ゲスト
(ka0000)
ゴブリンを殲滅せよ!
マスター:赤山優牙

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/02/20 19:00
- 完成日
- 2015/02/24 17:18
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●痩せた騎士の苦悩
その洞窟にゴブリン共が住みつき始めたのは、昨年、傲慢の歪虚が王国に押し寄せた頃であった。
最初は付近の村にちょっかいを出す事はなかったが、数が増えてきてしまったせいか、それとも、冬で満足な食糧が得られなくなったのか、最近は周辺の村々や街道を通る商隊を襲う様になった。
「それで、ゴブリンを討伐するのに、私が派遣されたのです」
周辺の村々の村長達が集まった会合の席で、1人の痩せた騎士が、自分が来た理由を話した。
村長達がヒソヒソとなにか小言を言い合う。
「領主様が道楽し過ぎて領地経営しないからと言って、騎士様1人で大丈夫か?」
「というか、あんなにヒョロヒョロで、戦えるのか?」
「鎧を着たら、鎧に押しつぶされちゃいそうだな」
痩せた騎士は、そんな村長達の言葉を聞こえていない振りをしながら、説明を続ける。
「ゴブリンを討伐する為、私だけではなく、ハンターにも協力をお願いしています」
そして、壁に貼っている地図の中で、ゴブリンの住処となっている洞窟を差した。
「すぐに討伐できますので、ご安心下さい」
「されど、騎士様。前にも儂等でハンターを雇った時は、まんまと逃げられましたぞ」
その村長の言葉に、騎士は目を丸くした。
事情を知らされていなかったのだろう。
「詳しくお訊ねしてもよろしいか?」
「あれは、領主様が……」
1人の村長が語り始めた。
領主が兵士達を派遣し、洞窟内に追い詰めたと思ったら、別口から逃げられた。
次にハンター達にお願いした。いくつかゴブリン共を討伐できたが、数が多く逃げられてしまった。
一応ゴブリンの数は減ったとして、ここいら一帯を治める領主は警備の兵士達を引き上げさせた。
「つまり、まだ相当数のゴブリンがいる事。根城である洞窟には別の出入り口があるという事ですか」
痩せた騎士が考える。
(今から王都に戻って、事情を説明して、兵士達を引き連れて……)
兵士達の武具、食糧、移動手段……考えれば考える程、骨の折れる事ばかりである。
少なくとも数日かかるだろうし、その間、村々の防衛も考える必要がある。
(ハンター達を分散させて防衛に……ダメだ。そんなに拘束する契約じゃない)
まさか、こんなに大変になる任務とは思っていなかった。
いや、もしかして、上司はこの事実を知っていたのではなかろうか。
兵士達は復興で忙しいし、そもそも、ここの問題は、この一帯を治める貴族の役目でもあるので、騎士団の兵力を安易に投入できない事情があったとか。
「『軍師騎士』とも呼ばれる君であれば、こんな任務、あっという間だろう」
上司の言葉を思い出した。
痩せた騎士は、ハンターの協力の元、先の大戦時に、ティベリス河を利用して一夜で城(陣地)を構築するという離れ業をやってのけた。
その後も、主に兵站の維持や管理を、工夫と知恵で乗り越えてきた。
(やはり、ここはここで解決するしかないですね)
覚悟を決める。
彼は元々文官肌であった。先の大戦でも結局、初陣は飾れなかった。
「皆さんにお願いがあります」
ざわめく村長達。
「若いのから年配まで村々で集めて下さい。武器はあればいいですが、無ければ武器になりそうな物でもいいので」
「儂等も戦うのですか?」
1人の村長が悲鳴をあげる。
「いえ、大勢で集まって、ゴブリン達を追い込む為です。主力はハンターの皆様にお願いしますので」
どうやってゴブリンを殲滅するかという具体案はハンターに任せようと思った。
そう……自分は一度も実戦を経験した事がないのだから……。
その洞窟にゴブリン共が住みつき始めたのは、昨年、傲慢の歪虚が王国に押し寄せた頃であった。
最初は付近の村にちょっかいを出す事はなかったが、数が増えてきてしまったせいか、それとも、冬で満足な食糧が得られなくなったのか、最近は周辺の村々や街道を通る商隊を襲う様になった。
「それで、ゴブリンを討伐するのに、私が派遣されたのです」
周辺の村々の村長達が集まった会合の席で、1人の痩せた騎士が、自分が来た理由を話した。
村長達がヒソヒソとなにか小言を言い合う。
「領主様が道楽し過ぎて領地経営しないからと言って、騎士様1人で大丈夫か?」
「というか、あんなにヒョロヒョロで、戦えるのか?」
