ゲスト
(ka0000)
敵は雑魔!…いや、竜巻…?
マスター:秋月雅哉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2015/01/29 09:00
- 完成日
- 2015/01/30 20:11
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●止まらない竜巻
それは突然巻き起こった。辺りに積もった雪を巻き込みつつひたすら上へ上へと押し上げていく。
竜巻。しかも一つだけではなく数えきれないほどの竜巻が時に大樹すら巻き込みながら旋回する。
その竜巻群の中心にいるのは一体の雑魔。吸盤のついた手足を露出した地面に張り付かせ、四つん這いになっている。
見た目は少し蛙に似ているだろうか。大きさが三メートルを超していることを除けば。
竜巻の巻き起こす風の中で蛙に似た雑魔はじっと耐えていた。
なぜ竜巻が起こっているのか、この雑魔と何か関わりがあるのか分からないまま、偶然居合わせた近くの村の村人は……雑魔を見て逃げ出そうとしたが竜巻に飲まれて近くの村の広場まで吹き飛んだのだった。
「……うん、物語か何かみたいなんだけど竜巻で飛ばされた人がこの間、竜巻の起きてる場所に近くい村の広場に落ちてきてね。幸い常緑樹の茂みがクッションになって、命を取り留めて。治療してるうちに意識は戻ったんだけどさ。どうも複数ある竜巻の中心部に雑魔がいるみたいなんだよね。
自然災害だけなら諦めるしかないんだけど、この竜巻どうも人為的な物みたいで。動かないんだよ、その場から。
まるで雑魔を護るみたいに、ね。
だから君たちには竜巻に巻き込まれないよう注意してもらいながらこの雑魔をどうにかして欲しい。
ちなみに下手に動くと巻き込まれるくらい大型の竜巻が複数あるから迂闊に動けない。
雑魔自体も動けないみたいだから根気と知恵勝負ってところかなぁ……なんか我慢大会みたいな依頼だけど、雑魔退治ではあるしよろしく」
どこか遠くを見る目で語った後ルカ・シュバルツエンド(kz0073)はパタリとファイルを閉じたのだった。
それは突然巻き起こった。辺りに積もった雪を巻き込みつつひたすら上へ上へと押し上げていく。
竜巻。しかも一つだけではなく数えきれないほどの竜巻が時に大樹すら巻き込みながら旋回する。
その竜巻群の中心にいるのは一体の雑魔。吸盤のついた手足を露出した地面に張り付かせ、四つん這いになっている。
見た目は少し蛙に似ているだろうか。大きさが三メートルを超していることを除けば。
竜巻の巻き起こす風の中で蛙に似た雑魔はじっと耐えていた。
なぜ竜巻が起こっているのか、この雑魔と何か関わりがあるのか分からないまま、偶然居合わせた近くの村の村人は……雑魔を見て逃げ出そうとしたが竜巻に飲まれて近くの村の広場まで吹き飛んだのだった。
「……うん、物語か何かみたいなんだけど竜巻で飛ばされた人がこの間、竜巻の起きてる場所に近くい村の広場に落ちてきてね。幸い常緑樹の茂みがクッションになって、命を取り留めて。治療してるうちに意識は戻ったんだけどさ。どうも複数ある竜巻の中心部に雑魔がいるみたいなんだよね。
自然災害だけなら諦めるしかないんだけど、この竜巻どうも人為的な物みたいで。動かないんだよ、その場から。
まるで雑魔を護るみたいに、ね。
だから君たちには竜巻に巻き込まれないよう注意してもらいながらこの雑魔をどうにかして欲しい。
ちなみに下手に動くと巻き込まれるくらい大型の竜巻が複数あるから迂闊に動けない。
雑魔自体も動けないみたいだから根気と知恵勝負ってところかなぁ……なんか我慢大会みたいな依頼だけど、雑魔退治ではあるしよろしく」
どこか遠くを見る目で語った後ルカ・シュバルツエンド(kz0073)はパタリとファイルを閉じたのだった。
リプレイ本文
●冗談のような本当の話
動かない竜巻。そんな不可解な竜巻の群れの中心部にいるのは三メートルを超える大蛙に似た雑魔。
大樹すら巻き込み、迂闊に近づけば人は当然星になってどこに飛ばされるのかもわからない。
