ゲスト
(ka0000)
新年会も温泉で
マスター:秋月雅哉

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~50人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2015/01/10 19:00
- 完成日
- 2015/01/11 08:20
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●新年会も温泉で。ただし今回はセルフサービスみたいですよ
忘年会を怒涛の勢いで実践学習した温泉施設の面々は、今度は新年会に対する意欲を燃やしていた。
「でも、集まる場所と料理の材料、温泉を提供して後は頼まれたらお手伝い、というのは斬新ですね」
「料理好きな方が忘年会でお弁当を持ちこんだりしていたからな。どうせだから厨房も解放して料理好きな人には出来立ての料理を思う存分ふるまってもらうのもありかと思ったんだ」
仲居の言葉にオーナーがあごを撫でながら言葉を返す。
「もちろん、料理が不得手な人ばかり揃ったときのために厨房担当者にも出勤してもらうつもりで入るがね。あとは配膳もこちらがやったほうがいいようだったら請け負わせてもらうとしよう」
「今回はより、ハンターの人に自由に過ごしていただく、ということですね」
「そうだ。温泉卵というリアルブルーの温泉文化を体験しながら足湯を楽しむサービスも先日は宣伝し損ねたからな。折角実装化したのにもったいないことをした。
あれは源泉を使っているから温泉卵を取るときは絶対に素手で触れないように、という注意書きはしっかりしているな?」
「もちろんです」
「過ごし方をハンターの皆さんに自由に選んでもらう分、アクシデントが多くなると思う。いつもより楽な仕事とは決して思わず、最後まで気を抜かずに新年会を成功させよう!」
新しい試みに挑戦し続ける温泉施設の戦争、第二段がもうじき開幕しようとしている。
「忘年会をやったなら新年会もやらねばならない、と使命感に燃えているようだね、件の温泉施設。今回は厨房を解放して、向こうは基本的に求められない限り裏方に徹するみたいだよ。
えぇと、リアルブルーでの新年は何をするんだったかな。福笑いに羽根つき、……二人羽織、だっけ。なんだか楽しそうな文化があるみたいじゃない。
その遊び方を施設側の人たちは学んでみたいだね。本当、熱心な人たちだよ。
料理好きなハンターのためにいろんな料理に対応できるだけの量の食材を用意してあるから今度は持ち運びが難しい料理はその場で作って提供できるし、仲のいい人と手作りの料理で親睦会、なんてのもいいんじゃないかな」
温泉は男女別に内風呂と露天風呂、混浴も内風呂と露天風呂があるけれど覗きや混浴での水着を着用しないでの入浴は禁止だからその辺はしっかり守るようにね。
ルカ・シュバルツエンド(kz0073)はもう何度も言ってるけど、と付け加えて薄く笑う。
「前回紹介し損ねたみたいだけど源泉の……何度だか忘れたけど物凄い高温の浴槽に網に入れた卵を浸けて温泉卵とやらを作ってる間に、本人は足湯を楽しむ施設とか卓球台とか色々追加で作ってるみたいだね。
そっちも興味あったらいってみたらどうだい?」
今は花が見られないけれど雪化粧した景色も美しいと思うよ。今年もよろしく。
そう言ってルカはハンターたちに温泉施設からの招待状を手渡したのだった。
忘年会を怒涛の勢いで実践学習した温泉施設の面々は、今度は新年会に対する意欲を燃やしていた。
「でも、集まる場所と料理の材料、温泉を提供して後は頼まれたらお手伝い、というのは斬新ですね」
「料理好きな方が忘年会でお弁当を持ちこんだりしていたからな。どうせだから厨房も解放して料理好きな人には出来立ての料理を思う存分ふるまってもらうのもありかと思ったんだ」
仲居の言葉にオーナーがあごを撫でながら言葉を返す。
「もちろん、料理が不得手な人ばかり揃ったときのために厨房担当者にも出勤してもらうつもりで入るがね。あとは配膳もこちらがやったほうがいいようだったら請け負わせてもらうとしよう」
「今回はより、ハンターの人に自由に過ごしていただく、ということですね」
「そうだ。温泉卵というリアルブルーの温泉文化を体験しながら足湯を楽しむサービスも先日は宣伝し損ねたからな。折角実装化したのにもったいないことをした。
あれは源泉を使っているから温泉卵を取るときは絶対に素手で触れないように、という注意書きはしっかりしているな?」
「もちろんです」
「過ごし方をハンターの皆さんに自由に選んでもらう分、アクシデントが多くなると思う。いつもより楽な仕事とは決して思わず、最後まで気を抜かずに新年会を成功させよう!」
新しい試みに挑戦し続ける温泉施設の戦争、第二段がもうじき開幕しようとしている。
「忘年会をやったなら新年会もやらねばならない、と使命感に燃えているようだね、件の温泉施設。今回は厨房を解放して、向こうは基本的に求められない限り裏方に徹するみたいだよ。
えぇと、リアルブルーでの新年は何をするんだったかな。福笑いに羽根つき、……二人羽織、だっけ。なんだか楽しそうな文化があるみたいじゃない。
その遊び方を施設側の人たちは学んでみたいだね。本当、熱心な人たちだよ。
料理好きなハンターのためにいろんな料理に対応できるだけの量の食材を用意してあるから今度は持ち運びが難しい料理はその場で作って提供できるし、仲のいい人と手作りの料理で親睦会、なんてのもいいんじゃないかな」
温泉は男女別に内風呂と露天風呂、混浴も内風呂と露天風呂があるけれど覗きや混浴での水着を着用しないでの入浴は禁止だからその辺はしっかり守るようにね。
ルカ・シュバルツエンド(kz0073)はもう何度も言ってるけど、と付け加えて薄く笑う。
「前回紹介し損ねたみたいだけど源泉の……何度だか忘れたけど物凄い高温の浴槽に網に入れた卵を浸けて温泉卵とやらを作ってる間に、本人は足湯を楽しむ施設とか卓球台とか色々追加で作ってるみたいだね。
そっちも興味あったらいってみたらどうだい?」
今は花が見られないけれど雪化粧した景色も美しいと思うよ。今年もよろしく。
そう言ってルカはハンターたちに温泉施設からの招待状を手渡したのだった。
リプレイ本文
●新年会は賑やかに
忘年会はハンターの好意で成功に終わったため、新年会はより自由に過ごしてもらおう。
それが温泉施設側の意向だったため今回は厨房なども解放されている。
「温泉で温泉卵を食べながら新年会、いいですわね。
噂の温泉卵、食べてみたいですし足湯も楽しみです」
