ゲスト
(ka0000)
ネレイド族のこれから
マスター:とりる

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~25人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/11/08 09:00
- 完成日
- 2019/11/22 06:13
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
ネレイド村、族長の家にて――。
二人の少女が並んで腰かけて、お話をしていた。
「ねえヴァイン、終わったね」
「終わりましたね」
「私達、何かできたかな?」
「牙城・焔(kz0191)の討伐支援くらいですかね」
「そうだよね……戦いは続くかな?」
「人類同士の争いは続くと思います。リアルブルーの歴史を見るに……」
ここでミサキは黙る。
「……ともあれ、未来は繋がりました」
「そうだよね!」
ここでミサキの表情がパッと明るくなる。
「あとは私達次第です。ネレイド族の出生率も上がってきていますし、定住してくれる方もチラホラと」
「うん、色々あったけど……大きな、とてもとても大きな戦いは終わった。……ネレイド族の再建はこれからだよね!」
「そうです、その通りです。族長。ミサキ様」
「それじゃあ――ハンターさん達を呼ぼう! そして色んな話をするんだ、これまでのこと、これからのこと、たくさん!」
「良いと思いますよ、ミサキ様」
はしゃぐミサキの様子に、満面の笑みを浮かべるヴァイン。これはとても珍しいことだった。
ヴァインは基本的にクールを装い、族長の補佐に尽力していたのだから。
しかし。今は良いだろう、と本人も思った様子。
邪神を討伐し、一先ず世界が平定されたとは言え……ネレイド族再建の道は険しいだろう。
その負担が目の前で謎の踊りをしている少女――ミサキの重荷になり過ぎないよう、近衛隊が支えていくのだ。
「今回は私が直接ノアーラ・クンタウのHSへ依頼をしに行こうかな。ヴァインは留守を頼むね」
「わかりました。護衛は……必要なさそうですね。お気をつけて」
こうしてミサキ達ネレイド族と、ハンター達との語らいの時間が始まるのだった。
二人の少女が並んで腰かけて、お話をしていた。
「ねえヴァイン、終わったね」
「終わりましたね」
「私達、何かできたかな?」
「牙城・焔(kz0191)の討伐支援くらいですかね」
「そうだよね……戦いは続くかな?」
「人類同士の争いは続くと思います。リアルブルーの歴史を見るに……」
ここでミサキは黙る。
「……ともあれ、未来は繋がりました」
「そうだよね!」
ここでミサキの表情がパッと明るくなる。
「あとは私達次第です。ネレイド族の出生率も上がってきていますし、定住してくれる方もチラホラと」
「うん、色々あったけど……大きな、とてもとても大きな戦いは終わった。……ネレイド族の再建はこれからだよね!」
「そうです、その通りです。族長。ミサキ様」
「それじゃあ――ハンターさん達を呼ぼう! そして色んな話をするんだ、これまでのこと、これからのこと、たくさん!」
「良いと思いますよ、ミサキ様」
はしゃぐミサキの様子に、満面の笑みを浮かべるヴァイン。これはとても珍しいことだった。
ヴァインは基本的にクールを装い、族長の補佐に尽力していたのだから。
しかし。今は良いだろう、と本人も思った様子。
邪神を討伐し、一先ず世界が平定されたとは言え……ネレイド族再建の道は険しいだろう。
その負担が目の前で謎の踊りをしている少女――ミサキの重荷になり過ぎないよう、近衛隊が支えていくのだ。
「今回は私が直接ノアーラ・クンタウのHSへ依頼をしに行こうかな。ヴァインは留守を頼むね」
「わかりました。護衛は……必要なさそうですね。お気をつけて」
こうしてミサキ達ネレイド族と、ハンター達との語らいの時間が始まるのだった。
リプレイ本文
●
邪神討伐後のネレイド村――。
ネレイド族・族長のミサキ・ネレイド(kz0079)はハンター達と『おはなし』をすることにした……。
●
夕焼け空。あと一時間もすれば日も暮れそうな時間に、族長の家をネフィリア・レインフォード(ka0444)が訪れた。
「やっほーミサキちゃん、遊びに来たのだー!」
「やっほーネフィちゃん、いらっしゃい。遅かったね」
「ん、ミサキちゃんは人気者だから昼間は他の人に誘われてるかと思ってこの時間にしたのだ」
「あははー、そんなことないよー。日中は族長の仕事をしてたし」
ミサキは照れ臭そうに頬をぽりぽりとかいた。
「それで、どこへ行こうか? 今の時間なら丘とか? ……あ、もしかしてネフィちゃん夕陽も目当てでこの時間に?」
「当たり―。そうなのだー!」
「なかなかの目の付け所だねぇ。それじゃ、急ごう! 早くしないと日が暮れちゃうよ」
そうしてミサキはネフィの手をぎゅっと握って引き、家の外へと連れ出し『村や海を一望出来る小高い丘』へと向かった。
夕陽を見逃すまいと、二人は仲良くおててを繋いで急ぎ小高い丘へやって来た。
二人は草むらに腰を下ろし、絶景の夕陽を眺めながらお話をする。
「相変わらず綺麗だな~。……そういえばネフィちゃんとはこうやって何度も遊んでるけど、初めて会ったのっていつだっけ」
ミサキはネフィの横顔を見つめて、尋ねる。ネフィは少しだけ考えたあと、
「たぶんミサキちゃんが初めて人魚化したときじゃないかと思うのだー。僕も何度も遊んだり、お風呂に入ったりしてるからちゃんとは覚えてないけど」
それを聞いたミサキは感慨深そうにうんうんと頷く。
「あー、あのときかー。随分前だね。……牙城・焔……本当に強敵だった……」
