属性って何?

マスター:秋風落葉

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/04/25 07:30
完成日
2015/05/02 20:32

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●先生と生徒
「えーっと、うーんと……」
「……」
「分かった! 火です!」
「……ぶっぶー! 外れです!」
「ええー?」
「馬鹿だなーアゼルは! 水に決まってんだろ! なあ先生!」
「それも違います……」
「うぞっ!?」
「じゃあじゃあ、光? あたし達は使えないけど」
「ちっがーーーーーう! 何度言ったら分かるのですか!? 土属性に優越するのは風属性です!」
「ゆうえつって?」
「……要するに風属性は土属性に強いってことです!!」
 教卓をバンバン叩きながら一人エキサイトする女性。名をベルテイルという。
 彼女の目の前には10人の少年少女がいる。
 ここはマギステルを養成するための学校だ。とはいえあくまで私塾のようなものであったが。
 叱られた子供達の内の一人がハハハと笑う。
「いやー、やっぱり先生は物知りだなー!」
「貴方達が知らなさすぎるのです! 属性を帯びた歪虚に出会ったらどうするのですか!?」
「どうするって……決まってんじゃん。なあお前ら!」
 少年が後ろを振り返ると、子供達は皆頷き、同時に口を開いた。
「迷ったらマジックアローを撃て! それが俺(あたし)達の合言葉だ!」
「それじゃ駄目でしょうがああああああああああ!!」
 ベルテイルはヒステリックに叫び、机をさらに激しく乱打した。
「火は風に、風は土に、土は水に、水は火に強い! ほら簡単じゃないですか!」
「……それが難しいんですよねー」
「どこがです!? これくらい普通は覚えられるでしょう!?」
 子供達はそれぞれお互いの顔を見つめ、一人が正面を向くと困ったように呟いた。
「ひょっとして先生の教え方が悪いんじゃ……」
 ドスッ!!
 生徒の無慈悲な言葉がファイアアローのように突き刺さった。
 彼女は教卓の後ろでよろめく。口元をひきつらせながら、どうにか言葉をつむぎだす。
「な、何を言っているのですか、私はこの街一番のマギステルとして有名で……」
「先生は優秀だったから、出来ない奴の気持ちがわからないんだよなーーー!」
 ザクッ!!
 追い討ちのような言葉がウィンドスラッシュのように彼女の胸を切り裂いた。
「あ、暗記! 暗記すればいいのです!」
「だからそれじゃ俺達覚えられないだってー!」
 少年の言葉に皆一斉に頷いた。勢い付いたのか、一人の少女が髪をいじりながら口を開く。
「この学校に来たの失敗だったかな……」
 ドドドドドドドド!!
 ウォーターシュート、もしくはアースバレットのような痛烈な皮肉がベルテイルを打ちのめした。
 彼女は教卓に両手をつき、俯いた。
 少年少女はこれを機に好き放題騒いでいる。
 やがて、ふふふふふ……、と地の底から聞こえるような笑い声が聞こえた。
 子供達は一瞬で静まり返る。その不気味な声が自分達の教師の方から漏れだしていることに気付いたからだ。
 ベルテイルは顔を上げる。そこには場違いな笑みが浮かんでいた。
「貴方達は虫かごで蝶を飼ったことがありますか?」
 え? という疑問符を頭に浮かべる子供達。ベルテイルは反応を気にせず続ける。
「私は子供のころ、綺麗な蝶を虫かごで飼っていました。結構大きな虫かごで、その中で舞い踊る蝶たちを、私はいつもうっとりと見つめていました」
 子供達はベルテイルから視線を逸らさない。いや、逸らせず聞いている。
「ただ……何を思ったのでしょうね……私はある時……」
 ふと遠くを見つめるように無表情になるベルテイル。しかし、すぐにその口は笑みの形となる。
「虫かごの中にカマキリを放ちました」
 ざわっ……!!
 子供達は顔を見合わせる。
「そして今……私はその時のような気持ちになっています」
 ベルテイルは、少年少女の顔を一人一人見つめ、にこやかに語りかける。子供達はあまりのことに、今にも泣き出しそうだ。
 ベルテイルはゆらり、と動きだし、教室のドアを開けた。
「そこで待っていてくださいね……可愛い蝶たち……」
 そう言い残し、彼女はいずこかに去っていった……。後に震える子供達を残して。

