ゲスト
(ka0000)
恨みを晴らす石を見つけ出せ!
マスター:赤山優牙

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/01/21 19:00
- 完成日
- 2015/01/26 02:47
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●港町ガンナ・エントラータにて
その女性が仲間と共に、この港町にやって来たのは十数年ぶりの事であった。
今は仲間達はそれぞれが別々で活動している。
金を稼ぐ為、あるいは、新たな仲間を集める為、そして、女性は忘れる事のない事件の恨みを晴らす為。
「場所も違うし、形状も違う」
女性が視界の中にある恨晴石を見て言った。
己の全てと交換で恨みを晴らしてくれるという石があるという噂を、『再び』聞いて、女性は自分の目的とは別に、恨晴石の行方を追っていた。
苦労して見つけ出した恨晴石は、崩れかけた教会の中、台座に神々しく置かれているが、それは、女性が知っている恨晴石とは全然似ていない。
「お待ちしておりました」
どこからか、クルセイダーローブに身を包んだ緑髪の少女が姿を現した。
「仲間からは、ここで待っているのは、イケメンだと聞いていたが?」
「主は所用により、代わりに私が」
丁寧に一礼をする少女。
歳は13前後なのに、その雰囲気は、街中の子供とは違った違和感を感じさせた。
「それで、どう、私の恨みを晴らすのに協力してくれるのかな?」
「詳しい話は、別の場所で……」
少女はくるっと優雅に回ると、音もなく静かに歩き出した。
●恨晴石
「目的は達成した。もはや、必要はない」
ローブの男が、黒い剣を振り降ろし、恨晴石を真っ二つにした。
己の全てと交換で恨みを晴らす石の事を聞いたのは、従者からだった。従者はたまたま乗り合わせた馬車の中で、その噂話を聞いたという。
そして、従者を使い、その噂の元を探らせた。
男は、噂の真相から、ある事に恨晴石を利用する事を思いついた。
一つは、人間の恨みを利用して、人間達の社会にダメージを与える事。
いくつかの恨みを晴らす事ができた。
その後始末をハンター達がやっていた事は、男は知らないし、もし、知ったとしても、なにも思わないに違いない。
もう一つは、オリジナルの恨晴石と関係する人物に接触する事。
思ったよりも早く、その人物と接触できた。
引き続き、石を使っても良いだろうが、あまり目立ち過ぎるのもよくない。
そういう事で、男は恨晴石を破壊したのであった。
「せっかくだ。ここまで辿り着いた者へ、褒美を残しておこう」
不気味な笑みを男は浮かべるのであった。
●とあるハンターオフィスにて
受付嬢が不満そうな表情をしていた。
そういえば……この受付嬢、年末年始からずっと居る様な気がしないでもない。
「クリスマスに、年末年始……そして、バレンタインデー。私には恋のチャンスすらない……」
ハンターが目の前に来ているにも関わらず、ボソっとなにか言っている。
「これも、全部、あの上司が悪いんだ」
恨みのこもった言葉が駆け抜けた所で、ハンターがいる事に気が付き、ハッとなった。
慌てて体裁を取り繕い、営業スマイルを向ける。
「あ、こ、この依頼ですね。そうなんです。恨晴石の行方を追う事になります」
そして、資料を手渡された。
「なんでも、恨みを晴らす石という怪しい物があるとの噂だそうで、調査する事になりました」
場所は港町ガンナ・エントラータだ。
王国のユニオン【アム・シェリタ】の責任者でもあるヘクス・シャルシェレットが治める町でもある。
「そんな石があるなら、私も……あ、いえ、なんでもないです」
誤魔化しているが目が怖い。
これは相当の恨みだろう。
「そ、それ以外の条件などは、この資料を確認して下さい。もし、依頼を引き受けて下さるのでしたら、こちらにサインをお願いします」
早く依頼を決めるか、立ち去るかしないと、八つ当たりされそうな雰囲気を受付嬢は放っていたのであった。
その女性が仲間と共に、この港町にやって来たのは十数年ぶりの事であった。
今は仲間達はそれぞれが別々で活動している。
金を稼ぐ為、あるいは、新たな仲間を集める為、そして、女性は忘れる事のない事件の恨みを晴らす為。
「場所も違うし、形状も違う」
女性が視界の中にある恨晴石を見て言った。
己の全てと交換で恨みを晴らしてくれるという石があるという噂を、『再び』聞いて、女性は自分の目的とは別に、恨晴石の行方を追っていた。
苦労して見つけ出した恨晴石は、崩れかけた教会の中、台座に神々しく置かれているが、それは、女性が知っている恨晴石とは全然似ていない。
