ゲスト
(ka0000)
山菜と狩りの獲物で感謝祭
マスター:秋月雅哉

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~50人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 7日
- 締切
- 2015/05/18 07:30
- 完成日
- 2015/05/19 01:02
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●脅威は去って
ラキエルが仕込んだ負の波動を発する宝珠がハンターたちによって取り除かれて数日後。
村は祭りの準備にせわしなく賑わっていた。
大量の動物が雑魔化された影響で村人たちは今年の狩りは不作なのではないか、村人が飢えることがないか、と危惧していたのだが、自然の回復力が大きく働いたのか、多少狩りをして減らさないと肉食獣は家畜に手を出しそうなほど生まれたし、肉食動物の本来の餌となる草食動物も山をはげ山にするほど生まれたようだ。
折しも春の山菜が美味しい季節。何度も村を救ってくれたハンターたちに、今度は晩冬に行ったしめやかな祭りではなく賑やかで楽しい祭りを楽しんでもらいたい、と小夜子を通じてハンターオフィスに村祭りへの招待状が届いたのだった。
「この間はお疲れ様。あれから山に特に異常はないそうだよ。負の波動を放つ宝珠は全て回収できたとみて問題なさそうだ」
「貴殿らの協力に感謝する。……あの時現場に居合わせた方たちには伝えたが、狩りの成果が豊作すぎたようでな、村人が後で食べる分を干し肉にしてもまだだいぶ余るようなのだ」
ルカ・シュバルツエンド(kz0073)のデスクの横に凛と立っていた御影 小夜子(kz0118)が狐の面越しにも分かるほど困った気配を見せている。
「改めて狩りをおこなわないといけない程獲物はたくさんいるのだが、何分小さな村なのでな、獲物がありすぎても消費しきれないし加工も間に合わない。
売りに出すにしてもあまり交流がないから売れる量にも限りがある。そこで恵みに感謝して祭りを開こうという話になり、窮地を救ってくれた貴殿らを招待したいと頼まれてやってきた」
私も、こうして誘いをかける以外はあまり役に立たないが感謝の意を表したくてここに来た。そう語って小夜子は口を閉じる。
「狩りをしたい人は狩りを楽しんで、山菜を摘みたい人は山菜を摘んで、出来た料理を楽しみたい人は舌鼓を打って、って感じで難しく考えずに楽しめばいいと思うよ。
山菜は今日食べる分を一つ、明日食べる分を一つ、来年株を増やしてくれる分を一つって数えて取るといいんだったかな。
採りつくさないように気を付けてね。
僕もその後の状況をオフィスに報告するという建前があるから同行して楽しませてもらうつもり」
この間の若牛大量発生事件といい今年は狩人の腕のなる依頼が多いねぇ。
呑気に笑いながらダークマターを口にするルカの隣から、耐えかねたように小夜子が一歩分距離を置いた。
ラキエルが仕込んだ負の波動を発する宝珠がハンターたちによって取り除かれて数日後。
村は祭りの準備にせわしなく賑わっていた。
大量の動物が雑魔化された影響で村人たちは今年の狩りは不作なのではないか、村人が飢えることがないか、と危惧していたのだが、自然の回復力が大きく働いたのか、多少狩りをして減らさないと肉食獣は家畜に手を出しそうなほど生まれたし、肉食動物の本来の餌となる草食動物も山をはげ山にするほど生まれたようだ。
折しも春の山菜が美味しい季節。何度も村を救ってくれたハンターたちに、今度は晩冬に行ったしめやかな祭りではなく賑やかで楽しい祭りを楽しんでもらいたい、と小夜子を通じてハンターオフィスに村祭りへの招待状が届いたのだった。
「この間はお疲れ様。あれから山に特に異常はないそうだよ。負の波動を放つ宝珠は全て回収できたとみて問題なさそうだ」
「貴殿らの協力に感謝する。……あの時現場に居合わせた方たちには伝えたが、狩りの成果が豊作すぎたようでな、村人が後で食べる分を干し肉にしてもまだだいぶ余るようなのだ」
ルカ・シュバルツエンド(kz0073)のデスクの横に凛と立っていた御影 小夜子(kz0118)が狐の面越しにも分かるほど困った気配を見せている。
「改めて狩りをおこなわないといけない程獲物はたくさんいるのだが、何分小さな村なのでな、獲物がありすぎても消費しきれないし加工も間に合わない。
売りに出すにしてもあまり交流がないから売れる量にも限りがある。そこで恵みに感謝して祭りを開こうという話になり、窮地を救ってくれた貴殿らを招待したいと頼まれてやってきた」
