ゲスト
(ka0000)
養蜂の危機 ~フミナ~
マスター:天田洋介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/08/19 19:00
- 完成日
- 2019/09/01 18:38
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
グラズヘイム王国の南部に広がる伯爵地【ニュー・ウォルター】。
領主の名はアーリア・エルブン伯爵。
現在、傲慢のアイテルカイト『ナアマ』が率いる歪虚の軍団と交戦状態にある。
「果物はとても美味しく、順調に育っていました。っと」
ハンターズソサエティー支部の一室。マールに出向中のフミナはキーボードを叩く。すでに報告は済ませてあるが、記録として残すための正式な書類作りである。
「それと――」
書類が仕上がった後で、次回の調査依頼も終わらせてしまう。
麦や米等の穀物類の田畑の安全を調べる内容だ。多くの兵士達が巡回しているとのことなので、心配は少ない。だがハンターの誰かがいっていたように、気がかりなのは確かである。
ハンターを募集して、調査出立の計画を立てた。そして出発を控えた前日の夜。パジャマ姿のフミナがベッドへ寝転がろうとしたときに、緊急の連絡が入った。
「そんなことが起きたのですか? た、大変なのです!」
その内容はマール城の騎士からもたらされたもの。領民からの陳情書によると、冷気を纏った大きな蜂が、ヒマワリ畑に出没しているとのことだった。
スノーラの亜種と思われる蜂のせいで、ヒマワリの生育に大きな影響が起きているかも知れない。
「ヒマワリの種は炒ると美味しいですし、絞って油にすればいろいろと使い道が広がるのです。それに今時期は養蜂の場として重要なような気が」
フミナの心配は養蜂農家にも及んだ。急遽予定を変更して、明日からの調査を蜂スノーラ退治を第一の目的とすることに。
「実はなのです――」
翌朝フミナは、待ちあわせ場所に集まってくれたハンター達に事情を話すのであった。
領主の名はアーリア・エルブン伯爵。
現在、傲慢のアイテルカイト『ナアマ』が率いる歪虚の軍団と交戦状態にある。
「果物はとても美味しく、順調に育っていました。っと」
ハンターズソサエティー支部の一室。マールに出向中のフミナはキーボードを叩く。すでに報告は済ませてあるが、記録として残すための正式な書類作りである。
「それと――」
書類が仕上がった後で、次回の調査依頼も終わらせてしまう。
麦や米等の穀物類の田畑の安全を調べる内容だ。多くの兵士達が巡回しているとのことなので、心配は少ない。だがハンターの誰かがいっていたように、気がかりなのは確かである。
ハンターを募集して、調査出立の計画を立てた。そして出発を控えた前日の夜。パジャマ姿のフミナがベッドへ寝転がろうとしたときに、緊急の連絡が入った。
「そんなことが起きたのですか? た、大変なのです!」
その内容はマール城の騎士からもたらされたもの。領民からの陳情書によると、冷気を纏った大きな蜂が、ヒマワリ畑に出没しているとのことだった。
スノーラの亜種と思われる蜂のせいで、ヒマワリの生育に大きな影響が起きているかも知れない。
「ヒマワリの種は炒ると美味しいですし、絞って油にすればいろいろと使い道が広がるのです。それに今時期は養蜂の場として重要なような気が」
フミナの心配は養蜂農家にも及んだ。急遽予定を変更して、明日からの調査を蜂スノーラ退治を第一の目的とすることに。
「実はなのです――」
翌朝フミナは、待ちあわせ場所に集まってくれたハンター達に事情を話すのであった。
リプレイ本文
●
暑い夏の日射しを浴びながら、馬車中心の一行が街道を駆け抜ける。
「蜂じゃと? もはや何でもありじゃな、歪虚。最初は冷凍ゴーレムだったような……」
重魔導バイクで馬車に併走するミグ・ロマイヤー(ka0665)が呟く。
伯爵地を狙う首領ナアマの考えが、今一掴めなかったからだ。だが、日常生活への妨害だとすれば理解できなくもない。戦っているうちにわかるだろうと、依頼に専念することにしたミグである。
道行く人々を見かけて、馬車一行が停止。先の状況を訊ねてみると、蜂スノーラの出没は本当のようだ。
