ゲスト
(ka0000)
【女神】失われた島へ
マスター:奈華里

- シナリオ形態
- シリーズ(新規)
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,300
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/06/26 09:00
- 完成日
- 2019/07/02 02:22
このシナリオは2日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●決意
イズの船が大型船に引かれながら港に舞い戻る。
外傷は船尾の舵部以外それ程見当たらない。だが、甲板に上がれば一部床が抜けている事から戦いが激しかった事を物語っている。そして、まず下りてきたのはハンターらに引率された海賊達七名。いずれも覚醒者だという。そして、その後に申し訳なさげに降りてくるのは、この船の船長でもあるイズ=レンシア。
彼女の姿を捉えて、彼女の船の乗組員達がわぁぁと駆け寄る。
「大丈夫だったんですね、船長!」
「心配しやしたぜっ」
海賊に捕まって、近寄る救助を返り討ちにした。
その情報は耳に入っていたが、彼らは彼女のそれに理由があるとして、ただひたすらに帰りを待っていたのだ。
「皆…有難う。御免なさいね、不甲斐無い船長で」
彼女がそう言い、ぺこりと頭を下げる。
「組合の方々も助けに来てくれたのにすみませんでした。壊した船の修理代はうちに回して下さい」
続いて、後ろで傍観していた港のお偉いさんにそう謝罪する。
「まぁ、いいよぉ。まずは休んで…それから事情を聞かせてくれや」
彼女を知る者が多いからだろうか。彼女への風当たりは少ない。それに事情を聞くうちに、イズ自身はどうもしようがなかった事を知り情状酌量という判断が下され、広がっていた悪い噂も思いの外早く下火になり、残りの逃亡した覚醒者たちについては人相描き作成の下、指名手配されたと聞く。
「これも皆のお蔭ね、有難う」
彼女が乗組員達に心から感謝を述べる。だが、そんな中彼女はある事を憂いでもいる。
(私があの海図を持ってる限り、皆を危険に晒す事になる。だったら、いっその事私が…)
『え…船、長?』
ある朝の事だった。いつも通りに起きてきた乗組員達は彼女の姿に目を丸くする。
「あら、おはよう。どうかした?」
がイズの方はいつも通り。違う所と言えば、彼女の長かった筈の髪が肩まででばっさりなくなっている。
「ど、どうしたんすか船長! もしかして、失恋!?」
一人が慌てた様子で言う。
「はぁ、失恋ってなんだよ。いつ恋してたってんだよっ」
そう言うのはもう一人だ。とにかくこの男達は女子が髪を切る=失恋だと思っているらしい。
「もう馬鹿言わないの。ただね、仕事を休んでいる間に…というか、あの事件で私決めたのよ。ルコさんの残したこの海図を証明して見せるってね」
「ルコの地図の証明…?」
その言葉に船乗りの一人が素っ頓狂な声を出す。
ちなみにルコの海図とは、以前手に入れた暗黒海域ー普段では到底進む事が出来ないという危険海域ーの情報が詳細に書き写された海図であり、その中には秘密が隠されていた。だが、イズはその秘密を少し前に解き明かしている。
「って事は船長はあの海を渡るつもりで? 正気ですか!」
荒波と歪虚の巣窟とも呼ばれるその場所へ向かうのは自殺行為だ。折角助かった命をと誰もが止める。
「大丈夫、策はあるわ。この海図に隠されていた秘密によるとね…」
彼女が仲間達にそれを説明する。
だが、それでも噂ではほら吹きルコと呼ばれた冒険家が残した海図だ。不安を感じるものは多い。
「無理にとは言わないわ。着いてきたい者だけ来て頂戴」
家族のいる乗組員もいる。それをわかっているからイズがハッキリとそう言い切る。
そしてその場では答えを聞かず、後日答えを聞くとだけ言ってその場を後にする。
●助っ人
そして、舵が直り決断の日。同乗を決意できた者はやはり少なかった。
「覚悟していた事よ…仕方ないわ」
補佐役のセルクが表情を硬くする中で彼女が静かに言う。
だが、捨てる神あれば何とやらだ。そんな彼女の元にぞろぞろとやってくる集団があって…。
「よう、お困りの様だな、女神様。俺らの力が必要かい?」
それは……彼女が以前捕縛した海賊・シルバーバレットの面々だ。刑期を終え外に出てきたらしい。
「あら…それは雇って欲しいの間違いじゃないの?」
以前交わした約束を思い出してイズがくすりと笑い言い返す。
「まあ、そうとって貰っても構わん。で、聞いた話じゃまた無謀な事を手を出すつもりなんだろう?」
何処から聞きつけたか知らないが、既に彼等はイズの行き先を周知しているらしい。
「そう、なら話が早いわ。私に命を預けてくれる人だけ乗船を許可します」
イズの言葉に元海賊らが顔を見合わせる。
「元より海賊やってた時から覚悟はできてたぜ。なあ、野郎共」
『うぉぉぉ!』
彼の子分達が久方振りの雄叫びを上げる。