私も、こうして誘いをかける以外はあまり役に立たないが感謝の意を表したくてここに来た。そう語って小夜子は口を閉じる。
「狩りをしたい人は狩りを楽しんで、山菜を摘みたい人は山菜を摘んで、出来た料理を楽しみたい人は舌鼓を打って、って感じで難しく考えずに楽しめばいいと思うよ。
山菜は今日食べる分を一つ、明日食べる分を一つ、来年株を増やしてくれる分を一つって数えて取るといいんだったかな。
採りつくさないように気を付けてね。
僕もその後の状況をオフィスに報告するという建前があるから同行して楽しませてもらうつもり」
この間の若牛大量発生事件といい今年は狩人の腕のなる依頼が多いねぇ。
呑気に笑いながらダークマターを口にするルカの隣から、耐えかねたように小夜子が一歩分距離を置いた。
リプレイ本文
●山の恵みに感謝をこめて
山で摘んできた山菜や、狩りで仕留めた獲物を村の女性たちや一部のハンターがせっせと調理しているのを弥勒 明影(ka0189)は遠巻きに眺めながら酒を飲んでいた。
肴は山の自然、料理を作る人の営み、演奏や飲み比べと言った祭りならではの喧騒。
彼は万象全てを肯定する。
それは戦すら肯定するということでもあるが、しかし平穏を厭うということでは決してない。
戦があるからこその平穏であり、その逆もしかり、と考えた結果故の思想だ。
ただ静かに平穏を享受し、尊び。
永遠などなく、いつか終わるものだとしても、今すぐ終わってしまえと思うほど極端には走らない。
今ある平穏が、いつか終わるその日まで。
自分はこの平穏を享受して生きていくのだろう。
そんなことを考えながら酒杯を傾けるのだった。
村祭りは賑やかに続く中、明影の周りは独特の静寂が生まれていたが彼はそれすら肯定し、あるがままに生きる。
これまでも、そしておそらくこれからも。
リシャール・ヴィザージュ(ka1591)は村の女性で手が空いている人に声をかけ、御影 小夜子(kz0118)の髪や衣服を整えるための協力を頼んだ。
「あぁ、あの人転移してからほとんどずっと山にいたとかで服もだいぶくたびれてるしね。
見回りとかでお世話になってるし、そういう事なら手伝うよ」
恰幅のいい女性が胸を叩いて快く協力を引き受けると周りにいた何人かも進んでこの作業に取り掛かる旨を伝えた。
リシャールが水干の造りを説明し、何度か失敗はしたものの最終的にはきちんとした水干に似た衣装が出来上がる。
「男性が女性に服を贈るのは脱がせた時を想像してだ、なんて聞くけどその類かい?」
冷やかすような女性の言葉にリシャールは照れながらも首を振って否定する。
「彼女の依頼と案内のお陰で災いの源を取り除けたからさ、何か報いることができればって思ってね」
「なんだ、色恋沙汰を肴に男衆に混ざって飲もうかと思ったのに、残念」
完全にからかう姿勢に入った女性陣に礼を言って逃げるようにその場を去ると、運よくそれほど探すことなく小夜子を見つけることができた。
「ちょっといいかな。村の人たちと僕からきみに、だよ」
「私に?」
「髪が随分長いようだし、ついでに少し整えないかい?」
「待ってほしい。話に正直ついていけていないのだが……」
「君のお陰でこの村は救われた。僕たちは災いのめが本格的に発芽する前に摘むことができた。そのお礼だよ」
「……私は見回りをしたくらいでほとんど何もしていないが……好意を嬉しく思う」
雑談をしながらリシャールは小夜子の髪を整え、水干と一緒に自分の持ち物である袴を渡す。
「サイズが合ってるかちょっと不安なんだけど着替えて見てもらってもいいかな」
「……服を貰ったからには着てみせるのが礼儀だろうな。部屋を借りてくる。
それから……切ってくれる人がいなかったために随分見苦しくなってしまった髪を整えてくれたことに、感謝を。
水干を作ってくれた人たちの名前を後で教えてくれないだろうか。
お礼を言いたいのでな」
「それから、この子はよかったら育てて神霊樹の若木の司書に。……司書がいないんだったよね、確か」
差し出されたパルムを丁重な仕草で受け取り、もう一度礼を言う小夜子。
水干も袴もサイズはぴったりだったようで小夜子はそのことについて関係者全員にお礼を言って回り、リシャールは照れを隠すために狐の面を外さない小夜子の、けれど隠しきれていない恥ずかしそうな様子を微笑んで見守っていた。
「お祭りができるくらい収穫が増えてよかったね、ゴエモンもそう思うでしょ?」
愛犬の頭を撫でながら天竜寺 舞(ka0377)は少し離れた場所で祭りの様子を見守る御影 小夜子を見つけて声をかける。
「小夜子さん、今日は。……あれ、髪の毛切った? 服も新しいような……」
