• 虚動

【虚動】Silver Bullet

マスター:鹿野やいと

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2015/01/12 22:00
完成日
2015/01/20 06:36

このシナリオは3日間納期が延長されています。

みんなの思い出

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オープニング

 災厄の十三魔の襲来。CAMの歪虚化。予期せぬ混乱の中でただただ一方的に殺戮が繰り広げられた。走り出したCAMを止めることも出来ず、警備隊は一方的に壊滅する。そしてガルドブルムが動き出し、全ては絶望の中で終わると思われた。
「ちっ。何がどうなってやがんだ?」
 グエン・ジェウ・トゥアンは岩陰に身を隠しながら吐き捨てた。30mmライフル弾の着弾で弾かれた礫で右の上腕を負傷したが、幸い出血はそれほど多くなく自前でも治療はできる。ださいから、気休めだからとジャケットを脱いでいたが忠告は聞いておくものだ。いや結局聞かなかっただろう。彼女にそう忠告した責任者の士官は30mm弾の直撃で肉片になった。どうせ死ぬなら背中に彫った蜘蛛の刺青を見せ付けておきたい。髪を書き上げた時に見える刺青まで含んで彼女のファッションである。トゥアンは岩陰から外を見る。ガルドブルムはCAMを抱えたまま他の班とにらみ合ったまま。2匹の飛竜と2体のCAMはかわらずもつれ合っている。1機は周囲を警戒したまま動けずに居た。
 状況はよくわからない。ガルドブルムが襲来した時には拭い難い絶望を感じたが、到来した歪虚の手先である飛竜は何故CAMと掴みあいの格闘戦をしているのか。先程のガルドブルムの時もそうだ。操られているはずのCAMはガルドブルムと名乗る十三魔の歪虚を撃った。歪虚は一枚岩ではない、と言ってしまうのはどうにも短絡で安直だが、少なくとも目の前の光景は否定しようがない。彼女は悩みながらも右腕の止血を終える。誰を撃つべきか。一歩間違えれば死が近づく。しかし隠れているわけにもいかない。再装填を終えた突撃銃を抱えながら、トゥアンは必死に頭をめぐらせていた。そこへ同じ警備を担当した騎士アーノルドが飛び込んできた。
「! ……よう騎士様、さっきは助かった。思わず惚れちまいそうだったぜ」
「平気そうだな。動けそうか?」
 アーノルドは兜のバイザーをあげる。そこには想像よりも若い切れ長の面立ちがあった。トゥアンは話し方から年上と思っていたが、顔つきはまだ若く20代前半ぐらいに見える。何度も外見を裏切る男だと思った。サーコートの下にはチェインメイルもあるというのに、見た目以上に機敏に動く。先程トゥアンを突き飛ばして弾道から逃がしたのも彼であった。
「ちょっと腕切っただけだ。まだやれるぜ」
「そいつは重畳。ところで、一つ聞くが」
「あん?」
「あの『きゃむ』とやらに弱点はないのか?」
 アーノルドはトゥアンと同じようにCAMを見る。攻めあぐねているのは彼も同じようだった。
「あー……まあねえこともねえが」
 飛竜は人を握り殺せそうな鉤爪でCAMの腕を掴んでいるが、CAMの装甲はびくともしない。トゥアンは舌打ちすると岩陰に引っ込んだ。手癖で煙草を探し、切れていた事を思い出す。
「騎士様の鎧と同じであいつの装甲……鎧にも隙間はある。関節の裏なんかがそうだ。だけどまあ見ての通りだぜ。あんなに動く的なんざ狙えたもんじゃねえよ。あんたがたの部下にウィリアム・テルは居るかい?」
「誰の話をしているのかよくわからんが、弓とボウガンに長けた者はいないな」
「ウィリアム・テルはボウガンの名手さ。息子の頭の上に乗ったリンゴを見事射抜き、次に領主の頭を撃ったナイスガイだ。残念なことにうちにもとんと心当たりがねえな」
「ではおまえ達の世界であれが敵となった時はどうしていたのだ?」
「その時はヘリや戦闘機の出番さ。残念なことにロッソにゃ積んでねえ。だからこの世界のどこにもねえのさ」
 絶望的だ。今回はあんな敵を想定したわけではないため、補給の効く装備しか持ってきていない。手榴弾・拳銃・突撃銃。同盟に頼めば材料を賄えそうなものばかり。装甲車とすら戦えない装備で、CAMの相手など出来ない。
「で、騎士様よ。あの竜はいつもどうやって退治してるんだ?」
「いつもならクレイクインクロスボウやバリスタを使う」
「…そいつは」
「持ってきていない」
「だと思ったぜ、くそったれ」
「しかしやりようはある」
 騎士の部下らしき兵士2人が武器をもって駆けつけてきた。手には長弓と戦鎚。持つのも苦労する大きさと重量だが、騎士はそれを片手で振り回す。
「それは非覚醒者が戦う為の準備にすぎない。覚醒者ならば城壁を槌で砕くこともできる」
「そうだな。連中を足止めできたのも、この銃のおかげだ」
 トゥアンは手の中の感触を確かめる。この銃は岩を砕いた。おそらくCAMの装甲も貫通するだろう。
「騎士様よ、そっちに覚醒者は何人いる?」
「私を含めて5人だ。そちらは?」
「同じだけいるぜ。合わせて10人。あのくそどもをファックしてやるには十分な人数じゃねえか」
 トゥアンの顔に凄絶な笑みが宿る。まだやれる。まだ殺せる。ふざけた真似をした連中にやり返せる。それだけで彼女の顔は喜色で溢れていた。
「おいお前ら!!」
 トゥアンに呼びかけられ、他の遮蔽に隠れていたハンター達は一斉にそちらを見た。
「時間がねえからちゃっちゃと作戦決めるぞ」
 ハンター達は頷きあい、それぞれの武器を構えなおした。

