ゲスト
(ka0000)
料理人ハンター、調査に出る
マスター:藤城とーま

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/07/07 15:00
- 完成日
- 2014/07/13 15:43
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●見習い料理人兼ハンター?
「辺境……独特すぎる」
青年は、開口一番そう漏らした。
気温は低く、作物も十分に育たぬ場所。
部族の民は遊牧などで家計を支えているものも多いという。
もっと情報は仕入れておくべきであった。そう後悔しても、ほんのちょっとばかり遅かったようだ。
辺境に位置しているとはいえ、要塞都市内なら衣食住などは割と整っているようだった。
しかしそれでも、食事内容を実家である自由都市同盟のものと比べると、辺境の食生活は数段劣る。
人間というものは一度上質を知ってしまうと、それを求めるようになってしまうものだ。
「……食事の研究者とかいないのかよ?」
辺境は独特の文化が根ざしていると仲の良かった兄が言っていた。
当初、この青年――名をシアン・アルト=ヴァッリという――は、
辺境食ももっとソースにこだわっているとか、見た目が素晴らしいものなのだろう、などと想像していたのだ。
それが、どうだろう。
皿に盛られたイモと硬いパン、塩ゆでした肉などを見て、青年はため息を漏らしうな垂れた。
簡素な味付けを否定する気はない。しかし、彼の理想と現実は大きな差があったようだ。
耳を滑り落ちる金の髪を煩わしそうに払い、青年は黒い瞳を故郷の方角へと向ける。
来たばかりだというのに、既に故郷の食事が恋しくなったようだ。
しかし、食も文化――否、人生の楽しみの一つである。
様々な要因があるのかもしれないが、食は発展すべきだ。
「…………よし、僕は決めたぞ。辺境の食文化を向上させるんだ」
そうしないと僕も楽しめない。
そして、自分の修行にもならないからだ。
折れかけた心を奮い立たせ、シアンはキッと前を向く……と、酒場前にハンターソサエティの支部がある事を思い出す。
(……ハンターになるって家を飛び出してきたのに、なんで料理にこだわってるんだ、って父さんたちに怒られるかなあ……)
ハンター……いや、【覚醒者】としての素質がある事が判明したシアン。
父の猛反対を押し切り、覚悟を決めて単身飛び出してきたわけだが、ふと思い返して苦悶するのも人間というものだろう。
床に置いてあった丈夫そうな背負い鞄を重そうに引っ張り上げる。
相当色々なものを雑多に詰め込んであるようだ。歩くたびに閉まりきらぬ蓋が側面を叩き、パカパカと音がする。
「ハンターにもなる、料理の腕も磨く……。両方やっていく覚悟が必要なら、やり抜くのが男ってもんだよ」
●ハンターオフィスにて
(おお……こんなに依頼って、出てるんだ……)
解決中であったり、募集中であったりする依頼群を眼で追いながら、シアンは期待に胸が高鳴るのを感じていた。
そして、一つの依頼を眼にする。
『辺境の森調査。
辺境要塞より10kmほどいった先、北西にある小さな森で生態調査官を募集しています。
どんな生き物や植物が生えているか、森のどの辺で見かけたかなど、依頼請負の際に配布する地図へと記載してください。
なお、雑魔が出る恐れあり』
「……調査、かぁ。確かに、何があるかを把握するのはいいよね。敵も出るかもしれないっていうのが、ちょっと怖いけど」
独り言の多い青年である。
この依頼に強い興味を示した彼は受付に近づいて、端末を見せた。
「あの、この依頼受けたいのですけど、その……質問が」
「はい?」
ニコニコと愛想よく笑う受付嬢へ、シアンははにかんだ表情を見せる。
「……生態調査が終わってから、数匹だけ動物とか捕まえていいですか? その、食用に」
「…………確認してみますね。お待ちください」
内心ドン引きしつつも、受付嬢は笑顔を浮かべながら席を立ち、別の部屋へと移動していく。
待つ事数分。再び受付嬢が現れて、指でOKのサインを見せてくれた。
「担当者から了承を得ました。料理法も知りたいそうですよ」
辺境には資料となるものが乏しいので、と――受付嬢は苦笑いを見せた。
「辺境……独特すぎる」
青年は、開口一番そう漏らした。
気温は低く、作物も十分に育たぬ場所。
部族の民は遊牧などで家計を支えているものも多いという。
もっと情報は仕入れておくべきであった。そう後悔しても、ほんのちょっとばかり遅かったようだ。
辺境に位置しているとはいえ、要塞都市内なら衣食住などは割と整っているようだった。
