ゲスト
(ka0000)
農村警備また
マスター:篠崎砂美

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~15人
- サポート
- 0~5人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/03/23 15:00
- 完成日
- 2015/04/01 10:16
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「まったく。ちょっと目を放したら、また貴様らたるんでるぞ!」
部下の兵隊さんたちを集めて、アルマート隊長が、叱りつけました。
「でも、なんにもおきないだよー」
「うんうん」
一斉に兵隊さんたちがうなずきます。まあ、ド田舎村ですから、事件らしい事件がないのもあたりまえなのではありますが。
「そんなことだからたるんでると言うんだ。いいだろう、再びそんなお前たちの根性をたたき直してもらうために、またハンターの先生たちをお呼びした」
「ひえー、またですかあー」
「前の時、全身筋肉痛になっただあ」
「鬼ー、悪魔ー、雑魔ー」
「おかーさーん」
隊長の言葉に、兵隊さんたちが悲鳴をあげます。
「ええい、うるさい。そんなことだから、ダメだと言っているんだろうが。いい機会だ、今度こそ、徹底的に鍛え直してもらえ」
「ひーっ」
嫌がる兵隊さんたちを無視して、隊長はハンターたちを呼び寄せました。
「お任せください。今度こそ、ムキムキの兵士に育てて見せます」
「いえいえ、今度こそ、魔術学院の宴会に呼ばれても恥ずかしくないような教養と芸能を……」
なにやら、兵隊さんたちにとってはまた大変な日々の始まりのようです。
さてさて、今度こそ、兵隊さんたちは少しは成長するのでしょうか……。
部下の兵隊さんたちを集めて、アルマート隊長が、叱りつけました。
「でも、なんにもおきないだよー」
「うんうん」
一斉に兵隊さんたちがうなずきます。まあ、ド田舎村ですから、事件らしい事件がないのもあたりまえなのではありますが。
「そんなことだからたるんでると言うんだ。いいだろう、再びそんなお前たちの根性をたたき直してもらうために、またハンターの先生たちをお呼びした」
「ひえー、またですかあー」
「前の時、全身筋肉痛になっただあ」
「鬼ー、悪魔ー、雑魔ー」
「おかーさーん」
隊長の言葉に、兵隊さんたちが悲鳴をあげます。
「ええい、うるさい。そんなことだから、ダメだと言っているんだろうが。いい機会だ、今度こそ、徹底的に鍛え直してもらえ」
「ひーっ」
嫌がる兵隊さんたちを無視して、隊長はハンターたちを呼び寄せました。
「お任せください。今度こそ、ムキムキの兵士に育てて見せます」
「いえいえ、今度こそ、魔術学院の宴会に呼ばれても恥ずかしくないような教養と芸能を……」
なにやら、兵隊さんたちにとってはまた大変な日々の始まりのようです。
さてさて、今度こそ、兵隊さんたちは少しは成長するのでしょうか……。
リプレイ本文
●特訓再び
「それでは、今回も、びっしびっし鍛えてもらうぞ」
「ひー」
隊長の開始宣言で、兵隊さんたちが悲鳴をあげます。
「初めまして。さて、最初は、訓練前の準備運動も兼ねて、持久走から始めましょうか」
最初に進み出てきたのは、エルバッハ・リオン(ka2434)です。
「ええっ~」
早くも、兵隊さんたちから悲鳴があがります。
「私も一緒に走ります。ゴールした時に私に追い抜かれていなければ、御褒美がありますよ」
エルバッハが、自分の豊満な胸をプルンプルンしました。
「ただし、もしも追い抜かれたら、男性としての大切な何かを失うことになります」
ぐっと拳を握りしめて、エルバッハが言いました。
「隊長~」
「骨は拾ってやる」
泣きつく兵隊さんたちを、隊長が心を鬼にしてはねのけました。
「ボクも仲間入れてえな♪」
一緒に特訓してもらいたいシュルヴィ・フォグ(ka4289)が、参加を表明しました。
「いいのか? 何かを……失わないかあ」
小声で隊長がシュルヴィに言いかけて、女性なら問題ないかと途中でやめました。
「それでは、毎度の村外れの一本杉までの往復。よーい、ドン!」
隊長の合図で、六人が一斉に走りだしました。
先頭は、シュルヴィです。肝心のエルバッハは最後尾をニコニコと走っていました。兵隊さんたちも必死です。
「みなさん、頑張ってくださいね」
一本杉の所では、マナ・ブライト(ka4268)がおにぎり草と水を持って待っていました。みんなに、手早く配っていきます。
「後少しですよ、頑張ってください!」
エルバッハに負けず劣らぬ豊かな胸の前で、握った両手を構えて応援するマナに、兵隊さんたちもがぜんやる気を取り戻します。
「むっ、そろそろ、本気を出しましょうか」
そう言うと、エルバッハの胸元から薔薇の文様がのびていきました。一転して迫力のある形相に変わると、エルバッハがあっという間に兵隊さんたちを追い抜いていきます。
「ひええ~、殺されるだ~」
鬼の形相で走るエルバッハを見て、兵隊さんたちが悲鳴をあげました。
「速いんやね」
「まだまだですわよ」
並んで走るシュルヴィに、エルバッハが笑顔に戻って答えました。後ろからは、兵隊さんたちが泣きながらついてきます。