それに加えて絵を描く良い題材があれば文句なし、と周りの景色を見渡すセレーネ・エイシェント(ka0027)が厨房を借りて作ったのはプリン。
ミルクプリンや抹茶プリン、チョコプリンなどバリエーション豊かに。
「足湯に浸かりながら甘くて冷たいデザートを食べると美味しいんですよね」
一緒に足湯を利用していた他のメンバーにも好きなものをどうぞ、と勧めて高評価を得てお互いに笑いあう。
別の浴槽を使って足湯をしながら温泉卵が出来上がる過程を見られるようになっているのだが、その温泉卵がそろそろできた模様で網から引き上げられる大量の卵たち。
器に割り落として軽く調味料をかけて一口。
「熱々でとろっとした食感が何とも言えず美味しいですわね。足湯でぽかぽか温まって……。
なんだか良い絵が描けそうですわ。綺麗な景色を見てスケッチしていきましょう」
萌えな構図でも見かけたらすかさずスケッチもしよう、そちらは誰にも見せませんけれども。
ひっそりと思いを巡らしふふっと上品に笑うセレーネだった。
舞桜守 巴(ka0036)はたまには一人でのんびり、というのもいいだろう、と女湯に向かっていた。
そこに混浴のほうから歩いてきたのは水着着用の義務を忘れて女湯のほうへ誘導を受けたアリス・ブラックキャット(ka2914)。
なんとなく流れで一緒に温泉に入ることになったがアリスがタオルを忘れてきたことが発覚。
自分のタオルを半分相手に巻く密着状態で過ごすことに。
「はふ、気持ちいいねー……」
のぼせて巴に寄りかかるアリスに巴は呆れ交じりの溜息を一つ。
「……無防備すぎですわよ……そうやってると、誰か悪い人に連れていかれますわよ」
アリスが昏倒する前にあがろうとふにゃふにゃの身体を支えながら脱衣所に戻り、危なっかしい彼女の世話を焼きながら着替えを済ませるとアリスが飲み物の自販機に目をつける。
「お風呂の後はこれ! だね!」
選んだのは牛乳ではなく炭酸入りのアルコール。
酔っぱらってにぱ、と笑いながら上機嫌なアリスを放っておけないと自室に連れて帰って布団に寝かせる巴。
ちょいちょいとアリスの頭を撫でている内に目を覚ましたアリスがとろんとした目で周りを見回す。
「……あれ? ここ、どこ……?」
「無防備すぎると連れていかれますわよ、と言ったでしょう」
巴に注意はされるもののまだ酔いが抜けきっていないのか性格上かあまり気にしていない風のアリス。
巴はがくっとうなだれつつまぁいいですわ、と諦めモードに入ったのだった。
クリスティア・オルトワール(ka0131)は親友のシルヴェーヌ=プラン(ka1583)とともに温泉へ。
「一緒に温泉にきてみたいと考えておりましたので嬉しいですね」
「ティアと一緒に温泉、楽しみ!」
クリスティアの手を取りつつ鼻歌交じりに女湯の露天風呂へと向かう。
しかし、温泉内でついクリスティアの身体を凝視した後自身の胸に手を当ててため息。
(わ、わしだって、あと数年すればティアのように……)
「新年から温泉はいいですね……心休まります……あら? どうかされましたか?」
シルヴェーヌの内心に気づかずクリスティアが不思議そうに問いかけるとシルヴェーヌは慌てて話題を変える。
「な、なんでもないのじゃよ!? それより、ティアは肌が雪のように白くてスベスベじゃのぅ」
肌の話題と一緒に触れてこられ、くすぐったさに身もだえながらすかさず触り返すクリスティア。
「んっ、そうでしょうか……? シルヴィこそ綺麗な肌をされているかとおもいますが……髪もとても綺麗ですしね。
折角ですし、私に洗わせて頂けませんか? 背中も一緒に」
快く承諾し、お礼にクリスティアの髪と背中を洗うことになる。
「こういうの、幸せじゃな」
「そうですね……温泉をあがりましたら卓球なる運動もいかがでしょうか?」
かけがえのない親友との心温まる時間はこうして過ぎていくのだった。
三日月 壱(ka0244)は上霧 鋭(ka3535)と一緒に料理作りに励んでいた。
壱自身は鋭の手伝いやサポートが中心だ。
「さーて、どんな料理ができるのかお手並み拝見と行くかねぇ」
内心は鋭の手料理が食べられるのが嬉しいのだが素直になれずそんな挑発めいたセリフを口にしてしまう。
あまり難しい料理に挑戦しても失敗するから、と肉じゃがを作ってみることにした鋭だが壱に良いものを食べてもらおうと焦り、包丁で指を切ってしまう。
「おいおい、気をつけろよ」
用意していた救急箱で治療して料理再開。
作っている間に焦りも抜けて、肉じゃがは味付けも見た目も中々の出来栄えだ。
「まあまあだな」
「ふふん、素直にもっと褒めていいんだぜ」
まあまあだと言いながらもおいしそうに食べる壱に得意げな鋭。
食べ終わった後は用意していた水着を着て混浴へと誘う。
「いや、別にお前の水着姿が見たいとかそんなことじゃねーぞ。断じて」
温泉に入っているときはつい視線が胸のほうへ行くのは男の性だろうか。
その視線をなるべく意識しないように努めている内に気にしないようにと頑張りすぎて、のぼせてしまう鋭。
お姫様抱っこで涼める場所まで連れていった壱は困った、と言いたげに頭をバリバリとかくのだった。
「温泉っていうのは、いいわねぇ。体が芯から温まるってこういう事よね。ついでにお肌もつるつるになってくれると嬉しいのだけど、どうなのかしら」
ミランダ・ヴィオール(ka0419)は上機嫌で温泉を楽しんだ後厨房へ足を運ぶ。
目当てはリアルブルー出身で料理が得意なハンターだ。
「実は酒場で季節のメニューを出しているのだけれど、最近はリアルブルーのお客さんも増えたのよ。
だからここでリアルブルー料理なんかも見聞きできるといいんだけど。
記憶力はいいほうなの、故郷の料理とか是非聞きたいわね。
もちろん手伝うわよ!」
調味料は特別そうだけれど酒場の近くでも手に入るだろうか、とドキドキしつつ突発的に開かれたリアルブルーの料理講座に熱心に聞き入るミランダだった。
イヴァン・レオーノフ(ka0557)と黎 花蕾(ka1742)は人ごみや喧騒を避け、できるだけ静かに、落ち着いて過ごせそうだという理由で足湯を利用しながら時折飲み物や温泉卵を口にしつつ、クリムゾンウェストでの生活などを静かに語り合っていた。
リアルブルーでの軍務を通じて面識のある二人は外見・実年齢共に大分離れているがイヴァンは花蕾の兵士としての実力を認めているので過分な子ども扱いをすることはない。
必要な気づかいはするが一見して分かりやすいものではなく、ごくさりげない落ち着いたものであるのが常だった。
「……随分と賑やかだが。嫌では、ないか?」