しかしそれでも、食事内容を実家である自由都市同盟のものと比べると、辺境の食生活は数段劣る。
人間というものは一度上質を知ってしまうと、それを求めるようになってしまうものだ。
「……食事の研究者とかいないのかよ?」
辺境は独特の文化が根ざしていると仲の良かった兄が言っていた。
当初、この青年――名をシアン・アルト=ヴァッリという――は、
辺境食ももっとソースにこだわっているとか、見た目が素晴らしいものなのだろう、などと想像していたのだ。
それが、どうだろう。
皿に盛られたイモと硬いパン、塩ゆでした肉などを見て、青年はため息を漏らしうな垂れた。
簡素な味付けを否定する気はない。しかし、彼の理想と現実は大きな差があったようだ。
耳を滑り落ちる金の髪を煩わしそうに払い、青年は黒い瞳を故郷の方角へと向ける。
来たばかりだというのに、既に故郷の食事が恋しくなったようだ。
しかし、食も文化――否、人生の楽しみの一つである。
様々な要因があるのかもしれないが、食は発展すべきだ。
「…………よし、僕は決めたぞ。辺境の食文化を向上させるんだ」
そうしないと僕も楽しめない。
そして、自分の修行にもならないからだ。
折れかけた心を奮い立たせ、シアンはキッと前を向く……と、酒場前にハンターソサエティの支部がある事を思い出す。
(……ハンターになるって家を飛び出してきたのに、なんで料理にこだわってるんだ、って父さんたちに怒られるかなあ……)
ハンター……いや、【覚醒者】としての素質がある事が判明したシアン。
父の猛反対を押し切り、覚悟を決めて単身飛び出してきたわけだが、ふと思い返して苦悶するのも人間というものだろう。
床に置いてあった丈夫そうな背負い鞄を重そうに引っ張り上げる。
相当色々なものを雑多に詰め込んであるようだ。歩くたびに閉まりきらぬ蓋が側面を叩き、パカパカと音がする。
「ハンターにもなる、料理の腕も磨く……。両方やっていく覚悟が必要なら、やり抜くのが男ってもんだよ」
●ハンターオフィスにて
(おお……こんなに依頼って、出てるんだ……)
解決中であったり、募集中であったりする依頼群を眼で追いながら、シアンは期待に胸が高鳴るのを感じていた。
そして、一つの依頼を眼にする。
『辺境の森調査。
辺境要塞より10kmほどいった先、北西にある小さな森で生態調査官を募集しています。
どんな生き物や植物が生えているか、森のどの辺で見かけたかなど、依頼請負の際に配布する地図へと記載してください。
なお、雑魔が出る恐れあり』
「……調査、かぁ。確かに、何があるかを把握するのはいいよね。敵も出るかもしれないっていうのが、ちょっと怖いけど」
独り言の多い青年である。
この依頼に強い興味を示した彼は受付に近づいて、端末を見せた。
「あの、この依頼受けたいのですけど、その……質問が」
「はい?」
ニコニコと愛想よく笑う受付嬢へ、シアンははにかんだ表情を見せる。
「……生態調査が終わってから、数匹だけ動物とか捕まえていいですか? その、食用に」
「…………確認してみますね。お待ちください」
内心ドン引きしつつも、受付嬢は笑顔を浮かべながら席を立ち、別の部屋へと移動していく。
待つ事数分。再び受付嬢が現れて、指でOKのサインを見せてくれた。
「担当者から了承を得ました。料理法も知りたいそうですよ」
辺境には資料となるものが乏しいので、と――受付嬢は苦笑いを見せた。
リプレイ本文
●
辺境の食の改善、という大々的な目標を掲げたシアンは、志を同じくする……というわけではないけれども、料理好きであろう面々と顔を合わせる。
「神原 菫(ka0193)だよ。頑張っていこうねっ!」
依頼に集まった面々へと自己紹介し、溌剌とした表情を向ける菫。
「こちらこそ、よろしくお願いします……ええと、皆さんも辺境の食……などに興味を?」
そう訊ねるシアンも、彼らに興味を抱いたようだ。
「俺は楽しい事が好きだからさ。だいたい、調査依頼つっても、そんなに気張る程の内容じゃねぇんだから、肩の力抜いて楽しむ、くらいでやろうぜ」
な、と人好きしそうな笑顔を見せるのはエヴァンス・カルヴィ(ka0639)。
「でも、生態調査に参加できたのは興味深いです。辺境の動植物だけではなく……調理法なども」
大きな荷物を持ったヒスイ・グリーンリバー(ka0913)が楽しそうな表情で話をし始めると、そこへエーミ・エーテルクラフト(ka2225)も興味を持ったらしく話の輪に入ってきた。
「私も料理法については、とても興味があるわ。様々な土地の様々な料理にも素晴らしいものはあるけれど、食文化向上なんて野望を抱いた人は初めて見たわね」
黒曜の瞳には強い興味が浮かんでいる。
「辺境で食べたパンは堅かったから……」
