ゲスト
(ka0000)
若牛の蹂躙
マスター:秋月雅哉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~15人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/04/29 09:00
- 完成日
- 2015/04/30 14:13
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●食欲旺盛になるのは秋だけではないようで
若草が萌え始めた春の放牧地。本来であれば家畜として飼育されている動物たちが胃を満たすために解き放たれる場所。
しかしそこに今年は闖入者がいた。野生の若牛だ。
若草を根こそぎ食べる勢いで食み、食べられていない草は移動によって踏み潰される。
家畜として飼われている牛を始めとする動物たちは狂暴な若牛の群れに放牧地から追い出され、空腹を感じながら村人が少ないたくわえをやりくりして買った冬に食べさせる飼料を食むのだった。
「今回は普通の若牛……というか野牛かな。それを狩って食べに行こうかっていうお誘いだよ。放牧地を荒らしまわってるみたいだ。
自覚があるのかないのかはしらないけれどこのままじゃ放牧地が全滅、家畜に与える飼料も潤沢とはいえない。
数は大体二十頭くらい。十五人でいって食べられるだけ食べて、食べられない分は個々で保存食にするとか被害にあった村に提供するとか。
相談するのはその位かな。僕も折角だから同行させてもらうよ。
萌え始めたばかりの若草をたっぷり食べた若牛はきっと美味しいだろうからね。
雑魔と違って食べた時に何か異変が起きたりもしないし、一応狩るところからだけど普通の牛だからハンターならすぐ狩れるでしょ。
すぐに目を出す牧草なんかを荒れ地になった放牧地に植えてこれれば満点かな。
どうだい、一緒に」
ルカ・シュバルツエンド(kz0073)はなにやら楽しそうに笑うとぱたりとファイルを閉じたのだった。
若草が萌え始めた春の放牧地。本来であれば家畜として飼育されている動物たちが胃を満たすために解き放たれる場所。
しかしそこに今年は闖入者がいた。野生の若牛だ。
若草を根こそぎ食べる勢いで食み、食べられていない草は移動によって踏み潰される。
家畜として飼われている牛を始めとする動物たちは狂暴な若牛の群れに放牧地から追い出され、空腹を感じながら村人が少ないたくわえをやりくりして買った冬に食べさせる飼料を食むのだった。
「今回は普通の若牛……というか野牛かな。それを狩って食べに行こうかっていうお誘いだよ。放牧地を荒らしまわってるみたいだ。
自覚があるのかないのかはしらないけれどこのままじゃ放牧地が全滅、家畜に与える飼料も潤沢とはいえない。
数は大体二十頭くらい。十五人でいって食べられるだけ食べて、食べられない分は個々で保存食にするとか被害にあった村に提供するとか。
相談するのはその位かな。僕も折角だから同行させてもらうよ。
萌え始めたばかりの若草をたっぷり食べた若牛はきっと美味しいだろうからね。
雑魔と違って食べた時に何か異変が起きたりもしないし、一応狩るところからだけど普通の牛だからハンターならすぐ狩れるでしょ。
すぐに目を出す牧草なんかを荒れ地になった放牧地に植えてこれれば満点かな。
どうだい、一緒に」
ルカ・シュバルツエンド(kz0073)はなにやら楽しそうに笑うとぱたりとファイルを閉じたのだった。
リプレイ本文
●牛追いだ、じゃなかった、牛狩りだ!
豊かな牧草地は見る影もなく、野生の若牛に食べつくされ、或いは踏み潰されている。
踏み潰された草の香りが濃い牧草地で、若牛を退治し、ついでに食料にして胃袋を満たそうというハンターたちの目は普段とは別の意味でまさしく『ハンター』と化していた、と言えよう。
レイ=フォルゲノフ(ka0183)は自前の牛捌用の包丁と各種野菜、とてつもなく大きな鍋、特製ソースは甘口、中辛、辛口、激辛、死辛と五種類を用意。
最後がやたら物騒なネーミングだが突っ込んだら多分負けというやつなのだろう。
あとは食べきれなかった分を持ち帰るための大量の保存容器。
「肉の宝庫!! まさにパラダイス!! 狩りじゃ狩りじゃ牛狩りじゃああああ!!」
狩猟部族の狩りに赴く前の良き結果を願う踊りでも舞いだしそうな勢いで叫びながら若牛に突っ込んでいく。
料理人の勘はどこを狙えば血合いで肉が悪くならない最善の場所かを教えてくれたのか、一撃必殺を手早く確実に。
屠られた仲間の仇を討つというよりは食事を邪魔されることに怒りを覚えたらしい野牛の群れはハンターたちを踏み潰す勢いで突進してくるが相手は雑魔化してもいない、ちょっと威勢がいいだけの単なる牛。
歪虚と戦い、死線を潜り抜けてきたハンターたちの敵ではない。
Non=Bee(ka1604)は牛を仕留めるのはオトメの仕事じゃないわ、と男性陣に任せるつもりだったが一族の仲間であるHachi=Bee(ka2450)とHan=Bee(ka4743)が向かっていく気満々だったためとりあえず牛と対面。
物凄い勢いで突進してきた牛をひらりとかわし、真っ赤な着物ドレスが汚れていないことを確認。
