ゲスト
(ka0000)
【春郷祭】波乱含みの草競馬
マスター:樹シロカ
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/06/21 19:00
- 完成日
- 2019/06/30 00:39
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
同盟領の農耕推進地域ジェオルジでは、今年も春の郷祭が開催されていた。
郷祭のメインは元々、領内に散らばる村々の間に生じた諍いや、地域全体に関わる問題を話し合う『村長会議』だった。
だが今ではその後のパーティーや交流会目当てに、ジェオルジ内にとどまらず、他の街からの観光客や商人たちも押し寄せる一大イベントとなっていた。
収穫祭である秋の郷祭りに対して、初夏の頃に行われるものは『春郷祭』と呼ばれる。
同盟領内の強大な災厄に一区切りがついたこともあり、今年の春郷祭も大いに賑わっていた。
そんな春郷祭の一連の行事に、今年は草競馬があった。
村々の自慢の乗り手と馬が出場するとあって、中々の白熱ぶり。
だが決勝戦を目前にして、ちょっとした事件が起きた。
ジェオルジ領主のセスト・ジェオルジ(kz0034)がその騒動の原因だ。
「僕も出て構いませんか? ああ、優勝を競うという訳ではなくて、賑やかしというかそういう枠で」
普段はあまり突飛な行動をすることのない優等生タイプの領主の申し出に、実行委員は驚いた。
だが断るに断りにくく、また盛り上げにもなるだろうということで、特別参加が認められたのだった。
その少し後。
「ちょっとセスト、あなた何考えてるのよ!」
セストの姉、ルイーザが血相を変えて詰め寄る。
セストはいつも通り、お人形のように静かな表情で姉を見た。
「虎穴に入らざれば虎子を得ず。相手の出方を窺うためです」
「だったら! あたしが出るわ、そうしましょ。何か起きても対処できるわ」
ルイーザは領主一家唯一の覚醒者であり、ハンターとして活動もしている。
だがセストは首を横に振った。
「姉上には、レース外で動いていただきたいのです。そちらは僕では役に立ちません」
「それは……でも、あなたに代わりはいないのよ!」
ルイーザは真剣そのものだった。
●
郷祭の会場を走り回り、ルイーザは密かにハンターをスカウトした。
「ごめんなさい、緊急の要件なの。助けてもらえない?」
集まったハンター達を前に、ルイーザは草競馬にまつわる疑念を打ち明ける。
ここ数年、郷祭の盛り上がりと共に、都会からよからぬことを考える連中も出入りするようになっていた。
今回の草競馬では密かに賭博が行われ、決勝戦では不正行為が疑われるというのだ。
「今までも、もちろん今回も、仲間内でのちょっとしたお金のやり取りはあるの。でも裏での取引は、規模が違うみたいよ」
そもそもの発端は、準決勝のレースで敗退した騎手が、領主に保護を求めてきたことによる。
その騎手も全体像は良く知らないらしいが、まとまったお金をもらってひそかにライバルを妨害してここまで勝ち上がったこと、思った通りの順位でゴールできなかったため、このままでは自身や家族の身に危険が及ぶかもしれないこと。悩んだ末の告白だった。
「セストは自分が出場することで、胴元が何か動きを見せるんじゃないかと思ったみたいなの。でも……」
いざ蓋を開けてみると、少なくとも表での予想では、珍しい出場者に思いのほか掛け金が集まってしまったらしい。
表の予想が裏に連動するなら、セストが敗北すれば胴元はかなり儲かるだろう。
「まさか命までは取らないだろうけど、危害を加えられる可能性はあるわ。あたしも何とかするつもりだけど、手が足りないの。お願い、知恵を貸してくれない?」
いつもは豪胆なルイーザも、さすがに焦りの色を隠せない。
さて、どうするか?