「隊長さーん、まだ死にたくねえだ~」
ゴールするなり、兵隊さんたちが隊長にしがみつきます。
「仕方ないですわね。腕立て伏せ100回でいいですわよ」
エルバッハに言われて、兵隊さんたちは喜んで腕立て伏せして、その後、筋肉痛で寝込みました。でも、翌日のためにと、マナが回復させてくれたようです。
●鬼ごっこ
「昨日は大変だったようだな。安心しろよ、今日は訓練じゃねぇ。ただの鬼ごっこだ」
なんとか回復した兵隊さんたちを前にして、ボルディア・コンフラムス(ka0796)が言いました。
その言葉に、兵隊さんたちがホッとします。
ルールは、10分10本勝負で、最後に鬼だった者が腕立て伏せのようです。
「なんだか楽しそう。私も遊ぶ~♪」
メルクーア(ka4005)が言い切りました。昨日に引き続いて、シュルヴィも参加するようです。
「私も参加していいですか?」
劉 培花(ka4266)も申し出てきました。ハンターとして未熟と感じた自分を、この機会に一緒に鍛えたいようです。
場所は物陰が多い所がいいということで、近くの森になりました。
「では、スタート!」
隊長の号令一下、飛び出した鬼のボルディアが、あっけなくウーノを捕まえました。瞬殺です。
「あう~」
すぐに、ウーノがメルクーアを捕まえようとしますが、素早く屈んで両手をすり抜けていきました。ならばと、培花を捕まえようとしますが、ぼんやりしているように見えて一瞬にしてウーノの視界から消えました。
「戦場では、敵がどう動くかは分からないんですよ」
金色に輝く瞳で、培花が言いました。振り返るウーノの視界からは、すでに姿を消しています。
「は、速過ぎるだあ!」
「その通りだ」
ウーノの叫びに、ボルディアが答えました。
「それを観察し、相手の弱点を突く。それこそが、戦闘において大切なんだ」
遊びなんてとんでもない。鬼ごっこの中にも、戦いに生かせるいろいろなテクニックが満載なのです。
「うう……」
唸ったウーノは、ターゲットをドゥーエに定めました。ハンター相手でなければ、だいたい対等です。キャアキャアと、兵隊さん同士で鬼ごっこを展開していきます。
「はい、そこまで」
10分経って、トレが鬼でした。罰として、腕立て伏せをします。
「ひー、鬼やあ」
「では、次私が鬼になります。手加減はしますが、手は抜きません。全力で行きましょうか」
そう言う培花の目が笑っていません。キャアキャアと兵隊さんたちが逃げ回ります。マジ、必死です。
とはいえ、素早く蛇行して迫ってくる培花の前には、蛇に睨まれた蛙状態でした。
「おっと」
たまさか培花のターゲットサイトに入ってしまったメルクーアが、さっと兵隊さんの足許にスライディングして股の間をすり抜けて逃げます。
「ひゃっ!?」
驚いた兵隊さんが、あっけなく培花の餌食になりました。
「こりゃあ、ハンターが鬼の時は、マジで獲物でしかないなあ。まあ、頑張って逃げろ。こいつらから逃げ切れれば、戦場でも生き残れるぞ」
ボルディアがそう言いますが、10本目の頃には、すでに兵隊さんたちは走ることもできず、ほとんど隠れんぼになってしまっていました。
●山登り
またもやマナに回復してもらった兵隊さんたちの今日の特訓は山登りです。
「今日の特訓は、山に登ってサバイバル訓練なんよ。さあ、みんなで、レッツゴー!」
リーダーであるシュルヴィが、兵隊さんたちを前にして言いました。
「今日もハードみたいだあ、はあ……」
思わず、トレが溜め息をつきます。
「お兄さんたち、特訓は嫌いなのですか? ちゃんと特訓できたら、僕のおやつを分けてあげます」
サーシス・ハーツ(ka3354)が、渋る兵隊さんたちをなだめました。
「それでは、隊長殿、出発いたしましょう」
屋外(ka3530)が、隊長をうながしました。
「頑張って、食材も探しましょう」
ティス・フュラー(ka3006)は、やる気満々です。
「サバイバルは、兵隊さんたちだけじゃなく、隊長さんやボクらも鍛えることになるんよ。頑張ろうな」
シュルヴィの先導で、一行は近くの山に登っていきました。
「ここに山菜があるわよ」
ティスが、一同が進む道端の草を指さして言いました。
「山で遭難した時のサバイバルには、食料調達は必要な知識ですね」
ティスとしては、飲み水のためにピュアウォーターも伝授したいところですが、兵隊さんたちには無理なので諦めます。
「こっちも美味しそうだよ」
ウーノが、りっぱなキノコを見つけて言いました。
「あっ、それはダメですよ、毒です。食べたら死にますよ」
ひょいとキノコを摘もうとするウーノの服を引っぱって、サーシスが止めました。
「これは食べられる物やね」
赤い小さな木の実を見つけて、シュルヴィが言いました。
自然の恵みは豊富で、目的地に着くまでに、山ほどの山菜や木の実が手に入りました。
昼頃には、キャンプの目的地に辿り着きます。シュルヴィたちが事前に調べて決定した場所です。
「まずは、ベースを作りましょう」
ティスの指導の下、兵隊さんたちがテントを張ります。
「じゃあ、二手に分かれて食材確保するんよ」
シュルヴィが、隊長とウーノとドゥーエを連れて狩りにむかいました。ティスと屋外はトレとクアットロを連れて、魚捕りと水の確保です。サーシスは、テントの見張りでお留守番です。
