ゲスト
(ka0000)
少年は大志を抱く
マスター:水貴透子

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/02/04 12:00
- 完成日
- 2015/02/12 06:26
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
うおおお、ハンターってすっげぇのな!
戦うんだろ!?
魔法使っちゃうんだろ!?
ビシーッと来て、ズバーッとやって、ドカーンと決めちゃうんだろ!?
おいらもそんな風になりたいってかあちゃんに頼んだんだけど、おいら、そういう才能ないんだって!
だからな、ちょっと気分だけビシーッでズバーッで、ドカーンをさせてくれよ!
※※※
「なぁなぁ、あんたらハンターだろ? これから雑魔退治に行くんだろ?」
「すっげーのな、いーのな、うらやましーのな!」
ギルドの中でハンター達にくっついて騒ぐ子供……名前をム・ノーという。
ハンターに憧れるが、残念ながらム・ノーにその資質は与えられなかった。
そのせいか、ム・ノーのハンターに憧れる意思は強くなり、ハンターにまとわりつく事が多くなった。
「またここに来たんですか、皆さんの邪魔になるのでダメですよってこの前言ったはずなんですけどね」
案内人の女性も深いため息を吐きながら、ム・ノーを見ている。
「なぁなぁ、おいらも連れてってくれよ~……」
「どんな風に戦うのかおいらも見たいんだよ~!」
ム・ノーは数人のハンターに声をかけるけど、その答えは『NO』ばかり。
「……わかったよ! 諦めればいいんだろ! へっへーんだ!」
ム・ノーはぷりぷりと怒りながらオフィスから出ていく――……ように見えた。
「これだけ言っても連れてってくれないハンターが悪いのな!」
「……えっへっへ、こっそりついてくのな!」
とあるハンター集団の後をついていきながら、ム・ノーは楽しそうに呟いていた。
リプレイ本文
●お荷物を抱えた状態での任務
「さぁ、久しぶりの依頼ですし頑張りませんとねぇ」
フィーネル・アナステシス(ka0009)は依頼に向けてやる気充分で、逸る心を抑えながら呟く。
「事前に仕入れた情報だと、狼型雑魔が2匹か……。慢心しなければ、遅れを取る事もないだろうが、皆全力で頑張ろうじゃないか」
榊 兵庫(ka0010)は案内人から渡されていた資料を見ながら呟く。
しかし、ハンター達は後ろからガン見してくる少年の存在に気づく。
いや、最初から気づいていたが果たして相手にしていいものかどうかを悩んでいたと言った方が正しいのかもしれない。
「うおおお、話し合いとかかっけーのな! なんかやれる! って感じがするのな!」
隠れながらム・ノーはぎゃあぎゃあと騒いでいるが、姿は隠れきれていないし、何よりはしゃぎ過ぎて大きな声で叫んでしまっている。
「……はぁ、まさかこっそりついてきてしまっているなんて。いえ、ついてきている事には気づいていたのですが、結局ここまで来るなんて……」
サクラ・エルフリード(ka2598)は肩を竦めながら、呆れたようにム・ノーを見つめている。
「まぁ、わたくしと年が近そうですね。何歳なのですか?」
チョココ(ka2449)がム・ノーに問い掛けると「11歳なのな!」と答えられ「まさかの年上でした」とチョココも驚いたように呟いた。
「でも、ハンターってそんなに憧れるモノなのでしょうか?」
チョココが首を傾げながら呟くと「何言ってるのな!」となぜかム・ノーが怒り始めた。
「ハンターはすっげぇのな! ドガガガーン! ってきて、シュパーンッ! とやっつけて、ピシィッ! と帰っていくのな! だからすっげぇのな!」
ム・ノーが懸命に説明しているのは雰囲気でわかるが、肝心の内容はまったく意味不明である。
「はいはーい。予想通りやっぱりついてきてたねー。ま、ハンターはカッコイイから仕方ないね、カッコイイは大正義だから男の子心が燃え上がっちゃうよね! アイワナバーニングハートみたいな? よくは知らんけど」
ダガーフォール(ka4044)はノリでカッコイイことを言っているが、最後付近で投げやり感が半端ない。
「あんまりウロチョロしない方がいいと思うの。間違って『チャクラム』投げちゃうかもしれないから、なの」
