• 幻想

【幻想】赤き大地を覆う嵐

マスター:猫又ものと

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2019/02/23 12:00
完成日
2019/03/13 06:37

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 過去は、変えられない。
 それは絶対的なルールであり、人は無力だ。
 消してしまいたい過去は永遠と残り、人を苦悩させる。それでもそこから学び取り前へ進む事だけが許される。
 
 時間は、どんな物にも平等に与えられる。

「過去の追体験ですか。ふふ、おかしなものです。変えられない悲劇を前に、私たちは希望を持って臨もうとしています」
 神霊樹を前に、ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)はそんな言葉を呟いた。
 怠惰王オーロラがもたらしたニガヨモギは、圧倒的な力を振るった。
 犠牲を払って押し留めた部族会議とハンター達であったが、結果的には四大精霊の一人であるイクタサ(kz0246)の手で次元の狭間『アルンフパル』へ封印する事に成功。
 ――しかし。
「過去の情報から、古代文明が準備してきたニガヨモギの対策法を手に入れなければななりません」
 ヴェルナーの言葉にハンター達は頷いた。
 そう、すべてが終わった訳では無いのだ。
 イクタサによれば、強大な負のマテリアルを前にオーロラはいずれ封印を破り辺境の地へ舞い戻ってくる。
 部族会議の決断は神霊樹ライブラリから古代文明の民が作り上げたニガヨモギ対策を調べる事。
 古代文明時代のニガヨモギと現在のニガヨモギに大差が無いのであれば、チュプ大神殿に壁画を残してニガヨモギの存在を知らせようとした古代文明の民がどのように備えようとしていたかが分かるはずだ。
「残された時間が如何程かは分かりません。これを最後のチャンスと考えて調査をお願いします」
 ヴェルナーの声が響く中、ハンター達ライブラリへと意識を向かわせる。
 大精霊と深く繋がった今、ライブラリの深部へと沈んでいく。


●赤き大地を覆う嵐
 辺境の大地を撫でる乾いた風。それに身を任せながら、皺を蓄えた白髪の翁は目を閉じる。
 ――幾度となく怠惰の軍勢と戦い、人々と幻獣が住まう土地を守ってきたが、ついにこの日が来た。
 迫りくる怠惰王。それが撒き散らす災厄が辺境を覆えば大変なことになる。
 決戦の日は明日。必ず、ここで食い止めねば……。
 決意を固める翁に、若い兵が声をかける。
「オイマト老。本当に皆と一緒に避難しなくて良いんですか?」
「当たり前だ。老骨ではあるがまだ戦えるぞ?」
「そういうことではなくて……オイマト老を必要としている人が沢山います。今からでも遅くありませんよ」
「何を言うかと思えば。……俺はもう十分すぎる程生きた。この命、皆の為に使わせてくれ」
 目尻に皺を寄せて、穏やかに微笑む翁。その姿に、兵士達の目に涙がにじむ。
「オイマト老……! すみません。俺達にもっと力があれば、貴方を戦地に送らずに済んだものを……」
「何を泣くことがある。イクタサ様も我々の為に心を砕いて下さった。チュプ大神殿には災厄への対抗策を作り出す研究員が来るのだろう?」
「それはそうですが……」
「幻獣王もお前達も戦ってくれている。……俺1人が逃げる訳にはいかん。それに部族には息子達がいる。いずれこの地に白き龍も戻るだろう。何の心配もいらないさ」

 そうだ。母を喪い、孤独だったあの時も、白龍とデュンファリ……そして、道を示してくれた人達がいた。
 その後、己の腕を磨きながら生きて――家族を得た。
 思えば、とても良い人生だったと……そう思う。
 未来は若い手によって紡がれる。希望は繋がっている。
 それを確かなものにする為に、己の余命を使う。それだけの話だ。

「……さあ、明日は決戦だ。せめて今日は、皆で楽しく過ごそう」
 若き兵士の背を励ますように叩くオイマト。
 ――薄曇りの空は、優しい今日から、絶望の明日へと続いて行く。

