ゲスト
(ka0000)
水辺に沸いたスライム退治
マスター:秋月雅哉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2015/03/30 19:00
- 完成日
- 2015/04/01 03:46
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●少しずつ緑も芽生え始め、行楽のシーズンが近づく中で
その湖は青みがかった水が何処までも澄んでいて、周りには湖以外の自然も豊富で、いるだけで気分が爽やかになると言われるほど綺麗な水質と環境を保っていた。
気の早い観光客が春の訪れを待ちきれずに散策にやってきたりもする人気スポットだ。
今日も老人が朝の散歩としてこの湖にやってきたのだが、なにかがおかしい。
湖周辺に何だかべたべたしていそうなものがたくさんあるのだ。しかも気のせいか蠢いている。
「誰かがごみを捨てていって風に動いているだけだろうか。綺麗な場所を汚す不届き者め」
老人は怒りを感じながら水辺へと近づいていく。
しかしそれはゴミではなかった。ゴミより質の悪い――雑魔だったのだ。
スライム状のそれらはうごうごと蠢き、老人の履物や衣類を溶かす。
直接触れた個所は火傷のようになっていた。
これは自分の手に負える存在ではない、このままここにいたら命の危機になる。
そう判断した老人は素足で駆けだした。足に小石が突き刺さる痛みにも気づかない程必死に。
「スライムが水辺に出たんだってさ。何でも服を溶かす能力があるらしい。
被害報告が何件か出てるんだけど……どれも男性からなんだよ。二十代くらいの被害者が一番多い」
ルカ・シュバルツエンド(kz0073)がげんなりした口調で言葉を紡ぐ。はい、つまりまた変態雑魔なわけですね。
「女性がいると姿を現さないみたいだから隠れたりしておく必要があるかもね。服の溶解能力の他には素手で触れると火傷の症状が出るのが要注意かなぁ。
あとは観光名所だからあまり荒らさないでほしいっていうのが被害報告を取りまとめてオフィスに回してきた保護団体からの要請。
まだ季節はちょっと早いけど綺麗な場所だからね。気の早い観光客もいるみたいでさ。荒れてたら残念じゃない?
顔に引っ付いてくるとスライムって性質上息が出来なくなると思うから気を付けて」
すごく大きいのが一体で、攻撃されることで分裂していくみたいだよ。そう付け加えてルカは言葉を締めくくったのだった。
その湖は青みがかった水が何処までも澄んでいて、周りには湖以外の自然も豊富で、いるだけで気分が爽やかになると言われるほど綺麗な水質と環境を保っていた。
気の早い観光客が春の訪れを待ちきれずに散策にやってきたりもする人気スポットだ。
今日も老人が朝の散歩としてこの湖にやってきたのだが、なにかがおかしい。
湖周辺に何だかべたべたしていそうなものがたくさんあるのだ。しかも気のせいか蠢いている。
「誰かがごみを捨てていって風に動いているだけだろうか。綺麗な場所を汚す不届き者め」
老人は怒りを感じながら水辺へと近づいていく。
しかしそれはゴミではなかった。ゴミより質の悪い――雑魔だったのだ。
スライム状のそれらはうごうごと蠢き、老人の履物や衣類を溶かす。
直接触れた個所は火傷のようになっていた。
これは自分の手に負える存在ではない、このままここにいたら命の危機になる。
そう判断した老人は素足で駆けだした。足に小石が突き刺さる痛みにも気づかない程必死に。
「スライムが水辺に出たんだってさ。何でも服を溶かす能力があるらしい。
被害報告が何件か出てるんだけど……どれも男性からなんだよ。二十代くらいの被害者が一番多い」
ルカ・シュバルツエンド(kz0073)がげんなりした口調で言葉を紡ぐ。はい、つまりまた変態雑魔なわけですね。
「女性がいると姿を現さないみたいだから隠れたりしておく必要があるかもね。服の溶解能力の他には素手で触れると火傷の症状が出るのが要注意かなぁ。
あとは観光名所だからあまり荒らさないでほしいっていうのが被害報告を取りまとめてオフィスに回してきた保護団体からの要請。
まだ季節はちょっと早いけど綺麗な場所だからね。気の早い観光客もいるみたいでさ。荒れてたら残念じゃない?
