ゲスト
(ka0000)
【偽夜】ちまっとライフ
マスター:石田まきば

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/04/13 12:00
- 完成日
- 2015/04/23 20:21
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「ちゃらっちゃっちゃっちゃら~♪」
小さな影がくるくるまわって、ご機嫌な詩を唄っています。
銀色の髪もふわりと回って、小さな弓を抱きしめて。
そう、彼は手のひらサイズの小さな隣人。
ざっざっ、ざっざかざー
その唄の伴奏をするように、リズムに乗って箒を動かすのは管理人のフクカン(kz0035)。
自分が担当しているアパートの前に散った、たくさんの花弁を掃除しているのです。
「今日も楽しそうですね!」
「そーだね、天気がいーからね♪」
ご機嫌な笑顔で返されて、次はどんな詩がいいか尋ねてきました。
ざっざかざっざっざー
「うーん……」
ざざっかざー
「やっぱり、いつものでおねがいします!」
「それじゃ、お家賃がわりに君に捧げるよー」
毎日律儀に聞いてくれるので、毎回別の答えを探してみるけれど。やっぱり大好きなあの人の詩がいい。
にこぱと笑いかけたフクカンの前で一礼してから、小さな彼は唄いはじめました。
「たんたんたたーん、たんぐらむー♪」
ああ、やっぱりタングラム様を称える詩が一番だなあ……
ざざっざかざかざー
とててててててててててて!
「毎朝まいあさやめんかー!」
手のひらサイズの影が、もうひとつ現れました、この声はフクカンと一緒に暮らしているあの子の声です。
じゃんぴーんぐ!
「たんたんたたー」
きーっく!
げしっ!!!
唄っていた影を狙って本気アタック☆
「……きゅう」
KOされちゃいました。
「せっかく唄ってくれていたのに、何するんで」
「文句ねーですよね?」
じろっ
手のひらサイズなので、怖いなんてことは全くありません。
むしろ可愛いなあやっぱり素敵だなあどこまでも尽くしたいなあ、なんてフクカンは思っちゃいます。
口に出すと今度は自分が蹴られてしまうので、注意が必要です。
彼女は手のひらサイズなのに強いのです、侮れません。
それもご褒美には違いないけれど……いけない、話がそれちゃいます。
「あわわ……えっと……はい」
「はらへったーです」
てちてちと管理人室に戻っていく彼女の背を追いかけようと、慌てて掃いた花弁をかき集めるフクカン。
「待ってくださいタングラムちゃん」
「ちゃん付けやめろーです!」
「でもタングラム様と呼び分けるためにはこれしか……」
毎日のお決まりのやり取りです。まさか呼び捨てるわけにもいかないし。
「それにシャイネちゃんも手当しないと」
「もー居ないですよ」
彼女の声の通り、振り返ると倒れていたはずの彼の姿がありません。驚くべき回復力です。毎日ご苦労様なことです。
「あれっ本当ですね」
また街に唄いに行ったのかもしれません。そうやって食べ物を手に入れていると聞いたことがある気がします。
「はらへったーです」
もう一度急かしてくる彼女。
「そうですね、支度整えますから、手を洗って待っててください」
「子供扱いすんなー!」
「すっすみません、つい!」
手のひらサイズですから、やっぱりそう見てしまうものなのです。
なんだかんだで仲良く戻っていく2人……1人と1ちま?
どこか不思議なアパートでの共同生活、はじまりはじまり――
「ちゃらっちゃっちゃっちゃら~♪」
小さな影がくるくるまわって、ご機嫌な詩を唄っています。
銀色の髪もふわりと回って、小さな弓を抱きしめて。
そう、彼は手のひらサイズの小さな隣人。
ざっざっ、ざっざかざー
その唄の伴奏をするように、リズムに乗って箒を動かすのは管理人のフクカン(kz0035)。
自分が担当しているアパートの前に散った、たくさんの花弁を掃除しているのです。
「今日も楽しそうですね!」
「そーだね、天気がいーからね♪」
ご機嫌な笑顔で返されて、次はどんな詩がいいか尋ねてきました。
ざっざかざっざっざー
「うーん……」
ざざっかざー
「やっぱり、いつものでおねがいします!」
「それじゃ、お家賃がわりに君に捧げるよー」
毎日律儀に聞いてくれるので、毎回別の答えを探してみるけれど。やっぱり大好きなあの人の詩がいい。
にこぱと笑いかけたフクカンの前で一礼してから、小さな彼は唄いはじめました。
「たんたんたたーん、たんぐらむー♪」
ああ、やっぱりタングラム様を称える詩が一番だなあ……
ざざっざかざかざー
とててててててててててて!
「毎朝まいあさやめんかー!」
手のひらサイズの影が、もうひとつ現れました、この声はフクカンと一緒に暮らしているあの子の声です。
じゃんぴーんぐ!
「たんたんたたー」
きーっく!