リリア・ノヴィドール(ka3056)ダガーフォール(ka4044)は『チャクラム』を見せながら言うが、武器を見せた事でム・ノーのテンションを更にあげてしまったようだ。
「うおおおっ! それがバビューンっていく武器なのな! うっひょー! ヤバイのな! やばいのな! これでスパーンとやるのな!」
「……これを見せたの、失敗だった?」
ム・ノーのはしゃぎっぷりにリリアは若干……いや、かなり引いてしまっている。
「ここまで来てしまったのなら仕方ありません。でも、私達の邪魔だけはしないでくださいねぇ」
フィーネルがにっこりと微笑みながらム・ノーに告げるが「わかったのな! うおおおい、雑魔はどこだあああっ!」と数秒後にはフィーネルの言葉も頭からすっぽ抜けてしまったようだ。
「……お前は自分の行いがどれほど他人に迷惑を掛けているのか分かっていないのか?」
さすがに今まで黙っていた榊も我慢ならなくなったらしく、少し厳しい言葉を投げかける。
「戦場に絶対などない。ひとたび戦場に立てば、死と隣り合わせだ。その中で俺達は力なき者のために、その身を楯として刃を振るっているただの人間に過ぎない」
「おおおぅ……なんかすっげぇかっけぇのな! にーちゃん、出来るハンターって感じなのな!」
榊の言葉も、ム・ノーにとってはまるで空想の話のようにしか聞こえていないらしい。
「……一度くらい痛い目を見た方が分かるかもしれないな」
はしゃぐム・ノーを見て、榊は「はぁっ」と深いため息をついていた。
「ハンターに憧れるのは分かりましたけど、でも……付いてくるなんて、危険ですの」
「おいらのとうちゃんな、雑魔に殺されてるんだ。仇を取ってやるのな! って気合い入れてたけど、おいら、そういう才能ないんだって! とうちゃんもがっかりなのな!」
笑っているけど、ム・ノーはどれだけ悔しかっただろうか、と考えるハンターもいた。
「というわけで、今回のおいらはひゃっほー! なのな!」
「……後ろで無茶せず見ていてくださいね。前には出て来ないように……危険ですから……」
サクラがため息混じりに呟くと「わかったのな! おいら、後ろで見てるのな!」とム・ノーが嬉しそうに言葉を返す。
しかし、既にハンター達の前に出ている事を見てもム・ノーの言葉は信用ならない、とハンター達は心の中で呟いていたのだった。
●雑魔との戦い
ハンター6名+ム・ノーは狼型雑魔が徘徊している場所へとやって来ていた。
「うぶぉっ……」
「はいはい、叫ぶのは全部終わった後だからな」
テンション高く叫ぼうとしたム・ノーの口をダガーフォールの手が塞ぐ。
こんな所で叫ばれたら、雑魔に奇襲される可能性もあるからだ。
「叫んだらハンター達のカッコイイバトルが見れなくなっちゃうけどいいのかなー? ここまで来たんだからお兄やんと一緒に応援しようぜ!」
ダガーフォールはビシッと親指をたてながら、ム・ノーに言葉を投げかける。
「おおう、そうなのな! おいらも応援するのな!」
結局騒ぐ事に変わりはなく「……大丈夫かな」とリリアも心配そうにボソッと呟いた。
そんな時、2匹の狼型雑魔がハンター達の前に姿を現す。
「どうやら、気づくのが遅れたみたいですねぇ……まぁ、ム・ノー少年が前に出なければ大丈夫でしょうけどねぇ」
フィーネルは呟いた後「さぁ、深淵へと繋がる夢の世界へと落ちなさい」と言葉を付け足して『スリープクラウド』を雑魔に仕掛ける。
これで2匹のうちの1匹は眠らせる事が出来て、ハンター達がまず起きている雑魔に集中する事にした。
「ただでさえリスクを背負ってるんだ、さっさと片付けさせてもらおう」
榊はボソッと呟いた後に『片鎌槍』を勢いよく振り上げ『強打』を使用しながら攻撃を仕掛ける。
「うおおおおおおっ! ありえねぇくらいにかっけぇのな! なんで向こうの雑魔は寝てるのな、魔法か? 魔法か?」
ハンター達が行動を起こすたびに、ム・ノーの実況中継が入る。
誰も何も言わないが、戦っているハンターにとっては気が散るどころの話ではない。
「いきます……! ウインドスラッシュ!」
榊が攻撃を仕掛けた時に生じた僅かな隙を狙い、チョココは『ウインドスラッシュ』を使用する。鋭い風の刃が雑魔の手足を切り裂くが、ム・ノーの方に行こうと走り始める。
「後ろには行かせません……! 戦えない子供を狙うなんて、卑怯の極みですね」
