すりぃぴぃこぉらす

マスター:愁水

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~5人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
6日
締切
2019/08/07 19:00
完成日
2019/08/20 01:39

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 どうぶつのうたが きこえてくるよ

 わん わん
 にゃあ にゃあ

 わんわんわんわん にゃあにゃあにゃあ



**



 spot――天鵞絨サーカス団、天幕。



 サーカス団団長の白亜(kz0237)から急ぎの依頼を請け負ったあなた達は、朝から動き通しだった身体を休ませる為、天鵞絨地の幕を分け入った。夕方まで時間をかけたが、依頼は無事に完了。達成感たっぷりの表情を湛え、心地良い疲労を溜めた足腰を客席へ落とす――前に、あなた達の帰りを心待ちにしていた“彼ら”の熱烈歓迎を受けた。
 全身もみくちゃにされるあなた達の様子を、無愛想な上に全く興味の無さげな黒亜(kz0238)の眼差しが据えてくる。対照的に、白亜は父性を備えた微笑を浮かべていたが、ふと、双眸に物寂しさを色付けた。

「減ったな……」
「そう? オレの目にはまだ大分わちゃわちゃ動いてるように見えるけど」
「だが、予定していた数にまではなっただろう。これで文句はないな? クロ」
「……ほんと、動物にまでお人好しとか勘弁してよね。迷子のペットならまだしも、捨て犬捨て猫、野良いぬねこ――全部救おうとか無理なんだからいい加減わかってよ」
「しかし、今回もちゃんと里親が見つかったじゃないか」
「結果論でしょ。調教するのは自分だからって、これ以上サーカスの動物増やさないでよね。ウチは動物園じゃないんだから」
「不満か?」
「……もういいよ。それより、後はシュヴァルツ達に仔猫任せるだけでしょ? オレ、もう帰っていい?」
「構わんが、これから茶と茶菓子を用意するぞ。いらないのか?」
「……」

 黙した唇と客席の階段を下りていく姿が黒亜の返答であった。薄い苦笑を浮かべながらその後ろ姿に視線を置いていた白亜が、“彼ら”――数匹の犬猫と戯れるあなた達に顔を向ける。

「苦労をかけたな。君達の助力により、迷い犬の飼い主や捨て猫の里親を探すことが出来た。礼を言う。ん? ああ、残ったこいつらか。この程度の数ならサーカス団に置いていても支障はないからな。何なら、君達が引き取ってもいいぞ? 愛情を込めて世話をしてくれるのなら、だが」

 そう微笑むと、白亜の掌があなた達を控え室の方へ促す。

「疲れただろう。今、茶を淹れる。――シュヴァルツ達? ああ、シュヴァルツと琉架には仔猫達を孤児院に連れて行ってもらうんだ。子供達の熱意に根負けして、院長が引き取ると言ってくれてな。只……いや、昔から琉架は小動物に好かれない傾向があってな。それが少々気掛かりと言えば気掛かり、か。まあ、シュヴァルツ一人で何かあっても困るからな。



 ――さあ、寛いでいってくれ」



 可愛い動物に勝る癒しはない。
 積んだ疲労をあたためて、存分に安らいだ時間を過ごそう。


リプレイ本文


 みーんみんみんみんみー。

 夏の季。
 蝉が鳴く。

「ニャーんニャんニャんニャんニャ-」

 天の幕。
 ミア(ka7035)が鳴く。



「おねえちゃん達が帰ってきたニャスよー!」

 ぶわっ、と、腕を広げれば、桃の妹猫と白の姉猫――白藤(ka3768)の元へ、わんことにゃんこがわらわらわら。動物は好きだが、相手が興味を持つまで待つスタンスであった白藤は、脛に戯れてくる小さくて優しい温もりに、口許を綻ばせる。喉を撫でてやれば、猫は目をうっとりと弓形にしてゴロゴロと音を鳴らした。その様に白藤は堪らず、ほう、と、温んだ吐息を漏らす。

