ゲスト
(ka0000)
【不動】東方の使者と、聖地にて。
マスター:四月朔日さくら

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/05/22 15:00
- 完成日
- 2015/05/27 20:36
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
――聖地、奪還。
その報は、瞬く間に諸国を駆け巡った。
しかし、その戦いで得たものも大きいが、失ったものもまた、大きい。
特にCAM実験施設とそれに付随している開拓地「ホープ」は大きな被害を出しており、復興には大きく時間がかかるであろうと思われる。
いっぽう、聖地はと言えば、その守りの要たる白龍を喪った。
今回の作戦においては災厄の十三魔の攻撃もあったが、ハンターのみならず白龍のおかげで持ちこたえられたようなものかも知れない。
そして今、聖地は――未だかつて無いほどの人であふれかえっていた。
巫女、そして東方からの使者。更にそれらのサポートとして入った多くのハンターたち。
それまでほとんど閉じられた空間ともいえる聖地だけに、巫女の多くも困惑を隠せない様子でいるようだった。
その聖地に、彼女――リムネラ(kz0018)はヘレをつれて戻ってきたのである。
●
「大巫女様!」
声を上げれば、がっしりとした体躯の女性――大巫女が懐かしそうに手を広げ、少女を抱き留める。
「リムネラじゃないか! リゼリオにいなくていいのかい?」
大巫女は大きな声で、心配そうに問いかける。
「ああ、エエ。ソウ言えば、白龍は――」
リムネラの言葉に、大巫女は小さく肩を落とした。しかし、すぐに笑顔を浮かべると、声を張り上げて笑って見せた。彼女なりの強がりでもあるのだろう。
「まあ、今のところ一番の脅威は去ったと思うさね。それより、お前が戻ってくるというのも、ずいぶんなことだと思うけれど?」
「ハイ……。実は、東方からの使者と、会談の場を設けたいのデス」
リムネラは拙い言葉ながらに説明する。
現在東方との接触が出来る場所は数限られていると言うこと。
エトファリカと連邦国についての知識は西方地域に余りにも少ないこと。
そしてエトファリカの知識を手に入れる為に、東方への興味を抱いているハンターが多くいること――
ふむふむと頷いていた大巫女は、一通り聞き終わってから口を開いた。
「東方の使者どの――もっとも、リーダー格の女人は何やら忙しそうだけどね、やはりこちらとの交渉の場を持ちたいというのは聞いているよ。ハンターなら、きっとむこうの力にもなれるだろう。あたしらは巫女という中立の立場にあるし、立会人として話を進めさせて貰ってもいいんじゃないかね?」
更に言えばリムネラはユニオンリーダーの役も引き受けている。ハンターズソサエティ側の立会人もいるとなれば、話は更に円滑に進む――かも知れない。
「とりあえず、一にも二にも話をしてみることさね。動かなければ、何も始まらないから、さ」
大巫女が笑う。リムネラも、頷き返した。
それから数日後、ハンター代表と東方からの使者の会談が、セッティングされることになるのであった。
「……ソウ言えば」
リムネラは小さく呟く。
「マタ浄化の儀式……しないと、デスね」
「夜煌祭かい? そうだね、今度は大がかりになるよ……聖地の巫女の、本領発揮さ」
そのつぶやきを聞き取ったのか、大巫女がにやりと笑った。
自信を感じさせるその不敵な笑みに、リムネラは期待を込めて頷いたのだ。
――聖地、奪還。
その報は、瞬く間に諸国を駆け巡った。
しかし、その戦いで得たものも大きいが、失ったものもまた、大きい。
特にCAM実験施設とそれに付随している開拓地「ホープ」は大きな被害を出しており、復興には大きく時間がかかるであろうと思われる。
いっぽう、聖地はと言えば、その守りの要たる白龍を喪った。
今回の作戦においては災厄の十三魔の攻撃もあったが、ハンターのみならず白龍のおかげで持ちこたえられたようなものかも知れない。
そして今、聖地は――未だかつて無いほどの人であふれかえっていた。
巫女、そして東方からの使者。更にそれらのサポートとして入った多くのハンターたち。
それまでほとんど閉じられた空間ともいえる聖地だけに、巫女の多くも困惑を隠せない様子でいるようだった。
その聖地に、彼女――リムネラ(kz0018)はヘレをつれて戻ってきたのである。
●
「大巫女様!」
声を上げれば、がっしりとした体躯の女性――大巫女が懐かしそうに手を広げ、少女を抱き留める。
「リムネラじゃないか! リゼリオにいなくていいのかい?」
大巫女は大きな声で、心配そうに問いかける。
「ああ、エエ。ソウ言えば、白龍は――」
リムネラの言葉に、大巫女は小さく肩を落とした。しかし、すぐに笑顔を浮かべると、声を張り上げて笑って見せた。彼女なりの強がりでもあるのだろう。
「まあ、今のところ一番の脅威は去ったと思うさね。それより、お前が戻ってくるというのも、ずいぶんなことだと思うけれど?」
「ハイ……。実は、東方からの使者と、会談の場を設けたいのデス」
リムネラは拙い言葉ながらに説明する。
現在東方との接触が出来る場所は数限られていると言うこと。
エトファリカと連邦国についての知識は西方地域に余りにも少ないこと。
そしてエトファリカの知識を手に入れる為に、東方への興味を抱いているハンターが多くいること――
ふむふむと頷いていた大巫女は、一通り聞き終わってから口を開いた。
