ゲスト
(ka0000)
くねくねしてる何となく気持ち悪いゴブリン
マスター:秋月雅哉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/01/23 22:00
- 完成日
- 2015/01/25 00:11
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●くねくねしてます、いつ、いかなる時でも
そのゴブリンは自覚していた。自分が他のゴブリンと『違う』ということを。自覚した当初は悩みもした。変わろうともした。
けれど変われなかった。そして、彼は変わらないことを、ありのままの自分でいることを選んだ。
その結果、意外と同じような弾きものはいるもので、彼の周りには似たような思考を持つゴブリンたちがいつのまにか集まり始めた。
まるで彼自身を味方を見分ける旗代わりにして、孤軍奮闘する者たちが仲間を求めて集うかのようだった。
彼らは夢について熱く語り合った。……くねくねしながら。
「どうせ私たちハ、ゴブリンの中でモ特殊嗜好。それなら目標ハ高くいきましょう。むさいゴブリンより、人間の男!」
そうだ、人間の男性をナンパに行こう。自分たちが特殊なようにもしかすると男性型のゴブリンを愛してくれる奇特な人間もいるかもしれない、それがゴブリンたち(全員男性)の出した答えだった。
「……なんかもう、『頭痛が痛い』って崩壊した言葉はこういう時に使うんだなって、実感したくもないのに実感したよ、僕は」
なんか変な依頼ばっかり斡旋するように取り持たれるせいで僕はそろそろ禿げてしまいそうだ。
眉間のしわを揉み解しながら実年齢はトップシークレットのルカ・シュバルツエンド(kz0073)がやれやれ、と書類を机に広げる。
「オカマのゴブリンたちが、人間の男性をナンパしまくってるから何とかしてくれって」
は? と聞き返すのが大多数だった覚醒者たちにルカはもう一度口を開く。
「オカマのゴブリンたちが、人間の男性をナンパしまくってるから何とかしてくれって」
大事なことじゃないし理解したくなくて聞き返したんだろうけど何度でもいうよ、その荒んだ口調が功を奏したのか、三度目は言わずに済んだようだ。
「オカマのポリシーなのか振られても相手に危害は出てないから、一日集団デートに付き合って、相手を傷つけないように……心身ともに、ね。そのうえで何とかして説得するのが穏当と言えば穏当かな。
まぁ常にくねくねしてるから何となく気持ち悪かったり殴りたかったりはするかもしれないけどさ。とてつもなくポジティブなゴブリンたちみたいだから上手く説得できればゴブリンを恋愛対象としてみるようになってくれるかもしれないし。
もともと当たって砕けろっていうか、自分たちに共感してくれる男性や美容についてアドバイスしてくれる女性が欲しかったみたいだし、気が済めば勝手に帰ってくれるかも。
武装してない、そして誰にも身体的には危害を加えていないゴブリンたちを殺すってなると、そのゴブリンたちが属しているゴブリンの群れとも一戦交えることを想定しないといけないからね。あんまり推奨はしない」
ナンパに繰り出しているゴブリンは総勢十人。依頼を受けるハンターの男女比にもよるが人手は足りないしとりあえずはみんなで仲良く、を目標に、最終的にお引き取り願う。
「まぁ……いろいろ思うところはあると思うけどさ、人生の酸いも甘いも味わったゴブリンにいっそ人生相談でもしてみたら。オカマって何となく母性愛強そうなイメージあるし甘やかしてくれるかもよ」
ただし怒らせると猛烈に怖いイメージも僕としてはあるから、失礼のないようにね。
それだけ言うともう何も聞きたくない、と言わんばかりにルカは回転椅子を回してハンターたちに背を向けた。
そのゴブリンは自覚していた。自分が他のゴブリンと『違う』ということを。自覚した当初は悩みもした。変わろうともした。
けれど変われなかった。そして、彼は変わらないことを、ありのままの自分でいることを選んだ。
その結果、意外と同じような弾きものはいるもので、彼の周りには似たような思考を持つゴブリンたちがいつのまにか集まり始めた。
まるで彼自身を味方を見分ける旗代わりにして、孤軍奮闘する者たちが仲間を求めて集うかのようだった。
