ゲスト
(ka0000)
【未来】故郷の行く末
マスター:大林さゆる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~5人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/09/24 07:30
- 完成日
- 2019/10/02 02:31
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
※この依頼は、【未来】シナリオです。結果次第では、重体、再起不能になる恐れもありますが、
実際に生命力の減少等は反映されません。「未来にそういう結果になる可能性がある」とリプレイで表記される場合もあります。
●
王国歴1020年3月。
ハンター部隊「レクエスタ」が発足されて、一ヶ月が過ぎた。
グラウンド・ゼロ以北。
その部隊には、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)の姿もあった。
彼を知る者ならば、マクシミリアンがハンター以外の道を選ぶはずはないという意見もあった。
推薦もあり、マクシミリアンは「レクエスタ」の隊長として活動に参加することになった。
邪神がいなくなっても、クリムゾンウェストから脅威が消え去った訳ではない。
報告によれば、クリムゾンウェスト全体の6~7割にも及ぶ地表には、負のマテリアルが、未だ残っており、この環境を改善しなれば、将来的にはクリムゾンウェストが死滅するという予測もあった。
それを聞いて、黙っているハンターたちではない。
積極的に、ハンター部隊「レクエスタ」の活動に参加する者もいたのだ。
翌日。
レクエスタは、調査のため、さらに北を目指していた。
まずは拠点となるキャンプ・ベースを作るのも、今回の目的だった。
進むにつれ、霧が少しずつ出てくる。
同行していたハンターたちは、異変に気付いて足を止めた。
「……何か、いるな」
霧に紛れて、飛行するドラゴンが二匹、上空を旋回していた。
「雑魔にしては、大き過ぎる。独立した個体と想定した方が良さそうだな」
マクシミリアンが、愛用の刀を構えた。
上空から急降下してくるドラゴンたち。氷のブレスを吐いてきたが、ハンターたちは攻撃を受け流したり、回避していく。
「飛行するドラゴンか。厄介だが、ここで倒しておかないと、負のマテリアルがさらに広がる恐れもあるな」
マクシミリアンの呟きに、同行していたハンターたちが一斉に攻撃態勢に入った。
クリムゾンウェストの死滅。
何がなんでも阻止しなければならない。
100年後、200年後の未来に生きる人々のためにも。
実際に生命力の減少等は反映されません。「未来にそういう結果になる可能性がある」とリプレイで表記される場合もあります。
●
王国歴1020年3月。
ハンター部隊「レクエスタ」が発足されて、一ヶ月が過ぎた。
グラウンド・ゼロ以北。
その部隊には、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)の姿もあった。
彼を知る者ならば、マクシミリアンがハンター以外の道を選ぶはずはないという意見もあった。
推薦もあり、マクシミリアンは「レクエスタ」の隊長として活動に参加することになった。
邪神がいなくなっても、クリムゾンウェストから脅威が消え去った訳ではない。
報告によれば、クリムゾンウェスト全体の6~7割にも及ぶ地表には、負のマテリアルが、未だ残っており、この環境を改善しなれば、将来的にはクリムゾンウェストが死滅するという予測もあった。
それを聞いて、黙っているハンターたちではない。
積極的に、ハンター部隊「レクエスタ」の活動に参加する者もいたのだ。
翌日。
レクエスタは、調査のため、さらに北を目指していた。
まずは拠点となるキャンプ・ベースを作るのも、今回の目的だった。
進むにつれ、霧が少しずつ出てくる。
同行していたハンターたちは、異変に気付いて足を止めた。
「……何か、いるな」
霧に紛れて、飛行するドラゴンが二匹、上空を旋回していた。
「雑魔にしては、大き過ぎる。独立した個体と想定した方が良さそうだな」
マクシミリアンが、愛用の刀を構えた。