それでも雑魔退治は雑魔退治。雑魔との戦いというより竜巻の脅威との戦いとなりそうな感が始める前からひしひしとしている今回の依頼に名乗りを上げたのは八人のハンターだった。
「……これ、竜巻とカエルと、どっちがほんた……ぅ……」
ネージュ(ka0049)が呟くがうっかり気を抜いたせいで飛ばされかけ、慌てて地面にべたっと突っ伏しつつ、支え代わりに地面に突き刺した鉄パイプにしがみつく。
「姿勢を低くすれば風の影響は最小限に……でも痛いですっ!」
雪もこの竜巻のなか積もる根性はなかったようで砂利やらが露出した地面。
加えて竜巻。要するに砂埃や小さな石が飛んできて目に入ったり肌をかすめたりとその場にいるだけで地味に、とても地味に痛みが持続する全然嬉しくないおまけつき。
満月美華(ka0515)は飛ばされそうになっている仲間にストーンアーマーを付与して自重を増やすことでなんとか飛ばされないようにできないかと試みていた。
操られて土砂が対象者の身体に纏いつくが今回の目的は本来の効果である防御力を高める、というより単に重さをかさ増しして飛ばされる可能性を多少なりとも下げることにある。
「ちょっと話をしましょうか?」
話術と交渉術を駆使して蛙もどきに話しかけるが返事は返ってこない。
雑魔は喋ることができないためそれもある意味当たり前なのだが狙いは蛙の隙を作ることにあるので大して問題はなし。
しかし竜巻の轟音が凄まじすぎて声が届いているかどうかは謎だった。
「……もう少し近づかないと駄目ね、これは……というかあのカエル、プルプルしてない?」
おそらく竜巻を起しているのが件の蛙のはずなのだが、蛙自身も制御と自分自身が飛ばされないことに必死になっているらしくなんだかプルプルしていた。
三メートルを超す蛙の薄い表皮がプルプルと揺れるわけで、大きさ故にそれがしっかり見えてしまうわけで。
蛙が苦手な相手にとっては心に深いトラウマを植え付けそうなほど不気味な光景だった。
そもそも三メートルを超す蛙が相手と知った時点で蛙嫌いは逃げ出しそうだから問題はないのかもしれないが、偶然会ったらとても嫌だろう、こんな雑魔。
竜巻に飛ばされて奇跡的に命が助かった民間人に改めて同情もしたくなるというものである。
イレーヌ(ka1372)は飛ばされない最低限の対策として装備できる限界まで装備を増やして自重を増やしていた。
「飛ばされやすさに関しては、覚醒状態なら特に問題ないと思うが……万が一飛ばされてもそこそこ丈夫だから大丈夫だろう」
飛ばされないに越したことはないが、とジリジリと距離を縮めながら内心でぼやく。
これで雑魔が強かったら物凄く厄介なことになっているが自分の作り出した竜巻を制御することも、制御できる範囲まで数を減らすこともできていない余裕のなさから考えるにそれほどの力は有していないのだろう。
「竜巻地獄を抜けたご褒美が蛙の化け物って言うのは……特典としてはいまいちですねぇ」
メリエ・フリョーシカ(ka1991)が腰に巻き付けたロープが外れないことを確認しつつ他のメンバー同様這いつくばる。
敵は天災ともいえる強大さ、油断はできない。ただし強大なのも天災レベルなのも竜巻の方であって雑魔の方ではないのが世知辛いところだ。
「これ以上の被害は食い止めねばなりません。かならず」
スピアガンの銛にロープを巻き付けて装着、匍匐前進で接近していく。
「カエル野郎……絶対潰してやる……うぎぎぎ……しかし……どういう竜巻なんですかね、これは……魔法的なのなんですかねぇ……」
竜巻に向かいながら地面にしがみついてひとり言を漏らすがそのたびに砂利が口の中に入ってきて非常に不快な思いをすることに気づき、口を閉じるメリエ。
「ちょっと! 竜巻とか、邪魔よっ! 絶対に飛ばされないんだから!
絶対に飛ばされないんだから!!」
一歩間違えればお星様になるフラグを立ててしまっているのは岩波レイナ(ka3178)だ。
周囲にあった岩と自分をつないで少しでも飛ばされる危険を回避する。
「ま、まぁ、気休めかもしれないけれど、やらないよりはマシでしょ。できることも、利用できるモノも、しっかり使わないとね!」
あーでもこんなデカイ蛙とか、気持ち悪い! みれば見るほど気持ち悪い!