彼らは夢について熱く語り合った。……くねくねしながら。
「どうせ私たちハ、ゴブリンの中でモ特殊嗜好。それなら目標ハ高くいきましょう。むさいゴブリンより、人間の男!」
そうだ、人間の男性をナンパに行こう。自分たちが特殊なようにもしかすると男性型のゴブリンを愛してくれる奇特な人間もいるかもしれない、それがゴブリンたち(全員男性)の出した答えだった。
「……なんかもう、『頭痛が痛い』って崩壊した言葉はこういう時に使うんだなって、実感したくもないのに実感したよ、僕は」
なんか変な依頼ばっかり斡旋するように取り持たれるせいで僕はそろそろ禿げてしまいそうだ。
眉間のしわを揉み解しながら実年齢はトップシークレットのルカ・シュバルツエンド(kz0073)がやれやれ、と書類を机に広げる。
「オカマのゴブリンたちが、人間の男性をナンパしまくってるから何とかしてくれって」
は? と聞き返すのが大多数だった覚醒者たちにルカはもう一度口を開く。
「オカマのゴブリンたちが、人間の男性をナンパしまくってるから何とかしてくれって」
大事なことじゃないし理解したくなくて聞き返したんだろうけど何度でもいうよ、その荒んだ口調が功を奏したのか、三度目は言わずに済んだようだ。
「オカマのポリシーなのか振られても相手に危害は出てないから、一日集団デートに付き合って、相手を傷つけないように……心身ともに、ね。そのうえで何とかして説得するのが穏当と言えば穏当かな。
まぁ常にくねくねしてるから何となく気持ち悪かったり殴りたかったりはするかもしれないけどさ。とてつもなくポジティブなゴブリンたちみたいだから上手く説得できればゴブリンを恋愛対象としてみるようになってくれるかもしれないし。
もともと当たって砕けろっていうか、自分たちに共感してくれる男性や美容についてアドバイスしてくれる女性が欲しかったみたいだし、気が済めば勝手に帰ってくれるかも。
武装してない、そして誰にも身体的には危害を加えていないゴブリンたちを殺すってなると、そのゴブリンたちが属しているゴブリンの群れとも一戦交えることを想定しないといけないからね。あんまり推奨はしない」
ナンパに繰り出しているゴブリンは総勢十人。依頼を受けるハンターの男女比にもよるが人手は足りないしとりあえずはみんなで仲良く、を目標に、最終的にお引き取り願う。
「まぁ……いろいろ思うところはあると思うけどさ、人生の酸いも甘いも味わったゴブリンにいっそ人生相談でもしてみたら。オカマって何となく母性愛強そうなイメージあるし甘やかしてくれるかもよ」
ただし怒らせると猛烈に怖いイメージも僕としてはあるから、失礼のないようにね。
それだけ言うともう何も聞きたくない、と言わんばかりにルカは回転椅子を回してハンターたちに背を向けた。
リプレイ本文
●くねくね。そしてくねくね。ずっとくねくね
ゴブリンの中にもオカマという存在はどうやらいるようで、彼らは『望みは高く、山は高いほど登りたい』という心境から人間をナンパにやってきた。
しかし人間同士でも同性のナンパの成功率は恐らく低い。
まして種族が違うしなんかくねくねしていてどことなく気持ち悪い。
そんなわけでゴブリンたち、連戦連敗。
断れば潔く引いてくれるある意味男気あふれるオカマたちなのだが、一般人にとってはゴブリンは恐怖らしく。
そんなこんなで「なんとかして」と依頼が持ち掛けられたのだった。
「……異端を誤魔化してなんとか世界と折り合おうとしてる身としては、異端を受け入れてる姐さんがたは一つの在り方として尊重するし尊敬するよ。
たとえ種族は違ってもね」
そんなわけで一日限定、過度な肉体接触がなければ、普通にデートするよ、と名乗りを上げた一人、レイフェン=ランパード(ka0536)は周りがピクニックの定番、弁当を持ち込んでいるのを手伝いながら待ち合わせの場所に向かっていた。
藤堂研司(ka0569)は友好的なゴブリンで、男なのに姐御肌ということに驚きを隠せていない様子。
「生きてりゃいろいろあるもんだなぁ、異世界すげぇ。
ここは是非ともデートさせてもらって、人生相談でもさせてもらうかね」
どんな好みにも応えられるように種類豊富にたくさん作ったお弁当。
ゴブリンたちもきっと喜んでくれることだろう。
「ぬぬーん。おかま? のごぶりんさん、とは……?