上空から急降下してくるドラゴンたち。氷のブレスを吐いてきたが、ハンターたちは攻撃を受け流したり、回避していく。
「飛行するドラゴンか。厄介だが、ここで倒しておかないと、負のマテリアルがさらに広がる恐れもあるな」
マクシミリアンの呟きに、同行していたハンターたちが一斉に攻撃態勢に入った。
クリムゾンウェストの死滅。
何がなんでも阻止しなければならない。
100年後、200年後の未来に生きる人々のためにも。
リプレイ本文
先手を取ったのは、飛行するドラゴン二匹だった。
飛翔の翼で飛んでいたワイバーンに騎乗したGacrux(ka2726)は『ラストテリトリー』を発生させ、ドラゴンのブレスを光の障壁で受け止めると、敵の攻撃がGacruxに集中した。
激しい衝撃が迸る。
「くっ……ここで、やられる訳にはいきません」
仲間たちを身を挺して守るGacrux。騎乗する主を守るように、ワイバーンがバレルロールの飛行を続ける。
鞍馬 真(ka5819)は、飛行するワイバーンのカートゥルに騎乗していたが、Gacruxの守りもあり、ダメージを受けなかった。だが、Gacruxはかなりの攻撃を喰らい、傷だらけになっていた。
「がっくん!」
真は回復を優先して『再生の祈り』を発動させた。Gacruxと彼を乗せたワイバーンの傷が癒されていく。
地上にてペガサスのスーちゃんに騎乗した星野 ハナ(ka5852)が『五色光符陣』を展開させ、上空にいるドラゴンたちを巻き込むように符の結界による光で焼き、かなりのダメージを与えていた。
「そう簡単には落ちませんねぇ。ファンタジーだとドラゴンステーキは美味っていうじゃないですかぁ。ガルドブルムの尻尾肉齧った時は負マテにやられてお腹壊しましたけどぉ、あれは食べられると思いますぅ?」
美味しそうな食材を求めて、ハナは今回の依頼に参加したようだ。
「昔は竜殺しなんて、夢に見るような戦いだったんだがな!」
ジャック・エルギン(ka1522)はソウルエッジを纏わせた蒼機弓「サクラ」を構え、豪快矢「ダイナミック」を番えると『貫徹の矢』を放った。ドラゴン一体の胴部に命中しダメージを与え、矢が深く突き刺さっていた。
フィロ(ka6966)が搭乗するコンフェッサーが、バズーカ「ロウシュヴァウスト」を放ち、もう一体のドラゴンを狙い撃つ。
サイドワインダーで攻撃目標を定めたワイバーンの体勢を整えたGacruxは、飛行するドラゴン目掛けて、身捧の腕輪を発動体とした『ソウルエッジ』を纏った蒼機槍「ラナンキュラス」を振るい、ドラゴンの翼を狙って攻撃をしかけた。ダメージを与えることはできたが、ドラゴンは相変わらず翼を広げて飛行していた。
「ジャックさんが牽制してくれたドラゴンを狙ってみようか。龍退治だよ、カートゥル。腕が鳴るね」
真は自分の勘を信じて、飛翔の翼で飛行したカートゥルに騎乗し、『白龍の息吹』を解き放った。白龍にも似た虹色の翼が広がり、一直線上に光線が走った。攻撃を喰らったドラゴン二匹は行動混乱になり、互いに噛み付き合っていた。次第に霧も消えていき、視界も良くなってきた。
「真、助かるぜ」
ジャックは、バスタードソード「アニマ・リベラ」に『ソウルエッジ』を纏わせ、『バーストエンド』を放った。上空で互いに噛み付いているドラゴンたちは、ジャックの攻撃に巻き込まれ、多大なダメージを喰らっていた。その衝撃で、ドラゴン一体がバランスを崩して体勢を整えるのに失敗し、地面へと墜落。もう一体のドラゴンは正気を取り戻し、なんとか体勢を整えて飛行していた。
「地に落ちたドラゴンは、お任せください」
フィロの搭乗するコンフェッサーが、至近距離からの『マテリアルフィスト』を叩き込んだ。マテリアルを流し込む衝撃が凄まじく、ドラゴン一体はダメージに耐え切れず、粉々に砕け散り、消滅していった。
「消えちゃうなら、食べられませんねぇ。残念ですぅ」
と言いながらも、ハナはうれしそうに符を充填すると『黒曜封印符』で飛行しているドラゴンのブレスを封印することができた。封印を維持するため、その間は能動的な行動をとれない。
Gacruxが騎乗するワイバーンがサイドワインダーで急降下……Gacruxはソウルエッジの効果が続いた蒼機槍「ラナンキュラス」を構え『心の刃』で威圧すると、必殺剣『Nirvation Kreuz』を解き放った。強烈な閃光が放射され、空中にいるドラゴンを貫くと、その衝撃により光が飛び散るように破裂する。