「さきほど、髪を整えて貰って、服も頂いたのだ。大分くたびれていたし髪もおどろおどろしくなっていたからとても有難い。
人の気遣いというのは温かいものだな。
舞殿、今日は妹御はご一緒ではないのか?」
まだ十分に長いものの以前に比べてすっきりした髪と真新しい衣装の小夜子によかったね、と舞が笑顔になる。
「妹は仕事が入っててあたし一人なんだ。小夜子さん、せっかくのお祭りだから一曲演奏しようと思うんだけど小夜子さん踊らない? 神楽とか」
「随分長いこと踊っていないからきちんと体が動くか心配だが、折角だし話に乗らせて頂こう」
村の人にとっては珍しい見世物になるだろうしな、とお礼の気持ちを形でも表したかったらしく小夜子は快諾した。
「本当は太鼓とか笛の方がいいんだけど、あたし三味線しか持ってないからその点は勘弁ね。
もし小夜子さんが三味線弾けるなら、小夜子さんの後であたしも踊りたいかな。やっぱり体が疼くからね」
「三味線か……懐かしいな。指が動くかという不安もあるが精一杯弾かせてもらおう」
異国情緒あふれる神楽舞に村人たちは熱烈な拍手を二人に送る。
「さて、と料理食べてこようかな。ゴエモンにもお肉もらったげるよ。小夜子さんも一緒にどう?」
「ではご一緒させてもらおうか」
二人と一匹は和やかに食事を楽しんだのだった。
アカーシャ・ヘルメース(ka0473) は雛の頃から飼っているイヌワシのファルシャードをお供に狩りをする準備をしていた。
「辺境仕込みの鷹匠の腕前、いっちょ披露したろか♪」
ファルシャードも長い間羽を伸ばしていなかったから自由にさせてやろう、と解き放つ。
狙うのは野鳥や兎、小型の動物。
「今日は自由にしてええでーっ♪」
料理に必要な量が揃ったらあとはファルシャードに好きに食べさせる。
「見事な腕だねぇ。ファルシャードって聞きなれない名前だけど何か由来はあるのかい?」
少し離れた場所から狩りの様子を見守っていた村人がアカーシャに尋ねる。
「リアルブルーの方の、ペルシャ語って言語で『幸運』って意味なんや。
どんなに離れていても、幸運……獲物を運んで舞い戻ってくるって意味での命名や」
「そりゃあ確かに狩人にとっちゃ幸運だなぁ。すぐ食べるつもりなら向こうに持っていけば料理してくれるはずだよ」
「おっしゃ。盛大に食べて呑むでー♪」
満面の笑顔で狩りの成果を胃袋に収めるために調理場へと向かうアカーシャだった。
「お祭りと言ったら飲み比べ! 真司には負けないわよ~」
「まったく、いきなり出掛けましょって無理やり連れてきた理由はこれか」
柊 真司(ka0705) はリーラ・ウルズアイ(ka4343)とのんびりと料理を楽しむつもりだったがリーラが飲み比べを提案し、断り切れずに飲み比べをすることになってため息一つ。
「酒の飲み比べって……。どっちかってと俺は静かに飲みたいんだが……」
「飲み比べの前にもうちょっと食べましょうか。はい、アーン♪」
「なっ」
食べ物を口に運んで食べさせようとしたらどんな反応をするかとリーラが悪戯心を起してためしてみると、真司は予想外の出来事に硬直。
いつまで経っても動き出さないので自分で食べると飲み比べ会場へと引っ張っていく。
「さぁ、勝負よ真司!」
飲み比べは結局引き分け。二人して寝落ちした後先に覚醒した真司は酔いを追い払うように緩く頭を振るが酔った感覚は抜けない。
「あ~……少し飲みすぎた……これは二日酔い確実だな……」
フィリテ・ノート(ka0810)、カティス・ノート(ka2486)、カリアナ・ノート(ka3733)、リディア・ノート(ka4027)は久しぶりに四姉妹揃って村祭りで食事を楽しんでいた。
「久々に姉妹全員揃えたわね♪ ……あ。この川魚焼き加減良いわよ」
フィリテが勧めた川魚を食べたカティスが美味しい、と声を上げる。
フィリテは次女のカリアナの食事ペースをさりげなく確認しつつ、新しく料理をよそったり 、カティスやリディアの様子を見ながら飲み物を運んできたりと妹たちの世話をしながら料理の話題から今まで受けた依頼の話まで、幅広く会話を楽しむ。
「……また、実家にいた時みたいに一緒に色々できるわね♪ 本当に楽しみだわ、あたし。
……ふむ。この料理、塩加減とか味付けがあたし好みかも♪ ……あとで教えて貰おうかしら。うん」
カティスは今までずっと会えなかったカリアナにべったりくっついていたため他の姉妹から自分たちはどうでもいいのか、とからかわれ顔を真っ赤にして慌てていた。
「はわぁ!? ち、違うのですよ? リナ姉さんに逢いたかったのは確かですけど……。
も、勿論、リアちゃんやリテ姉さんにも逢いたかったのですよ、わたし!