嫌悪感に眉を寄せながら叫ぶレイナ。岩が少し遠かったため他の仲間よりは竜巻から離れており、まだ多少余裕があるようだ。
匍匐前進でできるだけ地面近くを移動して、少しでも竜巻に巻き込まれないように進む、の、だが。
「って風! 風がー!! とっ、飛ばすんじゃないわよ!」
元気いっぱいに騒いでいる彼女、口のなかは大丈夫なのだろうか。
自分が飛ばされるのも注意だが、巻き込んで飛ばされた木や石やその他いろいろが飛び散っているのでそれでダメージを受けないようにも注意が必要だった。
エリオット・ウェスト(ka3219)は見下ろせそうな小高い丘から蛙と竜巻の位置を確認し、雑魔の肉体がどのようか分からないものの、竜巻を能力で操っているなら(暴走気味の現状を操っていると言っていいのかは疑問だが)何かしら法則性がないかと見定めようとしていた。
あまり動かさず停滞させているものは恐らく防御用、何かに向けて動かしているものがあれば攻撃用だろうと判断したのだが。
「……まさかどれもこれもその場から動かないとはね……もしかして竜巻作りすぎて制御不能でその場に留めておくだけで手いっぱいなのかな。
蛙の目の動きも観察したいけどここからじゃ遠すぎるね。望遠鏡でもあればなぁ……」
モジュール化を行っているならばそれを分析したいと思っていた自称科学で作られた存在であるエリオットだったが竜巻がその場から動かない以上データを取るには近づくしかなさそうだと判断せざるを得なかった。
「会話ができれば竜巻の作り方を聞いてみるんだけどね……雑魔は喋る事が出来ないんだったかな……残念だよ」
「凄いですの! 竜巻、初めてみましたですの!! 何だか凄いですの! でも、中の方に大きなカエルさんがみえますですの。
頑張って竜巻を抜けて倒しますですの!
でも、竜巻で飛ばされたら、何処に行ってしまうのでしょうか? ですの。ちょっと興味がありますですの」
クリスティン・エリューナク(ka3736)は無邪気にはしゃいでいたがやはり飛ばされないように地面に這いつくばってはいた。
身を低くしないとあっという間に飛ばされてしまいそうな強風である。
「かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこ。ですの。カエルさんも言えますか? ですの」
近寄りながら気を付けるのは竜巻の風と風が飛ばしてくる諸々のほか、蛙の舌である、さぞかし長いだろう。
もし蛙が舌を出して来たらつかんで引っ張ってみる算段のクリスティンだった。
バランスを崩させて自滅させるとかそういう作戦よりはどれくらい伸びるのか興味がある、という理由だったが。
引っ張っている隙に、他の人が舌を切ってくれたら完璧、とは本人談。
「耐久レースか……ゲームしてよう」
大きな石を背負い、少しでも体重を重くしたユーリ・ミカゲ(ka3972)はそう即断した。
無駄かもしれないが、と近くの木と自分をロープでつないでおく。
地面に突っ伏しながらひたすら竜巻を耐える間彼がしたことはと言えば、脳内チェス。
ゲームしてよう、という彼の言葉に嘘はなかったようだ。
「……そうくるんだ。やるね。
ふうん……私もその手は予想していたよ」
などと独り言を言い続ける姿はちょっと痛いかもしれない。
蛙を釣れないかという意図もあったがどうやら蛙は蛙でそれどころではない様子。
地面を這いつつ脳内ゲームをしながら、痛いひとり言を言い続け、おもちゃの虫を投げたりして蛙の気をそらそうと試みる。
「悪く思わないでほしいんだ。これも戦略ゲームだから……」
いくつめかの虫の形をした玩具を投げつけた時、その変化は起こった。
まず一つ目の変化。投げる際に少し体を起こしすぎたユーリが竜巻の風に巻き込まれ空高く飛んでいく。
あ、と思いつつここで体を起こしたら全員同じ結果になるのは必至、というか既に腕が届かない位置まで舞い上がっている。
仲間たちが心配しながらもどうしようもない現実に途方に暮れる中、吹き飛ばされた本人は「どこに落ちるか分からないなんて、ランダム要素高くていいよね……」と意味不明な言葉を発しながら星になった。