「ちょっと待ちなさいよ! オトメの柔肌に傷でもついたらどうすんのよぉ!」
後方に控えていたHachiがその暴走牛の眉間を弓矢で射抜くと若草をたっぷり食べてよく肥えた牛がどう、と音と土煙をあげて倒れた。
「はっちゃんナイス! ありがとねん♪」
「牛みたいな獣は志向性は分かりやすいし、のんさんが注意引きつけてくれたから射抜きやすかったよー。こちらこそありがとー。
ガンガン数を減らしていいなら済ませちゃおー、お肉が待ってるもんねー。
あ、先に牧草植えるのなら手伝うよー。でも牛がそっちに走っていったら危ないし植えた場所踏み荒らされちゃうと困るからやっぱり全滅が先かなー」
独特ののんびりした口調でプランを練りながらHachiが向かってきたもう一頭も眉間に狙いを定めて射抜く。
「私貧弱だから距離とってたいんだけどなー。なんでこっちにくるんだろー」
「……本当に、牛さんを狩って御飯を食べようということでよいのかと半信半疑でしたが……皆さん本気なんですね……こういう依頼もあるんですか。驚きました。
のん様が身に着けてらっしゃる着物は闘牛士が使う布と同じく赤ですが……あれは牛を興奮させるためではなく観客を興奮させるためですから色を識別して追ってきているわけでもないでしょうし。
ヒラヒラした布地に興奮しているのかもしれません」
Hanが依頼のムードにやや呆気にとられつつ考察するとNonは衣装選び失敗ー!? と着物ドレスを摘まんでため息をついた。
「とにかく……せめてものなさけです。せめて、一撃で――!」
手近な牛に狙いを定め一気に脳天を叩き割るHan。
その近くでは高橋 鑑連(ka4760)が若牛と対峙していた。
「あんさんらには悪いが……これもあっしらが生きていくため。あっしにできることと言ったら……苦しまねぇように逝かせてやるくれぇです」
銃でも使えれば楽に倒せたのかもしれないが生憎、鑑連の獲物は剣だった。
牛の突進に合わせ、首を狙って一閃。
「へへ……お粗末様でした」
「野生の牛ねぇ。食料を横取りするのはこまりもの、ここは素直に昇天して頂きますわね」
戦闘の被害を抑えるために牛を集める囲いに追いやろうとした音羽 美沙樹(ka4757)だったが野生の若牛たちは思ったより奔放で突進してくるのを片端から射止めた方が速そうな雰囲気だった。
「テリトリーを犯したのが運の尽きですわよ」
それでも何頭かを追い込んで首を刈る。
「ハンターとしてはまだまだだけど、美味しいお酒のつまみのためにも頑張らないとね。
……でも、狩りは、僕の部族では、戦士の仕事だったから、うまくできるといいなぁ」
ラク(ka4668)の部族では女性が狩りを担っていたようで、そんなつぶやきが思わず漏れる。
たくさん血が流れるのはよくない、と事前に聞いていたため刃物で切るよりは、と鞭で頭や首を狙って切り傷を少なく、できる限り一撃で仕留めていく。
「ちょっと何かに目覚めそうだけど……ふふっ、どう、野牛さん?」
「肉食系ニンジャのタフな体のひみつは肉にあったのじゃ!
大宴会は誰が肉を食いつくせるか……という沈黙の戦場じゃ。考えるな食え。
そのためにも牛共! お前たちを狩る!」
ジェニファー・ラングストン(ka4564)は風下から「これで牛殺しの称号がもらえるというものよ……」などと呟きながらランアウトとマルチステップで移動力、素早さを上げて眉間狙いで牛を狩る。
ジェニファーの中で牛殺しとはリアルブルーの格闘界隈ではレジェントな称号、だということだったが果たして真偽はいかに。
どちらかというと熊殺しの方が通りがいいような気がするのは気のせいだろうか。
和泉 澪(ka4070)も牛がなるべく血を流さないまま絶命するように牛の脳天を狙って一月で倒す。
雑魔化した牛だった場合こうホイホイ倒れてはいかないだろうが、耐久力的にはごくごく一般的な野牛なのでハンターの一撃にバタバタと倒れていく牛たちである。
「はやく退治して、美味しい牛料理をたくさん作りましょう!」
「少々やりすぎてしまったようだな、この牛共は。程度をわきまえていれば、長生きできたかもしれないが、こうなっては退治するしかないからな。
村人たちの明日の糧のためにも退治することとしよう」
Anbar(ka4037)が戦鎚を振るいながら静かに呟く。
そう、食べることに意識が集中しているがもとは牧草地を駄目にされた村人からの退治の依頼で、退治した牛二十頭を流石に報酬の一部として料理するのがこの依頼の目的であったりする。
(人助けと食事がセットになった依頼ってのは、いいな♪)
人助けは気分がいいし、食事がセットになっていれば報酬で懐が潤う上に腹も膨らむ。
ラティナ・スランザール(ka3839)は一石二鳥だ、とホクホクしながらルカ・シュバルツエンド(kz0073)に事前に聞いていた、成長の早い牧草とやや遅めの牧草の種の入った袋を振る。
生える時期が違う種類のものを複数種蒔くことで長期的に牧草が育つ環境を作りたいというのがラティナや牧草ケアを考えるハンターたちの考えだった。
「あははははは! 牛だ牛だ!!」
ちょっとハイになるスイッチが入ってしまったらしいゲルト・フォン・B(ka3222)が普段扱う剣をランスに持ち替え、馬に乗った状態で追いかけると正面から突撃、牛の頭部を突き破ろうと試みる。