また、皆と一緒に過ごせるのです♪ わたしも、とっても楽しみなのですよ♪」
「……リテお姉ちゃんとリナお姉ちゃんは相変わらずなのね……」
カリアナが長女と次女の豪快過ぎる食欲を目の前にして改めてしみじみと呟く。
そんな彼女は膝にハンカチを載せて、上品に食べている。
カティスが姉妹が好きだと叫べばそれにつられて。
「わ、私だって、リナお姉ちゃん大好きなんだからっ! 勿論、リテお姉ちゃんやティスお姉ちゃんも!」
なんでも好き嫌いすることなくよく食べ、一人で店を傾けたこともあるリディアは和やかに料理を楽しみながらふと姉に声をかけた。
「そういえばリテ姉? 恋人さんとはどんな感じなのです?」
恋人ができて幸せいっぱいらしい姉に聞いたことで食卓の賑やかさは増すばかり。
「ん~……この時期の山菜? ちょっと難しいかも……厳密にいうとちょっと違うけど破竹と、あとはギリギリヨモギの若芽位しか思いつかないですの」
ヒスイ・グリーンリバー(ka0913) は首を傾げ、山菜を摘みに行くという村人に同行させてもらってクリムゾンウェストの山菜を教えてもらっていた。
山菜を摘んできた後は舞エプロンをつけて料理に参加。
こちらの料理を教えてもらって、後で作った皆と食卓を囲む。
山菜と料理を教えてもらったお礼に作ったリアルブルーの料理も、クリムゾンウェストの材料で作ると新しい料理の一面が見えてくる。
村人たちにも好評で楽しい時間が過ぎた。
「干し肉、買って持ち帰れるなら欲しいけど……自分で狩るのはどう考えても無理なので」
何も役に立てないのは心苦しいから、と天然蜂蜜を提供し、現段階で冬を超えても余るという干し肉をいくらか譲ってもらう。
「美味しいご飯は人を幸せにするから、食べるのも好きだけど作って提供するのも好きですの」
楽しい時間にお礼を言って、腹ごなしに村祭りを見て過ごすことにしたヒスイだった。
「山で狩りか……懐かしいな。リアルブルーにいたころ、任務で山籠もりした際……様々な獣と弱肉強食の戦いをしたものだ……。
草食動物も多くいる……ということは奴らも山菜を狙ってくる……か」
ガラーク・ジラント(ka2176)はそこまで思案を巡らせると小村 倖祢(ka3892)に同行して草食動物を仕留めようと山に入る。
そんな思案をガラークがしているとは知らずに山菜を摘む倖祢。
「俺割と方向音痴だったりするんだけど、迷ったらガラークさんに聞けばいいよね?」
一緒に来てるんだし、と後ろを振り返って声をかければ動物の排泄物や歯の後などから美味しい山菜の生えているポイントを探している真っ最中。
「草食動物は逃げ足が速い。隙を突いて仕掛けるぞ。
草食動物を狙った肉食獣も現れるかもしれんな。小林少年も俺も狙われる可能性を忘れずに警戒は怠らないように……で、なんだって?」
「……自分で何とかしなきゃいけない気がしてきたから、忘れて」
「そうか。獲物をしとめたら干し肉づくりかな。慣れているから手伝うとしよう」
倖祢はマイペースなガラークに小さく息を吐きつつ小さい頃に祖父といった経験を活かし取り過ぎと毒草に注意して山菜を摘んでいくのだった。
翡翠(ka2534)は山菜摘みに精を出していた。村にいたころはよく食事に山菜が出ていたこともあり、知識は十分。
「この木の芽は今の時期に食べると美味しいんですよね。……少し、頂きますね」
と木に断りを入れて少し摘み取ろうとしたが高い場所にあって背伸びしても届かない。
「届かないのかい?」
「あ、ルカさん」
祭り会場からふらりと山に分け入ってきた様子のルカ・シュバルツエンド(kz0073)が翡翠に声をかけて木の芽を正しい取り方で摘み取り、翡翠に渡す。
「これでいいかな?」
「有難うございます。あ、そうだ。あのね、見てください、この服」
リアルブルー出身のハンターから教えてもらったスーツを見せる。
「これで女の子じゃなく、ちゃんと男の子に見えますよね?」
「うん、そうだね。でもスーツって洗うのが大変だから山菜取りの時は止めた方がいいかもしれないよ。服も安くはないからね」
「あ、そうなんですか。アドバイス有難うございます」
どうやらルカに懐いたらしい翡翠はどんな服が男の子らしくて普段着てても大丈夫なのか、とルカを質問攻めにするのだった。
Gacrux(ka2726)は大規模戦で個人目標を達した自分へのご褒美として村祭りにやってきて、酒と料理を味わっていた。
「美味しいです!」
周りを眺め、飲み比べをしているのを観戦しながらヤジを飛ばしつつ酒と料理を楽しむ鵤(ka3319)の姿に気づくとぎこちなく固まった。
「なんだおたくも来てたの」
「あ……鵤さん……どうも。……大規模戦の個人的なお祝いに、と思って」
「祝いぃ? ほーん、お疲れさん」
軽く酒杯を掲げて挨拶する鵤にGacruxもおずおずとそれに応え、そのまま別れるのも奇妙な話なので軽く世間話をする二人。
「ああ、これ美味かったぜ?」
鵤が美味しいと感じた料理や酒を教えるが取りにいかないところをみると味わいたいなら自分で取りに行け、ということらしい。
Gacruxも山菜料理を勧めたりしながらしばし二人は行動を共にしたのだった。
「この山に私が棲めば解決するじゃないですか」
動物たちが大量に生まれて困っている、という情報に反応したミネット・ベアール(ka3282)の言葉にルカは思わず真顔でこういった。
「食欲魔人のミネット君が住み着いたら生態系崩れそうだよね」
「ちょっ! 生態系は考えて狩るのが私たちの部族の掟ですっ! いくら私でもそんな欲望の限り狩り尽したりしませんよ!」
「それは失礼。いつも食い気に走ってるからさ、ちょっと心配になってね」
「ルカさんちょっと失礼ですよ」
そう言いながらわっさぁとルカの前に捌いた肉を並べる。
「それは置いといて、調理しましょう調理!