●カマキリと蝶
「お待たせしました。いい子にしていましたか?」
 やがて教室へと戻ってくるベルテイル。
 その顔には先程のような危なげな笑みは浮かんでいない。子供達はそれに気付いたのか、安堵の表情を見せる。
 そんな少年少女にベルテイルは続けた。
「……さて、貴方達に講義をしてくれる新しい先生方を紹介します」
 ざわざわざわっ……!!
 子供達は再びざわめき、おののいた。皆、一斉に教室のドアへと視線を向ける。
「お入りください、皆さん」
 ドアが開かれ、入ってきたのは……。

リプレイ本文


「さて、まずは基本の基(もと)からだな」
 入ってきたのは大きな巻紙を脇に抱えたロニ・カルディス(ka0551)。恐怖と好奇心がない交ぜになった子供達の視線を受けつつ、ロニは教室の正面に持ちこんだ紙を貼り付ける。
 それには次のような文言が書かれていた。

火→風:炎によって風の流れが乱される
風→土:風によって土は削り取られる
土→水:土によって水は飲み干される
水→火:水によって火は消し止められる

 マギステルが主に使う四つの属性。それを図解入りで簡潔に説明したものである。いわゆる相克の関係について、ロニは図を元に生徒達へと解説を開始した。子供達はいつもと違う先生の話を熱心に聴いている。
 ロニは自分に割り当てられた時間が終了に近づくと、あることを語りだす。それは、困ったらマジックアローを使えばよい、という彼らの考え方についてだ。
「何にでも使えるという事は、逆に言えば何にも優位になれない、中途半端な効果しかあげないということだ」
 子供達は気まずさからかそれぞれ目を逸らしている。
「使う対象に合わせた属性の選択をすることが、格好いい魔術師への第一歩となる」
 格好いい、というフレーズに一部の男子達が反応し、ロニの顔を見上げた。
「それは俺のような聖導士や他のハンターには出来ないことだ」
 子供達はまだ実戦経験がなく、ロニの言葉を真に理解できたとはいえない。しかし、属性を活かして戦うことがマギステルにとって重要なことなのだと、彼らはほんの少しだけ実感できた。
「さて、これだけじゃイマイチだと君たちの顔に出てきたところで、次の説明に入ろうか」
 ロニは最初に貼った紙はそのままに、一旦脇へと退いた。


「我が名はエルディラという。まずはおぬしら全員の名を聞かせよ。十人分の顔と名程度、すぐに覚えられよう」
 ロニに続いて教卓に立ったのはエルディラ(ka3982)。彼女の言葉に少年少女はそれぞれ自分の名前を名乗る。
「魔術師らしくワンドを片手に講義をするか……安心せい、これで殴ろうなどとは考えておらん」
 恐怖心が残っているせいか、エルディラが杖を構えると子供達はびくりと身を震わせたが、それを見たエルディラのフォローにより、皆胸を撫で下ろした。
「ちなみに我はドワーフじゃ。見た目で齢を判断するなよ小童ら」
「べべべべべ別に俺たちと同じ子供じゃないかとか思ってませんよ!?」
「……まあよい、今回は我の得意分野のひとつ、『風』を例に話すぞ」
 内心思うところはあったようだが、エルディラは講義を始める。
「おぬし、ちょっとこっちにこい」
「おおお俺!?」
 先程の発言を後悔した少年であったが断る度胸はなく、びくびくしながらも教室の前へとやって来た。
 エルディラは少年に杖をかざし、ウィンドガストを用いる。
 少年の周りに緑色に輝く風が取り巻いた。
「この『風の鎧』は、ぶつかってくる『風の刃』の勢いを弱らせるのが得意なのじゃ。こやつを護る風の精霊は、己と同じ風の精霊の攻撃をようく知っておるからのう」
 まさか風の刃を使うつもりなのかと恐怖の瞳で臨時の先生を見ていた少年だったが、幸いそんなことはなく彼は安堵の息を吐いた。
「歪虚もまた同じ。奴らが風の扱いに長けるなら、我らの風魔術もたちまち理解されてしまう。故に同じ属性の攻撃は効きづらいのじゃ。他の属性でも理屈は同じじゃぞ」
 生徒達の顔に理解の色が灯る。しかし、一人の少女はしきりに首を傾げていた。
「む……おぬしはよくわからぬか? ならば前に出よ。『風の鎧』を着せてやろう。精霊の力を感じることは良い経験になる」
 エルディラの手により、その少女の周りを緑の風が覆った。
「我もそうした経験を積んで、属性関係を覚えたのじゃ。その経験と共に知識も身に着こう」
 少女はまだウィンドガストを扱うことは出来ない。自分もいつか、この風の魔法を自由に扱うことが出来たら、と目を輝かせた。