「ヒマワリの種の収獲への影響も問題ですけど、喫緊で心配なのは養蜂なのですよ。蜂スノーラが冷気をまき散らしているようですし、多方面への影響が大きそうなのです」
フミナが深刻そうにため息をつく。
「冷気と養蜂……。それはもしかして、シャリシャリしたシャーベット状の蜂蜜が手に入るかもしれないってことなの!? うわー……な、なんでもないの」
魔導ママチャリに跨がるディーナ・フェルミ(ka5843)が、万歳をやりかけた手で口元を塞いだ。おりていた魔導ママチャリに跨がりなおして、遠くを眺めだす。
「蜂蜜農家のためにも、速やか、かつ確実に駆除する必要があるな」
「養蜂の蜂はそんなに寒いと死んじゃうというか、越冬準備が必要だと思いますぅ。だから暴れ回っている蜂は歪虚だと思うんですけどぉ、蜂の種類は分かりますぅ?」
南護 炎(ka6651)と星野 ハナ(ka5852)が、蜂スノーラに追いかけられたという娘からいろいろと教えてもらう。
蜂スノーラは拳大の体躯。水色の半透明で、形は雀蜂によく似ているという。
枝や壁などにぶら下がる巣は、見かけられていない。少なくともヒマワリ畑に近い街道の樹木には確実に。
「氷の歪虚の蜂も刺してくるんでしょうか? 普通の傷の回復手段は持っていますが、毒対策は応急手当でいけるでしょうか……」
御者役を務めていた穂積 智里(ka6819)が不安げな表情を浮かべる。フミナは「臨機応変で、きっと大丈夫だと思います」と話しかけながら、軽く肩を叩く。
「このまま放っておいたらひまわり畑が大変なことになる。放ってなんて置けないよ! 先を急ごう!」
時音 ざくろ(ka1250)は乗っていたフライングスレッドを、わずかに地面から浮かびあがらせた。
「ちょうどいい交代の機会です。俺が御者を代わります。積んできた水でも飲んで、身体を休めていて欲しい」
Gacrux(ka2726)が穂積智里の代わりに魔導バイクへと跨がる。馬車を牽く役目を交代した。
急用によって来られなくなったハンターの分も頑張ろうと一同は団結する。目的のヒマワリ畑一帯は、もうすぐであった。
●
見渡す限り、黄色と緑色に染まったヒマワリ畑の一帯。そこから受ける印象とは裏腹に、漂う冷気が一行の身体を震えさせる。
「羽音だけじゃなく、寒さでも巣が近いと判別できるかもしれません。冷気を発する蜂がたくさんいるなら、近くの地面もそこだけ他より凍っているかも知れないと思います」
「うむ、そうじゃな。凍った農作業者やヒマワリがないかが気がかりじゃぞ」
穂積智里とミグが、畑の様子を念入りに眺める。
合わせて冷気が強まる方角を探りながら、一行は進んでいく。しばらくして、双眼鏡を覗いていたGacruxが遠方を指さした。
「あの辺りに何か浮かんでいるような」
Gacruxが言い終えた瞬間、一匹の巨大な蜂が急速に迫り来る。
「透明で、この大きさ。蜂スノーラで間違いない。速やかに駆除するぞ!」
南護炎は聖罰刃を抜いた刹那、すれ違う蜂スノーラの片羽根を斬り落とした。
「えいっ、えいっ! なの!」
地面に落ちた蜂スノーラの止めを、トールハンマーで刺したのはディーナである。
「穂積さんが危惧していたように、毒針がありますね。気をつけたほうがよさそうなのですよ」
フミナは屈み、瘴気として散り散りになりかかっている蜂スノーラの亡骸を観察した。
「あ、あんた達、もしかして助けに来てくれたのか?」
一同に駆け寄ってきた初老の男性は、完全防備の養蜂家の恰好をしていた。
蜂スノーラを見かけて緊急避難したので、養蜂を営む一家に怪我はないという。ただ残してきた蜜蜂の巣箱が気がかりとのことだ。
「蜂スノーラの巣が気がかりですけどぉ、先に巣箱を確かめてみますかぁ?」
「どちらがいいだろう……。ちょっと待っていてくれるかな」
星野ハナに頷いた時音がフライングスレッドに乗り、I.F.O.で浮かせる。上空からヒマワリ畑を俯瞰した時音は、正確な巣箱の位置を把握した。
「フミナはいつも僕の後ろにね」
「ありがとうなのです☆」
時音に守ってもらいながら、フミナも背を低くしてヒマワリの間をすり抜けていく。
「あれは蜜蜂を倒そうとしている、のじゃろうか?」