「鎧を着たら、鎧に押しつぶされちゃいそうだな」
痩せた騎士は、そんな村長達の言葉を聞こえていない振りをしながら、説明を続ける。
「ゴブリンを討伐する為、私だけではなく、ハンターにも協力をお願いしています」
そして、壁に貼っている地図の中で、ゴブリンの住処となっている洞窟を差した。
「すぐに討伐できますので、ご安心下さい」
「されど、騎士様。前にも儂等でハンターを雇った時は、まんまと逃げられましたぞ」
その村長の言葉に、騎士は目を丸くした。
事情を知らされていなかったのだろう。
「詳しくお訊ねしてもよろしいか?」
「あれは、領主様が……」
1人の村長が語り始めた。
領主が兵士達を派遣し、洞窟内に追い詰めたと思ったら、別口から逃げられた。
次にハンター達にお願いした。いくつかゴブリン共を討伐できたが、数が多く逃げられてしまった。
一応ゴブリンの数は減ったとして、ここいら一帯を治める領主は警備の兵士達を引き上げさせた。
「つまり、まだ相当数のゴブリンがいる事。根城である洞窟には別の出入り口があるという事ですか」
痩せた騎士が考える。
(今から王都に戻って、事情を説明して、兵士達を引き連れて……)
兵士達の武具、食糧、移動手段……考えれば考える程、骨の折れる事ばかりである。
少なくとも数日かかるだろうし、その間、村々の防衛も考える必要がある。
(ハンター達を分散させて防衛に……ダメだ。そんなに拘束する契約じゃない)
まさか、こんなに大変になる任務とは思っていなかった。
いや、もしかして、上司はこの事実を知っていたのではなかろうか。
兵士達は復興で忙しいし、そもそも、ここの問題は、この一帯を治める貴族の役目でもあるので、騎士団の兵力を安易に投入できない事情があったとか。
「『軍師騎士』とも呼ばれる君であれば、こんな任務、あっという間だろう」
上司の言葉を思い出した。
痩せた騎士は、ハンターの協力の元、先の大戦時に、ティベリス河を利用して一夜で城(陣地)を構築するという離れ業をやってのけた。
その後も、主に兵站の維持や管理を、工夫と知恵で乗り越えてきた。
(やはり、ここはここで解決するしかないですね)
覚悟を決める。
彼は元々文官肌であった。先の大戦でも結局、初陣は飾れなかった。
「皆さんにお願いがあります」
ざわめく村長達。
「若いのから年配まで村々で集めて下さい。武器はあればいいですが、無ければ武器になりそうな物でもいいので」
「儂等も戦うのですか?」
1人の村長が悲鳴をあげる。
「いえ、大勢で集まって、ゴブリン達を追い込む為です。主力はハンターの皆様にお願いしますので」
どうやってゴブリンを殲滅するかという具体案はハンターに任せようと思った。
そう……自分は一度も実戦を経験した事がないのだから……。
リプレイ本文
●入口側準備
油を染み込ませた木材と油に浸しておいたロープ。
幾本もそれらが、ゴブリン共の根城である洞窟の前に置かれていた。
「仕事で来てる以上はプロとして働かせてもらわよ」
セリス・アルマーズ(ka1079)が入口の前で立つ。
エクラ教の敬虔なシスター……としてではなく、きっと、ハンターとしてなんだろうと村人達は思ったが、誰もツッコミは入れなかった。
村人達は、台車や木板等の障害物で、ぐるりと入口を囲む様に塞いでいた。
今は、ゴブリン共を刺激しないように待機中だ。
「大きな戦の気配がするしのう……準備運動くらいにはなるだろうか」
肩を回して準備運動に入ったのは、バルバロス(ka2119)だ。
ゴブリンを皆殺しにする気であるようだ。
セリスとバルバロスはゴブリン共の根城の入口側を封鎖している。
残りの仲間は出口側に到着して、準備を進めているはずだ。
「そろそろか」
バルバロスが木材を担ぎあげる。
これを洞窟内に投げ込んで、火をつけて、ゴブリン共を炙りだす作戦だ。
出口側でも同様に投げ込む予定である。
「作戦開始だね!」
トランシーバーで仲間と連絡を取っていたセリスが宣言をした。
後方に控えている村人達が緊張する。
その時、唸り声をあげて、バルバロスが渾身の力で、木材を洞窟内に投げ込む。
「よぉし! 私も投げるよ!」
ガシっと木材を掴むと、気合いの掛け声と共に投げるセリス。
「火を頼む」
「任せて!」
幾本か投げ込んだ後に、油の染み込んだロープに火をつけるセリス。
村人の何人かのシスター像が崩れたのは言うまでもない。
「あとは、出口側に任せるかの」
最後に火種の松明を洞窟に投げてバルバロスは戦斧を構えた。
こちら側にも脱出してくるゴブリンを迎え撃って、殲滅するつもりだからだ。
