海賊退治!

マスター:STANZA

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2014/06/27 19:00
完成日
2014/07/07 12:12

みんなの思い出

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オープニング


 自由都市同盟の海軍は、海戦にかけてはクリムゾンウェスト最強を誇る集団だ。
 その力は、設備の面でも人的資源の面でも、或いは戦術の面に於いても、生半可な海賊が太刀打ち出来るものではない。
 ある程度の実力を持った者達でさえ、海軍とまともに戦おうというとはしないだろう。

 海賊の本分は戦う事ではなく、盗んだお宝でガッポリ儲ける事だ。
 もしも海軍とまともにやり合った末に勝利を収めたとしても、その儲けが船の修理代に消えてしまっては元も子もない。

 ——というわけで。
 海軍が力をつけてからというもの、同盟の領海内に姿を現す海賊船は激減した。
 だが、海賊という集団そのものが消えてなくなった訳ではない。
 いかに強力な海軍と言えど、常に全ての海域に常に目を光らせている事は出来なかった。
 定期的にパトロールも行われているが、監視の目が充分に行き届かない海域もある。

 海賊達は、そこを狙うのだ。



 その日は前日から海が荒れていた。
 船が転覆する程に酷くはなかったが、波と風に弄ばれて航路を外れてしまう船も多く、そんな船は海賊達の格好の獲物となる。
「よーし、見付けたぜ」
 海賊船の舳先に立って望遠鏡を覗いていた船長が、視界の隅に一隻で漂う商船を見付けてニヤリと口元を歪めた。
「恐らく船団からハグレちまったんだろうが……ま、運が悪かったなぁ」
 商船の不運は、海賊達にとっての幸運。
 ましてやこの海域は海軍が根城にしているポルトワールの港からも遠く、通報を受けた海軍の船が駆けつけたとしても時すでに遅し。
 その頃には積み荷を奪ってトンズラしているという訳だ。
「久々の得物だ、逃がすんじゃねぇぞ野郎共!」
 その声に、部下達の威勢の良い返事が返る。
 小回りの利くスリムな海賊船は、太ったカエルの様な商船にスルスルと近付いて行った。


 その頃、商船の方では——

「船長、海賊船です!」
 見張りの声に、舵輪を握っていた船長は苦々しげに頬を歪めた。
 航路を外れた時から嫌な予感はしていたのだ。
 普段なら魔導機関を全開にして逃げ切る手もあるだろう。
 しかし今は昨日の嵐のせいか故障して動かない。
 頼りは二本のマストに張られた白い帆のみだが、追い付かれるのは時間の問題だった。
 おまけに……
「あの海賊の旗印、あれは確か——」
 親玉を始めとして、メンバーには覚醒者が5人ほど筈だ。
 海上で歪虚に遭遇した時の為に商船にも覚醒者は乗り合わせているが、海賊達の数に比べて余りにも少ない。
「これは、陸から助けを呼ぶしかないか」
 船長は、部下に連絡を入れるよう指示した。
 今から助けを呼んでも、恐らく手遅れだろうが――


 ところが。
「ちょうど今、ハンター達を乗せた船が近くの海域にいるそうです!」
 通信を受けた部下はそう告げた。
「こんな日は海賊が活発に動くだろうと思って、警戒していたそうで……」
 どうやら積み荷の持ち主である商人が手配しておいたらしい。
「30分もあれば着くので、それまで何とか凌いでくれと!」

 それを聞いた船長は、全ての帆を畳み、全ての乗組員を船室に避難させた。
 甲板に通じる出入口には全てバリケードを作れば、多少は時間稼ぎも出来るだろう。
 積み荷を全て奪わない限り、海賊が船を沈める事はない。
「ここで粘っていれば必ず助けが来る、耐えきる事が出来れば我々の勝ちだ!」
「はい、船長!」
 船長の叫びに、船員達が応える。

