ゲスト
(ka0000)
【血断】魔術師の弟子、トラブル遭遇
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/08/06 15:00
- 完成日
- 2019/08/13 22:13
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●避難完了?
ルゥルは自分のペットのフェレットのフレオとラカ(kz0240)から預かっているフェレットのモニが入ったリュックサックをまるごとしまえながの上から背負う。背中でもぞもぞ動かれるが、防具のおかげで直接の影響はないが、揺れる。
「おとなしくするのです……フレオ、モニモニちゃんと仲良くするのです。あ、ポルムを入れればいいのです!」
パルムのポルムは定位置のルゥルの頭の上で首を激しく横に振った。ポルムはフェレットたちが好きなぬいぐるみを一つ袋の中に入れてやった。
保護者の立場にあると自覚するユグディラのキソシロが溜息を洩らした。
「ルゥルちゃん、行きますよ」
「はいなのですー」
外から声をかけられ、ルゥルは師匠の家の戸締りをして出た。家主はすでに隣町に行っている。道中の安全確保等に追われているはずだった。
馬車にいるマーク司祭とジャイルズ・バルネと合流した。
ジャイルズは不機嫌そのものの顔をしているが、ルゥルはそれも仕方がないと考える。
ジャイルズは薬草園を運営している。それを放置して逃げないといけないのだ。本来なら嫌だったはずだ。しかし、シェオル型の歪虚が現れるという状況が許さないことは理解している。
だからこそ、不機嫌なのだ。
領主は本来なら、機能集約にこちらの町を使いたかったに違いない。城壁があるし、防御はしやすかった。
最大の問題はハンターオフィスがないことだった。緊急事態になれば、ハンターの力は必要だった。
住民の移動の最後はエクラ教司祭であり、領主の友人であるマーク司祭だ。それにルゥルがついているのはそれなりに経験を積んだこともある。
大きな戸締りをするか否かとなったが、城門は開けっ放しにしておく。下手に閉じて、こもられるのも困るというのが判断だった。それに、街道と街道の抜け道みたいになっていたりもする部分が少なからずあるし、必要ならば、避難できる状況は必要だろうという判断もあった。
●トラブルはやってくる
馬車は進む。手綱はジャイルズが握り、ルゥルとマークが左右を見る。
どこで、何に遭うか分からない。一般の住民たちの移動にはハンターの力を借りていた。その一行はそろそろ隣の大きな町に到着しているだろう。
ルゥルたちは一見いつもと変わらない街道を進む。
「そうなのです、ジャイルズさんにフェレッツの入っている袋は背負ってくれてくださいです」
「……仕方があるまい」
ジャイルズはルゥルからリュックを受け取り、背負った。
しばらく進むと黒い染みのようなものが景色に見えた。双眼鏡でマークが確認をする。
「ルゥルちゃん、戦える準備を。シャー、聞こますか?」
マークはルゥルに指示を出し、魔導短伝話を使う。距離的には目的地である大きな町にいる領主シャールズ・ベリンガーとつながるはずだった。
『マークさん、どうしましたか?』
「歪虚……シェオル型かと思われる物が出現しました」
『こちらからはまだ確認できていないですが、すぐにハンターに行くように告げます』
「お願いします。私とルゥルちゃんとキソシロではあまり……」
『分かった急ぐ』
魔導短伝話の通話を切ったマークは盾とメイスを手に取る。
「ぎりぎりまで走るぞ」
ジャイルズは淡々と告げる。マークとルゥルは荷台で、それぞれの方向を見張る。
「みぎゃあああああああああああああ、シヴァなのですぅうう」
ルゥルがどこかで拾った柴犬が草原を走っているのが見えた。大きな町の方面からこちらに向かってくる。
『ルゥル、聞こえるか?』
大きな町にいるルゥルの兄から魔導短伝話から連絡が届く。
「兄上っ、なぜ、シヴァを逃がしたのですぅ!」
『……首輪から抜けた』
「みぎゃあああああああああああああああああ」
『すまない』
柴犬のシヴァはシェオル型を見て、慌てて進路を変えた。ルゥルの方から離れていく。
ジャイルズは真っ直ぐ馬を走らせる。止める気はないだろう。柴犬のために止めることで、自分たちが危険にさらされるのだから。
敵は問答無用で攻撃をしてきた。炎の塊が飛んで来た上、矢が飛んでくる。
「捕まれ!」
マークが鋭く声を上げた。
ジャイルズは手綱を握ったまま、側面の手すりにしがみつく。
「みぎゃああああああああああ」
まるごとしまえながのルゥルは荷台に転がる。キソシロは荷台に爪を立てて止まる。
「まずい……ルゥルちゃん、援護してください。ジャイルズ、馬車が無理なら、馬を使って離脱を」
マークが指示を出した。
「み、みぎゃああ」
敵を見て、ルゥルは震える。通常の歪虚以上に怖い何かを感じる。
「にゃあああああああああああああああ」
キソシロはルゥルからもらった楽器をかき鳴らした。
