ゲスト
(ka0000)
珍客のいる茶屋
マスター:秋月雅哉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2015/03/28 19:00
- 完成日
- 2015/03/29 23:05
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●街道の茶屋に現れたのは
緩い勾配がだらだらと続くため傾斜の割には旅人を疲れさせる峠の頂上にその茶屋はあった。
冬の間は雪と、季節柄旅人が減ることから閉めているのだが、雪があらかた溶け、陽射しも暖かく、春めいてきたので例年通り店を開けようと主が食材を積んだ荷車をお供にやってきてみれば。
店を開けるのを待つようにぱたんぱたんと尻尾を振る狐のようなもの。
屋根に乗ってあくびをする猫のようなもの。
蝶を追いかけまわす犬のようなもの。
ことごとく「ようなもの」とつくのはそれが本当の狐や猫や犬ではないからだ。
尾が複数あったり、翼が生えていたり、大きさが普通でなかったり。
近づいても危害を加えないということはおそらく雑魔ではなく害のない精霊なのだろう。
しかし営業するには気が散る。
追い払おうとすればつぶらな瞳で追い出さないで、と訴えるようなその姿を見てなお追い払えるほど店主は冷酷ではなかった。
……が、しかし。精霊に驚いて人があまり寄り付かないのと視線が気になって休憩もそこそこに立ち去ってしまう人が多いため売り上げが芳しくない。
『ハンターの皆さんならいろいろなことを経験しているから、精霊を怒らせずに茶屋から引きはがせるのではないか』そう考えた茶屋の主は、精霊たちをどうにかして欲しいとハンターオフィスに泣きついたのだった。
緩い勾配がだらだらと続くため傾斜の割には旅人を疲れさせる峠の頂上にその茶屋はあった。
冬の間は雪と、季節柄旅人が減ることから閉めているのだが、雪があらかた溶け、陽射しも暖かく、春めいてきたので例年通り店を開けようと主が食材を積んだ荷車をお供にやってきてみれば。
店を開けるのを待つようにぱたんぱたんと尻尾を振る狐のようなもの。
屋根に乗ってあくびをする猫のようなもの。
蝶を追いかけまわす犬のようなもの。
ことごとく「ようなもの」とつくのはそれが本当の狐や猫や犬ではないからだ。
尾が複数あったり、翼が生えていたり、大きさが普通でなかったり。
近づいても危害を加えないということはおそらく雑魔ではなく害のない精霊なのだろう。
しかし営業するには気が散る。
追い払おうとすればつぶらな瞳で追い出さないで、と訴えるようなその姿を見てなお追い払えるほど店主は冷酷ではなかった。
……が、しかし。精霊に驚いて人があまり寄り付かないのと視線が気になって休憩もそこそこに立ち去ってしまう人が多いため売り上げが芳しくない。
『ハンターの皆さんならいろいろなことを経験しているから、精霊を怒らせずに茶屋から引きはがせるのではないか』そう考えた茶屋の主は、精霊たちをどうにかして欲しいとハンターオフィスに泣きついたのだった。
リプレイ本文
●もふもふ、ふかふか、精霊パラダイス
冬の間店を閉めていた峠の茶屋に、その間に居ついてしまったもふもふふかふかの精霊たち。
可愛らしい外見ではあるものの数が非常に多かったため一般人である店主や茶屋で足を休めようと立ち寄った客たちはなんだか落ち着かないようで。
「みなさんと、茶屋が共存できればいいのですね?
