ゲスト
(ka0000)
【アルカナ】 狂う戦車は轍を刻む
マスター:桐咲鈴華

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/03/15 12:00
- 完成日
- 2015/03/22 22:59
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
辺境東部、なだらかな平地が広がる開けた大地。
突き抜けるような蒼穹が眼前に広がる爽やかな場所を、とある商隊が歩いていた。彼らは南部の海から辺境の部族達に様々な輸入品を卸売りしている商人たちだ。歪虚にも対抗出来るように多くのボディガードを従え、平原を歩いていく。
「もう少ししたら到着だ。やれやれ、もう少し交通の便が良くなればいいんだが……」
「流通するようになったら売値も下がっちまうだろ。金を稼ぐのは楽じゃねぇんだ、文句を言うな」
「わーってるよ。こういうのを買ってくれる部族が居る事を見つけた事自体がありがてぇんだからな」
彼らは海を渡り、北方沿岸に船を着け、そこから更に歩くのだ。非常に険しい道のりを経て漸く辿り着いた部族の村で品々を売捌き、利益をあげている。
「それにしても地平線が見えかねない程の場所だな、ここ。あの向こうには東方世界があるんだよな……なんか行けそうな気がするぜ」
「はは、そうだな、歪虚の気配もそんなねぇし……」
ポッポーッ!
「「!?」」
そんな取り留めのない会話の締めに突如として鳴り響く汽笛の音。そちらの方を向くと、何もないはずの平原に黒い列車が走って、こちらへ向かってきていた。列車など見たこと無い商人達は、突然の謎の機械の襲来に混乱する。
「は……!? な、なんだあれ……!」
しかもそれは普通の列車ではない。こちらに近づきながら車体の一部を変形させ、そこからチェーンソーや砲身などが飛び出す。
「や、やべぇ、逃げ……!」
言い終わる前に砲撃によって爆撃された商隊。その残骸を暴走列車は轢き飛ばして通りすぎていった。
●
「……以上が、辛うじて生き永らえた、商人の証言となります」
場面は変わってハンターオフィス。商隊が襲撃にあったということを知らせてくれたのは、運良く商隊から離れた場所で隠れる事の出来た商人の一人だった。それでも爆風による傷は深く、命からがら逃げ帰れたということらしい。
「……もしかして、これも?」
オフィスの受付嬢がエフィーリア・タロッキ(kz0077)に確認をとる。エフィーリアは最近起きている事件について目敏く調査を行っており、今回の一件が気になると、改めて確認をしていた。
「……血と爆炎の轍を刻む、、鉄(くろがね)の戦車。……ええ、恐らく間違いありません。『アルカナ』です」
エフィーリアのいう『アルカナ』とは、エフィーリアの所属する部族、タロッキ族が300年前に封じた歪虚群の総称であり、現在までその封印が守られてきた。
しかし近年の歪虚との戦いでその封印に綻びが生じ、その力の一部が漏れ出たらしい。その事態に対抗する為に、エフィーリアは部族の代表としてハンターズソサエティに与していた。
「線路もない道を突き進み、殺戮をまき散らす……機械。恐らくそれは歪虚『The Chariot』でしょう。 『人を滅ぼせ』という命令を忠実に実行する、意思無き戦車。内蔵されたカラクリが様々な武装を生み出し、突撃・蹂躙する歪虚。その堅牢さと破壊力はアルカナの中でも随一と言われています……」
ごくり、と受付嬢が息を呑む。リアルブルー出身という彼女が思うに、その姿はまさしく『暴走列車』だ。リアルブルーにおいてはありふれた乗り物だっただけに、列車の突進力を身近に知っている。それが様々な兵器を携えて、レールも無しに襲いかかって来るのだ。その脅威は想像に難くない。
「……それで、その歪虚は今どこに?」
「えっと、商隊員の話では東からやってきて、商隊を轢きながら北の方へと走っていったそうです。辺境部族の方からも、妙な列車を見たという報告が幾つか寄せられています」
「……あれに意思はなく、人を襲うことだけを目的とした機械。放置すればますます被害は増える事でしょう。強力な歪虚ですが、ハンター様方ならば……。どうか、Chariotの討伐に、力を貸して下さい」
エフィーリアは受付嬢に頭を下げる。こうして、強力な歪虚、Chariotの討伐依頼がオフィスに貼りだされるのだった。
辺境東部、なだらかな平地が広がる開けた大地。
突き抜けるような蒼穹が眼前に広がる爽やかな場所を、とある商隊が歩いていた。彼らは南部の海から辺境の部族達に様々な輸入品を卸売りしている商人たちだ。歪虚にも対抗出来るように多くのボディガードを従え、平原を歩いていく。
「もう少ししたら到着だ。やれやれ、もう少し交通の便が良くなればいいんだが……」
「流通するようになったら売値も下がっちまうだろ。金を稼ぐのは楽じゃねぇんだ、文句を言うな」
「わーってるよ。こういうのを買ってくれる部族が居る事を見つけた事自体がありがてぇんだからな」
彼らは海を渡り、北方沿岸に船を着け、そこから更に歩くのだ。非常に険しい道のりを経て漸く辿り着いた部族の村で品々を売捌き、利益をあげている。
「それにしても地平線が見えかねない程の場所だな、ここ。あの向こうには東方世界があるんだよな……なんか行けそうな気がするぜ」
「はは、そうだな、歪虚の気配もそんなねぇし……」
ポッポーッ!