顔に引っ付いてくるとスライムって性質上息が出来なくなると思うから気を付けて」
すごく大きいのが一体で、攻撃されることで分裂していくみたいだよ。そう付け加えてルカは言葉を締めくくったのだった。
リプレイ本文
●どこにでも変態雑魔は沸くようで
青みがかった、けれど透明度の高い綺麗な水質と、周囲の豊かな自然が人気の観光スポットに沸いたのは変質者ならぬ変態雑魔。
二十代の男性を中心に、男性にばかり襲い掛かっては服を溶かして散々な目に合わせているという。
気の早い観光客や地元住民が花冷えの中散策に来たりもできる季節なので、一刻も早い討伐を。
そんな依頼がハンターオフィスからハンターたちに斡旋されたのだが、この依頼の斡旋を担当したルカ・シュバルツエンド(kz0073)は妙にこの手の雑魔に縁があるようで、その依頼を何度か受けている揚羽・ノワール(ka3235)が女性にしか見えない整った容姿の、唇の部分を細い指で押さえて考え込む。
「……またこの手の雑魔なのね。シュバルツエンド様はよほどこういう依頼がお好きなのかしら?」
ルカが聞いたら「僕はただ斡旋を頼まれた仕事を回してるだけであってそういう趣味はない」と猛反発しただろう、斡旋のたびにげんなりはしているから。
……そのげんなりぶりが演技でなければ、だが。
「このスライムもやっぱり今までの大ダコとヒュドラもどきと同じ歪虚の眷属なのかしら?
だとしたらその歪虚も大概よね。……ミーハーな女性型だったりするのかしら?
考えても仕方なさそうだけれど」
ちなみに揚羽が挙げた雑魔の他に、紅葉の季節に男性らしさを持つ男性を可愛さだけ突き詰めた服に着替えさせる謎雑魔なども発見、討伐されていたりもする。
「男性だけを狙う、その理由って何なのかしらね。そっち系のフェチ? ……色欲絡みなのかしら」
女性陣で戦闘に適した場所を探しに向かいながら、去り際に聞こえた揚羽の言葉にパウラ・アウノラ(ka4348)が首を傾げて呟く。
見かけだけなら完全に女性の揚羽だが本来の性別は男性であるため、囮役の男性たちから少し距離を取って囮役に回ることになっていた。
「衣類を溶かすスライムとは……まさに大人のゲームに出てくるような敵ですね。しかも男性だけとは、まったくけしからんですね。
きっとこのスライムは、オス……BLに違いない」
スライムがオスなのか、そもそも性別があるのか自体が不明だが秋桜(ka4378)的にはそちらの方が盛り上がるようだ。
BL、時々ベーコンレタスとも称される一部の女子、稀に男子の大好物的な何かである。
「戦いになったらまずは自分が溶かされないようにしないといけないでござるな……」
藤林みほ(ka2804)が懸念しているのはスライムの持つ服の溶解能力と、直接触れると火傷のような症状が出る、という能力だろう。
変態性ばかりが目に付く雑魔だが、火傷は深くなればそれなりに深刻な症状が出るためできれば避けたいところではある。
その前に発生する服の溶解現象も可能な限り避けたいものではあったが。
「こんな依頼だったとは迂闊です……。……が、受けた以上はしっかりやらないとですね……誘き出しやすくこちらも隠れやすい場所、ついでに戦いやすいとさらによし、と……。
あ、あの辺りはどうですか?」
普通のスライム退治だと思って受けた依頼が変態雑魔退治だったことに呆然としながら、気を取り直したサクラ・エルフリード(ka2598)が少し離れた場所にある拓けた場所を示す。
場所自体は拓けているがすぐ近くに植込みがあり隠れることが出来そうだ。
そして戦いで壊れそうなものもおかれていない。
女性陣は男性陣に場所を伝え、植え込みの陰に隠れると囮役たちの無事(この場合主に精神的な意味での安否)を祈るのだった。
男性陣たちが湖の付近を散策しているとどこからともなく巨大なスライムはホイホイとつられるようにやってきた。