同盟領の農耕推進地域ジェオルジでは、今年も春の郷祭が開催されていた。
郷祭のメインは元々、領内に散らばる村々の間に生じた諍いや、地域全体に関わる問題を話し合う『村長会議』だった。
だが今ではその後のパーティーや交流会目当てに、ジェオルジ内にとどまらず、他の街からの観光客や商人たちも押し寄せる一大イベントとなっていた。
収穫祭である秋の郷祭りに対して、初夏の頃に行われるものは『春郷祭』と呼ばれる。
同盟領内の強大な災厄に一区切りがついたこともあり、今年の春郷祭も大いに賑わっていた。
そんな春郷祭の一連の行事に、今年は草競馬があった。
村々の自慢の乗り手と馬が出場するとあって、中々の白熱ぶり。
だが決勝戦を目前にして、ちょっとした事件が起きた。
ジェオルジ領主のセスト・ジェオルジ(kz0034)がその騒動の原因だ。
「僕も出て構いませんか? ああ、優勝を競うという訳ではなくて、賑やかしというかそういう枠で」
普段はあまり突飛な行動をすることのない優等生タイプの領主の申し出に、実行委員は驚いた。
だが断るに断りにくく、また盛り上げにもなるだろうということで、特別参加が認められたのだった。
その少し後。
「ちょっとセスト、あなた何考えてるのよ!」
セストの姉、ルイーザが血相を変えて詰め寄る。
セストはいつも通り、お人形のように静かな表情で姉を見た。
「虎穴に入らざれば虎子を得ず。相手の出方を窺うためです」
「だったら! あたしが出るわ、そうしましょ。何か起きても対処できるわ」
ルイーザは領主一家唯一の覚醒者であり、ハンターとして活動もしている。
だがセストは首を横に振った。
「姉上には、レース外で動いていただきたいのです。そちらは僕では役に立ちません」
「それは……でも、あなたに代わりはいないのよ!」
ルイーザは真剣そのものだった。
●
郷祭の会場を走り回り、ルイーザは密かにハンターをスカウトした。
「ごめんなさい、緊急の要件なの。助けてもらえない?」
集まったハンター達を前に、ルイーザは草競馬にまつわる疑念を打ち明ける。
ここ数年、郷祭の盛り上がりと共に、都会からよからぬことを考える連中も出入りするようになっていた。
今回の草競馬では密かに賭博が行われ、決勝戦では不正行為が疑われるというのだ。
「今までも、もちろん今回も、仲間内でのちょっとしたお金のやり取りはあるの。でも裏での取引は、規模が違うみたいよ」
そもそもの発端は、準決勝のレースで敗退した騎手が、領主に保護を求めてきたことによる。
その騎手も全体像は良く知らないらしいが、まとまったお金をもらってひそかにライバルを妨害してここまで勝ち上がったこと、思った通りの順位でゴールできなかったため、このままでは自身や家族の身に危険が及ぶかもしれないこと。悩んだ末の告白だった。
「セストは自分が出場することで、胴元が何か動きを見せるんじゃないかと思ったみたいなの。でも……」
いざ蓋を開けてみると、少なくとも表での予想では、珍しい出場者に思いのほか掛け金が集まってしまったらしい。
表の予想が裏に連動するなら、セストが敗北すれば胴元はかなり儲かるだろう。
「まさか命までは取らないだろうけど、危害を加えられる可能性はあるわ。あたしも何とかするつもりだけど、手が足りないの。お願い、知恵を貸してくれない?」
いつもは豪胆なルイーザも、さすがに焦りの色を隠せない。
さて、どうするか?
リプレイ本文
●
柵から顔を出した馬が、興味津々という風情で人間たちを見る。
「ごめんね、こんなところで」
ルイーザが一同を集めたのは、家畜小屋だった。
レオン(ka5108)が微笑み、馬の顔をやさしく撫でた。
「大丈夫ですよ。ああ申し遅れました。レオンです。よろしく」
ルイーザは改めて皆に頭を下げ、今回の目的について説明した。
久我・御言(ka4137)はやや大げさな仕草で両手を広げ、天を仰ぐ。
「全く、祭に無粋なことをしてくれるものだね」
ルイーザが同意だというように肩をすくめた。
「まあ多くの人が集まるのだからね。こう関わったのも何かの縁、出来る限りの事はしよう。諸君、よろしくしてくれたまえ」
「でも領主様も大変だなぁ……」
レオンがのどかな田舎に生じる様々な問題を思い、嘆息した。
トリプルJ(ka6653)は頭をガシガシ掻いて、セストの暴挙に苛立つ。