「「!?」」
そんな取り留めのない会話の締めに突如として鳴り響く汽笛の音。そちらの方を向くと、何もないはずの平原に黒い列車が走って、こちらへ向かってきていた。列車など見たこと無い商人達は、突然の謎の機械の襲来に混乱する。
「は……!? な、なんだあれ……!」
しかもそれは普通の列車ではない。こちらに近づきながら車体の一部を変形させ、そこからチェーンソーや砲身などが飛び出す。
「や、やべぇ、逃げ……!」
言い終わる前に砲撃によって爆撃された商隊。その残骸を暴走列車は轢き飛ばして通りすぎていった。
●
「……以上が、辛うじて生き永らえた、商人の証言となります」
場面は変わってハンターオフィス。商隊が襲撃にあったということを知らせてくれたのは、運良く商隊から離れた場所で隠れる事の出来た商人の一人だった。それでも爆風による傷は深く、命からがら逃げ帰れたということらしい。
「……もしかして、これも?」
オフィスの受付嬢がエフィーリア・タロッキ(kz0077)に確認をとる。エフィーリアは最近起きている事件について目敏く調査を行っており、今回の一件が気になると、改めて確認をしていた。
「……血と爆炎の轍を刻む、、鉄(くろがね)の戦車。……ええ、恐らく間違いありません。『アルカナ』です」
エフィーリアのいう『アルカナ』とは、エフィーリアの所属する部族、タロッキ族が300年前に封じた歪虚群の総称であり、現在までその封印が守られてきた。
しかし近年の歪虚との戦いでその封印に綻びが生じ、その力の一部が漏れ出たらしい。その事態に対抗する為に、エフィーリアは部族の代表としてハンターズソサエティに与していた。
「線路もない道を突き進み、殺戮をまき散らす……機械。恐らくそれは歪虚『The Chariot』でしょう。 『人を滅ぼせ』という命令を忠実に実行する、意思無き戦車。内蔵されたカラクリが様々な武装を生み出し、突撃・蹂躙する歪虚。その堅牢さと破壊力はアルカナの中でも随一と言われています……」
ごくり、と受付嬢が息を呑む。リアルブルー出身という彼女が思うに、その姿はまさしく『暴走列車』だ。リアルブルーにおいてはありふれた乗り物だっただけに、列車の突進力を身近に知っている。それが様々な兵器を携えて、レールも無しに襲いかかって来るのだ。その脅威は想像に難くない。
「……それで、その歪虚は今どこに?」
「えっと、商隊員の話では東からやってきて、商隊を轢きながら北の方へと走っていったそうです。辺境部族の方からも、妙な列車を見たという報告が幾つか寄せられています」
「……あれに意思はなく、人を襲うことだけを目的とした機械。放置すればますます被害は増える事でしょう。強力な歪虚ですが、ハンター様方ならば……。どうか、Chariotの討伐に、力を貸して下さい」
エフィーリアは受付嬢に頭を下げる。こうして、強力な歪虚、Chariotの討伐依頼がオフィスに貼りだされるのだった。
リプレイ本文
●蹂躙せし戦車
戦車(Chariot)は汽笛を鳴らしながら渓谷の岩場を爆走している。すべてを轢き潰し、蹂躙する戦車は勢いを止めること無く走り続けている。
「目標を確認したぜ。魔導トラックみたいな感じの馬車……あれだな」
崖の上で馬に騎乗して見下ろすのはロジャー=ウィステリアランド(ka2900)。
「ミオレスカからマカロンも貰ったし、絶好調だ。頼むぜ、月の女神ちゃん」
崖の上から、爆走する戦車を狙う。マテリアルを込めて引き絞った矢に、更にマテリアルを込める。戦車が射程に入った瞬間に番えた矢を放つ。射程ギリギリから放たれた魔力の矢は戦車の装甲の一部を穿つ。
『ポッポーッ!』
その瞬間戦車は汽笛を鳴らし、ロジャーのいる方向へと向かってきた。
「うおっ! 反応はええ!」
ロジャーはすぐさま馬の手綱を鳴らし、踵を返して走りだす。
「カモ~ン、チャリオットくぅ~ん!」
煽るように捨て台詞を吐きながら全速力で走り去るロジャー。戦車はそれを追走する。一号車が変形して砲台が飛び出ると、砲撃が次々に飛来してくる。
「無駄無駄、届かねぇって!」
元より砲台の射程外からの狙撃だ。戦車の攻撃はロジャーに届く手前あたりで炸裂を続け、ロジャーは目標のポイントまで逃げようとする。途中までは何とか順調に逃げ続けられていた彼であったが、馬がやけに暴れる。
「……っとと!?」