リプレイ本文

 ワイバーンは竜として最小最弱の部類であり、知能も動物並みである。しかし最弱とは言え竜には違いなく、翼幅は20mを優に超える。その巨大さをその翼で支えるには科学的には無理があるが、体に生来より備わる魔導の補助によってどうとかこうとか。騎士アーノルドの行った説明の要旨は「翼は見た目以上に頑丈なので油断するな」という内容であったが、アルビルダ=ティーチ(ka0026)はあまり聞いてなかった。
「ちょっとあのワイバーン欲しい。あれ頂戴空賊してくる」
「待てって、はやまるな」
 ヒースクリフ(ka1686)はふらふらと出て行こうとするアルビルダの首根っこを捕まえて引き戻した。それを見てアナベル・ラヴィラヴィ(ka2369)はけらけらと笑い出す。
「『きみが、ほしい』」「『でも私には大事な人が居るの』」「『それでも良い。一緒に空を飛ぼう』」
 笑いながら一人二役で劇をはじめるアナベルにヒースは頭を抱えた。これはもうミーティングに積極的に参加する気が無いのだろう。仕方なく二人をそのままにして、ヒースはミーティングに集中した。状況は混沌としているが、目の前の状況はシンプルだ。こちらから意識が逸れている今を利用し、致命的な一撃を放てば良い。問題はチャンスは一度しかないということ、失敗すれば立て直しは不可能という点だった。残った者達は短いながらもミーティングを終えて方針を固めていた。ワイバーンは追い払い、CAMは足を壊して逃走を阻止する。担当は半数の5名ずつ。これでダメなら諦めるところだ。ミリア・コーネリウス(ka1287)は大きく頷いてCAMを見る。
「わかりました。CAMは関節部が弱いのですね?」
「弱くはないですけど、ミリアさんの大剣が直撃すれば破壊できると思います」
 佐倉 桜(ka0386)は少し考えてそう断言した。懸念は無いでもないが、装甲を避けて当てさえすればなんとかなる。それ以上は出来るというミリアを信用するしかない。
「ワイバーンのほうは?」
「問題ありません。剣機に比べればワイバーン程度楽な相手です」
 アーノルドは剣機の能力に詳しくなかったが、ワイバーンをひきつけるイーディス・ノースハイド(ka2106)とSerge・Dior(ka3569)はミリアに劣らぬ戦士だ。彼女達の言葉を信じるなら、十分対処可能だと思われた。
「わかった。二人とも頼む」
「はい、王女の御為に」
「王女の御為に必ずや。王国の危機に間に合わなかった分も今ここで」
 イーディスがセルジュの言葉の最後に合わせ拳を突き出すと、セルジュとアーノルドもそれに合わせて拳を宛がった。ガントレットの金属音が小さく響く。3人はそれぞれにクローズヘルムのバイザーを降ろし、戦闘の準備を終えた。
「繰り返しになるけど最初が肝心だよ。なんとしても足を止める」
 ネイハム・乾風(ka2961)の言葉に全員が頷き返す。2匹と2機、うち2体以上足止めできれば勝機はある。ワイバーンなら翼、CAMなら足を破壊すれば時間は稼げる。そこまで行けば、泥仕合になったとしても勝ちを拾いに行けるだろう。
「行くぞ、突撃!」
 アーノルドの合図と共にハンター達と残った兵士は一斉に走り出した。巨体が徐々に近づき、威容が圧迫感となって襲い掛かる。
(良いも悪いもリモコン次第、とはよく言ったものですね……いえ、リモコンで動く訳ではないですけれど)
 佐倉は相棒の姿を見上げて唇を噛む。物にも心は宿ると彼女は信じていた。本来の用途を離れ、歪虚の手先となった彼らの心中はいかばかりのものだろうか。ただ心が痛む。
(今助けます。貴方達がわたし達を護ってくれたように……!)
 佐倉は走った。たった一つの望みにかけて。
 ハンター達の編成でまず最初に射程に捉えたのはアルビルダやネイハムら、後衛達だった。
「撃てーっ!」「放てーっ!」
 兵士達が一斉に手持ちの銃やボウガンでワイバーンを撃ち始める。ネイハムはその牽制で動きの止まったワイバーンを狙いすまし、必殺の一撃を放つ。銃弾はワイバーンの翼幕を貫く。苦悶の悲鳴をあげるワイバーンだが、恐ろしいことに羽ばたきの力強さに変化はない。
(一発じゃダメか)
 続くアルビルダはワイバーンの足を狙う。翼を狙うには銃の射程は少々心もとない。
「そこのワイバーン、ちょっとお茶しない?」