「……しっかし、ミアは動物に大人気やなぁ。やっぱ天性なんやろか?」
「色々同レベルなんでしょ」

 三白眼気味の黒猫――黒亜(kz0238)が舞台袖からさらりと毒を吐く。「ふぅん?」と呟いた白藤は途端、動物に埋もれていたミアを掘り起こし、後ろからぎゅっと抱き締めると、

「なあ、黒亜。お部屋にこのにゃんことかどない?」

 悪戯な笑みを浮かべた。きょとんとしながらもニッと笑うミアとは対照的に、仏頂面を隠そうともしない黒亜が一言。

「……その“猫”の食費、あんたが出してくれるの?」










 白亜(kz0237)手製のクッキーをお茶請けにしながら、ミアの視線がふと“彼ら”へ移る。
 前列の客席で脚を組みながらミルクティーを口にする白亜と、彼の足許に控えるシベリアンハスキー。そんな一人と一匹を交互に見ながら、

「ダディが一人……ダディが二人……」

 !?

「どっちも狼に似てて、瞳の色も同じなんニャスネ」

 手にしていた残りのクッキーをぱくりと平らげると同時、ミアの足は好奇心に動かされていた。

「撫でてみるか?」

 此方から声をかけるよりも早く、白亜はミアの気持ちを察していたようだ。何度も顎を引く彼女の返答に腰を上げると、ハスキー犬の隣へ膝を折り曲げた。ミアの気配に強張るハスキー犬の身体を優しく引き寄せ、冷静さを取り戻させるように白亜が穏やかな声音で声をかける。
 軈て、白亜の合図でハスキー犬に寄り添ったミアは、彼に倣い、その場をゆっくりと過ごした。何度目かの「だいじょうぶだよ」の声かけで、ハスキー犬の身体の力が漸く緩み、ミアの心も身軽になる。厚い被毛に頬を埋め、浸透してくる程良い温もりに目を閉じれば、瞼の裏と胸に安堵が広がってきた。

「(ここの動物達は“甘やかし”と“優しさ”の違いにちゃんと気づいてるんだろうニャぁ。ダディが動物達に頼りとされているのがよく、わかる……ニャス……――)」

 白亜が気づいた時には、桃猫が一匹、ハスキー犬を抱き枕に可愛らしい寝顔を浮かべていたのであった。










「そういや、紅亜はどの子か飼うんやろか?」
「んー……? んん……サーカスの動物達とは一緒に遊んでる方が、好き……」

 そう言いながら、紅亜(kz0239)は寝転がるパグのお腹を撫でる。

「確かに、紅亜は幸せそうにみあにゃんこやわんこ達とお昼寝してる姿の方が浮かぶな?」

 ふふ、と微笑みを零した白藤が落ち着きなく視線を外した先――拱いていた手にぎゅっと力を込めて、お昼寝中のミアの元、ハスキー犬の傍へ歩み寄った。

「うちもこの子におやつあげてみてもええやろか?」

 丁度、白亜が犬用のおやつを用意していたので、ミルク風味のビスケットを分けてもらい、ハスキー犬の前でゆっくりとしゃがみ込む。白亜が気を利かせてハスキー犬の背中を撫でてくれているからか、犬は落ち着いた様子で白藤の掌からおやつを食べ始めた。時折、ハスキー犬の視点が白藤の方へと移り、目が合う。その都度、白藤の口許は自然と緩んだ。