「そ、そうなのです! シヴァも頑張るのです!」
シヴァに向かうトカゲのような姿の敵が見える。
ルゥルはしっかりと杖を握り【どっかーん】を放ったのだった。
ルゥルは自分のペットのフェレットのフレオとラカ(kz0240)から預かっているフェレットのモニが入ったリュックサックをまるごとしまえながの上から背負う。背中でもぞもぞ動かれるが、防具のおかげで直接の影響はないが、揺れる。
「おとなしくするのです……フレオ、モニモニちゃんと仲良くするのです。あ、ポルムを入れればいいのです!」
パルムのポルムは定位置のルゥルの頭の上で首を激しく横に振った。ポルムはフェレットたちが好きなぬいぐるみを一つ袋の中に入れてやった。
保護者の立場にあると自覚するユグディラのキソシロが溜息を洩らした。
「ルゥルちゃん、行きますよ」
「はいなのですー」
外から声をかけられ、ルゥルは師匠の家の戸締りをして出た。家主はすでに隣町に行っている。道中の安全確保等に追われているはずだった。
馬車にいるマーク司祭とジャイルズ・バルネと合流した。
ジャイルズは不機嫌そのものの顔をしているが、ルゥルはそれも仕方がないと考える。
ジャイルズは薬草園を運営している。それを放置して逃げないといけないのだ。本来なら嫌だったはずだ。しかし、シェオル型の歪虚が現れるという状況が許さないことは理解している。
だからこそ、不機嫌なのだ。
領主は本来なら、機能集約にこちらの町を使いたかったに違いない。城壁があるし、防御はしやすかった。
最大の問題はハンターオフィスがないことだった。緊急事態になれば、ハンターの力は必要だった。
住民の移動の最後はエクラ教司祭であり、領主の友人であるマーク司祭だ。それにルゥルがついているのはそれなりに経験を積んだこともある。
大きな戸締りをするか否かとなったが、城門は開けっ放しにしておく。下手に閉じて、こもられるのも困るというのが判断だった。それに、街道と街道の抜け道みたいになっていたりもする部分が少なからずあるし、必要ならば、避難できる状況は必要だろうという判断もあった。
●トラブルはやってくる
馬車は進む。手綱はジャイルズが握り、ルゥルとマークが左右を見る。
どこで、何に遭うか分からない。一般の住民たちの移動にはハンターの力を借りていた。その一行はそろそろ隣の大きな町に到着しているだろう。
ルゥルたちは一見いつもと変わらない街道を進む。
「そうなのです、ジャイルズさんにフェレッツの入っている袋は背負ってくれてくださいです」
「……仕方があるまい」
ジャイルズはルゥルからリュックを受け取り、背負った。
しばらく進むと黒い染みのようなものが景色に見えた。双眼鏡でマークが確認をする。
「ルゥルちゃん、戦える準備を。シャー、聞こますか?」
マークはルゥルに指示を出し、魔導短伝話を使う。距離的には目的地である大きな町にいる領主シャールズ・ベリンガーとつながるはずだった。
『マークさん、どうしましたか?』
「歪虚……シェオル型かと思われる物が出現しました」
『こちらからはまだ確認できていないですが、すぐにハンターに行くように告げます』
「お願いします。私とルゥルちゃんとキソシロではあまり……」
『分かった急ぐ』
魔導短伝話の通話を切ったマークは盾とメイスを手に取る。
「ぎりぎりまで走るぞ」
ジャイルズは淡々と告げる。マークとルゥルは荷台で、それぞれの方向を見張る。
「みぎゃあああああああああああああ、シヴァなのですぅうう」
ルゥルがどこかで拾った柴犬が草原を走っているのが見えた。大きな町の方面からこちらに向かってくる。
『ルゥル、聞こえるか?』
大きな町にいるルゥルの兄から魔導短伝話から連絡が届く。
「兄上っ、なぜ、シヴァを逃がしたのですぅ!」
『……首輪から抜けた』
「みぎゃあああああああああああああああああ」
『すまない』
柴犬のシヴァはシェオル型を見て、慌てて進路を変えた。ルゥルの方から離れていく。
ジャイルズは真っ直ぐ馬を走らせる。止める気はないだろう。柴犬のために止めることで、自分たちが危険にさらされるのだから。
敵は問答無用で攻撃をしてきた。炎の塊が飛んで来た上、矢が飛んでくる。
「捕まれ!」
マークが鋭く声を上げた。
ジャイルズは手綱を握ったまま、側面の手すりにしがみつく。
「みぎゃああああああああああ」
まるごとしまえながのルゥルは荷台に転がる。キソシロは荷台に爪を立てて止まる。
「まずい……ルゥルちゃん、援護してください。ジャイルズ、馬車が無理なら、馬を使って離脱を」
マークが指示を出した。
「み、みぎゃああ」
敵を見て、ルゥルは震える。通常の歪虚以上に怖い何かを感じる。
「にゃあああああああああああああああ」
キソシロはルゥルからもらった楽器をかき鳴らした。
「そ、そうなのです! シヴァも頑張るのです!」
シヴァに向かうトカゲのような姿の敵が見える。
ルゥルはしっかりと杖を握り【どっかーん】を放ったのだった。
リプレイ本文