ミグがヒマワリの隙間から覗きこむと、六つの巣箱の上を蜂スノーラ十数匹が飛びまわっていた。余程冷気が強いらしく、どの巣箱も霜だらけだ。時折体当たりをして、巣箱を揺らしている。
「あの威嚇している様子だと、巣箱に蜜蜂は残っていそうですの」
ディーナの推測通り、巣箱からちらほらと蜜蜂が出入りしていた。まるで蜂スノーラの様子を窺っているようだ。
「蜂スノーラの目的はヒマワリ畑をなくすこと。第二の目的は人を呼び寄せての攻撃。そう考えれば辻褄は合いそうだ」
Gacruxの意見にフミナが賛同する。
巣箱の安全確保のために、ハンター達が動いた。
「いくのじゃ!」
ミグがユニットを使えれば、畑ごと蜂スノーラを抹殺可能だ。そんなことを脳裏を浮かべながら使ったのは、ハンマハンマ。ビーム魔砲三門が、蜂スノーラ三体を瞬時に焼き尽くす。
それを切っ掛けにして、残りの蜂スノーラがハンター達の存在に気づく。
「ブッコロぉ~」
星野ハナの五色光符陣による輝きによって、蜂スノーラ等の動きが鈍くなった。
「ニュー・ウォルターとの縁も随分と深くなった。早く平和を取り戻さねば!」
ふり向く勢いのまま、南護炎は蜂スノーラを真っ二つに。
「くらえ必殺、デルタエンドだ!」
時音の魔導剣から放たれた三つの輝きが、蜂スノーラ三体を刺し貫いた。
「ち、近寄らないでください!」
穂積智里もデルタレイを放って、止めを刺していく。
「死んだ真似ですかねえ?」
Gacruxもハリセン二刀流で瀕死の蜂スノーラに止めを刺した。
敵の動きを鈍くしているおかげで一方的に倒せる。また、ヒマワリ畑への被害は最小限で済んだ。
「巣箱に蜜蜂たちが隠れているの。これって、歪虚化してないってことかな?」
ディーナは蜜蜂が歪虚化しているのではと仮説を立てていた。今のところ真実は不明。木箱に張りついていた小さな氷柱を摘まみ、舐めてみると甘い。
蜂スノーラは巣箱ごと凍らせて、中の蜜蜂を殺そうとしていたようである。次に打つ手について、Gacruxが言及した。
「目印として一匹の蜂に紐を結んで、巣の位置を特定するという方法は聞いたことはあります」
Gacruxの周囲に一同が集まりだす。
「……昼に活動する、近くに大きな木や小屋は見当たらない。多分大雀蜂か姫雀蜂の系統だと思うの、巣は地中にあると思うの」
ディーナの後、「はいはいっ」と手を挙げた星野ハナが意見を述べる。
「蜂追いは雀蜂が肉団子作ってる所にリボンつきのピン刺してぇ、それを目印に巣に運ぶ蜂を追うんですぅ。上級者は蜂自体にリボン巻けるらしいですけどぉ、私はちょっと無理ですねぇ」
星野ハナが自身の携帯品の中から肉を取りだす。
蜂スノーラが興味を持つか悩んでいたところ、フミナが肉を受け取って、死骸の瘴気にさらした。「蜜蜂を攻撃していたし、それに何かしらのマテリアルも収集しているのかも」といいながら。
「当たるも八卦ですけどぉ、ここから見て西南辺りに巣があるかもですぅ」
星野ハナは方角占いでアタリをつけた。
作った肉団子を置いて、しばらく待つ。
やがて畑を巡回していた蜂スノーラが、肉団子を掴んで飛びあがる。距離をとりつつ、一同はヒマワリ畑を進んでいくのだった。
●
「想像していたよりも、たくさんいるみたいですの」
「ですです。土中の巣なのですよ」
大地に伏せたディーナとフミナが、互いの顔を見て頷き合う。
蜂スノーラの巣は、ヒマワリ畑一帯の中央付近に作られていた。ここからも冷気を放ち、ヒマワリの生育に悪影響を与えているようである。
「さ、寒い……」
「ほ、ホントに……」
時音と穂積智里は静かに足踏みしつつ、装備の上から身体をさすっていた。
作戦はすでに立てられている。はぐれた個体を順次倒していき、敵に気づかれてからは一気に殲滅。ちなみにポゼッションによる安全地帯確保の順は、穂積智里、時音、ミグの三人で相談済みである。フミナには常にその範囲にいてもらう。
(南東の方角です)
耳を澄ませた穂積智里耳が、羽音で蜂スノーラを発見。光条で倒す。
(どかっとやるのは、まだかのぅ~)
ミグが放ったのは、ハンマハンマだ。ビーム魔砲で穴があけられた蜂スノーラが瘴気の塵と化す。
(これで五匹目、じゃんじゃんいくよ!)