殺生をしたものは感謝の気持ちを持って食さねばなりません!」
「結構多いね……」
「草食動物は間引いてもよさそうだったので。でもバランスは考えてますよ?」
今回はルカ任せにせず二人で協力して作った結果、ダークマターと通常の料理の境界線の上に立つような、非常に微妙なものが出来上がった。
感謝の祈りだとミネットは言うが、どことなく不気味な呪詛に聞こえるものを捧げながらいざ実食。
「ん……おー! イケますねっ! 斬新ですぐへへ」
「……年頃の女の子の笑い声としてそれはちょっといただけない気がするけど、悪くないね」
多分そう思うのはこの二人だけな気がする、と匂いが届く範囲にいた村人たちは思ったそうな。
屋外(ka3530)は戦闘のリハビリもかねて肉食獣と草食獣の適度な狩りをおこなっていた。
風下から隠密に急接近しての白兵戦。
山菜は今採るのは勿体ないと判断して来年役立つようにと群生地の調査と記録を地図にして村に提供する。
ルカと小夜子に、自身が関連しなかったため知らなかったラキエル関連の事件の経緯を聞くことも忘れない。
以前神霊樹の若木を狙ったラキエルという歪虚が倒される前に残した、負の波動を放つ宝珠のせいで動物たちが雑魔化した事件のことを聞いて、それ以前にもラキエルの手によって雑魔化した動物たちの慰霊碑に手を合わせる。
狩った獲物は村流の干し方を習いつつ干し肉にし、持ち帰りは馬に手伝ってもらうことに。
恋人のための照り焼き料理練習にとてもいい恵みだと、村人の温情と山の生命力に敬意を示すのだった。
「グゥはお腹がすきました。なのでスゥとたくさん食べるのです」
無表情にひたすら料理を食べ続けるグゥ(ka4566)と、食事の際中にもかかわらず眠りそうになっているスゥ(ka4682)の二人は注目の的だったが二人とも気にするそぶりは見せない。
「グゥはよく食べるね。スゥは眠いよ……ふわあ」
一応美味しいと感じているのか眠そうながらも花が飛んでいるような雰囲気のスゥ。
グゥも細い体のどこに収まるのか、次々に皿を空にして無尽蔵に食べ続ける。
隣に座るスゥがスープ皿に顔を突っ込みそうになれば、真正面を向き、料理を食べつつ手で止める。
寝ぼけて口を開けた時にはすかさず料理を放り込んだ。
スゥは口に突っ込まれてはこぼしながら咀嚼し、また寝かけ、を繰り返す。
周囲に料理がなくなるとフォークを握りしめてじっと待ち、デザートがあれば即座に手を付ける。限界はどうやらないらしい。
祭りの終盤には服の袖やポケット、スゥの服や枕にもパンを詰め込む。
目いっぱい詰め込んで、村人に感謝を伝えに行くことに。
「グゥはスゥの分まで感謝します。ご馳走になりました」
眠りこけるスゥを背負って、一礼して去っていくグゥの背中で、うっすら目を開けてひらひらと手を振るスゥ。
それぞれの楽しみ方をした村祭りは最後まで賑やかなままその幕を閉じたのだった。
山で摘んできた山菜や、狩りで仕留めた獲物を村の女性たちや一部のハンターがせっせと調理しているのを弥勒 明影(ka0189)は遠巻きに眺めながら酒を飲んでいた。
肴は山の自然、料理を作る人の営み、演奏や飲み比べと言った祭りならではの喧騒。
彼は万象全てを肯定する。
それは戦すら肯定するということでもあるが、しかし平穏を厭うということでは決してない。
戦があるからこその平穏であり、その逆もしかり、と考えた結果故の思想だ。
ただ静かに平穏を享受し、尊び。
永遠などなく、いつか終わるものだとしても、今すぐ終わってしまえと思うほど極端には走らない。
今ある平穏が、いつか終わるその日まで。
自分はこの平穏を享受して生きていくのだろう。
そんなことを考えながら酒杯を傾けるのだった。
村祭りは賑やかに続く中、明影の周りは独特の静寂が生まれていたが彼はそれすら肯定し、あるがままに生きる。
これまでも、そしておそらくこれからも。
リシャール・ヴィザージュ(ka1591)は村の女性で手が空いている人に声をかけ、御影 小夜子(kz0118)の髪や衣服を整えるための協力を頼んだ。
「あぁ、あの人転移してからほとんどずっと山にいたとかで服もだいぶくたびれてるしね。
見回りとかでお世話になってるし、そういう事なら手伝うよ」
恰幅のいい女性が胸を叩いて快く協力を引き受けると周りにいた何人かも進んでこの作業に取り掛かる旨を伝えた。
リシャールが水干の造りを説明し、何度か失敗はしたものの最終的にはきちんとした水干に似た衣装が出来上がる。
「男性が女性に服を贈るのは脱がせた時を想像してだ、なんて聞くけどその類かい?」
冷やかすような女性の言葉にリシャールは照れながらも首を振って否定する。
「彼女の依頼と案内のお陰で災いの源を取り除けたからさ、何か報いることができればって思ってね」
「なんだ、色恋沙汰を肴に男衆に混ざって飲もうかと思ったのに、残念」
完全にからかう姿勢に入った女性陣に礼を言って逃げるようにその場を去ると、運よくそれほど探すことなく小夜子を見つけることができた。
「ちょっといいかな。村の人たちと僕からきみに、だよ」
「私に?」
「髪が随分長いようだし、ついでに少し整えないかい?」
「待ってほしい。話に正直ついていけていないのだが……」
「君のお陰でこの村は救われた。僕たちは災いのめが本格的に発芽する前に摘むことができた。そのお礼だよ」
「……私は見回りをしたくらいでほとんど何もしていないが……好意を嬉しく思う」
雑談をしながらリシャールは小夜子の髪を整え、水干と一緒に自分の持ち物である袴を渡す。
「サイズが合ってるかちょっと不安なんだけど着替えて見てもらってもいいかな」
「……服を貰ったからには着てみせるのが礼儀だろうな。部屋を借りてくる。