●緊急事態
仲間同士の魔導短伝話等の連絡の交換は、領主の依頼を受けて仕事を始めたときにしていたとしても、隣町にいるルゥル(kz0210)やマーク司祭との連絡先はどうだかあやしい。
現場にいるルゥルたちに連絡を取ろうとメイム(ka2290)やエステル・ソル(ka3983)は魔導パイロットインカムを用いる。
街道を進むと「みぎゃあああ」と「キャンキャン」という悲鳴が聞こえる。つまり、連絡先が合っていたとしても本人がそれどころではない。
「まずいね。あたしは急いでルゥルの方に向かうよ」
「ルゥルさんと、犬、犬さんですっ!?」
メイムとエステルが急ぐ。
レイア・アローネ(ka4082)はエステルを追うように戦馬を走らせた。
「そちらは任せ、私はシェオル型を引き付け、対応にあたろう」
敵に直接あたることで、相手の行動が分散できるはずだ。
ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804)は魔導拡声器を持ち出した。
「ルゥルちゃーん、今、みんな行くからー」
シェオル型がいるという状況はわかっても詳細はまだ見えていないため、声をかけてから急ぐ。戦馬「十鳥颯爽」を走らせ【シューティングスター】を用いた。
星野 ハナ(ka5852)はいつも通り「歪虚全ブッコロ」と考え、魔導ママチャリを走らせる。
「……うーん? ああ……でも、合流することが先ですぅ」
符刀はあることを確認して急いだ。
マリィア・バルデス(ka5848)は首を傾げていた。
「ルゥルと迷子の犬かしら?」
まずはルゥルと逃げ惑う犬の安全を確保するため、銃で安定し狙える距離を目指した。
ピアレーチェの言葉にマーク司祭はほっとした。むろん、安全が確定したわけではない。
「ルゥルちゃん、落ち着いていくんですよ」
「です、やる気十分なのですぅ!」
そのルゥルの横でユグディラのキソシロが楽器をかき鳴らしていた。
「落ち着け」
ジャイルズ・バルネはルゥルに声をかけながら荷物にあった猟銃を手にした。
それを見てマークは頭痛を覚えた。
柴犬のシヴァは、ルゥルのいる家に急いでいたが、危険と遭遇した。逃げようとしたが、ルゥルがいることに気づく。そんな時、自分が来た方向から大きな音がする。怖いのが増えるぽいと判断してしまった。
……など、ハンターもルゥルたちも知らなかった。
●犬確保
ピアレーチェは街道を一気に駆け抜た。
「足止めするよ! ルゥルちゃん、【アースウォール】あるなら使って! 司祭さま、【ディヴァインウィル】で敵の接敵を阻んで!」
近くなったところで声を掛け、敵の足止めや意識をそらすため【プルガトリオ】を放った。
エステルとマリィアはそれぞれ、距離を詰めていた。
行動に移す直前、ルゥルの大きな声がする。
「シヴァ、おとなしくするのですー」
ルゥルの姿は【にょーん】を使って土壁を出したため見えなくなる。
柴犬が反応したため、ルゥルの関係が明らかになった。
「ただの迷子の犬じゃないわね」
「これは大変なのです」
マリィアは射程を確保したところで止まったが、あることに気づきさらに距離を詰める為に進んだ。
エステルは柴犬に向かって魔導ママチャリを走らせた。
「ルゥルさん! 犬の名前を呼びかけるのは禁止です! 後、これまでお勉強したことをちゃんと守るのですよー」
エステルはとりあえず叫び、シヴァに向かう。
「きゃんきゃん!」
シヴァは逃げていく。
「待ってくださいです! 【スリープクラウド】」
最後の手段をとる。シヴァは魔法にかかり、その場につんのめるように眠る。
エステルは魔導ママチャリから下りると、シヴァを抱きしめた。攻撃が当たれば、死んでしまうし、何かの拍子で目を覚ましたらパニックを起こすに違いない。だから、守りと安心のために抱きしめたのだ。
「柴犬でシヴァって」
レイアはエステルを追っていたときに、ルゥルのペットの名前を聞いた。その発想力にうずくものがあるが、それよりも今は敵を引き付けることが重要と気を引き締める。
その視界の先ではシヴァの足止めのためにエステルが魔法を使っていた。
「眠らせると無防備になる……それを、エステルがかばうなら……それを私が引き受けよう」
【ソウルトーチ】を用いて、声を上げる。
「お前たちの相手は私だ」
敵の一部はこちらに向かって攻撃している。矢が飛んでくる。
「それでいい……が、それだとエステルたちに当たる」
レイアは守りの位置を意識しながら、敵への攻撃のために前に出た。
ハナは異変に気付いた。
「符術師が前衛距離まで行って符を打つ不思議……になるなら良かったですよぅ。不覚ですぅ!」
街道を進み、シェオル型と馬車の間に向かう。馬車と道の間には土壁ができている。ルゥルたちの防御態勢は整っているようだった。
「【黒曜封印符】も【五色光符陣】もなく、【呪詛返し】だけしかないのですぅ」
符刀を手に鋭い爪が剣のような持つトカゲのようなシェオル型と切り結んだ。
「これまでの培ってきた経験でいくですよぅ」