「東方の使者どの――もっとも、リーダー格の女人は何やら忙しそうだけどね、やはりこちらとの交渉の場を持ちたいというのは聞いているよ。ハンターなら、きっとむこうの力にもなれるだろう。あたしらは巫女という中立の立場にあるし、立会人として話を進めさせて貰ってもいいんじゃないかね?」
更に言えばリムネラはユニオンリーダーの役も引き受けている。ハンターズソサエティ側の立会人もいるとなれば、話は更に円滑に進む――かも知れない。
「とりあえず、一にも二にも話をしてみることさね。動かなければ、何も始まらないから、さ」
大巫女が笑う。リムネラも、頷き返した。
それから数日後、ハンター代表と東方からの使者の会談が、セッティングされることになるのであった。
「……ソウ言えば」
リムネラは小さく呟く。
「マタ浄化の儀式……しないと、デスね」
「夜煌祭かい? そうだね、今度は大がかりになるよ……聖地の巫女の、本領発揮さ」
そのつぶやきを聞き取ったのか、大巫女がにやりと笑った。
自信を感じさせるその不敵な笑みに、リムネラは期待を込めて頷いたのだ。
リプレイ本文
●
会談前日。
「……よし、これで部屋の準備はいいかな」
ファン・リーエ(ka4772)は部屋を一通り見回してから、満足そうに頷いた。
畳というわけにはいかなかったが、綺麗な茣蓙を敷き詰めた部屋に座布団。東方――エトファリカ連邦国からの使者たちをもてなすため、おなじく東方出身のファンが先導して部屋のセッティングを行ったのである。
机を挟んで、使節団は向かい合うように座れるように配置された調度。
華美になりすぎるものは控え、しかし清潔感のある空間を作り上げる。
(東方……祖母や母の、故郷……ようやく、知ることが出来るのですね)
そんな期待に胸を高鳴らせているのは小柄なドワーフの少女、観那(ka4583)だ。彼女の一族はかつて東方から避難してきたと言うことで、東方に対する興味は並々ならぬものがある。会談中の口休めにと菓子や茶の用意をしているのも彼女だ。
「明日が楽しみだね、こりゃあ」
大巫女が様子を見にやってきた。後ろにはリムネラ(kz0018)も控えている。この場での最高責任者は大巫女であるため、リムネラもいまは静かにたたずむのみだ。
と、
「ま、小難しい話ばかりしても疲れるだろうさ。リムネラ、お前さんもソサエティやユニオンの名前を背負う立場なんだから、しゃんとおしよ」
「は、ハイ……」
まだ緊張の隠せない表情で、リムネラはこくりと頷いた。
●
そして、その日はやってきた。
東方からやってきた使節という集団は、大巫女やリムネラの姿を認めると慌てて礼をした。
「このたびは、お招き下さり申し訳ない」
あいにくリーダー格の少女朱夏(kz0116)は既に別の地に赴いたと言うことで、背筋をぴんと伸ばした三十路がらみの男が深く礼をする。後ろに控えている使節のものたちも同様に、深々と頭を下げた。
使節団のメンバーは、みなまちまちの服装をしていた。
禿頭の若い男性やいわゆる巫女装束を身に纏った清楚な女性、サムライ然とした男性に長い髪を一つに纏めた、古式ゆかしそうな服装に身を包んだ少年。
「あれ、リアルブルーにいた頃、本で見たことあります。陰陽師の服装に似ているみたいですね」
そんなことを横にいる君島 防人(ka0181)に話しかけているのは、守原 有希弥(ka0562)。どちらもリアルブルー出身の元軍人で、出身地方も同じである。かつてはどちらもCAMに搭乗する為の訓練をうけた立場であるが、それ故にこの会談においての話題も提供出来るだろうと参加した口である。
「こちらこそ、よろしく頼むよ。こっちはリムネラ。ハンターズソサエティで辺境のハンターを纏めるユニオン『ガーディナ』でリーダーを務めている巫女さ」
大巫女が呵々と笑って見せた。年齢による衰えを感じさせない巨躯は彼女の懐の広さもうかがえる。
「こちらこそ、こんな立派な会談の場を設けてもらえるなど、思ってもおりませなんだ。我々こそ、よろしくお頼み申す」
メンバーの中で最年長とみえる三十路がらみの男が、もう一度頭を下げた。
「そんなに頭を下げないでおくれ、東方の礼儀なんだろうけれど――」
さすがの大巫女も苦笑を浮かべざるを得ない。
と、そこへやってきたのはハンターたちだ。
「エトファリカの皆はん、ようこそ西方へ! 改めて歓迎します。うちはアカーシャ・ヘルメース(ka0473)、今回の会談で司会進行を務めさせて頂くことになっ取ります。若輩者ですが、よろしゅう頼みます」
亜麻色の髪の少女がそう言ってにっこりと微笑み、手を差し出す。握手を示す意思表示だが、それにすぐに対応出来たものは残念ながらいなかった。東方ではあまり握手の習慣がないとみえる。使節団たちはわずかに戸惑ったあと、曖昧な笑みを浮かべるのみだった。
しかし彼女はすぐに笑顔を見せて頷いた。地域が違えば文化の違いもあるというもの。東方のしきたりはこれから覚えていけばいい。そう頷きながら、彼女は会場となる部屋に彼らを案内したのだった。
「おお」
案内された部屋に入るなり、使節団が思わず声を上げる。
東方の人間にもどこか馴染みのある雰囲気の部屋は、昨日のうちにファンたちがセッティングしてあったものだ。
ちなみにそのファンは、東方出身であるという事情を考えて、司会の補佐を担当することになっている。
「東方の皆さんに馴染みのあるよう、出来る限りそれらしい調度を揃えてみました」
そう微笑むのは自らも巫女であるUisca Amhran(ka0754)。久々に出会う大巫女に笑顔を向ける彼女だったが、「まあ無茶なことはしないでおくれよ」という助言を頂いている。
巫女の正装をしたウィスカとリムネラ、そして大巫女はこの会談場でもひときわ目につく。ここが聖地と言うこともあるのだろうが。