リプレイ本文

 これは嵐の前の静けさ、と言うのだろうか。
 遥か昔であるはずの辺境は、ハンター達が良く知る時代と変わらぬ穏やかな風が吹いている。
 燃える薪を囲むようにして、沢山の人々が集まっていた。
 燃え盛る火に負けぬように歌い、踊る……。
 辺境の民の力強さを感じていたシアーシャ(ka2507)は、キヅカ・リク(ka0038)がいない事に気付いた。
「あれ? キヅカさんはどこだろ?」
「先に研究機関に寄ってから来るって言ってたですの。すぐ戻って来ると思うですの」
 ディーナ・フェルミ(ka5843)の言葉にそっか、と頷くシアーシャ。
 人々の輪の中にそっと加わるハンター達。既に宴もたけなわで、不意に現れた彼らを気にする者はいない。
 イスフェリア(ka2088)は人々の輪の中に、皺を蓄えた白髪の翁を見つけて目を細める。
 ――間違いない。あの人はオイマトさんだ。
 小さい子を抱えながら、彼の若い頃に似た雰囲気の男の人と話している。
 話をしているのは息子さんだろうか……。
「……幸せそうじゃの」
「うん。そうだね」
 煙管を咥えたまま呟く蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009)に、頷くイスフェリア。
 エステル・ソル(ka3983)が翁の姿を見て目を丸くした。
「あのお爺さん、バタルトゥさんのご先祖さん……ですよね。バタルトゥさんに雰囲気似てるです」
「若い頃はもっと似ておったぞえ」
「えっ。蜜鈴さん、若い頃のオイマトさんに会ってるですか!?」
「うむ。以前の依頼での」
 蜜鈴の言葉にいいなあ、と言いかけたエステル。任務を思い出してぷるぷると首を振る。
 焚火を囲み、踊る人達の輪の中に混じり、ステップを踏むディーナとシアーシャ。
 人々の唄声。太鼓を打ち鳴らす音。
 そこに絶望は感じられない。ただただ、命への感謝と、明日への希望を感じて、胸が詰まる。
 ふと、オイマト老が人の輪から外れていくのが目に入って、イスフェリアが声をあげた。
「オイマトさん、どこか行くみたい」
「追いかけよう。オイマト老と話がしたい」
 いつの間にか戻って来ていたリク。
 仲間達は、そっとオイマト老の後を追う。