「うん。でも人魚化したミサキちゃんはすごくカッコイイのだ。焔のことも追い払ったし」
「えへへ、ありがと。でもあのときはハンターさんの力もあったから」
霊闘士の奥義……この力を使う機会も減るだろうね。と、ミサキは続ける。
「さて……そろそろ暗くなって来たね。ご飯にする? お風呂にする?」
「お風呂ー♪」
というわけで二人はまた仲良く手を繋いで銭湯へ。
脱衣場で衣服を脱ぎ、水着に着替えてから二人はガラガラと戸を開けてお風呂場に足を踏み入れる。
ネフィは布面積の少ない白ビキニ姿。ミサキは濃紺のスクール水着姿である。
二人は互いの身体をお湯で流してから、湯船に肩までちゃぽんと浸かる。
「ふあ~生き返るのだ~♪」
「最近冷えてきたからね。寒い時期のお風呂は格別だよね♪」
ゆったりと熱めのお湯に浸かって二人は少し冷えた身体を温める……。
しばらくして。
「ねえミサキちゃん、マッサージしてあげようか?」
「マッサージ? ネフィちゃん出来るの?」
「ふふー♪ お姉ちゃん直伝のマッサージをしてあげるのだ♪ きっと気持ちいいよー♪」
「んー、それじゃお願いしようかな。族長の書類仕事でずっと座ってると身体が凝っちゃって」
「そこにうつ伏せに横になってねー♪」
二人は湯船から上がり、風呂場の床にバスタオルを敷いて、ネフィはミサキに横になるよう促す。
ミサキは言われるままうつ伏せで横になった。
「これでいい?」
「いいよー。じゃあ始めるのだー♪ ふふー♪」
ミサキからは見えないが、ネフィは両手をワキワキさせ、顔にはニヤリとした笑みを浮かべていた。
ぎゅむぎゅむ(謎の効果音)。
「い、痛いよネフィちゃん……!」
「痛いのはねー、効いてるってことだよー♪ ここはどうかなー?」
「あ、そこは……! ~~!?」
こうして夜は更けて行く……。
……一夜明けて、翌日。ネフィはあの後、ミサキと一緒に海鮮居酒屋で夕飯を食べて、近くの宿に泊まる予定だったが。
せっかくなのでミサキが自分の家、族長宅に誘った。そして一晩中語り明かし……てはおらず、二人ともすぐにぐっすり夢の中。
今は村の入り口にて、ミサキがネフィをお見送り。
「色々とあったけど無事に終ってよかったのだ♪ これからも遊びに来てもいいかな? かな?」
「一応平和になったから、これからはいつでも遊びに来て♪ 今度はお姉さんや妹さんも一緒に。もう少しゆっくり」
「わかったのだー。ありがとうなのだー!」
そこでミサキはネフィに向かって手を差し出す。ネフィはミサキの意図を察して、その手をぎゅっと握る。
仲良く握手。二人はにっこり笑い合う。
「それじゃあネフィちゃん、待ってるね」
「うん、またすぐに来るのだー♪」
歪虚との戦いや、交流を経て、硬い絆で結ばれた二人はもう親友同士と言っても良いだろう。
二人の友情はこれからもずっと、続いていく……。
●
エルバッハ・リオン(ka2434)は牙城・焔一派との決戦の地――戦場跡を見にやって来ていた。
そこは元々だだっ広い草原であったが、激戦を物語るかのように今は荒野と化している……。
地面のあちらこちらに戦闘の痕跡が残り、最期に焔が爆散した場所は一際地面が深く抉れていた……。
元々何もない場所であり、要衝というわけでも無いため放置されたままである。
そこはある意味、牙城・焔やその部下達の墓標のようにも思えた……。
エルバッハがこの場所を訪れたのは……彼女――焔とは特に因縁があった訳ではないが、最後の戦いに参加した身として何となく跡を見たくなったのが行動の理由である。
だが焔やその部下の墓を作ろうとか、手向けを送るといったことをするつもりはエルバッハには微塵も無かった。
「私と彼女の関係は、因縁もないただの敵でしかないですからね。そんなことをする気にはならないですし、彼女もして欲しくもないでしょう」
歪虚が倒され、無に返った後に、その魂がどこへ逝くのかは分からないが……元の正しい輪廻に戻っていれば幸いであろう。その先で焔は何を思っているのか――。
まあ……ともかく、複数の世界の命運をかけた最大の戦い、邪神を討ち滅ぼし、世界が平定された後に、こういった各地の激戦の跡地を見て回るのもまた良し……なのかもしれない。
しばし荒野にて黄昏た後に、エルバッハはネレイド村へと向かった。
ネレイド村に到着したエルバッハはまず、一応族長のミサキに挨拶した後、海鮮居酒屋で食事を摂り、それから一番の目的である銭湯へ。
混浴であるこの銭湯では水着の着用が義務付けられているため(※もちろん脱衣場は男女別)、エルバッハも例外なく水着に着替えてから風呂場へ移動。
洗い場で身体を流し、足先から湯船に浸かる。……ちなみにエルバッハが着ている水着はかなり露出度が高いタイプ。
大胆にも艶めく白磁の肌を晒している……その肢体は細身ながらも出るところ出ており、女性らしい身体つきをしていた。
当然ながらものすごく目立つので周りはほとんど女性客だったにも関わらず、(羨望の)視線を集める。
「守護者になったということもあって、最近は自重していましたしね」
お湯と共にたくさんの視線を浴びて、二つの意味で気持ち良さそうなエルバッハであった。
…………十分に大きなお風呂のお湯と、大衆の視線がある場所で自分の肉体美を披露出来たエルバッハは良い気分で宿にチェックインし、ふかふかのお布団で熟睡したそうな。
●
鳳凰院ひりょ(ka3744)は以前『ネレイド村の海祭り』の際に悩み事を聞いてもらったアリサへ礼を言いたいということでネレイド村を訪れた。
ちなみにアリサとは族長であるミサキを守る近衛隊の一人、アリサ・ネレイドのことである。
(随分前の事だが、覚えているだろうか……?)