大巫女が一番上座に座り、使節団のメンバーとハンターたちは向かい合うように席に着いた。
使節団が茣蓙に上がる前に履き物を脱いでいたのは一部のハンターに驚かれたようだったが、よく考えれば彼らの習慣であるのだろう、使節団はごく当たり前といった顔をしている。
さらに、使節団の中で刀を差していたものたちは、刀などの得物をそれぞれの右側に置いた。
刀を利き手側に置く――こうすることで即座に抜刀出来ないことになる。これもまた、相手に敵意を持っていないという意思表示だ。東方ではごく当たり前の仕草だが、初めて見るその光景にハンターたちは一瞬目を丸くする。
しかしファンにそのことをざっくり教えてもらうと、ハンターたちも納得がいった。特にリアルブルー出身者は映像でそんなシーンを見たことがある、と言う人もいたらしい。そう言う意味においても東方が、近いような遠いような、不思議な印象を受ける。
「それでは、会談を始めさせて貰います」
アカーシャが高らかに声を上げた。
●
とは言ってもまずはお互いの信用を得る為に自己紹介なども欠かせない。
「元宙軍特殊作戦部隊所属、君島防人だ。宜しく頼む」
防人はそう言いながら、リアルブルー式の敬礼をする。
「宙軍、というのは聞き慣れないかも知れませんが――」
そこで話し始めたのは有希弥。
「うちや君島さん、それにこちらのヴァレス・デュノフガリオ(ka4770)さんはリアルブルーの出身なんです」
すると、使節団でも年若そうな陰陽師風の少年がおお、と思わず声を上げる。
そして、そのままちょうど一年ほど前に起きたサルヴァトーレ・ロッソの大規模転移事件について説明した。
「……特に俺たちは皆元軍人で、CAMと呼ばれる機械に乗って戦うように教えられてきたんだ。この前の聖地奪還の際にも、CAMは使用されてるんだけど……」
言われて使節の何人かが、目を見開く。
「おお、もしやあの鉄の巨人のことか! いや、あれには驚かされましたぞ。しかしあれが伝説の蒼の世界の代物だったとは……」
サムライ風の男が何度も頷いていた。どうやら戦闘の様子を確かめる為に、彼は既に辺境のあちこちを歩き回っていたらしい。慣れない場所での移動も大変だったろうが、自分の足と眼で探す調査もかかしてはいなかったと言うことなのだろう。もっとも、それが伝説の異世界のものという認識はさすがになかったらしいが。
「西方は実にこの一年慌ただしかったんよ。歪虚の活動が活発になったりして、うちらも頑張って退治をしてきてるんやけど……」
アカーシャの補足に、ハンターたちは頷く。すると使節のものたちも顔を見合わせ、そしてうなずき合った。
「なるほど。……さすればお聞かせ願えないだろうか、西方の今のあるや等を」
三十路がらみの男が、そう言って話を促した。
会談が、本格的に始まった。
●
「まず、ハンターと、ハンターズソサエティについて説明しますね」
観那が微笑む。たしかに、ハンターと言われても、東方のものたちにはすぐに理解出来ないに違いない。
「一般的には、覚醒者は基本的に、ハンターズソサエティという団体に所属することにより、ハンターという身分を得ることになります」
ハンターズソサエティを知らない人でもわかるように、わかりやすい表現を心がける。そして、エルバッハ・リオン(ka2434)も、さらに言葉を続ける。
「ハンターの仕事は歪虚と戦うこと。そして、ハンターズソサエティは基本的に中立の立場で、特定の国家に属してはいません。依頼を適正な価格で引き受ける、一種の人材派遣組織といったところです」
「そのハンターズソサエティと密接に繋がっている団体が、ユニオンです。出身地や、自らの興味のある場所に由来するユニオンに所属する方が多いですね」
王国、帝国、同盟――それに辺境。それぞれの特色を、わかりやすく説明する。
さらに、辺境ユニオンのリーダーがそこにいる年若い巫女・リムネラと説明すると、使節の巫女装束の女性も驚いたようだった。
「若い女人でつとまるものなのですか?」
「皆サンのお手伝いのおかげデ、何とかなってマスよ」
リムネラはにっこりと笑顔を浮かべる。
(……おそらくわかるとは思うが、西方も一枚岩という状態ではないからな)
そう考えるのは防人。更に東方が加わることでのパワーバランスの変化は十分予測のつくことだ。だからこそ好都合な救援と楽観視せず、厄介ごとを持ち込んでくる可能性も脳内でしっかり考えておく。
しかし『同じ人類』には変わりない。互助体制の構築が出来るのはきっと重要だ。だからこそ――この会談を穏便に済ませねば、ならない。
この一年で起きたことや、西方地域のざっくりとした説明を終えてから、
「詳しく聞きたいことがあったらまたそれはそれで伺いましょか。こちらからも聞きたいこと、たくさんありますし」
アカーシャが、にっこり笑う。
この会談の焦点は、いよいよだ。
●
観那の準備した茶と菓子が振る舞われ、それを口にしながら一息つきながら、ハンターたちと施設たちは牽制し合うようにチラチラとお互いを見やる。
それから、口を開いたのはウィスカだった。
「……聖地奪還のご助力は、本当にありがとうございました。今後、歪虚に怪我された聖地や辺境各地を浄化しなくてはならないのですが……そのためにも、私達巫女は夜煌祭という儀式をとり行う予定です」
そうですよね? と大巫女を見やると、彼女は「いかにも」と頷いた。
「ところで、当方にはこの夜煌祭のような、歪虚の浄化術や結界術などは存在するのでしょうか?」
すると、陰陽師風の少年がこっくりと頷いた。
「エトファリカには巫術や結界術と呼ばれる独自の術があります。こちらの魔術とは異なるもので、自分もその巫術を使う符術師と呼ばれる存在です」