よくわかんないっすけど楽しめそうっすー♪」
仮面をつけているため実際の表情は分からないが口調は十分に楽しそうな狛(ka2456)は覚醒状態でないと仮面を外すのが恥ずかしいのだと語る。
時期的に寒いだろうから、と毛布を持参。
自身の好物である焼き芋もたくさん焼いてきてゴブリンたちが食べてくれたらいいな、と思っている狛だった。
「迷惑はかかっているみたいじゃが、悪い輩ではなさそうなのじゃ。平和に仲良くやりたいのぅ」
ヴィルマ・ネーベル(ka2549)はおにぎりの入ったバスケットを軽く揺らした。
(説得……恋愛経験ゼロの我じゃがそれっぽく聞こえるかのぅ? 恋愛について書かれた本は読んできてそれを引用するつもりじゃが……)
そんな一抹の不安も抱えつつ、目指すは楽しく女子トーク。
「人間にもいろんな人がいるんだし。ゴブリンにもいろんなゴブリンがいる……わよね」
あまりに尖った個性の持ち主たちだったため思わず確認形で呟いてしまったのは柏部 狭綾(ka2697)だった。
ゴブリンたちにもお弁当を作ってもらおうと考えた狭綾は料理がダメなら自分が教えるしゴブリンの味覚が人間と同じかどうかは分からないから凄いものができるかもしれない、という危惧はあったが「料理なら任せテ!」とやる気を見せているゴブリンたちに、貴方たちの料理の腕が心配だから一緒に作ろう、というのは気分を害してしまうのではないか、と思い直し食材だけ渡して任せることに。
(あとは、男性陣の頑張り次第よね?)
訳すと要は食べろという強制である。
Bridget・B(ka3117)は好きな少年がいるもののまだ告白成功しておらず、今までに三度言って三度失敗中。
その一途さが大事ということと、引いて目立たなく、家具に徹する使用人の美徳のようなものが内助の功になるのではないか、と食い下がるつもりだった。
「ゴブリンの生態に興味があるよ。いろいろ聞いてみるね。
あぁ、待ち合わせ場所にみえる団体さんはくだんのゴブリンたちかな?」
エリオット・ウェスト(ka3219)が視線で示すと十人分の影がくねくねとうごめいているのが見えた。
「ちゃんとお話するのハ初めてネェ~。今日はどうぞよろしくゥ」
ゴブリンたちが挨拶する。その間もくねくねは止まらない。
若干異様な光景をものともせず研司が口を開く。
「おーい、ゴブ姐さんたちや、待ったかい。俺もデートの経験はないが、アレだろ。一緒に遊びに行くのがデートってもんだろ。
ここはひとつ! その辺の山丘にでも繰り出してピクニックデートと洒落込もうや!
