ゲスト
(ka0000)
戦!
マスター:凪池シリル

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 6~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/01/29 19:00
- 完成日
- 2015/02/07 07:20
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「ハンターの先生様方、大変でさぁ!
辺境の集落に、怠惰組の雑魔と思しきやつらの出入りがあったって話でさぁ!」
知らせを受けるなり声を上げたのは、受付嬢のアン・ズヴォーである。
緊急事態なのは間違いないので、ツッコミを入れたい気持ちを抑えて聞いてあげて欲しい。
「慎ましくも平和に暮らす遊牧民の元に、現れましたは身の丈3mの巨人ども!
勿論部族の戦士も黙ってやられちゃいねえ、まず戦えねえ連中を逃がす算段を整えて、
同時に、無造作に攻めてくる雑魔どもを、廃棄を決めたゲルの方面に追い込んだ!
質素な生活してたのが逆に幸い、逃げるだけなら簡単なのかもしれやせん。
――……が!
族長、曰く!
部族の民を傷つけることも許せねえが、ひょいと出てきて我らの地を襲い、それがまかり通ると思ってる、その傲慢が許せねえ!
このままただで帰らせられるか。手前ら、人様あんまりなめんじゃねえ。
……そんなわけで、かの族長より、先生様方に依頼をお願ぇしたいと承ってまいりました。
ご依頼したいことは単純でさぁ。
『人んち土足で踏み荒らしてでけえ顔してるふてぇ奴らを、一体残らず狩り尽くせ!』
以上でさぁ!
手前どもからも伏してお願いしやす、辺境の地にこれ以上、歪虚のやつらをのさばらせねえために、先生様方のお力で目にもの見せてやって下せえ!」
辺境の集落に、怠惰組の雑魔と思しきやつらの出入りがあったって話でさぁ!」
知らせを受けるなり声を上げたのは、受付嬢のアン・ズヴォーである。
緊急事態なのは間違いないので、ツッコミを入れたい気持ちを抑えて聞いてあげて欲しい。
「慎ましくも平和に暮らす遊牧民の元に、現れましたは身の丈3mの巨人ども!
勿論部族の戦士も黙ってやられちゃいねえ、まず戦えねえ連中を逃がす算段を整えて、
同時に、無造作に攻めてくる雑魔どもを、廃棄を決めたゲルの方面に追い込んだ!
質素な生活してたのが逆に幸い、逃げるだけなら簡単なのかもしれやせん。
――……が!
族長、曰く!
部族の民を傷つけることも許せねえが、ひょいと出てきて我らの地を襲い、それがまかり通ると思ってる、その傲慢が許せねえ!
このままただで帰らせられるか。手前ら、人様あんまりなめんじゃねえ。
……そんなわけで、かの族長より、先生様方に依頼をお願ぇしたいと承ってまいりました。
ご依頼したいことは単純でさぁ。
『人んち土足で踏み荒らしてでけえ顔してるふてぇ奴らを、一体残らず狩り尽くせ!』
以上でさぁ!
手前どもからも伏してお願いしやす、辺境の地にこれ以上、歪虚のやつらをのさばらせねえために、先生様方のお力で目にもの見せてやって下せえ!」
リプレイ本文
やあやあ、これより語るは、赤き大地に訪れし試練の物語!