サクラは不愉快そうに眉根を寄せて『聖剣 アルマス』に『ホーリーセイバー』を使用して、雑魔に強力な一撃を繰り出す。
「あれだけ騒いでたら、雑魔の気を引くのも無理はないと思うの」
リリアは苦笑気味に呟き『チャクラム』で攻撃を仕掛ける。
「うおおっ! こっちに飛んできたのな! ねーちゃん、おいら人間なのな!」
しかし間違ってム・ノーの方に飛んでいってしまい「ご、ごめんなさい、なの」と慌ててチャクラムを回収する。
そんな騒ぎの中、もう1匹の雑魔が目を覚ましてム・ノーに襲いかかる。
別の雑魔に掛かりきりだったせいか、もう1匹の進撃を止められる者はおらず――……。
「……っ!」
ダガーフォールが身を挺してム・ノーを庇う。
「にーちゃん、お、おいらを庇ったのか……?」
「オレだってハンターの一人だもんよ、ちょっとくらいカッコイイ所を見せなきゃね!」
爽やかに微笑みながらダガーフォールが呟き、リリアが『チャクラム』で攻撃を仕掛ける。
そしてサクラも攻撃を合わせて、ダガーフォールとム・ノーから引き離す。
「私の仲間に手出しはさせません。その罪、私の業火で焼き払ってあげましょう!」
フィーネルは『ファイアアロー』を繰り出しながら、雑魔に攻撃を仕掛ける。
「これで、1匹はお終いだ」
榊は『強打』を惜しみなく使用して、1匹目の雑魔にトドメを刺した。
「もう1回眠っていてもらいますの」
チョココはにっこりと微笑みながら呟き『スリープクラウド』を使用する。
1匹は倒し、もう1匹も眠りについている。
この隙をハンター達が見逃すはずがなく、それぞれが各々攻撃を仕掛け、今回の雑魔退治は終了したのだった――……。
●お説教タイム
「すっげぇのな! やっぱりバビューンでピシィッでペペロペー! なのな!」
既に擬音すら意味不明になっており、ハンター達は深いため息を吐く。
「まったく反省の色が見えないな。もし、今後戦場をうろうろしている所を見かけた際には、仲間の安全のためにお前の身の安全は保証できなくなるから、そのつもりでいるんだな」
榊は、やや青筋をたてながら言葉を投げかける。
榊は元軍人であり、力なき者を守るのが責務という認識が強いので、もし今後ム・ノーを見かけても放っておく事はしないだろう。
ただ、ム・ノーに分からせるために少々脅しをかけているだけなのだ。
「分かったのな!」
「軽っ!?」
ム・ノーの言葉に、思わずダガーフォールがツッコミを入れる。
「そういえばにーちゃんはほとんど戦ってなかったけど、大丈夫なのか?」
ム・ノーが不思議そうにダガーフォールへと問い掛ける。
自分がいるからダガーフォールが戦えなかった、という考えはまったくないらしい。
「お兄やんは楽しいことをするのが仕事だからね!」
ビシッとピースをしながらダガーフォールは答える。
「そっか! それならおいらと同じだな!」
ダガーフォールの言葉に、ム・ノーが楽しそうに答え、他のハンター達はため息を吐く。
今回の任務について、ハンター達は何度ため息をついたのかさえ分からないほどだ。
「まぁ、前にはでなかった――というよりダガーフォールくんがちゃんと見張っていてくれたから最悪の事態にはならなかったみたいですねぇ……」
フィーネルも苦笑気味に呟く。
ハンター達が戦闘をしている間、ダガーフォールが上手く抑え込んでくれていたおかげで、戦闘への支障はほぼなかったと言っても過言ではないくらいだ。
しかし、それがム・ノーを調子づかせる原因になっているのかもしれないけど。
「もう、無茶な事はしちゃだめなのです。ム・ノーさんはわたくしよりも年上なのですから」
チョココが苦笑しながらム・ノーに言葉を投げかけるけど「そうだな! おいら、年上だからもっとそれらしい行動をするよ!」とまったく信用ならない笑顔で言葉を返してきた。
「あなたの行動はあなただけではなく、他人を危険に晒す可能性もあったのですから気をつけないとだめですよ……」
サクラもム・ノーには通じないだろうな、とやや諦めつつも言葉を投げかけてみる。
「うん、わかったのな!」
どうやらサクラの予想通り、まったく通じていないらしい。
こいつ、また絶対に同じ事をやるな――……とハンター達は心の中で呟く。
「次に邪魔をしたら、牽制じゃ済まなくなるかも……なの」
リリアが言うけれど、既にム・ノーは話を聞く気すらないようだ。
