主に成り代わった雑魔退治

マスター:秋月雅哉

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/02/20 12:00
完成日
2015/02/21 02:25

みんなの思い出

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オープニング

●ある沼の伝承
 その沼には大物の魚、いわゆる『主』がいる、と言われてきた。
 雨の日でなくては釣れず、またその姿は魚影が確認されただけではっきりとは知られていない。
 ただ、とてつもなく大きな魚が住んでいる、そんな噂だけがあった。
「主が釣れれば自慢になるし、魚の種類によっては鍋にしてもいい。今日こそは……っ!」
 釣り糸を垂らした青年が釣竿が大きくしなるのを見て期待に胸を高める。
 しかし釣りにつきものの魚との動きの読みあいは発生せず、ザバ、と自ら魚自ら上がってくる。
 しかしそれは魚ではなかった。
 この青年の話が広まり、近くに住む村人たちは主釣りに成功した者が出ないまま――主はいつの間にか人に害をなす雑魔に食われてしまっていたのだと思い込んで大急ぎでハンターオフィスに討伐を依頼したのだった。

「……という話だったけれど、主が実際に食われたかどうかまでは分からないんだよね。なにせ姿がはっきりしない主だし、もともと大物も多い釣りスポットだし。
 ……雑魔の話に戻ろうか。出るのはえぇと……半魚人、かな。なんか巨大な魚に足とか腕とか生えてる……あんまり「半」でもないけど、魚でもない。
 珍妙な雑魔だけどとりあえず釣り糸たらせば食いつくから。後はさくっと退治して。
 雨の日にしか出ないらしいから今の時期ちょっと寒いけどね。頑張ってきてほしい」
 すっかり変な依頼斡旋専門者になりつつあるルカ・シュバルツエンド(kz0073)は死んだ魚のような目でうつろに笑った。