大人数での狩りになるが自分は何頭仕留めることができるだろうか、という競争心に似た感情が彼女の中にはあった。
「内臓は傷つけないようにするんだっけ……?」
頭を狙いながら打ち合わせの時の忠告を思い出し、少しクールダウンするゲルト。
羊やウサギなどを捌くことはあっても流石に「お腹が空いたからちょっと牛でも捌くか」とはならないので捌くときの注意事項などにはあまり明るくない。
「とりあえずすべて仕留めてからだな……」
「暴れ牛退治ってのは男の浪漫があふれてるぜ。野生のヤツに遭遇するなんてケースは、向こうじゃまずなかったしな。
ベスト浪漫なのはやっぱカラテで倒すことだが……さすがに俺の技術じゃ無理だ」
そう言って鮫島 群青(ka3095)が振りかざしたのは相棒ともいえる槍。
「モーモーちゃんとはいえ、数も揃うとなかなか迫力あるじゃねぇか……だが、所詮は食材ッ! 真っ向からブチ倒してやるってな」
例えるならカウボーイ。雑魔でないため耐久力は低いが混乱して逃げだすケースはあるかもしれない。
馬を駆って牛を仲間が仕留めやすい位置まで追い込みつつ、群青自身もはぐれた牛を一突きに。
「……牛に限らず、動物のお肉は殺してすぐに食べるのではなく、しばらく熟成させた方が美味しいはずだけれど……あれって温度管理が凄く難しいって言うから、ここでやるのは無理よね。
……確か、リアルブルーでわたしたちが食べていたお肉はあらかじめ熟成がされていて、だから柔らかくて美味しかったけれど……熟成がされていないお肉って、それよりもずっと硬いのじゃなかったかしら?
とすると、お肉を柔らかくする下処理をした方がいいわね」
柏部 狭綾(ka2697)は新しく覚えたスキルの性能確認もかねて野牛を狩りながらリアルブルーで食べていた肉と、こちらで今回食べる予定の食べられている肉の違いについてを思い出す。
飼料を餌に育つリアルブルーの家畜と違って草を主食として育ったこの若牛たちは肉の臭みも相当強いというのが打ち合わせ時に聞いていた問題点の一つだ。
グラスフェッドの肉を食べ慣れていない人のためにも臭みを取り除き、肉を柔らかくする効果もある蜂蜜を持参してきた狭綾だった。
カミーユ・鏑木(ka2479)が最後の一頭を狩り終え、いよいよ調理開始。
牛を捌けるメンバーが主力として動き始め、自信がないメンバーはルカと村人と共に荒れ果てた牧草地の手入れを始める。
カミーユは持ってきたダガーで解体作業を開始。
日本人の父から解体方法は教えてもらっていたということだが、彼の父親とはどんな生い立ちで日本人なのに牛を捌く技術を身に着けたのか微妙に興味がわくところである。
できる限り内臓を痛めないよう慎重に捌き、器用だな、と褒められれば「これも乙女の嗜みよ」とウィンク。
腹ペコ勢のために彼が作ったのは贅沢に厚切りにしたステーキ。
「脂肪が少ない分、ソースも凝らなくちゃね。
あとは硬い赤身肉が駄目な子たちように、玉ねぎをふんだんに使って柔らかくした日本独自のシャリピアン・ステーキも作るわよ~」
牛肉の臭みが駄目だという人向けにはハーブで臭みを取ったりビーフシチューなどの煮込み料理を作るなど女子力の高さを見せるカミーユ。
「あとはそうね、保存用に燻製も並行して作っておこうかしら?」
食材を完璧に使い切るために、生ごみは肥料として活用することも忘れない。
「解体はまかせろばりばりー私のサバイバル技術が火を吹くぞー」
被害にあった村の人たちとも協力してHachiが牛を捌いていたが不意にその手が止まる。
「のんさーん、はんさーん、私は牛の丸焼きが食べたいよ、どうすればいいんだろー?」
「切り分けた肉の内、タンの部分はぜひとも焼いて食べてみたいです。
のん様とはち様もきっと喜ぶ……って、え、丸焼き?」
Hanが流石にここでは無理なような、でもやるだけやってみますか、と段取りを考えていたところに村人の一人が話を聞いていたらしく声をかけてきた。
なんでも村の祭りで秋の実りを感謝する豊穣祭では牛や豚を丸焼きにして食べるのが恒例であり、仕留めた牛の数も多いことから使うなら活用してもらおう、と丸焼きに使う道具を用意しているという。
「ただこれ、均等に中まで火が通るようにずっと回してないといけないし、結構力がいるんだけど……」
「道具がある分やりやすくなります、貸していただけますか?」
Hanが微笑してお礼を言って村人に手伝ってもらいながらまだ解体していない牛を道具にセッティング。
薪で焼きながらグルグルと回す作業は手の空いたものが交代で受け持つことに。
「そういえば、西方では牛の脳を料理することもあると音に聞いたのですが。
少し、興味があります」
そう言ってルカをじっと凝視するHanにルカは肩をすくめた。
「猿の脳味噌とかも食べられるらしいね。僕が作ると一般人は気絶、数日間は味覚嗅覚触覚辺りが完全にマヒすると不評極まりないものができるから村の人に聞いた方がいいんじゃないかな」
「……そうします」
「役立たずで悪いね」
大して悪いと思っていなそうな、軽い素振りで手を振ってルカは牧草を植える準備に戻っていく。
ラクは時々その作業を手伝いながら、余り物の肥料の活用をする前の段階、勧められる部分まで荒れ地の土づくりをしていく。