「狩りはチームワークが大切なんよ。みんなで追い込むようにして、確実に捕まえよー」
シュルヴィが、チームプレイで敵を追い込む狩りを、みんなに指導していきました。これは、戦いの時にも応用が利くことでしょう。
うまくみんなで協力して、子鹿を一頭、仕留めることができました。
意気揚々と獲物を担いで帰ってくると、川組の方も丁度戻ってきました。
「水は確保しましたー」
ティスと屋外のつきそいで、近くの川まで行っていたトレとクアットロが帰ってきました。川で追い込み漁の特訓をして魚を捕ってくると同時に、大切な飲み水を調達してきています。
「では、獲物をちゃんと食べられるようにしようなあ」
シュルヴィの指示で、一同が夕餉の仕度にかかりました。シュルヴィが肉の捌き方を指導し、サーシスが山菜の下ごしらえを指導し、屋外が石で窯作りを指導し、ティスが料理を指導しました。兵隊さんたちもサバイバル訓練は二度目ですので、多少は慣れてきたようです。
「御飯ができましたよー」
ティスとサーシスが、山菜や魚や肉を豪華に使った料理を運んできました。
「美味しいだ!」
自分たちが取ってきた食材ということもあるのでしょうが、兵隊さんたちが満足の声をあげました。
焚き火の明かりを囲みつつ、みんなで楽しく夕食を囲みます。
もちろん、約束通り、サーシスのおやつ付きです。
●体操
「山登り、御苦労だった。きっと、全身筋肉痛で苦しんでいると思う」
翌日戻ってきた兵隊さんたちを出迎えて、クリスティン・ガフ(ka1090)が言いました。
山を下りてきたばかりなので、実際、全員が全身カタガタです。
「前回もそうだと聞き、今回はそれを和らげるために体操を指導するぞ」
クリスティンが、兵隊さんたちの筋肉を調べながら言いました。確かに、もう筋肉が死んでます。
「まずは、ラジオ体操からだ!」
何やら軽快な音楽を口ずさみながら、クリスティンが体操を始めました。それにしても、いったい、これのどこがラジオなのかと兵隊さんたちが首をかしげます。いえ、そもそもラジオってなんなのでしょう?
「これを毎朝やると、気分がヒャッハーになるぞ。次は、柔軟体操だ!」
兵隊さんたちの疑問などはお構いなしに、クリスティンが次の体操に移りました。二人一組になって、身体をほぐします。
「ぐ、ぐえ!」
「ああ、隊長さん!」
クリスティンに背中を押してもらっていた隊長が、身体をくの字にして地面に突っ伏して気を失っています。
「あれ? 強く押しすぎたか?」
から笑いを浮かべながら、クリスティンがつぶやきました。
●講義
「それでは、今日は、リアルブルーの戦闘の歴史について講義いたしましょう」
兵舎に兵隊さんたちを集めて、天央 観智(ka0896)が切り出しました。
自己の知り得るリアルブルーの知識の中から、説明できることを話し始めます。もちろん、観智が、リアルブルーとクリムゾンウエストのすべてを知るわけではありませんから、あくまでも、観智が個人として研究した知識からのみの説明です。
「……というふうに、リアルブルーでは戦闘に関する進歩が……」
一所懸命観智が説明していますが、兵隊さんたちには完全にチンプンカンプンで、すでに半分寝ています。いくら噛み砕いて話されても、固有名はまったくなじみがありませんし、原理を説明されても圧倒的に基礎知識がないので理解できません。宇宙時代の理論を、江戸時代の人に説明しているようなものですから、とても一筋縄ではいきませんでした。
それでも、観智が根気強く、武器の特徴や、敵に与える効果などを説明していきました。さらに、傷の話から、応急手当の仕方にまで話を広げます。やっと具体的なことにはなんとなく理解を示すものの、やはり原理の話になると興味が持てずに眠くなってしまう兵隊さんたちでした。
「ふむふむ。こうやって理論的に説明されると、効果的なダメージの与え方とか、ダメージコントロールの仕方とかがイメージしやすいですね」
一緒に講義を聴いていた培花が、こまめにメモをとりつつうなずきます。こちらは兵隊さんたちとは違って、専門知識と実戦をこなしていますから、クリムゾンウエストの人間であっても理解は早いようです。
「みんな、起きてください。知識は、いくらあっても邪魔になる物ではありません。意外にも、予期せぬ時に役にたつものなのです」
うつらうつらしている兵隊さんたちをゆり起こしながら、培花が言いました。
「そうです。さあ、目を覚まして。今こそ、熱き勇気について語る時です!」
いつの間にか観智と講師を交代していた屋外が叫びました。驚いて、兵隊さんたちが目を覚まします。
「貴殿らには、特別な力はありません。けれども、それはリアルブルーの人たちも同じでした。そんな人たちのための力として生み出されたのがCAMです」
今度は、CAMについての講義のようです。
「ふむふむ」
培花が、再びメモをとり始めます。
「CAMって何?」
一方の兵隊さんたちの方は、さらに困惑しているようでした。
「でっかい、強い、便利!」
屋外が、端的に説明します。訓練さえすれば、CAMは誰にでも操縦できる可能性を秘めています。きっと、農作業もこなすことができるでしょう。
「そのために、さあ、CAMのことを知るのです」
えんえんと、熱くCAMについて語る屋外でした。
●剣技
「ふむ、この、ころころしたのが、この村の兵士たちか」