現時点で、何が問題なのか、よくわかりませんが、とりあえず、なでなでしてみますね」
ミオレスカ(ka3496)が手始めに撫でてみると精霊は大人しくなでられ、気持ちよさそうに目を細めたりすり寄ってきたり。
「大丈夫ですね? お名前ありますか? マメちゃんでいいですか? それとも、ボニーさんがいいでしょうか?」
抱っこしたり、ぎゅっと抱きしめたり。
他のハンターたちもわれ先にともふもふし始めるのを店主は怪訝そうに眺めていた。
「どうだろう? ここはひとつ精霊がいることを売りにしてみるというのは。茶屋が精霊の存在を容認しているとわかれば、お客人も警戒心を解いてくれるのではないかな?」
常胎ギィ(ka2852)が嫌がられないかと屈んで恐る恐る手を伸ばしながら店主に問いかける。
もともとにこやかな表情だったが精霊が自分からすり寄ってくるととても嬉しそうな顔になってむぎゅっと抱きしめた。
「ん、いいところじゃねぇの。客が来ないのは勿体ない」
精霊をこのまま追い返すのは自分たちでも骨が折れるし、店の第一希望に添えないのは申し訳ないが、精霊がいることを生かして客を呼び込む方向で考えるか、とフェリル・L・サルバ(ka4516)が辺りを見渡し、被保護者であるギィの姿を捕捉。
こっそり忍び寄ると後ろから覗き込んで。
「お仕事頑張ってまちゅかァ~?」
突然現れた苦手意識を持つ保護者に驚いて腰を抜かすギィ。涙目になったのは驚いたせいだろうか、それとも苦手な相手と鉢合わせしたせいだろうか。
「まずはその恐ろしい形相をどうにかしたまえ。……まったく、精霊が怯えるじゃないか……」
保護者としては子供がちゃんと仕事できているか心配だった、と嘯いてフェリルが手を振って去っていくとギィは気持ちを宥めるためにもふもふ再開。
「時に店主よ。君は彼らに触れてみたかね? これから仲良くやっていくのなら、君とこの子たちのふれあいは必須だと思うんだ。
精霊たち、店主にも仕事があるのだ。いるのは仕方ないが邪魔をしてはいけないよ?」
ハンターたちがこぞってもふもふに夢中になっているのを見て危害を加えられることはないのか、と判断した店主がおずおずと手を伸ばす。
精霊たちがわらわらと嬉しそうに店主の許へと集まり、店主は困ったような、嬉しいような。複雑な笑みを浮かべて順番に撫でてやるのだった。
もしかすると場所が気に入っただけでなく店主の残していった人当たりのいい気配の残滓のようなものに惹かれてこの精霊たちは茶屋に集まり、冬の間やってこない店主が春になってやってきて、触れ合える時が来るのをずっと待っていたのかもしれない。
「ねぇねぇ、打ち解けはじめたところでさ、この精霊たちをマスコットにして、精霊モチーフのお菓子とか料理を作ったらどうかな?
精霊がいる茶屋なんて滅多にないし、評判になると思うんだけど」
めっちゃもふもふ! と自分の耳をピコピコ動かしながらもふもふすりすりするミルティア・ミルティエラ(ka0155)の目がもふもふ具合に輝いている。
エルバッハ・リオン(ka2434)は持参した食料を精霊たちに食べさせてみることに。
店主の話によると昼頃から三十分程度実体化し、そのほかの時間帯は光球のような姿で漂っているらしい。
多くの客は光球に驚いたり、突然姿を現す精霊に驚いて足早に去っていってしまうのだとか。
エルバッハは精霊と茶屋の客人がいずれふれあい体験をするようになった時に、精霊が客人を傷つけることのないように力加減を教える意味で、店主の話を聞きながら更にスキンシップをはかっていた。
エル・ジャルディネロ(ka4334)は精霊たちに害意がないこと、この場所が気に入っているようであること、好奇心旺盛であること、一緒に精霊たちが店の営業妨害にならないように考えるから共存して欲しい、と丁寧に説明をしたあと願い出る。
まぁ、これだけ人懐こいなら、商売の邪魔をしないのなら追い出すのも可哀想だし、これも何かの縁だろうから。そう答えた茶屋の主人の周りには一番精霊たちが集まっている。
「よかったです。ご主人の納得と了承がなければ、かわいらしい精霊といえども不法占拠となってしまうでしょうから」
嫌がられない程度にひたすらもふもふしながらジャルディネロは微かに微笑む。
頃合いを見てゆったりとした、暖かな曲を選んで竪琴を引くと精霊たちの耳がぴくぴくと動いた。
「……もふもふしたい……。はっ! 我は何を口走った!?