でっけぇシート敷いて弁当広げてさ! 最高だぜ!」
そんな言葉にゴブリンたちがうふふと笑う。
「元気な子は好きヨ~。さ、行きまショ」
「あら、寒いから屋外は嫌、とか言わないのね?」
狭綾がすこし意外そうに問いかけるとゴブリンたちはまたおかしそうに笑う。
「アタシたちが一緒に入れるお店ってなるとゴブリンの集落に来てもらうことになるし、それじゃあムードに欠けるモノ。
それに、お弁当を持ってきたってことは屋外の方が盛り上がるじゃナイ?」
「毛布も持ってきてくれテルみたいだし」
「寒さを建前にベッタリ引っ付く機会ヲ逃す野暮は此処にはいないわヨ?」
言おうとしていた「寒さを建前にベタベタ引っ付いていちゃつける」という口実は向こうもしっかり想定済みだったらしい。
一行は見晴らしのいい丘にシートを広げて車座になってお弁当を食べながら交流を深めることに。
ゴブリンたちの弁当は意外と綺麗に整っていて、人間が食べる物が多く詰められていた。
「近くに人間の集落があるから時々料理を教わりに行ってたのヨ。男は胃袋で掴め、ってネ」
「姐さんに相談があるんだけど、いいかな」
レイフェンが問いかけるとゴブリンたちは嬉しそうにくねくねした。
どうやら頼られることは嬉しいらしい。
「うん。僕もさあ。ふとした時に自分が普通の人たちとは違うって気づいてね。いつか世間に迷惑を翔琉に違いない、みたいな扱いばっかりされてさぁ。
そんなんだから普通に暮らしてて普通に仲良くなれた人にも、距離置癖がついてるんだよね。
僕のは別にひけらかしたり理解を求めるもんじゃないからさ、隠してるって言うか言うつもりはないんだけど……納得はしてるけど割り切れてはいないみたいな感じで……その辺、姐さんたちはどうだったの?」
「隠さないことを選んダあたしと貴方のケースだとちょっと違ウけれど……あたしも最初は悩んだワ。どうして自分ハ人と違うのかってネ。
同じ二なろうともした。あたしなりに頑張ったケド、無理だって事に気づいてからは隠すのをやめたわ。
集落では変ナもの見る目で見られるし、子供ハ親に近づくナって教えられたりもする対象。
だけどね、それもあたしの個性だって、あたしはあたしなんだから仕方ないって割り切ったら、仲間もできたシ、仲間たちト人間ヲなんぱをするようになったから貴方たちにも会えタ。
隠さないことを選ぶのがダメとは言わないケレド、開き直ってしまうと楽になる面モあるわヨ」
リーダー格のゴブリンが自分の過去を交えて語った言葉にレイフェンは時折頷きながら最後にありがとうと告げた。
「ゴブ姐さん、話のタネでもねぇけどさぁ……俺、転移してきたんだけど、いずれ帰りてぇんだ。
ただ、こっちはこっちで仲良くやりたいんだが……こっちに根を張って生きることに躊躇しちゃってなぁ……いずれ別れようとしてるのにって思っちまうんさ。
だから店もテントのままよ、どうすりゃいいんだろうなぁ」
研司の言葉に反応したのは別のゴブリンだった。
ゴブリンの外見での区別は人間にはつけ難いがそれを承知しているのかゴブリンたちはそれぞれ特徴のある衣装を身に着けていたし、車座になっているから最低限の区別はつけられる。
「それならね、自分の中デ、賭けヲしたらどうかシラ?」
「賭け?」
「こっちの世界でこの人がいるならどちらの世界デモ生きていける、この人がいないと生きていけナイ。そんな出会いヲするのが先カ、元いた世界二戻る方法を見つけるのガ先か。此処の世界二根を張れないノハきっと貴方がまだ寄る辺ヲ見つけられていないカラ。世界ノ枠組みなんてどうでもいいって言う出会いヲ、貴方がまだしてないカラだと思うワ。心を根本から揺さぶられる出会イがあれば、世界なんて関係ないワヨ、多分ね」
「なるほどなぁ……だいぶ楽になった! 人生の先輩に相談するってのは、ほんとに救われるぜ」
「恋愛面デハ私もそんな出会いにはまだ巡り合えていないケレド……姐さんが一人デ胸張って生きてる姿を見た時は心揺さぶられたワ」
どうやらリーダーは姐さんと呼ばれているらしい。
狛は焼き芋を勧めながらどんな人がタイプなのか、趣味は、などと聞いて親しくなったゴブリンと柴犬と一緒に散歩に出かけた。
はしゃぎ回るとゴブリンが疲れてしまうだろうからゆっくりと、話をしながらの散歩を楽しむ。
ゴブリンたちの悩みを聞いてあげたい、という狛の願いが偶然か必然か叶った結果となった。
まだ若い(らしい)ゴブリンで皆ほど開き直れていないのが悩みだという。
うんうん唸りながら解決策を考える狛の姿に、仲間からも弾かれてる自分の悩みを真剣に聞いてくれる人間に出会えて感動した、と年若いゴブリンはお礼を言うのだった。
ヴィルマは本で読んだ知識をゴブリンたちに伝授。