確かに本来ならば列車よりも僅かに速度が早い馬ならば逃げ切れただろう。だが、戦いに慣れていない乗馬用馬は背後から連続する爆撃の音にすっかり怯え錯乱してしまっている。走り慣れない険しい岩場も相まって、本来の速度を維持できずに少しずつ、戦車に距離を詰められてしまう。
「くっ……」
たまらずロジャーは背後の戦車に向けて弓を引き絞る。狙うは……
「そこだっ!」
ロジャーの放った矢は、見事に数あるうちの砲台のうちの一つ、砲身の中に直撃する。発射の瞬間に放たれた矢が砲丸を暴発させ、戦車が大きく衝撃を受け、横の壁に激突した。
「へへっ、どうだ!」
だがその程度で戦車は止まらない。黒煙を突き抜け、岩肌を押し削って強引に車体を進ませる戦車は、驚く事にそのまま壁を這うように登ってくる。
「なん……っそんなのアリか!?」
慌てて距離を取るロジャーを、同じ道に着地した戦車の他の砲台が狙う。爆撃は地面を、崖を、壁を、無作為に爆砕して突き進んでゆく。仲間と打ち合わせした、目標の橋が見えたあたりで、ロジャーの馬が運悪く脚をもつれさせてしまった。
「うわぁっ!?」
投げ出されるロジャー、すぐさま受け身をとって、向こう岸まで走り抜こうとする。背後から迫る砲弾の爆風が、橋を渡ろうとするロジャーを吹き飛ばす。橋の中間あたりで転がり、続く砲弾が今度はロジャーを直撃し、吹き飛ばされた。
「おいっ、大丈夫じゃん!?」
そこへ、橋を壊す為に待機していたゾファルGU(ka4407)が駆けつけ、宙を舞うロジャーを受け止める。ロジャーは気を失っていたが、命に別状はないようだ。仲間から送られたマテリアルが、致命傷からギリギリのところで彼を守ったようだ。
「……えらく面白いことやってくれるじゃん!」
ゾファルがロジャーを岸に下ろすと、後続から迫る戦車が橋に差し掛かる。予め橋脚にはパイルバンカーで亀裂を入れておいた為、戦車が橋に差し掛かるとミシミシと音を立てる。
「ほうら、俺様ちゃんと一緒に落ちるじゃん!」
トドメの一撃とばかりに橋にパイルバンカーによる一撃を加えるゾファル。衝撃が亀裂となり、脆くなった橋が大きな音を立てて倒壊。戦車とゾファルが谷底へと落ちていく。更にゾファルは瓦礫から瓦礫へと飛び移り、列車の天井にしがみつく。
「内部は……っと、ここから入れるじゃん……?」
最後尾の車両に取り付けられたドアを乱暴に破壊し、侵入する。その後すぐに列車が音を立てて谷底に激突した。
「がっ!」
だが、ゾファルの目論見は少し外れた。列車をクッションに落下の衝撃を緩和させようとしたが、戦車の材質は固く、殆ど衝撃を吸収できるものではない。伝わった衝撃によるダメージが脚にまともに入り、右足を負傷してしまう。それでも致命傷になりえないのは、強靭な生命力を持つ覚醒者のなせる業だろう。
「うまくいくと思ったんじゃーん……!」
痛みに苦悶の声を漏らしつつ、脚にマテリアルヒーリングをかけて自己治癒にかかる。
●魔列車との死闘
落下の衝撃で横倒しになった戦車は、三号車からロボットアームを展開。機械の腕が地面に手をつき、車両を起こす。その瞬間に、谷底で待機していたエヴァンス・カルヴィ(ka0639)とシャガ=VII(ka2292)が、ゾファルの破壊した最後尾から乗り込む。
「俺の風…大剣がどこまで断ち切れるか試させてもらうぜ!」
「……チャリオットなンざ、イイ名前してくれてンじャねェの」
未知の強敵を前に気持ちを高揚させるエヴァンスと、自らの誇りある立場と同じ名を持つ戦車に激しい怒りを燃やすシャガ。
エヴァンスは愛馬セラフを走らせ、四号車両を一気に駆け抜けて三号車へ向かう。四号車は変形し、外側に取り付けられた機銃が一斉に内部を向いた。
「……はっ、腕が鳴るじゃん!」
ゾファルは敵の威容に震えそうになる膝小僧を持ち前の胆力で押さえつけ、渾身の力を込めて白狼を振り抜き、銃身を破壊。その隙にシャガは動物霊の力を使い、機銃の掃射を避けつつ三号車へと急ぐ。
「ッチ、三号車のアームが修復を始めやがッたか」
シャガは車両外に伸びるロボットアームが蠢き、損傷した車輪を修復するのを確認する。これが完了すれば、列車はまた走りだしてしまうだろう。
「食らいやがれ!」
エヴァンスがテンペストを構え、渾身撃を繰り出す。強靭な鉄の装甲を持つ戦車相手に刃物は本来分が悪いのだが、風の魔力を持つ剣は装甲を引き裂くように食い込む。ロボットアームは修復を中断し、内部へと侵入してくる。突入してきたエヴァンスを捕らえる為だ。
「鬱陶しいンだよッ!」