二つ目の変化はおもちゃの虫が風に乗って上手く蛙の近くに届き、蛙の習性か、長い長い舌が伸ばされた。
この機を狙っていたクリスティンが素早く、けれどユーリのように身を起こしすぎて飛ばされないように気をつけつつ舌を高速で掴みとり引っ張る。
ずりずりと舌に引きずられハンター側に近づいていく蛙。
制御不能になった竜巻が一瞬勢いを増し、そして消える。
「今ですっ!」
閉じるに閉じられない口の中に向かってネージュがデリンジャーを打ち込む。
美華はウィンドスラッシュを蛙めがけて放ち、イレーヌは胴体に向かってホーリーライトを、メリエは渾身撃を籠めた一撃を怒りもプラスして。
「もう我慢は必要ないな! 年貢の納め時だカエル野郎! 顔面ぶち割ってやるから慎まなくとも受け取れぇっ!!」
前方から一気に攻められて蛙が狼狽する中レイナは背後に回り込んで一気に接近、エレクトリックショックで行動阻害を狙った後、攻性強化を使ってハリセンを叩きつける。
「みんな容赦ないなぁ……」
そうつぶやくエリオットも戦闘を怖がりながらもデリンジャーの一発を狙いを定めて蛙へお見舞い。
クリスティンが掴んだ舌を引き寄せながら、身を起して舌をロープ代わりに大きく振りかぶる。
上空に浮き上がり回避不能となった大蛙が落ちてくる前に一斉攻撃再び。
ぼた、と落ちてくるころには雑魔の息の根は止まっていた。
どうやら本当に厄介なのは竜巻だけで、蛙自体は全く強くなかったらしい。
虎の威を借りる狐ならぬ竜巻の威を借りる化けガエルだったわけである。
その後、飛ばされてすぐ竜巻が止まったおかげで何とかそれほど離れていない位置に落下したユーリの怪我の手当てを済ませて今回の任務は終了したのだった。
「これだけの風でしたし、ちょっと周辺のお片付けとか……できる、かしら……樹も吹き飛ばすような風、だったみたいですし……」
ネージュが冷や汗をかきながら呟いたセリフを八人で検討し、出た答えは。
「自然災害みたいなものだしアフターケアは依頼の内容に含まれてないし、どうにかできるような状況でもないから知らない振りをしよう」
で一致したのだった。
動かない竜巻。そんな不可解な竜巻の群れの中心部にいるのは三メートルを超える大蛙に似た雑魔。
大樹すら巻き込み、迂闊に近づけば人は当然星になってどこに飛ばされるのかもわからない。
それでも雑魔退治は雑魔退治。雑魔との戦いというより竜巻の脅威との戦いとなりそうな感が始める前からひしひしとしている今回の依頼に名乗りを上げたのは八人のハンターだった。
「……これ、竜巻とカエルと、どっちがほんた……ぅ……」
ネージュ(ka0049)が呟くがうっかり気を抜いたせいで飛ばされかけ、慌てて地面にべたっと突っ伏しつつ、支え代わりに地面に突き刺した鉄パイプにしがみつく。
「姿勢を低くすれば風の影響は最小限に……でも痛いですっ!」
雪もこの竜巻のなか積もる根性はなかったようで砂利やらが露出した地面。
加えて竜巻。要するに砂埃や小さな石が飛んできて目に入ったり肌をかすめたりとその場にいるだけで地味に、とても地味に痛みが持続する全然嬉しくないおまけつき。
満月美華(ka0515)は飛ばされそうになっている仲間にストーンアーマーを付与して自重を増やすことでなんとか飛ばされないようにできないかと試みていた。
操られて土砂が対象者の身体に纏いつくが今回の目的は本来の効果である防御力を高める、というより単に重さをかさ増しして飛ばされる可能性を多少なりとも下げることにある。
「ちょっと話をしましょうか?」
話術と交渉術を駆使して蛙もどきに話しかけるが返事は返ってこない。
雑魔は喋ることができないためそれもある意味当たり前なのだが狙いは蛙の隙を作ることにあるので大して問題はなし。
しかし竜巻の轟音が凄まじすぎて声が届いているかどうかは謎だった。
「……もう少し近づかないと駄目ね、これは……というかあのカエル、プルプルしてない?」
おそらく竜巻を起しているのが件の蛙のはずなのだが、蛙自身も制御と自分自身が飛ばされないことに必死になっているらしくなんだかプルプルしていた。
三メートルを超す蛙の薄い表皮がプルプルと揺れるわけで、大きさ故にそれがしっかり見えてしまうわけで。