●出口側準備
「ご安心下さい。皆様に危険な真似はさせませんし、やらせもしません。亜人共は、我々が根絶やしにしますから」
メリエ・フリョーシカ(ka1991)が赤い髪を揺らしながら、荷物持ちを手伝う村人達に声をかけた。
村人達が持ってきた木材やロープは既に投げ込まれる準備が整っている。
後は、カル・シャムロック(ka2251)が立案した作戦通り進めるだけだ。
そのカルは、作戦開始を入口側の仲間にトランシーバーで伝えている。
手には、仲間が事前に調査した結果を書き込んだ地図を手にしていた。
「では、私達も始めましょうか」
振り返って、仲間達に呼び掛けると、木材の一本を手に取った。
「ゴブリンの追い込み猟か」
ニヤっと笑ったジュン・トウガ(ka2966)は、先端が尖った杭を出口に向けて幾本か打ち込んでいた。
しかも、ジグザグに配置したので、これを正面から走り抜けるのは勇気がいる。
やっかいなのは、弓や投石をしてくるゴブリンがいたら……だが、根城内で火災に追われれば、そんな余裕はないはずだ。
「噂の軍師騎士様とやらはどの程度やれるのかねぇ」
マルク・D・デメテール(ka0219)が出口に張るロープを持って呟いた。
単独での調査や出口側への先導役、そして、斥候について、申し出たマルクに対し、丁寧に頭を下げて許可を出した騎士の事だ。
それが有利に運ぶ事を、そして、無事にマルクが成し遂げられると判断した上での事だろう。
「賢将は優秀な人物に情報工作を担当させると言う」
「なるほど。軍師としての手腕はあるようだな」
カルの言葉に、マルクは入口側の方角を眺めながら、そんな感想をつく。
高圧的な態度をとる騎士は、死ぬほど嫌いだが、今回の騎士には悪印象がない。
この依頼が片付いたら酒場にでも誘おうかと思う。
「さぁ狩りの時間だ」
リアルブルー製のライフルをしっかりと構えるメリエ。
亜人とは生活圏が共存できないのなら、どちらかが滅ぶしかない。であれば、行うべき行動は一つだけだ。
根城に投げ込まれる木材。そして、火を放つ。
すかさず、出口の所にマルクがロープを張る。
慌てて出て来たゴブリンが躓くように高さを調整した罠だ。
根城の奥からゴブリン共の怪奇な叫び声が響いた。
●ゴブリンの行方
洞窟内で発生した煙は入口側から出てくる事はなかった。
煙は高い方へ上がって行く。ゴブリン共が根城にしている、この洞窟は、出口の方に向かって高くなっているからだ。
「ゴブリンが出てこない……」
セリスがいつでも魔法を使う準備をしながら言った。
確かに、彼女の言う通り、ゴブリンはまだ出てこない。
「焼け死んだか?」
バルバロスは油断なく戦斧を構え続ける。
作戦では、入口出口の両方から脱出してくるゴブリン共を討つ予定であった。
ハンター達の作戦は問題なかった。
だが、戦場とは綿密な計算を越える術の領域である。
度重なる人間の襲撃に怯えるゴブリン共は、以前の襲撃で逃げ出すのに成功した方法を繰り返したのだ。
つまり……。
「出てきおったか!」
待ちかねたぞと言わんばかり叫ぶ、バルバロス。
入口側から5体ばかしのゴブリンが飛びでてくると、2匹がロープに引っ掛かって豪快に転がった。
その内の1体が不幸な事に、バルバロスの目の前に無防備に醜い頭を晒した。
「ヌオォォォ!」
そこに、戦斧を叩きこむ。
巻き割りの様に頭が割れたゴブリン。
もちろん、絶命だ。
「逃がさないよ!」
セリスが、村人達の囲いを突破できずにオロオロとするゴブリンに光球の魔法を放つ。
威力が十分で、一撃でゴブリンを文字通り粉砕した。
残ったゴブリンが逃げ切れずと悟って、必死の反撃を試みる。
だが、慌てているのか、まともに攻撃を当てる事もできなかったし、当たったとしても、厚い鎧がダメージを通さない。
「もう1体じゃ!」
バルバロスの一撃は、起き上がろうとしたゴブリンの頭部を吹き飛ばす。
「それぇ!」
光球の魔法を放ったセリス。直撃したゴブリンが四散する。
2人が繰り出す攻撃は威力があり過ぎるようだ。
生き残った最後の1体が、洞窟内に逃げかえろうとする。
「逃がさないって、言ったぁ!」
その背中にセリスが再び光球を投げつける。
断末魔をあげてゴブリンは崩れたのであった。
戦闘と言うより、駆除作業の様だった。
引き続き根城を警戒するが、これ以上、ゴブリンが出てくる気配がない。
「これだけか?」
「残りは……出口側に向かったって事なのかな」
物足りなさそうなバルバロスの言葉に、ゴブリン共の火葬の準備に入ったセリスが返事をする。
ゴブリン共は30体程いるという。