「まだか。ならば」
サイドワインダーで急加速するカートゥル……騎乗していた真は、身捧の腕輪を発動体とした『蒼炎華』を魔導剣「カオスウィース」に纏わせ、『魔断』を繰り出した。その名のごとく、ドラゴンが貫かれていく。
Gacruxと真の連携攻撃により、空中にいたドラゴンは、塵となって消え去っていった。
●
「真くん、ありがとう」
Gacruxと彼が騎乗していたワイバーンは重傷だったが、真が『再生の祈り』を施すと、傷が癒えていく。
「こちらこそ。白龍の息吹がドラゴンに当たったのは、がっくんのおかげだよ」
真は、安堵して微笑む。
「結局、霧の正体は分かりませんでしたねぇ。念の為、皆さんにトリートメントしておきますぅ。スーちゃん、お願いしますねぇ」
ハナの指示で、ペガサスのスーちゃんが仲間たちに『トリートメント』を施した。霧によって視界が悪くなっていたことだけは分かったが、どんな不調になっていたのかまでは判明しなかった。
だが、トリートメントによって体調が良くなっていくことは感じ取られた。
●
フィロは、コンフェッサーから降りると、ジャックの元へと駆け寄り、救急セットを取りだした。
「ジャック様、軽い怪我のようですが、手当てします」
「ありがとな、フィロ」
フィロは丁寧にジャックの腕を手当てすると、包帯を巻いていた。
応急処置が終わると、フィロは周囲を見渡して、マクシミリアンに声をかけた。
「今回の探索行、ディエス様とラキ様は参加されていないのですか?」
「ディエスとラキは、別部隊で行動している。いずれ合流することになっている」
「そうでしたか。今後は人類領域を拡げるべく、この北征や南征がハンター活動の中心になるかと思いましたので、参加されているのではないかと思っていたのです」
その後、ハンターたちは、キャンプ・ベースを作るため、協力しながら行動することになった。
フィロはすぐさま、テントを立てる手伝いをしていた。
●
拠点となるキャンプ・ベースでは、順調に作業が進んでいた。
Gacruxは、レクエスタの隊員となり、今回の依頼に参加していた。
真と言えば、リアルブルーには戻らず、相変わらずクリムゾンウェストでハンターとして活動していた。
(転移前の記憶か……それを思い出すよりも、クリムゾンウェストの未来を繋いでいきたい)
そう思った真は、レクエスタの活動に協力しようと参加していたのだが、偶然にも、友人のGacruxと再会したのだ。
「がっくん、レクエスタの隊員になったんだね。私は浄化術を身に付けて、レクエスタの活動に協力していくつもりだよ」
真の言葉に、Gacruxはうれしそうに微笑む。
「それは、助かります。浄化術が使えるハンターは貴重ですからね。この大地を浄化していくのも、レクエスタの活動の一環ですから」
Gacruxのワイバーンは、ハンターたちが拾い集めた石を纏めて背に乗せて、運んでいた。
その頃。
ジャックは、マクシミリアンと一緒にテントを組み立てていた。
「依頼に参加するのは久し振りだぜ」
「そうか。最近、あまり見かけないと思っていたが」
「ん? ああ、依頼を受けることが減った代わりに鍛冶の修行をしてる。長いこと家業を放ったらかしにしてたからな。親父にしごかれてるぜ」
想像したのか、マクシミリアンが微かに笑っていた。
「ジャック、これからどうするつもりだ?」
マクシミリアンの問いに、ジャックが応えた。
「グラウンド・ゼロ掃討作戦に目途がついたら、俺は剣を置くつもりだ。……俺は、自分の力を試すためにハンターになった。んで、世界には俺より凄えヤツがごまんといるが、俺もまあ捨てたモンじゃないって分かった。要は満足したってことさ。だからこれ以上、強くはなれねえだろう」
「やけに現実的だな。そういう生き方もあるか」
「これから世界も、同盟も大きく変わってくだろうからな。同盟を今よりもっと良い場所にしていくために、頑張ってみるさ。……マクシミリアン・ヴァイス、アンタから見て俺は強かったかい?」
「……強いと言えば強いが、それ以上にお前は優し過ぎるからな」
「はあ? んなこた、言われるとは思わなかったな」
