【偽夜】『nevermore』

マスター:葉槻

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~10人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2015/04/11 12:00
完成日
2015/04/18 06:16

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 酷い雷が鳴って、あなたは目を覚ました。
 ベッドから起き上がると、寒さに思わず身体が震えた。
 ドンドンと扉が風に叩かれ、窓ガラスもガタガタと揺れていて、あまり近寄りたくない感じだった。
 ……いや、ドンドンという扉を叩く音に混じって、何かが聞こえる……?
 あなたは何となく嫌な予感がして、扉にそっと近付いて耳を澄ませる。
 すると、う゛ー、あー、おぉぉという、ぞっとするようなうなり声が聞こえてきた。
 あなたはそっと扉から離れて、部屋へ戻ると静かに着替えをすませ、得物を手に取った。
 ……伝説だけで終わってくれなかったのか……あなたは覚悟を決めて、この悪夢を終わらせる為に立ち上がった。


 ――500年前、ある邪悪な呪術師がいた。
 彼はありとあらゆるものを憎み、侮蔑し、嫌悪した。
 中でも人間を最も嫌い、自分が殺した人間をゾンビとして甦らせ、村を襲わせるなど、残虐行為を繰り返した。
 そんな彼を止めるべく、女神の祝福を受けた10人の戦士が、伝説の樹の下で祈りを捧げると、彼は雷鳴に打たれた。
 雷に焼かれながらも、呪術師は最後の呪いを放った。
『我が下僕達が再び地上に現れし時、我もまた復活せん……!』
 そう遺して男は消え、街には平和が戻った――


 この呪術師と10人の戦士達は伝承として街中に語り継がれてきた。
 さらに、10人の戦士の家系は一子相伝の秘技が脈々と途絶える事なく受け継がれてきた。
 ……まさか、自分がその技を用いて戦う事になるとは思っていなかったが。
 しかし、行かなくてはならない
 あの伝説の樹の下で、今度こそ呪術師を封じるために。