「ふふっ。元気なのは結構だけど、もう海賊じゃないんだからその辺は弁えてよね」
彼女が微笑みながら釘を刺す。
(さてと、後はハンターさん達ね)
オフィスには既に依頼として概要を提出している。そして、出発日は明日に設定。
名目は『とある島の探索護衛』としているが、はっきり言って危険海域の近くまで行くし、その後そのまま暗黒海域に突入するつもりであるから、とても危険極まりない。
(集まってくれるといいけど…)
彼女の傍を爽やかな風が吹き抜ける。
『大丈夫、あなたには私がついているわ』
その風が彼女にはそう言ったように感じられて、彼女は再び前を向いた。
イズの船が大型船に引かれながら港に舞い戻る。
外傷は船尾の舵部以外それ程見当たらない。だが、甲板に上がれば一部床が抜けている事から戦いが激しかった事を物語っている。そして、まず下りてきたのはハンターらに引率された海賊達七名。いずれも覚醒者だという。そして、その後に申し訳なさげに降りてくるのは、この船の船長でもあるイズ=レンシア。
彼女の姿を捉えて、彼女の船の乗組員達がわぁぁと駆け寄る。
「大丈夫だったんですね、船長!」
「心配しやしたぜっ」
海賊に捕まって、近寄る救助を返り討ちにした。
その情報は耳に入っていたが、彼らは彼女のそれに理由があるとして、ただひたすらに帰りを待っていたのだ。
「皆…有難う。御免なさいね、不甲斐無い船長で」
彼女がそう言い、ぺこりと頭を下げる。
「組合の方々も助けに来てくれたのにすみませんでした。壊した船の修理代はうちに回して下さい」
続いて、後ろで傍観していた港のお偉いさんにそう謝罪する。
「まぁ、いいよぉ。まずは休んで…それから事情を聞かせてくれや」
彼女を知る者が多いからだろうか。彼女への風当たりは少ない。それに事情を聞くうちに、イズ自身はどうもしようがなかった事を知り情状酌量という判断が下され、広がっていた悪い噂も思いの外早く下火になり、残りの逃亡した覚醒者たちについては人相描き作成の下、指名手配されたと聞く。
「これも皆のお蔭ね、有難う」
彼女が乗組員達に心から感謝を述べる。だが、そんな中彼女はある事を憂いでもいる。
(私があの海図を持ってる限り、皆を危険に晒す事になる。だったら、いっその事私が…)
『え…船、長?』
ある朝の事だった。いつも通りに起きてきた乗組員達は彼女の姿に目を丸くする。
「あら、おはよう。どうかした?」
がイズの方はいつも通り。違う所と言えば、彼女の長かった筈の髪が肩まででばっさりなくなっている。
「ど、どうしたんすか船長! もしかして、失恋!?」
一人が慌てた様子で言う。
「はぁ、失恋ってなんだよ。いつ恋してたってんだよっ」
そう言うのはもう一人だ。とにかくこの男達は女子が髪を切る=失恋だと思っているらしい。
「もう馬鹿言わないの。ただね、仕事を休んでいる間に…というか、あの事件で私決めたのよ。ルコさんの残したこの海図を証明して見せるってね」
「ルコの地図の証明…?」
その言葉に船乗りの一人が素っ頓狂な声を出す。
ちなみにルコの海図とは、以前手に入れた暗黒海域ー普段では到底進む事が出来ないという危険海域ーの情報が詳細に書き写された海図であり、その中には秘密が隠されていた。だが、イズはその秘密を少し前に解き明かしている。
「って事は船長はあの海を渡るつもりで? 正気ですか!」
荒波と歪虚の巣窟とも呼ばれるその場所へ向かうのは自殺行為だ。折角助かった命をと誰もが止める。
「大丈夫、策はあるわ。この海図に隠されていた秘密によるとね…」
彼女が仲間達にそれを説明する。
だが、それでも噂ではほら吹きルコと呼ばれた冒険家が残した海図だ。不安を感じるものは多い。
「無理にとは言わないわ。着いてきたい者だけ来て頂戴」
家族のいる乗組員もいる。それをわかっているからイズがハッキリとそう言い切る。
そしてその場では答えを聞かず、後日答えを聞くとだけ言ってその場を後にする。
●助っ人
そして、舵が直り決断の日。同乗を決意できた者はやはり少なかった。
「覚悟していた事よ…仕方ないわ」
補佐役のセルクが表情を硬くする中で彼女が静かに言う。
だが、捨てる神あれば何とやらだ。そんな彼女の元にぞろぞろとやってくる集団があって…。
「よう、お困りの様だな、女神様。俺らの力が必要かい?」
それは……彼女が以前捕縛した海賊・シルバーバレットの面々だ。刑期を終え外に出てきたらしい。
「あら…それは雇って欲しいの間違いじゃないの?」
以前交わした約束を思い出してイズがくすりと笑い言い返す。
「まあ、そうとって貰っても構わん。で、聞いた話じゃまた無謀な事を手を出すつもりなんだろう?」
何処から聞きつけたか知らないが、既に彼等はイズの行き先を周知しているらしい。
「そう、なら話が早いわ。私に命を預けてくれる人だけ乗船を許可します」
イズの言葉に元海賊らが顔を見合わせる。
「元より海賊やってた時から覚悟はできてたぜ。なあ、野郎共」
『うぉぉぉ!』
彼の子分達が久方振りの雄叫びを上げる。