「敵がどのレベルでセストを排除したいかで危険度が全く違うだろうが。このレースだけか、これっきり消えてもらう企みなのか」
単に賭けが問題というだけなら、確かに話は簡単だ。
だがより大きな陰謀がないと言い切れるのか。
「だいたいだな。すぐに首突っ込んでくる面倒な領主が消えて、美人な姉を嫁にもらえりゃ、ここを好き放題に出来るんだぜ。俺でさえ一瞬で浮かぶんだ、それを即実行できるほど振り切れた相手かもしれんぞ」
「やっだ~美人なんて、ほんとのことを!」
ルイーザがトリプルJの背中を思い切り叩いた。
「あ、ごめんね。でもセストの『地位』を欲しがる酔狂な人間はいないと思うわ」
肩をすくめるルイーザ。領主は統治者とはいえ、調整役であり実際の「権力」はさほどでもないのだ。
星野 ハナ(ka5852)は人懐こくルイーザの腕に自分の腕を絡める。
「セスト様の安全は勿論ですけどぉ、そんな犯罪者と延々お付き合いするのはいやじゃないですかぁ。絶対一網打尽ですよぅ」
セストが囮になって飛び出すというなら、きっちりカタをつけるだけのこと。
「ありがとう。そうね、今回の賭博が片付いたら、背景もゆっくり探れるものね」
「ハッハッハ! 今回の件については俺達がいるからな、心配は無用だ!」
ルベーノ・バルバライン(ka6752)の高笑いに、馬がびくりと耳を震わせる。
「つまり俺達はセストの直掩なのだろう? 見事潜り込んで見せようではないか、ハッハッハ」
突撃の支援である直掩に例える辺り不穏ではあるが。
マチルダ・スカルラッティ(ka4172)はセストが行動に出た理由がわかるような気がした。
「悪いことに関わった本人はともかく。それが為に身内の人までが痛い目に遭うのは、気の毒だからね」
祭の賑わいに水を差すのも、避けたいのだろう。
「では黒幕にはお仕置きで、皆異論はないな?」
ルトガー・レイヴンルフト(ka1847)が見回す。
「賭博に参加している奴も、胴元との繋ぎ役も、それなりの人数がいそうだな」
「私は胴元とやらを追う様にしようかね」
御言が何やら考え込む。
「じゃあ俺は賭けに参加してる奴から探りを入れるとするか」
ルトガーはにやりと笑った。
「任せろ、そういうフリは得意だ」
「フリ……」
マチルダが呟いた。
その後、ハンター達は目立たぬように家畜小屋を後にする。
当日までは、互いに直接顔を合わせることはないだろう。
●
ルベーノはとあるテント小屋にずかずかと入り込んでいく。
「ハッハッハ、最終レースに出る村の選手はここか?」
「なんだ、お前は!」
数人の男達が殺気立った様子で立ち上がる。
「何、俺がお前達の村を勝たせてやろうというのだ」
「なんだと!」
だがルベーノが連れている戦馬の見事さには、思わず全員が見とれる。
「お前は何者だ?」
「何者かは問題ではない。ただ俺を騎手にすれば良いだけだ。お前達の村に損はさせんぞ、ハッハッハ」
男達は互いに顔を見あわせる。話は決まったようだ。
ハナがタロットカードをテーブルに広げた。
「例え一時的にでもぉ、領主を損なって平気って事はぁ、観客なんかもっと気にしないって事ですぅ」
ルイーザは息を詰めるようにしてハナの前に座っている。
「こちらから視線が通らない所ではぁ、そこに居る観客も消す対象になってると思うのでぇ、立ち回りは気を付けてくださいぃ。特に危ない所はここやこの辺りの可能性がありますぅ」
セストが狙われる可能性がある場所を地図に示す。
「もちろん、立会人が買収されていなければってことですけどぉ」
「そこよねえ、問題は」
ルイーザがため息をついた。
地図を送ってもらい、マチルダとレオンはコースの下見に出かける。
出場予定の馬なのだろうか、2頭の馬が駆けていった。
「馬は良いよね。鬣をなびかせて走っている姿は、とても美しいと思う」
マチルダは騎手の顔を写真に収め、のんびりと自転車をこぐ。観光に来た娘さん、という風情だ。
草地は綺麗に揃っていて、特に掘り返したような跡は見当たらなかった。
レオンは目立たない姿になり、徒歩でルートを辿っていく。
(護衛としては鎧がないのはちょっと心もとないけれど。目立ちすぎるのは避けたいしね)
レオンは当日、ある村の騎手として飛び入り参加することに決まっている。
「襲撃者の立場で考えてみようかな。コースの外から狙うなら、潜むのは……」
あまり目立つことをするとは考えにくい。
(吹き矢、それとも蜂なんかもありえるかな?)