兵隊さんたちを前にして、ユルゲンス・クリューガー(ka2335)が言いました。
「わー、すげー、本物の鎧を着た騎士様だあ」
全身を燻し銀の鎧で固めたユルゲンスを見て、兵隊さんたちが歓声をあげました。どうやら、既知の姿の先生だったので、ちょっと安心したようです。
「私はユルゲンス。みんな、よろしく頼む」
そう挨拶すると、ユルゲンスは剣術の指南を始めました。
「貴公らは、畑を耕す時に鍬を使うであろう? あれを振り下ろす要領で、1! 2! 3!」
剣の100本素振りです。
ある意味、実に特訓らしい特訓に、ちょっと兵隊さんたちもやる気を出したようです。とはいえ、まだまだ剣に振り回されている感は否めませんが。その都度、ユルゲンスが姿勢を修正して、素振りを続けさせます。実に、基本中の基本という特訓らしい特訓です。
「ようし、それまで。休憩を挟んで、体術の指南をする。どうですかな、隊長、一つ手合わせを」
兵隊さんたちを休ませると、ユルゲンスが隊長に声をかけました。
「面倒くさいが、まあ、少し身体もなまってたし、いいかあ」
隊長が受けてたちます。
全体的な実戦経験としては、遥かにユルゲンスの方が有利ですが、決して隊長が劣っているというわけでもありません。どちらかと言うとパワータイプのユルゲンスに対して、隊長の方はテクニック型とでも言いましょうか。ひとまずは真正面から組み合いますが、さすがに組み伏せられると、今度は素早い動きでユルゲンスを翻弄しました。
「隊長、頑張れー」
兵隊さんたちが声援を送ります。
「おいおい、お前たちもこれをやるんだ」
すっかり見物客気分の兵隊さんたちに、隊長が釘を刺しました。
すぐに交代で、兵隊さんたちが順にユルゲンスに組み手の稽古をしてもらいます。まあ、まさに赤子の手を捻るがごとしなのですが、ユルゲンスは体力に物を言わせて全員の相手を続けていきました。
●忍術
どろん。
突然地面に煙が立ったかと思うと、藤林みほ(ka2804)が忽然と現れました。
「よろしゅう。今日は、拙者の忍者としての技を伝授するでござる」
「忍者?」
聞いたこともない言葉に、兵隊さんたちが首をかしげました。
「忍者は最強でござるよ」
これはしたりと、みほが自慢げに忍者の説明をします。
「今日連れてきたのは忍犬と忍鼠でござる。これら動物を使いこなすのも、大切な忍術でござるよ」
さっそく、ペットの使い方を伝授しようとするみほでしたが、わんこのもふり大会になってしまいました。まあ、お手とか命令できるようにはなったようなので、よしとしましょう。
その他にも、日々成長する木を飛び越える訓練や、太陽の位置から方角を知る方法、縄の輪で木に登る方法などを紹介します。どれも、一日でうまくなるというものでもないので、訓練の仕方中心です。
最後に、手裏剣の投げ方を教えます。棒手裏剣をまっすぐに飛ばす直打法です。
「うんうん、実に興味深いよねえ」
忍術に興味のあるシュルヴィが、兵隊さんたちと一緒になって楽しそうに訓練していきました。
まったくなじみのない戦い方なので、兵隊さんたちも興味深く、楽しく訓練ができたようです。
●模擬戦
「さて、今日まで様々な訓練を積んできたわけだが、はっきり言って、貴様らはたるんでいる!」
特訓の最終日、ヒースクリフ(ka1686)が兵隊さんたちを前にして大声で怒鳴りました。
「んなこと言われても……」
頑張ったんだよーと、兵隊さんたちが言い返します。
まあ、一週間ほどの特訓で、いきなり別人のように進歩するということなどありえないわけですが。まあまあ、みんな頑張った方だと思います。二度の集中特訓で、少しは以前より兵隊さんらしい顔にはなってきたようですし。
「甘い! そんなことで実戦で生き残れると思うなよ。最後は、俺との模擬戦で締めくくるぞ」
そう宣言すると、ヒースクリフがわざわざ山から運んできてもらった岩に、斧形態にしたツヴァイシュトースツァーンを叩きつけました。その一撃で、かかえる程度の岩が真っ二つになります。
「ひえええー、殺されるだあ。この人、殺る気満々ですだー」
一斉に兵隊さんたちが隊長の後ろに隠れました。
「ふん。貴様たちヘタレに武器など必要ない。死なない程度に素手で相手してやる。さあ、かかってこい」
ツヴァイシュトースツァーンを地面に突き立てると、ヒースクリフが両手を広げて身構えました。
「ということだそうだ。よし、隊長命令だ、全員で一斉にかかれ。小隊、前へ!」
「ひ、ひえ~」
隊長に押し出されて、兵隊さんたちが全員でヒースクリフに飛びかかっていきました。
●宴会
「まあまあ、みなさん、もう大丈夫ですか?」
マナが、兵隊さんたちに包帯を巻いてあげながら訊ねました。
当然ですが、全員ヒースクリフにこてんぱんにやられたわけです。けれども、最初殺されると思ったのに比べると、案外互角に戦えたような気もしたので、兵隊さんたちの顔もちょっと誇らしげです。これも特訓の成果でしょうか。まあ、ヒースクリフが、かなり手加減したのでしょう。
「それでは、長きにわたる特訓御苦労様でした。これからは、打ち上げで、胃袋とお酒の特訓だあ!」
持ってきた大量の酒瓶を前にして、メルクーアがジョッキを高々と掲げました。
「かんぱーい!」