そこへ割り込んだシャガは手にしたゴールデンハンマーに祖霊の力を込め、渾身の力でアーム接続部を殴打する。鋼鉄の外郭を持つアームも、内部は機械。衝撃を伝えやすい鈍器系武器は非常に相性が良く、一撃でアームの一つが破壊される。
時たま飛んでくる四号車からの掃射はゾファルの攻撃により機銃が破壊されて少なくなり、やがてなくなる。ゾファルが三号車に到達する頃には、大半のロボットアームが破壊されていた。
それでも尚、修復を続けるアームがあった。破損した車輪を変形したアームが修復していると、列車の外側からシャドウブリットが飛来する。米本 剛(ka0320)が放ったものだ。
「参ります!」
剛の放った影の弾丸はアームに激突して破裂。アームに強力なダメージを与える。しかし、全体的な手数が足りない。アームをすべて破壊し終わる頃には、車輪の修復が完了してしまっていた。
『ポッポーッ!』
咆哮のような汽笛を鳴らし、戦車が動き始める。破壊された三号車の連結部が蒸気を排出しはじめる。連結部を解除するつもりらしい。
「動くつもりですかな? させませんぞ!」
そこで剛はシャドウブリットを車輪部分に向けて放つ。影の弾丸が穿たれ、車輪の一部が軋む。剛の狙い通り、車輪部分に受けたダメージにより、戦車の起動は若干遅れる。その隙に内部侵入しているエヴァンス、シャガ、ゾファルは二号車両へと突入した。
二号車両は展開された複数のチェーンソーが次々と起動する。ギュイイイイン! と凶悪な駆動音をまき散らすそれは、ハンター達を叩き斬ろうと襲い掛かってくる。
「うおおおおらぁっ!」
然しエヴァンスは怯まない。守りを捨てる攻めの構えにより果敢にチェーンソーに突っ込むと、寸での所でそれを回避、根本にテンペストの一撃を加える。金属同士が重い斬撃音を響かせ、チェーンソーアームが斬り飛ばされる。
襲い来るチェーンソーを躱し、シャガは振りかぶったハンマーを横薙ぎに振るう。チェンソーの面の部分にハンマーがまともに入り、衝撃で刃が歪曲。回転が歪になったチェーンソーはガギギギギギ! と嫌な音を立てて引っかかる。
「戦い方も知らねェデカブツが!」
そのまま振り抜いたハンマーを返し、遠心力に任せて渾身の一撃をチェーンソーの軸へと振り下ろす。破壊力を伴った一撃はチェーンソーの軸を捉え、ひしゃげさせる。
ガコン……と車体が揺れる。戦車がゆっくりと動き始めた。外の剛の妨害でかなり時間を稼ぐ事はできたが、それでも車輪部分をすべて破壊するには至らなかった。
「やはり堅いですな……! ですが、行かせませんぞ!」
剛は日本刀「烏枢沙摩」を振るい、鋭い一撃を戦車に加えようとする。装甲と装甲の接続部を狙い放たれた刃は閃光の如き速度で振りぬかれる。
「……浅いかっ……!」
が、剛の目論見は外れる。確かに接続部は稼働箇所があり、他の場所と比べれば確かに繊細な作りとなっている。が、それでも材質は堅牢だ。特に日本刀は繊細な斬撃を得意とする武器であり、対物性能は決して高くない。これが鎧と鎧の隙間のような、中身が柔らかい物体であったならば致命傷を加えていただろう。
振るわれたチェーンソーを大きく後退して回避する剛。列車が少しずつ速度を上げていき、剛は斬撃による接近戦を諦め並走し、シャドウブリットによって車輪部分を攻撃する。
度重なる負荷によって時折加速がストップし、移動速度はなんとか並走可能な程度に留まる。一号車の砲身が剛を捉え、砲撃を開始する。
砲丸が爆発し、黒煙に包まれる剛。だが、剛は爆発による煙の中から飛び出す。
「……装甲には自信があるのですよ。互いにこのまま根比べといきましょうか!」
持ち前の重装甲と仲間からの祈りのお陰でダメージを最小限に抑える剛は、そのまま戦車と並走し、自分のシャドウブリットによる射撃で交戦を続ける。それはさながら、どちらが戦車か見間違えてしまいそうな戦いぶりであった。
「ちっ、動き出しちまったじゃん……!」
二号車で奮戦する3人。エヴァンスとシャガは動き出す車両にもバランスを崩さずに立ち回っていたが、最初に受けた脚へのダメージを持つゾファルは上手く踏ん張れずにいた。
元々岩場が多い悪路を走る戦車の車輪に、外で戦う剛が速度を抑えるように戦っているのだ。その衝撃は車体を耐えず揺らしている。ガタン! と戦車が大きく揺れる。
「しまっ……!」
一際大きな揺れでバランスを崩したゾファルに、容赦なくチェーンソーが迫る。
ギュイイイイインッ!