リプレイ本文

●ダンシング・フィッシング
 沼の主が住むと噂される場所に奇妙な雑魔が沸いた。
 魚の住む沼地なので魚型なのはまぁいいとしよう。
 何故こうなった、というのは巨大な魚に人間の手足が生えていることだった。
 まぁ普通の魚と明らかに分かるため退治に赴いたハンターにとっては区別が楽、なのかもしれないが。
「主……ですか、とりあえず今は雑魔退治に集中しますか。天気も釣り日和という感じではなさそうですし。
 半魚人と聞きましたが……どちらかというとただの奇形な気がしますね。なぜこういう形になったのかは、考えるだけ徒労に終わりそうですが。
 雨で体が冷えるとよくないですし、手早く終わらせたいものです」
 上泉 澪(ka0518)がため息交じりに呟きながら沼の方を見やる。
 超級まりお(ka0824)とウィニア・アークライト(ka4249)が他のハンターが戦闘態勢を整えて待つ間雑魔を釣ろうと釣りの道具を準備していた。
「雑魔釣り……ザツマツリ……なんかの珍祭っぽい響き…………。
 手足の生えた珍魚を釣るから正しいのか?」
 雨の中でしか釣れないということで視界の悪さと寒さによる体のこわばりに気を付ける必要はある中、まりおは謎の唄を歌いながら感じにするなら『雑祭り』になりそうな単語を連想していた。
 祭りは楽しみにするものも多いのがリアルブルーでもクリムゾンウェストでも共通認識だろうが『雑祭り』だとなんだか響き的にとても残念な祭りになりそうな予感しかしないのとメインが珍妙な魚とハンターによるバトル、というのが客足が遠のきそうなイメージにつながる。
「沼の主が雑魔に食われた~、的な触れ込みだったけどさ、実際は大物が数匹雑魔化した可能性もあるのかな?
 う~ん……沼に釣り糸入れないと実際のところは分かんないよねー。
 餌はコレ、雑魔用の餌肉をつかうよ。…………いやだなぁ、餌肉は餌肉じゃん。
 何の肉とかじゃなくて、餌肉ね。え・さ・に・く」
 何の肉か分からない怪しげな肉に胡乱げな視線を向けるハンターにあくまで餌肉だと言い張るまりお。
「……雨降りにしか出てこないとか、厄介な雑魔なの。早く退治してゆっくり暖かいお風呂に入りたいの」
 耐寒と雨対策としてトレンチコートを身に纏ってきたが今の時期の雨は短時間でも体を冷やす。
 ちょっとぶかぶかなそのコートに包まれてファリス(ka2853)は小さな可愛らしいくしゃみをした。
「釣りの穴場スポットに雑魔が住み着いちゃったのか……『主』も雨の日しか出てこないようだから、『主』狙いの人の迷惑になっちゃうね。
 これは退治しておかないとだね!」
 ステラ・ブルマーレ(ka3014)が後方の木々の下で雨宿りしながら拳を握りしめる。
 昔は海女として冬場の海にももぐったりしていた彼女は寒さには慣れっこだが、淡水魚の釣りは海釣りほど得意じゃないから、と黙って見守る構え。
「んー……、風が出てこないといいな」
 視界の悪さを少しでもカバーしようと釣り場の灯りになるようにランタンを設置した屋外(ka3530)は今日は同行していない愛しい恋人と離れ離れになっている辛さを噛みしめていた。
「主は別に――……美味しかったら貴女に贈りたい」
 雑魔退治から思考がそれている気がするが明細ジャケットをかぶり、隠密で雑魔から気配を消したり、鋭敏視覚で視界を向上させたりしているから雑魔退治が本分だということは忘れていないようだ。
「変なお魚が釣れるときいたのだけれどぉ、食べれるのかしらぁ?」
 手足の生えた半魚人、しかも雑魔を食料の候補に入れる肝の据わった発言をしたのは姚 水晶(ka3630)、一瞬他のハンターたちが食うのか、とぎょっとしたあと彼女は何でもないように続ける。
「う~ん……、珍しいお魚とは思うけどぉ、ちょっとお料理するには戸惑っちゃうわぁ。あ、お食事にするという意味でよぉ。
 ちょっと肌寒いしぃ、早く終わらせてぇ、あったかいお酒でも飲みたいわねぇ」
 食べられるか疑問に思っただけで実行に移すつもりはないようだ。
「魚っ、目が眼が離れすぎているのであります、とか言うシーンなのかな」
 半魚人を釣るのが初めてな(というか普通に生活している限り釣ったことのある人のほうが少ないとは思うが)T-2(ka4106)はまだ見ぬ半魚人に興味津々、ワックワクしていた。
「妙にウキウキ気分? 釣りだけに浮き浮き?」
 思いついたギャグを交えてワクワク加減をしめす彼女に突っ込むハンターはいなかった。
「私のファーストミッションネー! 怪我なくフィニッシュしたいヨー!」
 ウィニアは餌にカエルをチョイス。これで一本釣りネー!と勢い込んで釣り開始。
 なお、その横ではまりおが格好よさを追求したものの彼女が釣りが初めてということが災いして釣り針がスカートに引っかかり下着が丸見えになるというハプニングが起きていた。
 仲間が見なかったことにしている間に釣り針をどうにかこうにか外し、今度は普通に沼に釣り糸を垂らす。
「キタキタキター!」
「こっちもきた!」
 姿を見る事さえ困難な主と出現条件は同じだがこの雑魔は拍子抜けるほどあっさり餌に食いつくらしい。
「這い上がる? させるわけないデショー!」
 思い切り竿を引くと沼地の中から飛び出してくる手足の生えた巨大な魚。
 ……が、何故か同じ姿の魚の尻尾の辺りにもう一匹ずつ食いついていた。
 入れ食いと言っていい状態だがあんまり嬉しくないというか見ていて気持ちの悪い状況だった。
「これで全部だといいのですが……複数いるということは何匹残っているか分かりませんね……」
 澪が再びため息を吐くと、刀身が黄金色に輝く豪奢な太刀に祖霊の力を籠めて大きく振りぬく。
 雑魔に食いついていた雑魔二匹がそれぞれスポンと食いついていた雑魔から離れると何故か踊るようにして澪の攻撃をかわして見せた。
 何が楽しいのかそのまま奇妙なダンスを踊り始める二匹の片方に、澪は気を取り直して再び大太刀で一閃。