遊牧民の住処を襲い来る怠惰の軍勢、巨人率いる雑魔の軍団、
それに立ち向かいし八名の英雄の物語でさぁ。
かの地に訪れし危機と、それに立ち向かう戦士たち。その願いを聞き届けましたハンターの先生様方、しばし顔を見合わせしかる後、初めに口を開きましたはアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)先生でごぜえやした。
「シンプルな依頼でいいね」
細けぇことは必要ねえ、やるこたぁただ一つ、雑魔を狩りつくすのみ。
それだけの単純な話が、ままならねえのがこの世界。
それゆえに。駆け出しの頃より己がどれほどやれるのか。確かめるにゃあちょうどいい。
軽い口調と裏腹に、重い決意が見て取れやす。
アルト先生のお言葉に、続いて笑って応じるは、同じ大地に生きる民、ザザ(ka3765)先生であります。
「単純明快だな。ああ、嫌いじゃないノリだ」
言伝でなお、かの族長の熱意と覚悟は伝わったのか。その声は、確かな熱を帯びていやした。
元々、辺境に生きる民にとっちゃあ怠惰の軍勢は仇敵同然。余計に熱も入るもわかりやす。
「俺は何の力もない一般人のコックだが、心意気には応えたいんでね、まあ格闘オタクの一般人でもやれることをお見せしますか」
続けて言うはリカルド=イージス=バルデラマ(ka0356)先生。只の料理人と嘯くにゃあ、瞳の光がちょいと剣呑ですけどねぃ。
「というか、軍人上がりやら武術経験者ばっかりで、もう俺何もしなくても良さそうじゃん給料分くらいは仕事しよう」
ちょいと斜めに構えつつ、戦う意志と覚悟が確り備わってらっしゃること、手前どもにゃあ誤魔化せねえ。
……と、そこへと滑り込むは、どこか気だるさを感じさせる切金 凪(ka2321)先生の声。
「ふーむ、いろいろと大儀なことよのぉ」
何処となくゆったりと見えるその挙動、しかしその顔に浮かぶ笑み。
「まぁ、よい。此度の相手は我を楽しませてくれるじゃろうか?」
こちらはリカルド先生と違い間違いねえ、はっきりとした鋭い彩を隠すつもりはないらしく。
一歩、また一歩と進むたびに、争いに期待を抱く、危険で凄絶な笑みは深くなっていくのでありました。
――かくして。
「そんじゃあアンちゃん、後は僕らにまかしとけっ!」
ミリア・コーネリウス(ka1287)先生の頼もしいお言葉を最後に残し。
先生様方はゲートをくぐり、決戦の地へと旅立たれ。
「お任せいたしやす! 手前どもは先生様方を信じてまさぁ!」
手前どもはそう答えて、一辺の疑いもなく送りださせていただいたんでさぁ。
●
さあかの地に向かいし八名が見たものは。追うたか追いかけられたのか、駆け寄る戦士と続いて湧き出る雑魔の群れ!
聞いてた通り、蟷螂五匹に甲虫五匹、そしてその後に、のそりとした挙動からなおも伝わる威圧感、巨人が二体でありました。
――ふと、昔を思い出す。
のちにそう語りしは山田 勇三(ka3604)先生でありました。
虫を追っては他所の家の敷地に入り、翻って大人に追われる立場となる。
巨大昆虫と巨人を前に、閉鎖されたこの庭で。
重なるは、昔のそんな情景と。
嗚呼しかし。悲しきかな、虫を相手に喜ぶにゃあ、些か年を取り過ぎた。
況してや、今目の前にいる虫は化物とくりゃあ、昔懐かしむ暇もねえ。
年を経て、世界を渡り、今は歪虚と戦う覚悟を決めた山田先生は、虫取り網を剣に替え、
――では行こうか、今の己が成すべき事を成しに。
決意を秘め、戦場へと踏み出すのであります。
このとき巨人どももまた、闇を湛えし窪んだ眼窩をぎろりと先生方へと差し向けます。
不気味に唸る低い咆哮が、先生方へと浴びせかけられると、虫どもが反応し進路を変え迫る。
密集陣形を取り、巨人へ近づけねえ算段か。誰かがその可能性に気付くと同時。
刹那! 炎が戦地を縦断する!
いや――否。
焔と見紛いしはアルト先生のたなびく紅の髪が残した像。
虫どもが互いに距離を狭める前、一気に巨人に向けて距離を詰めにかかる!
脇を通り抜ける風。やつらが状況を理解し体勢を整えるその前に、その甲殻の表面を何かが弾く。
榊 兵庫(ka0010)先生の銃弾が、駆け抜けるアルト先生を支援するかのように虫どもを牽制だ!
はっきりと、虫どもの足並みが乱れたここで、躍り出ますはザザ先生。
「相手を間違えるなよ虫ども」
言葉と共に砂塵を巻き上げ浴びせかけ。挑発と共に蟷螂の一体に、ククリの一撃を食らわせます。
虫どもの隊列をこじ開けるかのように右薙ぎに振るわれる刃。その背をあわせるようにリカルド先生もうって出る!
「んじゃまあ、行きますかどこまで踊れるかは知らんが」
右手に小太刀、そして利き手の左には刀を携え、しなる独特の動きで、浴びせかけるように虫たちへと斬りかかる!
続く山田先生、跳躍するような足取りで敵陣へと飛び込むと、老体に似合わぬ多彩な動きで虫どもを翻弄しながら斬りかかる。
今や虫どもの動きは散り散りでありました。右をザザ先生と榊先生が、左をリカルド先生と山田先生がそれぞれ抑え、切り開かれた巨人への道。
「前回の鋼の巨人とどっちが強いか確かめさせてもらうよ」
先行くアルト先生を追うように、ミリア先生も疾る!