振り抜かれたチェーンソーはゾファルの胴体を直撃した。鮮血が車両内部に飛び散る。
「ゾファル!?」
「ちッ……!」
仲間の危機を察知したエヴァンス、シャガが駆け付け、チェーンソーの刃をテンペストで打ち払い、ハンマーで軸を破壊して停止させる。
だが、未だすべてのチェーンソーアームが停止した訳ではない。エヴァンスはゾファルを抱え、守りの構えをとって防御に徹する。
「ここは俺が引き受ける、奥で動力部を破壊してきてくれ!」
シャガへと訴えるエヴァンス。迫るチェーンソーを打ち払って跳ね返し、セラフを駆り立ち回る。
「大丈夫だっての。俺の無事を信じて酒を買ってくれてる仲間がいるんだ、こんな所でくたばらねぇさ」
「……ふン、かッこつけやがッて」
言葉と同時にシャガは踵を返し、単騎で一号車へと到達する。動力部となっているそこは、強大な負のマテリアルが渦巻く場所だった。
シャガは組織の中で『戦車』の立場を持つ。口には出さないが、彼はその事に強く誇りを持っていた。同じ『戦車』の名を持つアルカナと戦い、その力を目の当たりにして、彼は。
「……これが戦車、ねェ。……くだらねェ」
この戦車は確かに強大だった。豊富な重機、堅牢な装甲、強力な突進力と、走攻守揃った難敵だった。だが、これはあくまで機械だ。意思を持たず、ただ命令のままに暴走する機械だ。
「……ヴィスは今頃、イーターやイグナートと茶でも飲んでやがンだろうなァ……。……なンだ、何か知らねェが悪ィ予感がすンぞ。あいつらまさかまた俺の陰口ぼやいてやがンな?」
仲間の事を思い出し、何となく悪い気配を察知するシャガ。沸々と怒りが湧いてくる。手にしたハンマーを大きく振りかぶり、自身の全霊の力をそれに込める。
「――『戦車』は、俺だ! このガラクタが、『戦車』をナメんじゃねェ!」
動力部に渾身の一撃を加える。爆音と共に衝撃が機関を破壊し、黒い炎が内部で炎上しはじめる。列車の各所で軋むような音と、小さな爆発音が連続する。
『戦車』は、その動きを止めた。
●戦車の最後
全員が脱出し、崖の上に集まる。駆けつけたエフィーリア・タロッキ(kz0077)がロジャーを、怪我をしたハンター達を治療する。
特に酷い怪我を負っていたロジャーとゾファルも、エフィーリアの処置で何とか意識を取り戻した。
「エフィーリアちゃん、癒して~……」
ロジャーは意識を取り戻すと、エフィーリアに妙にすり寄る。エフィーリアは少々困惑しつつも、自分の依頼の為に重傷を負ったロジャーに申し訳無さを感じていた。
「……ご無事で何よりです」
エフィーリアはロジャーを膝枕し、暫く傍に居てあげることにした。
「……次は負けないじゃん」
深い傷を押さえながら、ゾファルは悔しそうにうめく。戦いを求める彼女の闘志は、こんな所で潰えたりはしない。
やがて、内部破壊が行き渡った『戦車』は、大きな音を立てて大爆発した。その爆炎はあたりに広がり、やがて霧散して車体ごと消えてゆく。その様子を眺め、シャガは一人呟いた。
「あれが戦車、か。認めねェぞ……」
空へと消えていく残滓を、シャガは絶えず見つめ続けた。
Cariotの断片はこうして、討伐された。だが、これは漏れ出た力の一部に過ぎない。『戦車』との戦いは、たった今から始まったに過ぎないのだ。
戦車(Chariot)は汽笛を鳴らしながら渓谷の岩場を爆走している。すべてを轢き潰し、蹂躙する戦車は勢いを止めること無く走り続けている。
「目標を確認したぜ。魔導トラックみたいな感じの馬車……あれだな」
崖の上で馬に騎乗して見下ろすのはロジャー=ウィステリアランド(ka2900)。
「ミオレスカからマカロンも貰ったし、絶好調だ。頼むぜ、月の女神ちゃん」
崖の上から、爆走する戦車を狙う。マテリアルを込めて引き絞った矢に、更にマテリアルを込める。戦車が射程に入った瞬間に番えた矢を放つ。射程ギリギリから放たれた魔力の矢は戦車の装甲の一部を穿つ。
『ポッポーッ!』
その瞬間戦車は汽笛を鳴らし、ロジャーのいる方向へと向かってきた。
「うおっ! 反応はええ!」
ロジャーはすぐさま馬の手綱を鳴らし、踵を返して走りだす。
「カモ~ン、チャリオットくぅ~ん!」
煽るように捨て台詞を吐きながら全速力で走り去るロジャー。戦車はそれを追走する。一号車が変形して砲台が飛び出ると、砲撃が次々に飛来してくる。
「無駄無駄、届かねぇって!」
元より砲台の射程外からの狙撃だ。戦車の攻撃はロジャーに届く手前あたりで炸裂を続け、ロジャーは目標のポイントまで逃げようとする。途中までは何とか順調に逃げ続けられていた彼であったが、馬がやけに暴れる。