 踊っていたせいで回避行動がとれなかった雑魔はその攻撃をもろに受けて早くも瀕死。
「……随分と迂闊ですね」
 雑魔にかける言葉でそれ以外にふさわしい言葉が果たしてあっただろうか。いや、ない。
「他に雑魔が潜んでないかもう一投してみるねー。というわけでこいつよろしく」
 戦闘準備はしているが面倒くさいから押し付けてしまおう、と算段していたまりおは複数出てきたことを言いことに釣り針を外した半魚人を仲間に向かって放り投げる。
 放物線を描きながら宙を飛ぶ半魚人に、ファリスが沼にはあまり近くない、魔法の射程内からアースバレットを叩き込む。
「……気持ち悪い雑魔は、とっとと退治するに限るの」
 雑魔が予想以上に早く連れてしまったので遅れてしまったが前衛の仲間に緑に輝く風を取り纏わせ、回避能力を上昇させるファリスだったがこの雑魔たち、なんだかとても頭が残念な仕様なのでもしかすると反撃を食らう前に勝負がつくかもしれない、と思ったことは否めない。
「得意魔法の一つ、封じられちゃったかな?」
 水と風の魔法に特化しているステラは感情のこもらない声で呟いたあと集中して誤射を避けられるよう精度を高め、ウィンドスラッシュを槍でそのまま相手を薙ぎ払うような動作から放つ。
 相手を明確に切り裂くイメージを持って声高に叫んだ。
「戒め解き放たれし風よ……切り裂け!」
 澪の一撃を受けてヒクヒクと痙攣していた瀕死の半魚人が風によって切り裂かれ、動きを止める。
 屋外は雑魔が沼地に戻らないように陸地へ押し込んだ後、最低限の距離を取って、リアルブルーで作られた水中での使用を目的に作られた特殊な小銃の弾丸をお見舞いする。
 水晶もまた沼地へと逃げていくことの内容に退路を断つ場所に位置取り、両刃を備えた刀身を持つ直剣で半魚人を切り裂く。
「活造り、かしらねぇ~……あんまりおいしそうじゃないけどぉ~」
 T-2が切り裂かれ、よろよろとしている半魚人の眉間にスナイパーよろしくデリンジャーの弾丸を撃ち込み黙らせる。
 なんだかんだで結局反撃らしい反撃を受けないまま気づけば残り一体になっている雑魔を全員が取り囲んだ。
「攻撃シマス! フォローミー! 弾頭装填! 主砲発射デース!」
 貫通して味方に被害が出ないように一番身の厚い胴体を狙ってウィニアが攻性強化を行ったうえで機導砲を撃ちこむ。
 仲間もそれに合わせて一斉に銃弾を撃ちこんだり魔法を撃ちこんだり大太刀で切り裂いたりした結果、ハンター側は無傷の勝利を得た。
 半魚人らしき雑魔を食べたがる奇特な人物がいなかったが、遺体を放置すると釣りに来た人が驚くだろうということで一応埋葬。
 雨の中ぬかるむ分苦労はあったが雨で土が柔らかくなっていたため固い土を掘り起こす苦労はなかったのでどっちもどっちということで。
「退治が終わったので、ちゃんとした餌を使って釣りをシマース! 主が釣れたらベリーグッドデスネー!」
 ウィニアが元気よく放置していた釣り道具に新しい餌をつけて釣りを始める準備をする。
「主、は美味しいのでしょうか……釣れるのであればお土産に釣って帰って二人で……」
 屋外は再び恋人へ思いを馳せる一人だけれど二人だけの世界へ旅立った。
「折角ここまで来たんだし、百聞は一見にしかず。主釣りにトライしてみよう」
 ステラも茂みの方に戦闘の被害が出ないように仕舞っておいた釣り具を取り出し主釣りチャレンジ。
「……雨に濡れて、身体が冷えてしまったの。ゆっくり暖かいお風呂に入って、のんびりすべきだと、ファリス、思うの。姉さまたちも一緒に行かない?」
 ファリスが女性陣をお風呂に誘うと主釣りに挑戦しているメンバーからは後で行く、という答えが返ってきた。
 戦闘中も釣りを楽しんだまりおはファリスと一緒にお風呂に行くことに。
「……それにしても外見も頭の中身も奇妙な雑魔でしたね……なんだか精神的な疲労を感じました」
 澪が本日三度目の溜息をついて、とりあえず主釣りに挑戦する地元住民を脅かす半魚人の雑魔退治は終わったのだった。
 ちなみに姿を見る事さえできないという主はやはり釣るのが難しいのか挑戦したハンターたちの前に姿を現すことはなかったものの、食用として流通している魚は何種類かそれぞれが釣り上げたとのことだった。
 主が今も生きて沼地で暮らしているのかは、結局のところ謎のままのようである。

依頼結果

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧


  • 上泉 澪(ka0518
    人間(紅)|19才|女性|霊闘士

  •  (ka0824
    人間(蒼)|16才|女性|疾影士
  • 新航路開発寄与者
    ファリス(ka2853
    人間(紅)|13才|女性|魔術師
  • 海と風の娘
    ステラ・ブルマーレ(ka3014
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 心を守りし者
    屋外(ka3530
    人間(蒼)|25才|男性|疾影士
  • 故郷を偲んで
    姚 水晶(ka3630
    人間(蒼)|20才|女性|闘狩人

  • T-2(ka4106
    人間(蒼)|11才|女性|猟撃士

  • ウィニア・アークライト(ka4249
    人間(蒼)|15才|女性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
姚 水晶(ka3630
人間(リアルブルー)|20才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2015/02/18 20:48:22
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/02/17 01:26:06