 喧騒を離れたオイマト老は、独り夜空を見上げていた。
 穏やかな時間を邪魔するようで何だか悪いなと思いながら、イスフェリアはそっとその背に声をかける。
「……オイマトさん」
「久しいのう。随分と男前が上がったようじゃな」
「お前達は……また精霊様の悪戯か。よくよく精霊様に縁のある生涯と見える」
 イスフェリアと蜜鈴の姿に驚いたように目を見開いた後、くつりと笑うオイマト。
 以前もそうだったし、今回もそうではないかと思っていたけれど……予想通り『精霊の悪戯』を覚えていてくれた事が嬉しくて、イスフェリアの頬が緩む。
 思わぬやり取りに、リクがあんぐりと口を開けた。
「えっと。ちょっと予想外の流れなんだけど……?」
「お前も異邦の者か」
「はい。ちょっとこの場に居合わせた普通の戦士という事にしておいて貰えると」
「……訳ありのようだな」
 リクの言葉に理解を示す翁。ディーナは前に出ると、深々と頭を下げる。
「精霊とエクラの名の下に参上しました、ディーナ・フェルミと申しますの。明日の戦いにおいて、先達のお知恵を拝借したく罷り越しましたの」
「明日の戦い? それは異邦のお前達には関係あるまい」
「そんな事ないよ。わたし達も怠惰王と戦ってるんだよね」
「はい。私達の文献に残された怠惰王の名はオーロラと言うですの。オイマトさんが戦う怠惰王の名はご存知ですの?」
 シアーシャの補足に続けるディーナ。それに、オイマトは首を振る。
「いや、怠惰王は怠惰王だ。名前などない」
「そうなんです? 姿は見た事あります?」
「いつも深い霧のようなもの……ニガヨモギに覆われていてな。ハッキリと姿を見た者はいないのだ」
 エステルの問いに答えた彼。仲間達は顔を見合わせる。
 彼らの時代の怠惰王……オーロラはいつでも怠惰の感染を撒き散らしている訳ではないけれど。
 この時代の怠惰王は、常時ニガヨモギを撒き散らしているという事なのだろうか……。
 考え込んでいたシアーシャは、気になっていた事を口にする。
「ねえねえ。オイマトさんは、ニガヨモギって名前は誰がつけたのか知ってる?」
「分からんが、生前の白龍がそのように呼んでいた。怠惰王が引き起こす厄災だとな」
「そうなんだ。ニガヨモギの防御方法ってあったりするの?」
「ある。俺達はその装置と、民を守る為に残るのだ。怠惰王を打ち払う事は出来なかったとしても、それがあれば生き延びる事が出来るゆえな」
 翁の言葉に目を丸くするイスフェリア。顔を上げてオイマトを見る。
「その装置については何か知ってる?」
「あ、それについては聞いて来た。何かね、ニガヨモギの対抗用装置があるらしい」
 彼女の問いに、オイマトの代わりに答えるリク。翁もうむ、と頷く。
「それについては、俺も説明を受けた。……『ホナ』という鉱石があるのだが、異世界から来た者達とクリムゾンウェストの技術者が、協力してマテリアルを増幅させるモノを作ったと」
「ふむ。研究機関とは三つの世界が協力しての事であったのじゃな。して、その増幅させるモノとはなんじゃ?」
「エバーグリーンから持ち込まれたものと言う事以外は聞いておらぬ」
「僕も装置が何であるかまでは聞けなかった。けど、問題が1つ聞けた。そのホナの増幅を制御する装置はマテリアル不足で長くは稼働できないんだって。チュプ神殿の保有しているマテリアルを回そうとしてるらしいけど……間に合うかどうかってとこみたい」
 蜜鈴の質問に答える翁とリク。その言葉に、イスフェリアが眉根を寄せる。
 ――この時代の人達の大半が息絶えたのは、恐らく結界が持たなかったから。
 マテリアルの供給が間に合わなかったのだろう。
 ……ニガヨモギに蹂躙された辺境の歴史。災厄の記憶。
 もう終わってしまった過去で、今更話したところで歴史は変えられないけれど。
 それでも……何も伝えずにいる事は出来なくて。
「あの。私達が知ってる範囲でですけど、ニガヨモギの効果範囲をお知らせします」
「……この情報が、役に立つ事を祈ってるですの」
「……ありがとう。俺達も、お前達も――明日が掴めるよう、武運を祈っている」
 穏やかな笑みを見せる翁。ディーナとエステルは悲し気に目を伏せる。
 ――自分達は、自分達の時代を救う為に、『過去』に知恵を借りに来たのだ。
 ここで何が起きたのか。どんな事が行われたのか。
 どんなに辛くても、悔しくても……見届けるしかない。
「……オイマト老。1つ聞きたい事があるんだけど。未来の者達に伝えたい事って何かある?」
「何だ? 急に」
「えっと……わたし達は通りすがりの戦士だけど、『精霊の悪戯』でオイマトさんの子孫に伝わるかもしれないでしょ?」
 真剣な眼差しを向けるリクに不思議そうな顔をする翁。アワアワと続けたイスフェリアに、オイマトは低い声で笑う。
 ――この人が、オイマト族の祖。何百年も生命が、部族が連なっている。それはすごい事だと、シアーシャも思う。
 だからこそ、彼の言葉を持って帰りたかった。
「……ベスタハだ。対抗策はそこにある。想いを信じろ。お前達の明日は続いている」
「分かったです。必ず、伝えるです」
 こくりと頷くエステル。あの人に良く似た翁を、橙色の目に焼き付けて――。