「ふふっ。元気なのは結構だけど、もう海賊じゃないんだからその辺は弁えてよね」
彼女が微笑みながら釘を刺す。
(さてと、後はハンターさん達ね)
オフィスには既に依頼として概要を提出している。そして、出発日は明日に設定。
名目は『とある島の探索護衛』としているが、はっきり言って危険海域の近くまで行くし、その後そのまま暗黒海域に突入するつもりであるから、とても危険極まりない。
(集まってくれるといいけど…)
彼女の傍を爽やかな風が吹き抜ける。
『大丈夫、あなたには私がついているわ』
その風が彼女にはそう言ったように感じられて、彼女は再び前を向いた。
リプレイ本文
●予想
海に住まうものの休息の地、人が立ち入れぬ秘密の場所。
海を愛し海と共に…。海との交友が結ばれし者だけがそれを手にする事が出来る。
穢れを払うは小さきものの生み出す旋律。渦巻く部屋に悠久の風を。それが進む鍵となる。
それがルコの残した海図の謎の全文だ。
「はぁ~…何が何だかよくわからないです…」
ここは既に海の上。問題の場所まで三日かかるという事もあって、島の場所についての話し合いは船の中、船長室で行われている。だが、こういうものを解くには向き不向きがある。海を冒険するワクワクにつられてやって来たサクラ・エルフリード(ka2598)は率直に言って苦手らしい。
その他にメンバーも何となく連想するものはあれど、核心には至らない。
「ちなみにイズはその場所の近くを通ったことあるのよね? 島とかって本当になかったの?」
カーミン・S・フィールズ(ka1559)が皆の気分を切り替えようと実際の話を持ちかける。
「ええ、私が通った時はなかったわ。と言ってもそこまで注意していなかったけれど、でも私が今書いてる海図にはそれらしいものは存在しないかな」
以前から海図を勉強している彼女だ。
今書き上げているものを皆に見せてくれるが、やはり問題の場所には何もない。
「人が立ち入れぬ場所とあるからそう簡単には見つからないんだろうね。と言うか、見えるようには出来ていないのかも」
鞍馬 真(ka5819)が真剣に推理する。
「だとしたらやはり海の中なのかな? 岩礁とか魚の住処とかそう言うのなら見つからないし」
とこれは冒険と聞いて飛んできた時音 ざくろ(ka1250)の考え。
「あるいは海底洞窟と言うのもありじゃろうな。いざとなったら、ミグが潜ってやるのじゃ」
魔導鎧『スキューマ』を装備してミグ・ロマイヤー(ka0665)は準備万端。前回の依頼でイズの船を壊した事を少なからず気にしていたらしい。乗り掛かった船とばかりに彼女の旅に同行を決めたようだ。
「ねえ、私が思うに海と交友が結ばれし者が手にするのって人魚の海涙石だと思うんだけど」
以前の事を思い出しカーミンが皆に告げる。ちなみに海涙石とは人魚の術で長時間潜水が可能になるアイテムだ。
「確かに俺もマーメイドなどの海に住む亜人は連想した。後渦巻く部屋だが、本当の部屋だと思うか?」
文章後半に注目して、今度は神城・錬(ka3822)が話を進める。
「え、違うのですか?」
「渦巻く部屋…それは多分、何か回転するもの入った箱というじゃろうて…という事はよし、謎は解けた!」
サクラを置いて、ミグが自信ありげに手を打つ。
「では、聞かせて貰おう。どういう事だ?」
「そうさのう。見えない島なのだからきっとそれは海底じゃ。して、小さきものとは人の事じゃな。精霊に比べれば、ミグらは小さい。そして旋律とあるからには楽器が絡んでいる筈…回転する物の入った箱とは羅針盤、あるいは方位磁針のようなものがあって、それが暗黒海域を渡る鍵になるとそう言う事じゃ」
彼女は推理を披露してとても満足げだ。しかし、その推理が腑に落ちていない者も多い。
「回転して旋律を奏でるならオルゴールとも考えられない?」
カーミンが思った事を素直に口に出す。
「単純に渦巻と言うのもアリだろ。もしないなら、部屋から貝と言うのも連想したが」
錬が新たな解釈を披露する。
「あ、それなら私も考えたよ。貝殻ならば耳に当てると海の音がするというしね」
真がその意見に同調する。
「どっちにしてもそうすると人魚の協力が必要、という事かしら?」
イズが皆に尋ねる。人魚の友達はいない訳ではない。だが、彼には一度会っただけであり、場所も随分違うことからすぐ会うのは難しい。だが、もっと身近に人魚の知り合いがいる者は存在する。
「セルク、至急ロジャーさんに連絡を入れて」
イズが言う。その言葉にセルクは大きく頷いた。
●怪物
問題の場所の近くは思いの外、いい風が吹いていた。すぐ近くが暗黒海域だとは思えない程に。
だが、近付けば近づく程何もなく、いよいよ海底が怪しいという事になってくる。
けれど、その前に彼らを待ち受けていたのは――。
「え…嘘でしょ」
帆は風を受けて、弓なりに。普通であればぐんぐん進む筈の船が何故だか全く動かない。
その異変に気付いて船員達は甲板へ。海を覗き込んでみても岩礁や藻がある形跡もない。けれど、どうしてか船は動かず、島を探して自分のカモメの目を借りていたざくろもこれには驚きを隠せない。
