ゲスト
(ka0000)
フミナ、伯爵地への出向 ~フミナ~
マスター:天田洋介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/07/21 19:00
- 完成日
- 2019/08/03 17:05
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
グラズヘイム王国の南部に広がる伯爵地【ニュー・ウォルター】。
領主の名はアーリア・エルブン伯爵。
現在、傲慢のアイテルカイト『ナアマ』が率いる歪虚の軍団と交戦状態にある。
「この街は水路が張り巡らされていて、いつでも涼しげでいいですね~♪ 特に夏場は最高なのです☆」
七月のある日、フミナ・エミエールは大きな荷物を背負って、転移門を潜り抜ける。伯爵地【ニュー・ウォルター】の城塞都市マールの地を踏んだ。
本部ハンターオフィス職員の彼女だが、喫緊の事態に対処すべく、マールのハンターズソサエティー支部に出向と相成ったのである。
荷物の多くはリゼリオで手に入れた調味料が占めていた。胡椒を始めとした香辛料や液体調味料の数々は、食いしん坊のフミナにとって絶対に欠かせないものばかりだ。
「みなさんよろしくお願いしますです☆」
支部で新たな同僚達との挨拶を済ませる。その後、フミナは依頼書を作成した。システムへの反映させたその内容は、彼女自身の護衛募集である。
現在、伯爵地は歪虚による冷気に悩まされていた。特に食料関連への冷害が心配されており、フミナはその調査を担っている。
得られた情報は領主のアーリアにも伝えられるという。状況によっては、他の地域からの食料輸入も検討されているらしい。
(海ではお魚~♪ 森では家畜も育てられているようなのですよ~♪ たくさんの畑があって、お米も育てられているようなのです☆ 今回はそうですね……、夏の果物がいいかな? 桃に葡萄、西瓜とかがあるはずなのです☆)
支部のフロアで、つい鼻歌が唄ってしまい、はっと気がついて口を閉ざす。第一にすべきは領内における食料供給の維持だ。できることならば、被害は最小限に留めたい。
(味を確かめるのも重要なので、それについては役得なのです☆)
ひとまずフミナは内陸部の畑を見て回るつもりである。そのために魔導バイク付の馬車を支部に用意してもらうのだった。
領主の名はアーリア・エルブン伯爵。
現在、傲慢のアイテルカイト『ナアマ』が率いる歪虚の軍団と交戦状態にある。
「この街は水路が張り巡らされていて、いつでも涼しげでいいですね~♪ 特に夏場は最高なのです☆」
七月のある日、フミナ・エミエールは大きな荷物を背負って、転移門を潜り抜ける。伯爵地【ニュー・ウォルター】の城塞都市マールの地を踏んだ。
本部ハンターオフィス職員の彼女だが、喫緊の事態に対処すべく、マールのハンターズソサエティー支部に出向と相成ったのである。
荷物の多くはリゼリオで手に入れた調味料が占めていた。胡椒を始めとした香辛料や液体調味料の数々は、食いしん坊のフミナにとって絶対に欠かせないものばかりだ。
「みなさんよろしくお願いしますです☆」
支部で新たな同僚達との挨拶を済ませる。その後、フミナは依頼書を作成した。システムへの反映させたその内容は、彼女自身の護衛募集である。
現在、伯爵地は歪虚による冷気に悩まされていた。特に食料関連への冷害が心配されており、フミナはその調査を担っている。
得られた情報は領主のアーリアにも伝えられるという。状況によっては、他の地域からの食料輸入も検討されているらしい。
(海ではお魚~♪ 森では家畜も育てられているようなのですよ~♪ たくさんの畑があって、お米も育てられているようなのです☆ 今回はそうですね……、夏の果物がいいかな? 桃に葡萄、西瓜とかがあるはずなのです☆)
支部のフロアで、つい鼻歌が唄ってしまい、はっと気がついて口を閉ざす。第一にすべきは領内における食料供給の維持だ。できることならば、被害は最小限に留めたい。
(味を確かめるのも重要なので、それについては役得なのです☆)
ひとまずフミナは内陸部の畑を見て回るつもりである。そのために魔導バイク付の馬車を支部に用意してもらうのだった。
リプレイ本文