目が血走っているかもしれないが、それが見えるのは敵しかなかった。
メイムはピアレーチェが敵を止めている横で、ハナが突撃しているのを見ながら、何かずれていると感じていた。
それよりも、一旦、ルゥルたちと合流して、状況の確認はしておいた方がいいと考える。幸い、対峙している者がいるために妨害なく近づいた。
「無事だね。馬車は?」
「無事なはずだが、状況が状況だ」
ジャイルズは遮蔽物を取り、銃を構え短く言う。
「キソシロはジャイルズさんに回復か、ルゥルに【旅人たちの練習曲】を使って」
「にゃ」
「マーク司祭は下がってもらって、ルゥル【どっかーん】使えるなら使っていいよ、いくよ!」
メイムはピアレーチェとハナと合流する。それにルゥルが必死についてくる。
「頑張るのですー。シ……名前を言ってはいけない柴犬のためにも頑張るのですぅ」
ルゥルは杖をぶんぶん振りながら言っていた。
「よし、行くよ! 見よ、トカゲたち。つぶてが、魔弾が飛んでいくぞー♪」
メイムは仲間の位置を把握後【朗唱】と【重唱】を用いる。相棒となる動物を通して祖霊の力を引き出し、それを仲間に広めた。
「これからが勝負だね」
ピアレーチェが言う。
ルゥルたちの様子の確認や犬の確保も済み、ハンターたちは二手に分かれた。それも、敵を囲うような形であった。
マリィアは当初予定していた位置よりも先に来たのは、想定していたスキルを持ってきていないことだった。下手をすれば状況の悪化を招きかねないため、急いで移動し、行動の遅れを埋めるように動く。阿吽の呼吸のように仲間が適宜動いているのを見て、行動を決めた。
「まさか【リトリビューション】をつけてなかったとは……距離よし」
攻撃をする直前に、シェオル型からの攻撃が飛んでくる。炎の塊が飛んでくるため、魔法を使うものがいるのは明白だ。
「まあ、奥にいるあれよね、まずはあれを落とす……」
【ハイペリオン】を使うためマテリアルを集中させると、引き金を絞る。激しい連射により、トカゲの魔術師は回避できずに無に返る。そのあと、その魔術師を守るようにいた弓使いを狙うのだった。
矢が飛んできたとき、エステルはシヴァを抱きしめた。
痛みが走るが、思ったほど狙われていないのが分かった。レイアが敵を引き付けるように行動をしていることや、他の仲間もいる為攻撃は分散されていると考えた。
攻撃があると音や衝撃で、シヴァは目を覚ました。
「きゃいん」
シヴァはやはり逃げようとした。
「大丈夫です、シヴァさん。シヴァさんは私たちが守ります。それにルゥルさんもシヴァさんに会うのを待っています。だから、しばらくここで待っていてください」
首から背中にかけて優しくなでる。
「くーん」
シヴァはおとなしくなるが、尻尾が後ろ足の間にきゅっと収まっている。
「怖いですね……」
エステルはシヴァから手を離さないように自分の立つ位置を変える。盾を構え、必要な時に魔法を放てるようにした。
「敵の攻撃や、敵がこちらにやってくるようならば、戦います」
シェオル型の生命への憎悪を考えると、穏やかに構えていられるかはわからない。ただ、今ここでシヴァを逃がすわけにはいかない。戦闘から逃れられても、ルゥルの元に戻れなくなるかもしれない。
だから、仲間の動きを、敵を見つめた。
レイアは近づいてきたトカゲ戦士と向かい合う。敵は剣を持っているのではなく、かぎ爪が剣のようだった。
そのため、二刀流のような状況になっていた。近づいてきたとき、それは接敵直前に両手を振るう動作をした。そこに衝撃波が生じ、レイアに向かう。
「なるほど……骨がある敵と言うことだな。相手にとって不足はなしだ」
レイアは【ソウルエッジ】を用いて攻撃を仕掛ける。
敵の行動はハンターが大きく二か所に分かれているため、分散されている。ハンターも分かれてはいるが、敵に対して挟撃に近い形なため、状況が異なっている。
「確実に仕留めていける……さて、行こうか」
レイアは攻撃を叩き込んだ。
メイムは魔術師と思われるシェオル型トカゲを狙うべきと考えていた。それが銃弾でハチの巣にされたのを見て、目の前のものに注視していく。
「順序だてていかないとね。行って、あんず!」
桜型妖精アリスのあんずがマテリアルをまとって、ハナの前にいるシェオル型に突撃した。
「ぬうう……引くわけにはいかないですよぉ」
ハナの符刀が目の前の鋭い爪で攻撃してくるシェオル型に向かう。
「そーれ!」
そのシェオル型に対してピアレーチェの【メイスファイティング】が叩き込まれる。
「えっと……【マジックアロー】なのですー」
ルゥルは堅実にスキルを選んだが、言葉に力がない。
連続で攻撃を叩き込まれたシェオル型であるが、すべてが当たっているわけではなかった。そのため、反撃が来る。
前にいるハナとピアレーチェに薙ぎ払われた爪の範囲にいた。
「避けきれなくとも、このくらいはどうにかなりますよぅ」
「ま、間に合った?」
「はい、助かっていますよぅ」