「さぁ、血湧き肉踊る闘争を始めようぞ!」
そしてその二人に遅れをとるまいと、巨人を狙う切金先生も動く!
三人が巨人への道を走り、それを見届け。
「お前たちは此処で終りです」
静かに告げたのはリアン・カーネイ(ka0267)先生でありました、
リアン先生がたつのは殿の位置。左右に展開する仲間達は、虫たちと今完全に乱戦状態にありました。
数は敵に優位にあらば、囲まれ背後を取られれば一気に形勢不利。そうはさせねえと退路を確保するリアン先生の槍の機動防御が、この戦況の要石と相成ってるってわけでさぁ!
さあ、奮戦の末虫たちを止めた先生方。遠くの巨人にアルト先生が、近くの巨人にミリア先生と切金先生が肉薄することに成功する!
……かくしてここに、戦場は完全に二分されたのであります。
はたして分断されたのは雑魔かそれとも先生方か。
作戦の真価は、決戦の行方は、いかぁに!
●
「くかかかか、よい、よいぞ。さぁ、存分に死合おうぞ!」
振り下ろした巨人の腕の一撃を受け、切金先生が凄絶な笑みを浮かべます。
剣で捌いたつもりでも、少なくない衝撃が、あまりに小柄なその体躯を駆け抜けていきます。
――切り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ、踏み込みゆけばそこは極楽、とな。
躊躇をしては優位な間合いに逃げられる。攻めの姿勢あるのみと、怯まず翻す大太刀の刃は、しかし頑強な岩巨人の腹を薙ぐにゃあ浅い。
懐には入れたが、このまま切り結び続ければ先に体力が尽きるのは切金先生が先と見え。ミリア先生がかばうように躍り出る。
「流石に一人で勝てるなんて思ってないんでね、少し時間を稼がせて貰う」
前のめりに構える切金先生と対照的に、ミリア先生は防御を重視した構え。
鈍重な斧をこれが見事に捌くもんで、振り回される腕の一撃を器用に殺してその威力に抗いやす。
だがしかし、そのために攻撃の勢いは犠牲になって、返す刃はやはり決定的な威力にはなり得ない。
一人でもう一体の巨人に向かうアルト先生の状況も似たようなもんで、隙のねえ防御力と足を使った立ち回りで、巨人の攻撃をしのいじゃいるが、巨人の腿へ向かって振り下ろされた刃が返す手ごたえは硬ぇもんでした。巨人が体勢を崩す前に、耐え続けられるのか保証の限りはねえ。
切金先生は一歩も引かず、はだける着物も意に介さずと果敢に刃を振り続け。
ミリア先生とアルト先生は、後ろの仲間が虫どもを倒し救援に来てくれるまでの時間稼ぎと割り切る。倒せるなら倒しちまいてえところだが、こいつは一筋縄じゃあいかねえと、認め背後をちらりと見やる。
「敵の弱点が分かっているというのならば、それを突くのが戦士としては当然だ」
槍の兵庫と誰が呼んだか。刀槍を得意とする【榊流】を伝えし榊先生のその手に今握られしは、しかし炎の刃をもつ斧でありました。
「最善を尽くさずに負けたりしたら、それこそ爺さんに顔向けできないからな。全力で当たる事としよう」
迷わず振りぬかれるは馴染まぬはずの重い刃。しかし鍛え抜かれた膂力と無駄のない動きで、すばやく地を駆けるはずの蝙蝠に、分厚い刃がめり込みます。刻まれた紋章は熱を帯び、蟷螂の甲殻を焦がしながら焼き貫き、一撃で一匹を致命傷へと追いやるのでありました。
「……得物が変わろうが、俺が血肉にした榊流の技の冴えが鈍るわけでない。我が流派に不得手の得物なしをこの場で実証してみせる為にも存分に腕を振るわせて貰おう」
告げると共に、今度は突進する甲虫の正面に立ち真正面からその刃を食い込ませて参ります。
リカルド先生の右の小太刀もまた、虫どもが苦手とする火の属性を帯びておりました。蒼の世界の武芸の一つ、ムエタイと呼ばれるそれの、流れるような刃の連撃。甲虫の殻に流されようとも、刃に帯びる熱が表皮を焼く。
前で耐え凌ぐミリア先生を長くは待たせられねえ。飛び掛る蟷螂にザザ先生は頭を突き出して。なんと兜でその刃を食い止める!
そうして眼前に広がるはあらわになった蟷螂の柔らかな腹部。祖霊の力を込めた一撃を、出し惜しみせずに叩き込む!