「……別に、気にしない」
馴染みのない足湯や温泉卵の利用方法や食べ方はイヴァンを真似ながら、あまり強い関心を示さない花蕾。
「これでは、別の世界というよりかは……東洋へ旅にでもきたかのようだな」
「……そう? わからない」
小首を傾げる花蕾にイヴァンは問いを重ねる。
「……こちらにきて大分たつが……生活には慣れたか?」
「慣れてる。元に戻っただけ」
「……そうか」
その後は無言で過ごす二人。
共に過ごすからと言って必ずしも言葉は必要でない。
それを示すように居心地が悪くならない沈黙だった。
「新年会……? お正月とは違うんですか?」
そんな疑問を抱きつつ温泉があるというので参加を決めたヒスイ・グリーンリバー(ka0913)はお風呂の習慣がないのは辛かったのだと語る。
食べたい料理は、と言えば。
「……お餅食べたいです。お雑煮、作れないかな……って無理ですよね」
醤油と味噌に近い調味料はイベントで屋台の手伝いをした時に知ったがご飯の文化には出会っていない。
半分諦めつつも厨房をうろついてみればつきたての餅が用意されていた。
「え、これ、お餅……ですか?」
「リアルブルーの物とまるっきり同じ、とはいきませんけれど。できるだけ稲の育て方や餅のつき方は参考にしてあります。良かったらどうぞ」
なにか手助けを求められた際に応じられるようにと待機していた温泉施設のスタッフに餅と雑煮の材料を渡されて思わぬ出来事に目を見張りながらも調理に取りかかるヒスイ。
「……あの、ご飯に温泉卵とお醤油かけて食べたいんですけど、ありますか……?」
駄目もとで聞いてみれば作り方を教わった、クリムゾンウェスト産の物でよければ、という返事。
喜んで分けてもらって足湯で温まりながら甘酒と一緒にご飯を楽しむのだった。
皆で卓球を楽しもうと集まった【BEE】のメンバーだったがルールを正確に把握していないうえ、Don=Bee(ka1589)は卓球にも球技の覇者『Q=Bee』の称号にも興味がない様子でひたすらうどん押しだったりと初めからカオス展開。
「卓球って何じゃん? まあ、自分なら楽勝じゃん?」
ラケットをバットのように構え、しかも何故かグリップのほうで打とうとするGon=Bee(ka1587)。
鏃は外しているから大丈夫で御座る、といって蕎麦、パスタ、他麺類を押し分けうどんを食さない者を粛清しようとするDon。
「すぐに食べねばのびるで御座る。うどんをのばして不味くするなどうどん神に対する不敬行為。卓球にかまけているものには容赦なく弓でずどんと。
大丈夫、鏃は外して――おや、族長のやつだけ外し忘れていたで御座るな?」
「ひでぇじゃん!?」
Non=Bee(ka1604)は温泉に浸かりながら飲んだお酒がまわっていて千鳥足。
「卓球ー。運動は美容にもいいんだよ? 卓球知ってるか? まかせろばりばりー。族長、対戦しよー」
「卓球、はっちゃんがそう言うなら頑張ろうかしらぁ」
Hachi=Bee(ka2450)の『運動は美容にもいい』という言葉にやる気になるNonだったが……。
「えっと、こう上げて……はっ! ……ってあ!」
族長であるGonの顔面に向けて誤射してしまうHachi。
しかもその勢いでラケットがすっぽ抜けGonの真後ろの壁に刺さる始末。
「ラケットも投げちゃった。これはうっかりだね。
え? ボールを顔にぶつける格闘スポーツじゃないの?」
てへぺろしながらずぼっとラケットを引っこ抜くHachiのセリフにNonが野太い声で叫ぶ。
「顔に当て……ちょっと待って、格闘?
あたしの美貌に傷でもついたらどうすってんだよおお!!」
Jyu=Bee(ka1681)はそんな混沌とした卓球室を正常化しようとして、結果更なる混沌を呼ぶ使者となっていた。
風のうわさ、聞きかじり、偏見、妄想、漫画知識。
それらから正しい卓球の姿を見つけ出すのは難しいのかもしれない。
「正式なユニフォームは浴衣、ラケットはこれ」
手にしているのはなぜかテニスラケット。
スキルも使った大上段からの全力サーブ。
「ふっ……このジュウベエちゃんの波動球は一〇八式まであるわよ」
なお、そのほか挙げられたルールとしては『得点が並んだ時にはジョッキ一杯のジュース早飲み勝負をしなければならない。勝負に勝った方が攻撃権を得る』などもあったがリアルブルー出身者で突っ込み気質の人がこの場に通りかかったら突っ込みで過労死していたかもしれない。
Ya=Bee(ka2049)はそんな混沌すら楽しんでいた。
「卓球って楽しいよねっ! ついつい白熱しちゃって乱れる浴衣、露になる上気した肌……じゅるり。
ジュンちゃん頑張って! ドンちゃん、ハッちゃん! 本気出して! 脱げるまで! ヤンちゃんは女体も萌え萌えだよっ」
でもこの主ちゅえーしょんで一番おいしいのはノンちゃんだよぅ、と虎視眈々と眺め続ける。
誤射を食らって撃沈したGonを自分がしたいから、という理由でなでなでしてご満悦のYaだった。
【海の家】一行は職場が同じ者同士の交流を深めるために都合があったメンバーで新年会に温泉に訪れていた。
「全員でこれなかったのは少し残念ですね」
ただし全員じゃなくても破壊力は抜群なので楽しみなのと不安が入り混じるのは上司であるバレーヌ=モノクローム(ka1605)。
交流を深めるのが目的なので混浴を選んだものの女性従業員からセクハラやパワハラで訴えられないかは少し心配気味だったりもする。
「水の中ってやっぱ落ち着きますよね……いや、お湯ですけど」
「いいお湯ですねー……」
はふぅ、と息をつくのはサクラ・ユイ(ka1606)だ。
女性陣の身体は少し恥ずかしいので見ないようにしつつ手で水鉄砲をしてお湯を飛ばしたり布でクラゲを作って遊んでいる。
女性用の更衣室に連れていかれそうになって自分は男だと目いっぱい慌てながら主張したのは先ほどのこと。
自分のことを男だと知っていると思っていたので思わぬ誤算だった。
しろくま(ka1607)は水着代わりに洗い立ての着ぐるみを着用。
頭の上にあひるのおもちゃを載せてお風呂遊びを満喫していたのだがどうやら飽きてしまったようで。
「ぶくぶくーくまー!」
潜水しては浮かび上がりの繰り返しで近辺の人を無意識に驚かせている。
戸狩 レニ(ka1783)もその一人で驚かされて悲鳴を上げていたり。
混浴中はみんなの様子を遠巻きに見ながら、日ごろの疲れを取ってのんびりと楽しそうに眺めていた分周りへの警戒も薄れていたらしく随分大きな悲鳴になったそうな。
カルロ・カルカ(ka1608)はマイシャンプーとスキンケア用品を持参、こっそりお酒も持ち込んでいる。