――と、若干の不安を覚えつつも、ひりょはアリサが居るであろう族長の家へ向かった。
…………ひりょが族長の家を訪ねると、応対に出たのは近衛隊隊長・族長補佐のヴァイン・ネレイドだった。
彼がアリサに会いたいという旨を伝えると、「少しお待ちくださいね」と奥に下がった後に、アリサが顔を見せた。
「おや、ひりょお兄さんじゃないですか。お久しぶりですね」
にこにこしながらアリサは目の前まで歩いてくる。どうやら覚えてくれていたようだ。ひりょはホッと一安心。
「あの、少し話があるんだけど、時間あるかな?」
「う~ん、一応お仕事の最中なんですけど……ミサキ様~! ハンターさんに呼ばれたので少し出てきていいですか~?」
と、家の中へ向けて大声を出した。すると速攻で「いいよ~!」との返事。
「OKみたいです。じゃあまたあの丘にでも行きますか!」
元気ににっこりと笑って言うアリサ。変わってないな……とひりょは微笑。
それと族長のミサキもすぐに了承してくれるとは心の広い族長なのだな、とも思う。
そして二人は雑談しながらネレイド村の観光スポットの一つ『村や海を一望出来る小高い丘』へ向かった。
丘の上にやって来た二人――。
「すぅ~はぁ~。相変わらずここは気持ちいいですねー。時期的にちょっと風が冷たいですけど」
そういえばアリサの服は冬服になっていた。ネレイド族の冬服はなかなか良いデザインだと思う。
…………夏服は正直、目のやり場に困るが…………。
「お話があるんでしたっけ? なんです?」
アリサは草むらに腰を下ろして、訪ねてきた。ひりょもそれに倣い、座ってから口を開く。
「ええと……前、この村に来たとき相談に乗って貰ったじゃないか?」
そう言ってひりょは話し始める。
「支えになってあげたい子をどう支えてあげればいいのか……迷っていた頃、ふと、このネレイド村に立ち寄ったんだけどさ、その際にアリサに話を聞いて貰った」
ひりょはアリサの隣に座り、アリサへの感謝の思いを伝える。
「そしてその後、俺はその子の支えに何とかなる事が出来たんだ。邪神戦争が終わった今は、ハンター家業をやめてその子を公私共に支え生涯共に歩む……と、覚悟を決めた所だ」
そのように続けるひりょ。言葉の通り、彼は覚悟を決めた男の顔だった。
「あの時、苦しい状況から逃げずに覚悟を決める事が出来たのはアリサのおかげでもある。本当に感謝だ。……その事がどうしても伝えたかったんだ」
伝え終えて、ひりょはアリサのほうを見る。
「…………ああ、ええと、はい。お役に立てたのなら何よりです。……あああ! なんでこんなことしか言えないのあたし!」
アリサはぺちんを両手で両頬を叩く。
「あたしっておっちょこちょいだから、人にここまで感謝されたことなくて……正直戸惑っています……すみません……」
もじもじとするアリサ。その反応は普通の女の子と言った感じで可愛いな、とひりょは微苦笑。
「まあとにかく、俺にとってはすごく助かった、ってことだよ。ありがとね」
「えへへ、そこまで直接的にお礼を言われると照れますね」
二人は見つめ合い、笑い合った。
そのあとひりょはせっかくなので銭湯へ。アリサもまだ時間があるというので付いて来た。
一緒にお風呂に入ったのだが(もちろん水着で)、アリサの水着は露出の多いものであり、ネレイド族特有の艶やかな褐色の肌、そして水滴を弾く瑞々しい肌を惜しげもなく見せていたので、ひりょは少しドギマギしたそうな。
●
「三度目のネレイド村か……。たっぷり観光を楽しませて貰うつもりだが……その前に牙城の墓(?)を見に行くのも悪くない」
と言うことで牙城・焔との最終決戦に参加したレイア・アローネ(ka4082)は再びその決戦の地へ向かう。ネレイド村へ行くのはその後だ。
(部下の三人の墓もあるのかな)
そのように思いながら元草地の荒野へやって来たレイアだったが……周囲を歩き回ってみても戦闘の痕跡が残るばかりで墓らしきものは見当たらなかった。
まあ……辺境で猛威を振るった歪虚、人類の敵の墓標を立ててやる義理など無いということだろう……。
それよりも度重なる対・歪虚戦で疲弊した辺境は他にやること――まずは復興が第一である。
(あいつは今回は来ていないのか……まあいずれ来るだろう。それとももう来た後か……)
レイアは牙城・焔にトドメの一撃を与えたハンターの顔を思い浮かべるが……そのハンターは今どこで何をしているのか不明である。
一応手向けの花を持参したレイアであったが墓標は見つからなかったので、牙城・焔の最期の爆心地に花を添えた。
「お前達は人を殺した歪虚達だ。許す事は出来ないし、してはいけない。……が、それでも……お前達は強く誇り高かった」
レイアは牙城・焔一派との激闘を思い返す。何度苦汁を舐めさせられたことか……それほどに強敵であった。
人類の敵として認めることは出来ないが、一戦士としては認める、ということだろうか。
「何年後か何十年後か……私もいずれそちらに行くだろう。その時こそは一対一で果たし会おうか」
そう言い残して、レイアはその場を後にする……。
牙城・焔の墓参り……と言うよりも戦場跡を見終えて、ネレイド村へやって来たレイア。
族長の家に顔を出してから、丁度良い時間だったので海鮮居酒屋で食事を摂り、その後、銭湯へ移動。
レイアは戦闘の脱衣場にて、世界の行き来が可能になり、リアルブルーとの交流が盛んになったことで手に入れた『ハイレグの競泳水着』というものにお着替え。
「うむ、ぴっちりとフィットしてしっくり来るな」
普段着のビキニアーマーと多少似通っているためだろうか。レイアはこの水着が気に入ったらしい。サイズもぴったり!