全員でジョッキを掲げると、マナの作った料理に手をのばしました。もちろん、山で取ってきた食材で作ったティスとサーシスの料理も山盛りあります。
「美味しいねえ」
興が乗ったシュルヴィが踊りだします。
「どれ、私も……」
続いて、クリスティンが、ギガースアックスをブンブンと振り回して演舞を行い、みんながやんやと拍手しました。
兵隊さんたちも、とりあえず剣舞……、と言うか、剣の素振りを見せます。
「まあ、こんなところであろうか」
それを見たユルゲンスが、多少苦笑しつつ酒をあおります。
「さあ、飲め~」
メルクーアが、兵隊さんたちにどんどんお酒を勧めました。
「こらこら、あまり飲ますなよ」
さすがに、ボルディアが心配そうに釘を刺します。
「まあ、これも特訓!」
あっけらかんとメルクーアが答えました。
夜遅くまで、宴は続いていきました。さすがに一人また一人と酔いつぶれていきます。明日は二日酔いで、みんな大変でしょう。
「もう、みんなだらしないなあ」
酔いつぶれた一同を見て、一人メルクーアが手酌でお酒のおかわりをしました。
「それでは、今回も、びっしびっし鍛えてもらうぞ」
「ひー」
隊長の開始宣言で、兵隊さんたちが悲鳴をあげます。
「初めまして。さて、最初は、訓練前の準備運動も兼ねて、持久走から始めましょうか」
最初に進み出てきたのは、エルバッハ・リオン(ka2434)です。
「ええっ~」
早くも、兵隊さんたちから悲鳴があがります。
「私も一緒に走ります。ゴールした時に私に追い抜かれていなければ、御褒美がありますよ」
エルバッハが、自分の豊満な胸をプルンプルンしました。
「ただし、もしも追い抜かれたら、男性としての大切な何かを失うことになります」
ぐっと拳を握りしめて、エルバッハが言いました。
「隊長~」
「骨は拾ってやる」
泣きつく兵隊さんたちを、隊長が心を鬼にしてはねのけました。
「ボクも仲間入れてえな♪」
一緒に特訓してもらいたいシュルヴィ・フォグ(ka4289)が、参加を表明しました。
「いいのか? 何かを……失わないかあ」
小声で隊長がシュルヴィに言いかけて、女性なら問題ないかと途中でやめました。
「それでは、毎度の村外れの一本杉までの往復。よーい、ドン!」
隊長の合図で、六人が一斉に走りだしました。
先頭は、シュルヴィです。肝心のエルバッハは最後尾をニコニコと走っていました。兵隊さんたちも必死です。
「みなさん、頑張ってくださいね」
一本杉の所では、マナ・ブライト(ka4268)がおにぎり草と水を持って待っていました。みんなに、手早く配っていきます。
「後少しですよ、頑張ってください!」
エルバッハに負けず劣らぬ豊かな胸の前で、握った両手を構えて応援するマナに、兵隊さんたちもがぜんやる気を取り戻します。
「むっ、そろそろ、本気を出しましょうか」
そう言うと、エルバッハの胸元から薔薇の文様がのびていきました。一転して迫力のある形相に変わると、エルバッハがあっという間に兵隊さんたちを追い抜いていきます。
「ひええ~、殺されるだ~」
鬼の形相で走るエルバッハを見て、兵隊さんたちが悲鳴をあげました。
「速いんやね」
「まだまだですわよ」
並んで走るシュルヴィに、エルバッハが笑顔に戻って答えました。後ろからは、兵隊さんたちが泣きながらついてきます。
「隊長さーん、まだ死にたくねえだ~」
ゴールするなり、兵隊さんたちが隊長にしがみつきます。
「仕方ないですわね。腕立て伏せ100回でいいですわよ」
エルバッハに言われて、兵隊さんたちは喜んで腕立て伏せして、その後、筋肉痛で寝込みました。でも、翌日のためにと、マナが回復させてくれたようです。
●鬼ごっこ
「昨日は大変だったようだな。安心しろよ、今日は訓練じゃねぇ。ただの鬼ごっこだ」
なんとか回復した兵隊さんたちを前にして、ボルディア・コンフラムス(ka0796)が言いました。
その言葉に、兵隊さんたちがホッとします。
ルールは、10分10本勝負で、最後に鬼だった者が腕立て伏せのようです。
「なんだか楽しそう。私も遊ぶ~♪」
メルクーア(ka4005)が言い切りました。昨日に引き続いて、シュルヴィも参加するようです。
「私も参加していいですか?」
劉 培花(ka4266)も申し出てきました。ハンターとして未熟と感じた自分を、この機会に一緒に鍛えたいようです。
場所は物陰が多い所がいいということで、近くの森になりました。
「では、スタート!」
隊長の号令一下、飛び出した鬼のボルディアが、あっけなくウーノを捕まえました。瞬殺です。
「あう~」
すぐに、ウーノがメルクーアを捕まえようとしますが、素早く屈んで両手をすり抜けていきました。ならばと、培花を捕まえようとしますが、ぼんやりしているように見えて一瞬にしてウーノの視界から消えました。
「戦場では、敵がどう動くかは分からないんですよ」
金色に輝く瞳で、培花が言いました。振り返るウーノの視界からは、すでに姿を消しています。
「は、速過ぎるだあ!」
「その通りだ」
ウーノの叫びに、ボルディアが答えました。
「それを観察し、相手の弱点を突く。それこそが、戦闘において大切なんだ」
遊びなんてとんでもない。鬼ごっこの中にも、戦いに生かせるいろいろなテクニックが満載なのです。
「うう……」