●
牽引用の魔導バイクが呻りをあげて、馬車がゆっくりと動きだす。
「地図の行き先まで、お任せするのです~」
「わかりました。食の確保のためにも頑張りましょう」
御者台のフミナは、ふり向くバイク乗りのツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)に手を振る。そのとき、愛馬・十鳥颯爽に騎乗していたメイム(ka2290)が、馬車へと近寄ってきた。
「ねーねーフミナさん。誰かにバイク乗ってもらって馬車曳くときって、ムチとか手綱使う予定だったのー? 実はドs~?♪」
「そ、そんなことはないのですぅ。お馬さんのときは確かにそうしていたと思いますけど……」
メイムからのツッコミに、しどろもどろになるフミナ。その様子に仲間達から笑いが巻き起こった。
「それにしても冷害か。見回りに行く畑の状況とかも心配だよね」
「夏の暑い盛りに寒さ攻撃だなんて、イジワルな話なのです~」
時音 ざくろ(ka1250)の心配する言葉に、フミナがうんうんと頷く。
「スノーラとは戦ったことがある。ソウルトーチがよく効く相手だ。何かあれば任せてくれ」
車窓から遠くを望んだレイア・アローネ(ka4082)に、フミナが「よろしくなのです」と笑顔を振りまく。
「そうなんですよ。寒さが敵ってどういうことですぅ。真夏のはずなのにぃ」
「何だか、敵のいろいろが寒さを誘発しているらしいのです。ホント、親分から子分まで」
魔導ママチャリで馬車に近づいてきた星野 ハナ(ka5852)に、フミナが事情を話した。「これバイクで牽くってなかなか難易度高そうですぅ。周囲の索敵しますねぇ」そういって星野ハナは、斥候のために離れていった。
「私のバイクだとこの馬車は牽けなそうなの。私が馭者するときは、変わりに乗ってもらえればと思うの」
「わかりましたです。交代、助かりますです☆」
ディーナ・フェルミ(ka5843)と話している間に、フミナはあらためて依頼内容を説明した。これから向かう農作地帯で穫れるのは、桃、西瓜、葡萄の三種類。味見も大切な仕事の一部だという。思わずでてしまった涎を、ゴシゴシと拭くディーナだ。
「なるほどな。大変なのか、長閑かは、スノーラの出方次第か」
「何事もないほうがいいんですけどね~。ただ、噂はあるんですよね~」
魔導バイク「マルモリー」で併走する輝羽・零次(ka5974)とやり取りしながら、フミナは胸の前で腕を組んで唸った。
「フミナ。スノーラの噂だが、具体的にどのようなものなんだ?」
南護 炎(ka6651)は後部の座席から、御者台の隣へと移る。
「えっと、報告はあるのですが、どれもあいまいなもので真偽の程は。なので正体までは確認されていませんです。畑にきてみたら、作物が凍っていたとか。そんな感じです」
「本気でやらなければならないかも知れないぞ。気は引き締めたほうがいい」
フミナは南護炎に「仕事、第一なのです」と自らの胸を叩いてみせたのだった。
●
最初に訪ねた桃園には、たくさんの樹木が生い茂っていた。
「すごいですの。どれもたわわですの」
ディーナが見あげた枝には、たくさんの桃がなっている。
「豊作のようだ。出荷も順調なのか?」
「はい。毎日摘んで、いろいろなところに運んでいます。もちろんマールの市にも並んでいますよ」
レイアの問いに農家の人が答えてくれた。
「それは喜ばしいことだ。ところで冷害はあったりするだろうか?」
「この辺にはうち以外の桃農家はありますが、聞いていませんね」
続いて問うた南護炎に、農家の人が井戸水で冷やした桃をいくつか手渡す。
「美味しそうですね。任せてくださいですぅ」
ナイフを取りだした星野ハナが、ささっと剥いてくれる。
「このみずみずしさ♪」
「いいね。これは食べ頃だね♪」
口にした時音とメイムが顔を見合わせて、頬を綻ばせていた。フミナも一口含んで、笑顔を浮かべる。
「確かに美味しい桃です。念のためにも調べておきましょうか?」
「そうだな、手分けすればすぐだろう」
ツィスカと輝羽がだした意見に、誰もが賛成。桃園に冷気の痕跡がないか調べる者。バイク等で他の桃農家へと出向く者。それぞれの仕事をこなす。スノーラらしき目撃例は一件もなく、一同は胸をなで下ろした。