ややきわどいデザインだが彼女の普段着が普段着なのでその辺りは全然気にしていない様子。
風呂場に入り、レイアは身体を綺麗に洗い流した後、大きな湯船に浸かる。
「ふう……触手とかスライムとかが居ない風呂はいいものだな……って、何を言っているんだ私は……」
顔を赤くして湯船に沈めるレイア。彼女のそのアレやコレやが出現する温泉に入ったことがある……と、ハンターズソサエティの報告書にはしっかりと記載されている。
あの温泉での出来事は忘れたい……が、どうにも身体……肉体が覚えているらしい……。こういった広いお風呂に入る度に思い起こしてしまう。
とまあ、それはそれとして、銭湯の大浴場を堪能したレイアはお約束のキンキンに冷えた牛乳をキメて、近くの宿へ向かい、一日を終えたのだった。
●
「味覚の秋が美味しいの~、私の胃袋が火を吹くの~」
よく分からない自作の歌を歌いながらスキップでネレイド村へ来訪したディーナ・フェルミ(ka5843)。
さっそく彼女はお食事処へ――
「海鮮居酒屋さんは! 朝十時からやってるの?」
キラキラした瞳で店主に質問したのだが生憎と本日は開店が遅れるらしい(普段はそのくらいから営業しています)。
仕方がないのでディーナはとりあえず銭湯に入って時間を潰すことに……。
「どうしようなの、すごくお腹が空いてきたの。禁断のメニュー二周目が行けちゃうかもなの」
海鮮目当てでネレイド村へやって来た彼女はハの字眉毛で困り顔。ナチュラルに全メニュー制覇をするつもりらしい……。
段々と冷え込んでくる季節、大きなお風呂の熱めのお湯で身体を温めるディーナ。
湯上りには前哨戦として沢山の牛乳やアイスをぺろり。在庫を枯らす。
その後に開店時間になれば即☆居酒屋突撃!!
「お酒メニューは抜いて、他全部下さいなの。郷祭で修行した私の胃袋が火を吹くの、じゃんじゃんばりばり持ってくるの」
郷祭出店食品全制覇の胃袋がネレイド族の海鮮居酒屋を襲う……!!
その細身のどこにそんなに入るのかという勢いでディーナは海鮮メニューを喰らい尽くしていく……。
……。
…………。
………………。
「ふぅ。朝から我慢して腹八分目なの。銭湯でお腹減らしてもっかい来るの」
今朝仕入れたばかりの食材を枯らされ、居酒屋の店主は白目。ディーナは全メニュー二周以上したそうな。
……おかげで店主はもう一度仕入れをする羽目になったらしい(今度はディーナ対策で倍の量)。
●
「う~~み~~!」
浜辺にて、大声で叫ぶ女性の姿があった。星野 ハナ(ka5852)だ。
海に来たら何か叫ぶのはお約束だと思う……というのは彼女の談である。
さて、夕焼けのいい感じな時間にネレイド村を訪れたハナ。今日の彼女のプランは――
海辺の岩場にある小さな侵食洞の夕陽を見て、銭湯の大きなお風呂で温まったら、海鮮居酒屋で美味しい料理を堪能する――。
「完っ璧!」
だがしかし。
「完璧な計画ですぅ、これで横に彼氏が居ればぁ!」
悲しかな、彼女はお一人様での依頼参加であった……目から塩辛い汗がだばだば流れるのもお約束である。
「うぅぅ……諦めたらそこで投了ですけどぉ~……」
一人ロマンチックにやっぱり目から塩辛い汗がどばどば。
ハナが想いを寄せる相手が奥手なのも勿論ある……勿論あるらしいのだが……、
こちらが諦めた瞬間あっさり終わる系の積み上がりの無さっぷりが素晴らしすぎるっぽい。
フラグが立たなかったんですね。わかります。
というわけでハナは銭湯の大きなお風呂の熱めのお湯で温まって、居酒屋でやけ食いして、他の客を巻き込んで大酒かっ喰らって――
べろんべろんになって宿の布団に倒れ込んで…………、
今日という日が終わった。
●
辺境地域を訪れた多由羅(ka6167)はまず、牙城・焔の墓参りへ。
しかしながら例によって墓参りと言っても墓標代わりの戦場跡地・最期の爆心地なのだが。
元々たくさんの草が生い茂っていた草地だったが、激戦の末に荒野と化し、以降人の手は加えられておらず、放置されたままである。
多由羅は牙城・焔最期の爆心地を眺めながら呟く。
「未熟故他の方々にお譲りしたものの……機があれば私も挑んでみたかった。たとえその結果討ち死にしたとしても……」
牙城・焔との決戦において直接攻撃に当たったのは守護者を初めとする超高レベルのハンター達であった。
「まあ、無様に生き残った身としては研鑽に励むより他はありませんね」
多由羅は弔いがてら、用意した酒瓶を逆さに向けて手向けとする。
「人生は長い。その内彼女をも超える敵と相まみえる事もあるでしょう」
そのように、多由羅は自分を納得させたのち、その場を後にした。
「おや、皆様。またお会いしましたね。ここでの魚と酒は忘れられぬ味です」
ネレイド村へやって来た多由羅を出迎えたのはミサキと、近衛隊の面々である。
「ミサキ、お久しぶりです。もう酒が飲める歳にもなったでしょう(※一年も経過していません)」
「まだ呑める歳じゃないよー」と苦笑されてしまう。
「むう……それは残念……いずれ飲める歳になったらまた……」
というわけで多由羅は海鮮居酒屋にて一人呑みをした後、いい塩梅になったころに銭湯へ。
「……剣と酒、それと風呂ですか。裸で入る方が好みなのですが……止められては仕方ありません」
出来上がった状態で、脱衣場で全ての衣服を脱ぎ去り、風呂場へ入ろうとした多由羅をスタッフが全力で止めた。「男性のお客様も居るので!」と。
「それでは水着着用でお邪魔致します」
あてがわれたビキニ水着に豊満な肢体、特にたわわな二つの水蜜桃を押し込んで、多由羅は風呂場へ。
一応ちゃんと身体を流してから、すごくリラックスした体勢で湯船に浸かる。
「……ふう、生き返りますね。大きな風呂は良い。例え温泉でなくとも」