女からナンパをすると安くみられる、しかもひっかかるのは碌な男ではない。自分を磨き魅力を上げれば自然と良い男の方から寄ってくる。
最初からいい男だけでなく駄目男のいいところを伸ばしていい男に育て上げる方がより自分の好みになる。
それにそれは真に良い女にしかできない。周りのゴブリンがむさいから嫌だと思っていないでそこからどう育てるかが女の腕の見せ所、と。
熱弁にゴブリンたちからおぉ、と声が上がった。どうやら効果があったようだ。
狭綾はゴブリンに秘密の相談事。少し離れた場所で暫く話し合ったあと彼女なりの答えを見つけるヒントになったらしく相談に乗ったゴブリンにぺこりと頭を下げて戻ってきた。
Bridgetの失恋話を聞き、それでも諦めきれない乙女心をゴブリンたちは応援し、「やはり男性には何度でもアタックあるのみなのでは?」という結論にたどり着いた。
周りがヒヤッとしたが「それ位いい男を、ゴブリンの集落で見つけ出すのも女の審美眼が鍛えられそうね」という流れに落ち着いてほっと胸をなでおろす。
「貴方もその子に振り向いてもらえるよう頑張るのヨ! 直接的なアピールだけじゃなく花言葉を意識した花の贈り物トカちょっとしたあぴーるのちゃんすを逃さないのよ!」
「はい、頑張ります!」
恋する乙女は強い。たとえそれが恋に恋するゴブリンでも。
エリオットはゴブリンの社会についていろいろと質問をし、手作りのアクセサリーを見て細工師はいるのかや、生活がどんな感じなのか、人間と接してみて具体的にどんなところが違うと感じるかなどを問いかける。
自分が考えた種族の定義やそれぞれの種族同士の進化の課程での関わり合いなども含めて様々な持論を展開した。
それを踏まえて自分がリアルブルーから来て二つの世界の違いなども思いつくままに語る。
調べることに夢中で、ナンパをとめさせることは忘れていたエリオットだったがゴブリンがまだ幼い少年が色々と持論を展開していくのを温かい目で眺めていたのでまるで種族の垣根を越えた親子のようにも見えたかもしれない。
それぞれがそれぞれの方法でゴブリンと交流し、そろそろお別れの時間。
悩み相談をしたレイフェンと研司がゴブリンの集落でスナックを開いてみては、と提案した。
悩みを抱えた男性が相談に来るかもしれないし、自分たちも行きたい、と告げると「駄目男を育てていくのネ」とやる気になるゴブリンたち。
新しい目標を見つけて目を輝かせているゴブリンたちを送って、集団デートは終わった。
スナックにかなり前向きな姿勢をむけていたので、人間の男性をナンパにくることはもうないだろう。
ハンターたちは悩みを聞いてもらってほっとしたり穏便に終わったことにほっとしたりしながら帰途を辿ったのだった。
「店がおーぷんしたら是非遊びに来てネ」
と満面の笑顔でゴブリンたちはそんなハンターたちを見送り、自分たちの相手をしてくれたことに感謝の念を深く抱いていたのだった。
その後ゴブリンの集落でスナックがオープンし、最初は安くて美味い料理と酒が目当て、あるいはある種の度胸試しを兼ねて足を運ぶゴブリンがポツリポツリと現れ、男性視点でも女性視点でも悩みに一筋の導を示してくれるママたちに常連客も増えたそうである。
ゴブリンの中にもオカマという存在はどうやらいるようで、彼らは『望みは高く、山は高いほど登りたい』という心境から人間をナンパにやってきた。
しかし人間同士でも同性のナンパの成功率は恐らく低い。
まして種族が違うしなんかくねくねしていてどことなく気持ち悪い。
そんなわけでゴブリンたち、連戦連敗。
断れば潔く引いてくれるある意味男気あふれるオカマたちなのだが、一般人にとってはゴブリンは恐怖らしく。
そんなこんなで「なんとかして」と依頼が持ち掛けられたのだった。
「……異端を誤魔化してなんとか世界と折り合おうとしてる身としては、異端を受け入れてる姐さんがたは一つの在り方として尊重するし尊敬するよ。
たとえ種族は違ってもね」
そんなわけで一日限定、過度な肉体接触がなければ、普通にデートするよ、と名乗りを上げた一人、レイフェン=ランパード(ka0536)は周りがピクニックの定番、弁当を持ち込んでいるのを手伝いながら待ち合わせの場所に向かっていた。
藤堂研司(ka0569)は友好的なゴブリンで、男なのに姐御肌ということに驚きを隠せていない様子。
「生きてりゃいろいろあるもんだなぁ、異世界すげぇ。
ここは是非ともデートさせてもらって、人生相談でもさせてもらうかね」
どんな好みにも応えられるように種類豊富にたくさん作ったお弁当。
ゴブリンたちもきっと喜んでくれることだろう。
「ぬぬーん。おかま? のごぶりんさん、とは……?