「お待ちしておりました」
どこからか、クルセイダーローブに身を包んだ緑髪の少女が姿を現した。
「仲間からは、ここで待っているのは、イケメンだと聞いていたが?」
「主は所用により、代わりに私が」
丁寧に一礼をする少女。
歳は13前後なのに、その雰囲気は、街中の子供とは違った違和感を感じさせた。
「それで、どう、私の恨みを晴らすのに協力してくれるのかな?」
「詳しい話は、別の場所で……」
少女はくるっと優雅に回ると、音もなく静かに歩き出した。
●恨晴石
「目的は達成した。もはや、必要はない」
ローブの男が、黒い剣を振り降ろし、恨晴石を真っ二つにした。
己の全てと交換で恨みを晴らす石の事を聞いたのは、従者からだった。従者はたまたま乗り合わせた馬車の中で、その噂話を聞いたという。
そして、従者を使い、その噂の元を探らせた。
男は、噂の真相から、ある事に恨晴石を利用する事を思いついた。
一つは、人間の恨みを利用して、人間達の社会にダメージを与える事。
いくつかの恨みを晴らす事ができた。
その後始末をハンター達がやっていた事は、男は知らないし、もし、知ったとしても、なにも思わないに違いない。
もう一つは、オリジナルの恨晴石と関係する人物に接触する事。
思ったよりも早く、その人物と接触できた。
引き続き、石を使っても良いだろうが、あまり目立ち過ぎるのもよくない。
そういう事で、男は恨晴石を破壊したのであった。
「せっかくだ。ここまで辿り着いた者へ、褒美を残しておこう」
不気味な笑みを男は浮かべるのであった。
●とあるハンターオフィスにて
受付嬢が不満そうな表情をしていた。
そういえば……この受付嬢、年末年始からずっと居る様な気がしないでもない。
「クリスマスに、年末年始……そして、バレンタインデー。私には恋のチャンスすらない……」
ハンターが目の前に来ているにも関わらず、ボソっとなにか言っている。
「これも、全部、あの上司が悪いんだ」
恨みのこもった言葉が駆け抜けた所で、ハンターがいる事に気が付き、ハッとなった。
慌てて体裁を取り繕い、営業スマイルを向ける。
「あ、こ、この依頼ですね。そうなんです。恨晴石の行方を追う事になります」
そして、資料を手渡された。
「なんでも、恨みを晴らす石という怪しい物があるとの噂だそうで、調査する事になりました」
場所は港町ガンナ・エントラータだ。
王国のユニオン【アム・シェリタ】の責任者でもあるヘクス・シャルシェレットが治める町でもある。
「そんな石があるなら、私も……あ、いえ、なんでもないです」
誤魔化しているが目が怖い。
これは相当の恨みだろう。
「そ、それ以外の条件などは、この資料を確認して下さい。もし、依頼を引き受けて下さるのでしたら、こちらにサインをお願いします」
早く依頼を決めるか、立ち去るかしないと、八つ当たりされそうな雰囲気を受付嬢は放っていたのであった。
リプレイ本文
●恨晴石を求めて
港町の大通りで恨晴石の噂を探す二人のハンター。
クオン・サガラ(ka0018)とセリス・アルマーズ(ka1079)だ。
「恨みを晴らす石? さぁ、知らないな」
色々な情報を集める為に、恨みを晴らす石の事について訊ねて回っているが、有効な話がなかなか捕まらない。
中には、つい先程、船で到着したという人もいた程だ。
「市場の方へ行ってみますか?」
クオンが次に向かう場所を遠慮がちに指差した。
余り、目立つ様な行動は得策ではないかと思っているからだ。
「少しは噂も集まったし、次に行こうか」
忘れない様に書き込んだメモを、改めて確認するセリス。
そこには、『昔に聞いた事がある』『投げつけてストレスを発散する道具』とか、様々な事が記してあった。
「市場に行く前に、仲間達に連絡します」
「そうだね。それがいいよ」
ハンター達は分かれて調査をしている。
「……」
無言でお互い見つめ合うクオンとセリス。
周囲から見れば、恋人同士の素敵な時間に見える事だろう。
事実、彼らの傍を『こんな所で見つめ合うんじゃねよ』的な視線で通行人が気を使って通る。
「もしかして……」
クオンは魔導短伝話を握りしめた。
「……連絡手段も、落ち合う場所も……」
セリスの手にあったメモが、ハラリと地面に落ちる。
「決めてないです!」
「決めてないよ!」
二人の声が重なった。
そう……ここに来て、彼らは重大なミスに気がついたのであった。
●港の倉庫街にて
「確か、この倉庫だったわね」
シエラ・ヒース(ka1543)の目の前には古い赤レンガの倉庫。
以前、この倉庫に現れた雑魔を退治する依頼を受けていたからだ。