ジャックが目を丸くして、思わず照れ笑いを浮かべていた。
●
ティピーという辺境のテントを立てたハナは、内部で料理を作っていた。
自前の鉄人の鍋を持ち込み、大包丁で食材を手際よく切っていく。ティピーのテント内では、火を炊くことが可能なのだ。
「フフーン♪ どんな場所にいても、食べることは基本ですぅ」
仲間にも食べてもらおうと、ハナは張り切っていた。
「私はこのままクリムゾンウェストでハンターしますからぁ、人間領域が広がるお手伝いしつつ依頼受けつついろんな食材チャレンジしつつ歪虚ブッコロですねぇ。死にたて歪虚の狸汁が食べたいなんて依頼も昔ありましたしぃ、どの程度の歪虚なら食べられるかは確かめる必要がある気がしますぅ」
そして、料理が出来上がった。
「皆さーん、休憩の時間ですよぉ。干し肉と乾燥野菜のスープ、黒パンは一つずつになりますぅ」
ハナの呼びかけで、Gacruxと真がやってきた。
「ハナさん、ありがとうございます」
Gacruxは2人分の料理を受け取ると、真と分け合って食べることにした。
「私の分まで?」
「遠慮せず、頂きましょう」
Gacruxに促されて、真はスープの入った皿と黒パンを受け取り、二人並んで座ることにした。
「美味しい。身体が温まるね」
スープを含み、飲み込むと、Gacruxが呟いた。
「古代遺跡の文明が残っているなら、歴史調査も行いたいですね」
「この辺りでは見かけなかったから、別の場所にある可能性もあるかな。マクシミリアン隊長にも、そのこと、話してみようよ」
真はそう告げた後、遠慮がちに話し続けた。
「色々、自分の未来を考えてみて。結局、私はハンターとしてしか生きられないなって思ったよ。それ以外の生き方は知らないし、今更知ろうとも思わない。そんな暇があったら、その分働いた方が世界の役に立つかなって」
「真くんらしいですね。ですが、働き過ぎて、無茶だけはしないでください」
Gacruxの穏やかな声に、真は静かに頷いた。
邪神を倒したとは言え、あまりにも犠牲が多過ぎた。
これからも、その責務を担っていくことが多くの命への弔いになればと信じて。
そう願い、真は、自分の信じる道を選んだのだ。
●
フィロは、ジャックとマクシミリアンに、ハナが作った料理を配膳していた。
「マクシミリアン様、今後のハンター業務は、北征や南征メインでしょうか。それに対応するハンターの育成が今後重要になるのではないかと考えます」
「確かに、そうだな」
「私は王国の聖導士学校の寮母に就職しましたので、子供達が北征や南征に参加する際、どのような技能が必要かどのような注意点があるを教えなければなりません。ゆえに今後も年に1度は北征や南征に参加して情報を上書きし、子供達にその地で必要とされるスキルや生存方法を教える予定です。高校最終学年生徒にはグラウンド・ゼロでの雑魔討伐訓練が予定されておりますので、その時1人の脱落者もなく訓練を終えられるようしっかり教育せねばなりません」
「これからは、若い人材も必要になってくるからな。フィロのしたいようにすればいい。ただし、必ず行動する前に報告してくれ。実際、報告が遅れて、足並みが揃わないこともあったからな」
多くのハンターたちを指揮していく上で、マクシミリアンは少しずつ隊長としての自覚が芽生え始めていた。
「かしこまりました。適性があるとはいえ、子供達をここまで連れてこれません。当面はグラウンド・ゼロ辺縁での訓練になると思います。ディエス様も聖導士ですから、お話が合うかと思ったのです」
フィロの指摘に、マクシミリアンが応えた。
「ディエスには、主に浄化作業を行ってもらうつもりでいる。今は、浄化術を修得するために訓練中だが、ラキがサポートしているから、すぐに追いつくだろう」
●
夕方。
Gacruxは一人、空を見上げていた。
(いつか、クリュティエに会う時には、農作物を運んでこよう)
そのためにも、この大地を生き返らせねばならない。
今はまだ、浄化作業は始まったばかりだ。いつ、この地に植物が芽生えるのか、分からなかった。
それでも、Gacruxは大切な人のため、これからも支援をしていくつもりでいた。
(正マテリアルも必要だろう。支援のための金は俺の懐から出せばいい。
働かないとな…。まぁ、喜んでくれるならそれも悪くはないさ)