「火は風にあおられて酸素を多く取り込んで火がおおきくなるアル……」
 野外にて。
 李 香月(ka3948)は燃え盛る焚き火をウチワで仰いで風を送り、火勢を強めることに成功する。
「風は少しくらいの土は吹き飛ばすアル……土砂が水をせき止めるアル……」
 風によりさらわれる砂礫を見せた後、今度は小さな水路を造り、土をつめて水の流れを変えて見せることで、水が土に対して不利であることを理解させようと努める香月。
「かなり大きな火も、根元を狙えば少量の水で消えるアル、水がすごく有利アル……」
 彼女は濡らした手ぬぐいを火にかけ、水の力によって消火を狙う。
 いくつかの実験を子供達にもやってもらう香月。子供達は喜び、もしくは火に少しだけ怯えながらも、彼女が行っていた実験を体験した。
 それが終わると、香月の発案で復習の為の小テストを教室の中で開始する。
 たんなる虫食い問題ではなく、表現を一部かえておき、内容自体を実際覚えているか確認できるものだ。
 答え合わせの時間になったが、生徒達はまだまだ属性を理解するには程遠いようだ。しかし、個人個人の苦手な分野がぼんやりと見えてきた。
 ある程度の手ごたえを感じた香月は次のハンターへとバトンを渡す。


「み、皆さんこれを見てください」
 水無月 凛音(ka4638)は透明な四角い箱を手に、子供達に語りかけた。その箱の中には様々な色合いの小さな紙片がたくさん入っている。また、その箱には一箇所だけ穴が開けられていた。
 凛音は緊張でドキドキとしていたが、出来るだけ少年達が楽しんで学べるようにという考えのもと、今回の道具を準備してきていた。
「風が土に攻撃するということは、こういうことです」
 彼女がふぅーっと空気穴から箱の中に息を吹きかけると、中の紙ふぶきが大量に舞いあがった。
「この色紙が土で、風が吹いたら土が舞う……どうでしょう?」
 子供達の様子を窺う凛音だったが、何人かは首を傾げている。
「次、次いきましょう」
 彼女は粘土を複数用意し、それらに水をかけた。たちまち粘土は柔らかくなる。土が水を吸収するということを知ってもらい、土属性が水属性に優越することと結びつけてもらおうという考えだ。
 凛音はお手本としてネコの形に粘土をこねる。
 子供達は鮮やかな出来栄えに感心し、我も我もと凛音の側に集まってきた。
 彼らは好きなように粘土をこね始める。少なくとも、土属性と水属性が密接な関係にあることだけは、子供達の心にしっかりと刻まれたようだ。


(属性ね……私は生活する上で自然に知った事ではあるけれど、マテリアルに触れる機会の少ない環境で育った子供には解り辛いのかしら?)
 実験場となる野外で、エルティア・ホープナー(ka0727)はそう心の中で呟き、まずは子供達に挨拶代わりのクッキーを配る。子供達が食べていいのかと考えている間に、彼女は毛布を地面へと置き、ランタンのオイルを少しかけてから火をつけた。
 エルティアはその様子を見守るように子供達に指示する。
「威力に極端な差があるならまだしも、同等の力でスキルを放った場合の効果として火は風を喰らうわ。実際に風を送ると……ほら、火勢が強くなった」
 風にあおられ、毛布を侵食していた火はその勢いを強める。子供達はそれぞれ喚声をあげた。
「火の精霊は風の精霊を食べる事で力を増すわ……貴方達がクッキーを食べると元気になるのと同じね?」
 つまみ食いをしていた少年を見据えるエルティア。男の子は飛び上がらんばかりに驚き、慌てて飲み込むとごまかし笑いを浮かべた。
「水が火に強いのは皆わかってると思うけど」
 と言いつつエルティアはあらかじめ用意していたバケツを手に取り、燃え上がる毛布に向かって中の水を浴びせかける。
「水は炎を喰らって水蒸気になるわ。炎は欠片も残さない」
 エルティアはそう言いながら子供達を振り返る。
 火と風と水の関係について、なんとなく理解できてきたのか、子供達は何もいわず、毛布の成れの果てを見つめている。
 それと個人的な意見を一つ、と前置きし、エルティアは締めくくりの言葉を述べた。
「先生の教え方がどうだったかは私は知らないけど、自分達の出来の悪さを先生の……人のせいにするのは止めなさい。馬鹿は自己責任よ」
 表情をあまり変えず、クールにそう言いのけたエルティアに、子供達は反射的に背筋を伸ばした。