「んん、種、足りるかな……何人か持ってきてくれたみたいだけど。なんだったらちょっと遠かったり、普段は、近づけないところにも飼料になるものがあるなら、それを現地調達してもいいかな」
美沙樹はHanがぜひ食べたいと言っていたタンを薄く切って軽く塩に漬け込み、時間を見計らって焼く準備。
あとは色々な部位の肉を混ぜてみじん切りにして、清酒と醤油に漬け込んで、炒めれば牛そぼろの出来上がりだ。
食べきれないと予想された分はスライスして、おろしニンニクと清酒に漬け込んでから干す。
「完成する前に帰る事になるのが残念ですわ。保存食は保存食で美味しいのですが」
ジェニファーが作ったのは塩コショウを振って焼き鳥のように串に肉を刺して焼いたシンプルな焼肉。
死肉漁りの動物がやってくる前に手伝いの村人と役割分担して解体と牧草植え、保存用の肉の作成などをこなしていく。
澪は肉じゃがに野菜の肉巻き、青椒肉絲、メインにシルパンチョを調理。
屋外で此処はリアルブルーではなくクリムゾンウェストではあったが料理をするときのお供として割烹着を身に纏っている。
「普段お店で料理はするけど、こんなに大人数での調理は初めてですね」
大鍋で肉じゃがを作り、煮込む間に野菜の肉巻き、そのあとに青椒肉絲とシルパンチョ。
「あ、すみません。ちょっと手伝いをお願いできますか?」
肉巻きは数が多いのでそんな風に声をかけて手伝いを募って。
火力が命の青椒肉絲は大き目の中華鍋を使ってできる限りの火力で豪快に。
「中華は強火で一気に、が基本ですっ」
Anbarは少し離れたところで自身の部族に伝わる内臓の煮込み料理を作成中。
「……肉食獣だって一番のご馳走は内臓だというし、捨てるのは勿体ないからな」
きちんと下処理をした内臓を細かく刻み、匂い消しの香草やワイン、ニンニクなどと一緒に煮込み塩などの調味料で味を調える。
何を作っているのかと覗きに来た相手には味見用の小皿に盛って差し出して。
「みてくれこそ悪いが、栄養満点だぜ。どうだ、勇気があるなら食ってみないか?」
ラティナは宴会で調理する分、村に保存食として提供する分など、使用料の確認を行った後は長期保存がきくようにビーフジャーキーを作って村に提供、冬場などの保存食にしてもらおうと話をつけた。
ビーフジャーキーの処理が終わったら肥料を混ぜつつ牧草地の土を耕す。
数種類の種を混ぜまんべんなく複数種の牧草が育つように計らった。
「良いにおいがしてきたな、動いたし今日はたくさん食べられそうだ」
わいわいと賑やかに解体や調理を終えて食事会の時間。
ゲルトは塩やワイン、果実、酢、玉ねぎ、ジンジャーなどを使用した単純な自作料理の他にも旺盛な食欲を満たすために他の人の料理も取り皿にとって興味がわいた端から食べていく。
「ステーキ肉をがっつりいくのも当然楽しませてもらうが……やっぱり男の浪漫全開なのは干し肉ッ! これしかねぇ。
荒野で一人齧るジャーキーこそが、ロマンオブロマンな肉の食い方だ」
そう言いながら分厚いステーキ肉を豪快に噛み千切る群青。
「大量に作ったからな、オレはオレの食う分だけありゃ十分。残りは村の連中にくれてやるよ。なぁに遠慮することぁねぇ」
アンタらが依頼してくれたおかげで美味い肉にありつけたからな、と笑いながら口にすれば有難く、と村人からの答え。
狭綾は肉を更に柔らかくするために隠し味に味噌を入れた煮込み料理を作ったりと細々働いていたが食べる素振りは見せない。
食欲がないのか、それとも勢いに負けて取りに行けないのか、欲しいものがあるなら代わりに取ってくるぞと声をかけられれば首を緩く振って。
「わたしはお肉は食べないから。牛肉はカロリーが高いの」
一言一言区切りながら発せられた謎の迫力に満ちた言葉に村人はそ、そうか、と答えてそそくさと退散する。
「皆のお陰で牛の丸焼きが食べられるよー。提案してみるものだねー。好きな場所切り取って食べるってたのしー」
Hachiが細身の体のどこに入るのかという食欲の旺盛さを示しながら牛の丸焼きにご満悦の様子を見せる横でNonはHanに酌をしてもらいながら陽気に飲み食い。
ほろ酔いになった途端に男性陣に絡みに行き、更に酔いがすすめば美しいテノールで歌いだす、が。
「がははは! 俺は牛よりイケメンをお持ち帰りしたいぜ!」
酔っぱらって本来の性別が丸出しになった状態では美しい歌声に恋が芽生える前に冷めてしまった者もいるかもしれない。
お土産にする余裕があると聞けばBee一族の三人は今日同行しなかった他の一族へのお土産にと牛肉を持ち帰る事に。
「持ってきたソースはお好みで。え? 死辛? なかなかチャレンジャーですね」
レイの作った焼肉に興味で死辛という物騒なネーミングのソースをつけて食べた村人は名前に恥じない辛さに悶絶し、水を求めることもできずにばたりと倒れた。
焼肉の他にも牛肉を包丁で粗挽きにしてハーブを混ぜ、ビーフ百パーセントのハンバーグやテールスープ、コマ切れを使った味噌汁、ミンチにしてメンチカツ、ハンバーグをパンで挟んでハンバーガーなど彼の作った料理は多彩。
ある程度は許可を得て保存容器に入れて持ち帰る算段だ。
「すまんな。食いしん坊の友達がおってな~。弁当係の仕事をさぼるわけにはいかんのや。
あ、もちろんみんなの分もあるから持って帰るなら入れ物使ってやー♪」