ハンターオフィスで、その事件の事後も含めて調べたシエラは、被害者と取引するはずだった古倉庫の管理人と連絡が取れていた。
「倉庫の中で亡くなった方達の商会は、従業員を扱き使うという話があったので、なにかしらの恨みを従業員が持っていてもおかしくないですね」
「笑って死んでいた人の事は、知らないかしら?」
管理人の言葉にシエラは訊ねる。
「そこまでは……そうだ、信用できる情報屋を紹介します」
首を傾げた管理人だが、ポンと手を叩いた。
そこへ、港で船員等を中心に聞き取りをしていたリンカ・エルネージュ(ka1840)がやってきた。
「恨晴石と直接関係があるかわからないけど……」
前置きするリンカ。
「半月以上前の話で、古倉庫の周辺で怪しい人影がいたって」
「鍵が壊された時期と一致しますね」
その話に、管理人が応える。
「やっぱり、私達が遭遇した事件は、恨晴石と繋がりがある気がするわ」
「人以外の存在も見え隠れしそうだね」
シエラとリンカは頷きあう。
もし、恨みを晴らせるのが、雑魔絡みになるのであれば、そんな物騒なものは放置できない。
「情報屋がいる店の場所はこちらになります」
管理人からメモを手渡された。
繁華街の一角にある酒場のようだ。
「行こう! シエラさん!」
「そうね。きっと、掴めるはず」
恨晴石への真相へ。
二人は繁華街に向かって駆け出した。
●住宅街にて
ネリー・ベル(ka2910)は困惑していた。
三組に分かれて調査。後に集合し、情報交換するはずだったのだが……。
連絡手段もなければ、落ち合う場所も決めていなかった。
「とはいえ、ここまで来たし」
住宅街まで来ているので、ここで情報を集めようと思った。
手に、いっぱい飴玉を持っているテトラ・ティーニストラ(ka3565)が子供達に話かける。
「願いを叶えてくれる石、なーんて知らない? 知ってる子にはアメちゃんあげよう!」
子供がわらっと群がってきた。
その後ろに、なになに? と子供達の保護者がついてくる。
「知らなくてもあげよう!」
得意気なテトラが飴を渡しつつ、傍にいた大人に訊ねた。
「子供の教育に悪い! って噂を聞いたこと無いですか?」
「恨晴石の事かしら?」
集まった何人かから「聞いた事ある」といった声があがる。
「その噂の出元ってわかります?」
ネリーが質問に、お互い顔を見合す住民。そのうちの一人が言った。
「その噂って、私が小さい頃からあるから、そうね……20年以上前からなんじゃ」
「そ、そんなに昔からあるの!」
テトラが飴を撒き散らしながら驚く。
「街中に雑魔が出たとか、ハンターが出てくるとかそういう話はどう?」
「最近、特に物騒な話は聞くけど、ほんと、最近だしね~」
石の噂は昔からあるのに、物騒になったのは最近だという。
「噂の事を、もっと詳しく知っている人は?」
しかし、誰も分からないようだ。
ただ、貴重な情報は得られたはずだ。二人は次の調査場所に向かう事にした。
●市場にて
「ありがとうございます」
客を装ったクオンが薬品を扱っている店から出た。
ここは港町の市場だ。様々な店が所狭しと並んでいて人通りも多い。
(恨みを晴らす石……という事は恨みを持ち、衛兵や自警団を頼れない人間が利用するだろうから……)
こういう場所ではなく、路地や別の場所の方が情報が得られやすいのかなと彼は思った。
「この店もダメでしたねって、セリスさん! どうしたんですか、それは?」
店の外で待っていたはずのセリスが両手いっぱいに食べ物を持っていた。
「ほ、ほら、いい買物してくれた客には、知っている事教えてくれるかなって」
「だからって……また、良い物ばかり買いましたね」
「クオン君もどうぞ」
干し肉を一つ受け取る。
そういえば、昼食を食べずに調査に専念していたと思い出す。
「数をこなして、情報を集めるしかなさそうですね」
「そうだね。良い仕事の達成のために必要な出費は惜しまない、それがお金の使い方!」
次は一体なにを買うつもりなのだろうか。
干し肉の次に、セリスが美味しいチーズを手に入れた後、2人は、とある男性の元に辿り着いた。
その男は、なんでも、恨晴石に願い事をしたという……。
「また、その話か……まぁ、おかげでこちらの商売も戻ったからいいんだけどよ」
今度は魚の干物を買わされる。
「ちょーむかつく奴がいるからよ。探し回って、その石を見つけたんだよ」
独特のイントネーションが神経を逆なでするが、グッと堪えるクオン。
セリスはまるで懺悔でも聞くように、静かに聞いている……ように見える。
「そしたらよ! 可愛い女の子が出てきて! 『貴方の全てと交換で』とか言うだぜ! そんなの御免だ。俺は逃げてきたね!」