唸ったウーノは、ターゲットをドゥーエに定めました。ハンター相手でなければ、だいたい対等です。キャアキャアと、兵隊さん同士で鬼ごっこを展開していきます。
「はい、そこまで」
10分経って、トレが鬼でした。罰として、腕立て伏せをします。
「ひー、鬼やあ」
「では、次私が鬼になります。手加減はしますが、手は抜きません。全力で行きましょうか」
そう言う培花の目が笑っていません。キャアキャアと兵隊さんたちが逃げ回ります。マジ、必死です。
とはいえ、素早く蛇行して迫ってくる培花の前には、蛇に睨まれた蛙状態でした。
「おっと」
たまさか培花のターゲットサイトに入ってしまったメルクーアが、さっと兵隊さんの足許にスライディングして股の間をすり抜けて逃げます。
「ひゃっ!?」
驚いた兵隊さんが、あっけなく培花の餌食になりました。
「こりゃあ、ハンターが鬼の時は、マジで獲物でしかないなあ。まあ、頑張って逃げろ。こいつらから逃げ切れれば、戦場でも生き残れるぞ」
ボルディアがそう言いますが、10本目の頃には、すでに兵隊さんたちは走ることもできず、ほとんど隠れんぼになってしまっていました。
●山登り
またもやマナに回復してもらった兵隊さんたちの今日の特訓は山登りです。
「今日の特訓は、山に登ってサバイバル訓練なんよ。さあ、みんなで、レッツゴー!」
リーダーであるシュルヴィが、兵隊さんたちを前にして言いました。
「今日もハードみたいだあ、はあ……」
思わず、トレが溜め息をつきます。
「お兄さんたち、特訓は嫌いなのですか? ちゃんと特訓できたら、僕のおやつを分けてあげます」
サーシス・ハーツ(ka3354)が、渋る兵隊さんたちをなだめました。
「それでは、隊長殿、出発いたしましょう」
屋外(ka3530)が、隊長をうながしました。
「頑張って、食材も探しましょう」
ティス・フュラー(ka3006)は、やる気満々です。
「サバイバルは、兵隊さんたちだけじゃなく、隊長さんやボクらも鍛えることになるんよ。頑張ろうな」
シュルヴィの先導で、一行は近くの山に登っていきました。
「ここに山菜があるわよ」
ティスが、一同が進む道端の草を指さして言いました。
「山で遭難した時のサバイバルには、食料調達は必要な知識ですね」
ティスとしては、飲み水のためにピュアウォーターも伝授したいところですが、兵隊さんたちには無理なので諦めます。
「こっちも美味しそうだよ」
ウーノが、りっぱなキノコを見つけて言いました。
「あっ、それはダメですよ、毒です。食べたら死にますよ」
ひょいとキノコを摘もうとするウーノの服を引っぱって、サーシスが止めました。
「これは食べられる物やね」
赤い小さな木の実を見つけて、シュルヴィが言いました。
自然の恵みは豊富で、目的地に着くまでに、山ほどの山菜や木の実が手に入りました。
昼頃には、キャンプの目的地に辿り着きます。シュルヴィたちが事前に調べて決定した場所です。
「まずは、ベースを作りましょう」
ティスの指導の下、兵隊さんたちがテントを張ります。
「じゃあ、二手に分かれて食材確保するんよ」
シュルヴィが、隊長とウーノとドゥーエを連れて狩りにむかいました。ティスと屋外はトレとクアットロを連れて、魚捕りと水の確保です。サーシスは、テントの見張りでお留守番です。
「狩りはチームワークが大切なんよ。みんなで追い込むようにして、確実に捕まえよー」
シュルヴィが、チームプレイで敵を追い込む狩りを、みんなに指導していきました。これは、戦いの時にも応用が利くことでしょう。
うまくみんなで協力して、子鹿を一頭、仕留めることができました。
意気揚々と獲物を担いで帰ってくると、川組の方も丁度戻ってきました。
「水は確保しましたー」
ティスと屋外のつきそいで、近くの川まで行っていたトレとクアットロが帰ってきました。川で追い込み漁の特訓をして魚を捕ってくると同時に、大切な飲み水を調達してきています。
「では、獲物をちゃんと食べられるようにしようなあ」
シュルヴィの指示で、一同が夕餉の仕度にかかりました。シュルヴィが肉の捌き方を指導し、サーシスが山菜の下ごしらえを指導し、屋外が石で窯作りを指導し、ティスが料理を指導しました。兵隊さんたちもサバイバル訓練は二度目ですので、多少は慣れてきたようです。
「御飯ができましたよー」
ティスとサーシスが、山菜や魚や肉を豪華に使った料理を運んできました。
「美味しいだ!」
自分たちが取ってきた食材ということもあるのでしょうが、兵隊さんたちが満足の声をあげました。
焚き火の明かりを囲みつつ、みんなで楽しく夕食を囲みます。
もちろん、約束通り、サーシスのおやつ付きです。
●体操
「山登り、御苦労だった。きっと、全身筋肉痛で苦しんでいると思う」
翌日戻ってきた兵隊さんたちを出迎えて、クリスティン・ガフ(ka1090)が言いました。
山を下りてきたばかりなので、実際、全員が全身カタガタです。
「前回もそうだと聞き、今回はそれを和らげるために体操を指導するぞ」
クリスティンが、兵隊さんたちの筋肉を調べながら言いました。確かに、もう筋肉が死んでます。
「まずは、ラジオ体操からだ!」
何やら軽快な音楽を口ずさみながら、クリスティンが体操を始めました。それにしても、いったい、これのどこがラジオなのかと兵隊さんたちが首をかしげます。いえ、そもそもラジオってなんなのでしょう?