つかず離れずの距離を保ちながら、急激に接近されることを警戒しつつ女性陣が待つ戦闘場所へと早足で移動する。
「……まあ、いろんな雑魔もいるもんだな。筋肉コンテストならまだしも、俺みたいな筋肉ダルマのストリップショーなんて面白くもないだろうにな……。
……ともあれ、被害も出てるしとっとと殴り潰すかね」
スライムがついてきていることを確認しながら十文字 勇人(ka2839)がぼやく。
スライムの撃退と素っ裸回避ができたらいいなぁ、というのが彼の今回の目標だった。
公の場で全裸になるとか観光客に見つかったら変質者として通報されることは想像に難くない。
ハンターとして任務に励んだ結果だと理解してもらえれば情状酌量の余地はあるかもしれないが下手をしたら即犯罪者として引っ立てられるだろう。
「男のみを襲うという習性に加え変態的という直球な表現に多大な疑問があるのだが……何を考えているのかもわからん粘性の物体だ。
その心情を図ることは、短時間では不可能だろう」
ルース・L・スパーダ(ka4513)はなんだか悟りの境地に近い心境に陥りながら戦闘予定地へと足を運び続ける。
スライムは一定のスピードで彼らを追いかけ続け、逃げる素振りはないのが討伐するという面においては救いだが、変態に追い回されているという現状が続くのは不幸だろう。
「男の服溶かして何が面白いってんだよ、このスライム。意味わかんね」
ベル・ブランシェ(ka4547)は誰にも聞こえないくらいの声量で本心を吐露してしまう。
「なんにしても、この雑魔を放っておくわけには行けませんね」
一緒に誘導する男性陣に聞こえるように口にしたのは外交用の言葉だった。
それを合図にしたように戦闘予定地に到着。女性陣からの奇襲を皮切りに、戦闘が始まった。
「家族探しのために、このような敵と戦わねばならんとは……厳しい世の中だ。
資金難に喘ぐ私にとっては死活問題だし、見せて嬉しい艶めかしい肢体を持っているわけでもない、何より年を考えたらそれは避けたい事態だ。
子供や妻に見られたらと思うと、寒気もするしな」
ルースがスラッシュエッジとランアウトでショートソードを使って切り裂きながら、分裂したスライムからは距離を置いて呟く。
分裂した個体は各々が別々の男性目指して進撃を開始した。
「だーかーらー! 男の服溶かして面白いかってーの!」
戦闘が始まって地が出たベルが釘バットでスライムをボコボコにしながら叫ぶ。
秋桜はそんな様子を見ながらスライムに向かってアースバレットを放つ。
当然分裂するスライムは、大きいものから狙ってアースバレットが尽きたらマジックアローに切り替える算段だ。
スライムは次々分裂していき、早いものは既に姿を保つ余力をなくして消え去っているが分裂した分数は増え、主に男性陣が服を溶かされ始めた。
パウラも離れた場所からファイアアローを連射。
此方は小さいスライムにとどめを刺す方向で動いているがとどめのつもりが分裂させるにとどまることも多く、戦闘場所は無数の小さなスライムたちが跋扈し始めている。
火傷を自慢の肌に残したくない揚羽も離れた場所からアースバレットで分裂した個体を狙って攻撃。
「戦闘中は観光地だし、周りにも気を配らないといけないけれど……この数だと気を抜いた瞬間飛びかかってきそうよね」
なにせこのスライム、分裂すればするだけ機動力が上がるという厄介な性質持ちである。
「ほらほら、お前の大好きな野郎がここにいるぞ!」
寄ってきた雑魔を強打し、分裂した小さいものは足元に来たら踏み潰す。
靴底が溶けそうになった辺りで踏み潰すのはやめたが勇人の周りにもまだまだ結構な数のスライムが。
「切断が効果的かと思ったが、殴った衝撃でも割れるのか……手間が省けてちょうどいい」
上半身はともかく、と思ったが地を這うスライムが相手。
ボトムの方にダメージが集中するのでできるだけ登ってこさせないよう細心の注意を払っての戦闘である。