時音はデルタレイの輝きをヒマワリの隙間に放射した。消滅に至らなかった個体は仲間同士で止めのフォローをしあう。
やがて同胞への攻撃に気づいた一匹の蜂スノーラが、土中の巣へと潜っていった。
次々と飛びだしてくる蜂スノーラ。
「おびき寄せは俺に任せてください。それではっ!」
双眼鏡を仕舞ったGacruxが、ヒマワリの密集地から踏みだして姿を晒す。そしてハリセン二刀流の構えで堅守を使った。その目立ちように、蜂スノーラが集ろうとする。
「派手にいきますよぉ~!」
星野ハナが五色光符陣の輝きで、土中の巣を中心にして焼いた。その度に蜂スノーラ等の動きが鈍り、それでも輝きは繰り返される。
少しずつ弱っていく蜂スノーラの群れ。
「冷気には冷気じゃ。この痛みに耐えられるかのぅ?」
ミグのアイシクルコフィンが、迫り来る蜂スノーラをまとめて串刺しに。立て続けに今度は「灼熱地獄じゃ!」と叫んで、ファイアスローワーが放たれた。放射の炎が前方の蜂スノーラをまとめて焼き尽くす。
まだ動く敵は、南護炎やGacrux、時音が止めを刺した。
周辺のヒマワリはとうの昔になぎ倒されていて、火災の危険はない。煙る瘴気で視界が遮られていたものの、強風が吹く。視界が回復したとき、フミナが遠くを望みながら立ちあがった。
「す、すごい数なのですよ!」
土の巣穴から、まるで蜂スノーラが湧きでてくるよう。退いたフミナが恐れおののく。
「雀蜂は許せないの!」
ディーナが混乱の最中で刺された仲間三人を、ゴッドブレスで癒やす。続いて突貫。セイクリッドフラッシュの連発で、味方の盾となった。
蜂スノーラ側も、やられてばかりではない。やがて群れに変化が生じる。
次々と個体が重なっていき、二体の巨大蜂スノーラが姿を現した。その羽音は鼓膜をつんざいて、ハンター達の思考を弱らせる。下腹部から飛びでた針が、毒を滴らせながらギラリと輝いた。口蓋の牙も、まるでナイフのように鋭い。
仲間達による範囲攻撃が続く最中、時音は自身の魔導剣に超重練成を施す。
「そちらが大きくなるならこっちだって……。必殺超重剣・一刀両断カチ割氷の太刀!」
突進して、巨大蜂スノーラAと衝突。巨大な刃を敵の脳天へと食いこませて、そのまま振りおろした。真っ二つに裂けて大地に転がったが、まだ動いている。Gacruxのハリセンが沈黙へと導いた。
「こちらは俺に任せろ! 駆除してやる!」
南護炎の大上段からの連続技が、巨大蜂スノーラBへと決まった。地面で蠢く刻まれた体躯に、仲間達が止めを刺す。
「たとえ巣の中に残っていたとしても、これで……!」
穂積智里は星神器に秘められたレメゲトンを、土の巣穴を中心にして放つ。敵には裁きの衝撃を。味方には暖かな癒やしの光を降り注がせる。
「多分一匹たりとも残っていないでしょう」
Gacruxが地の巣穴へと近づいて耳をそばだてる。羽音などはまったく聞こえない。
念のために、仲間全員でヒマワリ畑を探索。すべて倒しきったことを確認するのであった。
●
「やっぱりですの……」
ディーナは土中の巣を確認したが、冷凍の蜂蜜は見つからなかった。そこへ養蜂家の男性が現れる。
「あれを倒せるとは、あんたたちはすごいな。おかげでかなりの蜜蜂が助かったよ。巣箱の損傷は軽微だった。ところで――」
男性の養蜂一家が是非、食事を奢らせて欲しいという。一同は好意に甘えることにした。
養蜂一家が使っている、馬車を中心としたキャラバンの設備は素晴らしかった。
「これで旅をして、各地の蜜を集めるのですか! 楽しそうなのです☆」
フミナが興味深げに設備を眺めた。
野外テーブルの皿に、シャーベット状の蜂蜜が盛られていて、ディーナが瞳を輝かす。
「甘い蜂蜜、シャリシャリなの♪」
食事の席で振る舞われて、笑みを零すディーナである。
「なるほど。このうまさは蜂蜜のおかげでもあるのだな」
南護炎は、蜂蜜塗りの焼かれた肉塊を頬張る。