(どういう事だ? 敵の姿は見えないのに)
周囲一帯、船の上空を飛んで彼は思う。視界はそれ程良いとは言えないが、それでも何かが来ればわかる程度ではある。だが、その範囲に全くと言っていい程歪虚の姿は見て取れない。けれど、ハンター達はこの異常な状態を警戒する。サクラと真は武器を構え、錬とカーミンは空渡で外周を警戒。ミグは魔導モーターの元で待機する。
「舵が…利いてない」
そのイズの言葉に皆はハッとした。直した筈の舵が利かないという事はつまりそこに何かがあるという事だ。
「俺が見てこよう」
代表して錬が空渡で船尾の海上へ急ぐ。まるで地面を普通に走ってる如く、宙を進む姿がいつ見ても不思議だ。
そうして、船尾に近付いた時海中にぼんやり見えたのは舵にとり付く不気味な影。
(これは)
ザバァーーーン
錬がそれを判断しかけた時、敵が先に動いた。船を包む形で四方八方から飛び出したのは吸盤のついた複数の足。この足には見覚えがある。だが、見覚えがあるとはいえ、この大きさは異常である。
「空からじゃなく海からッ!?」
サクラが叫ぶ。
しかし、彼女は何が来ようと準備万端。飛び出した足目掛けてセイクリッドフラッシュで対抗する。
足の一つがその衝撃によって弾かれた。だがしかし、別の足はそうはいかない。ハンターが対応し切れていない足が側面に張り付くと同時に船を大きく揺らし始める。
「なんて大きさなのっ! みんな落ちんじゃないわよっ!」
カーミンがそれを見取り叫ぶ。ざくろは意識を戻して、吸盤に持っていかれそうになる船員達のサポートへ。
「こっちだ。超機導結界発動!」
伸びてくる脚に対して、彼が展開したのは安全地帯を作る結界・ポゼッション。
この中に入りさえすれば、一定の攻撃を防ぐ事が出来る便利なものだ。
「下は頼むわよ、ザクロ」
「OーK、任せて」
カーミンの言葉に彼が頷く。そうして、心配を失くした所で彼女は水霊の矢の雨を降らせにかかる。
(この矢はちょっと特殊だから覚悟しなさいっ)
弓にかけたのは魔法の力が宿った矢――この矢は水中に入っても威力は衰えないという代物だ。
「食らいなさいなっ」
カーミンの声が木霊する。一方、船首の方では真が持参した武器を駆使し、二本の足とやり合っている。
「くっ、近付かせはしない」
うにょうにょ動く足に対して、向かってくる際は剣で応戦。取りつこうとするなら符を取り出し風雷陣でそれを阻止。しかも、相手は水系モンスターだから雷の攻撃は絶大だ。風雷陣の稲妻が足に触れると足が痙攣し始め、ぽとりと海面へ沈んでゆく。
だが、それが余程痛かったのか敵の怒りの引き金となった。
電撃が全身に伝わり、敵が浮上する。が、その浮上場所がこちらには頂けない。
「何っ、まさか真下か」
水の流れからそれを悟って錬が言葉する。
「ミグさん、モーターを早く!」
それを聞いてサクラの指示。イズも転覆を避けようと目一杯舵を切ってはいるが、向こうの足がそれを阻害し、思う様に動かせない。そこで力に自信のある船員達は帆を動かし、風の力で向きを変えようとしているが足場の悪い今、踏ん張りがきかず回避が叶わない。
(お願い間に合って!)
敵の浮上と船の移動はほぼ同時。船底を持ち上げられる形で再び船が大きく傾く。
それと同時舵に纏わりついていた脚が露出して…。
(やっと見えたか)
そのチャンスを錬は逃さなかった。アクセルオーバーで加速接近するとアフターバーナーでその足を酢だこの如くぶつ切りに。するとおし留めていた舵から脚が離れ、勢いよく舵が回転。イズから小さな悲鳴がある。
「大丈夫かい!」
が転倒し振り落されそうになった彼女を救ったのはざくろだ。間に滑り込んで、彼女を抱えている。
その間操り手を失った舵は派手に回るかと思われたが、そこにはシルバーバレットの頭が立っていて、
「お主もなかなかやりおるのう」
その姿を見取り、ミグから賛美の声。
ミグ自身も転倒しかけた様だが、大事に至っていない。
それどころか、魔導モーターをブーストしたおかげで船の転覆を阻止できたようだ。
「やっと姿を現しましたね、覚悟なさい」
サクラが意気込んでソリに乗り、タコの元に接近する。だが、そこでまたしても予期せぬ反撃。
タコは顔の横の穴から海上の彼等に向かって墨を吐き出した。その光景はさながら黒い雨のようで…イカの様に粘り気はないものの彼等の目つぶしには充分だ。墨を避けようと盾を構えたサクラを足で弾き飛ばすタコ。ソリも乗り手を失って、空気の抜けた風船のようにあっさりと落ちてゆく。
船にいる者達にも当然この墨の雨は降り注ぎ、この後の甲板掃除が大変そうだ。
「全く好き勝手やってくれるね」
ざくろがイズをミグに預け、魔導機械が組み込まれた魔導剣を掲げる。そして、発動したのはデルタレイ。
現在の船の位置が丁度タコの後方だから攻撃するには打ってつけだ。
「食らって貰うよ!」