それから……切ってくれる人がいなかったために随分見苦しくなってしまった髪を整えてくれたことに、感謝を。
水干を作ってくれた人たちの名前を後で教えてくれないだろうか。
お礼を言いたいのでな」
「それから、この子はよかったら育てて神霊樹の若木の司書に。……司書がいないんだったよね、確か」
差し出されたパルムを丁重な仕草で受け取り、もう一度礼を言う小夜子。
水干も袴もサイズはぴったりだったようで小夜子はそのことについて関係者全員にお礼を言って回り、リシャールは照れを隠すために狐の面を外さない小夜子の、けれど隠しきれていない恥ずかしそうな様子を微笑んで見守っていた。
「お祭りができるくらい収穫が増えてよかったね、ゴエモンもそう思うでしょ?」
愛犬の頭を撫でながら天竜寺 舞(ka0377)は少し離れた場所で祭りの様子を見守る御影 小夜子を見つけて声をかける。
「小夜子さん、今日は。……あれ、髪の毛切った? 服も新しいような……」
「さきほど、髪を整えて貰って、服も頂いたのだ。大分くたびれていたし髪もおどろおどろしくなっていたからとても有難い。
人の気遣いというのは温かいものだな。
舞殿、今日は妹御はご一緒ではないのか?」
まだ十分に長いものの以前に比べてすっきりした髪と真新しい衣装の小夜子によかったね、と舞が笑顔になる。
「妹は仕事が入っててあたし一人なんだ。小夜子さん、せっかくのお祭りだから一曲演奏しようと思うんだけど小夜子さん踊らない? 神楽とか」
「随分長いこと踊っていないからきちんと体が動くか心配だが、折角だし話に乗らせて頂こう」
村の人にとっては珍しい見世物になるだろうしな、とお礼の気持ちを形でも表したかったらしく小夜子は快諾した。
「本当は太鼓とか笛の方がいいんだけど、あたし三味線しか持ってないからその点は勘弁ね。
もし小夜子さんが三味線弾けるなら、小夜子さんの後であたしも踊りたいかな。やっぱり体が疼くからね」
「三味線か……懐かしいな。指が動くかという不安もあるが精一杯弾かせてもらおう」
異国情緒あふれる神楽舞に村人たちは熱烈な拍手を二人に送る。
「さて、と料理食べてこようかな。ゴエモンにもお肉もらったげるよ。小夜子さんも一緒にどう?」
「ではご一緒させてもらおうか」
二人と一匹は和やかに食事を楽しんだのだった。
アカーシャ・ヘルメース(ka0473) は雛の頃から飼っているイヌワシのファルシャードをお供に狩りをする準備をしていた。
「辺境仕込みの鷹匠の腕前、いっちょ披露したろか♪」
ファルシャードも長い間羽を伸ばしていなかったから自由にさせてやろう、と解き放つ。
狙うのは野鳥や兎、小型の動物。
「今日は自由にしてええでーっ♪」
料理に必要な量が揃ったらあとはファルシャードに好きに食べさせる。
「見事な腕だねぇ。ファルシャードって聞きなれない名前だけど何か由来はあるのかい?」
少し離れた場所から狩りの様子を見守っていた村人がアカーシャに尋ねる。
「リアルブルーの方の、ペルシャ語って言語で『幸運』って意味なんや。
どんなに離れていても、幸運……獲物を運んで舞い戻ってくるって意味での命名や」
「そりゃあ確かに狩人にとっちゃ幸運だなぁ。すぐ食べるつもりなら向こうに持っていけば料理してくれるはずだよ」
「おっしゃ。盛大に食べて呑むでー♪」
満面の笑顔で狩りの成果を胃袋に収めるために調理場へと向かうアカーシャだった。
「お祭りと言ったら飲み比べ! 真司には負けないわよ~」
「まったく、いきなり出掛けましょって無理やり連れてきた理由はこれか」
柊 真司(ka0705) はリーラ・ウルズアイ(ka4343)とのんびりと料理を楽しむつもりだったがリーラが飲み比べを提案し、断り切れずに飲み比べをすることになってため息一つ。
「酒の飲み比べって……。どっちかってと俺は静かに飲みたいんだが……」
「飲み比べの前にもうちょっと食べましょうか。はい、アーン♪」
「なっ」
食べ物を口に運んで食べさせようとしたらどんな反応をするかとリーラが悪戯心を起してためしてみると、真司は予想外の出来事に硬直。
いつまで経っても動き出さないので自分で食べると飲み比べ会場へと引っ張っていく。
「さぁ、勝負よ真司!」
飲み比べは結局引き分け。二人して寝落ちした後先に覚醒した真司は酔いを追い払うように緩く頭を振るが酔った感覚は抜けない。
「あ~……少し飲みすぎた……これは二日酔い確実だな……」
フィリテ・ノート(ka0810)、カティス・ノート(ka2486)、カリアナ・ノート(ka3733)、リディア・ノート(ka4027)は久しぶりに四姉妹揃って村祭りで食事を楽しんでいた。
「久々に姉妹全員揃えたわね♪ ……あ。この川魚焼き加減良いわよ」
フィリテが勧めた川魚を食べたカティスが美味しい、と声を上げる。
フィリテは次女のカリアナの食事ペースをさりげなく確認しつつ、新しく料理をよそったり 、カティスやリディアの様子を見ながら飲み物を運んできたりと妹たちの世話をしながら料理の話題から今まで受けた依頼の話まで、幅広く会話を楽しむ。
「……また、実家にいた時みたいに一緒に色々できるわね♪ 本当に楽しみだわ、あたし。
……ふむ。この料理、塩加減とか味付けがあたし好みかも♪ ……あとで教えて貰おうかしら。うん」
カティスは今までずっと会えなかったカリアナにべったりくっついていたため他の姉妹から自分たちはどうでもいいのか、とからかわれ顔を真っ赤にして慌てていた。
「はわぁ!? ち、違うのですよ? リナ姉さんに逢いたかったのは確かですけど……。
も、勿論、リアちゃんやリテ姉さんにも逢いたかったのですよ、わたし!