しかし、倒した数は5体だ。
という事は、残りは根城の中で死んでいるのか、出口側に殺到しているのだろうか。
「もしかして、出口側は大変かも」
心配そうに出口側を見上げるセリス。
ここからは出口周辺がどうなっているか確認できない。
だが、今から行っても間に合うはずもない。
「まぁ、大丈夫じゃろ」
出口側にはハンターが4人いるのだ。
なんとかなるはずだ。苦戦はするかもしれないが……。
●逃げ出すゴブリンの群れ
洞窟の出口を、奇声を発しながらゴブリン達が火災の煙の中、飛び出してくる。
……が、飛び出してきた数匹がロープに引っ掛かって、盛大に倒れ込んだ。
勢いで更に後ろの数匹も仲間に躓いて転がる。
「悪いが、ここから先は行き止まりだ。諦めるんだな!」
マルクがナイフを投げつける。
一直線に放たれたナイフは、倒れたゴブリンを乗り越えて逃げようとするゴブリンの脚に突き刺さった。
悲鳴を上げながら倒れる所に、別のゴブリンが巻き込まれる。
「弱者が淘汰されるのは、自然の摂理。より強きが生き残る」
洞窟前で仁王立ちし、ライフルを構えていたメリエが銃を放った。
ゴブリンが吹き飛んで肉片と化していく。
「全ては、結果が教えてくれる……さぁ、示せ亜人。足掻き、もがいてその力を」
続けて放った射撃は、出口から飛び出て林の中に逃げ込もうとするゴブリンの背中に丸い穴をあけた。
彼女が銃撃をするたびに、確実にゴブリンを仕留めていく。
だが、ゴブリンは出口から続々と飛び出してきた。
「一匹ずつ首を刈るだけだ」
周囲の状況を把握しつつ、カルが光剣を作りだすと、目の前に迫るゴブリンを斬りつける。
火災でもともと怪我をしていたのか、首元に叩きこむと、それで動かなくなる。
それでも、次から次に飛び出てくるゴブリンの数に、カルは不測の事態が発生してるのではと思った。
とりあえず、討ち漏らしを少なくしないといけない。
ここは、なるべく出口を抑え、抜けたゴブリンをマルクとメリエに任せるしかないと感じた。
その意図を汲んでか、ジュンが出口近くで派手に立ち回る。
「ほとんど経験はないが、複数の敵とやり合う基本ならなら、色々習ってるんだぜ」
なるべくであれば、一対一の戦闘を心がけるようにしたかったのだが、この状況では、そうは言ってられない。
燃える根城から慌てて飛び出てきたのか、ゴブリン共のいくつかは戦闘する意思はないようで、仲間を押しのけるように逃げようとして混乱している。
それでも何体かは武器を持って、襲いかかってきた。
倒れ込んでくるように飛びかかってくるゴブリンを別のゴブリンに向かって蹴り飛ばすと、棍棒を振り下ろすゴブリンを武器ごと吹き飛ばす。
「なめてかかると痛い目見るぞゴブリンが!」
クルリと反転し、ゴブリンの脚を狙って武器を振るう。
優先的に、ゴブリンの脚を狙っているのだ。
まずは逃走を防ぐのが大事と判断したからだ。
脚を負傷し転がったゴブリンを放置して、次の獲物を定める。
ほぼ囲まれる形になったジュンとカルを援護する形で、メリエの銃弾が確実にゴブリンを撃ち倒していく。
「潰すだけだ」
装填してある弾を打ち切り、リロードしようとした所に前衛を抜けたゴブリンが迫る。
咄嗟にライフルから斧に持ち替えると、力の限り上段から振り落とし、そのゴブリンを倒すと、身体を捻り、もう1体迫ってくるゴブリンの突撃を避け、その頭に斧を叩きこむ。
その場で動かなくなったゴブリンを斧ごと放っておいて、ライフルの弾を装填し直した。
他にも抜けたゴブリンがいるはず……。
と、視線を変えた先にマルクが、素早い動きで、打ち込んである杭を立体的な動きで利用しつつ、逃げ出すゴブリンを背後から斬りかかっているのが見えた。
「ははっ、どこに行こうってんだ?」
容赦ない一撃が背中に叩きこまれる。
逃げ切らなかった哀れなゴブリンは倒れ込んだ。
「今度は、アイツか」
反対側の林に逃げようとするゴブリンを見つけると、疾影士の特性を活かして距離を詰めていく。
慌てたゴブリンが無様に転倒すると、マルクの武器がゴブリンの首を抉った。
マルクが逃げ出すゴブリンに追撃している姿は、前線に立つカルの視界の中にも入っていた。
なるべくゴブリンを逃がさないように、かつ、完全に取り囲まれない様に立ち位置を変える。
同じく前線に立つジュンの動きと合わせる。
2人で死角を少なくし、お互いの背を守る様に戦っているためだ。
入口側と違って、完全包囲にしなかったのは、ある意味幸運だったかもしれない。
パッと見、逃げられると感じたゴブリン達は戦闘よりも我先に逃げ出そうとする方が多かったからだ。