「……っとと!?」
確かに本来ならば列車よりも僅かに速度が早い馬ならば逃げ切れただろう。だが、戦いに慣れていない乗馬用馬は背後から連続する爆撃の音にすっかり怯え錯乱してしまっている。走り慣れない険しい岩場も相まって、本来の速度を維持できずに少しずつ、戦車に距離を詰められてしまう。
「くっ……」
たまらずロジャーは背後の戦車に向けて弓を引き絞る。狙うは……
「そこだっ!」
ロジャーの放った矢は、見事に数あるうちの砲台のうちの一つ、砲身の中に直撃する。発射の瞬間に放たれた矢が砲丸を暴発させ、戦車が大きく衝撃を受け、横の壁に激突した。
「へへっ、どうだ!」
だがその程度で戦車は止まらない。黒煙を突き抜け、岩肌を押し削って強引に車体を進ませる戦車は、驚く事にそのまま壁を這うように登ってくる。
「なん……っそんなのアリか!?」
慌てて距離を取るロジャーを、同じ道に着地した戦車の他の砲台が狙う。爆撃は地面を、崖を、壁を、無作為に爆砕して突き進んでゆく。仲間と打ち合わせした、目標の橋が見えたあたりで、ロジャーの馬が運悪く脚をもつれさせてしまった。
「うわぁっ!?」
投げ出されるロジャー、すぐさま受け身をとって、向こう岸まで走り抜こうとする。背後から迫る砲弾の爆風が、橋を渡ろうとするロジャーを吹き飛ばす。橋の中間あたりで転がり、続く砲弾が今度はロジャーを直撃し、吹き飛ばされた。
「おいっ、大丈夫じゃん!?」
そこへ、橋を壊す為に待機していたゾファルGU(ka4407)が駆けつけ、宙を舞うロジャーを受け止める。ロジャーは気を失っていたが、命に別状はないようだ。仲間から送られたマテリアルが、致命傷からギリギリのところで彼を守ったようだ。
「……えらく面白いことやってくれるじゃん!」
ゾファルがロジャーを岸に下ろすと、後続から迫る戦車が橋に差し掛かる。予め橋脚にはパイルバンカーで亀裂を入れておいた為、戦車が橋に差し掛かるとミシミシと音を立てる。
「ほうら、俺様ちゃんと一緒に落ちるじゃん!」
トドメの一撃とばかりに橋にパイルバンカーによる一撃を加えるゾファル。衝撃が亀裂となり、脆くなった橋が大きな音を立てて倒壊。戦車とゾファルが谷底へと落ちていく。更にゾファルは瓦礫から瓦礫へと飛び移り、列車の天井にしがみつく。
「内部は……っと、ここから入れるじゃん……?」
最後尾の車両に取り付けられたドアを乱暴に破壊し、侵入する。その後すぐに列車が音を立てて谷底に激突した。
「がっ!」
だが、ゾファルの目論見は少し外れた。列車をクッションに落下の衝撃を緩和させようとしたが、戦車の材質は固く、殆ど衝撃を吸収できるものではない。伝わった衝撃によるダメージが脚にまともに入り、右足を負傷してしまう。それでも致命傷になりえないのは、強靭な生命力を持つ覚醒者のなせる業だろう。
「うまくいくと思ったんじゃーん……!」
痛みに苦悶の声を漏らしつつ、脚にマテリアルヒーリングをかけて自己治癒にかかる。
●魔列車との死闘
落下の衝撃で横倒しになった戦車は、三号車からロボットアームを展開。機械の腕が地面に手をつき、車両を起こす。その瞬間に、谷底で待機していたエヴァンス・カルヴィ(ka0639)とシャガ=VII(ka2292)が、ゾファルの破壊した最後尾から乗り込む。
「俺の風…大剣がどこまで断ち切れるか試させてもらうぜ!」
「……チャリオットなンざ、イイ名前してくれてンじャねェの」
未知の強敵を前に気持ちを高揚させるエヴァンスと、自らの誇りある立場と同じ名を持つ戦車に激しい怒りを燃やすシャガ。
エヴァンスは愛馬セラフを走らせ、四号車両を一気に駆け抜けて三号車へ向かう。四号車は変形し、外側に取り付けられた機銃が一斉に内部を向いた。
「……はっ、腕が鳴るじゃん!」
ゾファルは敵の威容に震えそうになる膝小僧を持ち前の胆力で押さえつけ、渾身の力を込めて白狼を振り抜き、銃身を破壊。その隙にシャガは動物霊の力を使い、機銃の掃射を避けつつ三号車へと急ぐ。
「ッチ、三号車のアームが修復を始めやがッたか」
シャガは車両外に伸びるロボットアームが蠢き、損傷した車輪を修復するのを確認する。これが完了すれば、列車はまた走りだしてしまうだろう。
「食らいやがれ!」
エヴァンスがテンペストを構え、渾身撃を繰り出す。強靭な鉄の装甲を持つ戦車相手に刃物は本来分が悪いのだが、風の魔力を持つ剣は装甲を引き裂くように食い込む。ロボットアームは修復を中断し、内部へと侵入してくる。突入してきたエヴァンスを捕らえる為だ。