リプレイ本文


 クオン・サガラ(ka0018)はリアルブルー出身の機導師だ。
 しかし、そんな記憶は遠い何処か。
「遅くなりました」
 クオンは銃声を響かせてゾンビを屠りながら走り寄った。
「あぁ、来てくれたか! クオン……じゃない、ネロ・イアンソン!」
 嬉しそうな声と共に、ゾンビの首が跳ね飛ばれる。
「嫌だなぁ、今日だけはあの頃のように名前で呼んで下さいよ。ゼロ、と」
「そうだったな。良く来てくれた、“ロード・ゼロ”」
 襲いかかってくるゾンビを次々と屠りながら、馬上のクリスティン・ガフ(ka1090)はクオンに向かって“ロード・ゼロ”と呼んだ。
 そう、表向きは「薬屋イアンソン」のさえない三十路店主(独身)であるネロ・イアンソン。しかし、その実態は、(自称)十番目の勇士、ゼロ・イアンソンなのだ!
「ふむ。母から聞いてはいたし、技を習ってはいたが。本当にその日が来るとは、な」
 超重量級の両手斧を軽々と肩に担いで、クリスティンは溜息混じりに笑った。
「さぁ、急ごう。どうやら、もう一人は先乗りしているようだしな」
 実は先ほどから校舎の奥から、奇声が響いていた。
「右におめめグルンしても左におめめグルンしてもォォオオ――!? ヨォォオオ――リドォォォォ――リミィ――ドリィィイイ――ッ!?」
 うひひひひ、とそれはとてもとても楽しそうなヒステリックな笑い声と銃声がひっきりなしに聞こえている。
「えぇ、急ぎましょう」
 かつてここで錬金術を教えた事がある(という設定の)ゼロが的確に道を選び進む。彼曰くどうやら校舎の屋上にある爆発系実験所からその声は聞こえるらしい。
 ドォンという音が響き、2人が駆け上がると扉を突き破って廊下まで転がり出てきた冥々の姿を見つけた。
「冥々さん!」
 クリスティンは馬から下りて走り寄り、婦警姿の毒々沼 冥々(ka0696)を抱き起こした。
「うひひ……ゲロ強くて、ゲロ最高ォッ!」
 気遣うクリスティンの腕から自力で立ち上がると、再び真っ直ぐに前を見据える。
 ゼロも奥にいる敵の……全身が焦げただれた大型ゾンビを見て思わず息を呑んだ。
「……なるほど、あの噂は本当でしたか」
「知っているのか、ゼロ!」
 深く頷いたゼロは説明を始める。
「あの魔術師には弟がいた事が……」
「なぁ、そんな話ドーでもイイよ」
 速攻で腰を折られて、ゼロは不満そうに冥々を見る。
「早くヤろう。今すぐヤろう。撃って撃って撃ちまくろうぜ――! イクぜ、『ラブリーメメたんウルトラスペシャルにゃんにゃんドリーム』」
 言うが早いか両手でガンガン銃をぶっ放しながらゾンビの前まで駆け寄ると、「にゃぁん♪」という可愛らしい猫の鳴き声と共に銃口から肉球の幻影が飛び出し、ボスゾンビに命中する。
 爆煙と共に地を這うような咆哮が上がり、クリスティンとゼロは思わず口元を覆った。煙が目に染みたが、敵から目を逸らす事も出来ず、2人は咳き込みながら視界が晴れるのを待つ。
 ――視界が空けて飛び込んできたのは、猫耳猫尻尾をつけたボスゾンビの姿だった。
「……酷い」
 思わず呟いたクリスティンに、ゼロは大きく賛同した。
「私なんてまだ通常攻撃のお披露目もしてないのに! いきなりボス戦で初撃必殺技とか冥々さん酷い!!」
「そこぉっ!?」
 ゼロの驚愕を余所に、クリスティンは愛馬に跨がると、斧刃を頭上に掲げ空を仰いだ。
「心は斧、身体は雷、ウェイクアップ!」
 クリスティンの叫びと共に馬が嘶くと一筋の雷が斧に向かって落ちる。
 次の瞬間、クリスティンの身体が光に包まれ宙に浮き、服が全て紐のように解けてパァッと光が膨らむ。光球は馬上へと下りて、続いて誕生した光の道はゾンビへと繋がっている。一気に駆け抜け、すれ違い様に斧による強烈な一撃を与えた。
 そして元の位置へと戻ると、光球は一気に収束し、玻璃ガラスが割れるような音とともに、通常通りのクリスティンがそこにはいた。
「ふむ。ぶっつけ本番だったので上手く行くか不安だったのだが、案外出来るものだな」
 痛みに悶える猫耳猫尻尾(以下略)を完全無視して、クリスティンは自身の身体に変化は無いか確認するのに忙しそうだ。
「……っく。こうなったら私も……!」
 ゼロは拳銃に特殊なカートリッジを組み込むと、身悶える猫耳(以下略)に狙いを定め、己の全魔力を注ぎ込み、叫んだ。
「ファイナリティ・グレイスッ!!」
 発声と同時に引き金を引くと、白銀の波動が射線上の全てを巻き込んで浄化していく。魔力の消耗により一瞬ふらりと、よろけたゼロは、それでも両足を踏みしめて倒れ込むのを防ぎ、自身の必殺技を受けて白銀に炎上するボスを見守る。
 そして光の帯が空へと上がり、その炎が収まった。
 ころりと転がった小さな白い骨を冥々はつまらなさそうに拾うと、「次行こうぜ、次――ッ!」と満面の笑顔で空に向かって拳銃を撃った。