ま、まぁ、よい。精霊たちよ、我手製のクッキーを食らうがよい!」
ヘレル・D・イグナイト(ka4433)は糖分控えめのクッキーを大量に取り出し、同行者のハンターたちと依頼主の店主には普通のクッキーとケーキを振舞う。
食べ物が珍しいのか続々とヘレルの周りに集まってくる精霊たちにヘレルも若干戸惑い気味。
「ぬ、ぬぅ? 少し、集まり過ぎではないか? まぁ、よい。欲しいなら欲しいだけくれてやろう!」
これは意訳すると「クッキーは十分にあるからあばれないでね!」になるようだ。
フェリルは精霊をもふもふしながら店主と精霊モチーフのお菓子の案を煮詰めていた。
「精霊の形をしたお茶菓子とか、それぞれ特徴あるし可愛いし……面白いんじゃねーかなって思ったんだけどどうかな?
この時期だから桜のお菓子もよさそうだよなー。
ついでに精霊に与えても害のないような別メニューもあったらいいかもな。
動物っぽい外見だし、念のため塩分糖分控えめでネギ類は禁止とか?」
「蒸し饅頭など、いかがでしょう?半分こして、一緒に食べられるものを、メニューにすると、いいと思います。
手から、食べてくれたら、嬉しいです。
あとは、ここまで来た記念のお土産に、縫い物で、精霊さんをモチーフにした、小さなマスコットの、アクセサリーを作るのはどうでしょうか?」
後利益もありそうです、とミオレスカも一緒になってアイディアを出す。
「実体化してる時間が短いのは、残念ですが、この子たちも、店主さんと仲良くしたそうです、この、顎のところなど、撫でてあげると喜びますよ」
ミオレスカの言葉と精霊のつぶらな瞳に店主の顔から困ったような表情が抜けて子供を慈しむような表情になり、精霊に手を伸ばす。
接し方が分からなかっただけで本当は心優しい人なのだろう。
「さて、お客人を呼び込むための案を考えねばなるまいな。
お菓子の類もいいがやはり光球が漂っていたりいきなり実体化されてはお客人も驚いてしまうだろう。
のぼり、あるいは看板を設置するのはどうだろうか?
何もないものと思って入ろうとしたら精霊がいた……というのではやはり及び腰になってしまうからあらかじめその情報が分かるようにしておくのだ。
『精霊と触れ合える茶屋』という一文をそこに書くだけでも分かり易くていいと思うんだ」
制作、設置の作業があれば手伝うよ、とギィが申し出、確かにそれならお客側にも心構えができていいかもしれない、と店主が賛同する。
実体化する時間が過ぎてしまったのか、光球に戻った精霊たち。
それを合図に精霊が実体化している間の住処兼ふれあい場と看板制作班に分かれて作業を開始する。
基本的には精霊の種類や此処の好みを考慮したものだが絶対条件として茶屋で休憩している客人の気にならない位置に制作する、という共通認識があげられた。
その後は新メニューの試作品づくりをわいわいと賑やかに。
光球になっても五感のようなものはあるのか、ふわふわと漂う精霊たちの移動の仕方もなんだか楽しげに見える。
「イメージ、造形なんかは皆の案に乗っからせてもらうね。材料の都合や味付けの仕方は任せて。
念のために犬猫系列にはよろしくない類の材料を省いて調理して、できるだけ美味しくするように努力したいな」
一緒に食べられるもの、をコンセプトにできるだけ薄味に、けれど人も楽しめる味付けを心掛けるミルティア。
ミオレスカは持ってきた布で試作のアクセサリーを作ってみて試しに店先に置かせてもらうことに。
「やっぱり、ここがいいようです。私もまた、遊びに来てもいいですか?」
試しに街の方に誘導を試みるが光球たちがついてくる気配はない。
「私も竪琴を奏でに、また来たいですね。精霊と遊んだりもしたいですし」
ジャルディネロも名乗り出て、なら自分ももふりにきたい、というメンバーが続々と。
「触れ合ってるところを見れば害がないって一番の証明になるしな。いい案なんじゃねぇか?」
フェリルがそんな一同を見て薄く笑った。