げしっ!!!
唄っていた影を狙って本気アタック☆
「……きゅう」
KOされちゃいました。
「せっかく唄ってくれていたのに、何するんで」
「文句ねーですよね?」
じろっ
手のひらサイズなので、怖いなんてことは全くありません。
むしろ可愛いなあやっぱり素敵だなあどこまでも尽くしたいなあ、なんてフクカンは思っちゃいます。
口に出すと今度は自分が蹴られてしまうので、注意が必要です。
彼女は手のひらサイズなのに強いのです、侮れません。
それもご褒美には違いないけれど……いけない、話がそれちゃいます。
「あわわ……えっと……はい」
「はらへったーです」
てちてちと管理人室に戻っていく彼女の背を追いかけようと、慌てて掃いた花弁をかき集めるフクカン。
「待ってくださいタングラムちゃん」
「ちゃん付けやめろーです!」
「でもタングラム様と呼び分けるためにはこれしか……」
毎日のお決まりのやり取りです。まさか呼び捨てるわけにもいかないし。
「それにシャイネちゃんも手当しないと」
「もー居ないですよ」
彼女の声の通り、振り返ると倒れていたはずの彼の姿がありません。驚くべき回復力です。毎日ご苦労様なことです。
「あれっ本当ですね」
また街に唄いに行ったのかもしれません。そうやって食べ物を手に入れていると聞いたことがある気がします。
「はらへったーです」
もう一度急かしてくる彼女。
「そうですね、支度整えますから、手を洗って待っててください」
「子供扱いすんなー!」
「すっすみません、つい!」
手のひらサイズですから、やっぱりそう見てしまうものなのです。
なんだかんだで仲良く戻っていく2人……1人と1ちま?
どこか不思議なアパートでの共同生活、はじまりはじまり――
リプレイ本文
●
フクカンとちまタングラムが管理人室に消えた後、聞こえてきたのは軽快なリズム。
ぴっぴぷーぴっぴぷー♪
頭上でホイッスルを吹くらうりぃに合わせて走るのが、朝ごはん前のラウリィ・ディバイン(ka0425)
の日課。
「ごーる♪ おつかれー」
「それじゃご飯にしようか!」
軽くとはいえ運動後、深呼吸で体をほぐしてからお部屋に向かう。
「今日もお疲れ様だ」
いっぱいに詰まった袋を抱えた誰かの声。荷物の向こうに見える鳥の羽のような上着からシャーリーン・クリオール(ka0184)だとわかる。
「君は朝から市場? あっ運ぶよ」
「しゃーりーんはー?」
こういうのは男手の出番だよ、ラウリィが荷を引き取る間に尋ねるらうりぃ。
「ありがとう。あの子は留守番で、朝食の支度をしてるよ」
「いつも美味しそうなにおいだもんね。前に教えてもらったパン屋さん、美味しかったよ♪」
「それはよかった。……今日はお茶会をしようと思うから、暇だったら来ないかい?」
「「よろこんで!」」
ブンッ、ブォンッ!
(騎士たるもの、日ごろの鍛錬は欠かさない……それが休暇であっても)
ブォンッ、ブンッ!
裏庭で愛用のクレイモアを振る夕鶴(ka3204)の額にも、汗がにじむ頃合いだ。
「夕鶴―、ごはんだよー!」
ちまピオス・シルワ(ka0987)の声が、スープのいい香りと一緒に聞こえてきて。
「すぐに戻る!」
二階の窓に向かって答えた後、ぎゅっと拳を握る夕鶴。今日こそ行動に移す時だと、ある決意をしながら部屋へと戻っていくのだった。
腕が揺すられている気がする。
「レーヴェさん、あさですよー」
「あと……五時間……」
久し振りのふかふか寝床、屋根があるって素晴らしい。だからもう少し放っておいて。ごろりと寝返りちまフクカンに背を向けたレーヴェ・W・マルバス(ka0276)だけれど。
「依頼があるって、きのういってませんでしたかー」
ああ、だから起こしてくれたのか。スローライフもいいものだと思っていたが、それでは起きねばなるまい。
「忌咲起きないー、退屈だよー」
試しに寝床で丸まっている忌咲(ka4296)の鼻をつまんだり、擽ったりもしたが駄目だった。仕方なくちま咲はぶかぶか白衣に袖を通して、愛しの甘酒瓶を背負って外に出る。
てってちてちてち
「こらーっ! それは今日のおやつにとっておいたクッキー!」
「へへーんっ、隠してなければ盗んでくれって証拠だよー♪」
とててててて、ごっつーん☆
「!?」
ふらふらぱたり
「いってぇー」「きゃー!?」
逃走中のちまティアと衝突して倒れたちま咲。ミルティア・ミルティエラ(ka0155)の叫び声を聞きながら、思うのはただひとつ。
(おなかすいたなー)
ぐーきゅるる……
●
「えー……っと」
さっきの音はあれだよね、お腹の音?