よくわかんないっすけど楽しめそうっすー♪」
仮面をつけているため実際の表情は分からないが口調は十分に楽しそうな狛(ka2456)は覚醒状態でないと仮面を外すのが恥ずかしいのだと語る。
時期的に寒いだろうから、と毛布を持参。
自身の好物である焼き芋もたくさん焼いてきてゴブリンたちが食べてくれたらいいな、と思っている狛だった。
「迷惑はかかっているみたいじゃが、悪い輩ではなさそうなのじゃ。平和に仲良くやりたいのぅ」
ヴィルマ・ネーベル(ka2549)はおにぎりの入ったバスケットを軽く揺らした。
(説得……恋愛経験ゼロの我じゃがそれっぽく聞こえるかのぅ? 恋愛について書かれた本は読んできてそれを引用するつもりじゃが……)
そんな一抹の不安も抱えつつ、目指すは楽しく女子トーク。
「人間にもいろんな人がいるんだし。ゴブリンにもいろんなゴブリンがいる……わよね」
あまりに尖った個性の持ち主たちだったため思わず確認形で呟いてしまったのは柏部 狭綾(ka2697)だった。
ゴブリンたちにもお弁当を作ってもらおうと考えた狭綾は料理がダメなら自分が教えるしゴブリンの味覚が人間と同じかどうかは分からないから凄いものができるかもしれない、という危惧はあったが「料理なら任せテ!」とやる気を見せているゴブリンたちに、貴方たちの料理の腕が心配だから一緒に作ろう、というのは気分を害してしまうのではないか、と思い直し食材だけ渡して任せることに。
(あとは、男性陣の頑張り次第よね?)
訳すと要は食べろという強制である。
Bridget・B(ka3117)は好きな少年がいるもののまだ告白成功しておらず、今までに三度言って三度失敗中。
その一途さが大事ということと、引いて目立たなく、家具に徹する使用人の美徳のようなものが内助の功になるのではないか、と食い下がるつもりだった。
「ゴブリンの生態に興味があるよ。いろいろ聞いてみるね。
あぁ、待ち合わせ場所にみえる団体さんはくだんのゴブリンたちかな?」
エリオット・ウェスト(ka3219)が視線で示すと十人分の影がくねくねとうごめいているのが見えた。
「ちゃんとお話するのハ初めてネェ~。今日はどうぞよろしくゥ」
ゴブリンたちが挨拶する。その間もくねくねは止まらない。
若干異様な光景をものともせず研司が口を開く。
「おーい、ゴブ姐さんたちや、待ったかい。俺もデートの経験はないが、アレだろ。一緒に遊びに行くのがデートってもんだろ。
ここはひとつ! その辺の山丘にでも繰り出してピクニックデートと洒落込もうや!
