞いていますし、予算を持っていただけるのでしたらプレゼントがもらえるゲーム大会はどうでしょうか。問題がなければビンゴ大会などで」
次々と出てくる企画に、一同は『プロがいる』と言いたげに鈴木を見つめるのだった。
その後頃合いを見計らい、トリプルJはオフィスへ、フィロは飲食物の購入へ、春陰と鈴木は告知の配布へと出かけて行った。
倉庫に残ったシレークスは、やはり力仕事。
隙間風等が吹き込まぬよう塞いで回り、それが終わると今度は机として活用できる木箱を選んで適度に並べ、たまたま倉庫で数枚見つけた綺麗な布を被せ、水や酒の入った樽や果物が詰まった木箱を1か所に並べ、セルフ形式の飲食物スペースを確保。次は工具や使える木材などを探し、日曜大工の知識で簡素な看板や椅子などを拵えに……
「ったくもぉ、聖職者扱き使いやがって!」
彼女が叫んだ相手は、自分達に倉庫を丸投げして去って行ったあの後ろ姿。
●ト・ク・ベ・ツパーティ開催
すべての準備が整った時、外はすっかり暗闇だった。
しかし、パーティ会場の入り口には、しっかりとツリーや看板が備えられている。
会場内にはハンター達がせっせと用意して並べた机や椅子が並び、トリプルJが倉庫っぽさを隠したシーツとモールの壁や、フィロがバイクで往復して用意した料理の数々もずらり。
ランプや一工夫された懐中電灯も用意され、聖輝節らしさを演出してくれていた。
春陰と鈴木コンビの告知配布もうまくいき、たくさんの子供連れやカップルが集まってくれた。
その中には、シレークスの希望で招待された特別客の姿も……。
そう、自分達に倉庫を丸投げして行った、あの人である。
「お招きいただき、ありがとうございます。
さっきも驚きました。
いきなりトリプルJさんがオフィスに来られて、何にもなしで準備できるわけねぇだろおがよ! って」
身に覚えがある本人は聞こえているのかどうなのか、酒をぐびっと飲み干している。
どうやらオフィスでは、周りのハンター達も何事だと騒ぐ目立ちぶりだったらしい。
「それより酒を飲めぇですっ!」
シレークスは自分と同じように酒を持たせ、
「よぉし、野郎共っ♪ 飲めや歌えの大騒ぎでやがりますよっ!」
酒を片手に、妙に盛り上がる。
日中の頑張った分もあるだろうが、どうやらこの特別客を酔い潰すことも視野に入れているようだ。
酒好きなシレークスにかなうはずもなく、相手はすぐにギブ~な状態になったが、さらにその姿を見つけて近づいてきたフィロからは準備にかかった金額の請求も受け、とどめを刺されていた。
鈴木が告知で匂わせていた歌の企画も、会場の一体化にとても貢献した。
開催したビンゴ大会も大好評。
リアルブルー製の玩具やカップル向けの指輪などが当たったと、喜びの声が上がっている。
鈴木は少しほっとした様子でその様子を見守っていた。
(時間が足りない為に十分とは言えませんでしたが、皆様の思い出になればありがたいですね)
そんなことを考えていた時、ビンゴで玩具を当てた母親と子供の姿が目に留まる。
「おかあさん、このプレゼントだれが用意したの?」
子供の質問は容赦がない。
母親は一瞬考えていたが、すぐにまた笑顔に戻る。
「もちろんサンタさんよ」
「すげー! 明日ともだちに見せびらかしてもいい!?」
大興奮する子供の姿を見ると、サンタクロース鈴木の名刺も必要になるかもしれない、などとちょっと考えてしまった鈴木であった。
春陰も仲間の協力もあり、なんとか厨房を借りることができた。
無事にある程度準備を終わらせ、子供達と一緒にお菓子作りの最終段階にとりかかっている。
「うわぁ、このあんこおいしい!」
「あぁ~! つまみぐいしてるぅ!」
とても賑やかしいイベントになってしまっているが、そんなやりとりを聞きながら不格好のお菓子ができていくのも、なんとも微笑ましい。
春陰は何かを感じとっているように表情を和らげていたが、ふと手を止め、改めてゆっくりと会場内を見渡した。
「この宴には、夢があります。ならば、その夢を壊してはいけませんね。
宴を楽しむ子供達も、愛する男女も……」
誰にも聞こえない独り言。
彼がどこまで聖輝節を理解できたのかは――――彼のみぞ知る。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
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面白かった! | 6人 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/12/06 07:45:21 |