「あやね、ぞくせいの事気にしたこと無いの」
 これまでの講義を全て無に帰すかのような言葉が教卓の脇から発せられた。この教室の生徒達よりも幼い顔立ちの、佐藤 絢音(ka0552)である。
「機導士だから、属性はかんけいないの、でも属性武器はあやねにも関係があるの。きちんとべんきょーしないといけないの」
 とはいえ、やはり勉強は大事らしい。子供達はがっかりしたかのように俯いた。
「あやねはトレカみたいなものが良いと思うの」
 ――とれか?
 生徒達は聞いたことのない単語に顔を上げる。お互いに顔を見合わせ、誰も知らないのか皆首を傾げた。
「えーっと……ルールの元に手札を切って勝敗を争うげーむ……なの」
 絢音は台座に乗って精一杯背を伸ばし、黒板にせっせと図を書く。
「必要なのはキャラクターカードとスペルカードなの」
 彼女が描いたスペルカードとやらに登場するのは、生徒達にとってなじみの深い各属性の魔法。
「キャラクターカードは自分の部隊なの、ゲームの基本なのよ。スペルカードはキャラクターに影響を及ぼす補助の手札なのよ」
 彼女が描いたイラストでは、土のスペルカードの攻撃が、水のキャラクターに対して効果をあげている。
 一部の生徒、特に女の子達はあまり理解できていないのかしきりに首を傾げていたが、新しい遊びの道具が生まれる予感に一部の男子達は目を輝かせていた。
 カードゲームという概念で、子供達に興味を持ってもらおうという彼女の計画は、何人かの心を掴むことはできたようである。


「生徒の皆さん、こんにちは! 機導師のクレールです! 今日は宜しくね! 属性、覚えるの大変だよねぇ……私も、だいぶ苦労したもん」
 続いて教壇に立ったのはクレール(ka0586)。彼女はワンピースに身をつつみ、教師らしくタクトを手にしている。
「皆さん、これまでの講義はいかがでしょうか! もうバッチリ! って人は手を挙げて!」
 挙がった手はまばらだったが、一部の属性に関しては分かった、という声は手を挙げていない生徒からも聞こえてくる。
「まだダメ! って人も大丈夫! 私もです! だから……私はリズムで覚えました! 皆さんにも、お伝えしたいと思いますっ!」
 クレールは子供達に見えるように、輪状に土(ち)、水(すい)、火(か)、風(ふう)と書かれたボードを教卓の上に立てた。土から水へ、水から火へと順々に向かう矢印が描かれており、属性が一周していることが分かる。
「ご唱和ください! 『攻める時は ち・すい・か・ふう ! 守る時はおんなじの!』 さん、はい!」
「せ、攻める時は ち・すい・か・ふう ! 守る時はおんなじの!」
 子供達は照れくさそうにしながらも、彼女の後に復唱した。
「これだけ覚えれば、とりあえずだいじょーぶっ! では! 実践編の本題! 属性当てゲーム!」
 彼女が取り出したのは大きなカード。火・風・土・水、それぞれ攻撃用と防御用の絵が描かれている。
「ここに8枚のカードがあります! これが ち・すい・か・ふう の攻撃! こっちが防御! 今からこれをシャッフルしてめくっていきます! 前の人から順番に、正しい属性を大きな声でどうぞ!」
 クレールが防御用のカードをめくる。それは火であった。
「え、えーっと」
「困った時はさっきのリズム! 『攻める時は ち・すい・か・ふう ! 守る時はおんなじの!』」
「そ、そうか! 水で攻撃すればいいんです!」
「はい正解! 正解者には大きな拍手~! 副賞にキャンディも!」
 クレールは持ち込んでいたキャンディを少年にプレゼントする。拍手を浴びる彼は照れながらもそれを受け取った。
「さあ、再びゲームスタート!」
 クレールは次の生徒の為に、新たなカードをめくった。