「ええい! 出たなゾンビ共め! 偉大なる大王であるボクが来たからには、これ以上の狼藉は許さんぞ!」
 公園の入口で、そう正々堂々と宣言したディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)は顔前に自分の身長を遥に超える細長い盾を構えた。彼女をすっぽりと隠してしまうため、正面から見ると盾が歩いているようにさえ見えるが、それが迷い無く真っ直ぐにゾンビに向かって突撃。バランスを崩したところに美しい刃が吸い込まれるように突き刺さり、ゾンビは次々と塵となって消えていく。
「さすが、太陽の加護を受けし大王。お見事です」
 漸く公園に辿り着いたミネット・ベアール(ka3282)が馬上から小さな大王を褒め称えると、ディアドラはえへん、と胸を張り「ミネットも大義ご苦労である」と笑顔でミネットを迎えた。
 そんな会話中も2人は襲ってくるゾンビを次々と薙ぎ払っていく。
「ヒューッ、こりゃたくさん出てきたもんだな。ヤりたい放題だ!」
 余裕綽々といった声に2人が振り向くと、そこには巨大な戦斧を担いだ鹿島 雲雀(ka3706)がニヤリと笑っていた。
「雲雀さん!」
 頼もしい仲間の登場にミネットの顔にも笑みが浮かぶ。
 呼ばれた雲雀は返事の代わりに自分の身長の倍はあろう戦斧を頭上でプロペラのように回す。風を切る音は間違いなく重く、その風圧だけで並の生物なら吹き飛びそうなのに、それを操る雲雀はまるでその重さを感じていないように飄々としている。
「おぅ、お前等。巻き込まれないように気をつけろよ?」
 そう言うが早いか力強く踏み込むと一気に駆けだして、振り回した斧の勢いそのままに顔前のゾンビ達を一気に薙ぎ払って行く。
「流石、暴風の加護を受けし戦士。素晴らしいです。……私達も負けていられません」
 豪快な雲雀の攻撃方法に感心していたミネットだったが、我に返ると矢を一度に3本つがえ放った。
 ぱぁんという心地よい弦の音と共に、流星の如きプラズマの尾を引きながらそれぞれの矢が意思を持つようにゾンビを目がけて飛んで行く。矢はゾンビの頭部に命中すると、首から上が音も無く爆ぜた。
 ……ミネット式に喩えるなら、『流星の加護を受けし狩人』といったところか。
「ミネット! 危ない!!」
 そんなミネットの後ろから急襲しようとしていたゾンビを見て、ディアドラは盾を構えて庇いに入る。
「囲まれては敵の思うつぼだ。雲雀と合流して一緒にボスを討とう。背後はボクが守る」
「はい、お願いします」
 そうして雲雀の先導で公園の中央にある池の畔まで来たところで、今まで対峙してきたゾンビたちより遥に大きなボスゾンビを発見した。
 元は水死体だったのだろうか。眼球は飛び出さんばかりに突出し、全身はぶくぶくと膨張している。
 重低音を響かせて拳が振り下ろされ、3人はそれぞれバックステップでそれを避ける。
 振り下ろされた跡が抉れているのを見て、ミネットは思わず生唾を飲み込んだ。
「ヤツが親玉で間違いなさそうだな。500年も寝込んでいた割には随分と元気だな、オイ」
 雲雀は嬉しそうにそう言うと、戦斧を両手で構えて呼吸を整える。
「誰が一番槍行くか?」
「では、私が」
 馬の首筋をぽんと軽く叩くと、ステーキ(愛馬)もそれに同意するように大きく嘶いて地を蹴った。そしてまずは普通に馬上から矢を射ったが、あっさりと振り払われてしまう。
「ぬぅ……やっぱりダメですね。仕方ありませんステーキ、アレを使いましょう! 集え、雷光!」
 その声に応えるように雷光がミネットとステーキの上に落ちると、下半身が不憫な逞しい重装馬、上半身が同じく鎧を着たミネットという、亜人ケンタウロスを彷彿させる姿へと合体していた。
 続いてミネットが構えると、虚空から特大の弓と槍のような矢が現れた。
 4本の脚を地響きがしそうなほど踏みしめ、地面にめり込ませる。
 ギヂギヂヂヂヂ……と弦のしなる音が周囲に響き、引ききったその時。
「その身に刻んで下さい! 神槍『アルナスル』!」
 超重低の風切り音はボスの身体を貫いて消えた。
「では、次は大王たるボクだ」
 ディアドラは一度剣を鞘に仕舞うと、大きく両足を前後に開いて腰をしっかりと据えた。そして地を蹴り、一気にボスへと肉薄すると、鞘を持つ左手に力を込め、気合いと共に剣を一気に引き抜き、斬り払った。
「大王たるボクの力、とくと味わうがいい!」
 それは灼熱の太陽が様々な雑菌を消毒するように、不定なるものを焼き尽くす。まさしく太陽の剣だった。
 雲雀はそんなミネットとディアドラの技を見ながらその間、力を貯めていた。
 大きく息を吸い込んだ雲雀は、ぐっと息を止めて駆けだした。そして敵の頭上へと高く飛ぶと全身全霊の一撃を振り下ろした。
 『サンダークラップ』。その衝撃はボスを脳天から真っ二つに割き、雷のような轟音と共にその地面まで抉った。
「500年なんて中途半端なことは言わねぇ。永遠に寝かしてやるよ!」
 身体を貫かれ、赤橙に燃え上がり、真っ二つに割かれたボスは左右に倒れると、光の帯となり消えた。
「あるべき場所に還って下さい……」
 ミネットは残された骨を拾って静かに祈った。