光の三角が形成され、その頂点から光が伸びタコの後頭部(正確には頭ではないのだが)を狙う。その力を感じ取ったのか、タコは脚で払い除けようとしたが間に合わなかった。後頭部に当たると流石のタコも無事では済まない。動きが止まったその隙にカーミンが空渡で海上のサクラの元に駆け寄って、
「いけるかしら?」
カーミンが尋ねる。それに頷くサクラに笑顔を返して、
「じゃあ行ってらっしゃい!」
「了解です!」
カーミンがサクラを引き上げ、そのまま一直線にタコに向かってぶん投げる。
タコの頭に到達すると、彼女は間髪入れずに。
「天罰です!」
彼女が使ったのは闇の刃で敵を貫くプルガトリオ。それを人で言うところの眉間に突き刺させば、巨大ダコはその連続コンボに動けない。
「一気に畳みかけるか」
「勿論」
錬が空を、真が船の船首――船嘴を駆ける。
そうして、先に到達したのは錬の方。すれ違いざまにアサルトディスタンスでタコの胴と脚の付け根を一閃するように刀を走らせ、留めは真が受け持つ事に。真の剣が青い炎を纏い、その刀はサクラが落した眉間の場所を再び貫く。そこは…知ってか知らずか、タコの脳がある場所だった。歪虚と化した大ダコとてそこを狙われては逃れる術はない。あれ程船を揺らした厄介な足が飛沫を上げて海面を打つ。そして、沈む間もなく本体は黒い煙の様に立ち昇り何事もなかったように消えてゆく。
「終わったね」
ざくろが言う。
「悪い、引き上げてくれないかな」
「私もお願いします」
夢中で飛び出した真とサクラが海上を漂いながら言う。
そこでサクラのソリ含め二人は静かにサルベージされるのであった。
●人魚
ロジャーからの使者を待つ間にミグが海中に降りて、彼女はとある人魚に出会う。
というのもその人魚はこの近辺を住処にしているらしい。
「あの大タコはここらを荒らしていたんです。やっつけてくれて有難う御座いました」
ここらの人魚を代表し言う。そこで彼女に海中の事を尋ねてみれば、なんとビンゴだ。もう島は歪虚の襲撃で無くなったらしいが、かなり深い場所にはまだ僅かに遺物が残っているのだという。
「もし、構わないならそこに案内して欲しいのだけど」
そういうイズに人魚は暫し考え、その後了承。よほど大ダコの撃退が好感を与えたらしい。
だが、ハンター達を見送ろうとするイズを見て人魚は不思議顔。
「あなたは来ないの?」
その問いにイズは海涙石をうまく使いこなせないからと答える。
「そうなのね…けど、あなたは」
人魚の呟き――それを聞いたハンターはいなかったが、ともあれハンター達は地図の場所へ。
すると、そこは岩肌やフジツボに隠された小屋…神殿と言うには程遠い。けれど、逆にそれが良かったのだろう。荒らされる事なく、昔のまま残っているのだと人魚は語る。
「さて、で問題の何かは何処かな?」
その部屋には『旋律』を奏でそうなものはいくつかあった。だが、あの文章に当てはまるものは。
「小さきものが生み出す旋律…皆さんのいうものを照らし合わせるとやっぱりこれではないでしょうか?」
そう言いサクラが指差すは手のひらサイズの白い巻貝。
よく見れば所々穴が開いていて、ただの貝ではないようだ。
「あ、お目が高いですね。それ、人魚のオカリナなんです」
「人魚のオカリナ?」
聞き慣れない言葉に錬が繰り返す。
「はい。海の中でも音が出るし、外でも音を奏でる事は出来ますよ。ただし、この石が必要ですけど」
にこりと笑って、穴の一つに石をはめ込む。すると僅かに貝が輝いて、マテリアルが宿ったようなそんな暖かい力が感じられる。
「あの、これ頂いていってもいいですか?」
サクラ他皆でお願いする。
「あ、はい。けど、これは特殊なものですから誰でも吹ける訳じゃないので頑張って下さいね」
その言葉を聞いて誰もが顔を見合わせた。
そして、船に戻ったハンター達はそのオカリナと向き合う事となる。
「本当何でならないの? 普通何かしら音が出るものよね?」
持参したフルートは吹けるのに対して、貰って来た巻貝に息を吹き込んでみてもうんともすんとも音がせず、カーミンは解せないという表情。ちなみに音が出ないのは他の者も同じだ。だが、例のモノは多分これに間違いなかった。何故なら、不思議な力を感じるし、これを引き上げてからというもの錨を下ろしたまま停泊していても雑魔一匹襲ってこない。
「持ってるだけでいいってことはないか?」
錬が言う。だが、あるだけでいいとしたらこのオカリナの近くにあの大タコが出現した理由がつかない。
「どう、あれから進展は?」
イズが雑務を終えて、ハンター達の元を訪れる。
「それがね、どうしても音が出なくて…」
「そうなの?」
その時だった。イズが何気なくオカリナを手に取るとはめ込まれた石が一瞬眩く輝き、より一層淡い光がオカリナを包んでいく。
「これは一体…」
「おい、イズ。吹いてみろ」
錬の言葉に戸惑いながらも彼女がそれに息を吹き込む。
すると、紡がれ出たのはガラスを思わせるキラキラした旋律…。
「イズ、君は…」
皆が驚く。
「船長! 変ですぜ、向こうの霧がいきなり晴れて…って皆さん?」
そこへ飛び込んできた船員だったが、ハンター達の様子を見て一層首を傾げるのだった。