先の見えない未来でも、Gacruxには、心の目当てになる人がいたのだ。
●
夜。
フィロは灯火の水晶球を灯にして、テント周辺を巡回していた。
いつ、雑魔が出没するのか分からなかったこともあり、警護をしていたのだ。
ジャックはテント内部にて、ロウソクの火を頼りに、手紙を書いていた。
ああでもない、こうでもない、と何度も書き直してから、寝ているマクシミリアンの枕元に、そっと手紙を置いていた。
●
翌朝。
「皆さん、朝ですよぉ。朝食ができましたぁ。元気モリモリ、食べてくださいねぇ」
ハナは早起きして、朝食を作っていた。
「スープスパゲッティ、ミックスベリーとナッツですぅ」
「おはよう、ハナさん、ありがとう」
真は、昨日の礼としてGacruxの分も分けてもらうことにした。
しばらくすると、マクシミリアンが姿を現した。
「皆、調子は良さそうだな」
「隊長、おはよう。今後もレクエスタの活動には積極的に参加するつもりでいるよ。よろしく」
真がそう告げると、マクシミリアンが頷いた。
「こちらこそ、よろしく頼む」
と、何やら周囲を見渡していた。ジャックがミックスベリーを食べていると、マクシミリアンが声をかけてきた。
「あの手紙、ジャックか?」
「すまねえ。直接、言おうかとも思ったんだが、いざとなると、上手く言えなくてな」
「……やっぱり、お前は優し過ぎるな」
「また、それを言うのかよ」
「まあ、俺からの返事は、了解と言ったところだ」
「了解って、他に言い方があると思うけどな」
ジャックの突っ込みに、マクシミリアンは両腕を組んで考え込んでいた。
「……。……ジャックの親友となると、何人か思い浮かぶが……誰のことだ?」
「あのなー。マジかよ。鈍いな。それとも、わざと知らない振り、してるのか?」
ジャックが軽口を言うが、マクシミリアンは本当に分からないという表情をしていた。
手紙には、こう記されていた。
『マクシミリアン、俺の親友をよろしく頼むぜ。
余計なお世話って言われそうだが、良いヤツだから気にかけたくてな。』
飛翔の翼で飛んでいたワイバーンに騎乗したGacrux(ka2726)は『ラストテリトリー』を発生させ、ドラゴンのブレスを光の障壁で受け止めると、敵の攻撃がGacruxに集中した。
激しい衝撃が迸る。
「くっ……ここで、やられる訳にはいきません」
仲間たちを身を挺して守るGacrux。騎乗する主を守るように、ワイバーンがバレルロールの飛行を続ける。
鞍馬 真(ka5819)は、飛行するワイバーンのカートゥルに騎乗していたが、Gacruxの守りもあり、ダメージを受けなかった。だが、Gacruxはかなりの攻撃を喰らい、傷だらけになっていた。
「がっくん!」
真は回復を優先して『再生の祈り』を発動させた。Gacruxと彼を乗せたワイバーンの傷が癒されていく。
地上にてペガサスのスーちゃんに騎乗した星野 ハナ(ka5852)が『五色光符陣』を展開させ、上空にいるドラゴンたちを巻き込むように符の結界による光で焼き、かなりのダメージを与えていた。
「そう簡単には落ちませんねぇ。ファンタジーだとドラゴンステーキは美味っていうじゃないですかぁ。ガルドブルムの尻尾肉齧った時は負マテにやられてお腹壊しましたけどぉ、あれは食べられると思いますぅ?」
美味しそうな食材を求めて、ハナは今回の依頼に参加したようだ。
「昔は竜殺しなんて、夢に見るような戦いだったんだがな!」
ジャック・エルギン(ka1522)はソウルエッジを纏わせた蒼機弓「サクラ」を構え、豪快矢「ダイナミック」を番えると『貫徹の矢』を放った。ドラゴン一体の胴部に命中しダメージを与え、矢が深く突き刺さっていた。
フィロ(ka6966)が搭乗するコンフェッサーが、バズーカ「ロウシュヴァウスト」を放ち、もう一体のドラゴンを狙い撃つ。
サイドワインダーで攻撃目標を定めたワイバーンの体勢を整えたGacruxは、飛行するドラゴン目掛けて、身捧の腕輪を発動体とした『ソウルエッジ』を纏った蒼機槍「ラナンキュラス」を振るい、ドラゴンの翼を狙って攻撃をしかけた。ダメージを与えることはできたが、ドラゴンは相変わらず翼を広げて飛行していた。
「ジャックさんが牽制してくれたドラゴンを狙ってみようか。龍退治だよ、カートゥル。腕が鳴るね」