「よかったのです~♪ 桃農家さんは、どこも大丈夫でした☆」
最後にフミナが御者台に座って、馬車が動きだす。馬車に載せられた木箱の中身は、たくさんの桃。熟しすぎて出荷できないのをくれたのである。
「やさしい人ばかりだね」
「不安のない日常こそが、一番だな」
時音と南護炎は馬車に揺られながら、青空を見あげていた。
●
「この時期は食べる葡萄ばかりです。秋頃に収獲するのは葡萄酒用の品種でさぁ」
次は葡萄畑の一帯である。一行はここでも農家の人々から事情を聞いた。
「なるほど。大粒で甘いな」
リアルブルーの葡萄と遜色ないことに驚いて、輝羽は瞬きを繰り返す。試食には乗り気でなかった彼だが、その味はとても素晴らしかった。
「これはいけますねぇ」
美味しそうに食べる星野ハナの隣で、フミナも葡萄を頂く。
「氷ゴーレムのせいで冷害化してるならぁ、大元を叩かない限り今季の農作物は全滅の可能性もありますねぇ。冷害が向こうからやってくるわけですしぃ」
「書簡を頂きましたが、領主のアーリア様も、それを危惧しているのですよ」
星野ハナの指摘に、フミナが表情を曇らせる。
「もしもこの時期に果物が凍るほどの寒さに晒されてるならぁ、ニュー・ウォルターは大飢饉で領民半減の可能性すら出て来ますよぅ」
星野ハナにフミナが強く頷いた。
「フミナさん、私も気になっていたの。なんで果物畑なの? 食料調査なら、今食べられないけど、五穀の生育状況確認に行ったほうが良いかなって思ったの」
ディーナは首を傾げる。さらに「果物は、農家さんにはごめんなさいだけど、全滅しても領民の飢えに直結しないと思うの」と続けた。
「お米や麦も、後日ちゃんと調査するつもりなのです~。アーリア様が優先して見張りを立てているそうなので、その点は安心なのです。もしものときは連絡をくれるそうですし。それと果物は、今が収穫時期だからなのです。狙われたら、がっくり度がすごいですし」
フミナも冬場の餓死者については危惧している。桃は砂糖漬けに、葡萄も、干し葡萄や葡萄酒として保存される予定だという。
「なるほど。やはり重大な依頼なんだね。問題はスノーラの動向か……」
葡萄を味わったところで、時音は畑の様子を魔導カメラで撮影しておいた。ちなみに桃園の記録も済んでいる。
「それじゃ、あたしも。飛んで、あんず」
メイムは桜型妖精のあんずを飛ばして、ファミリアズアイで探る。資料によれば、根の雑魔が荒らすとミミズ系雑魔が動いたような跡が残るらしい。そうした痕跡を浮かびながら探し続けた。
「西の畑も大丈夫だった。いい葡萄酒がとれそうだな」
魔導ママチャリに乗ったレイアが、巡回から戻ってくる。
「こちらも問題なし。たくさんの干し葡萄が作られていたな。さすがアーリア、先手を打っているようだ」
葡萄干しの作業現場を訪ねた南護炎も帰ってきた。
「残るは西瓜畑ですか。何事もなければいいですね」
「そうなのです~♪ 平和が一番なのです☆」
バイクに跨がったツィスカとフミナはお喋り。最後となる西瓜畑がある一帯へと馬車を走らせる一行であった。
●
それまで晴れていた空が曇りだした頃、遠方の西瓜畑が眺められるようになる。調査を開始しようとしたところで、農家風の男一人が叫びながら近づいてきた。「化け物がでた」と。
「た、大変なのですよ!」
「これでは、グルメは二の次だな」
フミナと西瓜を話題にしていた南護炎が立ちあがる。
「そ、そいつらに近づくとすげぇ寒いんだ! 真冬かと思うぐらいに……。あれを放っておいたら、西瓜が全部ダメになっちまう!」
馬車を停めて男の話を聞いたところ、半透明の兎が数え切れないほど現れたという。
「大丈夫だ。私達に任せてくれ」
「そうなのですぅ」
レイアと星野ハナは男を宥めながら、細かな状況を聞きだす。兎はスノーラで間違いなく、半径五メートル前後が凄まじく寒くなるようだ。男が見かけたのは、一個所の西瓜畑のみ。他の農家も合わせれば、周辺には西瓜畑が八個所存在する。
「手分けしたらどうだろうか?」
「西瓜を考えたら、早く倒すべきですの」
輝羽とディーナの意見に全員が賛成した。
男に西瓜畑の位置を教えてもらって動きだす。バイク等の移動手段を持つハンターは遠方へ。そうでないハンターは近場の畑へと急いだ。