 リシェル=アルエターニア(ka2637)はゾンビ達に見つからないように、静かに静かに、こそこそと移動していたが、小路の先に背を向けたゾンビが立ち塞がっていた。意を決してフレイルを構えると、静かに射程まで近付き『ごめんなさい』と心の中で謝罪と同時にフルスイングした。
 ――ブォンドゴォッぐしゃバキィッガラガラカランカラン
 背後からの会心の一撃を受けたゾンビは肉片やら何やらを撒き散らしながら、傍に合った木箱に派手な音を立ててぶつかって消滅した。
 周囲にいたゾンビが一斉に音の方を見て、その後、小路の入口で固まっているリシェルを見る。
「ひっ!?」
 ぞくぞくと近付いて来るゾンビ達に気圧され、数歩後ろに下がりつつ『どうしようどうしようどうしよう』と心の中は完全にパニックである。
 伸びてきた手を悲鳴を上げて振り払うと、「ごめんなさい」を連呼しながらフレイルを滅茶苦茶に振り回す。
 その度に紙のように飛ばされながら消滅していくゾンビたち。
 そこに、明らかにゾンビたちのうめき声とは違う銃声がリシェルの耳に入った。
「大丈夫か?」
 その声と見知った姿に、リシェルの瞳には涙が浮かんだ。
「き、城戸さん……!」
「え? リシェルさんなのか?」
 暗くて解りづらかったが、どうやら知人のリシェルらしいと気付いた城戸 慶一郎(ka3633)が駆け寄ると、リシェルは丁寧にお礼を言った。
「危ない所を助けて下さって有り難うございます」
「……いや、俺が来た時にはゾンビほぼ壊滅してたけどな」
 暫しの沈黙。
「それにしても、まさかここでリシェルさんに逢えるとは……」
 そういえば、と記憶を辿る。確か酒場でリシェルさん含む3人で……
「あー! キッドとリシェルみっけ!」
 場違いに明るい声が慶一郎の背後から響く。
「ティラさん! ……その方は?」
 ティラ・ンダイハ(ka2699)の姿を見て、嬉しそうに駆け寄ったリシェルが、その背に小さな人影が背負われている事に気付いた。
「あー、この子、なんかお腹減っちゃって動けないんだって。この辺に飲食店無かったかな-? ちょっと失敬しちゃお?」
 それは流石に常識的にダメなのでは、と思った慶一郎だったが、そういえば住人を1人も見かけなかった事を思い出す。
「無事封印が終わるまでは住民全員ゾンビみたいだし」
 衝撃の事実。今まで倒してきたゾンビは元住民だったらしい。
「と、いうことで、まずは腹ごしらえして、それからさくっとボス倒しちゃお♪」
 バチン☆ と音がしそうな綺麗なウィンクをして、ティラは笑う。
 背中の泉(ka3737)が「おなかすいたんじゃもん……」と力なく呟くのを聞いて、慶一郎は『これは夢だ。学生時代にやったゲームが元ネタの夢だ』と心の中で3回繰り返した後、溜息一つで吹っ切った。
「途中にあった。案内しよう」
 そう言って歩き出した慶一郎とティラの背中を見て、リシェルはこんな世界でも友人である2人が一緒でよかった、と心から神に感謝しつつ、2人の後を追った。
 扉の壊された総合食料店に(不法)侵入すると、泉は飛び起きて、傍らに陳列されていたパンを食べ始めた。
「あー、そんなに一気にがっつくと喉詰まるよ?」
 そう言って棚にあった牛乳を泉に向かって投げ渡し、迫ってくるゾンビの頭をナックルで粉砕するティラ。
「おいしーのいっぱいなんじゃもんっ! でもでもわるいこいっぱいじゃまばっかりなんじゃもん。しょうてんがいのおいしーごはんはゆずらんのんじゃもん!」
 んぐんぐと次から次へと手当たり次第に食料品を口に放り込み、片手で斧を操って近寄るゾンビを薙ぎ払って、しゃべりながらまた食べる。……なかなか凄い光景だとリシェルも感心しながら、それでもなるべく泉の方にゾンビを向かわせないように店外で戦っていた。
「にゃぁっ♪ おなかいっぱいなんじゃもん♪」
 暫くして、泉が無垢な笑顔を皆に向ける。
「そりゃよかった」
 慶一郎が外で拳銃を構えたまま、告げる。
「こっちも丁度、ボスのお出ましだ」
 泉の傍らでゾンビの掃除と餌付け係をしていたティラも、その声に外へと飛び出すと、慶一郎に抱きついた。
「キャーコワーイ」
「な、何を!」
 ティラの予想外の行動に慶一郎は耳まで真っ赤にしながら、引き剥がす。
「うふふ。でも、私の必殺技見たら、キッドもイチコロよ☆」
 ティラは色っぽく微笑むと、さらりと髪を掻き上げボスゾンビに対峙する。
 3mはある身長に元はガチムチだったのだろうと推測される立派な肉体を持ったゾンビだった。
「おしい! あんたがイケメンや美少年じゃないのが猛烈に残念!」
 そう言いながらも、チュッ、と投げキッスをボスへと放つ。
 そのキスはビームとなってボスの身を焦がす。
 その後様々なセクシーポーズと共に瞳や指先、胸の谷間からビームが放たれる。
「どう? 私のセクシービーム。ドキドキしちゃうでしょ?」
 身を焦がされたボスは、雄叫びを上げながらリシェルへと走り寄る。
 恐怖ゲージがMAXに達していたリシェルは恐慌状態に陥り、悲鳴を上げると、通常ではあり得ないほど高く跳躍してその右腕を振り下ろした。
 その無骨な拳骨パンチは命名するなら『神のいかづち』と言えるか。ボスの脳天を何度も殴りつけた後、再び悲鳴を上げながら皆の元へと帰ってきた。
「にゃぁっ! ばっちりわるいこおしおきしちゃうんじゃもんっ♪」
 ぴょん、と外へ出てきた泉が、斧の刃で敵を指して宣言すると、次の瞬間姿が消えた。
 次にボスから凄まじい打撃音と骨を砕く音が聞こえ、最後に腹部が抉られ内臓が地面へとこぼれ落ちるのと同時に、泉も元の位置へと戻った。
 『雷神・瞬撃華』。泉が祖父から受け継いだ全身を凶器にして地を駆ける獣のように相手を屠る技だ。
 完全に出遅れた形となった慶一郎は、名を呼ばれ振り向くと、ティラが黒くて大きな鉄の塊を投げて寄越した。
「まさかのロケランかよ」
 受け取ったその重さに、サンキュ、と呟いて肩に背負うと、狙い定めてその引き金を引いた。
 予想以上の反動に思わずひっくり返った慶一郎だったが、その狙いはぶれる事なくボスの頭部を撃ち抜いた。
 巨体は膝を着いた後、そのまま前のめりに倒れた。全身を光に包まると、その光は帯となり宙へと伸びて消えた。
 残ったのは白い骨。それをリシェルは恐る恐る拾うと、ポケットに仕舞った。