真は自分の勘を信じて、飛翔の翼で飛行したカートゥルに騎乗し、『白龍の息吹』を解き放った。白龍にも似た虹色の翼が広がり、一直線上に光線が走った。攻撃を喰らったドラゴン二匹は行動混乱になり、互いに噛み付き合っていた。次第に霧も消えていき、視界も良くなってきた。
「真、助かるぜ」
ジャックは、バスタードソード「アニマ・リベラ」に『ソウルエッジ』を纏わせ、『バーストエンド』を放った。上空で互いに噛み付いているドラゴンたちは、ジャックの攻撃に巻き込まれ、多大なダメージを喰らっていた。その衝撃で、ドラゴン一体がバランスを崩して体勢を整えるのに失敗し、地面へと墜落。もう一体のドラゴンは正気を取り戻し、なんとか体勢を整えて飛行していた。
「地に落ちたドラゴンは、お任せください」
フィロの搭乗するコンフェッサーが、至近距離からの『マテリアルフィスト』を叩き込んだ。マテリアルを流し込む衝撃が凄まじく、ドラゴン一体はダメージに耐え切れず、粉々に砕け散り、消滅していった。
「消えちゃうなら、食べられませんねぇ。残念ですぅ」
と言いながらも、ハナはうれしそうに符を充填すると『黒曜封印符』で飛行しているドラゴンのブレスを封印することができた。封印を維持するため、その間は能動的な行動をとれない。
Gacruxが騎乗するワイバーンがサイドワインダーで急降下……Gacruxはソウルエッジの効果が続いた蒼機槍「ラナンキュラス」を構え『心の刃』で威圧すると、必殺剣『Nirvation Kreuz』を解き放った。強烈な閃光が放射され、空中にいるドラゴンを貫くと、その衝撃により光が飛び散るように破裂する。
「まだか。ならば」
サイドワインダーで急加速するカートゥル……騎乗していた真は、身捧の腕輪を発動体とした『蒼炎華』を魔導剣「カオスウィース」に纏わせ、『魔断』を繰り出した。その名のごとく、ドラゴンが貫かれていく。
Gacruxと真の連携攻撃により、空中にいたドラゴンは、塵となって消え去っていった。
●
「真くん、ありがとう」
Gacruxと彼が騎乗していたワイバーンは重傷だったが、真が『再生の祈り』を施すと、傷が癒えていく。
「こちらこそ。白龍の息吹がドラゴンに当たったのは、がっくんのおかげだよ」
真は、安堵して微笑む。
「結局、霧の正体は分かりませんでしたねぇ。念の為、皆さんにトリートメントしておきますぅ。スーちゃん、お願いしますねぇ」
ハナの指示で、ペガサスのスーちゃんが仲間たちに『トリートメント』を施した。霧によって視界が悪くなっていたことだけは分かったが、どんな不調になっていたのかまでは判明しなかった。
だが、トリートメントによって体調が良くなっていくことは感じ取られた。
●
フィロは、コンフェッサーから降りると、ジャックの元へと駆け寄り、救急セットを取りだした。
「ジャック様、軽い怪我のようですが、手当てします」
「ありがとな、フィロ」
フィロは丁寧にジャックの腕を手当てすると、包帯を巻いていた。
応急処置が終わると、フィロは周囲を見渡して、マクシミリアンに声をかけた。
「今回の探索行、ディエス様とラキ様は参加されていないのですか?」
「ディエスとラキは、別部隊で行動している。いずれ合流することになっている」
「そうでしたか。今後は人類領域を拡げるべく、この北征や南征がハンター活動の中心になるかと思いましたので、参加されているのではないかと思っていたのです」
その後、ハンターたちは、キャンプ・ベースを作るため、協力しながら行動することになった。
フィロはすぐさま、テントを立てる手伝いをしていた。
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拠点となるキャンプ・ベースでは、順調に作業が進んでいた。
Gacruxは、レクエスタの隊員となり、今回の依頼に参加していた。
真と言えば、リアルブルーには戻らず、相変わらずクリムゾンウェストでハンターとして活動していた。
(転移前の記憶か……それを思い出すよりも、クリムゾンウェストの未来を繋いでいきたい)
そう思った真は、レクエスタの活動に協力しようと参加していたのだが、偶然にも、友人のGacruxと再会したのだ。