みほが手裏剣とチャクラムを使い分け、正確さと手数でスライムの数を減らすように尽力する。
突き刺さる棒手裏剣の類は無力か、と危惧したが突き刺した部分からふたつに分裂はしたのでダメージは与えられているようだ。
しかしこちらの方が効率がいいか、と持ってきた鎖鎌に変更、斬りつけ、分銅の打撃、鎖を使った攻撃、どれも距離を取りつつ、かつ男性にダメージを与えずにスライムを弱体化できる手法だ。
「本当に攻撃するとどんどん分裂していくんですね……。あ、ちょっとやりすぎたでしょうか、すみません……」
襲われる様子を見てつい硬直してフォローが一拍遅れたサクラはホーリーセイバーで斬りつけたスライムが男性の方に飛び散ったのを見て慌てて謝る。
縦横無尽に武器が煌めき、それに合わせてスライムが飛び散り、時々服が溶かされ、ベルが火傷を負った仲間を癒す。
お礼を言ったハンターたちは再び狙いがしぼりにくくなり始めた小さなスライムに集中砲火を浴びせ、そこからまたスライムが飛び散り、そこから火傷と治療を繰り返して、としばしドタバタは続き、ついに、というかようやく、というかスライムの姿は影も形もなくなり戦闘が終了した。
元が巨大だった分弱体化すれば消滅すると言っても小さくなっても消えそうで消えないしつこさが変態のねちっこさに似ていると言えば似ていた気もする。
小型になって機動力の上がったスライムは飛び上がって張り付いてきたりもしたため、上着の類にも各々微妙に被害が出ていた。
「ええと……と、とりあえず服を着てもらえると……」
全裸は免れたものの季節の割に露出過多になった男性陣にサクラが真っ赤になりながら頼み込む。
「えーっと、依頼でのこととはいえ、女性陣には謝っておくよ」
勇人がトレンチコートを纏いながら視線をさまよわせる。
他のメンバーも服をどうにかし、散策に来た観光客に何か突っ込まれる前にそそくさとその場を後にしたのだった。
精神的外傷は連係プレーのお陰で致命的な物にはならずに済んだようだが羞恥心をかきたてられる程度にはスライムの被害はひどかったようである。
何はともあれ、雑魔退治は終了。
これで観光客や地元住民も安心してこの湖の周囲を散策できることだろう。
あわただしく撤収するハンターたち(女性陣はその中では比較的のんびりしていたが)を見送る青みを帯びた水質の湖は静かに風に波紋をいくつも浮かべ、緑が萌え始めた木々がさわさわとさざめく平和な光景がそこにはあった。
「色んな意味で身体を張って守ったんだ、この景色を大事にしてほしいよな……」
しみじみと呟いた勇人の言葉に全員が深々と頷いたのだった。
青みがかった、けれど透明度の高い綺麗な水質と、周囲の豊かな自然が人気の観光スポットに沸いたのは変質者ならぬ変態雑魔。
二十代の男性を中心に、男性にばかり襲い掛かっては服を溶かして散々な目に合わせているという。
気の早い観光客や地元住民が花冷えの中散策に来たりもできる季節なので、一刻も早い討伐を。
そんな依頼がハンターオフィスからハンターたちに斡旋されたのだが、この依頼の斡旋を担当したルカ・シュバルツエンド(kz0073)は妙にこの手の雑魔に縁があるようで、その依頼を何度か受けている揚羽・ノワール(ka3235)が女性にしか見えない整った容姿の、唇の部分を細い指で押さえて考え込む。
「……またこの手の雑魔なのね。シュバルツエンド様はよほどこういう依頼がお好きなのかしら?」
ルカが聞いたら「僕はただ斡旋を頼まれた仕事を回してるだけであってそういう趣味はない」と猛反発しただろう、斡旋のたびにげんなりはしているから。
……そのげんなりぶりが演技でなければ、だが。
「このスライムもやっぱり今までの大ダコとヒュドラもどきと同じ歪虚の眷属なのかしら?
だとしたらその歪虚も大概よね。……ミーハーな女性型だったりするのかしら?