蛙が苦手な相手にとっては心に深いトラウマを植え付けそうなほど不気味な光景だった。
そもそも三メートルを超す蛙が相手と知った時点で蛙嫌いは逃げ出しそうだから問題はないのかもしれないが、偶然会ったらとても嫌だろう、こんな雑魔。
竜巻に飛ばされて奇跡的に命が助かった民間人に改めて同情もしたくなるというものである。
イレーヌ(ka1372)は飛ばされない最低限の対策として装備できる限界まで装備を増やして自重を増やしていた。
「飛ばされやすさに関しては、覚醒状態なら特に問題ないと思うが……万が一飛ばされてもそこそこ丈夫だから大丈夫だろう」
飛ばされないに越したことはないが、とジリジリと距離を縮めながら内心でぼやく。
これで雑魔が強かったら物凄く厄介なことになっているが自分の作り出した竜巻を制御することも、制御できる範囲まで数を減らすこともできていない余裕のなさから考えるにそれほどの力は有していないのだろう。
「竜巻地獄を抜けたご褒美が蛙の化け物って言うのは……特典としてはいまいちですねぇ」
メリエ・フリョーシカ(ka1991)が腰に巻き付けたロープが外れないことを確認しつつ他のメンバー同様這いつくばる。
敵は天災ともいえる強大さ、油断はできない。ただし強大なのも天災レベルなのも竜巻の方であって雑魔の方ではないのが世知辛いところだ。
「これ以上の被害は食い止めねばなりません。かならず」
スピアガンの銛にロープを巻き付けて装着、匍匐前進で接近していく。
「カエル野郎……絶対潰してやる……うぎぎぎ……しかし……どういう竜巻なんですかね、これは……魔法的なのなんですかねぇ……」
竜巻に向かいながら地面にしがみついてひとり言を漏らすがそのたびに砂利が口の中に入ってきて非常に不快な思いをすることに気づき、口を閉じるメリエ。
「ちょっと! 竜巻とか、邪魔よっ! 絶対に飛ばされないんだから!
絶対に飛ばされないんだから!!」
一歩間違えればお星様になるフラグを立ててしまっているのは岩波レイナ(ka3178)だ。
周囲にあった岩と自分をつないで少しでも飛ばされる危険を回避する。
「ま、まぁ、気休めかもしれないけれど、やらないよりはマシでしょ。できることも、利用できるモノも、しっかり使わないとね!」
あーでもこんなデカイ蛙とか、気持ち悪い! みれば見るほど気持ち悪い!
嫌悪感に眉を寄せながら叫ぶレイナ。岩が少し遠かったため他の仲間よりは竜巻から離れており、まだ多少余裕があるようだ。
匍匐前進でできるだけ地面近くを移動して、少しでも竜巻に巻き込まれないように進む、の、だが。
「って風! 風がー!! とっ、飛ばすんじゃないわよ!」
元気いっぱいに騒いでいる彼女、口のなかは大丈夫なのだろうか。
自分が飛ばされるのも注意だが、巻き込んで飛ばされた木や石やその他いろいろが飛び散っているのでそれでダメージを受けないようにも注意が必要だった。
エリオット・ウェスト(ka3219)は見下ろせそうな小高い丘から蛙と竜巻の位置を確認し、雑魔の肉体がどのようか分からないものの、竜巻を能力で操っているなら(暴走気味の現状を操っていると言っていいのかは疑問だが)何かしら法則性がないかと見定めようとしていた。
あまり動かさず停滞させているものは恐らく防御用、何かに向けて動かしているものがあれば攻撃用だろうと判断したのだが。
「……まさかどれもこれもその場から動かないとはね……もしかして竜巻作りすぎて制御不能でその場に留めておくだけで手いっぱいなのかな。
蛙の目の動きも観察したいけどここからじゃ遠すぎるね。望遠鏡でもあればなぁ……」
モジュール化を行っているならばそれを分析したいと思っていた自称科学で作られた存在であるエリオットだったが竜巻がその場から動かない以上データを取るには近づくしかなさそうだと判断せざるを得なかった。
「会話ができれば竜巻の作り方を聞いてみるんだけどね……雑魔は喋る事が出来ないんだったかな……残念だよ」
「凄いですの! 竜巻、初めてみましたですの!! 何だか凄いですの! でも、中の方に大きなカエルさんがみえますですの。
頑張って竜巻を抜けて倒しますですの!