その言葉に、リアルブルー出身者は納得した、という表情を浮かべる。いわゆる肉体をはった戦闘系のクラスでなかったため、このような服装なのだろう。それに、もし思っているようなものなら、符術士というのはきっと陰陽師などとカテゴリの近い存在に違いない。
「そして、エトファリカには陰陽寮と呼ばれる組織があります。符術師の運用期間とされておりますが」
符術師の組織がちゃんとあると知って、魔術師であるエルバッハも安心する。類似の組織は西方にもある。きっとシステムも似ているのだろう。
「西方は今はこのように、王国や帝国といった複数の権力者が分割支配している状態だが、連邦国はどうなっている? また歪虚の状況も教えてもらえるとありがたい」
防人が慎重に問うと、サムライ風の男が小さく唇を噛み、それから言葉を発した。
「連邦国は……今、天ノ都以外の地域は完全に歪虚支配地域と等しいでござる。訓練を積んだ兵士なれば幹線道路のあるヒュウガの里程度までたどり着くことは可能でござる、が……代償も大きいのが現実でござる」
更に転移門もほぼ機能しないらしい。簡易転移門による一方通行的な転移は何とか出来るが、定設の転移門の機能は失われているに等しいと聞いて、ハンターたちもそこまでなのか、と顔を見合わせた。
「簡易転移門を使った方法で、俺たちがこちらにやってきた、と言うことだよ」
ファンがそこで補足を入れる。エトファリカからの使節としてやってきてから別れ、ハンターとしての登録を済ませてある彼女は、双方のフォロー役として適任だ。
「ちなみに工業技術や魔法技術というのはどうだろう?」
禿頭の男がその問いに答える。
「たしかに東方には東方で独自に発展した文化も多いのございますが……先ほど言いましたとおり、相互の技術交換となりますと、歪虚の掃討をせねば厳しかろうと思います」
西方の技術と通じるものもあるが、発展の仕方が異なると言うことらしい。更にその精度の違いや工房ごとの秘伝、それらを突き詰めると総合して東方の技術力は高いようだ。
ただ、現状のままではその技術を見ることも叶わない。歪虚を倒さねば、と言う目的の一つになるだろう。それは同時に、物流の交換も厳しいだろうと思われた。西方の名産品などとの物流が栄えれば、東方にも活気が出るかと思ったのだが――アカーシャは、少し肩を落とす。
「そうなると……東方からの転移はかなり危険も多いに違いないが、こちらに来た理由は」
「お察しの通り。エトファリカ――いや東方はかなりの窮地に立たされておる。西方の国家に、救援を求めるに至ったのだ。現状において、ほとんどの国が機能を停止しておる。東方で人類に残されているのは唯一天ノ都のみ――このままでは滅ぶと判断した帝のご英断であられる」
そのための防衛戦力もいくらか割かれている、と言うことで、それはつまり東方が予想以上に切羽詰まった状態であることを示していた。
●
「そういえば、先ほども言ったけれど」
サルヴァトーレ・ロッソの大規模転移事件。それに相当するような大規模転移はなかったか、と尋ねたのは有希弥。
「そこまでのものは……聞いたことございませんね。むしろ、こちらに来て驚いているくらいですので」
巫女装束の女が、そう言って小さく頷く。
「あと。東方の政治体制などについては……?」
「スメラギ殿を帝として、帝を頂点とした政府「朝廷」がござるな。その一方で「武家」――歪虚討伐の任を負う集団でござるが、これらも力を蓄え、「武家四十八家門」を中心に帝に忠誠を尽くしているのでござる。ただ、武家が肥大化することによってその軍事力を監督するための組織が必要となり「幕府」という大に政府を新設するに至ったのでござる。その頂点を、「征夷大将軍」と呼ぶのでござる……ただ、いまは……本来の役割を、双方ともに果たせていないのが実情でござる。今の征夷大将軍は八代目、立花院 紫草殿でござる」
サムライ風の男が説明してくれた。
有希弥はそれを聞いて、故郷の歴史を思い出す。似たような文化をたどっているのだな、とぼんやり感じていた。
「かつては朝廷と幕府の権力争いがあった時期もありもうしたが、歪虚という共通の敵が現れてからは総力を挙げて対処しておる。ただ……歪虚の攻勢に前線の後退を余儀なくされ、結果として天ノ都周辺以外は奪われておりまする。かつての四十八家門のほとんども滅び、陰陽寮の巫術師も少なくなっておる現在、予断を許せぬ状況であることは間違いないのだ」
リーダー格の三十路がらみの男が、現状を補足してやる。危険な状態であるのは理解出来ていたが、そこまでとは。
「あと、西方には災厄の十三魔と呼ばれる強力な歪虚がいます。ハンターの力で撃退してもいるのですが……東方にはそのような強力な歪虚の存在は確認されていますか?」
ウィスカが声を出す。
「そう呼ばれる歪虚の存在はありません……が、強力な歪虚として、山本五郎左衛門、悪路王と言った名前はよく耳にいたします。もっとも伝承的な存在と思われることも多いのですが」
陰陽師風の少年がそう、大きくない声で呟く。歪虚はその存在が脅威の為、あまり大きな声で言いたくないのだろう。
「ちなみにどんな戦術を?」
「こちらは防衛戦力の圧倒的な不足ゆえ、奇襲攻撃が主体であるな。ただ、攻撃を仕掛けることは今や随分と減ってしまっているが」
禿頭の男はため息をついた。ここまでのことを考えて、気詰まりも起こしてしまっているのだろう。
「更に、先ほどもちらりとでましたが、符術師や侍といった人材そのものが大幅に減少しておりまして……どなたかの意図かはわかりかねるのですが……いまは符術や結界に必要な人手が足りず、それらを展開するのは厳しいのが現実です」