と、シアンが感想を漏らせば、そんなことはありません、と強い口調でキイ・ショコロール(ka0330)がシアンの眼前へと歩を進めた。
「私はパン屋を営んでいる者ですが、断じて、断じてその偏った知識は見過ごすことができませんっ! 『辺境のパンは硬くて不味い』という誤った知識を払拭させるために頑張ります!」
強い使命感を帯びているらしい彼女は、そう告げた後店の常連であるエーミと挨拶を交わしている。
菫に至っては近くの商人に軽く話を振りながら、どういうものが辺境産としてあるのかを聞いていた。
「出かける前から元気だな。熱意があっていいことだ」
そんな様子に小さく笑った高嶺 瀞牙(ka0250)は、そろそろ行こうかと皆に声をかけて、大きめの荷物と籠を肩にかけた。
●
馬車に乗り込み、舗装されていない道をゴトゴト揺られつつ談笑しながら一時間程度。
目的地付近に到着した彼らは、馬車から降りると大きく伸びをした。
「ん~……結構揺れたな。馬車に酔った奴は?」
エヴァンスが肩を回しながら皆へと訊ねる。
乗り物酔いはどこでもやってくるものだが、幸いに誰もそういったことはないようだった。
改めて、調査対象であるらしき森を外から眺める。
背の低い草が足元に生い茂っていて、木々はまっすぐのびて背が高い。
日の光は十分すぎるほどに入り込んでいるわけではないが、明るい森の中は視界が確保できないわけではない。
「いよいよですね。なんだかワクワクしてきました……」
キイが小さく拳を握り、嬉々とした表情で森へと一歩踏み出す。ヒスイもまた、嬉しそうに周囲へ視線を走らせた。
ヒスイは貰った地図を広げ、入口に印を付けると番号を順番に書き込んでいたが……一度森の木々を見上げ、何かを考え込んだような素振りを見せる。
「どうした?」
その様子を気にした瀞牙がヒスイへと声をかけると、彼女は木々に覆われていない場所を指す。
「同じ地域や森だとしても、日陰と日向では違う植物が生えている可能性もあるかなと……」
「そうだな……その調査も必要だ」
ざっと周囲を見渡した瀞牙は、一帯に多く生えている草を採取し、地図やメモに情報を書き込んでいく。
「……あ、これはハーブじゃないかしら」
エーミが眼を留めたのは、やや太めの茎を持つ細い葉と白い花を付けた植物。
屈んでハーブを切り取ると、目を閉じてその香りを深く吸い込んだ。
「これは、辺境だと乾燥させたものを呪術師が燻して魔除けに使ったりしてるわ。あとは料理やハーブティーにも使えそうね」
ハーブと一緒にお肉を焼くと美味しくできるものもあるのよ、と言って、数本を切り取ってシアンへと渡した。
「詳しいね。辺境に住んでたことがあるの?」
「そういうわけじゃないけど……辺境知識のスキルで知ったことよ。それにエーテルクラフトの魔術はね、皆を笑顔にする為にあるの」
ハーブの特徴をメモしながら、シアンに視線を向けると眼を細め、誇らしげに言うエーミ。
「エーミ様のお料理はとても美味しいんですよ!」
彼女を良く知るキイの声も弾み、最高なんですから、と胸を張った。
「この辺には……お、沼があるのか?」
地図の一か所に眼を留めたエヴァンス。大きなものではないが、水辺のようなものが点在している。
辺境知識を有するエーミが横から覗き込んで、変ねと口にした。
「うーん……辺境で水辺があるとすると、北にあるアルナス湖くらいじゃないかしら。地図に載らない川が無い事はないだろうけど……」
説明を聞きつつエヴァンスが木々を見つめ、もしやと口にする。
「……伐採か? ほら、この辺は凍土だろ。で、木が生えているところは日に当たらない」
エヴァンスが上を仰ぎ見れば、日差しが降り注いでいる箇所には当然のように雪は無い。
「木を切り続けた場所に陽光が注ぎ、氷が解けて木が生えず沼状になった……というわけか?」
ありえない事ではなさそうだがと瀞牙が後を続ける。
「そうか……ま、水源調査も大事だからな。よし、食糧確保も並行してやってくるか」
「もしかすると、魚がいるかもしれませんよ! 行きましょうエヴァンス様!」
エヴァンスが身を翻すと、その後ろをキイがトテトテとついていく。
暫く道なき道を進むと、やがて彼らの目の前には……小さな池が現れた。
「……こりゃ浅いな」
「40センチもありませんね」
水面を覗き込むエヴァンスとキイ。多少底に苔が生えていて、ゆっくり進んでいく巻貝のようなものが見えたが、魚影はない。2人の表情から落胆の色が伺える。
「ないんじゃしょうがない……ん? なんだ、この実」
赤く艶やかな実をたわわに実らせた背の低い樹が、池の淵や中に自生している。
「これは、クランベリーですね。ジャムや絞って飲み物にしても美味しいです」