これだけの数のゴブリンが本気をだして一斉に襲いかかってきては、さしものハンターもただでは済まないだろう。
そういうわけで、ゴブリン達は仲間を押したり引いたりして組織だった動きはしていなかった。
「ぐぇぇぇ!」
後ろから仲間に押されたゴブリンの1体が、ジュンが設置した杭に突き刺さる。
突き刺さった所が悪かったのか、そのゴブリンは動かなくなる。
出口周辺にジグザグに打ち込んだ杭は、思った以上に足止めの効果を発揮しているようで、ハンター達の目論み通り、出口付近でゴブリン達の動きを抑えられていた。
それでも、幾体かがハンター達の囲みを突破して林の中へ逃げ込んで行く、だが、追いかける余裕まではない。
多勢に無勢のカルとジュンは傷だらけで、メリエは2人を援護する射撃で手一杯。
マルクも多方向へとバラバラに逃げるゴブリン全てを捌くのは、さすがに無理がある。
なので、戦闘が終結した時には、幾体かは取り逃がしていたのであった。
●戦闘を終えて
出口側のゴブリンの死体を数え集め、セリスが祈りの言葉を発しながら、火を放つ。
「死者にもエクラの光は平等に降り注ぎます。来世は共に歩めることを」
光弾でゴブリンを粉砕していたシスターの慈悲溢れる言葉。
まるで魂が天に昇る様に、荼毘の煙が高く上がっていく。
その様子を見ながらジュンは、地面に突き刺した杭を引っこ抜いていた。
ゴブリンが多くて気がつかなかったが、先端にはゴブリンと思われる血が付着している物が多かった。
有効に機能していたのだと感じる。
「追い込み猟もなかなかだったな」
今回は数を多く相手にする事になった。
ゴブリン全てが戦闘モードだったらどうなっていただろうかと思ったが、結果は変わらないなと思う事にした。
ともかく、良い経験にはなった様だ。
「中は大丈夫のようじゃ」
「掃討は完了だな」
そう言って根城から出て来たのはバルバロスとマルクだ。
火災が収まるのを待ってから、洞窟内に生き残っているゴブリンがいないか確認していたのだ。
結局、洞窟内に潜んでいるゴブリンはいなかった。
ゴブリン共が残した物も残らず焼けた様子で、掃除の手間が省けたのかもしれない。
同行したメリエも洞窟から出ると、目の前で荼毘に付されているゴブリンの死体の山を見る。
「生存競争に慈悲はない。弱肉強食。それが、私が学んだ事」
まるで自分に言い聞かせるように呟く。
そこへ、軍師騎士こと、痩せた騎士がやってきた。
「皆さん、大変お疲れ様でした」
丁寧に一礼をすると不器用な笑みを浮かべる。
彼は村人達と共に入口側でバリケードを作っていたので、正確な意味での初陣は飾れなかったようだが、その事を気にした様子はないようだ。
「すまない。数体、逃がしてしまったようだ」
作戦を立てたカルが申し訳なさそうに言った台詞に騎士は大げさな手振りをした。
「いえいえ! 大戦果ですよ! 逃げたゴブリンも恐怖に怯え、戻ってくる事はないはずです」
ゴブリンの死体の数から、逃げ出したのは数体だと思われる。
だが、これだけ徹底的にやったのだ。別の群れに合流する事があっても、むしろ、もう二度と近付かないだろう。
そういう意味では、幾体か逃げられてよかったのかもしれない。
騎士が突然、ガシっとカルの手を握った。
「とても勉強になりました! 木材を投げ込んで火をかけるなんて、私じゃ、幾年経っても思いつきませんでしたよ」
「な、なら、いいのだが……」
騎士の余りの勢いに、カルは押され気味だったのであった。
おしまい。
油を染み込ませた木材と油に浸しておいたロープ。
幾本もそれらが、ゴブリン共の根城である洞窟の前に置かれていた。
「仕事で来てる以上はプロとして働かせてもらわよ」
セリス・アルマーズ(ka1079)が入口の前で立つ。
エクラ教の敬虔なシスター……としてではなく、きっと、ハンターとしてなんだろうと村人達は思ったが、誰もツッコミは入れなかった。
村人達は、台車や木板等の障害物で、ぐるりと入口を囲む様に塞いでいた。
今は、ゴブリン共を刺激しないように待機中だ。
「大きな戦の気配がするしのう……準備運動くらいにはなるだろうか」
肩を回して準備運動に入ったのは、バルバロス(ka2119)だ。
ゴブリンを皆殺しにする気であるようだ。
セリスとバルバロスはゴブリン共の根城の入口側を封鎖している。
残りの仲間は出口側に到着して、準備を進めているはずだ。
「そろそろか」
バルバロスが木材を担ぎあげる。
これを洞窟内に投げ込んで、火をつけて、ゴブリン共を炙りだす作戦だ。
出口側でも同様に投げ込む予定である。
「作戦開始だね!」
トランシーバーで仲間と連絡を取っていたセリスが宣言をした。