謝らなきゃ、ちまティアを叱らなきゃ、そう思っていたはずなのに、目の前のちま咲から発せられる音がミルティアの思考を支配した。
きゅるるぅー……むくっ
「!?」
「おなかすいたの」
「あたしもー!」
「あんたはクッキーたべたでしょ! ……じゃなくて」
ちまティアの首根っこをしっかりつかんで、改めてちま咲へと向き直る。
「これから朝ご飯なんだけど、一緒にどうかな?」
ぶつかっちゃってごめんねと言いながら、ちまティアの頭もおさえて謝らせる。
「同居人さんも呼びに行く?」
「忌咲は昼まで起きてこないの」
だから、ちま咲だけで大丈夫。
各地に拠点があるけれど、不在時の管理を任せる相手が居るというのは意外と悪くない。
(はじめは不可思議の観察が理由だった気もするけどね)
遅めの朝食、目玉焼きをちまフクカンの分だけ取り分けながら考える。あの時管理人室から逃げ出したこの子に遭遇していなかったら、ここに工房をもつことなんてなかったと思う。
(ちまタングラムの世話には行っているようだし)
ちまサイズの掃除道具が大分くたびれてきていた、そろそろ交換時だろう。
「後で新しい箒も作っておくから」
「助かりますー」
今差し出したちま用食器も、ちまフクカンが持っているフォークも。そもそも彼が暮らしているちまっとハウスだってレーヴェが作ったものだ。
「でも昨晩も遅かったんじゃー?」
夜更かしは体に悪いですよと、自分の目玉焼きにケチャップをかけながらごはんにのせるちまフクカン。
「部屋があるとついつい夜中に作業してしまうね」
レーヴェは黒胡椒とごはん。
「起こしてもらえるのは有難いものだね?」
「お口に合うかわからないけど、召し上がれ♪」
美味しい料理を食べたい意欲が高じた結果、ミルティアの料理の腕は素人のものではない。普通の人の朝よりちょっぴり豪華な品ぞろえなのは、ちまティアの悪戯に巻き込んだお詫びの気持ちが入っている。
何よりちまティアと違ってちま咲はお手伝いもしてくれた。
(人がどれだけ苦労して今のキャラを確立させたと思って……!)
過去の自分を体現したようなちまティアがお行儀悪い食べ方をしているのを横目で見る。ものすごく気まずい。自分のせいじゃない……はずなのだけれど。
「いただきます……」
この子見習ってくれないかなあ、うちのティアも。これからがんばれってことなのかなあ。
「ミルティアのごはんおいしーだろう?」
「……美味しいー!」
自分のことのように自慢するちまティアを見たら、溜飲が下がった気がした。結構嬉しいなあなんて。
朝食のあと、荷物を改めながらしゃーりーん。
「どんな材料が手に入ったんだい?」
「メロンの砂糖漬け、卵にアーモンド……オレンジの花の水と言うところだね」
「オレンジの花の水? 珍しいし、すっごく高価だろ?」
シャーリーンが一つずつ取り出せば、思った通り、小さな彼女が口にしたのは今日の目玉。
「ふふ、さて、何を作るか……」
「そりゃ、この香りをいかさなくちゃ。ナヴェットと、カリソンを作ろう。どうだい?」
小舟の形をしたビスケットと、カソリンはメロンの砂糖漬けを練り込んで焼いたお菓子。どちらもオレンジの花の水が決め手だ。
「良いねえ。じゃあ、カリソンの下ごしらえはあたしがやろう」
すりつぶして練り込んで、結構な力仕事はシャーリーン。ならばしゃーりーんは?