(ギルドにちゃんと警戒するように言っておかないとだめっぽい、なの……)
子守りがこんなに疲れるものだと、リリアは初めて知ったような気がして、再びため息が出る。
「ギルドまでは一緒だけどさぁ、ちゃんと気をつけて帰るんだよー?」
ダガーフォールがム・ノーに言葉を投げかける。
「わかったのな! にーちゃん、ねーちゃん! またなのな!」
満面の笑みで言葉を返すム・ノーに(もう邪魔するなって言ってるんだけどな)と心の中で呟き、案内人にキツく注意しておこう、と決めたのだった。
END
「さぁ、久しぶりの依頼ですし頑張りませんとねぇ」
フィーネル・アナステシス(ka0009)は依頼に向けてやる気充分で、逸る心を抑えながら呟く。
「事前に仕入れた情報だと、狼型雑魔が2匹か……。慢心しなければ、遅れを取る事もないだろうが、皆全力で頑張ろうじゃないか」
榊 兵庫(ka0010)は案内人から渡されていた資料を見ながら呟く。
しかし、ハンター達は後ろからガン見してくる少年の存在に気づく。
いや、最初から気づいていたが果たして相手にしていいものかどうかを悩んでいたと言った方が正しいのかもしれない。
「うおおお、話し合いとかかっけーのな! なんかやれる! って感じがするのな!」
隠れながらム・ノーはぎゃあぎゃあと騒いでいるが、姿は隠れきれていないし、何よりはしゃぎ過ぎて大きな声で叫んでしまっている。
「……はぁ、まさかこっそりついてきてしまっているなんて。いえ、ついてきている事には気づいていたのですが、結局ここまで来るなんて……」
サクラ・エルフリード(ka2598)は肩を竦めながら、呆れたようにム・ノーを見つめている。
「まぁ、わたくしと年が近そうですね。何歳なのですか?」
チョココ(ka2449)がム・ノーに問い掛けると「11歳なのな!」と答えられ「まさかの年上でした」とチョココも驚いたように呟いた。
「でも、ハンターってそんなに憧れるモノなのでしょうか?」
チョココが首を傾げながら呟くと「何言ってるのな!」となぜかム・ノーが怒り始めた。
「ハンターはすっげぇのな! ドガガガーン! ってきて、シュパーンッ! とやっつけて、ピシィッ! と帰っていくのな! だからすっげぇのな!」
ム・ノーが懸命に説明しているのは雰囲気でわかるが、肝心の内容はまったく意味不明である。
「はいはーい。予想通りやっぱりついてきてたねー。ま、ハンターはカッコイイから仕方ないね、カッコイイは大正義だから男の子心が燃え上がっちゃうよね! アイワナバーニングハートみたいな? よくは知らんけど」
ダガーフォール(ka4044)はノリでカッコイイことを言っているが、最後付近で投げやり感が半端ない。
「あんまりウロチョロしない方がいいと思うの。間違って『チャクラム』投げちゃうかもしれないから、なの」
リリア・ノヴィドール(ka3056)ダガーフォール(ka4044)は『チャクラム』を見せながら言うが、武器を見せた事でム・ノーのテンションを更にあげてしまったようだ。
「うおおおっ! それがバビューンっていく武器なのな! うっひょー! ヤバイのな! やばいのな! これでスパーンとやるのな!」
「……これを見せたの、失敗だった?」
ム・ノーのはしゃぎっぷりにリリアは若干……いや、かなり引いてしまっている。
「ここまで来てしまったのなら仕方ありません。でも、私達の邪魔だけはしないでくださいねぇ」
フィーネルがにっこりと微笑みながらム・ノーに告げるが「わかったのな! うおおおい、雑魔はどこだあああっ!」と数秒後にはフィーネルの言葉も頭からすっぽ抜けてしまったようだ。
「……お前は自分の行いがどれほど他人に迷惑を掛けているのか分かっていないのか?」
さすがに今まで黙っていた榊も我慢ならなくなったらしく、少し厳しい言葉を投げかける。
「戦場に絶対などない。ひとたび戦場に立てば、死と隣り合わせだ。その中で俺達は力なき者のために、その身を楯として刃を振るっているただの人間に過ぎない」
「おおおぅ……なんかすっげぇかっけぇのな! にーちゃん、出来るハンターって感じなのな!」
榊の言葉も、ム・ノーにとってはまるで空想の話のようにしか聞こえていないらしい。
「……一度くらい痛い目を見た方が分かるかもしれないな」
はしゃぐム・ノーを見て、榊は「はぁっ」と深いため息をついていた。