海に住まうものの休息の地、人が立ち入れぬ秘密の場所。
海を愛し海と共に…。海との交友が結ばれし者だけがそれを手にする事が出来る。
穢れを払うは小さきものの生み出す旋律。渦巻く部屋に悠久の風を。それが進む鍵となる。
それがルコの残した海図の謎の全文だ。
「はぁ~…何が何だかよくわからないです…」
ここは既に海の上。問題の場所まで三日かかるという事もあって、島の場所についての話し合いは船の中、船長室で行われている。だが、こういうものを解くには向き不向きがある。海を冒険するワクワクにつられてやって来たサクラ・エルフリード(ka2598)は率直に言って苦手らしい。
その他にメンバーも何となく連想するものはあれど、核心には至らない。
「ちなみにイズはその場所の近くを通ったことあるのよね? 島とかって本当になかったの?」
カーミン・S・フィールズ(ka1559)が皆の気分を切り替えようと実際の話を持ちかける。
「ええ、私が通った時はなかったわ。と言ってもそこまで注意していなかったけれど、でも私が今書いてる海図にはそれらしいものは存在しないかな」
以前から海図を勉強している彼女だ。
今書き上げているものを皆に見せてくれるが、やはり問題の場所には何もない。
「人が立ち入れぬ場所とあるからそう簡単には見つからないんだろうね。と言うか、見えるようには出来ていないのかも」
鞍馬 真(ka5819)が真剣に推理する。
「だとしたらやはり海の中なのかな? 岩礁とか魚の住処とかそう言うのなら見つからないし」
とこれは冒険と聞いて飛んできた時音 ざくろ(ka1250)の考え。
「あるいは海底洞窟と言うのもありじゃろうな。いざとなったら、ミグが潜ってやるのじゃ」
魔導鎧『スキューマ』を装備してミグ・ロマイヤー(ka0665)は準備万端。前回の依頼でイズの船を壊した事を少なからず気にしていたらしい。乗り掛かった船とばかりに彼女の旅に同行を決めたようだ。
「ねえ、私が思うに海と交友が結ばれし者が手にするのって人魚の海涙石だと思うんだけど」
以前の事を思い出しカーミンが皆に告げる。ちなみに海涙石とは人魚の術で長時間潜水が可能になるアイテムだ。
「確かに俺もマーメイドなどの海に住む亜人は連想した。後渦巻く部屋だが、本当の部屋だと思うか?」
文章後半に注目して、今度は神城・錬(ka3822)が話を進める。
「え、違うのですか?」
「渦巻く部屋…それは多分、何か回転するもの入った箱というじゃろうて…という事はよし、謎は解けた!」
サクラを置いて、ミグが自信ありげに手を打つ。
「では、聞かせて貰おう。どういう事だ?」
「そうさのう。見えない島なのだからきっとそれは海底じゃ。して、小さきものとは人の事じゃな。精霊に比べれば、ミグらは小さい。そして旋律とあるからには楽器が絡んでいる筈…回転する物の入った箱とは羅針盤、あるいは方位磁針のようなものがあって、それが暗黒海域を渡る鍵になるとそう言う事じゃ」
彼女は推理を披露してとても満足げだ。しかし、その推理が腑に落ちていない者も多い。
「回転して旋律を奏でるならオルゴールとも考えられない?」
カーミンが思った事を素直に口に出す。
「単純に渦巻と言うのもアリだろ。もしないなら、部屋から貝と言うのも連想したが」
錬が新たな解釈を披露する。
「あ、それなら私も考えたよ。貝殻ならば耳に当てると海の音がするというしね」
真がその意見に同調する。
「どっちにしてもそうすると人魚の協力が必要、という事かしら?」
イズが皆に尋ねる。人魚の友達はいない訳ではない。だが、彼には一度会っただけであり、場所も随分違うことからすぐ会うのは難しい。だが、もっと身近に人魚の知り合いがいる者は存在する。
「セルク、至急ロジャーさんに連絡を入れて」
イズが言う。その言葉にセルクは大きく頷いた。
●怪物
問題の場所の近くは思いの外、いい風が吹いていた。すぐ近くが暗黒海域だとは思えない程に。
だが、近付けば近づく程何もなく、いよいよ海底が怪しいという事になってくる。
けれど、その前に彼らを待ち受けていたのは――。
「え…嘘でしょ」
帆は風を受けて、弓なりに。普通であればぐんぐん進む筈の船が何故だか全く動かない。
その異変に気付いて船員達は甲板へ。海を覗き込んでみても岩礁や藻がある形跡もない。けれど、どうしてか船は動かず、島を探して自分のカモメの目を借りていたざくろもこれには驚きを隠せない。
(どういう事だ? 敵の姿は見えないのに)
周囲一帯、船の上空を飛んで彼は思う。視界はそれ程良いとは言えないが、それでも何かが来ればわかる程度ではある。だが、その範囲に全くと言っていい程歪虚の姿は見て取れない。けれど、ハンター達はこの異常な状態を警戒する。サクラと真は武器を構え、錬とカーミンは空渡で外周を警戒。ミグは魔導モーターの元で待機する。
「舵が…利いてない」
そのイズの言葉に皆はハッとした。直した筈の舵が利かないという事はつまりそこに何かがあるという事だ。
「俺が見てこよう」