 茶化すように言って引き金を引く。銃弾は狙いを少々それたが命中。CAMを掴んでいた鉤爪が離れた。ネイハムは暴れるワイバーンに再度狙いを付けるも、動きが激しくなり狙うどころではなくなっていた。一方直接攻撃に出たメンバーも一歩遅れてもみ合う敵に接触した。
「『はじめるよ! ホーリーセイバー!』」
 アナベルが大仰な動きでスターライトロッドを振り回す。リズミカルに回転するロッドから七色の光が降り注ぎ、ミリアのツヴァイハンダーが白い光に包まれる。
「ありがと!」
「『お安い御用でございます』」
 芝居がかったアナベルの口調はころころ変わる。光る杖はすでに別の対象に向いていた。ミリアは小さくうなづくと、走りこみながら大剣を振り上げる。
「いっちげき! ひっさーつ!! 膝カックン」
 飛び出したミリアが狙うのは関節部。ここを折りさえすれば、CAMの逃走は実質不可能になる。ミリアは大剣を大上段に構え、一気に距離をつめる。大地を強く踏み込み、振り上げた大剣を振り下ろす。だが……。
「!?」
 ワイバーンと揉み合うCAMはミリアに気づいたのか、受け流すために足を入れ替える。8mあるCAMの膝の位置は2mを超える。高い位置を狙った大剣は軌道修正ができず狙いが外れ、関節正面の装甲に弾かれた。重要部位への装甲は厚い。また、破壊されないように構造自体も強固に作られる。一撃で装甲にヒビは入ったがダメージは装甲でとどまり、関節は機能不全を起こすほどではなかった。攻撃をはずしてしまったミリアはCAMに蹴られないようにその場を一旦下がる。同じく攻撃に入ったアーノルドは戦槌でその位置を狙うには余りに分が悪く、脛を狙って叩きつけたがこれも足を砕くにはいたらなかった。佐倉は前衛の隙を埋めるべくホーリーライトをCAMの顔目掛けて放った。目に相当するメインカメラを潰してしまえば、味方の攻撃も成功しやすくなるという算段だ。CAMは思惑通り肩のアーマーをかざして攻撃を防ぐが、視界を隠したことによる動きの鈍さは感じられない。
(もしかして、顔以外のカメラも生きてる?)
 佐倉はCAMが歪虚化してどの程度の機能が失われたのか確証を得られなかったが、どうやら機能のほとんどは生きているらしい。CAMは人型であり、人と機能は似通っているが、決して人ではない。CAMは複雑な工業製品であり最新の兵器だ。替えのない装備も、バックアップの無いシステムも存在しない。整備兵の彼女にはよくわかる。顔のメインカメラがダメでもサブのカメラは体中の至る所にあり、動体を捉えるセンサーも複数備えている。CAMの視覚は人間以上に多彩で広い。
(なら背中のブースターも?)
 ラッツィオ島の大規模作戦でも使った短距離飛行が可能なブースターも原型をとどめている。あれを使われたら、もはや追いかけるどころの話ではない。佐倉は威力の高いシャドウブリットに切り替え、背面に攻撃を集中させた。この時、ヒースクリフは別の方法でCAMを御そうと苦心していた。ロープをひっかけさえすれば、銃を暴発させることができるかもしれない。暴れるCAMに飛びつくのは至難の業だが、彼はやる価値があると信じていた。ヒースクリフは仲間の銃弾の飛び交う中、馬上よりロープを投げてなんとかロープをひっかけるが……。
「お……くっ……!?」
「何やってんだよ!」
 ロープに引きずられて宙に体が浮き、ヒースクリフは文字通り振り回された。非覚醒者とは比較にならない身体能力を発揮する覚醒者だが、それもふんばりの効く状態あってのことである。上からの圧力なら耐えただろう。だが、上に引き上げる力には無力だ。彼の体重は一般人と文字通り大差ないのだから。重い鎧で固めたイーディスとセルジュは他の者に1歩遅れて戦場に到達した。二人が狙うはワイバーン。得物を構えた二人は揃って戦場へ急ぐが……。
「しまった……!」
 牽制で怯んだワイバーンは大きく吼えると羽ばたいて空へと舞いあがった。ネイハムやアルビルダの一撃が効いたらしく、距離をとるためにどんどん高い位置へと逃げていく。下から突き上げれば届くかと思われたが、ほんの数秒の差で二人は目標を見送ることになった。牽制によりワイバーンは逃げた後、装備が無事なCAMが残る。足は壊れておらず、30mmライフルも健在。値千金の時間は過ぎ去り、戦場が凍りついた。CAMのカメラは最も距離が近く脅威度が高い目標、ハンター達へと向けられた。CAMはバックステップであっと言う間に距離をとり、ライフルの銃口を下を向けた。30mmは戦車の正面装甲や船舶の分厚い鉄板を貫通する威力がある。覚醒者といえども、直撃すればただではすまない。