「新年ってのはめでたいんだろ、これぐらい好きにさせろ」
年長者だから、と好き放題している店員を諌めながら日ごろの疲れを癒す。
女性陣や年少者には極力言って聞かせるものの暴れん坊や男性陣には容赦をしない気配が伝わってくる。
「温泉っつーのは産まれてこのかた入ったためしはなかったが……ふん、悪いもんじゃねーな」
機嫌がよくなって持参したお酒を他の成人組に振舞うが湯の中での酒は周りが早いのとどうやらのぼせてしまったようで。
一気に笑い上戸になって大笑いしながらフレンドリーな態度を見せて周囲を困惑させるのだった。
「こ、混浴は少し恥ずかしいですけど、水着ですから大丈夫ですよね」
水着は店員さんのおすすめだと語るモーラ・M・ホンシャウオ(ka3053)だったが此処に来るまでがハプニングの連続だった。
先に足湯のところで貰ってきた温泉卵は高温の湯から直接鷲掴もうとして慌てて止められ、間違って男性用の脱衣所の扉を開きかけ、風呂場では滑ってこける。
これぞホンシャウオ一族の業『突然の火傷』『突然の男湯』『突然の転倒』か、と誰かにからかわれ真っ赤になりつつ否定。
「温泉はやっぱりいいですねぇ」
椿 武龍(ka3096)はそんなモーラの様子を気に欠けつつ飲料水と大き目のタオルを用意しておく。
「あねさんのいくところ、多少の用心は……うん」
モーラが水着のトップスがどこかにいった、と言い出して予感的中。
とりあえず用意しておいたタオルを巻いているように指示して総動員でトップスを探す作業にシフトする。
潜水しながら武龍が探すと排水溝の近くに引っかかっている水着を発見。
「あねさん、あったっすよー」
と駆け寄るが途中で持っていることに照れて女性陣に後を任せ、モーラが着替え終わったら水を差しだすアフターケア。
「ほっとけないっすよなぁ」
モーラのあれこれを思い出して改めて感じるのだった。
「マジちょー楽しみにしてたんだから♪」
海野 星(ka3735)はそんな騒ぎの中がテンションの上りぶりに拍車をかけたのかとても上機嫌だ。
サクラを女子と勘違いしていて男の子になってる、と騒いで危うく泣きかけたりモーラのスタイルの良さに将来有望な自分だって、と対抗意識を燃やしたり。
「てんちょーがなんかのっぺりしてる! 大変! 誰かお水ー! お水ー!」
静かだったバレーヌがのぼせていることに気づいて慌てて追加の水を武龍が用意したり。
「騒がしいがいつものことと言えばいつものことかのぅ。あー、気持ちえいのぅ……」
体が大きい分、しっかりと体を伸ばせる温泉がめったに来られないが好きなガレアス・クーヴェイ(ka3848)はそんな騒ぎを横目に見つつリラックス。
ゆったりと温泉を楽しみつつ寛ぐ気満々で騒ぎがあってもおっとりと眺めつつ「若いのぅ」とほのぼのしている。
背中を流してもらえば自分もお礼にと相手の背中を流し、のぼせた仲間にはみんながいるからはしゃぎすぎたんだろう、と微笑ましげに眺める。
先にあがって他のメンバーが戻ってくるのを待ちながらのぼせた面子を団扇で扇いで解放して。
「風呂に入ると腹が減るのぅ」
そういって再集合した仲間たちに何か食べにいかないかと誘いをかけるのだった。
「……新年会にございますか。私もせっかくですし参加させて頂きましょうか」
ティアナ(ka2639)はせっかくの温泉、ゆったりと心を安らげようと一人で参加。
温泉を楽しんだ後は有志が用意した料理に舌鼓を打つことに。
「ふふ、美味しそうでございますね……んっ。やっぱりもんげぇうまいべよ。こんなおいしいもんがあるべか!?」
普段通り冷静を装おうとしたが口にした料理が余りに美味だったため思わず故郷での口調が露わになってそのギャップに周りが驚いたり。
宴の余興にとマテリアルヒーリングで自分を輝かせながら歌声を披露したりと楽しい時間が過ぎていくのだった。
赤羽 颯(ka3193)はリアルブルー時代からの幼馴染の高瀬 未悠(ka3199)と転移後に保護した妹のような存在である蒼綺 碧流(ka3373)とともに新年会での一時を過ごすことに。
混浴の温泉で二人の水着姿にドキドキしていることを見透かされたのだろうか。
「碧流の肌が男共の視線にさらされるなんて耐えられないわ。
颯、碧流をいやらしい目でみたら許さないわよ」
肌の露出が一番少ない水着に身を包んだ未悠に釘をさされ、見ていない、と慌てて弁論。
温泉で温まった体が凍てつくほどの視線でギロリとにらまれさりげなく視線をそらす。
二人の様子を尻目に石鹸でスケートしてからの温泉へダイブ、泳ごうとした碧流だったが「ぶつかったら貴女も他の人も危ないから」と優しく諭され大人しく温泉に入る。
湯上りは三人で浴衣を纏い部屋を借りて食事。
「改めて二人とも、明けましておめでとう」
料理の出来ない二人のため颯がお手製のおせち料理と碧流の大好物であるプリンを並べる。
「美味しい……いつでもお婿さんに行けるわね」
締めのプリンに感激し、珍しく優しい笑顔で颯を撫でる未悠。
「あはは……ありがとう」
その言葉に何故か複雑な気分になりつつも頭を撫でられ嬉しそうにする。
その後あぁ、そうだった、と颯と未悠から碧流へお年玉。
碧流はお年玉の説明を聞いたあとお返しとして温泉卵を貰ってきて二人に渡したのだった。
「はぁー! 温泉っていいですねー……って何されてるんですか?」
ミネット・ベアール(ka3282)は温泉で癒しのひと時を過ごした後ふと厨房の片隅で何かを作っているルカ・シュバルツエンド(kz0073)の動向が気になり声をかけた。
「うん? 小腹がすいたから何か作ろうかと思ってね。材料は色々あるみたいだし」
ダークマター的な『なにか』の製作者として一部のハンターには既に認知されているルカの料理の腕前。
普通なら止めるべき場所だがミネットはあえて手伝うことを選んだ。
食のためなら努力は惜しまないのが彼女の信条だ。
「これをこうして……あぁ、あれを取ってくれるかな」
「なんか聞いたことのない組み合わせなんですけど……それは食べられるものなのですか?」
「僕は普段からこうやって食べているよ」
その【普段】が雑魔を怯ませるほど強烈な物質なのだが、ミネットは大人しく指示に従う。
やがて出来上がった料理は料理と言っていいのかどうか。
いつも通りの奇抜な色と色付きの煙と凄まじい異臭と目に刺すような痛みをもたらすそれに、ミネットの喉が食欲ではなくやばい、という直感でごくりとなる。
「じゃあ食べようか」
「はい……」
その後医者が呼ばれたとか呼ばれなかったとか。
結論。ダークマターに迂闊に手を出してはいけません。大変危険です。