「それにしても、ヒマワリ畑を襲う雑魔とはのぅ」
「被害は最小限に済みましたが」
ミグとGacruxが、蜂スノーラのヒマワリ畑襲撃についてを話題にした。
「この辺りのヒマワリ畑で、伯爵地の食料油をほぼすべてまかなっているはず。私達はその恩恵に与っている訳ですが――」
養蜂家の男性がこの一帯の重要性を語ってくれる。
陸の交易を担うドスガが歪虚に牛耳られている現在、輸入量そのものに限界が生じていた。海路は残っているものの、ギリギリの取引状況である。食料油が確保されたのは、僥倖といってよい。
「とにかくよかったよ♪ それにしてもこの蜂蜜パン、おいしいね♪」
「これでひまわり畑をゆっくり楽しめそうですね♪」
時音と穂積智里も美味しそうに頂く。
「冬はもうすぐですぅ。たくさん蜂蜜をとってくださいねぇ♪」
星野ハナの一言に、養蜂家の一同が「もちろん」と声を揃えて答えていた。
「ありがとうございますです☆」
フミナが養蜂家の男性から蜂蜜をもらい、代表してお礼をいう。
「日が暮れる前に帰るとするかのぅ」
帰路の馬車牽き魔導バイクへと跨がったのは、ミグである。
マールへの到着後、フミナは肉の同等品を星野ハナに手渡した。おかげで助かったと。
そして解散。領主アーリアへの報告は、フミナの仕事の一つだった。
暑い夏の日射しを浴びながら、馬車中心の一行が街道を駆け抜ける。
「蜂じゃと? もはや何でもありじゃな、歪虚。最初は冷凍ゴーレムだったような……」
重魔導バイクで馬車に併走するミグ・ロマイヤー(ka0665)が呟く。
伯爵地を狙う首領ナアマの考えが、今一掴めなかったからだ。だが、日常生活への妨害だとすれば理解できなくもない。戦っているうちにわかるだろうと、依頼に専念することにしたミグである。
道行く人々を見かけて、馬車一行が停止。先の状況を訊ねてみると、蜂スノーラの出没は本当のようだ。
「ヒマワリの種の収獲への影響も問題ですけど、喫緊で心配なのは養蜂なのですよ。蜂スノーラが冷気をまき散らしているようですし、多方面への影響が大きそうなのです」
フミナが深刻そうにため息をつく。
「冷気と養蜂……。それはもしかして、シャリシャリしたシャーベット状の蜂蜜が手に入るかもしれないってことなの!? うわー……な、なんでもないの」
魔導ママチャリに跨がるディーナ・フェルミ(ka5843)が、万歳をやりかけた手で口元を塞いだ。おりていた魔導ママチャリに跨がりなおして、遠くを眺めだす。
「蜂蜜農家のためにも、速やか、かつ確実に駆除する必要があるな」
「養蜂の蜂はそんなに寒いと死んじゃうというか、越冬準備が必要だと思いますぅ。だから暴れ回っている蜂は歪虚だと思うんですけどぉ、蜂の種類は分かりますぅ?」
南護 炎(ka6651)と星野 ハナ(ka5852)が、蜂スノーラに追いかけられたという娘からいろいろと教えてもらう。
蜂スノーラは拳大の体躯。水色の半透明で、形は雀蜂によく似ているという。
枝や壁などにぶら下がる巣は、見かけられていない。少なくともヒマワリ畑に近い街道の樹木には確実に。
「氷の歪虚の蜂も刺してくるんでしょうか? 普通の傷の回復手段は持っていますが、毒対策は応急手当でいけるでしょうか……」
御者役を務めていた穂積 智里(ka6819)が不安げな表情を浮かべる。フミナは「臨機応変で、きっと大丈夫だと思います」と話しかけながら、軽く肩を叩く。
「このまま放っておいたらひまわり畑が大変なことになる。放ってなんて置けないよ! 先を急ごう!」
時音 ざくろ(ka1250)は乗っていたフライングスレッドを、わずかに地面から浮かびあがらせた。
「ちょうどいい交代の機会です。俺が御者を代わります。積んできた水でも飲んで、身体を休めていて欲しい」
Gacrux(ka2726)が穂積智里の代わりに魔導バイクへと跨がる。馬車を牽く役目を交代した。