ピアレーチェは護身剣「ルクス・レディ」の力を引き出し【ホーリーヴェール】を放っていた。そのため、攻撃範囲にいたピアレーチェとハナは攻撃によるクッションを得ていた。
「さあ、次行くよ!」
メイムが促す横で、ルゥルがじりじりどこかに移動しているのが見える。範囲魔法を放とうと考えているのかもしれないが、彼女が変なところに行かないかも注視する必要ができていた。
「変なところに行かないでー」
「いかないですよ」
メイムに答えたルゥルは杖を構えてなにか考えているようだった。
シェオル型は強かったが、陣形が崩れている現状ではそれぞれの特性を生かして戦うことは不可能だった。
魔術師が倒された後から、徐々にその姿を無に帰すのだった。
●街へ
「ルゥル、マークさんもバルネさんもご無事ですか?」
マリィアは急いで駆けつけた。
大したけがはしていないとのことと、助けてくれた礼をマークが告げる。
「すごい、すごい、ルゥルちゃん、頑張ったね」
ピアレーチェが褒めるとルゥルが照れる。そのあと、ピアレーチェは馬車の様子を見に行く。必要なら直すためだった。
エステルが連れてきたシヴァをルゥルは抱きしめる。
「みぎゃあああああああああ、シヴァ無事でよかったのですぅ。エステルさんたちありがとうですぅ」
「ルゥルさんの柴犬さんが無事でよかったです。でも、なんであの場所にいたんですぅ?」
エステルの疑問にルゥルは答えた。兄が逃がしたということを。
「ルゥルさんのお兄様もうっかり過ぎるのです」
「首輪が抜けるってことは痩せちゃったんでしょうか?」
エステルとハナの言葉にルゥルは頬を膨らませる。
「出かけるときのシヴァと同じです……でも、普段首輪していないので……」
慣れていないのはつける側も同じだった。
「それでも、ルゥルちゃんを迎えに来たんですからぁ、あまり怒っちゃ駄目ですよぅ」
「怒るべきはシヴァじゃなくて、兄上なのですぅ」
ルゥルの意見ははっきりしている。ハナは苦笑した後、馬車の確認の手伝いに向かう。
「おい、このリュックはもうお前が持て」
「あ、ジャイルズさん、はい、なのです」
ルゥルはリュックを受け取ると、口を開けて中を確認する。
「モニモニちゃん、フレオ、元気ですか……みぎゃあああああああああああ」
フェレットたちは飛び出した。
フレオは定位置のルゥルの肩に乗った。
一方、モニは飛び出したはいいが、ここがどこかわからず、立ち止まって一生懸命匂いを嗅いで、毛繕いを始めた。
「これは! モニだな! 可愛いなぁ……ルゥル、ちょっと愛でたいだのがいいか?」
レイアはキラキラした目でわくわくした声音で問い、モニを捕獲した。
「そのまま捕獲していてください」
「うむ」
レイアはモニを抱き撫でると、蹴られたりかじられたりしながらも可愛がっていた。
「ルゥル……フェレットもリード付けておいた方がいいよ」
メイムに指摘され、ルゥルは首を傾げる。
「ま、必要に応じてだね。そうだ、怪我治すよ?」
メイムは念のため仲間に聞いた。
マーク司祭もその点を確認してきた。
そして、シェオル型の討伐が終わったことなど領主への連絡を入れておくのだった。
馬車は無事だったため、ハンターとともにルゥルたちは町に向かう。
「そういえば、ルゥルさんのお兄様にお会いするのは楽しみです」
エステルの言葉に、ルゥルが驚きの顔とともに「みぎゃ」と短く言う。
「ルゥル、首輪は抜けられないように、ぴったりした物を準備したほうがいいかもしれないわね。特徴的なモノの方が見つけてもらいやすいかもしれないわ。なんなら、今度、一緒に可愛い首輪を手作りしてみる?」
マリィアが言うと、ルゥルはうなずいた。
「ついでにフェレット用のも必要だね」
メイムの指摘に、ルゥルはフレオを見つめた。
「え? あれ? お兄様の話は……」
ルゥルは渋い顔をしているのを見て、エステルが逆に驚く。
「仲は良くないのですぅ?」
「嫌いではないですけど、好きでもないですぅ……」
兄が大好きなエステルにしてみれば、ルゥルとその兄に何があったのかと不思議に思う。
「色々あるからな、家族は」
レイアは自分の家族を考えなんとも言えない顔になった。手の中のモフモフのぬくもりですぐに相好は崩れる。
町の入り口でルゥルの義兄ケント・ハウエルがいた。
ルゥルに怒られ、平謝りする人間の青年は他者からすれば、年の離れたそれなりにいい兄のように映る。
「今だからルゥルも怒れるのよね」
「そうなんだ?」
マリィアの言葉にピアレーチェは首を傾げた。
「これで無事、避難は完了ですぅ」
ハナの言葉に、マークが再度礼を述べる。
小さな町の住民たちの避難は無事終了した。
仲間同士の魔導短伝話等の連絡の交換は、領主の依頼を受けて仕事を始めたときにしていたとしても、隣町にいるルゥル(kz0210)やマーク司祭との連絡先はどうだかあやしい。
現場にいるルゥルたちに連絡を取ろうとメイム(ka2290)やエステル・ソル(ka3983)は魔導パイロットインカムを用いる。
街道を進むと「みぎゃあああ」と「キャンキャン」という悲鳴が聞こえる。つまり、連絡先が合っていたとしても本人がそれどころではない。