思いついた要素は書きとめ、後で仲間に意見を聞くことにする。
御言はその頃、一人の男の元を訪ねた。
「あんた誰だ?」
尋ねる男に、御言は満面の笑みで名乗る。
「流離の王者『ゴージャス・ゴスペル』という者だよ」
マントにマスク、王冠をかぶった男にそう名乗られて、男は怯えたように身構えた。
「安心したまえ。君や家族の安全を守るために遣わされた救い主だ」
御言は男に家族の居場所を確認した。一応領主の目の届く場所に保護されており、当面の危険はなさそうだ。
「俺は馬の扱いだけは得意で。今回の金で馬と馬小屋を買おうと思って……」
「成程、成程。ところで胴元の顔は知っているのかね」
男は首を振る。その代わりに仲介人の特徴と、たむろしている場所を語った。
御言が男から聞いた仮小屋は、そこそこ立派だった。
都会からやって来た観光客も多く、普段の姿に戻った御言は奇異に思われずに済む。
さっそく一角を占め、一通りの食べ物や飲み物を運ばせる。
別のテントでは、ルトガーがテーブルに肘をつき、賑やかな市場の様子をニヤニヤと眺めていた。
「いやあ、綺麗どころも多くて楽しいねえ」
などとうそぶきながら、行き交う人間をチェックしている。
村人とは少し様子が違ったり、切羽詰まった表情をしていたり、そんな「祭を楽しんでいる」とは見えない人物を当たろうというのだ。
「まあ、これも仕事だ、辛いところだな」
ルトガーはジョッキを手に、ある男に近づいていった。
●
ハンター達は個々の方法で調べた内容を、ひそかに送りあう。
胴元らしき人物はまだわからないが、繋ぎ役の人物は何人か見つけ、ルイーザに写真を送った。
「これは決勝に残った村の村長の息子ね。こっちは荷馬車のオーナーだわ」
ルイーザが眉を顰める。根は深そうだ。
「でも単独でこんなことをやらかすような度胸はないと思うわ。胴元をシメたら大人しくなるはずよ」
なかなかに口が悪い。
もうひとつわかったことは、マチルダから知らされる。
「えっとね、一番割のいい馬を教えてって頼んだんだけど。セストさんとルベーノさんが人気らしいよ」
「ハッハッハ、当然だな!」
押し出しの強いルベーノは、こういう時に目立つ。
マチルダはその次に人気の騎手に注目していた。
「胴元が勝ってほしいのってこの騎手じゃないかな。だとしたら、この人が遅れたらセストさんが危ないと思う」
そこで役割を分け、レオンがセストを追い、ルベーノが序盤は少し遅れてついていくことになる。
「そうだな。二番人気のルベーノが遅れたら、焦って妙な動きをする奴が見つかるかもしれん」
それはルトガーと、ルイーザがスタート付近で見極める。
トリプルJは馬小屋に潜り込んだ。
飼い葉や水など、妙なものが混ぜられていないか。馬具に仕掛けがされていないか。
そういったことをチェックしながら、セストがやってくるのを待った。
「今日はよろしくお願いいたします」
セストは慇懃に挨拶した。
トリプルJは小声でチェックした内容を報告し、更に自分の懸念を伝える。
「……まあ、後のことはともかく。身の安全は保障するから安心してくれ」
それを聞いたセストが低い声で語る。
「レース自体はなるべく普通に終わらせてください」
「なんだって?」
「犯人探しをするだけなら、姉も皆様にお願いしなかったでしょう」
なるべく穏便に。それがセストの望みだった。
確かにそれは根本的な解決にはならないのかもしれない。だが『犯人』となった村が明らかになれば、各村の関係は悪化する。
年二回の郷祭を開催する理由は、多少の我慢の上で折り合うポイントを探るためだ。
時には清濁を併せ呑む。それが領主の務めなのだ。
「わかった。だがなセスト、あんたの身はどんな手段を使っても守るからな。ときどき忘れてるようだが、『領主』に何かあったら、祭がおじゃんになったぐらいの話じゃすまないぞ」
「……ご忠告感謝します」
セストはひらりと愛馬に跨り、堂々と出て行った。
それを見送り、トリプルJは自分の馬の元へと急いだ。
●
騎手がスタート地点に揃う。
ルイーザは一段高い貴賓席にいた。ハナもその席の隅に座り、熱心に望遠鏡を見ている振りをする。
(胴元がいるとしたらぁ、貴賓席か柄の悪い人がたくさん集まってる場所かだと思いますぅ)
少なくともルイーザの行動は自身か近い手下が見ているはずなので、近くにいれば異変に気付けるだろう。
一般席では、ルトガーがすっかり酒飲み仲間になった繋ぎのひとり、荷馬車のオーナーに話しかける。
「どうだ、今からでも掛け金を上げられないか?」
にやりと笑い、懐から金貨を取り出す。
「元々有り金はみんな賭け事につぎこんじまうんだ。はっはっは、ギャンブルのために働いているようなもんさ。一か八かのスリルが好きなんだ。見事勝ったら、お互い美味い酒を飲めるといいな!」
繋ぎ役の男は少し考えていたが、結局ルトガーの金を受け取った。