「今までいろんなものを食べてきましたが……人生の中で一二を争う衝撃の味だったかもしれません。
というかあれ、本当に食べ物なんですか……?」
一口で倒れたのが不幸だったのか幸いだったのか、看護を受けて意識を取り戻したミネットはそんな言葉を口にした。
気絶した他は悪影響はない、という診断と少し休んで食欲が戻ったことから今度はまともな食料探しの旅へ。
食事を楽しみ、散策中に源泉付近で泥に塗れた卵を見かけたが注意するにとどめておく。
もしダークマターだったとしたらまた倒れるのは御免こうむりたいからだ。
「ルカさんが最終的に何を目的にしているかは分かりませんが……到達地点は遠そうですね。
味見役は無理ですがすぐにできる方法……何かないですかね」
とりあえずダークマターのもとになりそうな卵の存在を報告しよう、と一度施設へと戻っていく彼女はもしかしなくても超がつくほどのお人好しなのかもしれない。
「温泉卵! 父から聞いたことがあります……なんか美味しくて美容に良いゆで卵だと! 折角ですので、私もいくつか頂きますね」
エミリー・ファーレンハイト(ka3323)は足湯を利用しながら温泉卵を食べ、卓球も一度は体験してみないと、ということで適当に相手を募って真剣勝負。
恒例となった宣伝は、今回は温泉卵と卓球をアピールすることに。
施設の入り口や街の目立つところに『新発売! 温泉卵』や『卓球台はじめました』という幟を立ててお客さんに認知してもらおうという計画。
一人でも多く呼び込めば、口コミで広まるのを期待できるため、街を練り歩いているのぞきダケのメンバーにも幟を持って宣伝活動にいそしんでもらう。
「知名度が上がればそれだけのぞきダケ達の仕事も増えるのですから、遣り甲斐はあるはず。ゆるキャラの星だって目指せますよ!」
温泉施設の宣伝に熱意を燃やすエミリーと施設関係者の間でがっちりと固い握手が交わされたのだった。
ルドガー・フィン・ガーランド(ka3876)は特定の相手と約束や予定があるわけでもなく、たまたま居合わせたところで招待状を渡され、せっかくだから、と一人でやってきた。
同じ組織に所属しているといっても顔見知りは一人もいない。
が、そんなことは気にせず景色のいい場所を探し出して一人で酒盛りに勤しむルドガー。
「やることもねえと暇なわけだ、無気力、脱力。だから俺は酒を飲む。喧騒な場所だって甘んじて受け入れるのさ」
周りの騒ぎを柳に風のように受け流しながら、どこか達観した様子で酒を煽るのだった。
あちこちで一騒動、で片づけていいのか微妙な規模のハプニングをおこしつつこうしてハンターたちの新年会は賑やかに過ぎていった。
新しい年が始まってまだほんのわずか。ハンターと長い付き合いになりそうなこの温泉施設は客人たちに翻弄されながら今日も『よりよいサービス』を模索中である。
忘年会はハンターの好意で成功に終わったため、新年会はより自由に過ごしてもらおう。
それが温泉施設側の意向だったため今回は厨房なども解放されている。
「温泉で温泉卵を食べながら新年会、いいですわね。
噂の温泉卵、食べてみたいですし足湯も楽しみです」
それに加えて絵を描く良い題材があれば文句なし、と周りの景色を見渡すセレーネ・エイシェント(ka0027)が厨房を借りて作ったのはプリン。
ミルクプリンや抹茶プリン、チョコプリンなどバリエーション豊かに。
「足湯に浸かりながら甘くて冷たいデザートを食べると美味しいんですよね」
一緒に足湯を利用していた他のメンバーにも好きなものをどうぞ、と勧めて高評価を得てお互いに笑いあう。
別の浴槽を使って足湯をしながら温泉卵が出来上がる過程を見られるようになっているのだが、その温泉卵がそろそろできた模様で網から引き上げられる大量の卵たち。
器に割り落として軽く調味料をかけて一口。
「熱々でとろっとした食感が何とも言えず美味しいですわね。足湯でぽかぽか温まって……。
なんだか良い絵が描けそうですわ。綺麗な景色を見てスケッチしていきましょう」
萌えな構図でも見かけたらすかさずスケッチもしよう、そちらは誰にも見せませんけれども。
ひっそりと思いを巡らしふふっと上品に笑うセレーネだった。
舞桜守 巴(ka0036)はたまには一人でのんびり、というのもいいだろう、と女湯に向かっていた。
そこに混浴のほうから歩いてきたのは水着着用の義務を忘れて女湯のほうへ誘導を受けたアリス・ブラックキャット(ka2914)。
なんとなく流れで一緒に温泉に入ることになったがアリスがタオルを忘れてきたことが発覚。
自分のタオルを半分相手に巻く密着状態で過ごすことに。
「はふ、気持ちいいねー……」
のぼせて巴に寄りかかるアリスに巴は呆れ交じりの溜息を一つ。
「……無防備すぎですわよ……そうやってると、誰か悪い人に連れていかれますわよ」
アリスが昏倒する前にあがろうとふにゃふにゃの身体を支えながら脱衣所に戻り、危なっかしい彼女の世話を焼きながら着替えを済ませるとアリスが飲み物の自販機に目をつける。
「お風呂の後はこれ! だね!」
選んだのは牛乳ではなく炭酸入りのアルコール。
酔っぱらってにぱ、と笑いながら上機嫌なアリスを放っておけないと自室に連れて帰って布団に寝かせる巴。
ちょいちょいとアリスの頭を撫でている内に目を覚ましたアリスがとろんとした目で周りを見回す。
「……あれ? ここ、どこ……?」
「無防備すぎると連れていかれますわよ、と言ったでしょう」
巴に注意はされるもののまだ酔いが抜けきっていないのか性格上かあまり気にしていない風のアリス。
巴はがくっとうなだれつつまぁいいですわ、と諦めモードに入ったのだった。
クリスティア・オルトワール(ka0131)は親友のシルヴェーヌ=プラン(ka1583)とともに温泉へ。
「一緒に温泉にきてみたいと考えておりましたので嬉しいですね」
「ティアと一緒に温泉、楽しみ!」
クリスティアの手を取りつつ鼻歌交じりに女湯の露天風呂へと向かう。
しかし、温泉内でついクリスティアの身体を凝視した後自身の胸に手を当ててため息。
(わ、わしだって、あと数年すればティアのように……)
「新年から温泉はいいですね……心休まります……あら? どうかされましたか?」
シルヴェーヌの内心に気づかずクリスティアが不思議そうに問いかけるとシルヴェーヌは慌てて話題を変える。
「な、なんでもないのじゃよ!? それより、ティアは肌が雪のように白くてスベスベじゃのぅ」
肌の話題と一緒に触れてこられ、くすぐったさに身もだえながらすかさず触り返すクリスティア。
「んっ、そうでしょうか……? シルヴィこそ綺麗な肌をされているかとおもいますが……髪もとても綺麗ですしね。