「まずいね。あたしは急いでルゥルの方に向かうよ」
「ルゥルさんと、犬、犬さんですっ!?」
メイムとエステルが急ぐ。
レイア・アローネ(ka4082)はエステルを追うように戦馬を走らせた。
「そちらは任せ、私はシェオル型を引き付け、対応にあたろう」
敵に直接あたることで、相手の行動が分散できるはずだ。
ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804)は魔導拡声器を持ち出した。
「ルゥルちゃーん、今、みんな行くからー」
シェオル型がいるという状況はわかっても詳細はまだ見えていないため、声をかけてから急ぐ。戦馬「十鳥颯爽」を走らせ【シューティングスター】を用いた。
星野 ハナ(ka5852)はいつも通り「歪虚全ブッコロ」と考え、魔導ママチャリを走らせる。
「……うーん? ああ……でも、合流することが先ですぅ」
符刀はあることを確認して急いだ。
マリィア・バルデス(ka5848)は首を傾げていた。
「ルゥルと迷子の犬かしら?」
まずはルゥルと逃げ惑う犬の安全を確保するため、銃で安定し狙える距離を目指した。
ピアレーチェの言葉にマーク司祭はほっとした。むろん、安全が確定したわけではない。
「ルゥルちゃん、落ち着いていくんですよ」
「です、やる気十分なのですぅ!」
そのルゥルの横でユグディラのキソシロが楽器をかき鳴らしていた。
「落ち着け」
ジャイルズ・バルネはルゥルに声をかけながら荷物にあった猟銃を手にした。
それを見てマークは頭痛を覚えた。
柴犬のシヴァは、ルゥルのいる家に急いでいたが、危険と遭遇した。逃げようとしたが、ルゥルがいることに気づく。そんな時、自分が来た方向から大きな音がする。怖いのが増えるぽいと判断してしまった。
……など、ハンターもルゥルたちも知らなかった。
●犬確保
ピアレーチェは街道を一気に駆け抜た。
「足止めするよ! ルゥルちゃん、【アースウォール】あるなら使って! 司祭さま、【ディヴァインウィル】で敵の接敵を阻んで!」
近くなったところで声を掛け、敵の足止めや意識をそらすため【プルガトリオ】を放った。
エステルとマリィアはそれぞれ、距離を詰めていた。
行動に移す直前、ルゥルの大きな声がする。
「シヴァ、おとなしくするのですー」
ルゥルの姿は【にょーん】を使って土壁を出したため見えなくなる。
柴犬が反応したため、ルゥルの関係が明らかになった。
「ただの迷子の犬じゃないわね」
「これは大変なのです」
マリィアは射程を確保したところで止まったが、あることに気づきさらに距離を詰める為に進んだ。
エステルは柴犬に向かって魔導ママチャリを走らせた。
「ルゥルさん! 犬の名前を呼びかけるのは禁止です! 後、これまでお勉強したことをちゃんと守るのですよー」
エステルはとりあえず叫び、シヴァに向かう。
「きゃんきゃん!」
シヴァは逃げていく。
「待ってくださいです! 【スリープクラウド】」
最後の手段をとる。シヴァは魔法にかかり、その場につんのめるように眠る。
エステルは魔導ママチャリから下りると、シヴァを抱きしめた。攻撃が当たれば、死んでしまうし、何かの拍子で目を覚ましたらパニックを起こすに違いない。だから、守りと安心のために抱きしめたのだ。
「柴犬でシヴァって」
レイアはエステルを追っていたときに、ルゥルのペットの名前を聞いた。その発想力にうずくものがあるが、それよりも今は敵を引き付けることが重要と気を引き締める。
その視界の先ではシヴァの足止めのためにエステルが魔法を使っていた。
「眠らせると無防備になる……それを、エステルがかばうなら……それを私が引き受けよう」
【ソウルトーチ】を用いて、声を上げる。
「お前たちの相手は私だ」
敵の一部はこちらに向かって攻撃している。矢が飛んでくる。
「それでいい……が、それだとエステルたちに当たる」
レイアは守りの位置を意識しながら、敵への攻撃のために前に出た。
ハナは異変に気付いた。
「符術師が前衛距離まで行って符を打つ不思議……になるなら良かったですよぅ。不覚ですぅ!」
街道を進み、シェオル型と馬車の間に向かう。馬車と道の間には土壁ができている。ルゥルたちの防御態勢は整っているようだった。
「【黒曜封印符】も【五色光符陣】もなく、【呪詛返し】だけしかないのですぅ」
符刀を手に鋭い爪が剣のような持つトカゲのようなシェオル型と切り結んだ。
「これまでの培ってきた経験でいくですよぅ」
目が血走っているかもしれないが、それが見えるのは敵しかなかった。
メイムはピアレーチェが敵を止めている横で、ハナが突撃しているのを見ながら、何かずれていると感じていた。
それよりも、一旦、ルゥルたちと合流して、状況の確認はしておいた方がいいと考える。幸い、対峙している者がいるために妨害なく近づいた。
「無事だね。馬車は?」
「無事なはずだが、状況が状況だ」