キイが地図に軽く走り書きを残し、エヴァンスがそれを摘み始めた。
魚を釣る事は出来なかったけれど、美味しい発見は出来たようだ。
調査の合間に一休みをすることにし、瀞牙が拵えたカレーパンやヒスイのツナマヨサンドを頬ばる面々。
「さぁ私のパンも! 本当はお魚サンドが作りたかったのですよ!」
「順番に食べるから!」
シアンの口元へぐいぐいとパンを押し当てるようにして食べさせようとするキイだが、パンはシアンの頬に当たってしまっている。
彼女のパンはドライフルーツや木の実が入ったものなど種類に富んでおり、シアンは『辺境のパンはこういうものに改善したいね』としみじみと漏らした。
「よし、上手く当たった!」
矢で鴨を撃ち落としたシアン。鴨を掴むと頭を下にして、落ちていた枝へ足を結ぶ。
ナイフを手にしたヒスイは解体するなら手伝うと申し出てくれたが、シアンはこれで大丈夫、と申し出をやんわり断った。
「血抜きは私たちも気にせず手伝えるわ」
早くしなくちゃと言いながらエーミがシアンの鞄をごそごそと漁っているが、シアン曰く、鴨は血抜きをしないでこうすると血が馴染んで味が良くなるそうだ。
「それに血の匂いは女の子にはあまり付けたくないしさ。血抜きは僕がやるよ」
――生意気である。
「言ってくれるじゃない。でも時間かけたり私より下手だったら、怒っちゃうわよ」
冗談めかしたエーミだが、きっと――それは本心であるのだろう。
「青首の鴨、大きさは50センチほど……色鮮やか。あの地点に毒々しい色の虫も発見……」
ヒスイは見かけた動物やサンプルにした動植物の匂いや大きさなどの特徴を、丁寧に描いていた。
多少形状は本来の物と崩れていることもあったが、大きくかけ離れない図を描き、関連した項目に注釈のようなものもつけている。
それが終わると、手袋を付け直して採取や木の肌に触れて感触を確かめて、じっくりと調査を行っていた。
日が傾き始めた頃、調査を終えて合流したメンバーは、馬車の中で互いのメモを見比べ、情報を精査させていく。
それを余分にもらっていた白紙の地図へと書き記していき――辺境調査地図(要塞近辺)は仕上がった。
●持ち帰ってきました
今度はサンプルとして持ち帰った食材の調理法である。
動物には血抜き処理を施してあったため、臭みや味の低下は最小限に保たれている。
早速肉を調理しやすいように解体していく手慣れたハンター達。
「私はこれを使おうと思う」
瀞牙が鞄から取り出して彼らへと見せたのは、捕獲した兎と……都市部の店を巡り買い集めた香辛料だ。
様々な香辛料から発せられる独特の香りを、興味を示したらしいシアンは何度も嗅いだ後、満足そうな顔をした。
「香辛料というのは……聞くところによると味も変えるそうですね」
「ああ。スパイスをメインで使う料理なんかもある……そうだな。あれは断じてカレーとは違うものだったし……」
神妙な顔をしてしまった瀞牙。込み入った事情そうだったので聞くことを止め、それぞれが調理を再開する。
「これは食用だし、何か料理に使えないかなぁ?」
青臭いが清々しい香りを放つ、香草の一種だと思われるものをつまみ上げて皆へと見せる菫。
ヒスイがその一部を切り取って口に含むと、良く味わった後『使えそうです』と笑った。
「……お塩以外の調味料って手に入り難そうですから、料理もシンプルになっているんでしょうね」
「うーん……シンプルな料理ってのが一番食いやすいのもあるしな」
ヒスイの疑問に『俺は凝った料理の事は分からないが』と言いながら布にくるんだ岩塩をエストックの柄で叩くエヴァンス。
「まぁ、調味料は手に入りにくかったとしても広義でなら『ハーブ』がある。それを肉にまぶして焼くだけでも違うな」
燻製作りに取り掛かった瀞牙が捌いた兎肉に細かく刻んだハーブとエヴァンスの砕いた塩を塗るようにしてまぶしていく。
「胡椒があれば良かったな」
「辺境では北部とこちら側の南部で、多少気候が違うようだし……きっとまた良い発見があるわよ」
残念そうな瀞牙に、エーミがクランベリーのジャムを作りながら元気づけた。
スプーンで灰汁を掬いながら混ぜ、味見をしつつ砂糖の下限を調節している。
エーミも砂糖は辺境でほとんど使われていないだろうという事は薄々感づいていたし、痩せた土地では栽培も厳しいだろうと推測したため驚きはない。
ちなみにこの砂糖はシアンが台所に置いていたものを使用している。
「色が綺麗ですね~!」
「砂糖をかなり多めにすれば甘くなるし、日持ちするわよ」
横から覗き込むキイに、エーミは微笑みを返して仕上げのレモン汁を絞る。
「脂もそんなに手に入らないでしょうから……鴨は串焼きにしましょうか?」