巫女装束の女が、小さく目を伏せた。しかし、『いまは』と言うことは、もしかしたらなにがしかの希望があるのかも知れない。もっとも、それが何かまではわからないが。
「そういえば歪虚には分類があるのはなんとなく理解出来ていると思うが、エトファリカを脅かす歪虚はどの分類に属するのか」
ファンは、自らの仕入れてきた歪虚の分類を簡単に説明し、それからそう尋ねる。自身で故郷の歪虚をはっきり見たというわけではないので、わかる人がいればと尋ねたのである。
「……その中で言うと、おそらくは憤怒、ですな。もっとも、変則的な勢力の変化はありまするが」
リーダー格の男は、そう言って頷いた。伝承にある存在たちも、思えばそんな感じなのだろう。そして勢力の変則的な変化――は、たとえばこの間の聖地奪還のときのような、怠惰の軍勢に十三魔が関わってきたようなときのことを指しているに違いない。
ふむふむ、と質問の回答に頷くハンターたち。
一方で、東方の使者たちも鋭い問いかけに内心驚いていた。普段はあまり気になっていなかったことも、それを知らぬ人からすればそれだけで話題を引き出すきっかけになるのだから。ちらちらと視線を交わしながら、その理解力に緊張していた。
●
「聖地の白龍は消滅してしまいましたが……」
観那がおそるおそる問う。
「東方を守護するという黒龍。この結界はどれほど持ちこたえられると思われますか?」
大巫女の顔にも緊張が走った。
白龍の消滅によって、黒龍にも影響がある可能性はゼロではないだろう。
「……それは、」
巫女装束の女が、言葉を一瞬詰まらせる。
「白龍が消滅したことによって、その対となる黒龍の力も弱まっていると思われます。すぐに消滅……と言うことは流石にないでしょうが、こちらも予断を許せない状況になりつつあります」
そう言って、女は顔を伏せる。大巫女やリムネラ、ウィスカも同様に。
龍の存在に近しい巫女たちは、それだけ龍を尊いものと認識している。だからこそ、その話は苦々しく苦しいのだった。
「それから、ゲートなのですが」
質問はまだ続く。何しろ東方との本格的接触は今まで類を見ないのだ、どうしても知りたいこと、教えたいこと、山のように出てくる。
「転移門は、大聖堂に繋がっているもの以外に作成は可能ですか? また、東方地域内を移動する為のゲートは存在しないのですか?」
「転移門は、これも黒龍の力で局所的に開放された状態なのです」
少年が応じる。
「それ以外のゲートは、現状開かれていません。東方内の転移門も、歪虚支配下地域は沈黙した状態です」
もともとハンターズソサエティの転移門というのはたとえて言うなら定期航路のようなもの。今回東方の使者たちが使ったのは仮設のものという認識がどうやら一番近いようだ。しかも東方からのものは基本的に一方通行と聞いている。使用するのはさまざまな意味で難しいだろう。
「あとは、私たちのようなハンターが所属するハンターズソサエティと類似した組織は存在するのですか?」
その問いかけにはリーダー格が首を横に振る。
「いや、そこまで組織だったものは存在しないのだ。ゆえ、もし可能なれば必要になったときにはハンターズソサエティの支部というか、出張所、これを作って頂こうと思っている次第。西方の方々にも、手伝って貰うことはまだまだ多くございますゆえ」
なるほど。これも彼らの目的の一つであったのかとハンターたちも納得した。たしかにハンターズソサエティのような組織とのつながりが出来れば、西方のハンターと東方のハンターの接点も大きくなる。
いまは西方のハンターズソサエティに所属しているファンのようにせずとも、いずれは東方にもハンターズソサエティの支部が出来ればそこに所属することも出来るだろう。……もっとも、まだまだ実現にはほど遠いだろうが。
●
「今後のご予定というのはありますでしょうか?」
エルバッハが尋ねる。緑茶をすすりながら。禿頭の男が、その問いかけに応じた。
「先発隊としての役目はそろそろ我々は終わりですからな。帰還したら、天ノ都の防衛戦力と合流し、敵の進軍を食い止めるつもりです。結界が展開されていても少数の歪虚の侵入があることがあるので、それらの対処や逃げ遅れた民の救援などを行い、体制の立て直しを優先するつもりです」
と言うことは、彼らはまもなく帰還するのだろう。その前に話すことが出来てよかったと、ハンターたちも巫女たちも、しみじみと感じた。
「それと、これは個人的興味もあっての問いだけど……舟屋の生活というのはどう言うものなのかな? 特に情報の共有について、興味があるんだけど」
ヴァレスが問う。
「いえ、リアルブルーはスペースコロニーという巨大な人工的居住物を作っていたからね。どことなく似ているなと思ったんだ」
問うた理由に納得する使者たち。しかし、その返事はあまりほほえましいとは言えないものだった。
「舟屋はたしかに存在するでござる。されど、いまはそれらのある海に面した地域も歪虚の支配地域でござる。舟屋で生活するものは今はいないでござるよ。かつては、舟屋同士の連絡というのは節減したり伝書用の鳥を使ったり、そうやって情報を共有していたと聞いているでござるが」
一瞬の沈黙。
やはり予想以上に東方の状況は厳しいらしい。
●
「手伝えることがあれば、俺たちも力を惜しまない」
防人はゆっくりと口にした。
「ただ、ハンターに力を借りるなら、ソサエティをと推して頂くことになる。詳しい説明はおそらく聞いていると思うが」
見れば彼は菓子の類に一切口をつけていない。軍人としての癖なのだろう。
司会進行のアカーシャはしかし、会談自体は成功していることに胸をなで下ろしていた。
こちらから聞きたいことはだいたい聞き出せたと思う。