山田先生、刹那たりとも足を止めず、虫どもの合間を縫っては翻弄し、蟷螂どもを切り付けては離れてゆきます。
皆が蟷螂どもの始末を優先する中、甲虫どもの対処をするはリアン先生。槍で払い、石突で小突いては甲虫どもの気を引いて。誘引されし甲虫どもの攻撃は、逆らわず受け流す動きで軽減しておりやす。
「槍とは穂先の刃だけでなく、頑丈な柄や石突含めて一つの武器!」
虫どもは組んで動くことを徹底されているのか。蟷螂の動きを甲虫があわせるような行動に、同士討ち狙いとはそう上手くはいかねぇようですが、仲間が翻弄する敵の乱れを上手く突き、着実に流れをこちらに引き込んであらせられます。
虫どもも、やられてばっかじゃいられねえと、鎌の一撃が先生方の腕を脚を、浅く切り裂き傷つけて……。
「……来るよ!」
そこに戦場を切り裂く、ミリア先生の悲鳴じみた警告!
巨人の召還した岩石が、まさに混沌とする戦場に投げ込まれん!
咄嗟に、己の周囲の空間を探し身を引く一行!
元々投げ込みが荒かったせいもあり、直撃こそは皆避けたものの、大地は揺れ巻き上がる砂塵が服を叩き、その威力を知らしめます。
こいつぁ何度もやられちゃたまったもんじゃねえ。
アルト先生、きりりと相手を睨みつけ。鼻を鳴らしてくぃと手招き。
「お前みたいなうすのろが、私に当てれると思うか?」
どうも覚醒してると口調が荒くならぁと、軽く己を笑いながら、目の前の巨人を挑発します。
はてさて雑魔と化した巨人には、言葉が通じる様子はねえ。ただ刺す様な気配には怯んだか、岩を呼ぶ為掲げた腕を、思いなおして握り締め、アルト先生めがけて振り下ろす!
アルト先生、盾でそいつを受け流しながら、一方虫の相手をする先生方は。
「初めから巻き添え前提ですか。まあ、やりやすいともいえますね」
あわよくば自滅狙いと位置取りしていたリアン先生、呆れ気味に呟くと、先ほどの衝撃でひっくり返った甲虫の腹を目ざとくこれ幸いにと貫きます。
蟷螂を先に倒してえと目論む先生方、割り込むように突撃してくる甲虫どもに阻まれつつも。
リカルド先生の、止まらぬ連撃が怯ませ乱れた陣形を。
山田先生の自在な動きが更にかき乱し。
リアン先生の槍が隙を見せた甲虫どもを払っては分断し。
ザザ先生が好機を逃さず、柔らけぇ関節めがけて必勝の一撃を繰り出します。
やがては守り手を失った蟷螂を、榊先生の斧が頭を叩き割る。
……気がつきゃ先生方の狙い通り、動く蟷螂どもはもう居ねえ。
ちらりと顔を見合す先生方。
固まって突進してくる甲虫どもを、榊先生が弾き返すと、巨人を相手に窮地に陥る仲間を救わんと、山田先生、リカルド先生が走る!
山田先生、影の様に疾るとあっという間にミリア先生、切金先生の前に立つ巨人の横へと到達、腕への一撃と共にすばやく離脱!
救援に、傷ついた切金先生も再び刀を握る手に力がこもり。
ミリア先生、このときを待っていたと構えを変える!
担ぐように斧を掲げるその様は、防御を捨てて攻撃に専心するためのもの。
近づいては切り、切っては離れと巨人の気を削ぐ山田先生、合わせた切金先生の猛攻に、遂には巨体はぐらりとその身体を傾けます。
勝機!
「あのドでかいライフルと高機動さえなければ僕らでも勝てる!」
ミリア先生の渾身の一撃が、このとき巨人の腹に深々と突き立てられる!
「少々お邪魔させてもらうぜ、そら!」
リカルド先生、刀を銃に持ち替えて、アルト先生の前に居る巨人の片足をたたきながら迫ります。
近づくと共に、投げ捨てるように再び刀を手に取ると、迎え撃つように放たれる巨人の拳の一撃に、怯むことなく突撃し、強引に膝関節にねじ込むように刀を突き立てます。
「叩きこめ!」
捨て身で巨人を押さえるその覚悟! リカルド先生も勿論だが、アルト先生も肝が据わっていらっしゃる。
静かに闘志を秘めた目で、巨人を見やり只一言。
「終わりにしよう」
なかなか楽しかったよと小さく呟きながら、鞘に収めた刃を一気に払い、居合いの一撃!