また牛群れてきたら絶滅させるさかいいつでも言ってくれよ~と村人に気さくに声をかけるがこれは親切心というより牛を食料としてターゲットロックオンした結果だろう。
調理担当者同士でレシピの交換なども和やかに進み、牧草地もしばらくすれば新しい牧草が生えてくる段階まで手入れは終了。
牛肉も収まるべきところに収まって生ごみは今後足す肥料や既に撒かれた肥料として処理は万全。
調理道具の後片付けも楽しく済ませ、若牛狩りは参加者の胃を満たして終わりを告げたのだった。
豊かな牧草地は見る影もなく、野生の若牛に食べつくされ、或いは踏み潰されている。
踏み潰された草の香りが濃い牧草地で、若牛を退治し、ついでに食料にして胃袋を満たそうというハンターたちの目は普段とは別の意味でまさしく『ハンター』と化していた、と言えよう。
レイ=フォルゲノフ(ka0183)は自前の牛捌用の包丁と各種野菜、とてつもなく大きな鍋、特製ソースは甘口、中辛、辛口、激辛、死辛と五種類を用意。
最後がやたら物騒なネーミングだが突っ込んだら多分負けというやつなのだろう。
あとは食べきれなかった分を持ち帰るための大量の保存容器。
「肉の宝庫!! まさにパラダイス!! 狩りじゃ狩りじゃ牛狩りじゃああああ!!」
狩猟部族の狩りに赴く前の良き結果を願う踊りでも舞いだしそうな勢いで叫びながら若牛に突っ込んでいく。
料理人の勘はどこを狙えば血合いで肉が悪くならない最善の場所かを教えてくれたのか、一撃必殺を手早く確実に。
屠られた仲間の仇を討つというよりは食事を邪魔されることに怒りを覚えたらしい野牛の群れはハンターたちを踏み潰す勢いで突進してくるが相手は雑魔化してもいない、ちょっと威勢がいいだけの単なる牛。
歪虚と戦い、死線を潜り抜けてきたハンターたちの敵ではない。
Non=Bee(ka1604)は牛を仕留めるのはオトメの仕事じゃないわ、と男性陣に任せるつもりだったが一族の仲間であるHachi=Bee(ka2450)とHan=Bee(ka4743)が向かっていく気満々だったためとりあえず牛と対面。
物凄い勢いで突進してきた牛をひらりとかわし、真っ赤な着物ドレスが汚れていないことを確認。
「ちょっと待ちなさいよ! オトメの柔肌に傷でもついたらどうすんのよぉ!」
後方に控えていたHachiがその暴走牛の眉間を弓矢で射抜くと若草をたっぷり食べてよく肥えた牛がどう、と音と土煙をあげて倒れた。
「はっちゃんナイス! ありがとねん♪」
「牛みたいな獣は志向性は分かりやすいし、のんさんが注意引きつけてくれたから射抜きやすかったよー。こちらこそありがとー。
ガンガン数を減らしていいなら済ませちゃおー、お肉が待ってるもんねー。
あ、先に牧草植えるのなら手伝うよー。でも牛がそっちに走っていったら危ないし植えた場所踏み荒らされちゃうと困るからやっぱり全滅が先かなー」
独特ののんびりした口調でプランを練りながらHachiが向かってきたもう一頭も眉間に狙いを定めて射抜く。
「私貧弱だから距離とってたいんだけどなー。なんでこっちにくるんだろー」
「……本当に、牛さんを狩って御飯を食べようということでよいのかと半信半疑でしたが……皆さん本気なんですね……こういう依頼もあるんですか。驚きました。
のん様が身に着けてらっしゃる着物は闘牛士が使う布と同じく赤ですが……あれは牛を興奮させるためではなく観客を興奮させるためですから色を識別して追ってきているわけでもないでしょうし。
ヒラヒラした布地に興奮しているのかもしれません」
Hanが依頼のムードにやや呆気にとられつつ考察するとNonは衣装選び失敗ー!? と着物ドレスを摘まんでため息をついた。
「とにかく……せめてものなさけです。せめて、一撃で――!」
手近な牛に狙いを定め一気に脳天を叩き割るHan。
その近くでは高橋 鑑連(ka4760)が若牛と対峙していた。
「あんさんらには悪いが……これもあっしらが生きていくため。あっしにできることと言ったら……苦しまねぇように逝かせてやるくれぇです」
銃でも使えれば楽に倒せたのかもしれないが生憎、鑑連の獲物は剣だった。
牛の突進に合わせ、首を狙って一閃。
「へへ……お粗末様でした」
「野生の牛ねぇ。食料を横取りするのはこまりもの、ここは素直に昇天して頂きますわね」
戦闘の被害を抑えるために牛を集める囲いに追いやろうとした音羽 美沙樹(ka4757)だったが野生の若牛たちは思ったより奔放で突進してくるのを片端から射止めた方が速そうな雰囲気だった。
「テリトリーを犯したのが運の尽きですわよ」
それでも何頭かを追い込んで首を刈る。
「ハンターとしてはまだまだだけど、美味しいお酒のつまみのためにも頑張らないとね。
……でも、狩りは、僕の部族では、戦士の仕事だったから、うまくできるといいなぁ」
ラク(ka4668)の部族では女性が狩りを担っていたようで、そんなつぶやきが思わず漏れる。
たくさん血が流れるのはよくない、と事前に聞いていたため刃物で切るよりは、と鞭で頭や首を狙って切り傷を少なく、できる限り一撃で仕留めていく。
「ちょっと何かに目覚めそうだけど……ふふっ、どう、野牛さん?」
「肉食系ニンジャのタフな体のひみつは肉にあったのじゃ!