「そこか!」
南護炎は土手を走りながら、そのまま西瓜畑へ。西瓜を踏まないよう跳ねて、兎スノーラへと迫った。
それまで暑かったはずなのに、急激に身体が冷え込む。構わずに一之太刀による捨て身の攻撃を仕掛けた。舞いあがる土埃。初撃は避けられてしまったものの、察しがつく。追い込み方をすぐに編みだす。
(だが安心は禁物だ)
兎スノーラAを狙う素振りで背後のBに攻撃したりと、工夫を凝らしていく。斬った兎スノーラが、氷の粒のような瘴気へと変化。そうやって、西瓜畑に巣くっていた九体を倒しきった。
「吸い込め電磁の渦……超機導パワーオン、弾け跳べ!」
ガウスジェイルによる結界を発動。時音は同行のフミナを守りながら戦う。体当たりしてきた兎スノーラを、攻性防壁で跳ね返す。
個体そのものは弱いが、敵側の連携が厄介だと感じる。
「必殺超重剣……縦一文字斬り!!」
超重練成で押し潰される兎スノーラ。怖じ気づいて逃げだそうとする個体もいたが、デルタレイの三条の光で逃がさなかった。その西瓜畑にいた兎スノーラ九体すべてを瘴気へと還した。
ディーナは、時音が向かった西瓜畑の隣へと向かう。フミナの護衛は彼女に任せて、自らは助けを求めてきた男に同行する。
「あれです!」
男が指さした大地の穴から、兎スノーラが出入りしていた。
「もしかすると、本拠地の巣なのかも?」
まずは男の盾になるような立ち位置で、プルガトリオによる闇の刃を放つ。地上を徘徊する兎スノーラを移動不能にしたところで、セイクリッドフラッシュによる聖なる輝きを浴びせ続けた。六回繰り返したところで、地上は一掃。巣へと近づいてみる。
「うわっ!」
煙のような瘴気が穴から立ちのぼり、ディーナは尻餅をつく。巣穴に隠れていた複数の兎スノーラも、まとめて屠ったようだった。
「兎だろうが人形だろうが、全ブッコロですぅ」
魔導ママチャリから降りた星野ハナは、指の間に符を挟んだ。
凍った西瓜を見て怒りが湧きあがる。その横を通り過ぎようとする兎スノーラに向かって、五色光符陣を打つ。光に目が眩んだ二体が、その場へと縫い止められていく。
連打によって倒しきり、次の兎スノーラにも「問答無用!」と叫びながら、光を浴びせかけた。対象が敵のみなので、西瓜畑への悪影響はない。数分の内に、星野ハナは十一体の兎スノーラを倒しきるのだった。
メイムとレイアはそれぞれの得意を活かすため、一緒に二個所の西瓜畑を回ることにした。
「まずは五体だね。西瓜を踏んで割ったりして、酷いことしているよ」
メイムはあんずと共有した視界で、西瓜畑を調査。知った状況をレイアへと伝える。
「それは一刻も早く片付けないとな」
把握したレイアは近場の樹木に登って、ソウルトーチで敵をおびき寄せた。わずかな間に兎スノーラが寄ってきた。
レイアは跳び蹴りや噛みつきの攻撃をカウンターアタックで受けとめながら、一体ずつ撃破。すべてを倒しきる。
「次の畑はちょっと多くて、十一体いるよ。ちょっと広いから一度には無理かな」
メイムはレイアが戦っている間に、隣接する畑の状況をすでに把握していた。
「承知した。二度に分けて戦うとしよう」
レイアは隣の西瓜畑に移って戦闘開始。倒すごとにわきだす白煙のような瘴気の中、全個体すべてを塵へと還す。
「もしかすると、マテリアル汚染が関係してるかも知れないよね」
「それがいいだろう」
メイムはレイアに頷いて、杖を畑に立てる。そして『祓いしもの』を発動させた。後で仲間が倒した畑にも出向いて、祓うつもりのメイムであった。
「馬車は大丈夫。なら、本気で戦うとしようか」
輝羽は西瓜を踏まないようにしながら、畑の中を進む。しかし兎スノーラによって、割られたり、凍らされた西瓜が転がっていた。
(できる限り、西瓜は割らないようにしなければ……)
兎スノーラを目視した輝羽は、機甲拳鎚を構える。そして放ったのが青龍翔咬波。この技で二体を屠り、接触と退治を繰り返すうちに巣穴が見つかった。
まだ気づかれていないようなので、縮地瞬動で一気に間合いへと。白虎神拳で地上の三体を行動不能に追い込んで倒しきる。さらに巣穴から現れた六体を退治するのであった。
ツィスカが馬車から切り離した重魔導バイクで辿り着いたのは、一番遠くの西瓜畑である。