折角ですし、私に洗わせて頂けませんか? 背中も一緒に」
快く承諾し、お礼にクリスティアの髪と背中を洗うことになる。
「こういうの、幸せじゃな」
「そうですね……温泉をあがりましたら卓球なる運動もいかがでしょうか?」
かけがえのない親友との心温まる時間はこうして過ぎていくのだった。
三日月 壱(ka0244)は上霧 鋭(ka3535)と一緒に料理作りに励んでいた。
壱自身は鋭の手伝いやサポートが中心だ。
「さーて、どんな料理ができるのかお手並み拝見と行くかねぇ」
内心は鋭の手料理が食べられるのが嬉しいのだが素直になれずそんな挑発めいたセリフを口にしてしまう。
あまり難しい料理に挑戦しても失敗するから、と肉じゃがを作ってみることにした鋭だが壱に良いものを食べてもらおうと焦り、包丁で指を切ってしまう。
「おいおい、気をつけろよ」
用意していた救急箱で治療して料理再開。
作っている間に焦りも抜けて、肉じゃがは味付けも見た目も中々の出来栄えだ。
「まあまあだな」
「ふふん、素直にもっと褒めていいんだぜ」
まあまあだと言いながらもおいしそうに食べる壱に得意げな鋭。
食べ終わった後は用意していた水着を着て混浴へと誘う。
「いや、別にお前の水着姿が見たいとかそんなことじゃねーぞ。断じて」
温泉に入っているときはつい視線が胸のほうへ行くのは男の性だろうか。
その視線をなるべく意識しないように努めている内に気にしないようにと頑張りすぎて、のぼせてしまう鋭。
お姫様抱っこで涼める場所まで連れていった壱は困った、と言いたげに頭をバリバリとかくのだった。
「温泉っていうのは、いいわねぇ。体が芯から温まるってこういう事よね。ついでにお肌もつるつるになってくれると嬉しいのだけど、どうなのかしら」
ミランダ・ヴィオール(ka0419)は上機嫌で温泉を楽しんだ後厨房へ足を運ぶ。
目当てはリアルブルー出身で料理が得意なハンターだ。
「実は酒場で季節のメニューを出しているのだけれど、最近はリアルブルーのお客さんも増えたのよ。
だからここでリアルブルー料理なんかも見聞きできるといいんだけど。
記憶力はいいほうなの、故郷の料理とか是非聞きたいわね。
もちろん手伝うわよ!」
調味料は特別そうだけれど酒場の近くでも手に入るだろうか、とドキドキしつつ突発的に開かれたリアルブルーの料理講座に熱心に聞き入るミランダだった。
イヴァン・レオーノフ(ka0557)と黎 花蕾(ka1742)は人ごみや喧騒を避け、できるだけ静かに、落ち着いて過ごせそうだという理由で足湯を利用しながら時折飲み物や温泉卵を口にしつつ、クリムゾンウェストでの生活などを静かに語り合っていた。
リアルブルーでの軍務を通じて面識のある二人は外見・実年齢共に大分離れているがイヴァンは花蕾の兵士としての実力を認めているので過分な子ども扱いをすることはない。
必要な気づかいはするが一見して分かりやすいものではなく、ごくさりげない落ち着いたものであるのが常だった。
「……随分と賑やかだが。嫌では、ないか?」
「……別に、気にしない」
馴染みのない足湯や温泉卵の利用方法や食べ方はイヴァンを真似ながら、あまり強い関心を示さない花蕾。
「これでは、別の世界というよりかは……東洋へ旅にでもきたかのようだな」
「……そう? わからない」
小首を傾げる花蕾にイヴァンは問いを重ねる。
「……こちらにきて大分たつが……生活には慣れたか?」
「慣れてる。元に戻っただけ」
「……そうか」
その後は無言で過ごす二人。
共に過ごすからと言って必ずしも言葉は必要でない。
それを示すように居心地が悪くならない沈黙だった。
「新年会……? お正月とは違うんですか?」
そんな疑問を抱きつつ温泉があるというので参加を決めたヒスイ・グリーンリバー(ka0913)はお風呂の習慣がないのは辛かったのだと語る。
食べたい料理は、と言えば。
「……お餅食べたいです。お雑煮、作れないかな……って無理ですよね」
醤油と味噌に近い調味料はイベントで屋台の手伝いをした時に知ったがご飯の文化には出会っていない。
半分諦めつつも厨房をうろついてみればつきたての餅が用意されていた。
「え、これ、お餅……ですか?」
「リアルブルーの物とまるっきり同じ、とはいきませんけれど。できるだけ稲の育て方や餅のつき方は参考にしてあります。良かったらどうぞ」
なにか手助けを求められた際に応じられるようにと待機していた温泉施設のスタッフに餅と雑煮の材料を渡されて思わぬ出来事に目を見張りながらも調理に取りかかるヒスイ。
「……あの、ご飯に温泉卵とお醤油かけて食べたいんですけど、ありますか……?」
駄目もとで聞いてみれば作り方を教わった、クリムゾンウェスト産の物でよければ、という返事。
喜んで分けてもらって足湯で温まりながら甘酒と一緒にご飯を楽しむのだった。
皆で卓球を楽しもうと集まった【BEE】のメンバーだったがルールを正確に把握していないうえ、Don=Bee(ka1589)は卓球にも球技の覇者『Q=Bee』の称号にも興味がない様子でひたすらうどん押しだったりと初めからカオス展開。
「卓球って何じゃん? まあ、自分なら楽勝じゃん?」
ラケットをバットのように構え、しかも何故かグリップのほうで打とうとするGon=Bee(ka1587)。
鏃は外しているから大丈夫で御座る、といって蕎麦、パスタ、他麺類を押し分けうどんを食さない者を粛清しようとするDon。
「すぐに食べねばのびるで御座る。うどんをのばして不味くするなどうどん神に対する不敬行為。卓球にかまけているものには容赦なく弓でずどんと。
大丈夫、鏃は外して――おや、族長のやつだけ外し忘れていたで御座るな?」
「ひでぇじゃん!?」
Non=Bee(ka1604)は温泉に浸かりながら飲んだお酒がまわっていて千鳥足。
「卓球ー。運動は美容にもいいんだよ? 卓球知ってるか? まかせろばりばりー。族長、対戦しよー」
「卓球、はっちゃんがそう言うなら頑張ろうかしらぁ」
Hachi=Bee(ka2450)の『運動は美容にもいい』という言葉にやる気になるNonだったが……。
「えっと、こう上げて……はっ! ……ってあ!」
族長であるGonの顔面に向けて誤射してしまうHachi。
しかもその勢いでラケットがすっぽ抜けGonの真後ろの壁に刺さる始末。
「ラケットも投げちゃった。これはうっかりだね。
え? ボールを顔にぶつける格闘スポーツじゃないの?」
てへぺろしながらずぼっとラケットを引っこ抜くHachiのセリフにNonが野太い声で叫ぶ。
「顔に当て……ちょっと待って、格闘?