大宴会は誰が肉を食いつくせるか……という沈黙の戦場じゃ。考えるな食え。
そのためにも牛共! お前たちを狩る!」
ジェニファー・ラングストン(ka4564)は風下から「これで牛殺しの称号がもらえるというものよ……」などと呟きながらランアウトとマルチステップで移動力、素早さを上げて眉間狙いで牛を狩る。
ジェニファーの中で牛殺しとはリアルブルーの格闘界隈ではレジェントな称号、だということだったが果たして真偽はいかに。
どちらかというと熊殺しの方が通りがいいような気がするのは気のせいだろうか。
和泉 澪(ka4070)も牛がなるべく血を流さないまま絶命するように牛の脳天を狙って一月で倒す。
雑魔化した牛だった場合こうホイホイ倒れてはいかないだろうが、耐久力的にはごくごく一般的な野牛なのでハンターの一撃にバタバタと倒れていく牛たちである。
「はやく退治して、美味しい牛料理をたくさん作りましょう!」
「少々やりすぎてしまったようだな、この牛共は。程度をわきまえていれば、長生きできたかもしれないが、こうなっては退治するしかないからな。
村人たちの明日の糧のためにも退治することとしよう」
Anbar(ka4037)が戦鎚を振るいながら静かに呟く。
そう、食べることに意識が集中しているがもとは牧草地を駄目にされた村人からの退治の依頼で、退治した牛二十頭を流石に報酬の一部として料理するのがこの依頼の目的であったりする。
(人助けと食事がセットになった依頼ってのは、いいな♪)
人助けは気分がいいし、食事がセットになっていれば報酬で懐が潤う上に腹も膨らむ。
ラティナ・スランザール(ka3839)は一石二鳥だ、とホクホクしながらルカ・シュバルツエンド(kz0073)に事前に聞いていた、成長の早い牧草とやや遅めの牧草の種の入った袋を振る。
生える時期が違う種類のものを複数種蒔くことで長期的に牧草が育つ環境を作りたいというのがラティナや牧草ケアを考えるハンターたちの考えだった。
「あははははは! 牛だ牛だ!!」
ちょっとハイになるスイッチが入ってしまったらしいゲルト・フォン・B(ka3222)が普段扱う剣をランスに持ち替え、馬に乗った状態で追いかけると正面から突撃、牛の頭部を突き破ろうと試みる。
大人数での狩りになるが自分は何頭仕留めることができるだろうか、という競争心に似た感情が彼女の中にはあった。
「内臓は傷つけないようにするんだっけ……?」
頭を狙いながら打ち合わせの時の忠告を思い出し、少しクールダウンするゲルト。
羊やウサギなどを捌くことはあっても流石に「お腹が空いたからちょっと牛でも捌くか」とはならないので捌くときの注意事項などにはあまり明るくない。
「とりあえずすべて仕留めてからだな……」
「暴れ牛退治ってのは男の浪漫があふれてるぜ。野生のヤツに遭遇するなんてケースは、向こうじゃまずなかったしな。
ベスト浪漫なのはやっぱカラテで倒すことだが……さすがに俺の技術じゃ無理だ」
そう言って鮫島 群青(ka3095)が振りかざしたのは相棒ともいえる槍。
「モーモーちゃんとはいえ、数も揃うとなかなか迫力あるじゃねぇか……だが、所詮は食材ッ! 真っ向からブチ倒してやるってな」
例えるならカウボーイ。雑魔でないため耐久力は低いが混乱して逃げだすケースはあるかもしれない。
馬を駆って牛を仲間が仕留めやすい位置まで追い込みつつ、群青自身もはぐれた牛を一突きに。
「……牛に限らず、動物のお肉は殺してすぐに食べるのではなく、しばらく熟成させた方が美味しいはずだけれど……あれって温度管理が凄く難しいって言うから、ここでやるのは無理よね。
……確か、リアルブルーでわたしたちが食べていたお肉はあらかじめ熟成がされていて、だから柔らかくて美味しかったけれど……熟成がされていないお肉って、それよりもずっと硬いのじゃなかったかしら?