ジャイルズは遮蔽物を取り、銃を構え短く言う。
「キソシロはジャイルズさんに回復か、ルゥルに【旅人たちの練習曲】を使って」
「にゃ」
「マーク司祭は下がってもらって、ルゥル【どっかーん】使えるなら使っていいよ、いくよ!」
メイムはピアレーチェとハナと合流する。それにルゥルが必死についてくる。
「頑張るのですー。シ……名前を言ってはいけない柴犬のためにも頑張るのですぅ」
ルゥルは杖をぶんぶん振りながら言っていた。
「よし、行くよ! 見よ、トカゲたち。つぶてが、魔弾が飛んでいくぞー♪」
メイムは仲間の位置を把握後【朗唱】と【重唱】を用いる。相棒となる動物を通して祖霊の力を引き出し、それを仲間に広めた。
「これからが勝負だね」
ピアレーチェが言う。
ルゥルたちの様子の確認や犬の確保も済み、ハンターたちは二手に分かれた。それも、敵を囲うような形であった。
マリィアは当初予定していた位置よりも先に来たのは、想定していたスキルを持ってきていないことだった。下手をすれば状況の悪化を招きかねないため、急いで移動し、行動の遅れを埋めるように動く。阿吽の呼吸のように仲間が適宜動いているのを見て、行動を決めた。
「まさか【リトリビューション】をつけてなかったとは……距離よし」
攻撃をする直前に、シェオル型からの攻撃が飛んでくる。炎の塊が飛んでくるため、魔法を使うものがいるのは明白だ。
「まあ、奥にいるあれよね、まずはあれを落とす……」
【ハイペリオン】を使うためマテリアルを集中させると、引き金を絞る。激しい連射により、トカゲの魔術師は回避できずに無に返る。そのあと、その魔術師を守るようにいた弓使いを狙うのだった。
矢が飛んできたとき、エステルはシヴァを抱きしめた。
痛みが走るが、思ったほど狙われていないのが分かった。レイアが敵を引き付けるように行動をしていることや、他の仲間もいる為攻撃は分散されていると考えた。
攻撃があると音や衝撃で、シヴァは目を覚ました。
「きゃいん」
シヴァはやはり逃げようとした。
「大丈夫です、シヴァさん。シヴァさんは私たちが守ります。それにルゥルさんもシヴァさんに会うのを待っています。だから、しばらくここで待っていてください」
首から背中にかけて優しくなでる。
「くーん」
シヴァはおとなしくなるが、尻尾が後ろ足の間にきゅっと収まっている。
「怖いですね……」
エステルはシヴァから手を離さないように自分の立つ位置を変える。盾を構え、必要な時に魔法を放てるようにした。
「敵の攻撃や、敵がこちらにやってくるようならば、戦います」
シェオル型の生命への憎悪を考えると、穏やかに構えていられるかはわからない。ただ、今ここでシヴァを逃がすわけにはいかない。戦闘から逃れられても、ルゥルの元に戻れなくなるかもしれない。
だから、仲間の動きを、敵を見つめた。
レイアは近づいてきたトカゲ戦士と向かい合う。敵は剣を持っているのではなく、かぎ爪が剣のようだった。
そのため、二刀流のような状況になっていた。近づいてきたとき、それは接敵直前に両手を振るう動作をした。そこに衝撃波が生じ、レイアに向かう。
「なるほど……骨がある敵と言うことだな。相手にとって不足はなしだ」
レイアは【ソウルエッジ】を用いて攻撃を仕掛ける。
敵の行動はハンターが大きく二か所に分かれているため、分散されている。ハンターも分かれてはいるが、敵に対して挟撃に近い形なため、状況が異なっている。
「確実に仕留めていける……さて、行こうか」
レイアは攻撃を叩き込んだ。
メイムは魔術師と思われるシェオル型トカゲを狙うべきと考えていた。それが銃弾でハチの巣にされたのを見て、目の前のものに注視していく。
「順序だてていかないとね。行って、あんず!」
桜型妖精アリスのあんずがマテリアルをまとって、ハナの前にいるシェオル型に突撃した。
「ぬうう……引くわけにはいかないですよぉ」
ハナの符刀が目の前の鋭い爪で攻撃してくるシェオル型に向かう。
「そーれ!」
そのシェオル型に対してピアレーチェの【メイスファイティング】が叩き込まれる。
「えっと……【マジックアロー】なのですー」
ルゥルは堅実にスキルを選んだが、言葉に力がない。
連続で攻撃を叩き込まれたシェオル型であるが、すべてが当たっているわけではなかった。そのため、反撃が来る。
前にいるハナとピアレーチェに薙ぎ払われた爪の範囲にいた。
「避けきれなくとも、このくらいはどうにかなりますよぅ」
「ま、間に合った?」
「はい、助かっていますよぅ」
ピアレーチェは護身剣「ルクス・レディ」の力を引き出し【ホーリーヴェール】を放っていた。そのため、攻撃範囲にいたピアレーチェとハナは攻撃によるクッションを得ていた。
「さあ、次行くよ!」
メイムが促す横で、ルゥルがじりじりどこかに移動しているのが見える。範囲魔法を放とうと考えているのかもしれないが、彼女が変なところに行かないかも注視する必要ができていた。
「変なところに行かないでー」
「いかないですよ」