賭けたのは目立たないようにしていたレオンだ。
「悪いなギリギリの参加で。もしこの大穴が当たった場合、手続きはどうすればいい?」
「俺がちゃんと払うさ。幸運を祈るぜ!」
いよいよ出走となる。
号砲と共に一斉に駆けだす馬。
マチルダとトリプルJは、別のルートを辿って折り返し地点の森に到着し、馬が来るのを待っていた。
先頭はセストのほかにあと1人、そしてレオンだ。
レオンはセストを追いながら警護している。
ルベーノは更に後方、殿だ。
先に自分の馬は差し馬、つまり後半に追い上げるほうが得意な馬だと吹聴しておいたので、恐らく胴元の連中は暫く静観しているだろう。
草地を問題なく駆け抜け、やがて一団は左カーブを描いて、森に差し掛かる。
近づく蹄の音を耳に、トリプルJは密かに立会人の背後に回っていた。
(なんというか、いかにも余所者だよな)
念のためにルイーザに確認したが、やはり知らない男だという。
今、その男は小さな吹き矢を懐から出していた。
トリプルJは無言で飛びつき、相手を羽交い絞めにする。もし仲間がいれば何らかの反応があるはずだ。
その前を馬達が駆け抜けていく。
森の縁をめぐる道は、襲撃者にとってはチャンスだらけだ。
「というのは予想していたけどね」
マチルダがマジックフライトを使って盾につかまって飛んできた。
途中の地点で、セストを追う騎手に不穏な気配を感じて急行したのだ。
「セストさん、後ろを見ないで走って」
マチルダが声をかけ、「エンジェルフェザー」の守護を付与する。
レオンは馬身を割り込ませた。
セストの馬の尻を、競馬用とは思えない鞭で殴ろうとしていた騎手が、舌打ちして馬身を寄せてくる。
どうやら覚醒者らしい。片手で馬を操りながら、ボウガンのような武器を向ける。
放たれた矢の軌道をレオンが捻じ曲げ、自らが引き受けた。その間にセストとの距離は開いていく。
後方の騎手がレオンを追い抜こうとする。三番人気の騎手だ。
その更に後方、追いすがるルベーノは「マッスルトーチ」で見事な肉体を見せびらかした。
「ハッハッハ、人は裏切っても筋肉は裏切らんぞ!!」
普通の状態なら効かなかったかもしれない行動だが、まさかここでそれを仕掛けて来るとは予想外。
思わずよそ見した騎手は、あっという間に落馬してしまった。
その頃、ゴール地点は大騒ぎになっていた。
森を回って現れたのが、セストひとりなのだ。観客は喜びの声を上げるが、胴元の利は薄いだろう。
貴賓席で立ち上がった商人風の男を、ハナは見逃さなかった。
「あからさまに怪しいですぅ。要注意なのですぅ」
すぐに写真を仲間に送る。
ルトガーは、顔色を変えて席を立つ繋ぎ役の男を、影のように追い掛ける。
視界の端には御言の姿があった。別の繋ぎ役の後を追っているようだ。
やがてハナの送って来た写真の男が姿を見せ、3人そろって足早にその場を離れようとするのが分かった。
「よう。やっと会えたな」
ルトガーが嬉しそうに声をかけると、3人は身体を強張らせる。
「おっと、払うもん払ってもらおうってだけだぜ。どこへ行くんだ? 金が重いなら持ってやるぞ」
男達は無言で駆けだした。
御言は白い影のように追い、どこかの村長の息子とやらに飛びつくと、コブラツイストで動きを止める。
「少しお話をしようというだけですから。ああほら、下手に動くと関節を傷めますよ?」
2人はそれを置いて逃げ出した。
「いい加減に諦めるですぅ。手加減は得意じゃないですぅ」
立ち塞がったハナの可愛い笑顔がとても怖い。
ついに男達は観念し、大人しくなった。
●
息を切らせて戻って来たトリプルJが、鋭く尋ねる。
「セストは無事かっ! 胴元の確保はっ!」
「無事ですよ。おかげさまで」
セストが淡々と顛末を説明した。
胴元は、これまでにもジェオルジの産品を買い付けてくれていた有力な商人だった。
「皆様にはご迷惑をおかけしました。ですが、今後色々と役に立ちそうです」
セストの秀麗な顔に、邪悪な陰がよぎったのは気のせいか。
「それとこれは、今回のお礼の追加です」
全員にジェオルジ特産のまめしが配られる。
「最初の通報者の家族から、皆さんにと託されました。村の特産の山鳥の風味だそうですよ。良かったら召し上がってください」
セストの微笑みは、穏やかなものになっていた。
<了>
柵から顔を出した馬が、興味津々という風情で人間たちを見る。
「ごめんね、こんなところで」
ルイーザが一同を集めたのは、家畜小屋だった。
レオン(ka5108)が微笑み、馬の顔をやさしく撫でた。
「大丈夫ですよ。ああ申し遅れました。レオンです。よろしく」
ルイーザは改めて皆に頭を下げ、今回の目的について説明した。
久我・御言(ka4137)はやや大げさな仕草で両手を広げ、天を仰ぐ。
「全く、祭に無粋なことをしてくれるものだね」