 凜々しい瞳に、大きく堂々とした身体。

「(……月白を連れ帰った時みたいや)」

 心引かれたあの瞬間を思い出しながら、再び訪れた出会いに、年甲斐もなくときめきを覚える。

「うちは、あんたにいけずせぇへんよ……?」

 例えささやかな出会いであっても、それは偶然ではない。大切な巡り合わせの一つなのだと、知っているから――。

「この子に名前ってあるん?」
「いや、まだ決めていないんだ」
「……なら、うちが名付けてもええ?」

 意想外な表情を浮かべる白亜へ、白藤は意を決した眼差しで続ける。

「この子がうちに気を許してくれるまで通うことってできるやろか」
「それは構わないが……」
「信頼関係が築けたら、うち……この子が欲しいんやけど、かまへん?」

 覚悟を宿したその双眸に、白亜は微塵の逡巡も見せず、只一度、緩慢に顎を引いた。白藤が、ふっ、と、緊張を緩ませた時――

「……ニャふふ。だいじょうぶ、絶対に仲良くなれるニャスよ……」

 と、温い毛並みを枕にしているミアが、むにゃむにゃと寝言を漏らす。

「……もう。ミアはほんまに……」

 それはまるで、決断をした後の“最後の一押し”。白藤の臆病な心の奥底を、見透かしているような言葉であった。




「――キャットタワー? 何だそりゃ、猫が組体操でもすんのか?」
「するわけないでしょ。グッズよ、猫の為の室内遊具。院長に検討してもらって、問題なかったらってところね」
「へえ? 作れんのかよ、お前」
「まあ、ショップで売っているデザインと比べたらアレかもしれないけど、下手なものを手がける気なんかないわよ」

 白亜が用意してくれていた猫用の玩具と、低年齢向けに書かれた飼育本。資材や工具を積んだバイクを転がしながら街の路地を行く、ロベリア・李(ka4206)。二つのキャリーバッグの内の一つを肩から提げたシュヴァルツ(kz0266)が、バイクを挟んで歩く。バッグから頭をひょっこりと出した仔猫達が、みゃあみゃあ、と可愛らしい合唱を送ってくるので、二人は思わず声を出して笑った。

「小せぇくせにスゲェ破壊力だな。李は動物好きか?」
「そうね、好きよ。ただ整備士やってると薬品使うことも多くて、あんまり近付くのもって思ってたのよ。ま、大きな猫とずっと一緒だったけどね」

 懐かしむロベリアの横顔を「“猫”ねぇ」と、シュヴァルツが一瞥する。

「小せぇガキもでけぇガキも、気づいた時には成長しちまってるんよな。いずれはこっちの手ぇ離れて生きていく。それが嬉しい反面、寂しかったりもするがよ」

 忖度をしたような彼の発言に、ロベリアの心臓は一瞬、激しく動悸した。
 ――……。
 自覚しなければいけない、愛惜の念。

「(……なんだかんだで、今まで妹離れ出来てなかったってことかもね。任せられる相手が居るのなら、私もそうするべきか)」

 漏らした苦笑が、先を行く。

「(私もいい加減、自分のことを考える時期かしら)」

 ロベリアが肩の荷を下ろすように大きく息をつくと、視線の先を子供が横切っていった。

「……そう言えば、シュヴァルツは子供にも好かれそうよねー。いや、でも医者のイメージだと怖がられるのかしら?」
「まあな。ガキに“コレ”の効果は絶大でよ」
「脱げばいいじゃないの、白衣。少しは印象変わるんじゃない?」

 彼女の言葉に、シュヴァルツは何処か孤愁を帯びた微笑みを浮かべた。ロベリアが何かを言いかけたその時、背後から届いた短い悲鳴が、二人の意識を引いたのであった。










 前方を歩く二人が此方を振り返る10分程前――。



「ふふ、小動物に敬遠される琉架か……ふふふ……」
「君が打ち笑うとは珍しいね」
「ああ、すまぬ。笑うては失礼じゃったのう……ふふ」

 蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009)は、引き結んだ唇を黒い爪でとんとんと制した。
 シュヴァルツとは対照的に、鳴き声ひとつしないキャリーバッグ。それを提げる桜久世 琉架(kz0265)が、わざとらしく肩を竦める。

「全く、心外だよ。俺はこんなにも優しいのにねぇ?」
「ほう? ふふ、動物は正直じゃからのう。人の良い微笑みの裏に隠された真を、仔猫等は見透しておるのやもな?」
「おや、俺を苛める趣味でもあるのかい? 悪いが、そちらは得意ではないんだ」
「何じゃ、つまらぬ。おんしの戯れ言に付き合うてやろうと思ったのじゃが。……ふふ、琉架に怯えて子猫が逃げねば良いのう?」