そうして長湯をして湯あたりし、ネレイド族の若い女性スタッフに介抱される多由羅であったそうな。
●
「世界には、意見の相違って奴があると思うんだよ」
桃源郷を探す男、ラスティ・グレン(ka7418)は真顔でそう語った。
「いや、ハンターに巨乳な女性は多いと思うが」
至極真面目に返され場が凍る。
――ここは要塞都市『ノアーラ・クンタウ』のハンターズソサエティである。
「いや嘘だろ、それ都市伝説だろ。なら何で、こんなに探し回ってるのに俺が知り合うのはムキムキ胸囲のあんちゃんばっかりなんだよ、そんな縁要らねぇよ」
桃源郷を探す男、ラスティはこれまでの依頼で一度も巨乳の女性ハンターとご一緒したことが無い?? そうして彼は続ける。
「やっぱ服が悪いと思うんだ。俺は基本に立ち返ることにした。やっぱこうさぁ、服着てるから分かんないんじゃね? 水着やマッパなら分かるんじゃね?」
辺境のどこかに女性ばかりの村があるという。……風呂ならば近場に『テミス』という公衆浴場があり、混浴風呂もあったはずだが(湯着は必須)……。
その辺りは彼の耳には入らなかったようで、桃源郷を探す男は『女性ばかりの辺境部族の村からの招待』とやらの依頼を受けた。
ネレイド村へやって来た探究者、ラスティ・グレンだったが、女性の比率が極端に高いはずのこの村で、何故か男性スタッフに案内されたり、応対されたりした。
依頼への参加が遅れたので他の参加者とも顔を合わせてない……そんな彼は村の観光名所を回ってみたのだが行く先々で出会うのは男か、子どもだけだった……。
ラスティは昼過ぎから満を持して銭湯に入る……一人だけ「もしかしたらパイオツカイデーじゃね? って思うねぇちゃんが居た」気がしたのだ。
だが……まだ日の高いうちから風呂に入っていたのはやはり何故か珍しいことにムキムキマッチョの男性客ばかり。しかし彼は湯船に浸かったまま、頑として乙ぱい姉ちゃんを待つ……。
「でも俺が湯当たりして運ばれるまで……ねぇちゃんは風呂に来なかったんだ……(うわ言)」
風呂へ入るのが早かっただけですね。
彼の桃源郷を探す旅は続く……。例え邪神を討ち倒しても続くのだ……。
●
こうしてミサキとハンター達の『おはなし』はおしまい。
きっと、またどこかで出会えることだろう。そのように願う。
邪神討伐後のネレイド村――。
ネレイド族・族長のミサキ・ネレイド(kz0079)はハンター達と『おはなし』をすることにした……。
●
夕焼け空。あと一時間もすれば日も暮れそうな時間に、族長の家をネフィリア・レインフォード(ka0444)が訪れた。
「やっほーミサキちゃん、遊びに来たのだー!」
「やっほーネフィちゃん、いらっしゃい。遅かったね」
「ん、ミサキちゃんは人気者だから昼間は他の人に誘われてるかと思ってこの時間にしたのだ」
「あははー、そんなことないよー。日中は族長の仕事をしてたし」
ミサキは照れ臭そうに頬をぽりぽりとかいた。
「それで、どこへ行こうか? 今の時間なら丘とか? ……あ、もしかしてネフィちゃん夕陽も目当てでこの時間に?」
「当たり―。そうなのだー!」
「なかなかの目の付け所だねぇ。それじゃ、急ごう! 早くしないと日が暮れちゃうよ」
そうしてミサキはネフィの手をぎゅっと握って引き、家の外へと連れ出し『村や海を一望出来る小高い丘』へと向かった。
夕陽を見逃すまいと、二人は仲良くおててを繋いで急ぎ小高い丘へやって来た。
二人は草むらに腰を下ろし、絶景の夕陽を眺めながらお話をする。
「相変わらず綺麗だな~。……そういえばネフィちゃんとはこうやって何度も遊んでるけど、初めて会ったのっていつだっけ」
ミサキはネフィの横顔を見つめて、尋ねる。ネフィは少しだけ考えたあと、
「たぶんミサキちゃんが初めて人魚化したときじゃないかと思うのだー。僕も何度も遊んだり、お風呂に入ったりしてるからちゃんとは覚えてないけど」
それを聞いたミサキは感慨深そうにうんうんと頷く。
「あー、あのときかー。随分前だね。……牙城・焔……本当に強敵だった……」
「うん。でも人魚化したミサキちゃんはすごくカッコイイのだ。焔のことも追い払ったし」
「えへへ、ありがと。でもあのときはハンターさんの力もあったから」
霊闘士の奥義……この力を使う機会も減るだろうね。と、ミサキは続ける。
「さて……そろそろ暗くなって来たね。ご飯にする? お風呂にする?」
「お風呂ー♪」
というわけで二人はまた仲良く手を繋いで銭湯へ。
脱衣場で衣服を脱ぎ、水着に着替えてから二人はガラガラと戸を開けてお風呂場に足を踏み入れる。
ネフィは布面積の少ない白ビキニ姿。ミサキは濃紺のスクール水着姿である。
二人は互いの身体をお湯で流してから、湯船に肩までちゃぽんと浸かる。
「ふあ~生き返るのだ~♪」
「最近冷えてきたからね。寒い時期のお風呂は格別だよね♪」
ゆったりと熱めのお湯に浸かって二人は少し冷えた身体を温める……。
しばらくして。
「ねえミサキちゃん、マッサージしてあげようか?」
「マッサージ? ネフィちゃん出来るの?」
「ふふー♪ お姉ちゃん直伝のマッサージをしてあげるのだ♪ きっと気持ちいいよー♪」
「んー、それじゃお願いしようかな。族長の書類仕事でずっと座ってると身体が凝っちゃって」
「そこにうつ伏せに横になってねー♪」
二人は湯船から上がり、風呂場の床にバスタオルを敷いて、ネフィはミサキに横になるよう促す。
ミサキは言われるままうつ伏せで横になった。
「これでいい?」
「いいよー。じゃあ始めるのだー♪ ふふー♪」
ミサキからは見えないが、ネフィは両手をワキワキさせ、顔にはニヤリとした笑みを浮かべていた。
ぎゅむぎゅむ(謎の効果音)。
「い、痛いよネフィちゃん……!」
「痛いのはねー、効いてるってことだよー♪ ここはどうかなー?」