「畑にしては複雑な地形です。あれは?」
高低差のおかげで、凍っている一帯がすぐにわかった。
(地道にやるしかないようです。ファイアスローワーはできるだけ控えることにしましょう。自ら畑を荒らすのは本意ではありませんから)
ツィスカは徒歩で移動しながら、兎スノーラを排除していく。輝きに満ちたデルタレイの光条で倒しきる。
兎スノーラは気性が荒く、気づいた途端に戦いを仕掛けてきた。複数の兎スノーラを遠方にて発見。ジェットブーツで距離を縮めてから、三つの光条で放った。一体のみ急襲されたものの、盾で凌いで倒す。
わずかな窪みも確かめて、退治を確認。仲間達の元へ戻るツィスカであった。
●
退治終了後。助けを求めた男だけではなく、西瓜畑の持ち主全員が馬車周辺に集まった。
「数日前に一匹見かけて、こりゃまずいと思っていたらこの有様だ。慢心はいけないな。助かったよ」
そして一同が感謝の意を伝えてくる。
「被害、大変だったのです」
「大丈夫、俺達農家はこれぐらいじゃ負けないさ。それに凍った西瓜を食べたら、結構うまくてな。いい商売になるんじゃないかと、みんなで話していたところだ」
フミナは農家の人達のたくましさを感じ取った。
そして帰りの馬車の中。
「さすが行商もやっているだけあって、ただでは起きないのです。私も見習わないと。それにしても、早めに対処しないといけませんね……」
御者台のフミナは今後の冷害について、深く考えだす。
各農家がくれた果物はどれも熟していて、二、三日中に食べきる必要がある。帰路の途中で美味しく賞味。夕暮れ時にマールへ到着した。
「とっても助かりましたです~♪」
感謝するフミナ。全員で果物を分け合ってから、一同は解散するのであった。
牽引用の魔導バイクが呻りをあげて、馬車がゆっくりと動きだす。
「地図の行き先まで、お任せするのです~」
「わかりました。食の確保のためにも頑張りましょう」
御者台のフミナは、ふり向くバイク乗りのツィスカ・V・アルトホーフェン(ka5835)に手を振る。そのとき、愛馬・十鳥颯爽に騎乗していたメイム(ka2290)が、馬車へと近寄ってきた。
「ねーねーフミナさん。誰かにバイク乗ってもらって馬車曳くときって、ムチとか手綱使う予定だったのー? 実はドs~?♪」
「そ、そんなことはないのですぅ。お馬さんのときは確かにそうしていたと思いますけど……」
メイムからのツッコミに、しどろもどろになるフミナ。その様子に仲間達から笑いが巻き起こった。
「それにしても冷害か。見回りに行く畑の状況とかも心配だよね」
「夏の暑い盛りに寒さ攻撃だなんて、イジワルな話なのです~」
時音 ざくろ(ka1250)の心配する言葉に、フミナがうんうんと頷く。
「スノーラとは戦ったことがある。ソウルトーチがよく効く相手だ。何かあれば任せてくれ」
車窓から遠くを望んだレイア・アローネ(ka4082)に、フミナが「よろしくなのです」と笑顔を振りまく。
「そうなんですよ。寒さが敵ってどういうことですぅ。真夏のはずなのにぃ」
「何だか、敵のいろいろが寒さを誘発しているらしいのです。ホント、親分から子分まで」
魔導ママチャリで馬車に近づいてきた星野 ハナ(ka5852)に、フミナが事情を話した。「これバイクで牽くってなかなか難易度高そうですぅ。周囲の索敵しますねぇ」そういって星野ハナは、斥候のために離れていった。
「私のバイクだとこの馬車は牽けなそうなの。私が馭者するときは、変わりに乗ってもらえればと思うの」
「わかりましたです。交代、助かりますです☆」
ディーナ・フェルミ(ka5843)と話している間に、フミナはあらためて依頼内容を説明した。これから向かう農作地帯で穫れるのは、桃、西瓜、葡萄の三種類。味見も大切な仕事の一部だという。思わずでてしまった涎を、ゴシゴシと拭くディーナだ。
「なるほどな。大変なのか、長閑かは、スノーラの出方次第か」
「何事もないほうがいいんですけどね~。ただ、噂はあるんですよね~」
魔導バイク「マルモリー」で併走する輝羽・零次(ka5974)とやり取りしながら、フミナは胸の前で腕を組んで唸った。
「フミナ。スノーラの噂だが、具体的にどのようなものなんだ?」
南護 炎(ka6651)は後部の座席から、御者台の隣へと移る。