「平気だろ。鳥は自分でたくさん脂を蓄えているから、皮面から焼いてみたらどうだ?」
エヴァンスの言葉にヒスイはこくりと頷き、熱したフライパンへと鴨肉を落とす。
脂がしみ出し、爆ぜる音と共に脂と肉が焼ける良い香りがヒスイの元へと届く。
鼻歌混じりで皿を並べる菫が、ふと顔を上げる。
そこには、熱心にメモを取るシアンの姿があった。
「僕も、見習いみたいなものだから……店で焼きやソースを担当したわけじゃなくて。こうして人の作っている手順や味付けを見るのですら、勉強になるんだ」
エヴァンスは『それなら余計、お前の修行のためにも何か作ったらいいだろ』と薦めた。
燻製を作る傍らで、何やら瀞牙が調味料や野菜を煮込み始めた。スパイシーな匂いがあたりに漂い始めたので、興味を持ったヒスイは何を作っているのかと問う。
「カレー、というものだ。もっとも、必要なスパイスが足りない事もあるのでまだ完全じゃないが……あの種族に植え付けてしまった『カレーは兵器』と言う認識を覆さねばならん……!」
あの惨事で何か使命感のようなものが芽生えてしまったのだろうか。
瀞牙は時折味を見ながら、スパイスの加減を調節している。
ある程度並べられた料理を前に、皆のテンションも高まっていたようだ。
「いただきますはもうちょっと待ってね!」
菫の言葉――いただきます、という単語に、シアンは首をかしげる。
「それは、何かのお祈りですか?」
「調理人への感謝と、食材への感謝。『他の命を頂いて自分の生命の糧にしている』っていう感謝の気持ちかな」
瀞牙の説明に、シアンがじっと食卓に並んだ料理を見つめる。
「食事にそんな大切な意味があったんだ……いろいろ考えさせられる体験をありがとうございました」
深々と頭を下げたシアンに、エヴァンスは止せよと笑った。
「堅苦しいのは良くないな。食事は楽しく美味しく食おうぜ」
「そうそう! それじゃ、乾杯しよ~! 好きなの飲んで!」
菫がトレーに載せた様々な飲み物を運んできた。
それぞれの前に行きわたったところで、菫がコホンと可愛らしく咳払いをする。
「調査、お疲れ様でした! 辺境の恵みと料理人さん達に感謝して、いっただきまーす!」
『いただきます!』
キイの持ってきたパンは温め直して触れてみてもフカフカしていて、ライ麦の風味が程よい。
「うちの自慢のパンですよ! いつか、出来たてをお届けしたいものです!」
嬉しそうにローストした鴨と香りの強いハーブをサンドしたものを頬ばり、パンも食材も最高ですと幸せそうな顔をするキイ。
「天ぷらぁぁ~♪ 大好きなんだよねっ、うう、ここでこんないいものが食べられるなんて……!」
感激しきりの菫は、山菜の天ぷらを頬ばってウルウルと目を潤ませている。
「兎肉の燻製、割といいわね……今度何か作ってみようかしら」
口の中でふわりと広がるハーブとスモークの香りに、うんうんと満足そうに頷くエーミ。
気に入ってくれたようで何よりと満足そうな瀞牙は、自分の作ったカレーを食し、まぁ上出来かなと漏らす。
「ふぅぅ……数滴でも辛いのです……」
ハバネロソースを使ったきのこのソテーは、非常に辛い。
持ってきた本人であるキイですら思わず口を抑える。
苦しそうに眉を寄せたが、エヴァンスは咽て、飲み物を喉に流し込んだ。
「ぐふっ……辛いってレベルじゃねーぞ、これ……」
当然その後でやってくる辛さに悶絶している。そもそも、辛いものが苦手であったのかもしれないが、どのみち彼の予想を上回るものだったようだ。
総合的には辺境での調査も調理も、無事に成功したようだった。
■本日のメニュー
・鴨のライ麦サンド
・キノコのバターソテー大辛仕上げ
・クランベリージャム
・山菜の天ぷら
・兎肉燻製香草仕上げ
・辺境風カレー
以上が報告書と各人のメモに追加されたそうである。
辺境の食の改善、という大々的な目標を掲げたシアンは、志を同じくする……というわけではないけれども、料理好きであろう面々と顔を合わせる。
「神原 菫(ka0193)だよ。頑張っていこうねっ!」
依頼に集まった面々へと自己紹介し、溌剌とした表情を向ける菫。
「こちらこそ、よろしくお願いします……ええと、皆さんも辺境の食……などに興味を?」
そう訊ねるシアンも、彼らに興味を抱いたようだ。
「俺は楽しい事が好きだからさ。だいたい、調査依頼つっても、そんなに気張る程の内容じゃねぇんだから、肩の力抜いて楽しむ、くらいでやろうぜ」
な、と人好きしそうな笑顔を見せるのはエヴァンス・カルヴィ(ka0639)。
「でも、生態調査に参加できたのは興味深いです。辺境の動植物だけではなく……調理法なども」