ルイーザが同意だというように肩をすくめた。
「まあ多くの人が集まるのだからね。こう関わったのも何かの縁、出来る限りの事はしよう。諸君、よろしくしてくれたまえ」
「でも領主様も大変だなぁ……」
レオンがのどかな田舎に生じる様々な問題を思い、嘆息した。
トリプルJ(ka6653)は頭をガシガシ掻いて、セストの暴挙に苛立つ。
「敵がどのレベルでセストを排除したいかで危険度が全く違うだろうが。このレースだけか、これっきり消えてもらう企みなのか」
単に賭けが問題というだけなら、確かに話は簡単だ。
だがより大きな陰謀がないと言い切れるのか。
「だいたいだな。すぐに首突っ込んでくる面倒な領主が消えて、美人な姉を嫁にもらえりゃ、ここを好き放題に出来るんだぜ。俺でさえ一瞬で浮かぶんだ、それを即実行できるほど振り切れた相手かもしれんぞ」
「やっだ~美人なんて、ほんとのことを!」
ルイーザがトリプルJの背中を思い切り叩いた。
「あ、ごめんね。でもセストの『地位』を欲しがる酔狂な人間はいないと思うわ」
肩をすくめるルイーザ。領主は統治者とはいえ、調整役であり実際の「権力」はさほどでもないのだ。
星野 ハナ(ka5852)は人懐こくルイーザの腕に自分の腕を絡める。
「セスト様の安全は勿論ですけどぉ、そんな犯罪者と延々お付き合いするのはいやじゃないですかぁ。絶対一網打尽ですよぅ」
セストが囮になって飛び出すというなら、きっちりカタをつけるだけのこと。
「ありがとう。そうね、今回の賭博が片付いたら、背景もゆっくり探れるものね」
「ハッハッハ! 今回の件については俺達がいるからな、心配は無用だ!」
ルベーノ・バルバライン(ka6752)の高笑いに、馬がびくりと耳を震わせる。
「つまり俺達はセストの直掩なのだろう? 見事潜り込んで見せようではないか、ハッハッハ」
突撃の支援である直掩に例える辺り不穏ではあるが。
マチルダ・スカルラッティ(ka4172)はセストが行動に出た理由がわかるような気がした。
「悪いことに関わった本人はともかく。それが為に身内の人までが痛い目に遭うのは、気の毒だからね」
祭の賑わいに水を差すのも、避けたいのだろう。
「では黒幕にはお仕置きで、皆異論はないな?」
ルトガー・レイヴンルフト(ka1847)が見回す。
「賭博に参加している奴も、胴元との繋ぎ役も、それなりの人数がいそうだな」
「私は胴元とやらを追う様にしようかね」
御言が何やら考え込む。
「じゃあ俺は賭けに参加してる奴から探りを入れるとするか」
ルトガーはにやりと笑った。
「任せろ、そういうフリは得意だ」
「フリ……」
マチルダが呟いた。
その後、ハンター達は目立たぬように家畜小屋を後にする。
当日までは、互いに直接顔を合わせることはないだろう。
●
ルベーノはとあるテント小屋にずかずかと入り込んでいく。
「ハッハッハ、最終レースに出る村の選手はここか?」
「なんだ、お前は!」
数人の男達が殺気立った様子で立ち上がる。
「何、俺がお前達の村を勝たせてやろうというのだ」
「なんだと!」
だがルベーノが連れている戦馬の見事さには、思わず全員が見とれる。
「お前は何者だ?」
「何者かは問題ではない。ただ俺を騎手にすれば良いだけだ。お前達の村に損はさせんぞ、ハッハッハ」
男達は互いに顔を見あわせる。話は決まったようだ。
ハナがタロットカードをテーブルに広げた。
「例え一時的にでもぉ、領主を損なって平気って事はぁ、観客なんかもっと気にしないって事ですぅ」
ルイーザは息を詰めるようにしてハナの前に座っている。
「こちらから視線が通らない所ではぁ、そこに居る観客も消す対象になってると思うのでぇ、立ち回りは気を付けてくださいぃ。特に危ない所はここやこの辺りの可能性がありますぅ」
セストが狙われる可能性がある場所を地図に示す。
「もちろん、立会人が買収されていなければってことですけどぉ」
「そこよねえ、問題は」
ルイーザがため息をついた。
地図を送ってもらい、マチルダとレオンはコースの下見に出かける。
出場予定の馬なのだろうか、2頭の馬が駆けていった。
「馬は良いよね。鬣をなびかせて走っている姿は、とても美しいと思う」
マチルダは騎手の顔を写真に収め、のんびりと自転車をこぐ。観光に来た娘さん、という風情だ。
草地は綺麗に揃っていて、特に掘り返したような跡は見当たらなかった。
レオンは目立たない姿になり、徒歩でルートを辿っていく。
(護衛としては鎧がないのはちょっと心もとないけれど。目立ちすぎるのは避けたいしね)
レオンは当日、ある村の騎手として飛び入り参加することに決まっている。
「襲撃者の立場で考えてみようかな。コースの外から狙うなら、潜むのは……」
あまり目立つことをするとは考えにくい。
(吹き矢、それとも蜂なんかもありえるかな?)