「あ、そこは……! ~~!?」
こうして夜は更けて行く……。
……一夜明けて、翌日。ネフィはあの後、ミサキと一緒に海鮮居酒屋で夕飯を食べて、近くの宿に泊まる予定だったが。
せっかくなのでミサキが自分の家、族長宅に誘った。そして一晩中語り明かし……てはおらず、二人ともすぐにぐっすり夢の中。
今は村の入り口にて、ミサキがネフィをお見送り。
「色々とあったけど無事に終ってよかったのだ♪ これからも遊びに来てもいいかな? かな?」
「一応平和になったから、これからはいつでも遊びに来て♪ 今度はお姉さんや妹さんも一緒に。もう少しゆっくり」
「わかったのだー。ありがとうなのだー!」
そこでミサキはネフィに向かって手を差し出す。ネフィはミサキの意図を察して、その手をぎゅっと握る。
仲良く握手。二人はにっこり笑い合う。
「それじゃあネフィちゃん、待ってるね」
「うん、またすぐに来るのだー♪」
歪虚との戦いや、交流を経て、硬い絆で結ばれた二人はもう親友同士と言っても良いだろう。
二人の友情はこれからもずっと、続いていく……。
●
エルバッハ・リオン(ka2434)は牙城・焔一派との決戦の地――戦場跡を見にやって来ていた。
そこは元々だだっ広い草原であったが、激戦を物語るかのように今は荒野と化している……。
地面のあちらこちらに戦闘の痕跡が残り、最期に焔が爆散した場所は一際地面が深く抉れていた……。
元々何もない場所であり、要衝というわけでも無いため放置されたままである。
そこはある意味、牙城・焔やその部下達の墓標のようにも思えた……。
エルバッハがこの場所を訪れたのは……彼女――焔とは特に因縁があった訳ではないが、最後の戦いに参加した身として何となく跡を見たくなったのが行動の理由である。
だが焔やその部下の墓を作ろうとか、手向けを送るといったことをするつもりはエルバッハには微塵も無かった。
「私と彼女の関係は、因縁もないただの敵でしかないですからね。そんなことをする気にはならないですし、彼女もして欲しくもないでしょう」
歪虚が倒され、無に返った後に、その魂がどこへ逝くのかは分からないが……元の正しい輪廻に戻っていれば幸いであろう。その先で焔は何を思っているのか――。
まあ……ともかく、複数の世界の命運をかけた最大の戦い、邪神を討ち滅ぼし、世界が平定された後に、こういった各地の激戦の跡地を見て回るのもまた良し……なのかもしれない。
しばし荒野にて黄昏た後に、エルバッハはネレイド村へと向かった。
ネレイド村に到着したエルバッハはまず、一応族長のミサキに挨拶した後、海鮮居酒屋で食事を摂り、それから一番の目的である銭湯へ。
混浴であるこの銭湯では水着の着用が義務付けられているため(※もちろん脱衣場は男女別)、エルバッハも例外なく水着に着替えてから風呂場へ移動。
洗い場で身体を流し、足先から湯船に浸かる。……ちなみにエルバッハが着ている水着はかなり露出度が高いタイプ。
大胆にも艶めく白磁の肌を晒している……その肢体は細身ながらも出るところ出ており、女性らしい身体つきをしていた。
当然ながらものすごく目立つので周りはほとんど女性客だったにも関わらず、(羨望の)視線を集める。
「守護者になったということもあって、最近は自重していましたしね」
お湯と共にたくさんの視線を浴びて、二つの意味で気持ち良さそうなエルバッハであった。
…………十分に大きなお風呂のお湯と、大衆の視線がある場所で自分の肉体美を披露出来たエルバッハは良い気分で宿にチェックインし、ふかふかのお布団で熟睡したそうな。
●
鳳凰院ひりょ(ka3744)は以前『ネレイド村の海祭り』の際に悩み事を聞いてもらったアリサへ礼を言いたいということでネレイド村を訪れた。
ちなみにアリサとは族長であるミサキを守る近衛隊の一人、アリサ・ネレイドのことである。
(随分前の事だが、覚えているだろうか……?)
――と、若干の不安を覚えつつも、ひりょはアリサが居るであろう族長の家へ向かった。
…………ひりょが族長の家を訪ねると、応対に出たのは近衛隊隊長・族長補佐のヴァイン・ネレイドだった。
彼がアリサに会いたいという旨を伝えると、「少しお待ちくださいね」と奥に下がった後に、アリサが顔を見せた。
「おや、ひりょお兄さんじゃないですか。お久しぶりですね」
にこにこしながらアリサは目の前まで歩いてくる。どうやら覚えてくれていたようだ。ひりょはホッと一安心。
「あの、少し話があるんだけど、時間あるかな?」
「う~ん、一応お仕事の最中なんですけど……ミサキ様~! ハンターさんに呼ばれたので少し出てきていいですか~?」
と、家の中へ向けて大声を出した。すると速攻で「いいよ~!」との返事。
「OKみたいです。じゃあまたあの丘にでも行きますか!」
元気ににっこりと笑って言うアリサ。変わってないな……とひりょは微笑。
それと族長のミサキもすぐに了承してくれるとは心の広い族長なのだな、とも思う。
そして二人は雑談しながらネレイド村の観光スポットの一つ『村や海を一望出来る小高い丘』へ向かった。
丘の上にやって来た二人――。
「すぅ~はぁ~。相変わらずここは気持ちいいですねー。時期的にちょっと風が冷たいですけど」
そういえばアリサの服は冬服になっていた。ネレイド族の冬服はなかなか良いデザインだと思う。
…………夏服は正直、目のやり場に困るが…………。
「お話があるんでしたっけ? なんです?」
アリサは草むらに腰を下ろして、訪ねてきた。ひりょもそれに倣い、座ってから口を開く。
「ええと……前、この村に来たとき相談に乗って貰ったじゃないか?」
そう言ってひりょは話し始める。
「支えになってあげたい子をどう支えてあげればいいのか……迷っていた頃、ふと、このネレイド村に立ち寄ったんだけどさ、その際にアリサに話を聞いて貰った」