「えっと、報告はあるのですが、どれもあいまいなもので真偽の程は。なので正体までは確認されていませんです。畑にきてみたら、作物が凍っていたとか。そんな感じです」
「本気でやらなければならないかも知れないぞ。気は引き締めたほうがいい」
フミナは南護炎に「仕事、第一なのです」と自らの胸を叩いてみせたのだった。
●
最初に訪ねた桃園には、たくさんの樹木が生い茂っていた。
「すごいですの。どれもたわわですの」
ディーナが見あげた枝には、たくさんの桃がなっている。
「豊作のようだ。出荷も順調なのか?」
「はい。毎日摘んで、いろいろなところに運んでいます。もちろんマールの市にも並んでいますよ」
レイアの問いに農家の人が答えてくれた。
「それは喜ばしいことだ。ところで冷害はあったりするだろうか?」
「この辺にはうち以外の桃農家はありますが、聞いていませんね」
続いて問うた南護炎に、農家の人が井戸水で冷やした桃をいくつか手渡す。
「美味しそうですね。任せてくださいですぅ」
ナイフを取りだした星野ハナが、ささっと剥いてくれる。
「このみずみずしさ♪」
「いいね。これは食べ頃だね♪」
口にした時音とメイムが顔を見合わせて、頬を綻ばせていた。フミナも一口含んで、笑顔を浮かべる。
「確かに美味しい桃です。念のためにも調べておきましょうか?」
「そうだな、手分けすればすぐだろう」
ツィスカと輝羽がだした意見に、誰もが賛成。桃園に冷気の痕跡がないか調べる者。バイク等で他の桃農家へと出向く者。それぞれの仕事をこなす。スノーラらしき目撃例は一件もなく、一同は胸をなで下ろした。
「よかったのです~♪ 桃農家さんは、どこも大丈夫でした☆」
最後にフミナが御者台に座って、馬車が動きだす。馬車に載せられた木箱の中身は、たくさんの桃。熟しすぎて出荷できないのをくれたのである。
「やさしい人ばかりだね」
「不安のない日常こそが、一番だな」
時音と南護炎は馬車に揺られながら、青空を見あげていた。
●
「この時期は食べる葡萄ばかりです。秋頃に収獲するのは葡萄酒用の品種でさぁ」
次は葡萄畑の一帯である。一行はここでも農家の人々から事情を聞いた。
「なるほど。大粒で甘いな」
リアルブルーの葡萄と遜色ないことに驚いて、輝羽は瞬きを繰り返す。試食には乗り気でなかった彼だが、その味はとても素晴らしかった。
「これはいけますねぇ」
美味しそうに食べる星野ハナの隣で、フミナも葡萄を頂く。
「氷ゴーレムのせいで冷害化してるならぁ、大元を叩かない限り今季の農作物は全滅の可能性もありますねぇ。冷害が向こうからやってくるわけですしぃ」
「書簡を頂きましたが、領主のアーリア様も、それを危惧しているのですよ」
星野ハナの指摘に、フミナが表情を曇らせる。
「もしもこの時期に果物が凍るほどの寒さに晒されてるならぁ、ニュー・ウォルターは大飢饉で領民半減の可能性すら出て来ますよぅ」
星野ハナにフミナが強く頷いた。
「フミナさん、私も気になっていたの。なんで果物畑なの? 食料調査なら、今食べられないけど、五穀の生育状況確認に行ったほうが良いかなって思ったの」
ディーナは首を傾げる。さらに「果物は、農家さんにはごめんなさいだけど、全滅しても領民の飢えに直結しないと思うの」と続けた。
「お米や麦も、後日ちゃんと調査するつもりなのです~。アーリア様が優先して見張りを立てているそうなので、その点は安心なのです。もしものときは連絡をくれるそうですし。それと果物は、今が収穫時期だからなのです。狙われたら、がっくり度がすごいですし」
フミナも冬場の餓死者については危惧している。桃は砂糖漬けに、葡萄も、干し葡萄や葡萄酒として保存される予定だという。
「なるほど。やはり重大な依頼なんだね。問題はスノーラの動向か……」
葡萄を味わったところで、時音は畑の様子を魔導カメラで撮影しておいた。ちなみに桃園の記録も済んでいる。
「それじゃ、あたしも。飛んで、あんず」
メイムは桜型妖精のあんずを飛ばして、ファミリアズアイで探る。資料によれば、根の雑魔が荒らすとミミズ系雑魔が動いたような跡が残るらしい。そうした痕跡を浮かびながら探し続けた。
「西の畑も大丈夫だった。いい葡萄酒がとれそうだな」