「これを毎朝やると、気分がヒャッハーになるぞ。次は、柔軟体操だ!」
兵隊さんたちの疑問などはお構いなしに、クリスティンが次の体操に移りました。二人一組になって、身体をほぐします。
「ぐ、ぐえ!」
「ああ、隊長さん!」
クリスティンに背中を押してもらっていた隊長が、身体をくの字にして地面に突っ伏して気を失っています。
「あれ? 強く押しすぎたか?」
から笑いを浮かべながら、クリスティンがつぶやきました。
●講義
「それでは、今日は、リアルブルーの戦闘の歴史について講義いたしましょう」
兵舎に兵隊さんたちを集めて、天央 観智(ka0896)が切り出しました。
自己の知り得るリアルブルーの知識の中から、説明できることを話し始めます。もちろん、観智が、リアルブルーとクリムゾンウエストのすべてを知るわけではありませんから、あくまでも、観智が個人として研究した知識からのみの説明です。
「……というふうに、リアルブルーでは戦闘に関する進歩が……」
一所懸命観智が説明していますが、兵隊さんたちには完全にチンプンカンプンで、すでに半分寝ています。いくら噛み砕いて話されても、固有名はまったくなじみがありませんし、原理を説明されても圧倒的に基礎知識がないので理解できません。宇宙時代の理論を、江戸時代の人に説明しているようなものですから、とても一筋縄ではいきませんでした。
それでも、観智が根気強く、武器の特徴や、敵に与える効果などを説明していきました。さらに、傷の話から、応急手当の仕方にまで話を広げます。やっと具体的なことにはなんとなく理解を示すものの、やはり原理の話になると興味が持てずに眠くなってしまう兵隊さんたちでした。
「ふむふむ。こうやって理論的に説明されると、効果的なダメージの与え方とか、ダメージコントロールの仕方とかがイメージしやすいですね」
一緒に講義を聴いていた培花が、こまめにメモをとりつつうなずきます。こちらは兵隊さんたちとは違って、専門知識と実戦をこなしていますから、クリムゾンウエストの人間であっても理解は早いようです。
「みんな、起きてください。知識は、いくらあっても邪魔になる物ではありません。意外にも、予期せぬ時に役にたつものなのです」
うつらうつらしている兵隊さんたちをゆり起こしながら、培花が言いました。
「そうです。さあ、目を覚まして。今こそ、熱き勇気について語る時です!」
いつの間にか観智と講師を交代していた屋外が叫びました。驚いて、兵隊さんたちが目を覚まします。
「貴殿らには、特別な力はありません。けれども、それはリアルブルーの人たちも同じでした。そんな人たちのための力として生み出されたのがCAMです」
今度は、CAMについての講義のようです。
「ふむふむ」
培花が、再びメモをとり始めます。
「CAMって何?」
一方の兵隊さんたちの方は、さらに困惑しているようでした。
「でっかい、強い、便利!」
屋外が、端的に説明します。訓練さえすれば、CAMは誰にでも操縦できる可能性を秘めています。きっと、農作業もこなすことができるでしょう。
「そのために、さあ、CAMのことを知るのです」
えんえんと、熱くCAMについて語る屋外でした。
●剣技
「ふむ、この、ころころしたのが、この村の兵士たちか」
兵隊さんたちを前にして、ユルゲンス・クリューガー(ka2335)が言いました。
「わー、すげー、本物の鎧を着た騎士様だあ」
全身を燻し銀の鎧で固めたユルゲンスを見て、兵隊さんたちが歓声をあげました。どうやら、既知の姿の先生だったので、ちょっと安心したようです。
「私はユルゲンス。みんな、よろしく頼む」
そう挨拶すると、ユルゲンスは剣術の指南を始めました。
「貴公らは、畑を耕す時に鍬を使うであろう? あれを振り下ろす要領で、1! 2! 3!」
剣の100本素振りです。
ある意味、実に特訓らしい特訓に、ちょっと兵隊さんたちもやる気を出したようです。とはいえ、まだまだ剣に振り回されている感は否めませんが。その都度、ユルゲンスが姿勢を修正して、素振りを続けさせます。実に、基本中の基本という特訓らしい特訓です。
「ようし、それまで。休憩を挟んで、体術の指南をする。どうですかな、隊長、一つ手合わせを」
兵隊さんたちを休ませると、ユルゲンスが隊長に声をかけました。
「面倒くさいが、まあ、少し身体もなまってたし、いいかあ」
隊長が受けてたちます。
全体的な実戦経験としては、遥かにユルゲンスの方が有利ですが、決して隊長が劣っているというわけでもありません。どちらかと言うとパワータイプのユルゲンスに対して、隊長の方はテクニック型とでも言いましょうか。ひとまずは真正面から組み合いますが、さすがに組み伏せられると、今度は素早い動きでユルゲンスを翻弄しました。
「隊長、頑張れー」
兵隊さんたちが声援を送ります。
「おいおい、お前たちもこれをやるんだ」
すっかり見物客気分の兵隊さんたちに、隊長が釘を刺しました。
すぐに交代で、兵隊さんたちが順にユルゲンスに組み手の稽古をしてもらいます。まあ、まさに赤子の手を捻るがごとしなのですが、ユルゲンスは体力に物を言わせて全員の相手を続けていきました。