「がっくん、レクエスタの隊員になったんだね。私は浄化術を身に付けて、レクエスタの活動に協力していくつもりだよ」
真の言葉に、Gacruxはうれしそうに微笑む。
「それは、助かります。浄化術が使えるハンターは貴重ですからね。この大地を浄化していくのも、レクエスタの活動の一環ですから」
Gacruxのワイバーンは、ハンターたちが拾い集めた石を纏めて背に乗せて、運んでいた。
その頃。
ジャックは、マクシミリアンと一緒にテントを組み立てていた。
「依頼に参加するのは久し振りだぜ」
「そうか。最近、あまり見かけないと思っていたが」
「ん? ああ、依頼を受けることが減った代わりに鍛冶の修行をしてる。長いこと家業を放ったらかしにしてたからな。親父にしごかれてるぜ」
想像したのか、マクシミリアンが微かに笑っていた。
「ジャック、これからどうするつもりだ?」
マクシミリアンの問いに、ジャックが応えた。
「グラウンド・ゼロ掃討作戦に目途がついたら、俺は剣を置くつもりだ。……俺は、自分の力を試すためにハンターになった。んで、世界には俺より凄えヤツがごまんといるが、俺もまあ捨てたモンじゃないって分かった。要は満足したってことさ。だからこれ以上、強くはなれねえだろう」
「やけに現実的だな。そういう生き方もあるか」
「これから世界も、同盟も大きく変わってくだろうからな。同盟を今よりもっと良い場所にしていくために、頑張ってみるさ。……マクシミリアン・ヴァイス、アンタから見て俺は強かったかい?」
「……強いと言えば強いが、それ以上にお前は優し過ぎるからな」
「はあ? んなこた、言われるとは思わなかったな」
ジャックが目を丸くして、思わず照れ笑いを浮かべていた。
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ティピーという辺境のテントを立てたハナは、内部で料理を作っていた。
自前の鉄人の鍋を持ち込み、大包丁で食材を手際よく切っていく。ティピーのテント内では、火を炊くことが可能なのだ。
「フフーン♪ どんな場所にいても、食べることは基本ですぅ」
仲間にも食べてもらおうと、ハナは張り切っていた。
「私はこのままクリムゾンウェストでハンターしますからぁ、人間領域が広がるお手伝いしつつ依頼受けつついろんな食材チャレンジしつつ歪虚ブッコロですねぇ。死にたて歪虚の狸汁が食べたいなんて依頼も昔ありましたしぃ、どの程度の歪虚なら食べられるかは確かめる必要がある気がしますぅ」
そして、料理が出来上がった。
「皆さーん、休憩の時間ですよぉ。干し肉と乾燥野菜のスープ、黒パンは一つずつになりますぅ」
ハナの呼びかけで、Gacruxと真がやってきた。
「ハナさん、ありがとうございます」
Gacruxは2人分の料理を受け取ると、真と分け合って食べることにした。
「私の分まで?」
「遠慮せず、頂きましょう」
Gacruxに促されて、真はスープの入った皿と黒パンを受け取り、二人並んで座ることにした。
「美味しい。身体が温まるね」
スープを含み、飲み込むと、Gacruxが呟いた。
「古代遺跡の文明が残っているなら、歴史調査も行いたいですね」
「この辺りでは見かけなかったから、別の場所にある可能性もあるかな。マクシミリアン隊長にも、そのこと、話してみようよ」
真はそう告げた後、遠慮がちに話し続けた。
「色々、自分の未来を考えてみて。結局、私はハンターとしてしか生きられないなって思ったよ。それ以外の生き方は知らないし、今更知ろうとも思わない。そんな暇があったら、その分働いた方が世界の役に立つかなって」
「真くんらしいですね。ですが、働き過ぎて、無茶だけはしないでください」
Gacruxの穏やかな声に、真は静かに頷いた。
邪神を倒したとは言え、あまりにも犠牲が多過ぎた。
これからも、その責務を担っていくことが多くの命への弔いになればと信じて。
そう願い、真は、自分の信じる道を選んだのだ。
●
フィロは、ジャックとマクシミリアンに、ハナが作った料理を配膳していた。
「マクシミリアン様、今後のハンター業務は、北征や南征メインでしょうか。それに対応するハンターの育成が今後重要になるのではないかと考えます」
「確かに、そうだな」