そして、こちらから提供すべき情報も、おおよそ与えることが出来ただろう。
「まあ、まだ東方とのやりとりは始まったばかりや。これからどう変化するか、それを模索することは十分に出来る。……そういえば、この会談の内容やけど、西方諸地域のお偉いさんの手元にも渡るように手配してええかな?」
アカーシャが、にっこり笑って尋ねる――目は笑っていないが。
東方の情報をこの場限りのものにするのはさまざまな意味で惜しい。情報を西方地域で共有し合うことにより、東方への援助の、なにがしかのきっかけが出来る可能性は高いのだ。
「それは勿論かまいませぬ。我々も、多くの知識を得ることが出来ましたゆえ」
リーダー格の男がそう言って笑う。……見た目よりも年齢が上そうな、理知的な笑みだった。
●
「お疲れさまでした。会談も終わりましたし、お食事を用意したのですが」
笑顔を見せたのはウィスカ。手には大きな鍋を持っている。
「祖霊たる動物……雉をともに食すのは、私たちの部族では、相手を同胞と認めた証なんです」
ほう、と瞬きをする使節の者たち。とはいえ、大巫女は少しばかり難しい顔。
――初対面である相手の習俗を知らぬままにすすめてしまうのは、場合によっては相手に不快感を与えてしまわないだろうか、と言う危惧をしたからだ。特に相手は西方と勝手の違う東方の使節。もし肉食をよしとしなければどうするのか、そこがわからない相手へのもてなしとしては、大巫女からすればやや不適切に感じられてしまったのである。
「まったく、ウィスカは本当に奔放だねぇ」
ため息をつきながら、大巫女はしかし苦笑する。
「しかし東方の御仁とこうやって語り合ったり、食事をともにする機会があるとは思わなかったよ。何しろ、ずっと断絶状態だったからね」
「ワタシも、驚いていマス……伝説のような場所、デスから」
リムネラも頷いた。
「東方の御仁よ、エトファリカに戻ったら是非に伝えておくれ。我々西方のものも、出来ることは手伝うつもりだとね」
その言葉が辺境の中立と呼ばれる巫女、それも大巫女から出ると思わず。ハンターたちは、わずかに顔を見合わせる。
しかし、きっと何かが彼女の眼鏡にかなったのだろう――彼らも、それを理解して頷いた。
「東方への助力、ありがたく受けさせて貰いまする」
リーダー格の男が、深く頭を下げた。正座のままで。
「人が困っているときに手をさしのべるのは当然だからね」
「そうです。私たちも、それを思って皆さんからお話しを聞こうと思ったんですから」
ハンターたちも口々にいい、そして笑いあう。
それを酷く救いに感じたのだろう。
東方の使者たちは、更に深く頭を下げたのだった。
――そして、東方の使者たちは去って行く。
次は、エトファリカの危機を救う為のハンターを探す為に。
ハンターたちも、彼らの言葉を胸に刻む。
助けを求める声に応える為に。
会談前日。
「……よし、これで部屋の準備はいいかな」
ファン・リーエ(ka4772)は部屋を一通り見回してから、満足そうに頷いた。
畳というわけにはいかなかったが、綺麗な茣蓙を敷き詰めた部屋に座布団。東方――エトファリカ連邦国からの使者たちをもてなすため、おなじく東方出身のファンが先導して部屋のセッティングを行ったのである。
机を挟んで、使節団は向かい合うように座れるように配置された調度。
華美になりすぎるものは控え、しかし清潔感のある空間を作り上げる。
(東方……祖母や母の、故郷……ようやく、知ることが出来るのですね)
そんな期待に胸を高鳴らせているのは小柄なドワーフの少女、観那(ka4583)だ。彼女の一族はかつて東方から避難してきたと言うことで、東方に対する興味は並々ならぬものがある。会談中の口休めにと菓子や茶の用意をしているのも彼女だ。
「明日が楽しみだね、こりゃあ」
大巫女が様子を見にやってきた。後ろにはリムネラ(kz0018)も控えている。この場での最高責任者は大巫女であるため、リムネラもいまは静かにたたずむのみだ。
と、
「ま、小難しい話ばかりしても疲れるだろうさ。リムネラ、お前さんもソサエティやユニオンの名前を背負う立場なんだから、しゃんとおしよ」
「は、ハイ……」
まだ緊張の隠せない表情で、リムネラはこくりと頷いた。
●
そして、その日はやってきた。
東方からやってきた使節という集団は、大巫女やリムネラの姿を認めると慌てて礼をした。
「このたびは、お招き下さり申し訳ない」
あいにくリーダー格の少女朱夏(kz0116)は既に別の地に赴いたと言うことで、背筋をぴんと伸ばした三十路がらみの男が深く礼をする。後ろに控えている使節のものたちも同様に、深々と頭を下げた。
使節団のメンバーは、みなまちまちの服装をしていた。
禿頭の若い男性やいわゆる巫女装束を身に纏った清楚な女性、サムライ然とした男性に長い髪を一つに纏めた、古式ゆかしそうな服装に身を包んだ少年。
「あれ、リアルブルーにいた頃、本で見たことあります。陰陽師の服装に似ているみたいですね」
そんなことを横にいる君島 防人(ka0181)に話しかけているのは、守原 有希弥(ka0562)。どちらもリアルブルー出身の元軍人で、出身地方も同じである。かつてはどちらもCAMに搭乗する為の訓練をうけた立場であるが、それ故にこの会談においての話題も提供出来るだろうと参加した口である。
「こちらこそ、よろしく頼むよ。こっちはリムネラ。ハンターズソサエティで辺境のハンターを纏めるユニオン『ガーディナ』でリーダーを務めている巫女さ」
大巫女が呵々と笑って見せた。年齢による衰えを感じさせない巨躯は彼女の懐の広さもうかがえる。