急用によって来られなくなったハンターの分も頑張ろうと一同は団結する。目的のヒマワリ畑一帯は、もうすぐであった。
●
見渡す限り、黄色と緑色に染まったヒマワリ畑の一帯。そこから受ける印象とは裏腹に、漂う冷気が一行の身体を震えさせる。
「羽音だけじゃなく、寒さでも巣が近いと判別できるかもしれません。冷気を発する蜂がたくさんいるなら、近くの地面もそこだけ他より凍っているかも知れないと思います」
「うむ、そうじゃな。凍った農作業者やヒマワリがないかが気がかりじゃぞ」
穂積智里とミグが、畑の様子を念入りに眺める。
合わせて冷気が強まる方角を探りながら、一行は進んでいく。しばらくして、双眼鏡を覗いていたGacruxが遠方を指さした。
「あの辺りに何か浮かんでいるような」
Gacruxが言い終えた瞬間、一匹の巨大な蜂が急速に迫り来る。
「透明で、この大きさ。蜂スノーラで間違いない。速やかに駆除するぞ!」
南護炎は聖罰刃を抜いた刹那、すれ違う蜂スノーラの片羽根を斬り落とした。
「えいっ、えいっ! なの!」
地面に落ちた蜂スノーラの止めを、トールハンマーで刺したのはディーナである。
「穂積さんが危惧していたように、毒針がありますね。気をつけたほうがよさそうなのですよ」
フミナは屈み、瘴気として散り散りになりかかっている蜂スノーラの亡骸を観察した。
「あ、あんた達、もしかして助けに来てくれたのか?」
一同に駆け寄ってきた初老の男性は、完全防備の養蜂家の恰好をしていた。
蜂スノーラを見かけて緊急避難したので、養蜂を営む一家に怪我はないという。ただ残してきた蜜蜂の巣箱が気がかりとのことだ。
「蜂スノーラの巣が気がかりですけどぉ、先に巣箱を確かめてみますかぁ?」
「どちらがいいだろう……。ちょっと待っていてくれるかな」
星野ハナに頷いた時音がフライングスレッドに乗り、I.F.O.で浮かせる。上空からヒマワリ畑を俯瞰した時音は、正確な巣箱の位置を把握した。
「フミナはいつも僕の後ろにね」
「ありがとうなのです☆」
時音に守ってもらいながら、フミナも背を低くしてヒマワリの間をすり抜けていく。
「あれは蜜蜂を倒そうとしている、のじゃろうか?」
ミグがヒマワリの隙間から覗きこむと、六つの巣箱の上を蜂スノーラ十数匹が飛びまわっていた。余程冷気が強いらしく、どの巣箱も霜だらけだ。時折体当たりをして、巣箱を揺らしている。
「あの威嚇している様子だと、巣箱に蜜蜂は残っていそうですの」
ディーナの推測通り、巣箱からちらほらと蜜蜂が出入りしていた。まるで蜂スノーラの様子を窺っているようだ。
「蜂スノーラの目的はヒマワリ畑をなくすこと。第二の目的は人を呼び寄せての攻撃。そう考えれば辻褄は合いそうだ」
Gacruxの意見にフミナが賛同する。
巣箱の安全確保のために、ハンター達が動いた。
「いくのじゃ!」
ミグがユニットを使えれば、畑ごと蜂スノーラを抹殺可能だ。そんなことを脳裏を浮かべながら使ったのは、ハンマハンマ。ビーム魔砲三門が、蜂スノーラ三体を瞬時に焼き尽くす。
それを切っ掛けにして、残りの蜂スノーラがハンター達の存在に気づく。
「ブッコロぉ~」
星野ハナの五色光符陣による輝きによって、蜂スノーラ等の動きが鈍くなった。
「ニュー・ウォルターとの縁も随分と深くなった。早く平和を取り戻さねば!」
ふり向く勢いのまま、南護炎は蜂スノーラを真っ二つに。
「くらえ必殺、デルタエンドだ!」
時音の魔導剣から放たれた三つの輝きが、蜂スノーラ三体を刺し貫いた。
「ち、近寄らないでください!」
穂積智里もデルタレイを放って、止めを刺していく。
「死んだ真似ですかねえ?」
Gacruxもハリセン二刀流で瀕死の蜂スノーラに止めを刺した。
敵の動きを鈍くしているおかげで一方的に倒せる。また、ヒマワリ畑への被害は最小限で済んだ。
「巣箱に蜜蜂たちが隠れているの。これって、歪虚化してないってことかな?」