でっけぇシート敷いて弁当広げてさ! 最高だぜ!」
そんな言葉にゴブリンたちがうふふと笑う。
「元気な子は好きヨ~。さ、行きまショ」
「あら、寒いから屋外は嫌、とか言わないのね?」
狭綾がすこし意外そうに問いかけるとゴブリンたちはまたおかしそうに笑う。
「アタシたちが一緒に入れるお店ってなるとゴブリンの集落に来てもらうことになるし、それじゃあムードに欠けるモノ。
それに、お弁当を持ってきたってことは屋外の方が盛り上がるじゃナイ?」
「毛布も持ってきてくれテルみたいだし」
「寒さを建前にベッタリ引っ付く機会ヲ逃す野暮は此処にはいないわヨ?」
言おうとしていた「寒さを建前にベタベタ引っ付いていちゃつける」という口実は向こうもしっかり想定済みだったらしい。
一行は見晴らしのいい丘にシートを広げて車座になってお弁当を食べながら交流を深めることに。
ゴブリンたちの弁当は意外と綺麗に整っていて、人間が食べる物が多く詰められていた。
「近くに人間の集落があるから時々料理を教わりに行ってたのヨ。男は胃袋で掴め、ってネ」
「姐さんに相談があるんだけど、いいかな」
レイフェンが問いかけるとゴブリンたちは嬉しそうにくねくねした。
どうやら頼られることは嬉しいらしい。
「うん。僕もさあ。ふとした時に自分が普通の人たちとは違うって気づいてね。いつか世間に迷惑を翔琉に違いない、みたいな扱いばっかりされてさぁ。
そんなんだから普通に暮らしてて普通に仲良くなれた人にも、距離置癖がついてるんだよね。
僕のは別にひけらかしたり理解を求めるもんじゃないからさ、隠してるって言うか言うつもりはないんだけど……納得はしてるけど割り切れてはいないみたいな感じで……その辺、姐さんたちはどうだったの?」
「隠さないことを選んダあたしと貴方のケースだとちょっと違ウけれど……あたしも最初は悩んだワ。どうして自分ハ人と違うのかってネ。
同じ二なろうともした。あたしなりに頑張ったケド、無理だって事に気づいてからは隠すのをやめたわ。
集落では変ナもの見る目で見られるし、子供ハ親に近づくナって教えられたりもする対象。
だけどね、それもあたしの個性だって、あたしはあたしなんだから仕方ないって割り切ったら、仲間もできたシ、仲間たちト人間ヲなんぱをするようになったから貴方たちにも会えタ。
隠さないことを選ぶのがダメとは言わないケレド、開き直ってしまうと楽になる面モあるわヨ」
リーダー格のゴブリンが自分の過去を交えて語った言葉にレイフェンは時折頷きながら最後にありがとうと告げた。
「ゴブ姐さん、話のタネでもねぇけどさぁ……俺、転移してきたんだけど、いずれ帰りてぇんだ。
ただ、こっちはこっちで仲良くやりたいんだが……こっちに根を張って生きることに躊躇しちゃってなぁ……いずれ別れようとしてるのにって思っちまうんさ。
だから店もテントのままよ、どうすりゃいいんだろうなぁ」
研司の言葉に反応したのは別のゴブリンだった。
ゴブリンの外見での区別は人間にはつけ難いがそれを承知しているのかゴブリンたちはそれぞれ特徴のある衣装を身に着けていたし、車座になっているから最低限の区別はつけられる。
「それならね、自分の中デ、賭けヲしたらどうかシラ?」
「賭け?」
「こっちの世界でこの人がいるならどちらの世界デモ生きていける、この人がいないと生きていけナイ。そんな出会いヲするのが先カ、元いた世界二戻る方法を見つけるのガ先か。此処の世界二根を張れないノハきっと貴方がまだ寄る辺ヲ見つけられていないカラ。世界ノ枠組みなんてどうでもいいって言う出会いヲ、貴方がまだしてないカラだと思うワ。心を根本から揺さぶられる出会イがあれば、世界なんて関係ないワヨ、多分ね」
「なるほどなぁ……だいぶ楽になった! 人生の先輩に相談するってのは、ほんとに救われるぜ」
「恋愛面デハ私もそんな出会いにはまだ巡り合えていないケレド……姐さんが一人デ胸張って生きてる姿を見た時は心揺さぶられたワ」
どうやらリーダーは姐さんと呼ばれているらしい。
狛は焼き芋を勧めながらどんな人がタイプなのか、趣味は、などと聞いて親しくなったゴブリンと柴犬と一緒に散歩に出かけた。
はしゃぎ回るとゴブリンが疲れてしまうだろうからゆっくりと、話をしながらの散歩を楽しむ。