「そういえばミュゲの日も近い事だ、カリソンをスズランの花の形にしよう。糖衣もつければ、いかにも鈴蘭らしくなるな」
これはちまパティシエ誕生の予感。
「んじゃ、出掛けてくる」
支度を整えでかけるレーヴェは、振り返りながら思い出す。
「ああそうだ。ちま達の依頼品出来てるから持ってって」
工房長はアパート全体のちまライフの味方。好意で始めたことだけれど、今では家賃の割引効果を呼んで、趣味と実益も兼ねているのだ。
不在の間にちまフクカンが注文を受けたり届けたり。皆の好みも呼んでて評判もピカイチ。
「いってらっしゃいませー」
今日は帰りに箒の材料も確保しなくちゃな、等と思うのだった。
●
「お茶会いつかなー」
そわそわらうりぃを横目に、愛用の弓を引き絞る。
「今日作るみたいだったから、まだまだ先でしょ。ほらお前も練習練習!」
らうりぃもちま専用的の前に向かった。
ひゅん! とすっとすっ
意図せず同時に射てみたりして、しばらくは練習に集中。これも毎日欠かさないのだ。
「レーヴェさんからのお届け物でーす」
「おやフクカンくん」
「! オレにはないの!?」
つい飛び出すらうりぃだが、すぐにちまフクカンは男の子だと思い出した。
「ありますよー」
渡されるのは弓のお手入れ道具。色は違うけれどどう見てもお揃い。
「……しゃいね、勝負だ! 負けたら相手に一本矢を作るー!」
ちょっとやけくそかもしれない。
「ふふ、うけて立とうー!」
改まった口調の夕鶴の頼みに、ぽんと胸を叩いて請け負うちまピオス。
「料理のことなら僕に任せて! それじゃ調理器具を、よいしょ、よいしょ……ワーッ!」
いつもより大きな道具は勝手が違う。まな板の下敷きになりかけたところを夕鶴に助けられる。早速これからが、不安な気配。
「まずは野菜を洗えばいいんだな」
つるっ
「あっー!?」
「排水溝に流れていくところだったぞ」
びしょぬれになったのでいったんお着替え。
「それじゃ切」
「まってまって、この野菜はここが皮で、こうやって切……キャーッ!」
ちまピオスの悲鳴に、包丁を振り上げていた夕鶴が我に返る。
「ああ、そうか。小さく切る前に皮をむかなければな」
ちまから見れば自分が分断される怖さだったことなどつゆ知らず。
薄く一周するだけとか、茶色い部分を剥がすだけとか、一番外側も剥がしていいけれど食べることはできるとか。ちまピオスの指示に頷きながら恐る恐る進めていく。なにしろ包丁の持ち方からして慣れていないのだ。
「一人で調理していたらすでに行き詰まっていたな……」
「最初は火が通りにくいものを、だったかな」
以前そう教わったはずとの夕鶴にちまピオスも安心した顔で頷く。
「目安は食材のかたさだよー!」
人参、玉葱、キャベツ……彩り豊かな野菜炒めに近づいていく。
「そろそろいいかな?」
「よし」
待ってましたと小瓶を手に取り中蓋までもあけた夕鶴が中身を全てフライパンへ……
「ユウヅルそれ入れすぎ! しょっぱくなっちゃう!」
「ん?」
べっちゃぁ!
「ヒャーッ!?」
夕鶴が体の向きを変えた結果、ちまピオスが全体的に味付きに。
「……む、すまん。これを全部入れるのではないのか」
てっきり瓶一つが調理一回分だと思っていたと零す夕鶴に、体を張ってでも止められてよかったと思うちまピオスだった。
「最初はスプーンを使って一杯ずつ様子を見ながら入れるといいよ……うん、これなら大丈夫だよ!」
「おはようちま咲……おや」
窓の外に見える桜に気付いて、寝起きの忌咲の頭もはっきりしてきた。
(折角だし、庭でお花見とか楽しそうだよね)
お酒とおつまみはどこだったかな。あとは敷物。
(未成年も多いみたいだから……)
ジュースも勿論忘れずに。簡単に準備を整えて、のんびり庭へと繰り出した。
●
漂い始めた甘い香りに、ちま達がピクリと動いた。
「今日は引き分けにしておこうか」
言いながら甘い香りの部屋へと向かうちまシャイネ。
「お預けだね」
頷くらうりぃはさっさと帰るよとラウリィを急かす。
「そうだね、せっかくのお呼ばれだからおめかししないと」
水浴びもして汗も流そうか、時間はあるかな?
「できたな。ああ、良い匂いだな」
アパートのそこかしこにオレンジの香りが漂い始めるころ、シャーリーン達の部屋の窓に見えるのは銀髪の彼。しゃーりーんが焼き上がりを確認しようとしたところでコツンコツンとノック音。
「おや、ちまシャイネくんか? 丁度良かった、皆にミュゲのお茶会にしようって誘う歌を歌ってくれたら嬉しいな」
「ふふ、まかされたよー♪」
ちゃっかり味見の一枚を受け取って、てちてち出ていくちま吟遊詩人。その背を見送りながら、最後の仕上げとシャーリーン達もお茶の用意に取り掛かった。
「てぃってぃてぃってぃー お茶会さー♪」