「こちらこそ、こんな立派な会談の場を設けてもらえるなど、思ってもおりませなんだ。我々こそ、よろしくお頼み申す」
メンバーの中で最年長とみえる三十路がらみの男が、もう一度頭を下げた。
「そんなに頭を下げないでおくれ、東方の礼儀なんだろうけれど――」
さすがの大巫女も苦笑を浮かべざるを得ない。
と、そこへやってきたのはハンターたちだ。
「エトファリカの皆はん、ようこそ西方へ! 改めて歓迎します。うちはアカーシャ・ヘルメース(ka0473)、今回の会談で司会進行を務めさせて頂くことになっ取ります。若輩者ですが、よろしゅう頼みます」
亜麻色の髪の少女がそう言ってにっこりと微笑み、手を差し出す。握手を示す意思表示だが、それにすぐに対応出来たものは残念ながらいなかった。東方ではあまり握手の習慣がないとみえる。使節団たちはわずかに戸惑ったあと、曖昧な笑みを浮かべるのみだった。
しかし彼女はすぐに笑顔を見せて頷いた。地域が違えば文化の違いもあるというもの。東方のしきたりはこれから覚えていけばいい。そう頷きながら、彼女は会場となる部屋に彼らを案内したのだった。
「おお」
案内された部屋に入るなり、使節団が思わず声を上げる。
東方の人間にもどこか馴染みのある雰囲気の部屋は、昨日のうちにファンたちがセッティングしてあったものだ。
ちなみにそのファンは、東方出身であるという事情を考えて、司会の補佐を担当することになっている。
「東方の皆さんに馴染みのあるよう、出来る限りそれらしい調度を揃えてみました」
そう微笑むのは自らも巫女であるUisca Amhran(ka0754)。久々に出会う大巫女に笑顔を向ける彼女だったが、「まあ無茶なことはしないでおくれよ」という助言を頂いている。
巫女の正装をしたウィスカとリムネラ、そして大巫女はこの会談場でもひときわ目につく。ここが聖地と言うこともあるのだろうが。
大巫女が一番上座に座り、使節団のメンバーとハンターたちは向かい合うように席に着いた。
使節団が茣蓙に上がる前に履き物を脱いでいたのは一部のハンターに驚かれたようだったが、よく考えれば彼らの習慣であるのだろう、使節団はごく当たり前といった顔をしている。
さらに、使節団の中で刀を差していたものたちは、刀などの得物をそれぞれの右側に置いた。
刀を利き手側に置く――こうすることで即座に抜刀出来ないことになる。これもまた、相手に敵意を持っていないという意思表示だ。東方ではごく当たり前の仕草だが、初めて見るその光景にハンターたちは一瞬目を丸くする。
しかしファンにそのことをざっくり教えてもらうと、ハンターたちも納得がいった。特にリアルブルー出身者は映像でそんなシーンを見たことがある、と言う人もいたらしい。そう言う意味においても東方が、近いような遠いような、不思議な印象を受ける。
「それでは、会談を始めさせて貰います」
アカーシャが高らかに声を上げた。
●
とは言ってもまずはお互いの信用を得る為に自己紹介なども欠かせない。
「元宙軍特殊作戦部隊所属、君島防人だ。宜しく頼む」
防人はそう言いながら、リアルブルー式の敬礼をする。
「宙軍、というのは聞き慣れないかも知れませんが――」
そこで話し始めたのは有希弥。
「うちや君島さん、それにこちらのヴァレス・デュノフガリオ(ka4770)さんはリアルブルーの出身なんです」
すると、使節団でも年若そうな陰陽師風の少年がおお、と思わず声を上げる。
そして、そのままちょうど一年ほど前に起きたサルヴァトーレ・ロッソの大規模転移事件について説明した。
「……特に俺たちは皆元軍人で、CAMと呼ばれる機械に乗って戦うように教えられてきたんだ。この前の聖地奪還の際にも、CAMは使用されてるんだけど……」
言われて使節の何人かが、目を見開く。
「おお、もしやあの鉄の巨人のことか! いや、あれには驚かされましたぞ。しかしあれが伝説の蒼の世界の代物だったとは……」
サムライ風の男が何度も頷いていた。どうやら戦闘の様子を確かめる為に、彼は既に辺境のあちこちを歩き回っていたらしい。慣れない場所での移動も大変だったろうが、自分の足と眼で探す調査もかかしてはいなかったと言うことなのだろう。もっとも、それが伝説の異世界のものという認識はさすがになかったらしいが。
「西方は実にこの一年慌ただしかったんよ。歪虚の活動が活発になったりして、うちらも頑張って退治をしてきてるんやけど……」
アカーシャの補足に、ハンターたちは頷く。すると使節のものたちも顔を見合わせ、そしてうなずき合った。
「なるほど。……さすればお聞かせ願えないだろうか、西方の今のあるや等を」
三十路がらみの男が、そう言って話を促した。
会談が、本格的に始まった。
●
「まず、ハンターと、ハンターズソサエティについて説明しますね」
観那が微笑む。たしかに、ハンターと言われても、東方のものたちにはすぐに理解出来ないに違いない。
「一般的には、覚醒者は基本的に、ハンターズソサエティという団体に所属することにより、ハンターという身分を得ることになります」
ハンターズソサエティを知らない人でもわかるように、わかりやすい表現を心がける。そして、エルバッハ・リオン(ka2434)も、さらに言葉を続ける。
「ハンターの仕事は歪虚と戦うこと。そして、ハンターズソサエティは基本的に中立の立場で、特定の国家に属してはいません。依頼を適正な価格で引き受ける、一種の人材派遣組織といったところです」
「そのハンターズソサエティと密接に繋がっている団体が、ユニオンです。出身地や、自らの興味のある場所に由来するユニオンに所属する方が多いですね」
王国、帝国、同盟――それに辺境。それぞれの特色を、わかりやすく説明する。