「鬱陶しいンだよッ!」
そこへ割り込んだシャガは手にしたゴールデンハンマーに祖霊の力を込め、渾身の力でアーム接続部を殴打する。鋼鉄の外郭を持つアームも、内部は機械。衝撃を伝えやすい鈍器系武器は非常に相性が良く、一撃でアームの一つが破壊される。
時たま飛んでくる四号車からの掃射はゾファルの攻撃により機銃が破壊されて少なくなり、やがてなくなる。ゾファルが三号車に到達する頃には、大半のロボットアームが破壊されていた。
それでも尚、修復を続けるアームがあった。破損した車輪を変形したアームが修復していると、列車の外側からシャドウブリットが飛来する。米本 剛(ka0320)が放ったものだ。
「参ります!」
剛の放った影の弾丸はアームに激突して破裂。アームに強力なダメージを与える。しかし、全体的な手数が足りない。アームをすべて破壊し終わる頃には、車輪の修復が完了してしまっていた。
『ポッポーッ!』
咆哮のような汽笛を鳴らし、戦車が動き始める。破壊された三号車の連結部が蒸気を排出しはじめる。連結部を解除するつもりらしい。
「動くつもりですかな? させませんぞ!」
そこで剛はシャドウブリットを車輪部分に向けて放つ。影の弾丸が穿たれ、車輪の一部が軋む。剛の狙い通り、車輪部分に受けたダメージにより、戦車の起動は若干遅れる。その隙に内部侵入しているエヴァンス、シャガ、ゾファルは二号車両へと突入した。
二号車両は展開された複数のチェーンソーが次々と起動する。ギュイイイイン! と凶悪な駆動音をまき散らすそれは、ハンター達を叩き斬ろうと襲い掛かってくる。
「うおおおおらぁっ!」
然しエヴァンスは怯まない。守りを捨てる攻めの構えにより果敢にチェーンソーに突っ込むと、寸での所でそれを回避、根本にテンペストの一撃を加える。金属同士が重い斬撃音を響かせ、チェーンソーアームが斬り飛ばされる。
襲い来るチェーンソーを躱し、シャガは振りかぶったハンマーを横薙ぎに振るう。チェンソーの面の部分にハンマーがまともに入り、衝撃で刃が歪曲。回転が歪になったチェーンソーはガギギギギギ! と嫌な音を立てて引っかかる。
「戦い方も知らねェデカブツが!」
そのまま振り抜いたハンマーを返し、遠心力に任せて渾身の一撃をチェーンソーの軸へと振り下ろす。破壊力を伴った一撃はチェーンソーの軸を捉え、ひしゃげさせる。
ガコン……と車体が揺れる。戦車がゆっくりと動き始めた。外の剛の妨害でかなり時間を稼ぐ事はできたが、それでも車輪部分をすべて破壊するには至らなかった。
「やはり堅いですな……! ですが、行かせませんぞ!」
剛は日本刀「烏枢沙摩」を振るい、鋭い一撃を戦車に加えようとする。装甲と装甲の接続部を狙い放たれた刃は閃光の如き速度で振りぬかれる。
「……浅いかっ……!」
が、剛の目論見は外れる。確かに接続部は稼働箇所があり、他の場所と比べれば確かに繊細な作りとなっている。が、それでも材質は堅牢だ。特に日本刀は繊細な斬撃を得意とする武器であり、対物性能は決して高くない。これが鎧と鎧の隙間のような、中身が柔らかい物体であったならば致命傷を加えていただろう。
振るわれたチェーンソーを大きく後退して回避する剛。列車が少しずつ速度を上げていき、剛は斬撃による接近戦を諦め並走し、シャドウブリットによって車輪部分を攻撃する。
度重なる負荷によって時折加速がストップし、移動速度はなんとか並走可能な程度に留まる。一号車の砲身が剛を捉え、砲撃を開始する。
砲丸が爆発し、黒煙に包まれる剛。だが、剛は爆発による煙の中から飛び出す。
「……装甲には自信があるのですよ。互いにこのまま根比べといきましょうか!」
持ち前の重装甲と仲間からの祈りのお陰でダメージを最小限に抑える剛は、そのまま戦車と並走し、自分のシャドウブリットによる射撃で交戦を続ける。それはさながら、どちらが戦車か見間違えてしまいそうな戦いぶりであった。
「ちっ、動き出しちまったじゃん……!」
二号車で奮戦する3人。エヴァンスとシャガは動き出す車両にもバランスを崩さずに立ち回っていたが、最初に受けた脚へのダメージを持つゾファルは上手く踏ん張れずにいた。
元々岩場が多い悪路を走る戦車の車輪に、外で戦う剛が速度を抑えるように戦っているのだ。その衝撃は車体を耐えず揺らしている。ガタン! と戦車が大きく揺れる。
「しまっ……!」
一際大きな揺れでバランスを崩したゾファルに、容赦なくチェーンソーが迫る。
ギュイイイイインッ!