考えても仕方なさそうだけれど」
ちなみに揚羽が挙げた雑魔の他に、紅葉の季節に男性らしさを持つ男性を可愛さだけ突き詰めた服に着替えさせる謎雑魔なども発見、討伐されていたりもする。
「男性だけを狙う、その理由って何なのかしらね。そっち系のフェチ? ……色欲絡みなのかしら」
女性陣で戦闘に適した場所を探しに向かいながら、去り際に聞こえた揚羽の言葉にパウラ・アウノラ(ka4348)が首を傾げて呟く。
見かけだけなら完全に女性の揚羽だが本来の性別は男性であるため、囮役の男性たちから少し距離を取って囮役に回ることになっていた。
「衣類を溶かすスライムとは……まさに大人のゲームに出てくるような敵ですね。しかも男性だけとは、まったくけしからんですね。
きっとこのスライムは、オス……BLに違いない」
スライムがオスなのか、そもそも性別があるのか自体が不明だが秋桜(ka4378)的にはそちらの方が盛り上がるようだ。
BL、時々ベーコンレタスとも称される一部の女子、稀に男子の大好物的な何かである。
「戦いになったらまずは自分が溶かされないようにしないといけないでござるな……」
藤林みほ(ka2804)が懸念しているのはスライムの持つ服の溶解能力と、直接触れると火傷のような症状が出る、という能力だろう。
変態性ばかりが目に付く雑魔だが、火傷は深くなればそれなりに深刻な症状が出るためできれば避けたいところではある。
その前に発生する服の溶解現象も可能な限り避けたいものではあったが。
「こんな依頼だったとは迂闊です……。……が、受けた以上はしっかりやらないとですね……誘き出しやすくこちらも隠れやすい場所、ついでに戦いやすいとさらによし、と……。
あ、あの辺りはどうですか?」
普通のスライム退治だと思って受けた依頼が変態雑魔退治だったことに呆然としながら、気を取り直したサクラ・エルフリード(ka2598)が少し離れた場所にある拓けた場所を示す。
場所自体は拓けているがすぐ近くに植込みがあり隠れることが出来そうだ。
そして戦いで壊れそうなものもおかれていない。
女性陣は男性陣に場所を伝え、植え込みの陰に隠れると囮役たちの無事(この場合主に精神的な意味での安否)を祈るのだった。
男性陣たちが湖の付近を散策しているとどこからともなく巨大なスライムはホイホイとつられるようにやってきた。
つかず離れずの距離を保ちながら、急激に接近されることを警戒しつつ女性陣が待つ戦闘場所へと早足で移動する。
「……まあ、いろんな雑魔もいるもんだな。筋肉コンテストならまだしも、俺みたいな筋肉ダルマのストリップショーなんて面白くもないだろうにな……。
……ともあれ、被害も出てるしとっとと殴り潰すかね」
スライムがついてきていることを確認しながら十文字 勇人(ka2839)がぼやく。
スライムの撃退と素っ裸回避ができたらいいなぁ、というのが彼の今回の目標だった。
公の場で全裸になるとか観光客に見つかったら変質者として通報されることは想像に難くない。
ハンターとして任務に励んだ結果だと理解してもらえれば情状酌量の余地はあるかもしれないが下手をしたら即犯罪者として引っ立てられるだろう。
「男のみを襲うという習性に加え変態的という直球な表現に多大な疑問があるのだが……何を考えているのかもわからん粘性の物体だ。
その心情を図ることは、短時間では不可能だろう」
ルース・L・スパーダ(ka4513)はなんだか悟りの境地に近い心境に陥りながら戦闘予定地へと足を運び続ける。
スライムは一定のスピードで彼らを追いかけ続け、逃げる素振りはないのが討伐するという面においては救いだが、変態に追い回されているという現状が続くのは不幸だろう。
「男の服溶かして何が面白いってんだよ、このスライム。意味わかんね」
ベル・ブランシェ(ka4547)は誰にも聞こえないくらいの声量で本心を吐露してしまう。
「なんにしても、この雑魔を放っておくわけには行けませんね」
一緒に誘導する男性陣に聞こえるように口にしたのは外交用の言葉だった。
それを合図にしたように戦闘予定地に到着。女性陣からの奇襲を皮切りに、戦闘が始まった。
「家族探しのために、このような敵と戦わねばならんとは……厳しい世の中だ。
資金難に喘ぐ私にとっては死活問題だし、見せて嬉しい艶めかしい肢体を持っているわけでもない、何より年を考えたらそれは避けたい事態だ。
子供や妻に見られたらと思うと、寒気もするしな」
ルースがスラッシュエッジとランアウトでショートソードを使って切り裂きながら、分裂したスライムからは距離を置いて呟く。
分裂した個体は各々が別々の男性目指して進撃を開始した。
「だーかーらー! 男の服溶かして面白いかってーの!」
戦闘が始まって地が出たベルが釘バットでスライムをボコボコにしながら叫ぶ。