代表して錬が空渡で船尾の海上へ急ぐ。まるで地面を普通に走ってる如く、宙を進む姿がいつ見ても不思議だ。
そうして、船尾に近付いた時海中にぼんやり見えたのは舵にとり付く不気味な影。
(これは)
ザバァーーーン
錬がそれを判断しかけた時、敵が先に動いた。船を包む形で四方八方から飛び出したのは吸盤のついた複数の足。この足には見覚えがある。だが、見覚えがあるとはいえ、この大きさは異常である。
「空からじゃなく海からッ!?」
サクラが叫ぶ。
しかし、彼女は何が来ようと準備万端。飛び出した足目掛けてセイクリッドフラッシュで対抗する。
足の一つがその衝撃によって弾かれた。だがしかし、別の足はそうはいかない。ハンターが対応し切れていない足が側面に張り付くと同時に船を大きく揺らし始める。
「なんて大きさなのっ! みんな落ちんじゃないわよっ!」
カーミンがそれを見取り叫ぶ。ざくろは意識を戻して、吸盤に持っていかれそうになる船員達のサポートへ。
「こっちだ。超機導結界発動!」
伸びてくる脚に対して、彼が展開したのは安全地帯を作る結界・ポゼッション。
この中に入りさえすれば、一定の攻撃を防ぐ事が出来る便利なものだ。
「下は頼むわよ、ザクロ」
「OーK、任せて」
カーミンの言葉に彼が頷く。そうして、心配を失くした所で彼女は水霊の矢の雨を降らせにかかる。
(この矢はちょっと特殊だから覚悟しなさいっ)
弓にかけたのは魔法の力が宿った矢――この矢は水中に入っても威力は衰えないという代物だ。
「食らいなさいなっ」
カーミンの声が木霊する。一方、船首の方では真が持参した武器を駆使し、二本の足とやり合っている。
「くっ、近付かせはしない」
うにょうにょ動く足に対して、向かってくる際は剣で応戦。取りつこうとするなら符を取り出し風雷陣でそれを阻止。しかも、相手は水系モンスターだから雷の攻撃は絶大だ。風雷陣の稲妻が足に触れると足が痙攣し始め、ぽとりと海面へ沈んでゆく。
だが、それが余程痛かったのか敵の怒りの引き金となった。
電撃が全身に伝わり、敵が浮上する。が、その浮上場所がこちらには頂けない。
「何っ、まさか真下か」
水の流れからそれを悟って錬が言葉する。
「ミグさん、モーターを早く!」
それを聞いてサクラの指示。イズも転覆を避けようと目一杯舵を切ってはいるが、向こうの足がそれを阻害し、思う様に動かせない。そこで力に自信のある船員達は帆を動かし、風の力で向きを変えようとしているが足場の悪い今、踏ん張りがきかず回避が叶わない。
(お願い間に合って!)
敵の浮上と船の移動はほぼ同時。船底を持ち上げられる形で再び船が大きく傾く。
それと同時舵に纏わりついていた脚が露出して…。
(やっと見えたか)
そのチャンスを錬は逃さなかった。アクセルオーバーで加速接近するとアフターバーナーでその足を酢だこの如くぶつ切りに。するとおし留めていた舵から脚が離れ、勢いよく舵が回転。イズから小さな悲鳴がある。
「大丈夫かい!」
が転倒し振り落されそうになった彼女を救ったのはざくろだ。間に滑り込んで、彼女を抱えている。
その間操り手を失った舵は派手に回るかと思われたが、そこにはシルバーバレットの頭が立っていて、
「お主もなかなかやりおるのう」
その姿を見取り、ミグから賛美の声。
ミグ自身も転倒しかけた様だが、大事に至っていない。
それどころか、魔導モーターをブーストしたおかげで船の転覆を阻止できたようだ。
「やっと姿を現しましたね、覚悟なさい」
サクラが意気込んでソリに乗り、タコの元に接近する。だが、そこでまたしても予期せぬ反撃。
タコは顔の横の穴から海上の彼等に向かって墨を吐き出した。その光景はさながら黒い雨のようで…イカの様に粘り気はないものの彼等の目つぶしには充分だ。墨を避けようと盾を構えたサクラを足で弾き飛ばすタコ。ソリも乗り手を失って、空気の抜けた風船のようにあっさりと落ちてゆく。
船にいる者達にも当然この墨の雨は降り注ぎ、この後の甲板掃除が大変そうだ。
「全く好き勝手やってくれるね」
ざくろがイズをミグに預け、魔導機械が組み込まれた魔導剣を掲げる。そして、発動したのはデルタレイ。
現在の船の位置が丁度タコの後方だから攻撃するには打ってつけだ。
「食らって貰うよ!」
光の三角が形成され、その頂点から光が伸びタコの後頭部(正確には頭ではないのだが)を狙う。その力を感じ取ったのか、タコは脚で払い除けようとしたが間に合わなかった。後頭部に当たると流石のタコも無事では済まない。動きが止まったその隙にカーミンが空渡で海上のサクラの元に駆け寄って、
「いけるかしら?」
カーミンが尋ねる。それに頷くサクラに笑顔を返して、
「じゃあ行ってらっしゃい!」
「了解です!」
カーミンがサクラを引き上げ、そのまま一直線にタコに向かってぶん投げる。
タコの頭に到達すると、彼女は間髪入れずに。
「天罰です!」
彼女が使ったのは闇の刃で敵を貫くプルガトリオ。それを人で言うところの眉間に突き刺させば、巨大ダコはその連続コンボに動けない。
「一気に畳みかけるか」