威張って言う事でもないだろうにと思いながら、クオンが早々に切り出すのであった。
「その場所、教えて貰っていいですか」
●繁華街にて
管理人から教えて貰った店に入った。
マスターが1人いる以外は、誰もいない。これじゃ、こっそり聞き耳出来ないな~とリンカは思った。
「いらっしゃい」
カウンターの向こう側にいるマスターがぶっきらぼうな声をかけてきた。
駆け足気味で駆け寄るリンカとシエラ。
「不躾で悪いけど、聞きたいことがあるの……恨晴石について」
「ここにはどうやって?」
「えとね。古倉庫の管理人からだよ」
リンカが元気な笑顔で答える。
マスターは深くため息をついた。
「まぁ、いい。さて、いくら出してくれるのかな。あんたらなら身体でも良さそうだな」
2人の前にジュースが置かれる。
一瞬、シエラが不満そうな表情をしたのは、ジュースのせいなのか、マスターの言葉のせいなのか。
トンとカウンターにお金の入った袋を置くシエラ。
「そうだとしたら、莫大なおつりがいるわよ」
首を竦めるマスターは袋の中身を確認した。
「ふん。なら、エルフのお嬢ちゃんは抜きでいいよ」
「え? なぁに?」
状況がいまいち飲み込めないリンカを、そのままに、更に二つ袋をカウンターに置いた。
「よしよし。よく聞けよ。一度しか言わないからな」
マスターはそう前振りしてから語りだした。
恨晴石の噂は20年位前からあった事。
15年程前に噂がなくなったが、年明け前から噂が再び出る様になった事。
その時期から、街中で雑魔が出現する事件と重なる事。
そして、年明け前に、緑髪の少女がその噂の元を探していた事。
「ここからは、俺の推測だが、この少女が、ここ最近の街中での雑魔事件に絡んでいると踏んでいる」
「狙いはなにかしら?」
ジュースを美味しそうに飲むリンカを横目に訊ねるシエラ。
「恨晴石は、恨みを晴らすのに『己の全てと交換で』という話がある。交換される物に高い価値があれば、それは理由になるんじゃないかな」
「なるほどね~」
リンカが納得した様に頷く。
「なにかと代償に願いを叶えるなんて話はありがちだが、そうまでして願いを叶えたいという人間がいる限り……恨晴石はいくらでも、姿形を変えて、出現する……そんな気が俺はするよ」
「そうね……ありがとう。ごちそうさま」
マスターの不気味な話しに、ジュースを一気に飲み干たシエラだった。
●狭く入り組んだ路地
時折、飢えた狼のような男が怪しい視線を飛ばしてくるが、ネリーとテトラは気にした様子もなかった。
トラブルになっても逃げるだけだし、なにより、2人は覚醒者である。本気になれば、不届き者など怖くない。
「恨晴石の事、知りません?」
「へへへ。おねーちゃん達。一緒にあそんって、イテテテテ!」
テトラが無警戒に近付いてきた愚かな男の頬を引っ張った。
「……アメちゃんあげるから教えて? ねっ♪」
そう言いながら、手には手裏剣を持っていたりするのだが。
男は悲鳴を上げて逃げていった。
「まったく、これじゃ、埒が明かない」
ため息をつくネリー。
その時、視線の先で酔っ払いと目が合う。
「なにか、知っているのなら、これで、どう?」
ブランデーをチラリと見せる。
酔っ払いは震える手で、ある家の戸を指差した。
お酒を渡し、その戸を叩く2人。
「誰だ?」
中から野太い声がした。
「恨晴石の事について、話を……」
「飴もいっぱいあるよ!」
バンっと大きな音と共に、戸が開き、中から小太りの男が出てきた。
「あれは、俺が若い頃に、転移者から聞いた物語が面白く、俺がパクっただけなんだ」
そう言い放ち、戸を閉めようとする所をガッと足を入れて防ぐテトラ。
「飴ちゃん、あげるからさぁ!」
強引に戸から顔を捻じ込んでくる彼女の顔は相当怖かったそうな。
小太りの男いわく、20数年前に出逢った転移者がリアルブルーの話で、必殺なんちゃらという物語を聞かされたそうだ。
恨みを晴らす殺し屋に憧れ、そういった物が、この街にも欲しいと思ったので、恨晴石なるものを作ったのだ。珍しい形をした石を置いただけという。
「で、でも、15年位前に、俺が作ったものは壊されたんだよ!」
言い訳する様に叫ぶ小太りの男。
「最近、雑魔が出現してる事件とは無関係なの?」
迫るネリーに震える小太りの男。
「し、知らないよ。もう、なんなんだ。立て続けに俺を責め立てて!」
「私達以外にも誰か来たのね?」
「は、はいぃ。頼みますから、叩かないで下さいぃ!」
よほど怖い目に合ったのだろうか、何もしていないネリーに酷く怯える。
「誰か来たの?」
「ひ、1人は、緑髪の少女で、つ、次は、もう、恐ろしい暴力女で!」