 ――そして。その日はやって来た。
「良いか! 出来るだけ時間を稼ぐ! 恐れるな! 辺境の未来の為に!」
「辺境の未来の為に!!」
 オイマトの鼓舞に、勝鬨で応える戦士達。その光景を、イスフェリアは黙って見守る。
 ――彼の母親が犠牲になってオイマトを助け、今度は彼が若人のために犠牲になろうとしている。
 誰かが犠牲になって他を救う事は、これで最後にしなくては……。
 前方から聞こえて来た地響きに、エステルが振り返る。
「何です? 怠惰王です?!」
「いや、違う……。あれは巨人じゃ」
 蜜鈴の目に映る怠惰の巨人。それは、こちらに気付く様子もなく。怯えるように、何かから逃げるように走っていて……。
「……往け、エステル。上空からあれらを見極めておくれ」
「はい……! 分かったです。蜜鈴さんも気を付けてくださいです」
 蜜鈴の声に頷き、箒で空へと駆け上がるエステル。
「――来たな」
 オイマト老の囁くような声。
 巨人達の後方から、とてつもなく巨大な暗雲が迫って来ていた。
「……あれが怠惰王とニガヨモギ……?」
 呻くリク。以前の依頼で仲間達が記録していたデータより遥かに大きいように感じる。
 ――見るだにヤバイ。巨人も逃げ惑っているという事は、敵も味方も関係なく命を奪われるのだろう。
 これだけ大規模なものとなるハンターが小手先の工夫だけでどうにかできる代物じゃない。
 ……だからこそ探すんだ。
 その意思を受け継がなきゃいけない、僕達は……!
 守護者として覚醒し、更に勇気の力を開放するリク。
 リクは剣を構えるとバイクに駆り、暗雲に近づいて行く。
 その横をすり抜けるようにして、ディーナがママチャリで一気に駆け抜け、雲のような霧に突っ込んで行き――。
 それに覆われた途端、ガクン、と足から力が抜けた。
 怠惰王に迫ろうにも、ペダルが漕げない。
 全身が重たい。猛烈な虚脱感。──前に進むどころか、立っているのも難しい。
「こ、んな……」
 苦し気に息を吐くディーナ。
 ……ダメだ。怠惰王に接敵して、攻撃して、攻撃が効くか試さないといけないのに……。
 指が動かず、武器を取り落とす。
 ママチャリごと倒れ込むが、動く事が出来ない。
 意志が、思いが……奪われていく。
「……全く。オイマトよ。正面からぶつかるなどと策も何もないではないか」
「そうでもない。幻獣王が囮ならば、俺達は言わば肉の壁だ。皆が逃げる時間と、装置にマテリアルを供給する時間が稼げればいい」
「詭弁よな。まあ良い。付き合うてやるわ。やっと、供に戦場に立てる程の男になったかえ」
 くすくすと笑う蜜鈴。不敵に笑うオイマトに、若かりし面影を見て、彼女は目を細める。
 ――ニガヨモギ。現で目の当たりにすれば漏れなく死ぬだろうが。記録の中であれば……あえて『死ぬ事』で分かる事があるかもしれない。
 かつて、この時代に生きた白龍とデュンファリに未来へ繋ぐと誓った。
 約束は叶えるべきものだ。
 現で友を救う為に……友の力となる為に、犠牲は問わぬ。
 そんな事を考えている間にも、襲い来るニガヨモギ。
 周囲に出来る限り支援を与えていたイスフェリアだったが、1人、また1人と倒れていく。
 彼女も、己のマテリアルを活性化していたが、劇的な効果は感じられない。
 他の人より長い事立っていられるところを見ると、全く効果がないという訳ではなさそうだったが……。
 息苦しい。このままではまずい。逃げ延びた民に合流しなくては……。
 イスフェリアは離脱を試みたが、足が動かなかった。
 苦しいというよりは、眠い。猛烈に頭が重い……。
 超覚醒をしているリクはかろうじて動けるようだったが、それでも大分苦しそうだった。
 そして、見る。
 ニガヨモギを撒き散らしているモノを。その姿を。
 怠惰の霧で良く見えないが、ビックマーではない。
 ただ、女性にも、獣にも見える。
 ――自分達の時代の怠惰王とは違うものなのだろうか。
 そして必死にオーロラが持っていた白百合を探すが……今の怠惰王が持っているようには見えなかった。
「くそ、白百合って何なんだ……?」
「あ、ぐっ……」
 上空から、弓で怠惰王を狙っていたエステルは、じわりじわりと力が抜けていくのを感じていた。
 おかしい。確かに距離を取っていた筈なのに。
 過去の怠惰王のニガヨモギは、オーロラのそれより効果範囲が広かったのか……?
 何度か試した攻撃は、当たったのだろうが……どこまでダメージが通ったかまでは霧が濃すぎて見極めが出来なかった。
 高度を保てず、ゆるゆると落ちていくエステル。
 必死に、自分の身に起きている症状を観察する。
 溶ける。溶けていく。内面が……兄の顔も、友達の顔も、あの人の顔も、思い出も、執着も、己を作るもの、全て、全て――。
 忘れたくない。忘れたくないのに……ああ、あの人は誰だったです?
 シアーシャも大地に身を投げ出して、動けなくなっていた。
 ……ああ、この時代の怠惰王とか、ブラッドリーがこの時代にいるかとか、色々気になる事があったのに。
 何だかどうでもよくなってしまった。
 これって、楽しくない。楽しくないよ……。
 楽しくない事だもの、やめてしまいたい――。
 目を閉じる彼女。近くで何かが倒れる音がしたけれど、見る元気もない。
 蜜鈴は、魔法の成就を妨害するスキルも、己が発生させた重力波もあまり効果がない事を悟った。
 ――否、ニガヨモギの効果範囲に入ったせいで、上手く詠唱が出来なかったのかもしれない。
 ともあれ……どうせ夢なれば、過去に結んだ縁と供に逝くも悪くは無い。
 膝をついた翁の手を取り、蜜鈴は笑う。
 ――眠れ、オイマト。妾がお前を看取ろう。
 母に大手を振って会いに行けるのう。立派なお前を見てさぞ喜ぶじゃろうて。
 ――はて、おんしは誰であったか。まあよい、妾も眠ろう。
 