後方に控えている村人達が緊張する。
その時、唸り声をあげて、バルバロスが渾身の力で、木材を洞窟内に投げ込む。
「よぉし! 私も投げるよ!」
ガシっと木材を掴むと、気合いの掛け声と共に投げるセリス。
「火を頼む」
「任せて!」
幾本か投げ込んだ後に、油の染み込んだロープに火をつけるセリス。
村人の何人かのシスター像が崩れたのは言うまでもない。
「あとは、出口側に任せるかの」
最後に火種の松明を洞窟に投げてバルバロスは戦斧を構えた。
こちら側にも脱出してくるゴブリンを迎え撃って、殲滅するつもりだからだ。
●出口側準備
「ご安心下さい。皆様に危険な真似はさせませんし、やらせもしません。亜人共は、我々が根絶やしにしますから」
メリエ・フリョーシカ(ka1991)が赤い髪を揺らしながら、荷物持ちを手伝う村人達に声をかけた。
村人達が持ってきた木材やロープは既に投げ込まれる準備が整っている。
後は、カル・シャムロック(ka2251)が立案した作戦通り進めるだけだ。
そのカルは、作戦開始を入口側の仲間にトランシーバーで伝えている。
手には、仲間が事前に調査した結果を書き込んだ地図を手にしていた。
「では、私達も始めましょうか」
振り返って、仲間達に呼び掛けると、木材の一本を手に取った。
「ゴブリンの追い込み猟か」
ニヤっと笑ったジュン・トウガ(ka2966)は、先端が尖った杭を出口に向けて幾本か打ち込んでいた。
しかも、ジグザグに配置したので、これを正面から走り抜けるのは勇気がいる。
やっかいなのは、弓や投石をしてくるゴブリンがいたら……だが、根城内で火災に追われれば、そんな余裕はないはずだ。
「噂の軍師騎士様とやらはどの程度やれるのかねぇ」
マルク・D・デメテール(ka0219)が出口に張るロープを持って呟いた。
単独での調査や出口側への先導役、そして、斥候について、申し出たマルクに対し、丁寧に頭を下げて許可を出した騎士の事だ。
それが有利に運ぶ事を、そして、無事にマルクが成し遂げられると判断した上での事だろう。
「賢将は優秀な人物に情報工作を担当させると言う」
「なるほど。軍師としての手腕はあるようだな」
カルの言葉に、マルクは入口側の方角を眺めながら、そんな感想をつく。
高圧的な態度をとる騎士は、死ぬほど嫌いだが、今回の騎士には悪印象がない。
この依頼が片付いたら酒場にでも誘おうかと思う。
「さぁ狩りの時間だ」
リアルブルー製のライフルをしっかりと構えるメリエ。
亜人とは生活圏が共存できないのなら、どちらかが滅ぶしかない。であれば、行うべき行動は一つだけだ。
根城に投げ込まれる木材。そして、火を放つ。
すかさず、出口の所にマルクがロープを張る。
慌てて出て来たゴブリンが躓くように高さを調整した罠だ。
根城の奥からゴブリン共の怪奇な叫び声が響いた。
●ゴブリンの行方
洞窟内で発生した煙は入口側から出てくる事はなかった。
煙は高い方へ上がって行く。ゴブリン共が根城にしている、この洞窟は、出口の方に向かって高くなっているからだ。
「ゴブリンが出てこない……」
セリスがいつでも魔法を使う準備をしながら言った。
確かに、彼女の言う通り、ゴブリンはまだ出てこない。
「焼け死んだか?」
バルバロスは油断なく戦斧を構え続ける。
作戦では、入口出口の両方から脱出してくるゴブリン共を討つ予定であった。
ハンター達の作戦は問題なかった。
だが、戦場とは綿密な計算を越える術の領域である。
度重なる人間の襲撃に怯えるゴブリン共は、以前の襲撃で逃げ出すのに成功した方法を繰り返したのだ。
つまり……。
「出てきおったか!」
待ちかねたぞと言わんばかり叫ぶ、バルバロス。
入口側から5体ばかしのゴブリンが飛びでてくると、2匹がロープに引っ掛かって豪快に転がった。
その内の1体が不幸な事に、バルバロスの目の前に無防備に醜い頭を晒した。
「ヌオォォォ!」
そこに、戦斧を叩きこむ。
巻き割りの様に頭が割れたゴブリン。
もちろん、絶命だ。
「逃がさないよ!」
セリスが、村人達の囲いを突破できずにオロオロとするゴブリンに光球の魔法を放つ。
威力が十分で、一撃でゴブリンを文字通り粉砕した。
残ったゴブリンが逃げ切れずと悟って、必死の反撃を試みる。
だが、慌てているのか、まともに攻撃を当てる事もできなかったし、当たったとしても、厚い鎧がダメージを通さない。
「もう1体じゃ!」
バルバロスの一撃は、起き上がろうとしたゴブリンの頭部を吹き飛ばす。
「それぇ!」
光球の魔法を放ったセリス。直撃したゴブリンが四散する。