また、皆と一緒に過ごせるのです♪ わたしも、とっても楽しみなのですよ♪」
「……リテお姉ちゃんとリナお姉ちゃんは相変わらずなのね……」
カリアナが長女と次女の豪快過ぎる食欲を目の前にして改めてしみじみと呟く。
そんな彼女は膝にハンカチを載せて、上品に食べている。
カティスが姉妹が好きだと叫べばそれにつられて。
「わ、私だって、リナお姉ちゃん大好きなんだからっ! 勿論、リテお姉ちゃんやティスお姉ちゃんも!」
なんでも好き嫌いすることなくよく食べ、一人で店を傾けたこともあるリディアは和やかに料理を楽しみながらふと姉に声をかけた。
「そういえばリテ姉? 恋人さんとはどんな感じなのです?」
恋人ができて幸せいっぱいらしい姉に聞いたことで食卓の賑やかさは増すばかり。
「ん~……この時期の山菜? ちょっと難しいかも……厳密にいうとちょっと違うけど破竹と、あとはギリギリヨモギの若芽位しか思いつかないですの」
ヒスイ・グリーンリバー(ka0913) は首を傾げ、山菜を摘みに行くという村人に同行させてもらってクリムゾンウェストの山菜を教えてもらっていた。
山菜を摘んできた後は舞エプロンをつけて料理に参加。
こちらの料理を教えてもらって、後で作った皆と食卓を囲む。
山菜と料理を教えてもらったお礼に作ったリアルブルーの料理も、クリムゾンウェストの材料で作ると新しい料理の一面が見えてくる。
村人たちにも好評で楽しい時間が過ぎた。
「干し肉、買って持ち帰れるなら欲しいけど……自分で狩るのはどう考えても無理なので」
何も役に立てないのは心苦しいから、と天然蜂蜜を提供し、現段階で冬を超えても余るという干し肉をいくらか譲ってもらう。
「美味しいご飯は人を幸せにするから、食べるのも好きだけど作って提供するのも好きですの」
楽しい時間にお礼を言って、腹ごなしに村祭りを見て過ごすことにしたヒスイだった。
「山で狩りか……懐かしいな。リアルブルーにいたころ、任務で山籠もりした際……様々な獣と弱肉強食の戦いをしたものだ……。
草食動物も多くいる……ということは奴らも山菜を狙ってくる……か」
ガラーク・ジラント(ka2176)はそこまで思案を巡らせると小村 倖祢(ka3892)に同行して草食動物を仕留めようと山に入る。
そんな思案をガラークがしているとは知らずに山菜を摘む倖祢。
「俺割と方向音痴だったりするんだけど、迷ったらガラークさんに聞けばいいよね?」
一緒に来てるんだし、と後ろを振り返って声をかければ動物の排泄物や歯の後などから美味しい山菜の生えているポイントを探している真っ最中。
「草食動物は逃げ足が速い。隙を突いて仕掛けるぞ。
草食動物を狙った肉食獣も現れるかもしれんな。小林少年も俺も狙われる可能性を忘れずに警戒は怠らないように……で、なんだって?」
「……自分で何とかしなきゃいけない気がしてきたから、忘れて」
「そうか。獲物をしとめたら干し肉づくりかな。慣れているから手伝うとしよう」
倖祢はマイペースなガラークに小さく息を吐きつつ小さい頃に祖父といった経験を活かし取り過ぎと毒草に注意して山菜を摘んでいくのだった。
翡翠(ka2534)は山菜摘みに精を出していた。村にいたころはよく食事に山菜が出ていたこともあり、知識は十分。
「この木の芽は今の時期に食べると美味しいんですよね。……少し、頂きますね」
と木に断りを入れて少し摘み取ろうとしたが高い場所にあって背伸びしても届かない。
「届かないのかい?」
「あ、ルカさん」
祭り会場からふらりと山に分け入ってきた様子のルカ・シュバルツエンド(kz0073)が翡翠に声をかけて木の芽を正しい取り方で摘み取り、翡翠に渡す。
「これでいいかな?」
「有難うございます。あ、そうだ。あのね、見てください、この服」
リアルブルー出身のハンターから教えてもらったスーツを見せる。
「これで女の子じゃなく、ちゃんと男の子に見えますよね?」
「うん、そうだね。でもスーツって洗うのが大変だから山菜取りの時は止めた方がいいかもしれないよ。服も安くはないからね」
「あ、そうなんですか。アドバイス有難うございます」
どうやらルカに懐いたらしい翡翠はどんな服が男の子らしくて普段着てても大丈夫なのか、とルカを質問攻めにするのだった。
Gacrux(ka2726)は大規模戦で個人目標を達した自分へのご褒美として村祭りにやってきて、酒と料理を味わっていた。
「美味しいです!」