 船室に閉じ籠もった彼等の頭上に、甲板に飛び移って来た海賊達の荒々しい足音が響いた——

リプレイ本文

「海賊退治か。任せとけって、手馴れたもんよ」
 ポルトワールの港から、ジャック・エルギン(ka1522)は意気揚々と船に乗り込む。
 かつては自由都市の商人に雇われ、私兵として抗争に参加していた身だ。
 退治どころか自ら海賊として暴れ回っ――いや、ナンデモナイヨ?
「これが私のギルド初依頼、よーし、いくぞ~!」
 その後に続いた美作さくら(ka2345)は、仲間達にぺこりと頭を下げた。
「皆様、よろしくお願いしますねっ」
「海賊かー、映画でしか見たことないけど実際はどんなもんかねぇ」
 最後に乗り込んだエルネスタ・バックハウス(ka0899)は、何か奇妙な物を肩に担いでいる。
「えっと、それは……投網ですか?」
 自分達は海賊退治に行くのであって、漁に出る訳ではなかった筈、だけど。
 あれぇ?
 首を傾げるさくらに、エルネスタはニヤリと笑って人差し指を振った。
「ん? 何に使うかって? ヒ・ミ・ツ」
 使う機会があるかどうかもわからないし?


 そして港を出た船は大海原へ。
 暫しの航海の後、予想通りに海賊来襲の報を受ける。
 船はスピードを上げて、通報のあった海域へと急いだ。
「船酔いしてるやつはいないな? 一気に奴らの背を叩くぞ」
 水平線の向こうに船影が見え始めた頃。
 特製の火炎瓶をベルトに挟んだ文月 弥勒(ka0300)は、立ち上がって仲間達を見渡した。
「噂には聞いてたけど、やっぱり覚醒者の力で悪事を働く愚か者がいるのね」
 まるでダンスに誘われた淑女の如き優雅な所作で、幸地 優子(ka0922)がそれに応える。
「覚醒者であるという時点で一般人よりはずっと強いし、随分と好き勝手してそう。処理しないといけないわね」
 乱れた世の秩序を正すのが淑女の嗜みというものだ。
「略奪行為など蛮族どもじゃな……、ちと、灸を据えてやるかのぅ」
 シルヴェーヌ=プラン(ka1583)は、ポキポキと指を鳴ら……ないから、代わりに口でセルフ効果音をバキベキボキ。

「あくまで殺生はなし。だが船の上は相手のフィールド、更に戦闘経験もあちらが上」
 弥勒はベルトに挟んだ火炎瓶に手を掛ける。
「厳しい条件だが、仲間と連携すればワンチャン……!」
 やがて互いの船が舷側を擦るまでに近付き、ハンター達は向こう側へ飛び移ろうと手近なロープに手を伸ばした。
 しかし。

 彼等はバリケード破りに夢中な海賊の背後を襲撃する心算だった。
 しかし海賊の方とて怪しい船が近付くのを黙って見ている筈もない。
 三人の手下を残し、残る五人は甲板でハンター達が乗り移って来るのを待ち構えていた。
「ヒヨッコどもが、海賊ナメてんじゃねぇぞ!」
 怒声と共に、弾丸が帆に穴を開ける。
 このまま向こうに飛び移れば格好の的だ。
 だが、幸いにも銃を持っているのは親玉一人。
 飛び道具を使える人数なら、こちらの方が多い。
「慣れてないんだ、手足の一本がダメになっても文句言うなよ?」
 真田 八代(ka1751)がリボルバー「シルバーマグ」で機導砲をぶっ放すと、脇にあった樽が粉々に吹き飛んだ。
 訓練以外での対人戦は今回が初めての事。
 生け捕りが前提という事で多少は気が楽だが、魔獣相手とは違って狙いを誤れば大事に至る危険もある。
 だが緊張はしているものの、こうして戦場に出てみれば自分でも意外な程に落ち着いていた。
「次は当たるかもしれないな」
 一発目はわざと外したのだ。
「雑魚はうちらに任せて先行きなー」
 それに呼応してエルネスタの猟銃が火を噴き、更には弥勒が矢を、シルヴェーヌはウィンドスラッシュで援護射撃。
 乱れ飛ぶ攻撃に、海賊達はたまらずマストや樽の陰に逃げ込んだ。
 その隙に、前衛の仲間達が躍り込む。

「イートイン教団の名を広めるには、より多くの人の目に、記憶と感動を残すこと」
 メンター・ハート(ka1966)はイートイン教団の教導者。
 癒やしの力を守られながら使うだけでは、足りない。
 だからこそ、強固な盾を、護りの魔法を、生来の強靭さを、総動員して、決して倒れない聖導師と成るのだ。
「いざ参りましょう」
 覚醒と共に、弥勒に対してプロテクションをかける。
 次に優子を、最後に自分を保護して、いざ。
「わたくしは教導者(メンター)ハート。食べることは正義! 無事に海賊を退治した後は、商船の皆様に、それをお教えいたしましょう。ふふ……」