「ハンターに憧れるのは分かりましたけど、でも……付いてくるなんて、危険ですの」
「おいらのとうちゃんな、雑魔に殺されてるんだ。仇を取ってやるのな! って気合い入れてたけど、おいら、そういう才能ないんだって! とうちゃんもがっかりなのな!」
笑っているけど、ム・ノーはどれだけ悔しかっただろうか、と考えるハンターもいた。
「というわけで、今回のおいらはひゃっほー! なのな!」
「……後ろで無茶せず見ていてくださいね。前には出て来ないように……危険ですから……」
サクラがため息混じりに呟くと「わかったのな! おいら、後ろで見てるのな!」とム・ノーが嬉しそうに言葉を返す。
しかし、既にハンター達の前に出ている事を見てもム・ノーの言葉は信用ならない、とハンター達は心の中で呟いていたのだった。
●雑魔との戦い
ハンター6名+ム・ノーは狼型雑魔が徘徊している場所へとやって来ていた。
「うぶぉっ……」
「はいはい、叫ぶのは全部終わった後だからな」
テンション高く叫ぼうとしたム・ノーの口をダガーフォールの手が塞ぐ。
こんな所で叫ばれたら、雑魔に奇襲される可能性もあるからだ。
「叫んだらハンター達のカッコイイバトルが見れなくなっちゃうけどいいのかなー? ここまで来たんだからお兄やんと一緒に応援しようぜ!」
ダガーフォールはビシッと親指をたてながら、ム・ノーに言葉を投げかける。
「おおう、そうなのな! おいらも応援するのな!」
結局騒ぐ事に変わりはなく「……大丈夫かな」とリリアも心配そうにボソッと呟いた。
そんな時、2匹の狼型雑魔がハンター達の前に姿を現す。
「どうやら、気づくのが遅れたみたいですねぇ……まぁ、ム・ノー少年が前に出なければ大丈夫でしょうけどねぇ」
フィーネルは呟いた後「さぁ、深淵へと繋がる夢の世界へと落ちなさい」と言葉を付け足して『スリープクラウド』を雑魔に仕掛ける。
これで2匹のうちの1匹は眠らせる事が出来て、ハンター達がまず起きている雑魔に集中する事にした。
「ただでさえリスクを背負ってるんだ、さっさと片付けさせてもらおう」
榊はボソッと呟いた後に『片鎌槍』を勢いよく振り上げ『強打』を使用しながら攻撃を仕掛ける。
「うおおおおおおっ! ありえねぇくらいにかっけぇのな! なんで向こうの雑魔は寝てるのな、魔法か? 魔法か?」
ハンター達が行動を起こすたびに、ム・ノーの実況中継が入る。
誰も何も言わないが、戦っているハンターにとっては気が散るどころの話ではない。
「いきます……! ウインドスラッシュ!」
榊が攻撃を仕掛けた時に生じた僅かな隙を狙い、チョココは『ウインドスラッシュ』を使用する。鋭い風の刃が雑魔の手足を切り裂くが、ム・ノーの方に行こうと走り始める。
「後ろには行かせません……! 戦えない子供を狙うなんて、卑怯の極みですね」
サクラは不愉快そうに眉根を寄せて『聖剣 アルマス』に『ホーリーセイバー』を使用して、雑魔に強力な一撃を繰り出す。
「あれだけ騒いでたら、雑魔の気を引くのも無理はないと思うの」
リリアは苦笑気味に呟き『チャクラム』で攻撃を仕掛ける。
「うおおっ! こっちに飛んできたのな! ねーちゃん、おいら人間なのな!」
しかし間違ってム・ノーの方に飛んでいってしまい「ご、ごめんなさい、なの」と慌ててチャクラムを回収する。
そんな騒ぎの中、もう1匹の雑魔が目を覚ましてム・ノーに襲いかかる。
別の雑魔に掛かりきりだったせいか、もう1匹の進撃を止められる者はおらず――……。
「……っ!」
ダガーフォールが身を挺してム・ノーを庇う。
「にーちゃん、お、おいらを庇ったのか……?」
「オレだってハンターの一人だもんよ、ちょっとくらいカッコイイ所を見せなきゃね!」
爽やかに微笑みながらダガーフォールが呟き、リリアが『チャクラム』で攻撃を仕掛ける。
そしてサクラも攻撃を合わせて、ダガーフォールとム・ノーから引き離す。
「私の仲間に手出しはさせません。その罪、私の業火で焼き払ってあげましょう!」
フィーネルは『ファイアアロー』を繰り出しながら、雑魔に攻撃を仕掛ける。
「これで、1匹はお終いだ」
榊は『強打』を惜しみなく使用して、1匹目の雑魔にトドメを刺した。
「もう1回眠っていてもらいますの」
チョココはにっこりと微笑みながら呟き『スリープクラウド』を使用する。