●忍術
どろん。
突然地面に煙が立ったかと思うと、藤林みほ(ka2804)が忽然と現れました。
「よろしゅう。今日は、拙者の忍者としての技を伝授するでござる」
「忍者?」
聞いたこともない言葉に、兵隊さんたちが首をかしげました。
「忍者は最強でござるよ」
これはしたりと、みほが自慢げに忍者の説明をします。
「今日連れてきたのは忍犬と忍鼠でござる。これら動物を使いこなすのも、大切な忍術でござるよ」
さっそく、ペットの使い方を伝授しようとするみほでしたが、わんこのもふり大会になってしまいました。まあ、お手とか命令できるようにはなったようなので、よしとしましょう。
その他にも、日々成長する木を飛び越える訓練や、太陽の位置から方角を知る方法、縄の輪で木に登る方法などを紹介します。どれも、一日でうまくなるというものでもないので、訓練の仕方中心です。
最後に、手裏剣の投げ方を教えます。棒手裏剣をまっすぐに飛ばす直打法です。
「うんうん、実に興味深いよねえ」
忍術に興味のあるシュルヴィが、兵隊さんたちと一緒になって楽しそうに訓練していきました。
まったくなじみのない戦い方なので、兵隊さんたちも興味深く、楽しく訓練ができたようです。
●模擬戦
「さて、今日まで様々な訓練を積んできたわけだが、はっきり言って、貴様らはたるんでいる!」
特訓の最終日、ヒースクリフ(ka1686)が兵隊さんたちを前にして大声で怒鳴りました。
「んなこと言われても……」
頑張ったんだよーと、兵隊さんたちが言い返します。
まあ、一週間ほどの特訓で、いきなり別人のように進歩するということなどありえないわけですが。まあまあ、みんな頑張った方だと思います。二度の集中特訓で、少しは以前より兵隊さんらしい顔にはなってきたようですし。
「甘い! そんなことで実戦で生き残れると思うなよ。最後は、俺との模擬戦で締めくくるぞ」
そう宣言すると、ヒースクリフがわざわざ山から運んできてもらった岩に、斧形態にしたツヴァイシュトースツァーンを叩きつけました。その一撃で、かかえる程度の岩が真っ二つになります。
「ひえええー、殺されるだあ。この人、殺る気満々ですだー」
一斉に兵隊さんたちが隊長の後ろに隠れました。
「ふん。貴様たちヘタレに武器など必要ない。死なない程度に素手で相手してやる。さあ、かかってこい」
ツヴァイシュトースツァーンを地面に突き立てると、ヒースクリフが両手を広げて身構えました。
「ということだそうだ。よし、隊長命令だ、全員で一斉にかかれ。小隊、前へ!」
「ひ、ひえ~」
隊長に押し出されて、兵隊さんたちが全員でヒースクリフに飛びかかっていきました。
●宴会
「まあまあ、みなさん、もう大丈夫ですか?」
マナが、兵隊さんたちに包帯を巻いてあげながら訊ねました。
当然ですが、全員ヒースクリフにこてんぱんにやられたわけです。けれども、最初殺されると思ったのに比べると、案外互角に戦えたような気もしたので、兵隊さんたちの顔もちょっと誇らしげです。これも特訓の成果でしょうか。まあ、ヒースクリフが、かなり手加減したのでしょう。
「それでは、長きにわたる特訓御苦労様でした。これからは、打ち上げで、胃袋とお酒の特訓だあ!」
持ってきた大量の酒瓶を前にして、メルクーアがジョッキを高々と掲げました。
「かんぱーい!」
全員でジョッキを掲げると、マナの作った料理に手をのばしました。もちろん、山で取ってきた食材で作ったティスとサーシスの料理も山盛りあります。
「美味しいねえ」
興が乗ったシュルヴィが踊りだします。
「どれ、私も……」
続いて、クリスティンが、ギガースアックスをブンブンと振り回して演舞を行い、みんながやんやと拍手しました。
兵隊さんたちも、とりあえず剣舞……、と言うか、剣の素振りを見せます。
「まあ、こんなところであろうか」
それを見たユルゲンスが、多少苦笑しつつ酒をあおります。
「さあ、飲め~」
メルクーアが、兵隊さんたちにどんどんお酒を勧めました。
「こらこら、あまり飲ますなよ」
さすがに、ボルディアが心配そうに釘を刺します。
「まあ、これも特訓!」
あっけらかんとメルクーアが答えました。
夜遅くまで、宴は続いていきました。さすがに一人また一人と酔いつぶれていきます。明日は二日酔いで、みんな大変でしょう。
「もう、みんなだらしないなあ」
酔いつぶれた一同を見て、一人メルクーアが手酌でお酒のおかわりをしました。
依頼結果
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特別訓練相談室(へたれ仕様) ボルディア・コンフラムス(ka0796) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/03/23 15:10:52 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/21 01:24:32 |