思いついた要素は書きとめ、後で仲間に意見を聞くことにする。
御言はその頃、一人の男の元を訪ねた。
「あんた誰だ?」
尋ねる男に、御言は満面の笑みで名乗る。
「流離の王者『ゴージャス・ゴスペル』という者だよ」
マントにマスク、王冠をかぶった男にそう名乗られて、男は怯えたように身構えた。
「安心したまえ。君や家族の安全を守るために遣わされた救い主だ」
御言は男に家族の居場所を確認した。一応領主の目の届く場所に保護されており、当面の危険はなさそうだ。
「俺は馬の扱いだけは得意で。今回の金で馬と馬小屋を買おうと思って……」
「成程、成程。ところで胴元の顔は知っているのかね」
男は首を振る。その代わりに仲介人の特徴と、たむろしている場所を語った。
御言が男から聞いた仮小屋は、そこそこ立派だった。
都会からやって来た観光客も多く、普段の姿に戻った御言は奇異に思われずに済む。
さっそく一角を占め、一通りの食べ物や飲み物を運ばせる。
別のテントでは、ルトガーがテーブルに肘をつき、賑やかな市場の様子をニヤニヤと眺めていた。
「いやあ、綺麗どころも多くて楽しいねえ」
などとうそぶきながら、行き交う人間をチェックしている。
村人とは少し様子が違ったり、切羽詰まった表情をしていたり、そんな「祭を楽しんでいる」とは見えない人物を当たろうというのだ。
「まあ、これも仕事だ、辛いところだな」
ルトガーはジョッキを手に、ある男に近づいていった。
●
ハンター達は個々の方法で調べた内容を、ひそかに送りあう。
胴元らしき人物はまだわからないが、繋ぎ役の人物は何人か見つけ、ルイーザに写真を送った。
「これは決勝に残った村の村長の息子ね。こっちは荷馬車のオーナーだわ」
ルイーザが眉を顰める。根は深そうだ。
「でも単独でこんなことをやらかすような度胸はないと思うわ。胴元をシメたら大人しくなるはずよ」
なかなかに口が悪い。
もうひとつわかったことは、マチルダから知らされる。
「えっとね、一番割のいい馬を教えてって頼んだんだけど。セストさんとルベーノさんが人気らしいよ」
「ハッハッハ、当然だな!」
押し出しの強いルベーノは、こういう時に目立つ。
マチルダはその次に人気の騎手に注目していた。
「胴元が勝ってほしいのってこの騎手じゃないかな。だとしたら、この人が遅れたらセストさんが危ないと思う」
そこで役割を分け、レオンがセストを追い、ルベーノが序盤は少し遅れてついていくことになる。
「そうだな。二番人気のルベーノが遅れたら、焦って妙な動きをする奴が見つかるかもしれん」
それはルトガーと、ルイーザがスタート付近で見極める。
トリプルJは馬小屋に潜り込んだ。
飼い葉や水など、妙なものが混ぜられていないか。馬具に仕掛けがされていないか。
そういったことをチェックしながら、セストがやってくるのを待った。
「今日はよろしくお願いいたします」
セストは慇懃に挨拶した。
トリプルJは小声でチェックした内容を報告し、更に自分の懸念を伝える。
「……まあ、後のことはともかく。身の安全は保障するから安心してくれ」
それを聞いたセストが低い声で語る。
「レース自体はなるべく普通に終わらせてください」
「なんだって?」
「犯人探しをするだけなら、姉も皆様にお願いしなかったでしょう」
なるべく穏便に。それがセストの望みだった。
確かにそれは根本的な解決にはならないのかもしれない。だが『犯人』となった村が明らかになれば、各村の関係は悪化する。
年二回の郷祭を開催する理由は、多少の我慢の上で折り合うポイントを探るためだ。
時には清濁を併せ呑む。それが領主の務めなのだ。
「わかった。だがなセスト、あんたの身はどんな手段を使っても守るからな。ときどき忘れてるようだが、『領主』に何かあったら、祭がおじゃんになったぐらいの話じゃすまないぞ」
「……ご忠告感謝します」
セストはひらりと愛馬に跨り、堂々と出て行った。
それを見送り、トリプルJは自分の馬の元へと急いだ。
●
騎手がスタート地点に揃う。
ルイーザは一段高い貴賓席にいた。ハナもその席の隅に座り、熱心に望遠鏡を見ている振りをする。
(胴元がいるとしたらぁ、貴賓席か柄の悪い人がたくさん集まってる場所かだと思いますぅ)
少なくともルイーザの行動は自身か近い手下が見ているはずなので、近くにいれば異変に気付けるだろう。
一般席では、ルトガーがすっかり酒飲み仲間になった繋ぎのひとり、荷馬車のオーナーに話しかける。
「どうだ、今からでも掛け金を上げられないか?」
にやりと笑い、懐から金貨を取り出す。
「元々有り金はみんな賭け事につぎこんじまうんだ。はっはっは、ギャンブルのために働いているようなもんさ。一か八かのスリルが好きなんだ。見事勝ったら、お互い美味い酒を飲めるといいな!」
繋ぎ役の男は少し考えていたが、結局ルトガーの金を受け取った。