 蜜鈴はエノコロに付いた猫じゃらしのような飾りを、バッグのメッシュ越しからふりふりと戯れさせる。恐る恐る飾りに手を伸ばす仔猫の様子を眺めながら「(ふふ、可愛い)」と、灯(ka7179)が二人の後ろで和やかに微笑んだ。

「(人間だって移動は怖いのに、小さな子猫にとってはストレスよね……。大きな声を出して怖がらせないようにしないと。……でも、キャリーバッグに友達がいるから大丈夫かしら?)」

 以前の自分なら、もっと神経質になっていただろう。
 頼る者も共に歩む者も居らず、不協和音な自分の足音を、只、聞いているだけ。
 けれど、今は違う。仲間との出会いが、共に築いてきた音色が、一人ではないことは強さになると、そう、灯に教えてくれた。

「(……本当に、温かい人達ばかりね)」

 心を灯す優しい温度に浸っていた灯が、ふ、と、バッグに視線を戻すと――

「あっ……」

 声を上げた時には遅かった。
 バッグの出入口から頭を覗かせていた白猫が、灯と目が合った途端、飛び出してしまったのだ。

「あ、……あ……」

 蜜鈴と琉架は狼狽する灯の声に気づき振り返るが、彼女の表情はいまいち乏しい。代わりに、彼女の視点が事態を物語っていた。

「おや、難儀なことになってしもうたのう」
「る、琉架さん、私ちょっとあの子を捕まえてきます」
「ん? いや、待ちなさい。その路地は――」

 琉架の制止も耳に入らない程慌てていたのだろう。「きゃっ!?」と、灯が酒樽に躓いて体勢を崩した時には既に、琉架の手が彼女の身体を支えていた。

「っと、やたらと物が多いんだ。後を追うには適さないよ。灯ちゃんは――」
「ありがとうございます。でしたら、私はこちらの道から追いかけてみますね」
「ん?」
「あっ、仔猫のお名前聞いてない……まって、しろさん」

 幸い、次は転ばなかった。スカートの裾をはためかせながら、灯の後ろ姿が曲がり角へ消えていく。

「「……」」

 数秒置いて「さて」と、切り出した蜜鈴が漆黒の傘を開いた。

「妾は《浮翼》を用いて空より追えば良かろうか……地上には嚠赫と奉天を追わせておく故の。見つけ次第、所在を報告しよう」
「了解。俺はミアちゃんの“御両親”に事情を説明してから跡を追うよ。……ああ、全く。面倒極まりない」

 蜜鈴は傘を目深に寄せると、言い放つ彼を前に声を抑えて笑うのであった。










 暮れ空をふわり、傘の魔女がゆく。

「駄々が過ぎるのも困りものじゃが……まぁそうじゃな、外は恐ろしいか……不安も生まれることじゃろう」

 仔猫の安否と心境を心にかけながら、蜜鈴の眼差しに思案が帯びる。

「せめて、理不尽な暴力も、静かな孤独も、冷たき雨も無い……暖かく、優しい幸せを小さき命達に与えたいものじゃ……」

 果てしない空へ祈りを零し、ふ、と、視線を動かした。その蒼い瞳に映ったのは――。










「無事で良かった……」

 蜜鈴から連絡を受けた灯が、路地裏の隅で膝をついた。

「……困った子ね、あなた。元気すぎるわ」

 両手で優しく仔猫の身体を掬い上げる。初めて触れる仔猫の温かさに、ほっと心が緩んだ。

「あなたに負けないくらい元気な“家族”が待っているところへ行こうね」

 仔猫を腕に抱え、振り返り様に立ち上がった丁度その時、灯の双眸に彼の姿が映った。

「琉架さん……来て下さったんですね」
「君を迷子には出来ないからね。仔猫はついでだ」
「ふふ、もう……」

 安んじる吐息を漏らした唇が、一度、笑みと共に閉ざされる。

「……私も、こんな風に迎えに来てほしかったのかもしれません、家族に」

 無垢な仔猫の瞳に据えていた目をそろりと瞬く拍子、灯は自嘲めいた呟きを零した。

「あまり家族と過ごしたことはありませんでした。ピアニストを目指していたけれど、才能のなかった私に家族は愛想をつかしたんです」
「そうかい」
「琉架さんは、ご家族はいらっしゃるのですか?」
「いるよ、一応」
「……?」
「“いる”というだけだがね」