「お前も緊張してる?」
 傍らに精霊の息吹を感じたさくらは小声で囁く。
「え、そうじゃないって?」
 うん、そうだね。
「ふふ、行こうっ」
 その身体に狼の魂が乗り移ったかの様に、耳と犬歯が伸びて来る。
 獣の様に跳躍すると、さくらは商船の甲板に降り立った。
 物陰に身を隠していた海賊を狙い、薙刀を一振り。
 リーチの不利を悟った相手は、バリケードがある方へ後退を始める。
 それを壊して、中の船員達を人質にでも取るつもりだろうか。
「余計な事はさせないのです!」
 距離を詰めて足を払い、バランスを崩した隙に後ろに回り込む。
「ここは通しません、まずは私と遊んでくださいね?」
 可愛らしく小首を傾げるその姿に、海賊は馬鹿にされたと感じた様だ。
 一転攻勢に転じ、サーベルを振り回してくる。
 だが、さくらは素早い身のこなしでその全てをかわし続けた。
(そうそう、イライラしてくると攻撃も単調になりがちですよね……私が試合に負けるときって、よくそうだったし)
 今は敵の方が、かつての自分と同じ状態になっている。
「ふふふふ、乗ってきました! そろそろ本気です、驚かないでくださいねー!」
 戦心昂揚、一気に決める。
 遠心力いっぱいに薙刀を振って、相手のサーベルを真っ二つだ!

「ヒャッハァ! おっ始めよーぜ!」
 不意打ちの目論見が潰えた今、身を隠す必要もない。
 甲板のど真ん中に降り立ったジャックは、わざと目立つ様にロングソードを振りかざした。
「はぐれた船を襲うよーなチンケな真似してんじゃねーよ、海賊サン」
 そのまま手当たり次第に斬りかかり、海賊達の注意を引く。
 切り結んだその背中から、肩口を掠めて飛ぶ一発の銃弾。
「銃か。おっかねーけど、うちの後衛の方が百倍おっかねーぜ?」
 言葉通り、隠れ場所から身を乗り出していたボスに向けて後衛からの集中砲火が炸裂する。
 彼等がボスの動きを抑えてくれている間に、ジャックは肩の痛みを振り払い、踏み込んで一撃。
「痛っ…たくねーっての! 斬って斬られて、やっぱこうでなくっちゃなあ」
 踏んだ場数は自分の方が上だ。
 痛みに腰が引けると、相手は調子に乗って勢いづく。
「こんな時は、余裕かまして笑ってる方が勝ちってな!」
 攻撃を受け止めた相手のサーベルが折れて、弾け飛んだ刃が船室に続くドアに突き刺さった。

 尚もバリケード破りに精を出していた三人の海賊は、飛んで来た刃に一瞬凍り付く。
 だが、彼等の背後にはもっと怖いもの(失礼)が迫っていた。
「汗をかきたくないの。神妙にお縄についてくださる?」
 薙刀を構えた優子が静かに語りかける。
 見たところ三人とも覚醒者ではない様だ、少し脅せば音を上げるだろうか。
 闘心昂揚で攻撃力を上げ、薙刀を一振り。
 その風圧だけで彼等をびびらせるには充分だった。
「跪いて、頭を差し出しなさい」
 だが、愚かにも海賊達はその命令に従わなかった。
 先を争ってその場を離れ、自分の船に逃げ戻ろうとする――が。

「何処へ行くつもりかのぅ?」
 その足元に、シルヴェーヌが放った炎の矢が突き刺さる。
 商船は横に広い構造であるせいか、揺れは思ったより酷くなかった。
 が、もしかしたら揺れた拍子に狙いが狂う事もあるかもしれない。
 そうしたら直撃するかもしれないけど、いい?
「面倒じゃ、そこで大人しくしておれ」
 死にたくなければ動かない方が賢明だ。
 それに彼等が戻る場所は、既にない。
 ファイアアローの炎が燃え移る心配はないが、火炎瓶の炎は容赦なかった。