……そして、その背景で。
「消えろ、下郎共!」
リアン先生が、甲虫の、傷ついた甲殻の隙間を槍で穿ちいれ。
かくしてこの地にあらわれし、全ての雑魔が等しく塵へと還っていったんでありまさぁ。
●
はてさて、以上におきまして彼の地に訪れし災厄は姿を消し。
部族の者たちは互いに無事を確かめ安堵すると、危機を救った英雄達をこぞって讃えるのでありました。
これにて、此度の戦いにおける先生様方の活躍は、終――らないんでさぁ。これがまた。
先生様方、頼まれた敵の退治だけでなく、損傷したゲルの片付けや修復まで手伝ってきたってぇ話ですよ。
お礼と評判、このソサエティにまだ響いておりますよ。よっ憎いねぇ。
何かあったら呼んで欲しいなんてアルト先生、何もなくてもいつでも歓迎するとお伺いしておりやすよ。
――さあこれにて今度こそ、今回の話はしめぇでさぁ!
いや、先生方のご評判は、まだまだ語りつくしてえことは山ほどあるんですがね、ここだけの話……
(以下検閲係が字数オーバーにつき削除しました)
●
おまけ。
「部族というか、日本の古い博徒みたいな口調だったなあの受付の嬢ちゃん」
――byリカルド=イージス=バルデラマ
「小気味良いですな。何か懐かしい、そんな雰囲気です」
――by山田 勇三
遊牧民の住処を襲い来る怠惰の軍勢、巨人率いる雑魔の軍団、
それに立ち向かいし八名の英雄の物語でさぁ。
かの地に訪れし危機と、それに立ち向かう戦士たち。その願いを聞き届けましたハンターの先生様方、しばし顔を見合わせしかる後、初めに口を開きましたはアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)先生でごぜえやした。
「シンプルな依頼でいいね」
細けぇことは必要ねえ、やるこたぁただ一つ、雑魔を狩りつくすのみ。
それだけの単純な話が、ままならねえのがこの世界。
それゆえに。駆け出しの頃より己がどれほどやれるのか。確かめるにゃあちょうどいい。
軽い口調と裏腹に、重い決意が見て取れやす。
アルト先生のお言葉に、続いて笑って応じるは、同じ大地に生きる民、ザザ(ka3765)先生であります。
「単純明快だな。ああ、嫌いじゃないノリだ」
言伝でなお、かの族長の熱意と覚悟は伝わったのか。その声は、確かな熱を帯びていやした。
元々、辺境に生きる民にとっちゃあ怠惰の軍勢は仇敵同然。余計に熱も入るもわかりやす。
「俺は何の力もない一般人のコックだが、心意気には応えたいんでね、まあ格闘オタクの一般人でもやれることをお見せしますか」
続けて言うはリカルド=イージス=バルデラマ(ka0356)先生。只の料理人と嘯くにゃあ、瞳の光がちょいと剣呑ですけどねぃ。
「というか、軍人上がりやら武術経験者ばっかりで、もう俺何もしなくても良さそうじゃん給料分くらいは仕事しよう」
ちょいと斜めに構えつつ、戦う意志と覚悟が確り備わってらっしゃること、手前どもにゃあ誤魔化せねえ。
……と、そこへと滑り込むは、どこか気だるさを感じさせる切金 凪(ka2321)先生の声。
「ふーむ、いろいろと大儀なことよのぉ」
何処となくゆったりと見えるその挙動、しかしその顔に浮かぶ笑み。
「まぁ、よい。此度の相手は我を楽しませてくれるじゃろうか?」
こちらはリカルド先生と違い間違いねえ、はっきりとした鋭い彩を隠すつもりはないらしく。
一歩、また一歩と進むたびに、争いに期待を抱く、危険で凄絶な笑みは深くなっていくのでありました。
――かくして。
「そんじゃあアンちゃん、後は僕らにまかしとけっ!」
ミリア・コーネリウス(ka1287)先生の頼もしいお言葉を最後に残し。
先生様方はゲートをくぐり、決戦の地へと旅立たれ。
「お任せいたしやす! 手前どもは先生様方を信じてまさぁ!」
手前どもはそう答えて、一辺の疑いもなく送りださせていただいたんでさぁ。
●
さあかの地に向かいし八名が見たものは。追うたか追いかけられたのか、駆け寄る戦士と続いて湧き出る雑魔の群れ!