大きな荷物を持ったヒスイ・グリーンリバー(ka0913)が楽しそうな表情で話をし始めると、そこへエーミ・エーテルクラフト(ka2225)も興味を持ったらしく話の輪に入ってきた。
「私も料理法については、とても興味があるわ。様々な土地の様々な料理にも素晴らしいものはあるけれど、食文化向上なんて野望を抱いた人は初めて見たわね」
黒曜の瞳には強い興味が浮かんでいる。
「辺境で食べたパンは堅かったから……」
と、シアンが感想を漏らせば、そんなことはありません、と強い口調でキイ・ショコロール(ka0330)がシアンの眼前へと歩を進めた。
「私はパン屋を営んでいる者ですが、断じて、断じてその偏った知識は見過ごすことができませんっ! 『辺境のパンは硬くて不味い』という誤った知識を払拭させるために頑張ります!」
強い使命感を帯びているらしい彼女は、そう告げた後店の常連であるエーミと挨拶を交わしている。
菫に至っては近くの商人に軽く話を振りながら、どういうものが辺境産としてあるのかを聞いていた。
「出かける前から元気だな。熱意があっていいことだ」
そんな様子に小さく笑った高嶺 瀞牙(ka0250)は、そろそろ行こうかと皆に声をかけて、大きめの荷物と籠を肩にかけた。
●
馬車に乗り込み、舗装されていない道をゴトゴト揺られつつ談笑しながら一時間程度。
目的地付近に到着した彼らは、馬車から降りると大きく伸びをした。
「ん~……結構揺れたな。馬車に酔った奴は?」
エヴァンスが肩を回しながら皆へと訊ねる。
乗り物酔いはどこでもやってくるものだが、幸いに誰もそういったことはないようだった。
改めて、調査対象であるらしき森を外から眺める。
背の低い草が足元に生い茂っていて、木々はまっすぐのびて背が高い。
日の光は十分すぎるほどに入り込んでいるわけではないが、明るい森の中は視界が確保できないわけではない。
「いよいよですね。なんだかワクワクしてきました……」
キイが小さく拳を握り、嬉々とした表情で森へと一歩踏み出す。ヒスイもまた、嬉しそうに周囲へ視線を走らせた。
ヒスイは貰った地図を広げ、入口に印を付けると番号を順番に書き込んでいたが……一度森の木々を見上げ、何かを考え込んだような素振りを見せる。
「どうした?」
その様子を気にした瀞牙がヒスイへと声をかけると、彼女は木々に覆われていない場所を指す。
「同じ地域や森だとしても、日陰と日向では違う植物が生えている可能性もあるかなと……」
「そうだな……その調査も必要だ」
ざっと周囲を見渡した瀞牙は、一帯に多く生えている草を採取し、地図やメモに情報を書き込んでいく。
「……あ、これはハーブじゃないかしら」
エーミが眼を留めたのは、やや太めの茎を持つ細い葉と白い花を付けた植物。
屈んでハーブを切り取ると、目を閉じてその香りを深く吸い込んだ。
「これは、辺境だと乾燥させたものを呪術師が燻して魔除けに使ったりしてるわ。あとは料理やハーブティーにも使えそうね」
ハーブと一緒にお肉を焼くと美味しくできるものもあるのよ、と言って、数本を切り取ってシアンへと渡した。
「詳しいね。辺境に住んでたことがあるの?」
「そういうわけじゃないけど……辺境知識のスキルで知ったことよ。それにエーテルクラフトの魔術はね、皆を笑顔にする為にあるの」
ハーブの特徴をメモしながら、シアンに視線を向けると眼を細め、誇らしげに言うエーミ。
「エーミ様のお料理はとても美味しいんですよ!」
彼女を良く知るキイの声も弾み、最高なんですから、と胸を張った。
「この辺には……お、沼があるのか?」
地図の一か所に眼を留めたエヴァンス。大きなものではないが、水辺のようなものが点在している。
辺境知識を有するエーミが横から覗き込んで、変ねと口にした。
「うーん……辺境で水辺があるとすると、北にあるアルナス湖くらいじゃないかしら。地図に載らない川が無い事はないだろうけど……」
説明を聞きつつエヴァンスが木々を見つめ、もしやと口にする。
「……伐採か? ほら、この辺は凍土だろ。で、木が生えているところは日に当たらない」
エヴァンスが上を仰ぎ見れば、日差しが降り注いでいる箇所には当然のように雪は無い。
「木を切り続けた場所に陽光が注ぎ、氷が解けて木が生えず沼状になった……というわけか?」
ありえない事ではなさそうだがと瀞牙が後を続ける。
「そうか……ま、水源調査も大事だからな。よし、食糧確保も並行してやってくるか」
「もしかすると、魚がいるかもしれませんよ! 行きましょうエヴァンス様!」
エヴァンスが身を翻すと、その後ろをキイがトテトテとついていく。
暫く道なき道を進むと、やがて彼らの目の前には……小さな池が現れた。
「……こりゃ浅いな」
「40センチもありませんね」