「武器を捨てて大人しく投降しろー! 命まで取る気はないぞー!」
 弥勒が敵船の甲板めがけて火炎瓶を投げ込むと、炎が勢いよく立ち上がる。
 それはロープを伝ってマストに駆け上がり、畳まれていた帆に燃え移った。
「いくら海の男でも泳いで帰れる距離じゃないだろ」
 残された道は、大人しく捕まって自分達と一緒に帰ること。
 行き先は余り楽しい場所ではないだろうが、無理に泳いでサメや歪虚に喰われるよりはマシだろう。

「てめぇ何しやがる!」
 火を消そうと言うのか、海賊のボスが慌てて自分の船に飛び移ろうとするが。
「邪魔だ! どけぇ!」
 海賊達を蹴散らして、その背後に弥勒が迫る。
「てめえがボスか! 銃なんて捨てて掛かってこいよ!」
 足元に矢が突き刺さり、ボスは怒りの形相で振り返った。
「つーかもう手遅れだろアレ」
 今にも焼け落ちようとする海賊船を顎で示し、弥勒はボスを挑発した。
「あれを手に入れるのに、俺がどれだけ……っ」
 ボスの額に血管が浮かび上がる。
「そんなもん、俺らの知ったこっちゃねぇな」
 弥勒は得物をロングソードに持ち替えてボスに迫る。
 それを阻止しようと他の海賊達が群がって来るが。

「おっと、アンタたちの相手はこっちだよーっと」
 エルネスタが物陰から猟銃を撃つ。
「一騎打ちの邪魔しようなんて、無粋にも程があるってもんでしょ」
 陰から陰へと移動しながら、最初は威嚇射撃、次は狙い澄まして足を。
「あらよっと! こんなんでも当たるんだねぇ」
 海賊達は敵の姿を探して視線を彷徨わせるが、場所の特定は難しい様だ。
「ふふーん♪ 何処から狙われてるか分からないと怖いでしょ? 思う存分パニくるといいよん♪」

 そこに黒漆太刀を携えた八代が飛び込んで来る。
「いくぜ! さっさと散れよ海賊共!!」
 防性強化で守りを固めれば、多少の反撃で攻撃の手が緩む事はなかった。
 攻撃は最大の防御という言葉そのままに、八代は海賊どもを掻き乱す。
「と、そっちに行くなって!」
 尚もボスの援護に向かおうとする海賊の足元をリバルバーで一撃。
 足を撃ち抜かれて、海賊は甲板を転がった。
「ちぃ……ヤらない様に戦うのって、面倒くさいな……ま、望む所だけどさぁ!!」

 その間に優子は三人の海賊達の頭を石突で小突いて気絶させ、シルヴェーヌがそれを縛り上げて無力化に成功。
 これでバリケードを破られる心配はなくなったと見て良いだろう。
「もう心配は要らぬぞ」
 シルヴェーヌはバリケードの向こうに一声。
 奥には聖導士と猟撃士がいる筈だ。
「ハンターの二人はそのまま乗組員の護衛に当たるが良かろう」
 余裕があるなら、こちらの手助けをしてくれても構わないが。
 言い置いて、二人は残った海賊達の始末にかかった。

「闘狩人に疾影士か。近接で対抗するのは骨が折れそうね」
 だが、こちらの得物はリーチがあるし、後ろからはシルヴェーヌの援護もある。
 優子は固い外皮を持つ動物霊の力を借りて防御を高めると、一人の海賊に詰め寄った。
 サーベルを薙ぎ払い、突く。
 怯んだ足元にシルヴェーヌの炎の矢が突き刺さった。
「相手が覚醒者とは言え、大怪我を負わせぬようにするのは、なかなか骨が折れるのぅ」
 それは、裏を返せば「やろうと思えば大怪我どころか、もっと素敵な事にするのも簡単だ」という意味にも取れる。
 しかし海賊は依怙地になっているのか、それとも自棄を起こしたのか、夢中でサーベルを振り回して来る。
「戦う気が無いヤツは、武器を捨てて腹這いになって降参って言えよー」
 という、ジャックの情け深いお言葉も耳に入らない様だ。