 ――オイマトはこの戦いで命を落とした。
 遺された辺境の民は、偉大な指導者を偲び、オイマト族を名乗るようになったと言う。


 記憶の遡行より戻って来た彼らは、起き上がるなりため息をついた。
「うええ……。すごく疲れたですの……。正直あそこまで酷いと思ってなかったですの」
 ぐったりとしているディーナ。イスフェリアも身を起こして、見て来た事を思いだす。
「ニガヨモギには支援系のスキルはあんまり効果ないみたい。全く意味がない訳ではなさそうだけど……動ける程ではかなかったかな」
「超覚醒してたら動けはしたけどダメだわ。死んだわ。無理無理」
 首をコキコキと鳴らすリクに、蜜鈴も頷く。
「妾も水鏡を試したが効果としては微妙じゃったな。やはり、あのオイマトが言っておった『ホナ』という鉱石でなければ難しそうじゃ」
「確か、『ホナ』って部族会議の人達が怠惰の感染用の結界の要に使ってたです。あれをもっともっと強くすればいいって事ですね」
「そうだね。えっと……オイマトさんは対抗策はベスタハにあるって言ってたよね。そこに行けば、増幅装置が残ってるのかな」
 エステルとシアーシャの言葉に顔を見合わせるハンター達。
 ベスタハ――。
 オイマト族が引き起こした厄災の元凶となった場所。沢山の辺境の戦士達が死んだ悲劇の地。
 そこに、過去の遺産であるニガヨモギの対抗策があるなんて、なんて皮肉な話だろう。
 それでも。そこに希望があるなら行かなくては――。
 彼らは決意を新たに、怠惰王との戦いに備えるのだった。

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参加者一覧

  • 白き流星
    鬼塚 陸(ka0038
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • 導きの乙女
    イスフェリア(ka2088
    人間(紅)|17才|女性|聖導士
  • 力の限り前向きに!
    シアーシャ(ka2507
    人間(紅)|16才|女性|闘狩人
  • 部族なき部族
    エステル・ソル(ka3983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • ヒトとして生きるもの
    蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009
    エルフ|22才|女性|魔術師
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 打ち合わせ場所
エステル・ソル(ka3983
人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2019/02/23 11:04:50
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/02/19 23:14:49