聞いてた通り、蟷螂五匹に甲虫五匹、そしてその後に、のそりとした挙動からなおも伝わる威圧感、巨人が二体でありました。
――ふと、昔を思い出す。
のちにそう語りしは山田 勇三(ka3604)先生でありました。
虫を追っては他所の家の敷地に入り、翻って大人に追われる立場となる。
巨大昆虫と巨人を前に、閉鎖されたこの庭で。
重なるは、昔のそんな情景と。
嗚呼しかし。悲しきかな、虫を相手に喜ぶにゃあ、些か年を取り過ぎた。
況してや、今目の前にいる虫は化物とくりゃあ、昔懐かしむ暇もねえ。
年を経て、世界を渡り、今は歪虚と戦う覚悟を決めた山田先生は、虫取り網を剣に替え、
――では行こうか、今の己が成すべき事を成しに。
決意を秘め、戦場へと踏み出すのであります。
このとき巨人どももまた、闇を湛えし窪んだ眼窩をぎろりと先生方へと差し向けます。
不気味に唸る低い咆哮が、先生方へと浴びせかけられると、虫どもが反応し進路を変え迫る。
密集陣形を取り、巨人へ近づけねえ算段か。誰かがその可能性に気付くと同時。
刹那! 炎が戦地を縦断する!
いや――否。
焔と見紛いしはアルト先生のたなびく紅の髪が残した像。
虫どもが互いに距離を狭める前、一気に巨人に向けて距離を詰めにかかる!
脇を通り抜ける風。やつらが状況を理解し体勢を整えるその前に、その甲殻の表面を何かが弾く。
榊 兵庫(ka0010)先生の銃弾が、駆け抜けるアルト先生を支援するかのように虫どもを牽制だ!
はっきりと、虫どもの足並みが乱れたここで、躍り出ますはザザ先生。
「相手を間違えるなよ虫ども」
言葉と共に砂塵を巻き上げ浴びせかけ。挑発と共に蟷螂の一体に、ククリの一撃を食らわせます。
虫どもの隊列をこじ開けるかのように右薙ぎに振るわれる刃。その背をあわせるようにリカルド先生もうって出る!
「んじゃまあ、行きますかどこまで踊れるかは知らんが」
右手に小太刀、そして利き手の左には刀を携え、しなる独特の動きで、浴びせかけるように虫たちへと斬りかかる!
続く山田先生、跳躍するような足取りで敵陣へと飛び込むと、老体に似合わぬ多彩な動きで虫どもを翻弄しながら斬りかかる。
今や虫どもの動きは散り散りでありました。右をザザ先生と榊先生が、左をリカルド先生と山田先生がそれぞれ抑え、切り開かれた巨人への道。
「前回の鋼の巨人とどっちが強いか確かめさせてもらうよ」
先行くアルト先生を追うように、ミリア先生も疾る!
「さぁ、血湧き肉踊る闘争を始めようぞ!」
そしてその二人に遅れをとるまいと、巨人を狙う切金先生も動く!
三人が巨人への道を走り、それを見届け。
「お前たちは此処で終りです」
静かに告げたのはリアン・カーネイ(ka0267)先生でありました、
リアン先生がたつのは殿の位置。左右に展開する仲間達は、虫たちと今完全に乱戦状態にありました。
数は敵に優位にあらば、囲まれ背後を取られれば一気に形勢不利。そうはさせねえと退路を確保するリアン先生の槍の機動防御が、この戦況の要石と相成ってるってわけでさぁ!
さあ、奮戦の末虫たちを止めた先生方。遠くの巨人にアルト先生が、近くの巨人にミリア先生と切金先生が肉薄することに成功する!
……かくしてここに、戦場は完全に二分されたのであります。
はたして分断されたのは雑魔かそれとも先生方か。
作戦の真価は、決戦の行方は、いかぁに!