唄っているちまシャイネに訪ねれば、もうすぐお茶会があるという。ついでに花見もと忌咲の言葉に、歌詞が追加された。
「ふーらふらふらわー お花見もー♪」
(一口食べてみたが、問題は無かった……私の舌が馬鹿でなければ)
野菜炒め一回分で随分と自信が揺らぎ始めた夕鶴だが、ちまピオスの言葉を信じて管理人室に向かっていた。
(日頃から世話になっているからな)
食べてもらって、感謝の意を伝えよう。そしてできれば後学のために感想を聞かせてもらえれば……
「初めて作ったんですか! 美味しいですね、素晴らしいです!」
「おいしいんじゃないですか」
力いっぱい絶賛する管理人にほうと一安心する夕鶴。乗り気じゃないように見えたちまタングラムも食べてくれたのでなんだか嬉しくなる。ツンデレを見るような感じだ。
そこに割り込む唄声。どうやらの報せが管理人室にも届いたようだ。
「ミュゲの日には、ちょっと早いが」
お客様を出迎えて、席にご案内するのはしゃーりーん。
「ミュゲの日のお祝いさ。これは、あたし達からのミュゲのプレゼントだ」
シャーリーンが指し示す先に並ぶのはナヴェットとカリソン、見た目と違って口にいれるとほろほろ解けるクロケに、ふわりと甘い香り漂う揚げ菓子オレイエットも並んでいる。
「すぐにお茶もはいるから、遠慮なくどうぞ」
「むぅ、ちょっと足りなさそうだから、管理人さんお酒とおつまみ、あとジュース買ってきてよ」
夕鶴作の野菜炒めも、ミルティアが手早く作ったカナッペもあるけれど、人数が多いと足りなくなるもの。よっぱらい忌咲のおねだりに、わかりましたとフクカンが立ち上がる。メモを手に全員分希望を聞く気だ。特にタングラムの。
「ちまにも!」
「はいはい、ちま咲はこっち。甘くて美味しいからね」
自分の手にある焼酎のコップに手を伸ばそうとするちま咲を妨害しながら、桜を楽しむ。賑やかな休日もいいものだ。
「全自動ロボット掃除機、SANBAの出番だね」
ひとしきり遊んで騒いだ後の片付けも忘れない。忌咲が取り出したのは操縦席付きの円盤。
「これはちまが操縦してゴミを吸い込んでいく夢の掃除機、ちま咲含めて全自動なんだよ」
問題の出そうなところには早めに手をうっておく構え。
「ごーごー、あはははは!」
早速ちま咲発進!
「えっそれ何!?」
可愛い生き物が可愛い仕草で目の前を通り過ぎたと本能で察したラウリィ。すでにらうりぃは追いかけようと走り出していた。
●
「帰ったよい」
「「「おかえりなさーい!」」」
部屋の前に並んで待っているちま達。
「勢ぞろいだな、今日はどんな事してたかな?」
「お茶会と宴会さね、これはそのおすそ分け」
しゃーりーんが差し出す袋から漂うのは甘い香り。
「美味しいんだよ!」
ちまティアの太鼓判。
くーきゅる
視線がちま咲に集まった。
「も、もう十分食べて」
「少し分けてやろうか」
「!」
ちま咲以外も期待の眼差し。ひとつずつ配ってもまだある残っているから大丈夫。
「ふむ」
幸せそうに食べるちま達を見ながら、今日手に入れた素材を思い返した。良い木材と綿。工房には布もある。
(ちまフクカンのベッドを新調するとして……)
綿は余りそうだから、彼らのクッションでも作ろうか、彼らに似合う布で、それぞれに合わせた座り心地のいいものを。今の彼らの座り方をじっと調ておくとしよう。
「今日も一日お疲れ」
弓の手入れも終えたし今日はおしまい。いい夢が見られるようにとラウリィは枕元にお菓子の残りが入った包みを置いた。
カーテンの隙間から見える夜空の星に祈りを捧げて。
おやすみなさい。
「ちまいのは早めに寝ときー、その間に作っておくから」
その夜もレーヴェは夜なべ。夜食は勿論ミュゲのお菓子だ。
フクカンとちまタングラムが管理人室に消えた後、聞こえてきたのは軽快なリズム。
ぴっぴぷーぴっぴぷー♪
頭上でホイッスルを吹くらうりぃに合わせて走るのが、朝ごはん前のラウリィ・ディバイン(ka0425)
の日課。
「ごーる♪ おつかれー」
「それじゃご飯にしようか!」
軽くとはいえ運動後、深呼吸で体をほぐしてからお部屋に向かう。
「今日もお疲れ様だ」
いっぱいに詰まった袋を抱えた誰かの声。荷物の向こうに見える鳥の羽のような上着からシャーリーン・クリオール(ka0184)だとわかる。
「君は朝から市場? あっ運ぶよ」
「しゃーりーんはー?」
こういうのは男手の出番だよ、ラウリィが荷を引き取る間に尋ねるらうりぃ。
「ありがとう。あの子は留守番で、朝食の支度をしてるよ」
「いつも美味しそうなにおいだもんね。前に教えてもらったパン屋さん、美味しかったよ♪」
「それはよかった。……今日はお茶会をしようと思うから、暇だったら来ないかい?」
「「よろこんで!」」
ブンッ、ブォンッ!
(騎士たるもの、日ごろの鍛錬は欠かさない……それが休暇であっても)
ブォンッ、ブンッ!