珍客が居ついたことで一時は経営が危うくなった茶屋だったが、珍客の方に害意が全くなかったことと、ハンターたちが上手く橋渡しになったことで、春らしく新しい息吹が吹き込まれ『精霊と触れ合える茶屋』として生まれ変わる事が出来たようだ。
今日できる全ての作業を終え、ハンターたちは光球に変じた精霊たちと店主の見送りを受けて峠の茶屋を後にする。
真新しいのぼりと看板が風になびき、夕日を受けて輝いていた。
これからの新生茶屋に幸いあれ。
人懐こい精霊たちだ、事前に客人たちに心構えができたなら、きっと人気者のマスコット的存在になれることだろう。
「……もふもふな精霊……我の館にも現れぬだろうか。厚遇する準備はできているぞ……はっ、いや、何でもない、なんでもないぞ!?」
もふもふを満喫したものの、虜になってしまったらしいヘレルが帰り際に無意識に呟いてハンターたちの微笑を買ったのはハンターたちしか知らないことだ。
もふもふは正義。動物好きにとってのこの理論は、どうやら青の世界も紅の世界も共通らしい。
冬の間店を閉めていた峠の茶屋に、その間に居ついてしまったもふもふふかふかの精霊たち。
可愛らしい外見ではあるものの数が非常に多かったため一般人である店主や茶屋で足を休めようと立ち寄った客たちはなんだか落ち着かないようで。
「みなさんと、茶屋が共存できればいいのですね?
現時点で、何が問題なのか、よくわかりませんが、とりあえず、なでなでしてみますね」
ミオレスカ(ka3496)が手始めに撫でてみると精霊は大人しくなでられ、気持ちよさそうに目を細めたりすり寄ってきたり。
「大丈夫ですね? お名前ありますか? マメちゃんでいいですか? それとも、ボニーさんがいいでしょうか?」
抱っこしたり、ぎゅっと抱きしめたり。
他のハンターたちもわれ先にともふもふし始めるのを店主は怪訝そうに眺めていた。
「どうだろう? ここはひとつ精霊がいることを売りにしてみるというのは。茶屋が精霊の存在を容認しているとわかれば、お客人も警戒心を解いてくれるのではないかな?」
常胎ギィ(ka2852)が嫌がられないかと屈んで恐る恐る手を伸ばしながら店主に問いかける。
もともとにこやかな表情だったが精霊が自分からすり寄ってくるととても嬉しそうな顔になってむぎゅっと抱きしめた。
「ん、いいところじゃねぇの。客が来ないのは勿体ない」
精霊をこのまま追い返すのは自分たちでも骨が折れるし、店の第一希望に添えないのは申し訳ないが、精霊がいることを生かして客を呼び込む方向で考えるか、とフェリル・L・サルバ(ka4516)が辺りを見渡し、被保護者であるギィの姿を捕捉。
こっそり忍び寄ると後ろから覗き込んで。
「お仕事頑張ってまちゅかァ~?」
突然現れた苦手意識を持つ保護者に驚いて腰を抜かすギィ。涙目になったのは驚いたせいだろうか、それとも苦手な相手と鉢合わせしたせいだろうか。
「まずはその恐ろしい形相をどうにかしたまえ。……まったく、精霊が怯えるじゃないか……」
保護者としては子供がちゃんと仕事できているか心配だった、と嘯いてフェリルが手を振って去っていくとギィは気持ちを宥めるためにもふもふ再開。
「時に店主よ。君は彼らに触れてみたかね? これから仲良くやっていくのなら、君とこの子たちのふれあいは必須だと思うんだ。
精霊たち、店主にも仕事があるのだ。いるのは仕方ないが邪魔をしてはいけないよ?」
ハンターたちがこぞってもふもふに夢中になっているのを見て危害を加えられることはないのか、と判断した店主がおずおずと手を伸ばす。
精霊たちがわらわらと嬉しそうに店主の許へと集まり、店主は困ったような、嬉しいような。複雑な笑みを浮かべて順番に撫でてやるのだった。
もしかすると場所が気に入っただけでなく店主の残していった人当たりのいい気配の残滓のようなものに惹かれてこの精霊たちは茶屋に集まり、冬の間やってこない店主が春になってやってきて、触れ合える時が来るのをずっと待っていたのかもしれない。
「ねぇねぇ、打ち解けはじめたところでさ、この精霊たちをマスコットにして、精霊モチーフのお菓子とか料理を作ったらどうかな?