そう言って、小太りの男は、頭を抱えて蹲った。
ネリーとテトラは目を合わす。とりあえず、情報は確保できただろう。
●恨晴石
崩れかけた教会に、台座があった。
台座の上には、二つに割れた石がある。
「あれが、恨晴石……ですかね?」
クオンが周囲を警戒しながら、言った。
本来ならば、他の仲間達と一緒にこの場にいただろう。だが、合流できる術がなかった。
「間違いないね。きっと、あれだよ」
セリスが嬉しそうな声をあげる。
一度、ハンターオフィスまで戻ろうかとも2人は思ったが、時間が迫っている中、彼女の想いが優先された。
『不気味な噂は 人々を不安にさせるわ。さっさと解決して、皆の心に光の加護を!』
こうして、2人で恨晴石にやってきたのだ。
だが、来てみれば、石は真っ二つに切断されている。
「もっと近くで調査が必要ですね」
クオンの台詞通り、遠目から見ているだけではよくわからない。
周囲は人の気配がまったくなく、なにかが潜んでいても不思議ではない感じがした。
神々しい台座の上に、真っ二つになった石の切断面は綺麗だった。
「せっかくだから、あの石を持ち帰ろうかな」
セリスが石に手を掛けようとした瞬間、崩れかけた教会の屋根裏からなにかが飛びだしてくる。
鋭い爪が彼女の青い瞳にめがけて伸びてきた。
●あるハンターオフィスにて
依頼を受け取った場所でハンター達4人が仲間の帰りを待っていた。
「まさか、皆して、魔導短伝話やトランシーバーを忘れるだなんてね」
シエラが苦笑を浮かべる。
「飴は忘れなかったんだけど」
ペロっと舌を出したのはテトラだ。
「きっと、大丈夫なんだろうけど、心配だなぁ~」
リンカが不安そうな表情で、入口の方を見ていた。
依頼の最中に不慮の事故に合う可能性も否定できない。
「情報は整理ができた」
報告書への記入が終わったネリー。
だが、肝心の石の場所は分からなかった。
「帰って来た?」
誰か呼ぶ声が聞こえ、リンカがそんな声を上げた時だった。
「ただいまー!」
「遅くなりました」
セリスが豪快に扉を開けて帰って来た。
その後ろに、申し訳なさそうに入ってきたのは、クオンだ。
「はいこれ、恨晴石だよ!」
真っ二つになった石を両手でそれぞれ持って宣言する。
その言葉に、4人が驚愕した。
「い、石が、割れちゃってる!」
リンカが目を丸くして叫んだ。
「さ、最初からだよ。私がやったわけじゃないよ」
慌てて弁解するセリス。
「恨晴石の傍で猫の雑魔がいまして……」
「それで、遅くなったのか」
ネリーが肩を降ろした。
「いえ、猫の雑魔は瞬殺だったです」
「それは、もふもふしたかったな~」
テトラが頬を押さえながら、なにか妄想している。
「それじゃ、遅くなったのは、デート?」
「そ、そんなんじゃありません! 迷子です!」
無邪気なリンカの言葉に、クオンが恥ずかしそうに叫んだ。
彼の手には魔導短伝話が握りしめられていた。
きっと、何度も呼び掛けていたのだろうと容易に想像できる。
「無事に依頼は達成という事ですね」
ネリーが淡々と言ったが、どことなく安堵しているようにも見える。
報告へと向かう一行の一番後ろでシエラが情報屋の話を思い出していた。
(恨晴石が姿形を変えて、出現するなら、それを利用する者も……)
なにも無い場所に唐突に雑魔は出現しない。
今回、恨晴石の場に雑魔がいたのは偶然じゃないはずだ。
(人ならざる何者かが、恨晴石を利用しているのね……)
港町の恨晴石は壊れた。
しかし、きっと、別の場所で、また別の恨晴石が出現するのだろう。
そんな予感が過ったのであった。
おしまい。
港町の大通りで恨晴石の噂を探す二人のハンター。
クオン・サガラ(ka0018)とセリス・アルマーズ(ka1079)だ。
「恨みを晴らす石? さぁ、知らないな」
色々な情報を集める為に、恨みを晴らす石の事について訊ねて回っているが、有効な話がなかなか捕まらない。
中には、つい先程、船で到着したという人もいた程だ。
「市場の方へ行ってみますか?」
クオンが次に向かう場所を遠慮がちに指差した。
余り、目立つ様な行動は得策ではないかと思っているからだ。
「少しは噂も集まったし、次に行こうか」
忘れない様に書き込んだメモを、改めて確認するセリス。
そこには、『昔に聞いた事がある』『投げつけてストレスを発散する道具』とか、様々な事が記してあった。
「市場に行く前に、仲間達に連絡します」
「そうだね。それがいいよ」
ハンター達は分かれて調査をしている。
「……」
無言でお互い見つめ合うクオンとセリス。
周囲から見れば、恋人同士の素敵な時間に見える事だろう。
事実、彼らの傍を『こんな所で見つめ合うんじゃねよ』的な視線で通行人が気を使って通る。