水面を覗き込むエヴァンスとキイ。多少底に苔が生えていて、ゆっくり進んでいく巻貝のようなものが見えたが、魚影はない。2人の表情から落胆の色が伺える。
「ないんじゃしょうがない……ん? なんだ、この実」
赤く艶やかな実をたわわに実らせた背の低い樹が、池の淵や中に自生している。
「これは、クランベリーですね。ジャムや絞って飲み物にしても美味しいです」
キイが地図に軽く走り書きを残し、エヴァンスがそれを摘み始めた。
魚を釣る事は出来なかったけれど、美味しい発見は出来たようだ。
調査の合間に一休みをすることにし、瀞牙が拵えたカレーパンやヒスイのツナマヨサンドを頬ばる面々。
「さぁ私のパンも! 本当はお魚サンドが作りたかったのですよ!」
「順番に食べるから!」
シアンの口元へぐいぐいとパンを押し当てるようにして食べさせようとするキイだが、パンはシアンの頬に当たってしまっている。
彼女のパンはドライフルーツや木の実が入ったものなど種類に富んでおり、シアンは『辺境のパンはこういうものに改善したいね』としみじみと漏らした。
「よし、上手く当たった!」
矢で鴨を撃ち落としたシアン。鴨を掴むと頭を下にして、落ちていた枝へ足を結ぶ。
ナイフを手にしたヒスイは解体するなら手伝うと申し出てくれたが、シアンはこれで大丈夫、と申し出をやんわり断った。
「血抜きは私たちも気にせず手伝えるわ」
早くしなくちゃと言いながらエーミがシアンの鞄をごそごそと漁っているが、シアン曰く、鴨は血抜きをしないでこうすると血が馴染んで味が良くなるそうだ。
「それに血の匂いは女の子にはあまり付けたくないしさ。血抜きは僕がやるよ」
――生意気である。
「言ってくれるじゃない。でも時間かけたり私より下手だったら、怒っちゃうわよ」
冗談めかしたエーミだが、きっと――それは本心であるのだろう。
「青首の鴨、大きさは50センチほど……色鮮やか。あの地点に毒々しい色の虫も発見……」
ヒスイは見かけた動物やサンプルにした動植物の匂いや大きさなどの特徴を、丁寧に描いていた。
多少形状は本来の物と崩れていることもあったが、大きくかけ離れない図を描き、関連した項目に注釈のようなものもつけている。
それが終わると、手袋を付け直して採取や木の肌に触れて感触を確かめて、じっくりと調査を行っていた。
日が傾き始めた頃、調査を終えて合流したメンバーは、馬車の中で互いのメモを見比べ、情報を精査させていく。
それを余分にもらっていた白紙の地図へと書き記していき――辺境調査地図(要塞近辺)は仕上がった。
●持ち帰ってきました
今度はサンプルとして持ち帰った食材の調理法である。
動物には血抜き処理を施してあったため、臭みや味の低下は最小限に保たれている。
早速肉を調理しやすいように解体していく手慣れたハンター達。
「私はこれを使おうと思う」
瀞牙が鞄から取り出して彼らへと見せたのは、捕獲した兎と……都市部の店を巡り買い集めた香辛料だ。
様々な香辛料から発せられる独特の香りを、興味を示したらしいシアンは何度も嗅いだ後、満足そうな顔をした。
「香辛料というのは……聞くところによると味も変えるそうですね」
「ああ。スパイスをメインで使う料理なんかもある……そうだな。あれは断じてカレーとは違うものだったし……」
神妙な顔をしてしまった瀞牙。込み入った事情そうだったので聞くことを止め、それぞれが調理を再開する。
「これは食用だし、何か料理に使えないかなぁ?」
青臭いが清々しい香りを放つ、香草の一種だと思われるものをつまみ上げて皆へと見せる菫。
ヒスイがその一部を切り取って口に含むと、良く味わった後『使えそうです』と笑った。
「……お塩以外の調味料って手に入り難そうですから、料理もシンプルになっているんでしょうね」
「うーん……シンプルな料理ってのが一番食いやすいのもあるしな」
ヒスイの疑問に『俺は凝った料理の事は分からないが』と言いながら布にくるんだ岩塩をエストックの柄で叩くエヴァンス。
「まぁ、調味料は手に入りにくかったとしても広義でなら『ハーブ』がある。それを肉にまぶして焼くだけでも違うな」
燻製作りに取り掛かった瀞牙が捌いた兎肉に細かく刻んだハーブとエヴァンスの砕いた塩を塗るようにしてまぶしていく。
「胡椒があれば良かったな」
「辺境では北部とこちら側の南部で、多少気候が違うようだし……きっとまた良い発見があるわよ」
残念そうな瀞牙に、エーミがクランベリーのジャムを作りながら元気づけた。
スプーンで灰汁を掬いながら混ぜ、味見をしつつ砂糖の下限を調節している。
エーミも砂糖は辺境でほとんど使われていないだろうという事は薄々感づいていたし、痩せた土地では栽培も厳しいだろうと推測したため驚きはない。