●
「くかかかか、よい、よいぞ。さぁ、存分に死合おうぞ!」
振り下ろした巨人の腕の一撃を受け、切金先生が凄絶な笑みを浮かべます。
剣で捌いたつもりでも、少なくない衝撃が、あまりに小柄なその体躯を駆け抜けていきます。
――切り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ、踏み込みゆけばそこは極楽、とな。
躊躇をしては優位な間合いに逃げられる。攻めの姿勢あるのみと、怯まず翻す大太刀の刃は、しかし頑強な岩巨人の腹を薙ぐにゃあ浅い。
懐には入れたが、このまま切り結び続ければ先に体力が尽きるのは切金先生が先と見え。ミリア先生がかばうように躍り出る。
「流石に一人で勝てるなんて思ってないんでね、少し時間を稼がせて貰う」
前のめりに構える切金先生と対照的に、ミリア先生は防御を重視した構え。
鈍重な斧をこれが見事に捌くもんで、振り回される腕の一撃を器用に殺してその威力に抗いやす。
だがしかし、そのために攻撃の勢いは犠牲になって、返す刃はやはり決定的な威力にはなり得ない。
一人でもう一体の巨人に向かうアルト先生の状況も似たようなもんで、隙のねえ防御力と足を使った立ち回りで、巨人の攻撃をしのいじゃいるが、巨人の腿へ向かって振り下ろされた刃が返す手ごたえは硬ぇもんでした。巨人が体勢を崩す前に、耐え続けられるのか保証の限りはねえ。
切金先生は一歩も引かず、はだける着物も意に介さずと果敢に刃を振り続け。
ミリア先生とアルト先生は、後ろの仲間が虫どもを倒し救援に来てくれるまでの時間稼ぎと割り切る。倒せるなら倒しちまいてえところだが、こいつは一筋縄じゃあいかねえと、認め背後をちらりと見やる。
「敵の弱点が分かっているというのならば、それを突くのが戦士としては当然だ」
槍の兵庫と誰が呼んだか。刀槍を得意とする【榊流】を伝えし榊先生のその手に今握られしは、しかし炎の刃をもつ斧でありました。
「最善を尽くさずに負けたりしたら、それこそ爺さんに顔向けできないからな。全力で当たる事としよう」
迷わず振りぬかれるは馴染まぬはずの重い刃。しかし鍛え抜かれた膂力と無駄のない動きで、すばやく地を駆けるはずの蝙蝠に、分厚い刃がめり込みます。刻まれた紋章は熱を帯び、蟷螂の甲殻を焦がしながら焼き貫き、一撃で一匹を致命傷へと追いやるのでありました。
「……得物が変わろうが、俺が血肉にした榊流の技の冴えが鈍るわけでない。我が流派に不得手の得物なしをこの場で実証してみせる為にも存分に腕を振るわせて貰おう」
告げると共に、今度は突進する甲虫の正面に立ち真正面からその刃を食い込ませて参ります。
リカルド先生の右の小太刀もまた、虫どもが苦手とする火の属性を帯びておりました。蒼の世界の武芸の一つ、ムエタイと呼ばれるそれの、流れるような刃の連撃。甲虫の殻に流されようとも、刃に帯びる熱が表皮を焼く。
前で耐え凌ぐミリア先生を長くは待たせられねえ。飛び掛る蟷螂にザザ先生は頭を突き出して。なんと兜でその刃を食い止める!
そうして眼前に広がるはあらわになった蟷螂の柔らかな腹部。祖霊の力を込めた一撃を、出し惜しみせずに叩き込む!
山田先生、刹那たりとも足を止めず、虫どもの合間を縫っては翻弄し、蟷螂どもを切り付けては離れてゆきます。
皆が蟷螂どもの始末を優先する中、甲虫どもの対処をするはリアン先生。槍で払い、石突で小突いては甲虫どもの気を引いて。誘引されし甲虫どもの攻撃は、逆らわず受け流す動きで軽減しておりやす。
「槍とは穂先の刃だけでなく、頑丈な柄や石突含めて一つの武器!」
虫どもは組んで動くことを徹底されているのか。蟷螂の動きを甲虫があわせるような行動に、同士討ち狙いとはそう上手くはいかねぇようですが、仲間が翻弄する敵の乱れを上手く突き、着実に流れをこちらに引き込んであらせられます。
虫どもも、やられてばっかじゃいられねえと、鎌の一撃が先生方の腕を脚を、浅く切り裂き傷つけて……。
「……来るよ!」
そこに戦場を切り裂く、ミリア先生の悲鳴じみた警告!
巨人の召還した岩石が、まさに混沌とする戦場に投げ込まれん!
咄嗟に、己の周囲の空間を探し身を引く一行!
元々投げ込みが荒かったせいもあり、直撃こそは皆避けたものの、大地は揺れ巻き上がる砂塵が服を叩き、その威力を知らしめます。
こいつぁ何度もやられちゃたまったもんじゃねえ。
アルト先生、きりりと相手を睨みつけ。鼻を鳴らしてくぃと手招き。
「お前みたいなうすのろが、私に当てれると思うか?」
どうも覚醒してると口調が荒くならぁと、軽く己を笑いながら、目の前の巨人を挑発します。
はてさて雑魔と化した巨人には、言葉が通じる様子はねえ。ただ刺す様な気配には怯んだか、岩を呼ぶ為掲げた腕を、思いなおして握り締め、アルト先生めがけて振り下ろす!