ディーナは蜜蜂が歪虚化しているのではと仮説を立てていた。今のところ真実は不明。木箱に張りついていた小さな氷柱を摘まみ、舐めてみると甘い。
蜂スノーラは巣箱ごと凍らせて、中の蜜蜂を殺そうとしていたようである。次に打つ手について、Gacruxが言及した。
「目印として一匹の蜂に紐を結んで、巣の位置を特定するという方法は聞いたことはあります」
Gacruxの周囲に一同が集まりだす。
「……昼に活動する、近くに大きな木や小屋は見当たらない。多分大雀蜂か姫雀蜂の系統だと思うの、巣は地中にあると思うの」
ディーナの後、「はいはいっ」と手を挙げた星野ハナが意見を述べる。
「蜂追いは雀蜂が肉団子作ってる所にリボンつきのピン刺してぇ、それを目印に巣に運ぶ蜂を追うんですぅ。上級者は蜂自体にリボン巻けるらしいですけどぉ、私はちょっと無理ですねぇ」
星野ハナが自身の携帯品の中から肉を取りだす。
蜂スノーラが興味を持つか悩んでいたところ、フミナが肉を受け取って、死骸の瘴気にさらした。「蜜蜂を攻撃していたし、それに何かしらのマテリアルも収集しているのかも」といいながら。
「当たるも八卦ですけどぉ、ここから見て西南辺りに巣があるかもですぅ」
星野ハナは方角占いでアタリをつけた。
作った肉団子を置いて、しばらく待つ。
やがて畑を巡回していた蜂スノーラが、肉団子を掴んで飛びあがる。距離をとりつつ、一同はヒマワリ畑を進んでいくのだった。
●
「想像していたよりも、たくさんいるみたいですの」
「ですです。土中の巣なのですよ」
大地に伏せたディーナとフミナが、互いの顔を見て頷き合う。
蜂スノーラの巣は、ヒマワリ畑一帯の中央付近に作られていた。ここからも冷気を放ち、ヒマワリの生育に悪影響を与えているようである。
「さ、寒い……」
「ほ、ホントに……」
時音と穂積智里は静かに足踏みしつつ、装備の上から身体をさすっていた。
作戦はすでに立てられている。はぐれた個体を順次倒していき、敵に気づかれてからは一気に殲滅。ちなみにポゼッションによる安全地帯確保の順は、穂積智里、時音、ミグの三人で相談済みである。フミナには常にその範囲にいてもらう。
(南東の方角です)
耳を澄ませた穂積智里耳が、羽音で蜂スノーラを発見。光条で倒す。
(どかっとやるのは、まだかのぅ~)
ミグが放ったのは、ハンマハンマだ。ビーム魔砲で穴があけられた蜂スノーラが瘴気の塵と化す。
(これで五匹目、じゃんじゃんいくよ!)
時音はデルタレイの輝きをヒマワリの隙間に放射した。消滅に至らなかった個体は仲間同士で止めのフォローをしあう。
やがて同胞への攻撃に気づいた一匹の蜂スノーラが、土中の巣へと潜っていった。
次々と飛びだしてくる蜂スノーラ。
「おびき寄せは俺に任せてください。それではっ!」
双眼鏡を仕舞ったGacruxが、ヒマワリの密集地から踏みだして姿を晒す。そしてハリセン二刀流の構えで堅守を使った。その目立ちように、蜂スノーラが集ろうとする。
「派手にいきますよぉ~!」
星野ハナが五色光符陣の輝きで、土中の巣を中心にして焼いた。その度に蜂スノーラ等の動きが鈍り、それでも輝きは繰り返される。
少しずつ弱っていく蜂スノーラの群れ。
「冷気には冷気じゃ。この痛みに耐えられるかのぅ?」
ミグのアイシクルコフィンが、迫り来る蜂スノーラをまとめて串刺しに。立て続けに今度は「灼熱地獄じゃ!」と叫んで、ファイアスローワーが放たれた。放射の炎が前方の蜂スノーラをまとめて焼き尽くす。
まだ動く敵は、南護炎やGacrux、時音が止めを刺した。
周辺のヒマワリはとうの昔になぎ倒されていて、火災の危険はない。煙る瘴気で視界が遮られていたものの、強風が吹く。視界が回復したとき、フミナが遠くを望みながら立ちあがった。
「す、すごい数なのですよ!」
土の巣穴から、まるで蜂スノーラが湧きでてくるよう。退いたフミナが恐れおののく。
「雀蜂は許せないの!」