裏庭で愛用のクレイモアを振る夕鶴(ka3204)の額にも、汗がにじむ頃合いだ。
「夕鶴―、ごはんだよー!」
ちまピオス・シルワ(ka0987)の声が、スープのいい香りと一緒に聞こえてきて。
「すぐに戻る!」
二階の窓に向かって答えた後、ぎゅっと拳を握る夕鶴。今日こそ行動に移す時だと、ある決意をしながら部屋へと戻っていくのだった。
腕が揺すられている気がする。
「レーヴェさん、あさですよー」
「あと……五時間……」
久し振りのふかふか寝床、屋根があるって素晴らしい。だからもう少し放っておいて。ごろりと寝返りちまフクカンに背を向けたレーヴェ・W・マルバス(ka0276)だけれど。
「依頼があるって、きのういってませんでしたかー」
ああ、だから起こしてくれたのか。スローライフもいいものだと思っていたが、それでは起きねばなるまい。
「忌咲起きないー、退屈だよー」
試しに寝床で丸まっている忌咲(ka4296)の鼻をつまんだり、擽ったりもしたが駄目だった。仕方なくちま咲はぶかぶか白衣に袖を通して、愛しの甘酒瓶を背負って外に出る。
てってちてちてち
「こらーっ! それは今日のおやつにとっておいたクッキー!」
「へへーんっ、隠してなければ盗んでくれって証拠だよー♪」
とててててて、ごっつーん☆
「!?」
ふらふらぱたり
「いってぇー」「きゃー!?」
逃走中のちまティアと衝突して倒れたちま咲。ミルティア・ミルティエラ(ka0155)の叫び声を聞きながら、思うのはただひとつ。
(おなかすいたなー)
ぐーきゅるる……
●
「えー……っと」
さっきの音はあれだよね、お腹の音?
謝らなきゃ、ちまティアを叱らなきゃ、そう思っていたはずなのに、目の前のちま咲から発せられる音がミルティアの思考を支配した。
きゅるるぅー……むくっ
「!?」
「おなかすいたの」
「あたしもー!」
「あんたはクッキーたべたでしょ! ……じゃなくて」
ちまティアの首根っこをしっかりつかんで、改めてちま咲へと向き直る。
「これから朝ご飯なんだけど、一緒にどうかな?」
ぶつかっちゃってごめんねと言いながら、ちまティアの頭もおさえて謝らせる。
「同居人さんも呼びに行く?」
「忌咲は昼まで起きてこないの」
だから、ちま咲だけで大丈夫。
各地に拠点があるけれど、不在時の管理を任せる相手が居るというのは意外と悪くない。
(はじめは不可思議の観察が理由だった気もするけどね)
遅めの朝食、目玉焼きをちまフクカンの分だけ取り分けながら考える。あの時管理人室から逃げ出したこの子に遭遇していなかったら、ここに工房をもつことなんてなかったと思う。
(ちまタングラムの世話には行っているようだし)
ちまサイズの掃除道具が大分くたびれてきていた、そろそろ交換時だろう。
「後で新しい箒も作っておくから」
「助かりますー」
今差し出したちま用食器も、ちまフクカンが持っているフォークも。そもそも彼が暮らしているちまっとハウスだってレーヴェが作ったものだ。
「でも昨晩も遅かったんじゃー?」
夜更かしは体に悪いですよと、自分の目玉焼きにケチャップをかけながらごはんにのせるちまフクカン。
「部屋があるとついつい夜中に作業してしまうね」
レーヴェは黒胡椒とごはん。
「起こしてもらえるのは有難いものだね?」
「お口に合うかわからないけど、召し上がれ♪」
美味しい料理を食べたい意欲が高じた結果、ミルティアの料理の腕は素人のものではない。普通の人の朝よりちょっぴり豪華な品ぞろえなのは、ちまティアの悪戯に巻き込んだお詫びの気持ちが入っている。
何よりちまティアと違ってちま咲はお手伝いもしてくれた。
(人がどれだけ苦労して今のキャラを確立させたと思って……!)
過去の自分を体現したようなちまティアがお行儀悪い食べ方をしているのを横目で見る。ものすごく気まずい。自分のせいじゃない……はずなのだけれど。
「いただきます……」
この子見習ってくれないかなあ、うちのティアも。これからがんばれってことなのかなあ。
「ミルティアのごはんおいしーだろう?」
「……美味しいー!」
自分のことのように自慢するちまティアを見たら、溜飲が下がった気がした。結構嬉しいなあなんて。
朝食のあと、荷物を改めながらしゃーりーん。
「どんな材料が手に入ったんだい?」
「メロンの砂糖漬け、卵にアーモンド……オレンジの花の水と言うところだね」
「オレンジの花の水? 珍しいし、すっごく高価だろ?」
シャーリーンが一つずつ取り出せば、思った通り、小さな彼女が口にしたのは今日の目玉。
「ふふ、さて、何を作るか……」
「そりゃ、この香りをいかさなくちゃ。ナヴェットと、カリソンを作ろう。どうだい?」
小舟の形をしたビスケットと、カソリンはメロンの砂糖漬けを練り込んで焼いたお菓子。どちらもオレンジの花の水が決め手だ。
「良いねえ。じゃあ、カリソンの下ごしらえはあたしがやろう」
すりつぶして練り込んで、結構な力仕事はシャーリーン。ならばしゃーりーんは?