でも、竜巻で飛ばされたら、何処に行ってしまうのでしょうか? ですの。ちょっと興味がありますですの」
クリスティン・エリューナク(ka3736)は無邪気にはしゃいでいたがやはり飛ばされないように地面に這いつくばってはいた。
身を低くしないとあっという間に飛ばされてしまいそうな強風である。
「かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこ。ですの。カエルさんも言えますか? ですの」
近寄りながら気を付けるのは竜巻の風と風が飛ばしてくる諸々のほか、蛙の舌である、さぞかし長いだろう。
もし蛙が舌を出して来たらつかんで引っ張ってみる算段のクリスティンだった。
バランスを崩させて自滅させるとかそういう作戦よりはどれくらい伸びるのか興味がある、という理由だったが。
引っ張っている隙に、他の人が舌を切ってくれたら完璧、とは本人談。
「耐久レースか……ゲームしてよう」
大きな石を背負い、少しでも体重を重くしたユーリ・ミカゲ(ka3972)はそう即断した。
無駄かもしれないが、と近くの木と自分をロープでつないでおく。
地面に突っ伏しながらひたすら竜巻を耐える間彼がしたことはと言えば、脳内チェス。
ゲームしてよう、という彼の言葉に嘘はなかったようだ。
「……そうくるんだ。やるね。
ふうん……私もその手は予想していたよ」
などと独り言を言い続ける姿はちょっと痛いかもしれない。
蛙を釣れないかという意図もあったがどうやら蛙は蛙でそれどころではない様子。
地面を這いつつ脳内ゲームをしながら、痛いひとり言を言い続け、おもちゃの虫を投げたりして蛙の気をそらそうと試みる。
「悪く思わないでほしいんだ。これも戦略ゲームだから……」
いくつめかの虫の形をした玩具を投げつけた時、その変化は起こった。
まず一つ目の変化。投げる際に少し体を起こしすぎたユーリが竜巻の風に巻き込まれ空高く飛んでいく。
あ、と思いつつここで体を起こしたら全員同じ結果になるのは必至、というか既に腕が届かない位置まで舞い上がっている。
仲間たちが心配しながらもどうしようもない現実に途方に暮れる中、吹き飛ばされた本人は「どこに落ちるか分からないなんて、ランダム要素高くていいよね……」と意味不明な言葉を発しながら星になった。
二つ目の変化はおもちゃの虫が風に乗って上手く蛙の近くに届き、蛙の習性か、長い長い舌が伸ばされた。
この機を狙っていたクリスティンが素早く、けれどユーリのように身を起こしすぎて飛ばされないように気をつけつつ舌を高速で掴みとり引っ張る。
ずりずりと舌に引きずられハンター側に近づいていく蛙。
制御不能になった竜巻が一瞬勢いを増し、そして消える。
「今ですっ!」
閉じるに閉じられない口の中に向かってネージュがデリンジャーを打ち込む。
美華はウィンドスラッシュを蛙めがけて放ち、イレーヌは胴体に向かってホーリーライトを、メリエは渾身撃を籠めた一撃を怒りもプラスして。
「もう我慢は必要ないな! 年貢の納め時だカエル野郎! 顔面ぶち割ってやるから慎まなくとも受け取れぇっ!!」
前方から一気に攻められて蛙が狼狽する中レイナは背後に回り込んで一気に接近、エレクトリックショックで行動阻害を狙った後、攻性強化を使ってハリセンを叩きつける。
「みんな容赦ないなぁ……」
そうつぶやくエリオットも戦闘を怖がりながらもデリンジャーの一発を狙いを定めて蛙へお見舞い。
クリスティンが掴んだ舌を引き寄せながら、身を起して舌をロープ代わりに大きく振りかぶる。
上空に浮き上がり回避不能となった大蛙が落ちてくる前に一斉攻撃再び。
ぼた、と落ちてくるころには雑魔の息の根は止まっていた。
どうやら本当に厄介なのは竜巻だけで、蛙自体は全く強くなかったらしい。
虎の威を借りる狐ならぬ竜巻の威を借りる化けガエルだったわけである。
その後、飛ばされてすぐ竜巻が止まったおかげで何とかそれほど離れていない位置に落下したユーリの怪我の手当てを済ませて今回の任務は終了したのだった。
「これだけの風でしたし、ちょっと周辺のお片付けとか……できる、かしら……樹も吹き飛ばすような風、だったみたいですし……」
ネージュが冷や汗をかきながら呟いたセリフを八人で検討し、出た答えは。
「自然災害みたいなものだしアフターケアは依頼の内容に含まれてないし、どうにかできるような状況でもないから知らない振りをしよう」
で一致したのだった。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
---|
面白かった! | 5人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 エリオット・ウェスト(ka3219) 人間(リアルブルー)|13才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2015/01/29 00:41:48 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/28 09:43:00 |