●伝説の樹の下で
「あー! ミネットちゃんだー! おーい!」
「わー、ティラさん、リシェルさん」
 友人同士である3人が無事再会できた事に喜んでいる一方で、雲雀は城戸を見て首を傾げた。
「お前、なんでNY市警の制服姿なの?」
「……目が覚めたらこの格好だったんだよ」
 ツッコまないでくれ、と目頭を押さえて訴える。
 冥々が白い骨を取り出し、ティラへと投げつけた。
「早く終わらそーぜー」
 ボスゾンビを倒してから、ゾンビが出なくなってしまったので冥々的にはもうここには用がなかったのだ。
 リシェルとミネットとティラはそれぞれの骨を樹の下にある石碑に置き、全員で手を繋いで空を見上げた。
 一際大きな稲光と共に轟音が轟き――

 ――そうして、あなたは無事夢から覚める事が出来たのだった。

依頼結果

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重体一覧

参加者一覧

  • 課せられた罰の先に
    クオン・サガラ(ka0018
    人間(蒼)|25才|男性|機導師
  • 大王の鉄槌
    ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271
    人間(紅)|12才|女性|闘狩人
  • Trigger "H"
    毒々沼 冥々(ka0696
    人間(蒼)|17才|女性|猟撃士
  • 天に届く刃
    クリスティン・ガフ(ka1090
    人間(紅)|19才|女性|闘狩人

  • リシェル=アルエターニア(ka2637
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • レディチョッパー
    ティラ・ンダイハ(ka2699
    エルフ|20才|女性|疾影士
  • ♯冷静とは
    ミネット・ベアール(ka3282
    人間(紅)|15才|女性|猟撃士
  • 充実異世界ライフ
    城戸 慶一郎(ka3633
    人間(蒼)|25才|男性|猟撃士
  • 無類の猫好き
    鹿島 雲雀(ka3706
    人間(蒼)|18才|女性|闘狩人
  • もぐもぐ少女
    泉(ka3737
    ドワーフ|10才|女性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/04/09 23:30:41
アイコン 集え10人の戦士達?
ティラ・ンダイハ(ka2699
エルフ|20才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2015/04/11 06:23:20