「そういえばミュゲの日も近い事だ、カリソンをスズランの花の形にしよう。糖衣もつければ、いかにも鈴蘭らしくなるな」
これはちまパティシエ誕生の予感。
「んじゃ、出掛けてくる」
支度を整えでかけるレーヴェは、振り返りながら思い出す。
「ああそうだ。ちま達の依頼品出来てるから持ってって」
工房長はアパート全体のちまライフの味方。好意で始めたことだけれど、今では家賃の割引効果を呼んで、趣味と実益も兼ねているのだ。
不在の間にちまフクカンが注文を受けたり届けたり。皆の好みも呼んでて評判もピカイチ。
「いってらっしゃいませー」
今日は帰りに箒の材料も確保しなくちゃな、等と思うのだった。
●
「お茶会いつかなー」
そわそわらうりぃを横目に、愛用の弓を引き絞る。
「今日作るみたいだったから、まだまだ先でしょ。ほらお前も練習練習!」
らうりぃもちま専用的の前に向かった。
ひゅん! とすっとすっ
意図せず同時に射てみたりして、しばらくは練習に集中。これも毎日欠かさないのだ。
「レーヴェさんからのお届け物でーす」
「おやフクカンくん」
「! オレにはないの!?」
つい飛び出すらうりぃだが、すぐにちまフクカンは男の子だと思い出した。
「ありますよー」
渡されるのは弓のお手入れ道具。色は違うけれどどう見てもお揃い。
「……しゃいね、勝負だ! 負けたら相手に一本矢を作るー!」
ちょっとやけくそかもしれない。
「ふふ、うけて立とうー!」
改まった口調の夕鶴の頼みに、ぽんと胸を叩いて請け負うちまピオス。
「料理のことなら僕に任せて! それじゃ調理器具を、よいしょ、よいしょ……ワーッ!」
いつもより大きな道具は勝手が違う。まな板の下敷きになりかけたところを夕鶴に助けられる。早速これからが、不安な気配。
「まずは野菜を洗えばいいんだな」
つるっ
「あっー!?」
「排水溝に流れていくところだったぞ」
びしょぬれになったのでいったんお着替え。
「それじゃ切」
「まってまって、この野菜はここが皮で、こうやって切……キャーッ!」
ちまピオスの悲鳴に、包丁を振り上げていた夕鶴が我に返る。
「ああ、そうか。小さく切る前に皮をむかなければな」
ちまから見れば自分が分断される怖さだったことなどつゆ知らず。
薄く一周するだけとか、茶色い部分を剥がすだけとか、一番外側も剥がしていいけれど食べることはできるとか。ちまピオスの指示に頷きながら恐る恐る進めていく。なにしろ包丁の持ち方からして慣れていないのだ。
「一人で調理していたらすでに行き詰まっていたな……」
「最初は火が通りにくいものを、だったかな」
以前そう教わったはずとの夕鶴にちまピオスも安心した顔で頷く。
「目安は食材のかたさだよー!」
人参、玉葱、キャベツ……彩り豊かな野菜炒めに近づいていく。
「そろそろいいかな?」
「よし」
待ってましたと小瓶を手に取り中蓋までもあけた夕鶴が中身を全てフライパンへ……
「ユウヅルそれ入れすぎ! しょっぱくなっちゃう!」
「ん?」
べっちゃぁ!
「ヒャーッ!?」
夕鶴が体の向きを変えた結果、ちまピオスが全体的に味付きに。
「……む、すまん。これを全部入れるのではないのか」
てっきり瓶一つが調理一回分だと思っていたと零す夕鶴に、体を張ってでも止められてよかったと思うちまピオスだった。
「最初はスプーンを使って一杯ずつ様子を見ながら入れるといいよ……うん、これなら大丈夫だよ!」
「おはようちま咲……おや」
窓の外に見える桜に気付いて、寝起きの忌咲の頭もはっきりしてきた。
(折角だし、庭でお花見とか楽しそうだよね)
お酒とおつまみはどこだったかな。あとは敷物。
(未成年も多いみたいだから……)
ジュースも勿論忘れずに。簡単に準備を整えて、のんびり庭へと繰り出した。
●
漂い始めた甘い香りに、ちま達がピクリと動いた。
「今日は引き分けにしておこうか」
言いながら甘い香りの部屋へと向かうちまシャイネ。
「お預けだね」
頷くらうりぃはさっさと帰るよとラウリィを急かす。
「そうだね、せっかくのお呼ばれだからおめかししないと」
水浴びもして汗も流そうか、時間はあるかな?