精霊がいる茶屋なんて滅多にないし、評判になると思うんだけど」
めっちゃもふもふ! と自分の耳をピコピコ動かしながらもふもふすりすりするミルティア・ミルティエラ(ka0155)の目がもふもふ具合に輝いている。
エルバッハ・リオン(ka2434)は持参した食料を精霊たちに食べさせてみることに。
店主の話によると昼頃から三十分程度実体化し、そのほかの時間帯は光球のような姿で漂っているらしい。
多くの客は光球に驚いたり、突然姿を現す精霊に驚いて足早に去っていってしまうのだとか。
エルバッハは精霊と茶屋の客人がいずれふれあい体験をするようになった時に、精霊が客人を傷つけることのないように力加減を教える意味で、店主の話を聞きながら更にスキンシップをはかっていた。
エル・ジャルディネロ(ka4334)は精霊たちに害意がないこと、この場所が気に入っているようであること、好奇心旺盛であること、一緒に精霊たちが店の営業妨害にならないように考えるから共存して欲しい、と丁寧に説明をしたあと願い出る。
まぁ、これだけ人懐こいなら、商売の邪魔をしないのなら追い出すのも可哀想だし、これも何かの縁だろうから。そう答えた茶屋の主人の周りには一番精霊たちが集まっている。
「よかったです。ご主人の納得と了承がなければ、かわいらしい精霊といえども不法占拠となってしまうでしょうから」
嫌がられない程度にひたすらもふもふしながらジャルディネロは微かに微笑む。
頃合いを見てゆったりとした、暖かな曲を選んで竪琴を引くと精霊たちの耳がぴくぴくと動いた。
「……もふもふしたい……。はっ! 我は何を口走った!?
ま、まぁ、よい。精霊たちよ、我手製のクッキーを食らうがよい!」
ヘレル・D・イグナイト(ka4433)は糖分控えめのクッキーを大量に取り出し、同行者のハンターたちと依頼主の店主には普通のクッキーとケーキを振舞う。
食べ物が珍しいのか続々とヘレルの周りに集まってくる精霊たちにヘレルも若干戸惑い気味。
「ぬ、ぬぅ? 少し、集まり過ぎではないか? まぁ、よい。欲しいなら欲しいだけくれてやろう!」
これは意訳すると「クッキーは十分にあるからあばれないでね!」になるようだ。
フェリルは精霊をもふもふしながら店主と精霊モチーフのお菓子の案を煮詰めていた。
「精霊の形をしたお茶菓子とか、それぞれ特徴あるし可愛いし……面白いんじゃねーかなって思ったんだけどどうかな?