魔導ママチャリに乗ったレイアが、巡回から戻ってくる。
「こちらも問題なし。たくさんの干し葡萄が作られていたな。さすがアーリア、先手を打っているようだ」
葡萄干しの作業現場を訪ねた南護炎も帰ってきた。
「残るは西瓜畑ですか。何事もなければいいですね」
「そうなのです~♪ 平和が一番なのです☆」
バイクに跨がったツィスカとフミナはお喋り。最後となる西瓜畑がある一帯へと馬車を走らせる一行であった。
●
それまで晴れていた空が曇りだした頃、遠方の西瓜畑が眺められるようになる。調査を開始しようとしたところで、農家風の男一人が叫びながら近づいてきた。「化け物がでた」と。
「た、大変なのですよ!」
「これでは、グルメは二の次だな」
フミナと西瓜を話題にしていた南護炎が立ちあがる。
「そ、そいつらに近づくとすげぇ寒いんだ! 真冬かと思うぐらいに……。あれを放っておいたら、西瓜が全部ダメになっちまう!」
馬車を停めて男の話を聞いたところ、半透明の兎が数え切れないほど現れたという。
「大丈夫だ。私達に任せてくれ」
「そうなのですぅ」
レイアと星野ハナは男を宥めながら、細かな状況を聞きだす。兎はスノーラで間違いなく、半径五メートル前後が凄まじく寒くなるようだ。男が見かけたのは、一個所の西瓜畑のみ。他の農家も合わせれば、周辺には西瓜畑が八個所存在する。
「手分けしたらどうだろうか?」
「西瓜を考えたら、早く倒すべきですの」
輝羽とディーナの意見に全員が賛成した。
男に西瓜畑の位置を教えてもらって動きだす。バイク等の移動手段を持つハンターは遠方へ。そうでないハンターは近場の畑へと急いだ。
「そこか!」
南護炎は土手を走りながら、そのまま西瓜畑へ。西瓜を踏まないよう跳ねて、兎スノーラへと迫った。
それまで暑かったはずなのに、急激に身体が冷え込む。構わずに一之太刀による捨て身の攻撃を仕掛けた。舞いあがる土埃。初撃は避けられてしまったものの、察しがつく。追い込み方をすぐに編みだす。
(だが安心は禁物だ)
兎スノーラAを狙う素振りで背後のBに攻撃したりと、工夫を凝らしていく。斬った兎スノーラが、氷の粒のような瘴気へと変化。そうやって、西瓜畑に巣くっていた九体を倒しきった。
「吸い込め電磁の渦……超機導パワーオン、弾け跳べ!」
ガウスジェイルによる結界を発動。時音は同行のフミナを守りながら戦う。体当たりしてきた兎スノーラを、攻性防壁で跳ね返す。
個体そのものは弱いが、敵側の連携が厄介だと感じる。
「必殺超重剣……縦一文字斬り!!」
超重練成で押し潰される兎スノーラ。怖じ気づいて逃げだそうとする個体もいたが、デルタレイの三条の光で逃がさなかった。その西瓜畑にいた兎スノーラ九体すべてを瘴気へと還した。
ディーナは、時音が向かった西瓜畑の隣へと向かう。フミナの護衛は彼女に任せて、自らは助けを求めてきた男に同行する。
「あれです!」
男が指さした大地の穴から、兎スノーラが出入りしていた。
「もしかすると、本拠地の巣なのかも?」
まずは男の盾になるような立ち位置で、プルガトリオによる闇の刃を放つ。地上を徘徊する兎スノーラを移動不能にしたところで、セイクリッドフラッシュによる聖なる輝きを浴びせ続けた。六回繰り返したところで、地上は一掃。巣へと近づいてみる。
「うわっ!」
煙のような瘴気が穴から立ちのぼり、ディーナは尻餅をつく。巣穴に隠れていた複数の兎スノーラも、まとめて屠ったようだった。
「兎だろうが人形だろうが、全ブッコロですぅ」
魔導ママチャリから降りた星野ハナは、指の間に符を挟んだ。
凍った西瓜を見て怒りが湧きあがる。その横を通り過ぎようとする兎スノーラに向かって、五色光符陣を打つ。光に目が眩んだ二体が、その場へと縫い止められていく。
連打によって倒しきり、次の兎スノーラにも「問答無用!」と叫びながら、光を浴びせかけた。対象が敵のみなので、西瓜畑への悪影響はない。数分の内に、星野ハナは十一体の兎スノーラを倒しきるのだった。
メイムとレイアはそれぞれの得意を活かすため、一緒に二個所の西瓜畑を回ることにした。
「まずは五体だね。西瓜を踏んで割ったりして、酷いことしているよ」
メイムはあんずと共有した視界で、西瓜畑を調査。知った状況をレイアへと伝える。