メイムに答えたルゥルは杖を構えてなにか考えているようだった。
シェオル型は強かったが、陣形が崩れている現状ではそれぞれの特性を生かして戦うことは不可能だった。
魔術師が倒された後から、徐々にその姿を無に帰すのだった。
●街へ
「ルゥル、マークさんもバルネさんもご無事ですか?」
マリィアは急いで駆けつけた。
大したけがはしていないとのことと、助けてくれた礼をマークが告げる。
「すごい、すごい、ルゥルちゃん、頑張ったね」
ピアレーチェが褒めるとルゥルが照れる。そのあと、ピアレーチェは馬車の様子を見に行く。必要なら直すためだった。
エステルが連れてきたシヴァをルゥルは抱きしめる。
「みぎゃあああああああああ、シヴァ無事でよかったのですぅ。エステルさんたちありがとうですぅ」
「ルゥルさんの柴犬さんが無事でよかったです。でも、なんであの場所にいたんですぅ?」
エステルの疑問にルゥルは答えた。兄が逃がしたということを。
「ルゥルさんのお兄様もうっかり過ぎるのです」
「首輪が抜けるってことは痩せちゃったんでしょうか?」
エステルとハナの言葉にルゥルは頬を膨らませる。
「出かけるときのシヴァと同じです……でも、普段首輪していないので……」
慣れていないのはつける側も同じだった。
「それでも、ルゥルちゃんを迎えに来たんですからぁ、あまり怒っちゃ駄目ですよぅ」
「怒るべきはシヴァじゃなくて、兄上なのですぅ」
ルゥルの意見ははっきりしている。ハナは苦笑した後、馬車の確認の手伝いに向かう。
「おい、このリュックはもうお前が持て」
「あ、ジャイルズさん、はい、なのです」
ルゥルはリュックを受け取ると、口を開けて中を確認する。
「モニモニちゃん、フレオ、元気ですか……みぎゃあああああああああああ」
フェレットたちは飛び出した。
フレオは定位置のルゥルの肩に乗った。
一方、モニは飛び出したはいいが、ここがどこかわからず、立ち止まって一生懸命匂いを嗅いで、毛繕いを始めた。
「これは! モニだな! 可愛いなぁ……ルゥル、ちょっと愛でたいだのがいいか?」
レイアはキラキラした目でわくわくした声音で問い、モニを捕獲した。
「そのまま捕獲していてください」
「うむ」
レイアはモニを抱き撫でると、蹴られたりかじられたりしながらも可愛がっていた。
「ルゥル……フェレットもリード付けておいた方がいいよ」
メイムに指摘され、ルゥルは首を傾げる。
「ま、必要に応じてだね。そうだ、怪我治すよ?」
メイムは念のため仲間に聞いた。
マーク司祭もその点を確認してきた。
そして、シェオル型の討伐が終わったことなど領主への連絡を入れておくのだった。
馬車は無事だったため、ハンターとともにルゥルたちは町に向かう。
「そういえば、ルゥルさんのお兄様にお会いするのは楽しみです」
エステルの言葉に、ルゥルが驚きの顔とともに「みぎゃ」と短く言う。
「ルゥル、首輪は抜けられないように、ぴったりした物を準備したほうがいいかもしれないわね。特徴的なモノの方が見つけてもらいやすいかもしれないわ。なんなら、今度、一緒に可愛い首輪を手作りしてみる?」
マリィアが言うと、ルゥルはうなずいた。
「ついでにフェレット用のも必要だね」
メイムの指摘に、ルゥルはフレオを見つめた。
「え? あれ? お兄様の話は……」
ルゥルは渋い顔をしているのを見て、エステルが逆に驚く。
「仲は良くないのですぅ?」
「嫌いではないですけど、好きでもないですぅ……」
兄が大好きなエステルにしてみれば、ルゥルとその兄に何があったのかと不思議に思う。
「色々あるからな、家族は」
レイアは自分の家族を考えなんとも言えない顔になった。手の中のモフモフのぬくもりですぐに相好は崩れる。
町の入り口でルゥルの義兄ケント・ハウエルがいた。
ルゥルに怒られ、平謝りする人間の青年は他者からすれば、年の離れたそれなりにいい兄のように映る。
「今だからルゥルも怒れるのよね」
「そうなんだ?」
マリィアの言葉にピアレーチェは首を傾げた。
「これで無事、避難は完了ですぅ」
ハナの言葉に、マークが再度礼を述べる。
小さな町の住民たちの避難は無事終了した。
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【相談】救出&討伐 エステル・ソル(ka3983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2019/08/05 21:45:13 |
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【質問卓】 メイム(ka2290) エルフ|15才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2019/08/03 11:04:57 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/08/04 18:58:58 |