 クレールの講義も終わり、時刻もそろそろ夕方になろうかという頃、突然扉が開いた。
「今日は知人が属性の講義をする、とのことで来たのですが……終わってしまいましたか」
 しょぼくれた様子で現れたのはレイ・T・ベッドフォード(ka2398)。彼はなぜか傷だらけの風体で、手に持つ雷神斧を悲しげな瞳で見つめている。
「ああ、私が属性について熟知していれば、この風の属性を持つ武器をもっと上手く扱うことができたでしょうに」
 レイはベルテイルをちらちらと見る。それに応えるように、彼女はぽんと手を打った。
「そうですね……では皆さん。彼に今日学んだことを教えてあげましょう」
 当意即妙の答え。もちろんレイはハンターであり、ベルテイルと彼があらかじめ打ち合わせをしていたのであるが。
「……お願いします。どうか。無知な私に属性の事を教えてください」
 レイの懇願に一人の少年が前に出る。
「俺はもうわかってるぜ! 風は風のことを良く知ってるから、風の雑魔にその武器を使っちゃいけないんだ!」
 先程エルディラにウィンドガストをかけてもらった少年が胸を張って得意げに喋る。
「なるほど。では、風の魔物はどうやって倒せばいいのでしょう?」
 レイの質問に子供達は少しだけ考えこむ。やがて一人が口を開いた。
「ええっと、火は風を食べると元気になるんだっけ?」
「そうそう、クッキーを食べてたお前みたいにな!」
 先刻つまみ食いをしていた子をちゃかす少年に、教室の中は笑い声が起きる。
「うんうん、攻める時は ち・すい・か・ふう ! 守る時はおんなじの!」
 一人の女の子は先程教えてもらった歌を口ずさむ。他の子達もそれと同じフレーズを唱和した。
 今回の講義がしっかりと根付いているらしい彼らに、レイは満足そうに頷く。
「……貴方達が戦うようになって、その時、誰かの命を救うのでしょう」
 急に真面目な表情になったレイに、子供達は戸惑う。レイは気にせず続けた。
「それは貴方達が守りたい誰かかもしれないですし……貴方の隣にいる、ご友人かもしれません」
 子供達はお互いの顔を見る。
「今、こうして私に教えてくださった皆様は……きっと、誰かを救う事ができるでしょうね。本日は、ありがとうございました」
 そう言うと、レイは頭を下げた。


 全ての講義が終わり、生徒達は臨時の教師達に礼を述べる。
 依頼人であるベルテイルも、少年少女も、その顔は満足気だ。
 暗記が苦手だった生徒達も、今回の授業のおかげで属性に対しての造詣が深まった。それはもちろん、ハンター達が手を替え品を替え、時には体を張って彼らに講義をしたおかげである。

依頼結果

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MVP一覧

  • 明日も元気に!
    クレール・ディンセルフka0586
  • 物語の終章も、隣に
    エルティア・ホープナーka0727
  • 今を歌う
    エルディラka3982

重体一覧

参加者一覧

  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士

  • 佐藤 絢音(ka0552
    人間(蒼)|10才|女性|機導師
  • 明日も元気に!
    クレール・ディンセルフ(ka0586
    人間(紅)|23才|女性|機導師
  • 物語の終章も、隣に
    エルティア・ホープナー(ka0727
    エルフ|21才|女性|闘狩人
  • SKMコンサルタント
    レイ・T・ベッドフォード(ka2398
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士
  • ピットファイター
    李 香月(ka3948
    人間(蒼)|20才|女性|疾影士
  • 今を歌う
    エルディラ(ka3982
    ドワーフ|12才|女性|魔術師
  • 残光の銃架
    水無月 凛音(ka4638
    人間(蒼)|14才|女性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン そうだんたく
佐藤 絢音(ka0552
人間(リアルブルー)|10才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2015/04/25 00:01:53
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/04/21 08:52:35