「私は王国の聖導士学校の寮母に就職しましたので、子供達が北征や南征に参加する際、どのような技能が必要かどのような注意点があるを教えなければなりません。ゆえに今後も年に1度は北征や南征に参加して情報を上書きし、子供達にその地で必要とされるスキルや生存方法を教える予定です。高校最終学年生徒にはグラウンド・ゼロでの雑魔討伐訓練が予定されておりますので、その時1人の脱落者もなく訓練を終えられるようしっかり教育せねばなりません」
「これからは、若い人材も必要になってくるからな。フィロのしたいようにすればいい。ただし、必ず行動する前に報告してくれ。実際、報告が遅れて、足並みが揃わないこともあったからな」
多くのハンターたちを指揮していく上で、マクシミリアンは少しずつ隊長としての自覚が芽生え始めていた。
「かしこまりました。適性があるとはいえ、子供達をここまで連れてこれません。当面はグラウンド・ゼロ辺縁での訓練になると思います。ディエス様も聖導士ですから、お話が合うかと思ったのです」
フィロの指摘に、マクシミリアンが応えた。
「ディエスには、主に浄化作業を行ってもらうつもりでいる。今は、浄化術を修得するために訓練中だが、ラキがサポートしているから、すぐに追いつくだろう」
●
夕方。
Gacruxは一人、空を見上げていた。
(いつか、クリュティエに会う時には、農作物を運んでこよう)
そのためにも、この大地を生き返らせねばならない。
今はまだ、浄化作業は始まったばかりだ。いつ、この地に植物が芽生えるのか、分からなかった。
それでも、Gacruxは大切な人のため、これからも支援をしていくつもりでいた。
(正マテリアルも必要だろう。支援のための金は俺の懐から出せばいい。
働かないとな…。まぁ、喜んでくれるならそれも悪くはないさ)
先の見えない未来でも、Gacruxには、心の目当てになる人がいたのだ。
●
夜。
フィロは灯火の水晶球を灯にして、テント周辺を巡回していた。
いつ、雑魔が出没するのか分からなかったこともあり、警護をしていたのだ。
ジャックはテント内部にて、ロウソクの火を頼りに、手紙を書いていた。
ああでもない、こうでもない、と何度も書き直してから、寝ているマクシミリアンの枕元に、そっと手紙を置いていた。
●
翌朝。
「皆さん、朝ですよぉ。朝食ができましたぁ。元気モリモリ、食べてくださいねぇ」
ハナは早起きして、朝食を作っていた。
「スープスパゲッティ、ミックスベリーとナッツですぅ」
「おはよう、ハナさん、ありがとう」
真は、昨日の礼としてGacruxの分も分けてもらうことにした。
しばらくすると、マクシミリアンが姿を現した。
「皆、調子は良さそうだな」
「隊長、おはよう。今後もレクエスタの活動には積極的に参加するつもりでいるよ。よろしく」
真がそう告げると、マクシミリアンが頷いた。
「こちらこそ、よろしく頼む」
と、何やら周囲を見渡していた。ジャックがミックスベリーを食べていると、マクシミリアンが声をかけてきた。
「あの手紙、ジャックか?」
「すまねえ。直接、言おうかとも思ったんだが、いざとなると、上手く言えなくてな」
「……やっぱり、お前は優し過ぎるな」
「また、それを言うのかよ」
「まあ、俺からの返事は、了解と言ったところだ」
「了解って、他に言い方があると思うけどな」
ジャックの突っ込みに、マクシミリアンは両腕を組んで考え込んでいた。
「……。……ジャックの親友となると、何人か思い浮かぶが……誰のことだ?」
「あのなー。マジかよ。鈍いな。それとも、わざと知らない振り、してるのか?」
ジャックが軽口を言うが、マクシミリアンは本当に分からないという表情をしていた。
手紙には、こう記されていた。
『マクシミリアン、俺の親友をよろしく頼むぜ。
余計なお世話って言われそうだが、良いヤツだから気にかけたくてな。』
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相談卓 ジャック・エルギン(ka1522) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/09/23 17:30:05 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/09/21 00:18:30 |