秋桜はそんな様子を見ながらスライムに向かってアースバレットを放つ。
当然分裂するスライムは、大きいものから狙ってアースバレットが尽きたらマジックアローに切り替える算段だ。
スライムは次々分裂していき、早いものは既に姿を保つ余力をなくして消え去っているが分裂した分数は増え、主に男性陣が服を溶かされ始めた。
パウラも離れた場所からファイアアローを連射。
此方は小さいスライムにとどめを刺す方向で動いているがとどめのつもりが分裂させるにとどまることも多く、戦闘場所は無数の小さなスライムたちが跋扈し始めている。
火傷を自慢の肌に残したくない揚羽も離れた場所からアースバレットで分裂した個体を狙って攻撃。
「戦闘中は観光地だし、周りにも気を配らないといけないけれど……この数だと気を抜いた瞬間飛びかかってきそうよね」
なにせこのスライム、分裂すればするだけ機動力が上がるという厄介な性質持ちである。
「ほらほら、お前の大好きな野郎がここにいるぞ!」
寄ってきた雑魔を強打し、分裂した小さいものは足元に来たら踏み潰す。
靴底が溶けそうになった辺りで踏み潰すのはやめたが勇人の周りにもまだまだ結構な数のスライムが。
「切断が効果的かと思ったが、殴った衝撃でも割れるのか……手間が省けてちょうどいい」
上半身はともかく、と思ったが地を這うスライムが相手。
ボトムの方にダメージが集中するのでできるだけ登ってこさせないよう細心の注意を払っての戦闘である。
みほが手裏剣とチャクラムを使い分け、正確さと手数でスライムの数を減らすように尽力する。
突き刺さる棒手裏剣の類は無力か、と危惧したが突き刺した部分からふたつに分裂はしたのでダメージは与えられているようだ。
しかしこちらの方が効率がいいか、と持ってきた鎖鎌に変更、斬りつけ、分銅の打撃、鎖を使った攻撃、どれも距離を取りつつ、かつ男性にダメージを与えずにスライムを弱体化できる手法だ。
「本当に攻撃するとどんどん分裂していくんですね……。あ、ちょっとやりすぎたでしょうか、すみません……」
襲われる様子を見てつい硬直してフォローが一拍遅れたサクラはホーリーセイバーで斬りつけたスライムが男性の方に飛び散ったのを見て慌てて謝る。
縦横無尽に武器が煌めき、それに合わせてスライムが飛び散り、時々服が溶かされ、ベルが火傷を負った仲間を癒す。
お礼を言ったハンターたちは再び狙いがしぼりにくくなり始めた小さなスライムに集中砲火を浴びせ、そこからまたスライムが飛び散り、そこから火傷と治療を繰り返して、としばしドタバタは続き、ついに、というかようやく、というかスライムの姿は影も形もなくなり戦闘が終了した。
元が巨大だった分弱体化すれば消滅すると言っても小さくなっても消えそうで消えないしつこさが変態のねちっこさに似ていると言えば似ていた気もする。
小型になって機動力の上がったスライムは飛び上がって張り付いてきたりもしたため、上着の類にも各々微妙に被害が出ていた。
「ええと……と、とりあえず服を着てもらえると……」
全裸は免れたものの季節の割に露出過多になった男性陣にサクラが真っ赤になりながら頼み込む。
「えーっと、依頼でのこととはいえ、女性陣には謝っておくよ」
勇人がトレンチコートを纏いながら視線をさまよわせる。
他のメンバーも服をどうにかし、散策に来た観光客に何か突っ込まれる前にそそくさとその場を後にしたのだった。
精神的外傷は連係プレーのお陰で致命的な物にはならずに済んだようだが羞恥心をかきたてられる程度にはスライムの被害はひどかったようである。
何はともあれ、雑魔退治は終了。
これで観光客や地元住民も安心してこの湖の周囲を散策できることだろう。
あわただしく撤収するハンターたち(女性陣はその中では比較的のんびりしていたが)を見送る青みを帯びた水質の湖は静かに風に波紋をいくつも浮かべ、緑が萌え始めた木々がさわさわとさざめく平和な光景がそこにはあった。
「色んな意味で身体を張って守ったんだ、この景色を大事にしてほしいよな……」
しみじみと呟いた勇人の言葉に全員が深々と頷いたのだった。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
---|
面白かった! | 4人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 揚羽・ノワール(ka3235) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/03/30 03:11:09 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/28 19:11:51 |