「散れーっ!!」
 トゥアンが叫ぶのとほぼ同時であった。CAMの近接距離からの射撃が火を噴く。もっとも近いヒースは吹き飛ばされ、ミリアもライフル弾の煽りを受ける。防御を固めたイーディスやミリア達はなんとか銃弾の受けることができた。精霊の加護か鎧の防御力か、少なくとも死にはしないで済んだ。彼ら前衛を盾にネイハムら後衛はCAMに撃ち返すが、完全に足止めがなされないままであったため当てることすら難しくなっていた。不利なのは条件の違いでもある。ハンター達はなんとしても足に当てなければならない。一方CAMの優先事項は逃走である。当てる必要はなく、相手の近くに着弾して相手が怯めばそれで良し。人を凌駕する走行速度で逃げながら牽制に徹するCAMにハンター達は為すすべはなく、兵士達はその牽制の銃撃に巻き込まれ次々と吹き飛んでいった。直撃した者は文字通り吹き飛び、細切れ肉片と血煙になった。状況は更に悪化する。空に逃げていたワイバーンは地上に急降下してネイハムやアルビルダを狙った。先程妨害に来た者達に怒りの咆哮を浴びせかけ、上方より滑空して襲い掛かる。CAMとの撃ち合いをしている二人にそれを避ける余裕はない。
「させるか!!」
 セルジュが咄嗟に走り、ワイバーンに狙われていたアルビルダを押しのける。アルビルダを庇ったセルジュはワイバーンに掴みあげられた。仲間が助ける間もない。ワイバーンは翼をはためかせ小さく上昇すると、勢いよくセルジュを地面へと放り投げた。鎧の重さがここで仇になる。叩きつけられたセルジュは全身の至るところの骨を砕かれ、一歩も動けなくなった。
「セルジュ! ……よくも!」
 イーディスは歩兵を襲うワイバーンに、斧を振り上げ襲い掛かる。しかしそれを察知したワイバーンは再び空に飛び上がった。ワイバーンの機動性は手がつけられなかった。彼らは確実にしとめられる相手から狙う。イーディスはワイバーンと真っ向からやりあう自信はあった。だがワイバーンもその力の差を察知し、決して正面から戦おうとはしない。こうなると弓を持たない彼女に打つ手はなかった。それでも全員が固まればワイバーンを迎撃する態勢をとることもできたが、状況がそれを許さない。固まってワイバーンへの防御を意識すると今度はCAMの銃撃が飛んだ。散開しなければ的になり一方的に殲滅されるだろう。この続く銃弾の雨の中ミリアが倒れ、前衛がイーディスのみになる。陣形が崩れるまで秒読みとなった。
「『ああもう面倒くさーい! 面倒面倒めんどーう!』」
 言いながらアナベルはプロテクションを自身にかける。何事かと思われたがすぐに意図は知れる。飛び交う銃弾に対して身を晒し、後衛の盾となったのである。
「君は……」
「『うるさいうるさーい!! ただのおせっかい焼きですよーだ』」
「……悪いな。でも僕はウィリアム・テルには程遠いよ」
 ネイハムはそう言いながらもトゥアンと共にまだ反撃を続けていた。ハンター達の儚い抵抗の最中、CAMとワイバーンが争う場面も多々あった。しかし両者はハンターを認識しているために先程のような機会は訪れない。完全な手詰まりだった。せめて片方でも最初に処理できていれば、こうはならなかっただろう。散漫になってしまった初撃が全てを狂わせてしまった。再びハンター達は元居た遮蔽に逃げるはめになった。
「くそったれ!」
 トゥアンは血を流したアーノルドを引きずり、最初に居た岩陰に戻ってくる。惨憺たる有様だ。ネイハムに引きずられるように戻ったミリアは既に血まみれだ。イーディスはワイバーンの攻撃を何度も受け止め、鎧のいたるところが凹んでいる。まだ動けているが、鎧の中はもっと酷いことになっているだろう。前衛を引き受けたアナベルも同じく酷い怪我だったが、彼女はそれを押して、少ないヒールを他人に分け与えている。動けるのは守られていた後衛のネイハムとトゥアン、佐倉ぐらいだろう。もはや戦える状態ではなくなっていた。
「撤退する……!」
 アーノルドは呻くような声でそう言った。
「けど……!」
「死にたい奴だけ残れ! ここはもう終わってんだよ!!」
 諦めきれない佐倉にトゥアンは吼えた。佐倉はそれに反論することはできない。拳を握り締め、悔しさで流れそうになる涙をこらえた。