「もしかして……」
クオンは魔導短伝話を握りしめた。
「……連絡手段も、落ち合う場所も……」
セリスの手にあったメモが、ハラリと地面に落ちる。
「決めてないです!」
「決めてないよ!」
二人の声が重なった。
そう……ここに来て、彼らは重大なミスに気がついたのであった。
●港の倉庫街にて
「確か、この倉庫だったわね」
シエラ・ヒース(ka1543)の目の前には古い赤レンガの倉庫。
以前、この倉庫に現れた雑魔を退治する依頼を受けていたからだ。
ハンターオフィスで、その事件の事後も含めて調べたシエラは、被害者と取引するはずだった古倉庫の管理人と連絡が取れていた。
「倉庫の中で亡くなった方達の商会は、従業員を扱き使うという話があったので、なにかしらの恨みを従業員が持っていてもおかしくないですね」
「笑って死んでいた人の事は、知らないかしら?」
管理人の言葉にシエラは訊ねる。
「そこまでは……そうだ、信用できる情報屋を紹介します」
首を傾げた管理人だが、ポンと手を叩いた。
そこへ、港で船員等を中心に聞き取りをしていたリンカ・エルネージュ(ka1840)がやってきた。
「恨晴石と直接関係があるかわからないけど……」
前置きするリンカ。
「半月以上前の話で、古倉庫の周辺で怪しい人影がいたって」
「鍵が壊された時期と一致しますね」
その話に、管理人が応える。
「やっぱり、私達が遭遇した事件は、恨晴石と繋がりがある気がするわ」
「人以外の存在も見え隠れしそうだね」
シエラとリンカは頷きあう。
もし、恨みを晴らせるのが、雑魔絡みになるのであれば、そんな物騒なものは放置できない。
「情報屋がいる店の場所はこちらになります」
管理人からメモを手渡された。
繁華街の一角にある酒場のようだ。
「行こう! シエラさん!」
「そうね。きっと、掴めるはず」
恨晴石への真相へ。
二人は繁華街に向かって駆け出した。
●住宅街にて
ネリー・ベル(ka2910)は困惑していた。
三組に分かれて調査。後に集合し、情報交換するはずだったのだが……。
連絡手段もなければ、落ち合う場所も決めていなかった。
「とはいえ、ここまで来たし」
住宅街まで来ているので、ここで情報を集めようと思った。
手に、いっぱい飴玉を持っているテトラ・ティーニストラ(ka3565)が子供達に話かける。
「願いを叶えてくれる石、なーんて知らない? 知ってる子にはアメちゃんあげよう!」
子供がわらっと群がってきた。
その後ろに、なになに? と子供達の保護者がついてくる。
「知らなくてもあげよう!」
得意気なテトラが飴を渡しつつ、傍にいた大人に訊ねた。
「子供の教育に悪い! って噂を聞いたこと無いですか?」
「恨晴石の事かしら?」
集まった何人かから「聞いた事ある」といった声があがる。
「その噂の出元ってわかります?」
ネリーが質問に、お互い顔を見合す住民。そのうちの一人が言った。
「その噂って、私が小さい頃からあるから、そうね……20年以上前からなんじゃ」
「そ、そんなに昔からあるの!」
テトラが飴を撒き散らしながら驚く。
「街中に雑魔が出たとか、ハンターが出てくるとかそういう話はどう?」
「最近、特に物騒な話は聞くけど、ほんと、最近だしね~」
石の噂は昔からあるのに、物騒になったのは最近だという。
「噂の事を、もっと詳しく知っている人は?」
しかし、誰も分からないようだ。
ただ、貴重な情報は得られたはずだ。二人は次の調査場所に向かう事にした。
●市場にて
「ありがとうございます」
客を装ったクオンが薬品を扱っている店から出た。
ここは港町の市場だ。様々な店が所狭しと並んでいて人通りも多い。
(恨みを晴らす石……という事は恨みを持ち、衛兵や自警団を頼れない人間が利用するだろうから……)
こういう場所ではなく、路地や別の場所の方が情報が得られやすいのかなと彼は思った。
「この店もダメでしたねって、セリスさん! どうしたんですか、それは?」
店の外で待っていたはずのセリスが両手いっぱいに食べ物を持っていた。
「ほ、ほら、いい買物してくれた客には、知っている事教えてくれるかなって」
「だからって……また、良い物ばかり買いましたね」
「クオン君もどうぞ」
干し肉を一つ受け取る。
そういえば、昼食を食べずに調査に専念していたと思い出す。
「数をこなして、情報を集めるしかなさそうですね」
「そうだね。良い仕事の達成のために必要な出費は惜しまない、それがお金の使い方!」
次は一体なにを買うつもりなのだろうか。
干し肉の次に、セリスが美味しいチーズを手に入れた後、2人は、とある男性の元に辿り着いた。