あたしの美貌に傷でもついたらどうすってんだよおお!!」
Jyu=Bee(ka1681)はそんな混沌とした卓球室を正常化しようとして、結果更なる混沌を呼ぶ使者となっていた。
風のうわさ、聞きかじり、偏見、妄想、漫画知識。
それらから正しい卓球の姿を見つけ出すのは難しいのかもしれない。
「正式なユニフォームは浴衣、ラケットはこれ」
手にしているのはなぜかテニスラケット。
スキルも使った大上段からの全力サーブ。
「ふっ……このジュウベエちゃんの波動球は一〇八式まであるわよ」
なお、そのほか挙げられたルールとしては『得点が並んだ時にはジョッキ一杯のジュース早飲み勝負をしなければならない。勝負に勝った方が攻撃権を得る』などもあったがリアルブルー出身者で突っ込み気質の人がこの場に通りかかったら突っ込みで過労死していたかもしれない。
Ya=Bee(ka2049)はそんな混沌すら楽しんでいた。
「卓球って楽しいよねっ! ついつい白熱しちゃって乱れる浴衣、露になる上気した肌……じゅるり。
ジュンちゃん頑張って! ドンちゃん、ハッちゃん! 本気出して! 脱げるまで! ヤンちゃんは女体も萌え萌えだよっ」
でもこの主ちゅえーしょんで一番おいしいのはノンちゃんだよぅ、と虎視眈々と眺め続ける。
誤射を食らって撃沈したGonを自分がしたいから、という理由でなでなでしてご満悦のYaだった。
【海の家】一行は職場が同じ者同士の交流を深めるために都合があったメンバーで新年会に温泉に訪れていた。
「全員でこれなかったのは少し残念ですね」
ただし全員じゃなくても破壊力は抜群なので楽しみなのと不安が入り混じるのは上司であるバレーヌ=モノクローム(ka1605)。
交流を深めるのが目的なので混浴を選んだものの女性従業員からセクハラやパワハラで訴えられないかは少し心配気味だったりもする。
「水の中ってやっぱ落ち着きますよね……いや、お湯ですけど」
「いいお湯ですねー……」
はふぅ、と息をつくのはサクラ・ユイ(ka1606)だ。
女性陣の身体は少し恥ずかしいので見ないようにしつつ手で水鉄砲をしてお湯を飛ばしたり布でクラゲを作って遊んでいる。
女性用の更衣室に連れていかれそうになって自分は男だと目いっぱい慌てながら主張したのは先ほどのこと。
自分のことを男だと知っていると思っていたので思わぬ誤算だった。
しろくま(ka1607)は水着代わりに洗い立ての着ぐるみを着用。
頭の上にあひるのおもちゃを載せてお風呂遊びを満喫していたのだがどうやら飽きてしまったようで。
「ぶくぶくーくまー!」
潜水しては浮かび上がりの繰り返しで近辺の人を無意識に驚かせている。
戸狩 レニ(ka1783)もその一人で驚かされて悲鳴を上げていたり。
混浴中はみんなの様子を遠巻きに見ながら、日ごろの疲れを取ってのんびりと楽しそうに眺めていた分周りへの警戒も薄れていたらしく随分大きな悲鳴になったそうな。
カルロ・カルカ(ka1608)はマイシャンプーとスキンケア用品を持参、こっそりお酒も持ち込んでいる。
「新年ってのはめでたいんだろ、これぐらい好きにさせろ」
年長者だから、と好き放題している店員を諌めながら日ごろの疲れを癒す。
女性陣や年少者には極力言って聞かせるものの暴れん坊や男性陣には容赦をしない気配が伝わってくる。
「温泉っつーのは産まれてこのかた入ったためしはなかったが……ふん、悪いもんじゃねーな」
機嫌がよくなって持参したお酒を他の成人組に振舞うが湯の中での酒は周りが早いのとどうやらのぼせてしまったようで。
一気に笑い上戸になって大笑いしながらフレンドリーな態度を見せて周囲を困惑させるのだった。
「こ、混浴は少し恥ずかしいですけど、水着ですから大丈夫ですよね」
水着は店員さんのおすすめだと語るモーラ・M・ホンシャウオ(ka3053)だったが此処に来るまでがハプニングの連続だった。
先に足湯のところで貰ってきた温泉卵は高温の湯から直接鷲掴もうとして慌てて止められ、間違って男性用の脱衣所の扉を開きかけ、風呂場では滑ってこける。
これぞホンシャウオ一族の業『突然の火傷』『突然の男湯』『突然の転倒』か、と誰かにからかわれ真っ赤になりつつ否定。
「温泉はやっぱりいいですねぇ」
椿 武龍(ka3096)はそんなモーラの様子を気に欠けつつ飲料水と大き目のタオルを用意しておく。
「あねさんのいくところ、多少の用心は……うん」
モーラが水着のトップスがどこかにいった、と言い出して予感的中。
とりあえず用意しておいたタオルを巻いているように指示して総動員でトップスを探す作業にシフトする。
潜水しながら武龍が探すと排水溝の近くに引っかかっている水着を発見。
「あねさん、あったっすよー」
と駆け寄るが途中で持っていることに照れて女性陣に後を任せ、モーラが着替え終わったら水を差しだすアフターケア。
「ほっとけないっすよなぁ」
モーラのあれこれを思い出して改めて感じるのだった。
「マジちょー楽しみにしてたんだから♪」
海野 星(ka3735)はそんな騒ぎの中がテンションの上りぶりに拍車をかけたのかとても上機嫌だ。
サクラを女子と勘違いしていて男の子になってる、と騒いで危うく泣きかけたりモーラのスタイルの良さに将来有望な自分だって、と対抗意識を燃やしたり。
「てんちょーがなんかのっぺりしてる! 大変! 誰かお水ー! お水ー!」
静かだったバレーヌがのぼせていることに気づいて慌てて追加の水を武龍が用意したり。
「騒がしいがいつものことと言えばいつものことかのぅ。あー、気持ちえいのぅ……」
体が大きい分、しっかりと体を伸ばせる温泉がめったに来られないが好きなガレアス・クーヴェイ(ka3848)はそんな騒ぎを横目に見つつリラックス。
ゆったりと温泉を楽しみつつ寛ぐ気満々で騒ぎがあってもおっとりと眺めつつ「若いのぅ」とほのぼのしている。
背中を流してもらえば自分もお礼にと相手の背中を流し、のぼせた仲間にはみんながいるからはしゃぎすぎたんだろう、と微笑ましげに眺める。
先にあがって他のメンバーが戻ってくるのを待ちながらのぼせた面子を団扇で扇いで解放して。
「風呂に入ると腹が減るのぅ」
そういって再集合した仲間たちに何か食べにいかないかと誘いをかけるのだった。
「……新年会にございますか。私もせっかくですし参加させて頂きましょうか」