 そう目を細めた琉架の頬に、酷く歪な冷笑が掠めていった。










 ちびにゃんこの脱走も無事に収拾し、ロベリア一同は孤児院に到着。



 キャットタワーの了承を得られたロベリアは、直ぐさま設置にかかった。

「まだ仔猫だし、作るなら接地面が安定した低めのが良さそうね」

 一緒に作りたいと申し出る子には、安全指導をしつつ教えてやる。

「全部終わったら、修理屋かこういう組み立ての出張サービスの店をするのもいいかもしれないわねー」

 口からふいと出た未来予想図は、ロベリアの胸にすとんと落ちていった。










 離れた一角では、蜜鈴が子供達と話をしていた。

「戯れに飼うて、気に入らぬと捨てる事は無いか? 必ずと言える程に、自身より先に死んでしまうか弱き命……共に生き、家族と呼べるか?」

 遊んでやる事だけが共に生きる事ではない。やらねばならない事は多いと、蜜鈴は子供達に諭す。真面目に耳を傾ける子供達の一人が、「飼うんじゃない、一緒に暮らすんだ」――だから、迎え入れるのはペットではなく家族なんだと、幼いながらに定めた意を告げる。

 ならば、返す言葉は決まっていた。

「……うむ。励めよ、子等よ」




 本能が疼くままに動物達と遊び倒したミアは、先程から気になっていた一匹の黒猫を譲り受けていた。
 やたらと冷めており、ノリも悪い。挙げ句の果てには鬱陶しいと顔を背けられる始末。そして何より目つきが悪い。――似ている。誰にとは言わないが、めっちゃ似ている。

「だからかニャ。放っておけなくなっちゃったニャス」

 ミアは、ムスッとしている黒猫を「高い高ーい♪」と抱き上げると、ぎゅっと胸に寄せ、満面の笑みで頬擦りをした。





 ……満更でもないようだ。










 帰り際、動物達に囲まれている妹猫の光景に破顔しながら、白藤は此度の礼を寄越してくる白亜へ視線を移した。そして、窺いながらもそろりと自身の手を伸ばし――

「白藤……? ……、」

 一瞬、微動した彼の手を添えるように取ると、手袋越しの甲へそっと口付けを落とした。

「うち……ちゃんと白亜のとこに帰ってくるよって、まっとってくれよる……?」

 俄に瞼を膨らませる白亜に、ふ、と、睫毛を上げ、心からの願いで溢れた目を向ける。

「白亜と見る月が、何よりも綺麗やから……また一緒に見たいよって、ちゃんと帰って来たいんや」

 “最後”が終わる前の契り。
 切なげな眦で返答を待つ白藤の手を控えめに握り返すと、唇が触れる程の近さまで寄せ、

「先日の“問い”に、問いで返すとは狡い女性だ。いくら俺でも、気長に待つことは出来ないぞ?」
「……」
「……だから、俺が駆けつける前に帰って来い。いいな?」



 優しさを湛えた曇りない笑みに、白藤は抑えきれない安堵を漏らしたのであった。



**



 心が還る場所。
 各々の“未来”を胸に――。


依頼結果

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参加者一覧

  • 天鵞絨ノ空木
    白藤(ka3768
    人間(蒼)|28才|女性|猟撃士
  • ヒトとして生きるもの
    蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009
    エルフ|22才|女性|魔術師
  • 軌跡を辿った今に笑む
    ロベリア・李(ka4206
    人間(蒼)|38才|女性|機導師
  • 天鵞絨ノ風船唐綿
    ミア(ka7035
    鬼|22才|女性|格闘士
  • 花車の聖女
    灯(ka7179
    人間(蒼)|23才|女性|聖導士

サポート一覧

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ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/08/04 17:19:11
アイコン わんにゃん相談卓
ミア(ka7035
鬼|22才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2019/08/07 18:53:48