「それは一刻も早く片付けないとな」
把握したレイアは近場の樹木に登って、ソウルトーチで敵をおびき寄せた。わずかな間に兎スノーラが寄ってきた。
レイアは跳び蹴りや噛みつきの攻撃をカウンターアタックで受けとめながら、一体ずつ撃破。すべてを倒しきる。
「次の畑はちょっと多くて、十一体いるよ。ちょっと広いから一度には無理かな」
メイムはレイアが戦っている間に、隣接する畑の状況をすでに把握していた。
「承知した。二度に分けて戦うとしよう」
レイアは隣の西瓜畑に移って戦闘開始。倒すごとにわきだす白煙のような瘴気の中、全個体すべてを塵へと還す。
「もしかすると、マテリアル汚染が関係してるかも知れないよね」
「それがいいだろう」
メイムはレイアに頷いて、杖を畑に立てる。そして『祓いしもの』を発動させた。後で仲間が倒した畑にも出向いて、祓うつもりのメイムであった。
「馬車は大丈夫。なら、本気で戦うとしようか」
輝羽は西瓜を踏まないようにしながら、畑の中を進む。しかし兎スノーラによって、割られたり、凍らされた西瓜が転がっていた。
(できる限り、西瓜は割らないようにしなければ……)
兎スノーラを目視した輝羽は、機甲拳鎚を構える。そして放ったのが青龍翔咬波。この技で二体を屠り、接触と退治を繰り返すうちに巣穴が見つかった。
まだ気づかれていないようなので、縮地瞬動で一気に間合いへと。白虎神拳で地上の三体を行動不能に追い込んで倒しきる。さらに巣穴から現れた六体を退治するのであった。
ツィスカが馬車から切り離した重魔導バイクで辿り着いたのは、一番遠くの西瓜畑である。
「畑にしては複雑な地形です。あれは?」
高低差のおかげで、凍っている一帯がすぐにわかった。
(地道にやるしかないようです。ファイアスローワーはできるだけ控えることにしましょう。自ら畑を荒らすのは本意ではありませんから)
ツィスカは徒歩で移動しながら、兎スノーラを排除していく。輝きに満ちたデルタレイの光条で倒しきる。
兎スノーラは気性が荒く、気づいた途端に戦いを仕掛けてきた。複数の兎スノーラを遠方にて発見。ジェットブーツで距離を縮めてから、三つの光条で放った。一体のみ急襲されたものの、盾で凌いで倒す。
わずかな窪みも確かめて、退治を確認。仲間達の元へ戻るツィスカであった。
●
退治終了後。助けを求めた男だけではなく、西瓜畑の持ち主全員が馬車周辺に集まった。
「数日前に一匹見かけて、こりゃまずいと思っていたらこの有様だ。慢心はいけないな。助かったよ」
そして一同が感謝の意を伝えてくる。
「被害、大変だったのです」
「大丈夫、俺達農家はこれぐらいじゃ負けないさ。それに凍った西瓜を食べたら、結構うまくてな。いい商売になるんじゃないかと、みんなで話していたところだ」
フミナは農家の人達のたくましさを感じ取った。
そして帰りの馬車の中。
「さすが行商もやっているだけあって、ただでは起きないのです。私も見習わないと。それにしても、早めに対処しないといけませんね……」
御者台のフミナは今後の冷害について、深く考えだす。
各農家がくれた果物はどれも熟していて、二、三日中に食べきる必要がある。帰路の途中で美味しく賞味。夕暮れ時にマールへ到着した。
「とっても助かりましたです~♪」
感謝するフミナ。全員で果物を分け合ってから、一同は解散するのであった。
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相談 ツィスカ・V・A=ブラオラント(ka5835) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2019/07/19 23:30:53 |
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【質問卓】 メイム(ka2290) エルフ|15才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2019/07/21 12:50:59 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/07/19 12:50:10 |