2人が繰り出す攻撃は威力があり過ぎるようだ。
生き残った最後の1体が、洞窟内に逃げかえろうとする。
「逃がさないって、言ったぁ!」
その背中にセリスが再び光球を投げつける。
断末魔をあげてゴブリンは崩れたのであった。
戦闘と言うより、駆除作業の様だった。
引き続き根城を警戒するが、これ以上、ゴブリンが出てくる気配がない。
「これだけか?」
「残りは……出口側に向かったって事なのかな」
物足りなさそうなバルバロスの言葉に、ゴブリン共の火葬の準備に入ったセリスが返事をする。
ゴブリン共は30体程いるという。
しかし、倒した数は5体だ。
という事は、残りは根城の中で死んでいるのか、出口側に殺到しているのだろうか。
「もしかして、出口側は大変かも」
心配そうに出口側を見上げるセリス。
ここからは出口周辺がどうなっているか確認できない。
だが、今から行っても間に合うはずもない。
「まぁ、大丈夫じゃろ」
出口側にはハンターが4人いるのだ。
なんとかなるはずだ。苦戦はするかもしれないが……。
●逃げ出すゴブリンの群れ
洞窟の出口を、奇声を発しながらゴブリン達が火災の煙の中、飛び出してくる。
……が、飛び出してきた数匹がロープに引っ掛かって、盛大に倒れ込んだ。
勢いで更に後ろの数匹も仲間に躓いて転がる。
「悪いが、ここから先は行き止まりだ。諦めるんだな!」
マルクがナイフを投げつける。
一直線に放たれたナイフは、倒れたゴブリンを乗り越えて逃げようとするゴブリンの脚に突き刺さった。
悲鳴を上げながら倒れる所に、別のゴブリンが巻き込まれる。
「弱者が淘汰されるのは、自然の摂理。より強きが生き残る」
洞窟前で仁王立ちし、ライフルを構えていたメリエが銃を放った。
ゴブリンが吹き飛んで肉片と化していく。
「全ては、結果が教えてくれる……さぁ、示せ亜人。足掻き、もがいてその力を」
続けて放った射撃は、出口から飛び出て林の中に逃げ込もうとするゴブリンの背中に丸い穴をあけた。
彼女が銃撃をするたびに、確実にゴブリンを仕留めていく。
だが、ゴブリンは出口から続々と飛び出してきた。
「一匹ずつ首を刈るだけだ」
周囲の状況を把握しつつ、カルが光剣を作りだすと、目の前に迫るゴブリンを斬りつける。
火災でもともと怪我をしていたのか、首元に叩きこむと、それで動かなくなる。
それでも、次から次に飛び出てくるゴブリンの数に、カルは不測の事態が発生してるのではと思った。
とりあえず、討ち漏らしを少なくしないといけない。
ここは、なるべく出口を抑え、抜けたゴブリンをマルクとメリエに任せるしかないと感じた。
その意図を汲んでか、ジュンが出口近くで派手に立ち回る。
「ほとんど経験はないが、複数の敵とやり合う基本ならなら、色々習ってるんだぜ」
なるべくであれば、一対一の戦闘を心がけるようにしたかったのだが、この状況では、そうは言ってられない。
燃える根城から慌てて飛び出てきたのか、ゴブリン共のいくつかは戦闘する意思はないようで、仲間を押しのけるように逃げようとして混乱している。
それでも何体かは武器を持って、襲いかかってきた。
倒れ込んでくるように飛びかかってくるゴブリンを別のゴブリンに向かって蹴り飛ばすと、棍棒を振り下ろすゴブリンを武器ごと吹き飛ばす。
「なめてかかると痛い目見るぞゴブリンが!」
クルリと反転し、ゴブリンの脚を狙って武器を振るう。
優先的に、ゴブリンの脚を狙っているのだ。
まずは逃走を防ぐのが大事と判断したからだ。
脚を負傷し転がったゴブリンを放置して、次の獲物を定める。
ほぼ囲まれる形になったジュンとカルを援護する形で、メリエの銃弾が確実にゴブリンを撃ち倒していく。
「潰すだけだ」
装填してある弾を打ち切り、リロードしようとした所に前衛を抜けたゴブリンが迫る。
咄嗟にライフルから斧に持ち替えると、力の限り上段から振り落とし、そのゴブリンを倒すと、身体を捻り、もう1体迫ってくるゴブリンの突撃を避け、その頭に斧を叩きこむ。
その場で動かなくなったゴブリンを斧ごと放っておいて、ライフルの弾を装填し直した。
他にも抜けたゴブリンがいるはず……。
と、視線を変えた先にマルクが、素早い動きで、打ち込んである杭を立体的な動きで利用しつつ、逃げ出すゴブリンを背後から斬りかかっているのが見えた。
「ははっ、どこに行こうってんだ?」
容赦ない一撃が背中に叩きこまれる。
逃げ切らなかった哀れなゴブリンは倒れ込んだ。
「今度は、アイツか」
反対側の林に逃げようとするゴブリンを見つけると、疾影士の特性を活かして距離を詰めていく。