ひりょはアリサの隣に座り、アリサへの感謝の思いを伝える。
「そしてその後、俺はその子の支えに何とかなる事が出来たんだ。邪神戦争が終わった今は、ハンター家業をやめてその子を公私共に支え生涯共に歩む……と、覚悟を決めた所だ」
そのように続けるひりょ。言葉の通り、彼は覚悟を決めた男の顔だった。
「あの時、苦しい状況から逃げずに覚悟を決める事が出来たのはアリサのおかげでもある。本当に感謝だ。……その事がどうしても伝えたかったんだ」
伝え終えて、ひりょはアリサのほうを見る。
「…………ああ、ええと、はい。お役に立てたのなら何よりです。……あああ! なんでこんなことしか言えないのあたし!」
アリサはぺちんを両手で両頬を叩く。
「あたしっておっちょこちょいだから、人にここまで感謝されたことなくて……正直戸惑っています……すみません……」
もじもじとするアリサ。その反応は普通の女の子と言った感じで可愛いな、とひりょは微苦笑。
「まあとにかく、俺にとってはすごく助かった、ってことだよ。ありがとね」
「えへへ、そこまで直接的にお礼を言われると照れますね」
二人は見つめ合い、笑い合った。
そのあとひりょはせっかくなので銭湯へ。アリサもまだ時間があるというので付いて来た。
一緒にお風呂に入ったのだが(もちろん水着で)、アリサの水着は露出の多いものであり、ネレイド族特有の艶やかな褐色の肌、そして水滴を弾く瑞々しい肌を惜しげもなく見せていたので、ひりょは少しドギマギしたそうな。
●
「三度目のネレイド村か……。たっぷり観光を楽しませて貰うつもりだが……その前に牙城の墓(?)を見に行くのも悪くない」
と言うことで牙城・焔との最終決戦に参加したレイア・アローネ(ka4082)は再びその決戦の地へ向かう。ネレイド村へ行くのはその後だ。
(部下の三人の墓もあるのかな)
そのように思いながら元草地の荒野へやって来たレイアだったが……周囲を歩き回ってみても戦闘の痕跡が残るばかりで墓らしきものは見当たらなかった。
まあ……辺境で猛威を振るった歪虚、人類の敵の墓標を立ててやる義理など無いということだろう……。
それよりも度重なる対・歪虚戦で疲弊した辺境は他にやること――まずは復興が第一である。
(あいつは今回は来ていないのか……まあいずれ来るだろう。それとももう来た後か……)
レイアは牙城・焔にトドメの一撃を与えたハンターの顔を思い浮かべるが……そのハンターは今どこで何をしているのか不明である。
一応手向けの花を持参したレイアであったが墓標は見つからなかったので、牙城・焔の最期の爆心地に花を添えた。
「お前達は人を殺した歪虚達だ。許す事は出来ないし、してはいけない。……が、それでも……お前達は強く誇り高かった」
レイアは牙城・焔一派との激闘を思い返す。何度苦汁を舐めさせられたことか……それほどに強敵であった。
人類の敵として認めることは出来ないが、一戦士としては認める、ということだろうか。
「何年後か何十年後か……私もいずれそちらに行くだろう。その時こそは一対一で果たし会おうか」
そう言い残して、レイアはその場を後にする……。
牙城・焔の墓参り……と言うよりも戦場跡を見終えて、ネレイド村へやって来たレイア。
族長の家に顔を出してから、丁度良い時間だったので海鮮居酒屋で食事を摂り、その後、銭湯へ移動。
レイアは戦闘の脱衣場にて、世界の行き来が可能になり、リアルブルーとの交流が盛んになったことで手に入れた『ハイレグの競泳水着』というものにお着替え。
「うむ、ぴっちりとフィットしてしっくり来るな」
普段着のビキニアーマーと多少似通っているためだろうか。レイアはこの水着が気に入ったらしい。サイズもぴったり!
ややきわどいデザインだが彼女の普段着が普段着なのでその辺りは全然気にしていない様子。
風呂場に入り、レイアは身体を綺麗に洗い流した後、大きな湯船に浸かる。
「ふう……触手とかスライムとかが居ない風呂はいいものだな……って、何を言っているんだ私は……」
顔を赤くして湯船に沈めるレイア。彼女のそのアレやコレやが出現する温泉に入ったことがある……と、ハンターズソサエティの報告書にはしっかりと記載されている。
あの温泉での出来事は忘れたい……が、どうにも身体……肉体が覚えているらしい……。こういった広いお風呂に入る度に思い起こしてしまう。
とまあ、それはそれとして、銭湯の大浴場を堪能したレイアはお約束のキンキンに冷えた牛乳をキメて、近くの宿へ向かい、一日を終えたのだった。
●
「味覚の秋が美味しいの~、私の胃袋が火を吹くの~」
よく分からない自作の歌を歌いながらスキップでネレイド村へ来訪したディーナ・フェルミ(ka5843)。
さっそく彼女はお食事処へ――
「海鮮居酒屋さんは! 朝十時からやってるの?」
キラキラした瞳で店主に質問したのだが生憎と本日は開店が遅れるらしい(普段はそのくらいから営業しています)。
仕方がないのでディーナはとりあえず銭湯に入って時間を潰すことに……。
「どうしようなの、すごくお腹が空いてきたの。禁断のメニュー二周目が行けちゃうかもなの」
海鮮目当てでネレイド村へやって来た彼女はハの字眉毛で困り顔。ナチュラルに全メニュー制覇をするつもりらしい……。
段々と冷え込んでくる季節、大きなお風呂の熱めのお湯で身体を温めるディーナ。
湯上りには前哨戦として沢山の牛乳やアイスをぺろり。在庫を枯らす。
その後に開店時間になれば即☆居酒屋突撃!!
「お酒メニューは抜いて、他全部下さいなの。郷祭で修行した私の胃袋が火を吹くの、じゃんじゃんばりばり持ってくるの」
郷祭出店食品全制覇の胃袋がネレイド族の海鮮居酒屋を襲う……!!