1匹は倒し、もう1匹も眠りについている。
この隙をハンター達が見逃すはずがなく、それぞれが各々攻撃を仕掛け、今回の雑魔退治は終了したのだった――……。
●お説教タイム
「すっげぇのな! やっぱりバビューンでピシィッでペペロペー! なのな!」
既に擬音すら意味不明になっており、ハンター達は深いため息を吐く。
「まったく反省の色が見えないな。もし、今後戦場をうろうろしている所を見かけた際には、仲間の安全のためにお前の身の安全は保証できなくなるから、そのつもりでいるんだな」
榊は、やや青筋をたてながら言葉を投げかける。
榊は元軍人であり、力なき者を守るのが責務という認識が強いので、もし今後ム・ノーを見かけても放っておく事はしないだろう。
ただ、ム・ノーに分からせるために少々脅しをかけているだけなのだ。
「分かったのな!」
「軽っ!?」
ム・ノーの言葉に、思わずダガーフォールがツッコミを入れる。
「そういえばにーちゃんはほとんど戦ってなかったけど、大丈夫なのか?」
ム・ノーが不思議そうにダガーフォールへと問い掛ける。
自分がいるからダガーフォールが戦えなかった、という考えはまったくないらしい。
「お兄やんは楽しいことをするのが仕事だからね!」
ビシッとピースをしながらダガーフォールは答える。
「そっか! それならおいらと同じだな!」
ダガーフォールの言葉に、ム・ノーが楽しそうに答え、他のハンター達はため息を吐く。
今回の任務について、ハンター達は何度ため息をついたのかさえ分からないほどだ。
「まぁ、前にはでなかった――というよりダガーフォールくんがちゃんと見張っていてくれたから最悪の事態にはならなかったみたいですねぇ……」
フィーネルも苦笑気味に呟く。
ハンター達が戦闘をしている間、ダガーフォールが上手く抑え込んでくれていたおかげで、戦闘への支障はほぼなかったと言っても過言ではないくらいだ。
しかし、それがム・ノーを調子づかせる原因になっているのかもしれないけど。
「もう、無茶な事はしちゃだめなのです。ム・ノーさんはわたくしよりも年上なのですから」
チョココが苦笑しながらム・ノーに言葉を投げかけるけど「そうだな! おいら、年上だからもっとそれらしい行動をするよ!」とまったく信用ならない笑顔で言葉を返してきた。
「あなたの行動はあなただけではなく、他人を危険に晒す可能性もあったのですから気をつけないとだめですよ……」
サクラもム・ノーには通じないだろうな、とやや諦めつつも言葉を投げかけてみる。
「うん、わかったのな!」
どうやらサクラの予想通り、まったく通じていないらしい。
こいつ、また絶対に同じ事をやるな――……とハンター達は心の中で呟く。
「次に邪魔をしたら、牽制じゃ済まなくなるかも……なの」
リリアが言うけれど、既にム・ノーは話を聞く気すらないようだ。
(ギルドにちゃんと警戒するように言っておかないとだめっぽい、なの……)
子守りがこんなに疲れるものだと、リリアは初めて知ったような気がして、再びため息が出る。
「ギルドまでは一緒だけどさぁ、ちゃんと気をつけて帰るんだよー?」
ダガーフォールがム・ノーに言葉を投げかける。
「わかったのな! にーちゃん、ねーちゃん! またなのな!」
満面の笑みで言葉を返すム・ノーに(もう邪魔するなって言ってるんだけどな)と心の中で呟き、案内人にキツく注意しておこう、と決めたのだった。
END
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
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面白かった! | 6人 |
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MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 榊 兵庫(ka0010) 人間(リアルブルー)|26才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/04/27 05:01:20 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/02/03 22:00:22 |