とすると、お肉を柔らかくする下処理をした方がいいわね」
柏部 狭綾(ka2697)は新しく覚えたスキルの性能確認もかねて野牛を狩りながらリアルブルーで食べていた肉と、こちらで今回食べる予定の食べられている肉の違いについてを思い出す。
飼料を餌に育つリアルブルーの家畜と違って草を主食として育ったこの若牛たちは肉の臭みも相当強いというのが打ち合わせ時に聞いていた問題点の一つだ。
グラスフェッドの肉を食べ慣れていない人のためにも臭みを取り除き、肉を柔らかくする効果もある蜂蜜を持参してきた狭綾だった。
カミーユ・鏑木(ka2479)が最後の一頭を狩り終え、いよいよ調理開始。
牛を捌けるメンバーが主力として動き始め、自信がないメンバーはルカと村人と共に荒れ果てた牧草地の手入れを始める。
カミーユは持ってきたダガーで解体作業を開始。
日本人の父から解体方法は教えてもらっていたということだが、彼の父親とはどんな生い立ちで日本人なのに牛を捌く技術を身に着けたのか微妙に興味がわくところである。
できる限り内臓を痛めないよう慎重に捌き、器用だな、と褒められれば「これも乙女の嗜みよ」とウィンク。
腹ペコ勢のために彼が作ったのは贅沢に厚切りにしたステーキ。
「脂肪が少ない分、ソースも凝らなくちゃね。
あとは硬い赤身肉が駄目な子たちように、玉ねぎをふんだんに使って柔らかくした日本独自のシャリピアン・ステーキも作るわよ~」
牛肉の臭みが駄目だという人向けにはハーブで臭みを取ったりビーフシチューなどの煮込み料理を作るなど女子力の高さを見せるカミーユ。
「あとはそうね、保存用に燻製も並行して作っておこうかしら?」
食材を完璧に使い切るために、生ごみは肥料として活用することも忘れない。
「解体はまかせろばりばりー私のサバイバル技術が火を吹くぞー」
被害にあった村の人たちとも協力してHachiが牛を捌いていたが不意にその手が止まる。
「のんさーん、はんさーん、私は牛の丸焼きが食べたいよ、どうすればいいんだろー?」
「切り分けた肉の内、タンの部分はぜひとも焼いて食べてみたいです。
のん様とはち様もきっと喜ぶ……って、え、丸焼き?」
Hanが流石にここでは無理なような、でもやるだけやってみますか、と段取りを考えていたところに村人の一人が話を聞いていたらしく声をかけてきた。
なんでも村の祭りで秋の実りを感謝する豊穣祭では牛や豚を丸焼きにして食べるのが恒例であり、仕留めた牛の数も多いことから使うなら活用してもらおう、と丸焼きに使う道具を用意しているという。
「ただこれ、均等に中まで火が通るようにずっと回してないといけないし、結構力がいるんだけど……」
「道具がある分やりやすくなります、貸していただけますか?」
Hanが微笑してお礼を言って村人に手伝ってもらいながらまだ解体していない牛を道具にセッティング。
薪で焼きながらグルグルと回す作業は手の空いたものが交代で受け持つことに。
「そういえば、西方では牛の脳を料理することもあると音に聞いたのですが。
少し、興味があります」
そう言ってルカをじっと凝視するHanにルカは肩をすくめた。
「猿の脳味噌とかも食べられるらしいね。僕が作ると一般人は気絶、数日間は味覚嗅覚触覚辺りが完全にマヒすると不評極まりないものができるから村の人に聞いた方がいいんじゃないかな」
「……そうします」
「役立たずで悪いね」
大して悪いと思っていなそうな、軽い素振りで手を振ってルカは牧草を植える準備に戻っていく。
ラクは時々その作業を手伝いながら、余り物の肥料の活用をする前の段階、勧められる部分まで荒れ地の土づくりをしていく。
「んん、種、足りるかな……何人か持ってきてくれたみたいだけど。なんだったらちょっと遠かったり、普段は、近づけないところにも飼料になるものがあるなら、それを現地調達してもいいかな」
美沙樹はHanがぜひ食べたいと言っていたタンを薄く切って軽く塩に漬け込み、時間を見計らって焼く準備。
あとは色々な部位の肉を混ぜてみじん切りにして、清酒と醤油に漬け込んで、炒めれば牛そぼろの出来上がりだ。
食べきれないと予想された分はスライスして、おろしニンニクと清酒に漬け込んでから干す。
「完成する前に帰る事になるのが残念ですわ。保存食は保存食で美味しいのですが」
ジェニファーが作ったのは塩コショウを振って焼き鳥のように串に肉を刺して焼いたシンプルな焼肉。
死肉漁りの動物がやってくる前に手伝いの村人と役割分担して解体と牧草植え、保存用の肉の作成などをこなしていく。
澪は肉じゃがに野菜の肉巻き、青椒肉絲、メインにシルパンチョを調理。
屋外で此処はリアルブルーではなくクリムゾンウェストではあったが料理をするときのお供として割烹着を身に纏っている。
「普段お店で料理はするけど、こんなに大人数での調理は初めてですね」
大鍋で肉じゃがを作り、煮込む間に野菜の肉巻き、そのあとに青椒肉絲とシルパンチョ。
「あ、すみません。ちょっと手伝いをお願いできますか?」