ちなみにこの砂糖はシアンが台所に置いていたものを使用している。
「色が綺麗ですね~!」
「砂糖をかなり多めにすれば甘くなるし、日持ちするわよ」
横から覗き込むキイに、エーミは微笑みを返して仕上げのレモン汁を絞る。
「脂もそんなに手に入らないでしょうから……鴨は串焼きにしましょうか?」
「平気だろ。鳥は自分でたくさん脂を蓄えているから、皮面から焼いてみたらどうだ?」
エヴァンスの言葉にヒスイはこくりと頷き、熱したフライパンへと鴨肉を落とす。
脂がしみ出し、爆ぜる音と共に脂と肉が焼ける良い香りがヒスイの元へと届く。
鼻歌混じりで皿を並べる菫が、ふと顔を上げる。
そこには、熱心にメモを取るシアンの姿があった。
「僕も、見習いみたいなものだから……店で焼きやソースを担当したわけじゃなくて。こうして人の作っている手順や味付けを見るのですら、勉強になるんだ」
エヴァンスは『それなら余計、お前の修行のためにも何か作ったらいいだろ』と薦めた。
燻製を作る傍らで、何やら瀞牙が調味料や野菜を煮込み始めた。スパイシーな匂いがあたりに漂い始めたので、興味を持ったヒスイは何を作っているのかと問う。
「カレー、というものだ。もっとも、必要なスパイスが足りない事もあるのでまだ完全じゃないが……あの種族に植え付けてしまった『カレーは兵器』と言う認識を覆さねばならん……!」
あの惨事で何か使命感のようなものが芽生えてしまったのだろうか。
瀞牙は時折味を見ながら、スパイスの加減を調節している。
ある程度並べられた料理を前に、皆のテンションも高まっていたようだ。
「いただきますはもうちょっと待ってね!」
菫の言葉――いただきます、という単語に、シアンは首をかしげる。
「それは、何かのお祈りですか?」
「調理人への感謝と、食材への感謝。『他の命を頂いて自分の生命の糧にしている』っていう感謝の気持ちかな」
瀞牙の説明に、シアンがじっと食卓に並んだ料理を見つめる。
「食事にそんな大切な意味があったんだ……いろいろ考えさせられる体験をありがとうございました」
深々と頭を下げたシアンに、エヴァンスは止せよと笑った。
「堅苦しいのは良くないな。食事は楽しく美味しく食おうぜ」
「そうそう! それじゃ、乾杯しよ~! 好きなの飲んで!」
菫がトレーに載せた様々な飲み物を運んできた。
それぞれの前に行きわたったところで、菫がコホンと可愛らしく咳払いをする。
「調査、お疲れ様でした! 辺境の恵みと料理人さん達に感謝して、いっただきまーす!」
『いただきます!』
キイの持ってきたパンは温め直して触れてみてもフカフカしていて、ライ麦の風味が程よい。
「うちの自慢のパンですよ! いつか、出来たてをお届けしたいものです!」
嬉しそうにローストした鴨と香りの強いハーブをサンドしたものを頬ばり、パンも食材も最高ですと幸せそうな顔をするキイ。
「天ぷらぁぁ~♪ 大好きなんだよねっ、うう、ここでこんないいものが食べられるなんて……!」
感激しきりの菫は、山菜の天ぷらを頬ばってウルウルと目を潤ませている。
「兎肉の燻製、割といいわね……今度何か作ってみようかしら」
口の中でふわりと広がるハーブとスモークの香りに、うんうんと満足そうに頷くエーミ。
気に入ってくれたようで何よりと満足そうな瀞牙は、自分の作ったカレーを食し、まぁ上出来かなと漏らす。
「ふぅぅ……数滴でも辛いのです……」
ハバネロソースを使ったきのこのソテーは、非常に辛い。
持ってきた本人であるキイですら思わず口を抑える。
苦しそうに眉を寄せたが、エヴァンスは咽て、飲み物を喉に流し込んだ。
「ぐふっ……辛いってレベルじゃねーぞ、これ……」
当然その後でやってくる辛さに悶絶している。そもそも、辛いものが苦手であったのかもしれないが、どのみち彼の予想を上回るものだったようだ。
総合的には辺境での調査も調理も、無事に成功したようだった。
■本日のメニュー
・鴨のライ麦サンド
・キノコのバターソテー大辛仕上げ
・クランベリージャム
・山菜の天ぷら
・兎肉燻製香草仕上げ
・辺境風カレー
以上が報告書と各人のメモに追加されたそうである。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/05 07:12:03 |
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相談用掲示板 神原 菫(ka0193) 人間(リアルブルー)|15才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2014/07/07 14:29:01 |