 ハンター側からの反撃が止んだためCAMも逃走へ専念する。この場であれに追いつける者は上空を旋回するワイバーンのみだ。走っていったCAMは再びワイバーンと争い、今度こそ鉤爪で掴みあげられた。ガルドブルムを追って飛ぶワイバーンを、彼らはただ見送ることしか出来なかった。
 付き従った兵士達から生き残った者はわずかに3名。騎士アーノルドは重傷。ハンター達もその半数以上が重体であった。

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 渇望の瞳
    アルビルダ=ティーチ(ka0026
    人間(蒼)|17才|女性|霊闘士
  • 桜の光弾
    佐倉 桜(ka0386
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
  • 英雄譚を終えし者
    ミリア・ラスティソード(ka1287
    人間(紅)|20才|女性|闘狩人
  • 絆の雷撃
    ヒースクリフ(ka1686
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • 鍛鉄の盾
    イーディス・ノースハイド(ka2106
    人間(紅)|16才|女性|闘狩人
  • 歌とダンスと芋煮会
    アナベル・ラヴィラヴィ(ka2369
    エルフ|16才|女性|聖導士
  • 白狼鬼
    ネイハム・乾風(ka2961
    人間(紅)|28才|男性|猟撃士
  • 盾の騎士
    Serge・Dior(ka3569
    人間(紅)|26才|男性|闘狩人

サポート一覧

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依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/08 23:44:34
アイコン 相談卓
佐倉 桜(ka0386
人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2015/01/12 20:03:50