肉巻きは数が多いのでそんな風に声をかけて手伝いを募って。
火力が命の青椒肉絲は大き目の中華鍋を使ってできる限りの火力で豪快に。
「中華は強火で一気に、が基本ですっ」
Anbarは少し離れたところで自身の部族に伝わる内臓の煮込み料理を作成中。
「……肉食獣だって一番のご馳走は内臓だというし、捨てるのは勿体ないからな」
きちんと下処理をした内臓を細かく刻み、匂い消しの香草やワイン、ニンニクなどと一緒に煮込み塩などの調味料で味を調える。
何を作っているのかと覗きに来た相手には味見用の小皿に盛って差し出して。
「みてくれこそ悪いが、栄養満点だぜ。どうだ、勇気があるなら食ってみないか?」
ラティナは宴会で調理する分、村に保存食として提供する分など、使用料の確認を行った後は長期保存がきくようにビーフジャーキーを作って村に提供、冬場などの保存食にしてもらおうと話をつけた。
ビーフジャーキーの処理が終わったら肥料を混ぜつつ牧草地の土を耕す。
数種類の種を混ぜまんべんなく複数種の牧草が育つように計らった。
「良いにおいがしてきたな、動いたし今日はたくさん食べられそうだ」
わいわいと賑やかに解体や調理を終えて食事会の時間。
ゲルトは塩やワイン、果実、酢、玉ねぎ、ジンジャーなどを使用した単純な自作料理の他にも旺盛な食欲を満たすために他の人の料理も取り皿にとって興味がわいた端から食べていく。
「ステーキ肉をがっつりいくのも当然楽しませてもらうが……やっぱり男の浪漫全開なのは干し肉ッ! これしかねぇ。
荒野で一人齧るジャーキーこそが、ロマンオブロマンな肉の食い方だ」
そう言いながら分厚いステーキ肉を豪快に噛み千切る群青。
「大量に作ったからな、オレはオレの食う分だけありゃ十分。残りは村の連中にくれてやるよ。なぁに遠慮することぁねぇ」
アンタらが依頼してくれたおかげで美味い肉にありつけたからな、と笑いながら口にすれば有難く、と村人からの答え。
狭綾は肉を更に柔らかくするために隠し味に味噌を入れた煮込み料理を作ったりと細々働いていたが食べる素振りは見せない。
食欲がないのか、それとも勢いに負けて取りに行けないのか、欲しいものがあるなら代わりに取ってくるぞと声をかけられれば首を緩く振って。
「わたしはお肉は食べないから。牛肉はカロリーが高いの」
一言一言区切りながら発せられた謎の迫力に満ちた言葉に村人はそ、そうか、と答えてそそくさと退散する。
「皆のお陰で牛の丸焼きが食べられるよー。提案してみるものだねー。好きな場所切り取って食べるってたのしー」
Hachiが細身の体のどこに入るのかという食欲の旺盛さを示しながら牛の丸焼きにご満悦の様子を見せる横でNonはHanに酌をしてもらいながら陽気に飲み食い。
ほろ酔いになった途端に男性陣に絡みに行き、更に酔いがすすめば美しいテノールで歌いだす、が。
「がははは! 俺は牛よりイケメンをお持ち帰りしたいぜ!」
酔っぱらって本来の性別が丸出しになった状態では美しい歌声に恋が芽生える前に冷めてしまった者もいるかもしれない。
お土産にする余裕があると聞けばBee一族の三人は今日同行しなかった他の一族へのお土産にと牛肉を持ち帰る事に。
「持ってきたソースはお好みで。え? 死辛? なかなかチャレンジャーですね」
レイの作った焼肉に興味で死辛という物騒なネーミングのソースをつけて食べた村人は名前に恥じない辛さに悶絶し、水を求めることもできずにばたりと倒れた。
焼肉の他にも牛肉を包丁で粗挽きにしてハーブを混ぜ、ビーフ百パーセントのハンバーグやテールスープ、コマ切れを使った味噌汁、ミンチにしてメンチカツ、ハンバーグをパンで挟んでハンバーガーなど彼の作った料理は多彩。
ある程度は許可を得て保存容器に入れて持ち帰る算段だ。
「すまんな。食いしん坊の友達がおってな~。弁当係の仕事をさぼるわけにはいかんのや。
あ、もちろんみんなの分もあるから持って帰るなら入れ物使ってやー♪」
また牛群れてきたら絶滅させるさかいいつでも言ってくれよ~と村人に気さくに声をかけるがこれは親切心というより牛を食料としてターゲットロックオンした結果だろう。
調理担当者同士でレシピの交換なども和やかに進み、牧草地もしばらくすれば新しい牧草が生えてくる段階まで手入れは終了。
牛肉も収まるべきところに収まって生ごみは今後足す肥料や既に撒かれた肥料として処理は万全。
調理道具の後片付けも楽しく済ませ、若牛狩りは参加者の胃を満たして終わりを告げたのだった。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/04/25 20:23:32 |
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相談卓 高橋 鑑連(ka4760) 人間(リアルブルー)|50才|男性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2015/04/28 20:51:04 |