その細身のどこにそんなに入るのかという勢いでディーナは海鮮メニューを喰らい尽くしていく……。
……。
…………。
………………。
「ふぅ。朝から我慢して腹八分目なの。銭湯でお腹減らしてもっかい来るの」
今朝仕入れたばかりの食材を枯らされ、居酒屋の店主は白目。ディーナは全メニュー二周以上したそうな。
……おかげで店主はもう一度仕入れをする羽目になったらしい(今度はディーナ対策で倍の量)。
●
「う~~み~~!」
浜辺にて、大声で叫ぶ女性の姿があった。星野 ハナ(ka5852)だ。
海に来たら何か叫ぶのはお約束だと思う……というのは彼女の談である。
さて、夕焼けのいい感じな時間にネレイド村を訪れたハナ。今日の彼女のプランは――
海辺の岩場にある小さな侵食洞の夕陽を見て、銭湯の大きなお風呂で温まったら、海鮮居酒屋で美味しい料理を堪能する――。
「完っ璧!」
だがしかし。
「完璧な計画ですぅ、これで横に彼氏が居ればぁ!」
悲しかな、彼女はお一人様での依頼参加であった……目から塩辛い汗がだばだば流れるのもお約束である。
「うぅぅ……諦めたらそこで投了ですけどぉ~……」
一人ロマンチックにやっぱり目から塩辛い汗がどばどば。
ハナが想いを寄せる相手が奥手なのも勿論ある……勿論あるらしいのだが……、
こちらが諦めた瞬間あっさり終わる系の積み上がりの無さっぷりが素晴らしすぎるっぽい。
フラグが立たなかったんですね。わかります。
というわけでハナは銭湯の大きなお風呂の熱めのお湯で温まって、居酒屋でやけ食いして、他の客を巻き込んで大酒かっ喰らって――
べろんべろんになって宿の布団に倒れ込んで…………、
今日という日が終わった。
●
辺境地域を訪れた多由羅(ka6167)はまず、牙城・焔の墓参りへ。
しかしながら例によって墓参りと言っても墓標代わりの戦場跡地・最期の爆心地なのだが。
元々たくさんの草が生い茂っていた草地だったが、激戦の末に荒野と化し、以降人の手は加えられておらず、放置されたままである。
多由羅は牙城・焔最期の爆心地を眺めながら呟く。
「未熟故他の方々にお譲りしたものの……機があれば私も挑んでみたかった。たとえその結果討ち死にしたとしても……」
牙城・焔との決戦において直接攻撃に当たったのは守護者を初めとする超高レベルのハンター達であった。
「まあ、無様に生き残った身としては研鑽に励むより他はありませんね」
多由羅は弔いがてら、用意した酒瓶を逆さに向けて手向けとする。
「人生は長い。その内彼女をも超える敵と相まみえる事もあるでしょう」
そのように、多由羅は自分を納得させたのち、その場を後にした。
「おや、皆様。またお会いしましたね。ここでの魚と酒は忘れられぬ味です」
ネレイド村へやって来た多由羅を出迎えたのはミサキと、近衛隊の面々である。
「ミサキ、お久しぶりです。もう酒が飲める歳にもなったでしょう(※一年も経過していません)」
「まだ呑める歳じゃないよー」と苦笑されてしまう。
「むう……それは残念……いずれ飲める歳になったらまた……」
というわけで多由羅は海鮮居酒屋にて一人呑みをした後、いい塩梅になったころに銭湯へ。
「……剣と酒、それと風呂ですか。裸で入る方が好みなのですが……止められては仕方ありません」
出来上がった状態で、脱衣場で全ての衣服を脱ぎ去り、風呂場へ入ろうとした多由羅をスタッフが全力で止めた。「男性のお客様も居るので!」と。
「それでは水着着用でお邪魔致します」
あてがわれたビキニ水着に豊満な肢体、特にたわわな二つの水蜜桃を押し込んで、多由羅は風呂場へ。
一応ちゃんと身体を流してから、すごくリラックスした体勢で湯船に浸かる。
「……ふう、生き返りますね。大きな風呂は良い。例え温泉でなくとも」
そうして長湯をして湯あたりし、ネレイド族の若い女性スタッフに介抱される多由羅であったそうな。
●
「世界には、意見の相違って奴があると思うんだよ」
桃源郷を探す男、ラスティ・グレン(ka7418)は真顔でそう語った。
「いや、ハンターに巨乳な女性は多いと思うが」
至極真面目に返され場が凍る。
――ここは要塞都市『ノアーラ・クンタウ』のハンターズソサエティである。
「いや嘘だろ、それ都市伝説だろ。なら何で、こんなに探し回ってるのに俺が知り合うのはムキムキ胸囲のあんちゃんばっかりなんだよ、そんな縁要らねぇよ」
桃源郷を探す男、ラスティはこれまでの依頼で一度も巨乳の女性ハンターとご一緒したことが無い?? そうして彼は続ける。
「やっぱ服が悪いと思うんだ。俺は基本に立ち返ることにした。やっぱこうさぁ、服着てるから分かんないんじゃね? 水着やマッパなら分かるんじゃね?」
辺境のどこかに女性ばかりの村があるという。……風呂ならば近場に『テミス』という公衆浴場があり、混浴風呂もあったはずだが(湯着は必須)……。
その辺りは彼の耳には入らなかったようで、桃源郷を探す男は『女性ばかりの辺境部族の村からの招待』とやらの依頼を受けた。
ネレイド村へやって来た探究者、ラスティ・グレンだったが、女性の比率が極端に高いはずのこの村で、何故か男性スタッフに案内されたり、応対されたりした。
依頼への参加が遅れたので他の参加者とも顔を合わせてない……そんな彼は村の観光名所を回ってみたのだが行く先々で出会うのは男か、子どもだけだった……。
ラスティは昼過ぎから満を持して銭湯に入る……一人だけ「もしかしたらパイオツカイデーじゃね? って思うねぇちゃんが居た」気がしたのだ。
だが……まだ日の高いうちから風呂に入っていたのはやはり何故か珍しいことにムキムキマッチョの男性客ばかり。しかし彼は湯船に浸かったまま、頑として乙ぱい姉ちゃんを待つ……。
「でも俺が湯当たりして運ばれるまで……ねぇちゃんは風呂に来なかったんだ……(うわ言)」
風呂へ入るのが早かっただけですね。
彼の桃源郷を探す旅は続く……。例え邪神を討ち倒しても続くのだ……。
●
こうしてミサキとハンター達の『おはなし』はおしまい。
きっと、またどこかで出会えることだろう。そのように願う。
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最終発言 2019/11/05 21:19:57 |