賭けたのは目立たないようにしていたレオンだ。
「悪いなギリギリの参加で。もしこの大穴が当たった場合、手続きはどうすればいい?」
「俺がちゃんと払うさ。幸運を祈るぜ!」
いよいよ出走となる。
号砲と共に一斉に駆けだす馬。
マチルダとトリプルJは、別のルートを辿って折り返し地点の森に到着し、馬が来るのを待っていた。
先頭はセストのほかにあと1人、そしてレオンだ。
レオンはセストを追いながら警護している。
ルベーノは更に後方、殿だ。
先に自分の馬は差し馬、つまり後半に追い上げるほうが得意な馬だと吹聴しておいたので、恐らく胴元の連中は暫く静観しているだろう。
草地を問題なく駆け抜け、やがて一団は左カーブを描いて、森に差し掛かる。
近づく蹄の音を耳に、トリプルJは密かに立会人の背後に回っていた。
(なんというか、いかにも余所者だよな)
念のためにルイーザに確認したが、やはり知らない男だという。
今、その男は小さな吹き矢を懐から出していた。
トリプルJは無言で飛びつき、相手を羽交い絞めにする。もし仲間がいれば何らかの反応があるはずだ。
その前を馬達が駆け抜けていく。
森の縁をめぐる道は、襲撃者にとってはチャンスだらけだ。
「というのは予想していたけどね」
マチルダがマジックフライトを使って盾につかまって飛んできた。
途中の地点で、セストを追う騎手に不穏な気配を感じて急行したのだ。
「セストさん、後ろを見ないで走って」
マチルダが声をかけ、「エンジェルフェザー」の守護を付与する。
レオンは馬身を割り込ませた。
セストの馬の尻を、競馬用とは思えない鞭で殴ろうとしていた騎手が、舌打ちして馬身を寄せてくる。
どうやら覚醒者らしい。片手で馬を操りながら、ボウガンのような武器を向ける。
放たれた矢の軌道をレオンが捻じ曲げ、自らが引き受けた。その間にセストとの距離は開いていく。
後方の騎手がレオンを追い抜こうとする。三番人気の騎手だ。
その更に後方、追いすがるルベーノは「マッスルトーチ」で見事な肉体を見せびらかした。
「ハッハッハ、人は裏切っても筋肉は裏切らんぞ!!」
普通の状態なら効かなかったかもしれない行動だが、まさかここでそれを仕掛けて来るとは予想外。
思わずよそ見した騎手は、あっという間に落馬してしまった。
その頃、ゴール地点は大騒ぎになっていた。
森を回って現れたのが、セストひとりなのだ。観客は喜びの声を上げるが、胴元の利は薄いだろう。
貴賓席で立ち上がった商人風の男を、ハナは見逃さなかった。
「あからさまに怪しいですぅ。要注意なのですぅ」
すぐに写真を仲間に送る。
ルトガーは、顔色を変えて席を立つ繋ぎ役の男を、影のように追い掛ける。
視界の端には御言の姿があった。別の繋ぎ役の後を追っているようだ。
やがてハナの送って来た写真の男が姿を見せ、3人そろって足早にその場を離れようとするのが分かった。
「よう。やっと会えたな」
ルトガーが嬉しそうに声をかけると、3人は身体を強張らせる。
「おっと、払うもん払ってもらおうってだけだぜ。どこへ行くんだ? 金が重いなら持ってやるぞ」
男達は無言で駆けだした。
御言は白い影のように追い、どこかの村長の息子とやらに飛びつくと、コブラツイストで動きを止める。
「少しお話をしようというだけですから。ああほら、下手に動くと関節を傷めますよ?」
2人はそれを置いて逃げ出した。
「いい加減に諦めるですぅ。手加減は得意じゃないですぅ」
立ち塞がったハナの可愛い笑顔がとても怖い。
ついに男達は観念し、大人しくなった。
●
息を切らせて戻って来たトリプルJが、鋭く尋ねる。
「セストは無事かっ! 胴元の確保はっ!」
「無事ですよ。おかげさまで」
セストが淡々と顛末を説明した。
胴元は、これまでにもジェオルジの産品を買い付けてくれていた有力な商人だった。
「皆様にはご迷惑をおかけしました。ですが、今後色々と役に立ちそうです」
セストの秀麗な顔に、邪悪な陰がよぎったのは気のせいか。
「それとこれは、今回のお礼の追加です」
全員にジェオルジ特産のまめしが配られる。
「最初の通報者の家族から、皆さんにと託されました。村の特産の山鳥の風味だそうですよ。良かったら召し上がってください」
セストの微笑みは、穏やかなものになっていた。
<了>
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/06/20 19:28:51 |
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競馬出る人守る人 星野 ハナ(ka5852) 人間(リアルブルー)|24才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2019/06/21 08:37:56 |