その男は、なんでも、恨晴石に願い事をしたという……。
「また、その話か……まぁ、おかげでこちらの商売も戻ったからいいんだけどよ」
今度は魚の干物を買わされる。
「ちょーむかつく奴がいるからよ。探し回って、その石を見つけたんだよ」
独特のイントネーションが神経を逆なでするが、グッと堪えるクオン。
セリスはまるで懺悔でも聞くように、静かに聞いている……ように見える。
「そしたらよ! 可愛い女の子が出てきて! 『貴方の全てと交換で』とか言うだぜ! そんなの御免だ。俺は逃げてきたね!」
威張って言う事でもないだろうにと思いながら、クオンが早々に切り出すのであった。
「その場所、教えて貰っていいですか」
●繁華街にて
管理人から教えて貰った店に入った。
マスターが1人いる以外は、誰もいない。これじゃ、こっそり聞き耳出来ないな~とリンカは思った。
「いらっしゃい」
カウンターの向こう側にいるマスターがぶっきらぼうな声をかけてきた。
駆け足気味で駆け寄るリンカとシエラ。
「不躾で悪いけど、聞きたいことがあるの……恨晴石について」
「ここにはどうやって?」
「えとね。古倉庫の管理人からだよ」
リンカが元気な笑顔で答える。
マスターは深くため息をついた。
「まぁ、いい。さて、いくら出してくれるのかな。あんたらなら身体でも良さそうだな」
2人の前にジュースが置かれる。
一瞬、シエラが不満そうな表情をしたのは、ジュースのせいなのか、マスターの言葉のせいなのか。
トンとカウンターにお金の入った袋を置くシエラ。
「そうだとしたら、莫大なおつりがいるわよ」
首を竦めるマスターは袋の中身を確認した。
「ふん。なら、エルフのお嬢ちゃんは抜きでいいよ」
「え? なぁに?」
状況がいまいち飲み込めないリンカを、そのままに、更に二つ袋をカウンターに置いた。
「よしよし。よく聞けよ。一度しか言わないからな」
マスターはそう前振りしてから語りだした。
恨晴石の噂は20年位前からあった事。
15年程前に噂がなくなったが、年明け前から噂が再び出る様になった事。
その時期から、街中で雑魔が出現する事件と重なる事。
そして、年明け前に、緑髪の少女がその噂の元を探していた事。
「ここからは、俺の推測だが、この少女が、ここ最近の街中での雑魔事件に絡んでいると踏んでいる」
「狙いはなにかしら?」
ジュースを美味しそうに飲むリンカを横目に訊ねるシエラ。
「恨晴石は、恨みを晴らすのに『己の全てと交換で』という話がある。交換される物に高い価値があれば、それは理由になるんじゃないかな」
「なるほどね~」
リンカが納得した様に頷く。
「なにかと代償に願いを叶えるなんて話はありがちだが、そうまでして願いを叶えたいという人間がいる限り……恨晴石はいくらでも、姿形を変えて、出現する……そんな気が俺はするよ」
「そうね……ありがとう。ごちそうさま」
マスターの不気味な話しに、ジュースを一気に飲み干たシエラだった。
●狭く入り組んだ路地
時折、飢えた狼のような男が怪しい視線を飛ばしてくるが、ネリーとテトラは気にした様子もなかった。
トラブルになっても逃げるだけだし、なにより、2人は覚醒者である。本気になれば、不届き者など怖くない。
「恨晴石の事、知りません?」
「へへへ。おねーちゃん達。一緒にあそんって、イテテテテ!」
テトラが無警戒に近付いてきた愚かな男の頬を引っ張った。
「……アメちゃんあげるから教えて? ねっ♪」
そう言いながら、手には手裏剣を持っていたりするのだが。
男は悲鳴を上げて逃げていった。
「まったく、これじゃ、埒が明かない」
ため息をつくネリー。
その時、視線の先で酔っ払いと目が合う。
「なにか、知っているのなら、これで、どう?」
ブランデーをチラリと見せる。
酔っ払いは震える手で、ある家の戸を指差した。
お酒を渡し、その戸を叩く2人。
「誰だ?」
中から野太い声がした。
「恨晴石の事について、話を……」
「飴もいっぱいあるよ!」
バンっと大きな音と共に、戸が開き、中から小太りの男が出てきた。
「あれは、俺が若い頃に、転移者から聞いた物語が面白く、俺がパクっただけなんだ」
そう言い放ち、戸を閉めようとする所をガッと足を入れて防ぐテトラ。
「飴ちゃん、あげるからさぁ!」
強引に戸から顔を捻じ込んでくる彼女の顔は相当怖かったそうな。
小太りの男いわく、20数年前に出逢った転移者がリアルブルーの話で、必殺なんちゃらという物語を聞かされたそうだ。
恨みを晴らす殺し屋に憧れ、そういった物が、この街にも欲しいと思ったので、恨晴石なるものを作ったのだ。珍しい形をした石を置いただけという。