この時期だから桜のお菓子もよさそうだよなー。
ついでに精霊に与えても害のないような別メニューもあったらいいかもな。
動物っぽい外見だし、念のため塩分糖分控えめでネギ類は禁止とか?」
「蒸し饅頭など、いかがでしょう?半分こして、一緒に食べられるものを、メニューにすると、いいと思います。
手から、食べてくれたら、嬉しいです。
あとは、ここまで来た記念のお土産に、縫い物で、精霊さんをモチーフにした、小さなマスコットの、アクセサリーを作るのはどうでしょうか?」
後利益もありそうです、とミオレスカも一緒になってアイディアを出す。
「実体化してる時間が短いのは、残念ですが、この子たちも、店主さんと仲良くしたそうです、この、顎のところなど、撫でてあげると喜びますよ」
ミオレスカの言葉と精霊のつぶらな瞳に店主の顔から困ったような表情が抜けて子供を慈しむような表情になり、精霊に手を伸ばす。
接し方が分からなかっただけで本当は心優しい人なのだろう。
「さて、お客人を呼び込むための案を考えねばなるまいな。
お菓子の類もいいがやはり光球が漂っていたりいきなり実体化されてはお客人も驚いてしまうだろう。
のぼり、あるいは看板を設置するのはどうだろうか?
何もないものと思って入ろうとしたら精霊がいた……というのではやはり及び腰になってしまうからあらかじめその情報が分かるようにしておくのだ。
『精霊と触れ合える茶屋』という一文をそこに書くだけでも分かり易くていいと思うんだ」
制作、設置の作業があれば手伝うよ、とギィが申し出、確かにそれならお客側にも心構えができていいかもしれない、と店主が賛同する。
実体化する時間が過ぎてしまったのか、光球に戻った精霊たち。
それを合図に精霊が実体化している間の住処兼ふれあい場と看板制作班に分かれて作業を開始する。
基本的には精霊の種類や此処の好みを考慮したものだが絶対条件として茶屋で休憩している客人の気にならない位置に制作する、という共通認識があげられた。
その後は新メニューの試作品づくりをわいわいと賑やかに。
光球になっても五感のようなものはあるのか、ふわふわと漂う精霊たちの移動の仕方もなんだか楽しげに見える。
「イメージ、造形なんかは皆の案に乗っからせてもらうね。材料の都合や味付けの仕方は任せて。
念のために犬猫系列にはよろしくない類の材料を省いて調理して、できるだけ美味しくするように努力したいな」
一緒に食べられるもの、をコンセプトにできるだけ薄味に、けれど人も楽しめる味付けを心掛けるミルティア。
ミオレスカは持ってきた布で試作のアクセサリーを作ってみて試しに店先に置かせてもらうことに。
「やっぱり、ここがいいようです。私もまた、遊びに来てもいいですか?」
試しに街の方に誘導を試みるが光球たちがついてくる気配はない。
「私も竪琴を奏でに、また来たいですね。精霊と遊んだりもしたいですし」
ジャルディネロも名乗り出て、なら自分ももふりにきたい、というメンバーが続々と。
「触れ合ってるところを見れば害がないって一番の証明になるしな。いい案なんじゃねぇか?」
フェリルがそんな一同を見て薄く笑った。
珍客が居ついたことで一時は経営が危うくなった茶屋だったが、珍客の方に害意が全くなかったことと、ハンターたちが上手く橋渡しになったことで、春らしく新しい息吹が吹き込まれ『精霊と触れ合える茶屋』として生まれ変わる事が出来たようだ。
今日できる全ての作業を終え、ハンターたちは光球に変じた精霊たちと店主の見送りを受けて峠の茶屋を後にする。
真新しいのぼりと看板が風になびき、夕日を受けて輝いていた。
これからの新生茶屋に幸いあれ。
人懐こい精霊たちだ、事前に客人たちに心構えができたなら、きっと人気者のマスコット的存在になれることだろう。
「……もふもふな精霊……我の館にも現れぬだろうか。厚遇する準備はできているぞ……はっ、いや、何でもない、なんでもないぞ!?」
もふもふを満喫したものの、虜になってしまったらしいヘレルが帰り際に無意識に呟いてハンターたちの微笑を買ったのはハンターたちしか知らないことだ。
もふもふは正義。動物好きにとってのこの理論は、どうやら青の世界も紅の世界も共通らしい。
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
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サポート一覧
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![]() |
もふもふ茶屋繁盛記 ミオレスカ(ka3496) エルフ|18才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/03/27 23:21:19 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/26 09:09:23 |