周りを眺め、飲み比べをしているのを観戦しながらヤジを飛ばしつつ酒と料理を楽しむ鵤(ka3319)の姿に気づくとぎこちなく固まった。
「なんだおたくも来てたの」
「あ……鵤さん……どうも。……大規模戦の個人的なお祝いに、と思って」
「祝いぃ? ほーん、お疲れさん」
軽く酒杯を掲げて挨拶する鵤にGacruxもおずおずとそれに応え、そのまま別れるのも奇妙な話なので軽く世間話をする二人。
「ああ、これ美味かったぜ?」
鵤が美味しいと感じた料理や酒を教えるが取りにいかないところをみると味わいたいなら自分で取りに行け、ということらしい。
Gacruxも山菜料理を勧めたりしながらしばし二人は行動を共にしたのだった。
「この山に私が棲めば解決するじゃないですか」
動物たちが大量に生まれて困っている、という情報に反応したミネット・ベアール(ka3282)の言葉にルカは思わず真顔でこういった。
「食欲魔人のミネット君が住み着いたら生態系崩れそうだよね」
「ちょっ! 生態系は考えて狩るのが私たちの部族の掟ですっ! いくら私でもそんな欲望の限り狩り尽したりしませんよ!」
「それは失礼。いつも食い気に走ってるからさ、ちょっと心配になってね」
「ルカさんちょっと失礼ですよ」
そう言いながらわっさぁとルカの前に捌いた肉を並べる。
「それは置いといて、調理しましょう調理!
殺生をしたものは感謝の気持ちを持って食さねばなりません!」
「結構多いね……」
「草食動物は間引いてもよさそうだったので。でもバランスは考えてますよ?」
今回はルカ任せにせず二人で協力して作った結果、ダークマターと通常の料理の境界線の上に立つような、非常に微妙なものが出来上がった。
感謝の祈りだとミネットは言うが、どことなく不気味な呪詛に聞こえるものを捧げながらいざ実食。
「ん……おー! イケますねっ! 斬新ですぐへへ」
「……年頃の女の子の笑い声としてそれはちょっといただけない気がするけど、悪くないね」
多分そう思うのはこの二人だけな気がする、と匂いが届く範囲にいた村人たちは思ったそうな。
屋外(ka3530)は戦闘のリハビリもかねて肉食獣と草食獣の適度な狩りをおこなっていた。
風下から隠密に急接近しての白兵戦。
山菜は今採るのは勿体ないと判断して来年役立つようにと群生地の調査と記録を地図にして村に提供する。
ルカと小夜子に、自身が関連しなかったため知らなかったラキエル関連の事件の経緯を聞くことも忘れない。
以前神霊樹の若木を狙ったラキエルという歪虚が倒される前に残した、負の波動を放つ宝珠のせいで動物たちが雑魔化した事件のことを聞いて、それ以前にもラキエルの手によって雑魔化した動物たちの慰霊碑に手を合わせる。
狩った獲物は村流の干し方を習いつつ干し肉にし、持ち帰りは馬に手伝ってもらうことに。
恋人のための照り焼き料理練習にとてもいい恵みだと、村人の温情と山の生命力に敬意を示すのだった。
「グゥはお腹がすきました。なのでスゥとたくさん食べるのです」
無表情にひたすら料理を食べ続けるグゥ(ka4566)と、食事の際中にもかかわらず眠りそうになっているスゥ(ka4682)の二人は注目の的だったが二人とも気にするそぶりは見せない。
「グゥはよく食べるね。スゥは眠いよ……ふわあ」
一応美味しいと感じているのか眠そうながらも花が飛んでいるような雰囲気のスゥ。
グゥも細い体のどこに収まるのか、次々に皿を空にして無尽蔵に食べ続ける。
隣に座るスゥがスープ皿に顔を突っ込みそうになれば、真正面を向き、料理を食べつつ手で止める。
寝ぼけて口を開けた時にはすかさず料理を放り込んだ。
スゥは口に突っ込まれてはこぼしながら咀嚼し、また寝かけ、を繰り返す。
周囲に料理がなくなるとフォークを握りしめてじっと待ち、デザートがあれば即座に手を付ける。限界はどうやらないらしい。
祭りの終盤には服の袖やポケット、スゥの服や枕にもパンを詰め込む。
目いっぱい詰め込んで、村人に感謝を伝えに行くことに。
「グゥはスゥの分まで感謝します。ご馳走になりました」
眠りこけるスゥを背負って、一礼して去っていくグゥの背中で、うっすら目を開けてひらひらと手を振るスゥ。
それぞれの楽しみ方をした村祭りは最後まで賑やかなままその幕を閉じたのだった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/17 21:19:14 |