ディーナが混乱の最中で刺された仲間三人を、ゴッドブレスで癒やす。続いて突貫。セイクリッドフラッシュの連発で、味方の盾となった。
蜂スノーラ側も、やられてばかりではない。やがて群れに変化が生じる。
次々と個体が重なっていき、二体の巨大蜂スノーラが姿を現した。その羽音は鼓膜をつんざいて、ハンター達の思考を弱らせる。下腹部から飛びでた針が、毒を滴らせながらギラリと輝いた。口蓋の牙も、まるでナイフのように鋭い。
仲間達による範囲攻撃が続く最中、時音は自身の魔導剣に超重練成を施す。
「そちらが大きくなるならこっちだって……。必殺超重剣・一刀両断カチ割氷の太刀!」
突進して、巨大蜂スノーラAと衝突。巨大な刃を敵の脳天へと食いこませて、そのまま振りおろした。真っ二つに裂けて大地に転がったが、まだ動いている。Gacruxのハリセンが沈黙へと導いた。
「こちらは俺に任せろ! 駆除してやる!」
南護炎の大上段からの連続技が、巨大蜂スノーラBへと決まった。地面で蠢く刻まれた体躯に、仲間達が止めを刺す。
「たとえ巣の中に残っていたとしても、これで……!」
穂積智里は星神器に秘められたレメゲトンを、土の巣穴を中心にして放つ。敵には裁きの衝撃を。味方には暖かな癒やしの光を降り注がせる。
「多分一匹たりとも残っていないでしょう」
Gacruxが地の巣穴へと近づいて耳をそばだてる。羽音などはまったく聞こえない。
念のために、仲間全員でヒマワリ畑を探索。すべて倒しきったことを確認するのであった。
●
「やっぱりですの……」
ディーナは土中の巣を確認したが、冷凍の蜂蜜は見つからなかった。そこへ養蜂家の男性が現れる。
「あれを倒せるとは、あんたたちはすごいな。おかげでかなりの蜜蜂が助かったよ。巣箱の損傷は軽微だった。ところで――」
男性の養蜂一家が是非、食事を奢らせて欲しいという。一同は好意に甘えることにした。
養蜂一家が使っている、馬車を中心としたキャラバンの設備は素晴らしかった。
「これで旅をして、各地の蜜を集めるのですか! 楽しそうなのです☆」
フミナが興味深げに設備を眺めた。
野外テーブルの皿に、シャーベット状の蜂蜜が盛られていて、ディーナが瞳を輝かす。
「甘い蜂蜜、シャリシャリなの♪」
食事の席で振る舞われて、笑みを零すディーナである。
「なるほど。このうまさは蜂蜜のおかげでもあるのだな」
南護炎は、蜂蜜塗りの焼かれた肉塊を頬張る。
「それにしても、ヒマワリ畑を襲う雑魔とはのぅ」
「被害は最小限に済みましたが」
ミグとGacruxが、蜂スノーラのヒマワリ畑襲撃についてを話題にした。
「この辺りのヒマワリ畑で、伯爵地の食料油をほぼすべてまかなっているはず。私達はその恩恵に与っている訳ですが――」
養蜂家の男性がこの一帯の重要性を語ってくれる。
陸の交易を担うドスガが歪虚に牛耳られている現在、輸入量そのものに限界が生じていた。海路は残っているものの、ギリギリの取引状況である。食料油が確保されたのは、僥倖といってよい。
「とにかくよかったよ♪ それにしてもこの蜂蜜パン、おいしいね♪」
「これでひまわり畑をゆっくり楽しめそうですね♪」
時音と穂積智里も美味しそうに頂く。
「冬はもうすぐですぅ。たくさん蜂蜜をとってくださいねぇ♪」
星野ハナの一言に、養蜂家の一同が「もちろん」と声を揃えて答えていた。
「ありがとうございますです☆」
フミナが養蜂家の男性から蜂蜜をもらい、代表してお礼をいう。
「日が暮れる前に帰るとするかのぅ」
帰路の馬車牽き魔導バイクへと跨がったのは、ミグである。
マールへの到着後、フミナは肉の同等品を星野ハナに手渡した。おかげで助かったと。
そして解散。領主アーリアへの報告は、フミナの仕事の一つだった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/08/19 14:58:43 |