「で、でも、15年位前に、俺が作ったものは壊されたんだよ!」
言い訳する様に叫ぶ小太りの男。
「最近、雑魔が出現してる事件とは無関係なの?」
迫るネリーに震える小太りの男。
「し、知らないよ。もう、なんなんだ。立て続けに俺を責め立てて!」
「私達以外にも誰か来たのね?」
「は、はいぃ。頼みますから、叩かないで下さいぃ!」
よほど怖い目に合ったのだろうか、何もしていないネリーに酷く怯える。
「誰か来たの?」
「ひ、1人は、緑髪の少女で、つ、次は、もう、恐ろしい暴力女で!」
そう言って、小太りの男は、頭を抱えて蹲った。
ネリーとテトラは目を合わす。とりあえず、情報は確保できただろう。
●恨晴石
崩れかけた教会に、台座があった。
台座の上には、二つに割れた石がある。
「あれが、恨晴石……ですかね?」
クオンが周囲を警戒しながら、言った。
本来ならば、他の仲間達と一緒にこの場にいただろう。だが、合流できる術がなかった。
「間違いないね。きっと、あれだよ」
セリスが嬉しそうな声をあげる。
一度、ハンターオフィスまで戻ろうかとも2人は思ったが、時間が迫っている中、彼女の想いが優先された。
『不気味な噂は 人々を不安にさせるわ。さっさと解決して、皆の心に光の加護を!』
こうして、2人で恨晴石にやってきたのだ。
だが、来てみれば、石は真っ二つに切断されている。
「もっと近くで調査が必要ですね」
クオンの台詞通り、遠目から見ているだけではよくわからない。
周囲は人の気配がまったくなく、なにかが潜んでいても不思議ではない感じがした。
神々しい台座の上に、真っ二つになった石の切断面は綺麗だった。
「せっかくだから、あの石を持ち帰ろうかな」
セリスが石に手を掛けようとした瞬間、崩れかけた教会の屋根裏からなにかが飛びだしてくる。
鋭い爪が彼女の青い瞳にめがけて伸びてきた。
●あるハンターオフィスにて
依頼を受け取った場所でハンター達4人が仲間の帰りを待っていた。
「まさか、皆して、魔導短伝話やトランシーバーを忘れるだなんてね」
シエラが苦笑を浮かべる。
「飴は忘れなかったんだけど」
ペロっと舌を出したのはテトラだ。
「きっと、大丈夫なんだろうけど、心配だなぁ~」
リンカが不安そうな表情で、入口の方を見ていた。
依頼の最中に不慮の事故に合う可能性も否定できない。
「情報は整理ができた」
報告書への記入が終わったネリー。
だが、肝心の石の場所は分からなかった。
「帰って来た?」
誰か呼ぶ声が聞こえ、リンカがそんな声を上げた時だった。
「ただいまー!」
「遅くなりました」
セリスが豪快に扉を開けて帰って来た。
その後ろに、申し訳なさそうに入ってきたのは、クオンだ。
「はいこれ、恨晴石だよ!」
真っ二つになった石を両手でそれぞれ持って宣言する。
その言葉に、4人が驚愕した。
「い、石が、割れちゃってる!」
リンカが目を丸くして叫んだ。
「さ、最初からだよ。私がやったわけじゃないよ」
慌てて弁解するセリス。
「恨晴石の傍で猫の雑魔がいまして……」
「それで、遅くなったのか」
ネリーが肩を降ろした。
「いえ、猫の雑魔は瞬殺だったです」
「それは、もふもふしたかったな~」
テトラが頬を押さえながら、なにか妄想している。
「それじゃ、遅くなったのは、デート?」
「そ、そんなんじゃありません! 迷子です!」
無邪気なリンカの言葉に、クオンが恥ずかしそうに叫んだ。
彼の手には魔導短伝話が握りしめられていた。
きっと、何度も呼び掛けていたのだろうと容易に想像できる。
「無事に依頼は達成という事ですね」
ネリーが淡々と言ったが、どことなく安堵しているようにも見える。
報告へと向かう一行の一番後ろでシエラが情報屋の話を思い出していた。
(恨晴石が姿形を変えて、出現するなら、それを利用する者も……)
なにも無い場所に唐突に雑魔は出現しない。
今回、恨晴石の場に雑魔がいたのは偶然じゃないはずだ。
(人ならざる何者かが、恨晴石を利用しているのね……)
港町の恨晴石は壊れた。
しかし、きっと、別の場所で、また別の恨晴石が出現するのだろう。
そんな予感が過ったのであった。
おしまい。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 リンカ・エルネージュ(ka1840) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/01/21 05:46:44 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/16 20:19:16 |