ティアナ(ka2639)はせっかくの温泉、ゆったりと心を安らげようと一人で参加。
温泉を楽しんだ後は有志が用意した料理に舌鼓を打つことに。
「ふふ、美味しそうでございますね……んっ。やっぱりもんげぇうまいべよ。こんなおいしいもんがあるべか!?」
普段通り冷静を装おうとしたが口にした料理が余りに美味だったため思わず故郷での口調が露わになってそのギャップに周りが驚いたり。
宴の余興にとマテリアルヒーリングで自分を輝かせながら歌声を披露したりと楽しい時間が過ぎていくのだった。
赤羽 颯(ka3193)はリアルブルー時代からの幼馴染の高瀬 未悠(ka3199)と転移後に保護した妹のような存在である蒼綺 碧流(ka3373)とともに新年会での一時を過ごすことに。
混浴の温泉で二人の水着姿にドキドキしていることを見透かされたのだろうか。
「碧流の肌が男共の視線にさらされるなんて耐えられないわ。
颯、碧流をいやらしい目でみたら許さないわよ」
肌の露出が一番少ない水着に身を包んだ未悠に釘をさされ、見ていない、と慌てて弁論。
温泉で温まった体が凍てつくほどの視線でギロリとにらまれさりげなく視線をそらす。
二人の様子を尻目に石鹸でスケートしてからの温泉へダイブ、泳ごうとした碧流だったが「ぶつかったら貴女も他の人も危ないから」と優しく諭され大人しく温泉に入る。
湯上りは三人で浴衣を纏い部屋を借りて食事。
「改めて二人とも、明けましておめでとう」
料理の出来ない二人のため颯がお手製のおせち料理と碧流の大好物であるプリンを並べる。
「美味しい……いつでもお婿さんに行けるわね」
締めのプリンに感激し、珍しく優しい笑顔で颯を撫でる未悠。
「あはは……ありがとう」
その言葉に何故か複雑な気分になりつつも頭を撫でられ嬉しそうにする。
その後あぁ、そうだった、と颯と未悠から碧流へお年玉。
碧流はお年玉の説明を聞いたあとお返しとして温泉卵を貰ってきて二人に渡したのだった。
「はぁー! 温泉っていいですねー……って何されてるんですか?」
ミネット・ベアール(ka3282)は温泉で癒しのひと時を過ごした後ふと厨房の片隅で何かを作っているルカ・シュバルツエンド(kz0073)の動向が気になり声をかけた。
「うん? 小腹がすいたから何か作ろうかと思ってね。材料は色々あるみたいだし」
ダークマター的な『なにか』の製作者として一部のハンターには既に認知されているルカの料理の腕前。
普通なら止めるべき場所だがミネットはあえて手伝うことを選んだ。
食のためなら努力は惜しまないのが彼女の信条だ。
「これをこうして……あぁ、あれを取ってくれるかな」
「なんか聞いたことのない組み合わせなんですけど……それは食べられるものなのですか?」
「僕は普段からこうやって食べているよ」
その【普段】が雑魔を怯ませるほど強烈な物質なのだが、ミネットは大人しく指示に従う。
やがて出来上がった料理は料理と言っていいのかどうか。
いつも通りの奇抜な色と色付きの煙と凄まじい異臭と目に刺すような痛みをもたらすそれに、ミネットの喉が食欲ではなくやばい、という直感でごくりとなる。
「じゃあ食べようか」
「はい……」
その後医者が呼ばれたとか呼ばれなかったとか。
結論。ダークマターに迂闊に手を出してはいけません。大変危険です。
「今までいろんなものを食べてきましたが……人生の中で一二を争う衝撃の味だったかもしれません。
というかあれ、本当に食べ物なんですか……?」
一口で倒れたのが不幸だったのか幸いだったのか、看護を受けて意識を取り戻したミネットはそんな言葉を口にした。
気絶した他は悪影響はない、という診断と少し休んで食欲が戻ったことから今度はまともな食料探しの旅へ。
食事を楽しみ、散策中に源泉付近で泥に塗れた卵を見かけたが注意するにとどめておく。
もしダークマターだったとしたらまた倒れるのは御免こうむりたいからだ。
「ルカさんが最終的に何を目的にしているかは分かりませんが……到達地点は遠そうですね。
味見役は無理ですがすぐにできる方法……何かないですかね」
とりあえずダークマターのもとになりそうな卵の存在を報告しよう、と一度施設へと戻っていく彼女はもしかしなくても超がつくほどのお人好しなのかもしれない。
「温泉卵! 父から聞いたことがあります……なんか美味しくて美容に良いゆで卵だと! 折角ですので、私もいくつか頂きますね」
エミリー・ファーレンハイト(ka3323)は足湯を利用しながら温泉卵を食べ、卓球も一度は体験してみないと、ということで適当に相手を募って真剣勝負。
恒例となった宣伝は、今回は温泉卵と卓球をアピールすることに。
施設の入り口や街の目立つところに『新発売! 温泉卵』や『卓球台はじめました』という幟を立ててお客さんに認知してもらおうという計画。
一人でも多く呼び込めば、口コミで広まるのを期待できるため、街を練り歩いているのぞきダケのメンバーにも幟を持って宣伝活動にいそしんでもらう。
「知名度が上がればそれだけのぞきダケ達の仕事も増えるのですから、遣り甲斐はあるはず。ゆるキャラの星だって目指せますよ!」
温泉施設の宣伝に熱意を燃やすエミリーと施設関係者の間でがっちりと固い握手が交わされたのだった。
ルドガー・フィン・ガーランド(ka3876)は特定の相手と約束や予定があるわけでもなく、たまたま居合わせたところで招待状を渡され、せっかくだから、と一人でやってきた。
同じ組織に所属しているといっても顔見知りは一人もいない。
が、そんなことは気にせず景色のいい場所を探し出して一人で酒盛りに勤しむルドガー。
「やることもねえと暇なわけだ、無気力、脱力。だから俺は酒を飲む。喧騒な場所だって甘んじて受け入れるのさ」
周りの騒ぎを柳に風のように受け流しながら、どこか達観した様子で酒を煽るのだった。
あちこちで一騒動、で片づけていいのか微妙な規模のハプニングをおこしつつこうしてハンターたちの新年会は賑やかに過ぎていった。
新しい年が始まってまだほんのわずか。ハンターと長い付き合いになりそうなこの温泉施設は客人たちに翻弄されながら今日も『よりよいサービス』を模索中である。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/10 14:21:22 |