ゴブリンたちの悩みを聞いてあげたい、という狛の願いが偶然か必然か叶った結果となった。
まだ若い(らしい)ゴブリンで皆ほど開き直れていないのが悩みだという。
うんうん唸りながら解決策を考える狛の姿に、仲間からも弾かれてる自分の悩みを真剣に聞いてくれる人間に出会えて感動した、と年若いゴブリンはお礼を言うのだった。
ヴィルマは本で読んだ知識をゴブリンたちに伝授。
女からナンパをすると安くみられる、しかもひっかかるのは碌な男ではない。自分を磨き魅力を上げれば自然と良い男の方から寄ってくる。
最初からいい男だけでなく駄目男のいいところを伸ばしていい男に育て上げる方がより自分の好みになる。
それにそれは真に良い女にしかできない。周りのゴブリンがむさいから嫌だと思っていないでそこからどう育てるかが女の腕の見せ所、と。
熱弁にゴブリンたちからおぉ、と声が上がった。どうやら効果があったようだ。
狭綾はゴブリンに秘密の相談事。少し離れた場所で暫く話し合ったあと彼女なりの答えを見つけるヒントになったらしく相談に乗ったゴブリンにぺこりと頭を下げて戻ってきた。
Bridgetの失恋話を聞き、それでも諦めきれない乙女心をゴブリンたちは応援し、「やはり男性には何度でもアタックあるのみなのでは?」という結論にたどり着いた。
周りがヒヤッとしたが「それ位いい男を、ゴブリンの集落で見つけ出すのも女の審美眼が鍛えられそうね」という流れに落ち着いてほっと胸をなでおろす。
「貴方もその子に振り向いてもらえるよう頑張るのヨ! 直接的なアピールだけじゃなく花言葉を意識した花の贈り物トカちょっとしたあぴーるのちゃんすを逃さないのよ!」
「はい、頑張ります!」
恋する乙女は強い。たとえそれが恋に恋するゴブリンでも。
エリオットはゴブリンの社会についていろいろと質問をし、手作りのアクセサリーを見て細工師はいるのかや、生活がどんな感じなのか、人間と接してみて具体的にどんなところが違うと感じるかなどを問いかける。
自分が考えた種族の定義やそれぞれの種族同士の進化の課程での関わり合いなども含めて様々な持論を展開した。
それを踏まえて自分がリアルブルーから来て二つの世界の違いなども思いつくままに語る。
調べることに夢中で、ナンパをとめさせることは忘れていたエリオットだったがゴブリンがまだ幼い少年が色々と持論を展開していくのを温かい目で眺めていたのでまるで種族の垣根を越えた親子のようにも見えたかもしれない。
それぞれがそれぞれの方法でゴブリンと交流し、そろそろお別れの時間。
悩み相談をしたレイフェンと研司がゴブリンの集落でスナックを開いてみては、と提案した。
悩みを抱えた男性が相談に来るかもしれないし、自分たちも行きたい、と告げると「駄目男を育てていくのネ」とやる気になるゴブリンたち。
新しい目標を見つけて目を輝かせているゴブリンたちを送って、集団デートは終わった。
スナックにかなり前向きな姿勢をむけていたので、人間の男性をナンパにくることはもうないだろう。
ハンターたちは悩みを聞いてもらってほっとしたり穏便に終わったことにほっとしたりしながら帰途を辿ったのだった。
「店がおーぷんしたら是非遊びに来てネ」
と満面の笑顔でゴブリンたちはそんなハンターたちを見送り、自分たちの相手をしてくれたことに感謝の念を深く抱いていたのだった。
その後ゴブリンの集落でスナックがオープンし、最初は安くて美味い料理と酒が目当て、あるいはある種の度胸試しを兼ねて足を運ぶゴブリンがポツリポツリと現れ、男性視点でも女性視点でも悩みに一筋の導を示してくれるママたちに常連客も増えたそうである。
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
---|
面白かった! | 7人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談所 狛(ka2456) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/01/23 01:49:20 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/19 14:18:47 |