「できたな。ああ、良い匂いだな」
アパートのそこかしこにオレンジの香りが漂い始めるころ、シャーリーン達の部屋の窓に見えるのは銀髪の彼。しゃーりーんが焼き上がりを確認しようとしたところでコツンコツンとノック音。
「おや、ちまシャイネくんか? 丁度良かった、皆にミュゲのお茶会にしようって誘う歌を歌ってくれたら嬉しいな」
「ふふ、まかされたよー♪」
ちゃっかり味見の一枚を受け取って、てちてち出ていくちま吟遊詩人。その背を見送りながら、最後の仕上げとシャーリーン達もお茶の用意に取り掛かった。
「てぃってぃてぃってぃー お茶会さー♪」
唄っているちまシャイネに訪ねれば、もうすぐお茶会があるという。ついでに花見もと忌咲の言葉に、歌詞が追加された。
「ふーらふらふらわー お花見もー♪」
(一口食べてみたが、問題は無かった……私の舌が馬鹿でなければ)
野菜炒め一回分で随分と自信が揺らぎ始めた夕鶴だが、ちまピオスの言葉を信じて管理人室に向かっていた。
(日頃から世話になっているからな)
食べてもらって、感謝の意を伝えよう。そしてできれば後学のために感想を聞かせてもらえれば……
「初めて作ったんですか! 美味しいですね、素晴らしいです!」
「おいしいんじゃないですか」
力いっぱい絶賛する管理人にほうと一安心する夕鶴。乗り気じゃないように見えたちまタングラムも食べてくれたのでなんだか嬉しくなる。ツンデレを見るような感じだ。
そこに割り込む唄声。どうやらの報せが管理人室にも届いたようだ。
「ミュゲの日には、ちょっと早いが」
お客様を出迎えて、席にご案内するのはしゃーりーん。
「ミュゲの日のお祝いさ。これは、あたし達からのミュゲのプレゼントだ」
シャーリーンが指し示す先に並ぶのはナヴェットとカリソン、見た目と違って口にいれるとほろほろ解けるクロケに、ふわりと甘い香り漂う揚げ菓子オレイエットも並んでいる。
「すぐにお茶もはいるから、遠慮なくどうぞ」
「むぅ、ちょっと足りなさそうだから、管理人さんお酒とおつまみ、あとジュース買ってきてよ」
夕鶴作の野菜炒めも、ミルティアが手早く作ったカナッペもあるけれど、人数が多いと足りなくなるもの。よっぱらい忌咲のおねだりに、わかりましたとフクカンが立ち上がる。メモを手に全員分希望を聞く気だ。特にタングラムの。
「ちまにも!」
「はいはい、ちま咲はこっち。甘くて美味しいからね」
自分の手にある焼酎のコップに手を伸ばそうとするちま咲を妨害しながら、桜を楽しむ。賑やかな休日もいいものだ。
「全自動ロボット掃除機、SANBAの出番だね」
ひとしきり遊んで騒いだ後の片付けも忘れない。忌咲が取り出したのは操縦席付きの円盤。
「これはちまが操縦してゴミを吸い込んでいく夢の掃除機、ちま咲含めて全自動なんだよ」
問題の出そうなところには早めに手をうっておく構え。
「ごーごー、あはははは!」
早速ちま咲発進!
「えっそれ何!?」
可愛い生き物が可愛い仕草で目の前を通り過ぎたと本能で察したラウリィ。すでにらうりぃは追いかけようと走り出していた。
●
「帰ったよい」
「「「おかえりなさーい!」」」
部屋の前に並んで待っているちま達。
「勢ぞろいだな、今日はどんな事してたかな?」
「お茶会と宴会さね、これはそのおすそ分け」
しゃーりーんが差し出す袋から漂うのは甘い香り。
「美味しいんだよ!」
ちまティアの太鼓判。
くーきゅる
視線がちま咲に集まった。
「も、もう十分食べて」
「少し分けてやろうか」
「!」
ちま咲以外も期待の眼差し。ひとつずつ配ってもまだある残っているから大丈夫。
「ふむ」
幸せそうに食べるちま達を見ながら、今日手に入れた素材を思い返した。良い木材と綿。工房には布もある。
(ちまフクカンのベッドを新調するとして……)
綿は余りそうだから、彼らのクッションでも作ろうか、彼らに似合う布で、それぞれに合わせた座り心地のいいものを。今の彼らの座り方をじっと調ておくとしよう。
「今日も一日お疲れ」
弓の手入れも終えたし今日はおしまい。いい夢が見られるようにとラウリィは枕元にお菓子の残りが入った包みを置いた。
カーテンの隙間から見える夜空の星に祈りを捧げて。
おやすみなさい。
「ちまいのは早めに寝ときー、その間に作っておくから」
その夜もレーヴェは夜なべ。夜食は勿論ミュゲのお菓子だ。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
- ピオス・シルワ(ka0987)
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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打ち合わせ的な卓 ラウリィ・ディバイン(ka0425) エルフ|17才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/04/11 23:50:48 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/04/10 01:33:23 |