振り抜かれたチェーンソーはゾファルの胴体を直撃した。鮮血が車両内部に飛び散る。
「ゾファル!?」
「ちッ……!」
仲間の危機を察知したエヴァンス、シャガが駆け付け、チェーンソーの刃をテンペストで打ち払い、ハンマーで軸を破壊して停止させる。
だが、未だすべてのチェーンソーアームが停止した訳ではない。エヴァンスはゾファルを抱え、守りの構えをとって防御に徹する。
「ここは俺が引き受ける、奥で動力部を破壊してきてくれ!」
シャガへと訴えるエヴァンス。迫るチェーンソーを打ち払って跳ね返し、セラフを駆り立ち回る。
「大丈夫だっての。俺の無事を信じて酒を買ってくれてる仲間がいるんだ、こんな所でくたばらねぇさ」
「……ふン、かッこつけやがッて」
言葉と同時にシャガは踵を返し、単騎で一号車へと到達する。動力部となっているそこは、強大な負のマテリアルが渦巻く場所だった。
シャガは組織の中で『戦車』の立場を持つ。口には出さないが、彼はその事に強く誇りを持っていた。同じ『戦車』の名を持つアルカナと戦い、その力を目の当たりにして、彼は。
「……これが戦車、ねェ。……くだらねェ」
この戦車は確かに強大だった。豊富な重機、堅牢な装甲、強力な突進力と、走攻守揃った難敵だった。だが、これはあくまで機械だ。意思を持たず、ただ命令のままに暴走する機械だ。
「……ヴィスは今頃、イーターやイグナートと茶でも飲んでやがンだろうなァ……。……なンだ、何か知らねェが悪ィ予感がすンぞ。あいつらまさかまた俺の陰口ぼやいてやがンな?」
仲間の事を思い出し、何となく悪い気配を察知するシャガ。沸々と怒りが湧いてくる。手にしたハンマーを大きく振りかぶり、自身の全霊の力をそれに込める。
「――『戦車』は、俺だ! このガラクタが、『戦車』をナメんじゃねェ!」
動力部に渾身の一撃を加える。爆音と共に衝撃が機関を破壊し、黒い炎が内部で炎上しはじめる。列車の各所で軋むような音と、小さな爆発音が連続する。
『戦車』は、その動きを止めた。
●戦車の最後
全員が脱出し、崖の上に集まる。駆けつけたエフィーリア・タロッキ(kz0077)がロジャーを、怪我をしたハンター達を治療する。
特に酷い怪我を負っていたロジャーとゾファルも、エフィーリアの処置で何とか意識を取り戻した。
「エフィーリアちゃん、癒して~……」
ロジャーは意識を取り戻すと、エフィーリアに妙にすり寄る。エフィーリアは少々困惑しつつも、自分の依頼の為に重傷を負ったロジャーに申し訳無さを感じていた。
「……ご無事で何よりです」
エフィーリアはロジャーを膝枕し、暫く傍に居てあげることにした。
「……次は負けないじゃん」
深い傷を押さえながら、ゾファルは悔しそうにうめく。戦いを求める彼女の闘志は、こんな所で潰えたりはしない。
やがて、内部破壊が行き渡った『戦車』は、大きな音を立てて大爆発した。その爆炎はあたりに広がり、やがて霧散して車体ごと消えてゆく。その様子を眺め、シャガは一人呟いた。
「あれが戦車、か。認めねェぞ……」
空へと消えていく残滓を、シャガは絶えず見つめ続けた。
Cariotの断片はこうして、討伐された。だが、これは漏れ出た力の一部に過ぎない。『戦車』との戦いは、たった今から始まったに過ぎないのだ。
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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質問卓! エヴァンス・カルヴィ(ka0639) 人間(クリムゾンウェスト)|29才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/03/14 13:29:48 |
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仮プレイング晒し場 ロジャー=ウィステリアランド(ka2900) 人間(クリムゾンウェスト)|19才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/03/15 11:50:56 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/10 07:31:10 |
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相談卓 米本 剛(ka0320) 人間(リアルブルー)|30才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/03/15 09:15:18 |