 しかし、いつまでも彼等に構っている暇はない。
 向こうでは弥勒が一人でボスを相手に時間稼ぎをしているのだ。
「出来るだけ急いで、援護に向かって下さい」
 指示を出したハートは、ふと違和感に気付いた。
 仲間が一人足りない。
 誤って海にでも落ちたのかと思ったが、それなら水音で気付くだろう。
 注意深く周囲を見渡すと――
 マストの上にある見張り台に上がったエルネスタの姿が見えた。
 何をしているのかと見た瞬間、ハートはその意図を理解する。
「皆様、残りの海賊を一箇所に集めて下さい」
 指示した場所は、マストの斜め下。
 それを見て、エルネスタは秘密の作戦を実行に移した。
 大丈夫、使い方は教わって来た。
 教わっただけで練習はしていないけれど、私は本番に強い女! 多分!
「本日は快晴。湿度・気温共に快適ですが、ごく局所的に網が降ってまいります」
 その声と共に、仲間達は海賊を残して散る。
 せーの、どーん!
 半分ほど広がった投網が海賊達の頭上に降りかかる――と言うより落ちる。
 だが、彼等の自由を奪うにはそれで充分だった。
「いやー、本日は漁日和だねぇ。海賊が大漁、大漁♪」

 残るはボスひとり。
 物陰に隠れて銃を乱射してくるボスに対し、一気に数的優位を得たと見た弥勒は、足を押さえて蹲っていた海賊を盾にしながら距離を詰める。
「ハッハー! てめえに子分が撃てるかぁ?」
 どうみても悪役です本当に――
「って撃つのかよ!?」
 銃声と共に、弥勒は咄嗟に海賊と体を入れ替えた。
 庇うつもりはなかったが、無益な殺生はしないのが彼の信条だ。
 背中に衝撃が走る。
 痛いと言うより、熱い。
 だが、その傷は素早く駆け寄ったハートのヒールと、自らのマテリアルヒーリングで即座に治療。
「てめぇ上等だ!」
 剣を振りかざし、弥勒は走った。
 シルヴェーヌのウィンドスラッシュがそれを援護、八代はリボルバーで足を狙う。
 バリケードの方からも、猟撃士の援護射撃が飛んで来た。
 その回避に気を取られた所に、弥勒が踏み込んで、強打を叩き込む。
 切り裂かれた肩口から血が溢れた。
 だが、ボスはそれでも抵抗をやめない。
 踏み込んで来た弥勒の肩を抱きかかえる様に腕を回し、その腹に銃口を突き付けた。
「海賊を……ナメてんじゃねぇぞ小僧!」
 トリガーにかかる指に力が籠もる。
 しかし、その瞬間。
「あなたこそ、ハンターを舐めないで下さい!」
 飛び込んださくらが薙刀を一閃、銃を弾き飛ばした。
「勝負あったな?」
 今度は弥勒が、ボスの喉元に剣を突き付け――


「これに懲りたら、もう悪事なんてやめるんですよ? さもないと……私がまた懲らしめに来ます!」
 さくらに言われても、マストに括り付けられた海賊達は放心状態だった。
 ハートの治療で怪我は殆ど治っていたが、心の傷は深かった様だ。
「どーにか皆、生き残ったみてーだな。バリケードの向こうは生きってかー?」
 ジャックは船室に通じるドアを開けた。
「よーし、無事だな」
 荷物も人も、問題はなさそうだ。
 後は港に戻れば仕事は終わり。
「港に美味い海鮮の飯屋があるからよ、軽く祝杯でもあげにいかね?」
「ほう、そちの奢りとな?」
 シルヴェーヌにの言葉に、皆が一斉に期待の眼差しを向ける。

 え、違うの――?

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参加者一覧

  • 壁掛けの狐面
    文月 弥勒(ka0300
    人間(蒼)|16才|男性|闘狩人
  • 被覆鋼弾の魔女
    エルネスタ・バックハウス(ka0899
    人間(蒼)|19才|女性|猟撃士

  • 幸地 優子(ka0922
    人間(蒼)|15才|女性|霊闘士
  • 未来を示す羅針儀
    ジャック・エルギン(ka1522
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
  • クリスティアの友達
    シルヴェーヌ=プラン(ka1583
    人間(紅)|15才|女性|魔術師
  • ファランクス
    真田 八代(ka1751
    人間(蒼)|17才|男性|機導師
  • 食に限界なし
    メンター・ハート(ka1966
    ドワーフ|28才|女性|聖導士
  • 山岳猟団即応員
    美作さくら(ka2345
    人間(蒼)|14才|女性|霊闘士

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依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
シルヴェーヌ=プラン(ka1583
人間(クリムゾンウェスト)|15才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2014/06/27 00:14:47
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/06/22 16:39:25