アルト先生、盾でそいつを受け流しながら、一方虫の相手をする先生方は。
「初めから巻き添え前提ですか。まあ、やりやすいともいえますね」
あわよくば自滅狙いと位置取りしていたリアン先生、呆れ気味に呟くと、先ほどの衝撃でひっくり返った甲虫の腹を目ざとくこれ幸いにと貫きます。
蟷螂を先に倒してえと目論む先生方、割り込むように突撃してくる甲虫どもに阻まれつつも。
リカルド先生の、止まらぬ連撃が怯ませ乱れた陣形を。
山田先生の自在な動きが更にかき乱し。
リアン先生の槍が隙を見せた甲虫どもを払っては分断し。
ザザ先生が好機を逃さず、柔らけぇ関節めがけて必勝の一撃を繰り出します。
やがては守り手を失った蟷螂を、榊先生の斧が頭を叩き割る。
……気がつきゃ先生方の狙い通り、動く蟷螂どもはもう居ねえ。
ちらりと顔を見合す先生方。
固まって突進してくる甲虫どもを、榊先生が弾き返すと、巨人を相手に窮地に陥る仲間を救わんと、山田先生、リカルド先生が走る!
山田先生、影の様に疾るとあっという間にミリア先生、切金先生の前に立つ巨人の横へと到達、腕への一撃と共にすばやく離脱!
救援に、傷ついた切金先生も再び刀を握る手に力がこもり。
ミリア先生、このときを待っていたと構えを変える!
担ぐように斧を掲げるその様は、防御を捨てて攻撃に専心するためのもの。
近づいては切り、切っては離れと巨人の気を削ぐ山田先生、合わせた切金先生の猛攻に、遂には巨体はぐらりとその身体を傾けます。
勝機!
「あのドでかいライフルと高機動さえなければ僕らでも勝てる!」
ミリア先生の渾身の一撃が、このとき巨人の腹に深々と突き立てられる!
「少々お邪魔させてもらうぜ、そら!」
リカルド先生、刀を銃に持ち替えて、アルト先生の前に居る巨人の片足をたたきながら迫ります。
近づくと共に、投げ捨てるように再び刀を手に取ると、迎え撃つように放たれる巨人の拳の一撃に、怯むことなく突撃し、強引に膝関節にねじ込むように刀を突き立てます。
「叩きこめ!」
捨て身で巨人を押さえるその覚悟! リカルド先生も勿論だが、アルト先生も肝が据わっていらっしゃる。
静かに闘志を秘めた目で、巨人を見やり只一言。
「終わりにしよう」
なかなか楽しかったよと小さく呟きながら、鞘に収めた刃を一気に払い、居合いの一撃!
……そして、その背景で。
「消えろ、下郎共!」
リアン先生が、甲虫の、傷ついた甲殻の隙間を槍で穿ちいれ。
かくしてこの地にあらわれし、全ての雑魔が等しく塵へと還っていったんでありまさぁ。
●
はてさて、以上におきまして彼の地に訪れし災厄は姿を消し。
部族の者たちは互いに無事を確かめ安堵すると、危機を救った英雄達をこぞって讃えるのでありました。
これにて、此度の戦いにおける先生様方の活躍は、終――らないんでさぁ。これがまた。
先生様方、頼まれた敵の退治だけでなく、損傷したゲルの片付けや修復まで手伝ってきたってぇ話ですよ。
お礼と評判、このソサエティにまだ響いておりますよ。よっ憎いねぇ。
何かあったら呼んで欲しいなんてアルト先生、何もなくてもいつでも歓迎するとお伺いしておりやすよ。
――さあこれにて今度こそ、今回の話はしめぇでさぁ!
いや、先生方のご評判は、まだまだ語りつくしてえことは山ほどあるんですがね、ここだけの話……
(以下検閲係が字数オーバーにつき削除しました)
●
おまけ。
「部族というか、日本の古い博徒みたいな口調だったなあの受付の嬢ちゃん」
――byリカルド=イージス=バルデラマ
「小気味良いですな。何か懐かしい、そんな雰囲気です」
――by山田 勇三
依頼結果
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巨人討伐作戦会議室 リアン・カーネイ(ka0267) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/01/29 00:53:49 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/24 23:05:19 |