「勿論」
錬が空を、真が船の船首――船嘴を駆ける。
そうして、先に到達したのは錬の方。すれ違いざまにアサルトディスタンスでタコの胴と脚の付け根を一閃するように刀を走らせ、留めは真が受け持つ事に。真の剣が青い炎を纏い、その刀はサクラが落した眉間の場所を再び貫く。そこは…知ってか知らずか、タコの脳がある場所だった。歪虚と化した大ダコとてそこを狙われては逃れる術はない。あれ程船を揺らした厄介な足が飛沫を上げて海面を打つ。そして、沈む間もなく本体は黒い煙の様に立ち昇り何事もなかったように消えてゆく。
「終わったね」
ざくろが言う。
「悪い、引き上げてくれないかな」
「私もお願いします」
夢中で飛び出した真とサクラが海上を漂いながら言う。
そこでサクラのソリ含め二人は静かにサルベージされるのであった。
●人魚
ロジャーからの使者を待つ間にミグが海中に降りて、彼女はとある人魚に出会う。
というのもその人魚はこの近辺を住処にしているらしい。
「あの大タコはここらを荒らしていたんです。やっつけてくれて有難う御座いました」
ここらの人魚を代表し言う。そこで彼女に海中の事を尋ねてみれば、なんとビンゴだ。もう島は歪虚の襲撃で無くなったらしいが、かなり深い場所にはまだ僅かに遺物が残っているのだという。
「もし、構わないならそこに案内して欲しいのだけど」
そういうイズに人魚は暫し考え、その後了承。よほど大ダコの撃退が好感を与えたらしい。
だが、ハンター達を見送ろうとするイズを見て人魚は不思議顔。
「あなたは来ないの?」
その問いにイズは海涙石をうまく使いこなせないからと答える。
「そうなのね…けど、あなたは」
人魚の呟き――それを聞いたハンターはいなかったが、ともあれハンター達は地図の場所へ。
すると、そこは岩肌やフジツボに隠された小屋…神殿と言うには程遠い。けれど、逆にそれが良かったのだろう。荒らされる事なく、昔のまま残っているのだと人魚は語る。
「さて、で問題の何かは何処かな?」
その部屋には『旋律』を奏でそうなものはいくつかあった。だが、あの文章に当てはまるものは。
「小さきものが生み出す旋律…皆さんのいうものを照らし合わせるとやっぱりこれではないでしょうか?」
そう言いサクラが指差すは手のひらサイズの白い巻貝。
よく見れば所々穴が開いていて、ただの貝ではないようだ。
「あ、お目が高いですね。それ、人魚のオカリナなんです」
「人魚のオカリナ?」
聞き慣れない言葉に錬が繰り返す。
「はい。海の中でも音が出るし、外でも音を奏でる事は出来ますよ。ただし、この石が必要ですけど」
にこりと笑って、穴の一つに石をはめ込む。すると僅かに貝が輝いて、マテリアルが宿ったようなそんな暖かい力が感じられる。
「あの、これ頂いていってもいいですか?」
サクラ他皆でお願いする。
「あ、はい。けど、これは特殊なものですから誰でも吹ける訳じゃないので頑張って下さいね」
その言葉を聞いて誰もが顔を見合わせた。
そして、船に戻ったハンター達はそのオカリナと向き合う事となる。
「本当何でならないの? 普通何かしら音が出るものよね?」
持参したフルートは吹けるのに対して、貰って来た巻貝に息を吹き込んでみてもうんともすんとも音がせず、カーミンは解せないという表情。ちなみに音が出ないのは他の者も同じだ。だが、例のモノは多分これに間違いなかった。何故なら、不思議な力を感じるし、これを引き上げてからというもの錨を下ろしたまま停泊していても雑魔一匹襲ってこない。
「持ってるだけでいいってことはないか?」
錬が言う。だが、あるだけでいいとしたらこのオカリナの近くにあの大タコが出現した理由がつかない。
「どう、あれから進展は?」
イズが雑務を終えて、ハンター達の元を訪れる。
「それがね、どうしても音が出なくて…」
「そうなの?」
その時だった。イズが何気なくオカリナを手に取るとはめ込まれた石が一瞬眩く輝き、より一層淡い光がオカリナを包んでいく。
「これは一体…」
「おい、イズ。吹いてみろ」
錬の言葉に戸惑いながらも彼女がそれに息を吹き込む。
すると、紡がれ出たのはガラスを思わせるキラキラした旋律…。
「イズ、君は…」
皆が驚く。
「船長! 変ですぜ、向こうの霧がいきなり晴れて…って皆さん?」
そこへ飛び込んできた船員だったが、ハンター達の様子を見て一層首を傾げるのだった。
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鞍馬 真(ka5819)
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 鞍馬 真(ka5819) 人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/06/25 21:06:42 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/06/25 15:21:17 |