慌てたゴブリンが無様に転倒すると、マルクの武器がゴブリンの首を抉った。
マルクが逃げ出すゴブリンに追撃している姿は、前線に立つカルの視界の中にも入っていた。
なるべくゴブリンを逃がさないように、かつ、完全に取り囲まれない様に立ち位置を変える。
同じく前線に立つジュンの動きと合わせる。
2人で死角を少なくし、お互いの背を守る様に戦っているためだ。
入口側と違って、完全包囲にしなかったのは、ある意味幸運だったかもしれない。
パッと見、逃げられると感じたゴブリン達は戦闘よりも我先に逃げ出そうとする方が多かったからだ。
これだけの数のゴブリンが本気をだして一斉に襲いかかってきては、さしものハンターもただでは済まないだろう。
そういうわけで、ゴブリン達は仲間を押したり引いたりして組織だった動きはしていなかった。
「ぐぇぇぇ!」
後ろから仲間に押されたゴブリンの1体が、ジュンが設置した杭に突き刺さる。
突き刺さった所が悪かったのか、そのゴブリンは動かなくなる。
出口周辺にジグザグに打ち込んだ杭は、思った以上に足止めの効果を発揮しているようで、ハンター達の目論み通り、出口付近でゴブリン達の動きを抑えられていた。
それでも、幾体かがハンター達の囲みを突破して林の中へ逃げ込んで行く、だが、追いかける余裕まではない。
多勢に無勢のカルとジュンは傷だらけで、メリエは2人を援護する射撃で手一杯。
マルクも多方向へとバラバラに逃げるゴブリン全てを捌くのは、さすがに無理がある。
なので、戦闘が終結した時には、幾体かは取り逃がしていたのであった。
●戦闘を終えて
出口側のゴブリンの死体を数え集め、セリスが祈りの言葉を発しながら、火を放つ。
「死者にもエクラの光は平等に降り注ぎます。来世は共に歩めることを」
光弾でゴブリンを粉砕していたシスターの慈悲溢れる言葉。
まるで魂が天に昇る様に、荼毘の煙が高く上がっていく。
その様子を見ながらジュンは、地面に突き刺した杭を引っこ抜いていた。
ゴブリンが多くて気がつかなかったが、先端にはゴブリンと思われる血が付着している物が多かった。
有効に機能していたのだと感じる。
「追い込み猟もなかなかだったな」
今回は数を多く相手にする事になった。
ゴブリン全てが戦闘モードだったらどうなっていただろうかと思ったが、結果は変わらないなと思う事にした。
ともかく、良い経験にはなった様だ。
「中は大丈夫のようじゃ」
「掃討は完了だな」
そう言って根城から出て来たのはバルバロスとマルクだ。
火災が収まるのを待ってから、洞窟内に生き残っているゴブリンがいないか確認していたのだ。
結局、洞窟内に潜んでいるゴブリンはいなかった。
ゴブリン共が残した物も残らず焼けた様子で、掃除の手間が省けたのかもしれない。
同行したメリエも洞窟から出ると、目の前で荼毘に付されているゴブリンの死体の山を見る。
「生存競争に慈悲はない。弱肉強食。それが、私が学んだ事」
まるで自分に言い聞かせるように呟く。
そこへ、軍師騎士こと、痩せた騎士がやってきた。
「皆さん、大変お疲れ様でした」
丁寧に一礼をすると不器用な笑みを浮かべる。
彼は村人達と共に入口側でバリケードを作っていたので、正確な意味での初陣は飾れなかったようだが、その事を気にした様子はないようだ。
「すまない。数体、逃がしてしまったようだ」
作戦を立てたカルが申し訳なさそうに言った台詞に騎士は大げさな手振りをした。
「いえいえ! 大戦果ですよ! 逃げたゴブリンも恐怖に怯え、戻ってくる事はないはずです」
ゴブリンの死体の数から、逃げ出したのは数体だと思われる。
だが、これだけ徹底的にやったのだ。別の群れに合流する事があっても、むしろ、もう二度と近付かないだろう。
そういう意味では、幾体か逃げられてよかったのかもしれない。
騎士が突然、ガシっとカルの手を握った。
「とても勉強になりました! 木材を投げ込んで火をかけるなんて、私じゃ、幾年経っても思いつきませんでしたよ」
「な、なら、いいのだが……」
騎士の余りの勢いに、カルは押され気味だったのであった。
おしまい。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/02/17 11:55:54 |
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作戦会議 セリス・アルマーズ(ka1079) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/02/20 00:40:28 |