さらに、辺境ユニオンのリーダーがそこにいる年若い巫女・リムネラと説明すると、使節の巫女装束の女性も驚いたようだった。
「若い女人でつとまるものなのですか?」
「皆サンのお手伝いのおかげデ、何とかなってマスよ」
リムネラはにっこりと笑顔を浮かべる。
(……おそらくわかるとは思うが、西方も一枚岩という状態ではないからな)
そう考えるのは防人。更に東方が加わることでのパワーバランスの変化は十分予測のつくことだ。だからこそ好都合な救援と楽観視せず、厄介ごとを持ち込んでくる可能性も脳内でしっかり考えておく。
しかし『同じ人類』には変わりない。互助体制の構築が出来るのはきっと重要だ。だからこそ――この会談を穏便に済ませねば、ならない。
この一年で起きたことや、西方地域のざっくりとした説明を終えてから、
「詳しく聞きたいことがあったらまたそれはそれで伺いましょか。こちらからも聞きたいこと、たくさんありますし」
アカーシャが、にっこり笑う。
この会談の焦点は、いよいよだ。
●
観那の準備した茶と菓子が振る舞われ、それを口にしながら一息つきながら、ハンターたちと施設たちは牽制し合うようにチラチラとお互いを見やる。
それから、口を開いたのはウィスカだった。
「……聖地奪還のご助力は、本当にありがとうございました。今後、歪虚に怪我された聖地や辺境各地を浄化しなくてはならないのですが……そのためにも、私達巫女は夜煌祭という儀式をとり行う予定です」
そうですよね? と大巫女を見やると、彼女は「いかにも」と頷いた。
「ところで、当方にはこの夜煌祭のような、歪虚の浄化術や結界術などは存在するのでしょうか?」
すると、陰陽師風の少年がこっくりと頷いた。
「エトファリカには巫術や結界術と呼ばれる独自の術があります。こちらの魔術とは異なるもので、自分もその巫術を使う符術師と呼ばれる存在です」
その言葉に、リアルブルー出身者は納得した、という表情を浮かべる。いわゆる肉体をはった戦闘系のクラスでなかったため、このような服装なのだろう。それに、もし思っているようなものなら、符術士というのはきっと陰陽師などとカテゴリの近い存在に違いない。
「そして、エトファリカには陰陽寮と呼ばれる組織があります。符術師の運用期間とされておりますが」
符術師の組織がちゃんとあると知って、魔術師であるエルバッハも安心する。類似の組織は西方にもある。きっとシステムも似ているのだろう。
「西方は今はこのように、王国や帝国といった複数の権力者が分割支配している状態だが、連邦国はどうなっている? また歪虚の状況も教えてもらえるとありがたい」
防人が慎重に問うと、サムライ風の男が小さく唇を噛み、それから言葉を発した。
「連邦国は……今、天ノ都以外の地域は完全に歪虚支配地域と等しいでござる。訓練を積んだ兵士なれば幹線道路のあるヒュウガの里程度までたどり着くことは可能でござる、が……代償も大きいのが現実でござる」
更に転移門もほぼ機能しないらしい。簡易転移門による一方通行的な転移は何とか出来るが、定設の転移門の機能は失われているに等しいと聞いて、ハンターたちもそこまでなのか、と顔を見合わせた。
「簡易転移門を使った方法で、俺たちがこちらにやってきた、と言うことだよ」
ファンがそこで補足を入れる。エトファリカからの使節としてやってきてから別れ、ハンターとしての登録を済ませてある彼女は、双方のフォロー役として適任だ。
「ちなみに工業技術や魔法技術というのはどうだろう?」
禿頭の男がその問いに答える。
「たしかに東方には東方で独自に発展した文化も多いのございますが……先ほど言いましたとおり、相互の技術交換となりますと、歪虚の掃討をせねば厳しかろうと思います」
西方の技術と通じるものもあるが、発展の仕方が異なると言うことらしい。更にその精度の違いや工房ごとの秘伝、それらを突き詰めると総合して東方の技術力は高いようだ。
ただ、現状のままではその技術を見ることも叶わない。歪虚を倒さねば、と言う目的の一つになるだろう。それは同時に、物流の交換も厳しいだろうと思われた。西方の名産品などとの物流が栄えれば、東方にも活気が出るかと思ったのだが――アカーシャは、少し肩を落とす。
「そうなると……東方からの転移はかなり危険も多いに違いないが、こちらに来た理由は」
「お察しの通り。エトファリカ――いや東方はかなりの窮地に立たされておる。西方の国家に、救援を求めるに至ったのだ。現状において、ほとんどの国が機能を停止しておる。東方で人類に残されているのは唯一天ノ都のみ――このままでは滅ぶと判断した帝のご英断であられる」
そのための防衛戦力もいくらか割かれている、と言うことで、それはつまり東方が予想以上に切羽詰まった状態であることを示していた。
●
「そういえば、先ほども言ったけれど」
サルヴァトーレ・ロッソの大規模転移事件。それに相当するような大規模転移はなかったか、と尋ねたのは有希弥。
「そこまでのものは……聞いたことございませんね。むしろ、こちらに来て驚いているくらいですので」
巫女装束の女が、そう言って小さく頷く。
「あと。東方の政治体制などについては……?」
「スメラギ殿を帝として、帝を頂点とした政府「朝廷」がござるな。その一方で「武家」――歪虚討伐の任を負う集団でござるが、これらも力を蓄え、「武家四十八家門」を中心に帝に忠誠を尽くしているのでござる。ただ、武家が肥大化することによってその軍事力を監督するための組織が必要となり「幕府」という大に政府を新設するに至ったのでござる。その頂点を、「征夷大将軍」と呼ぶのでござる……ただ、いまは……本来の役割を、双方ともに果たせていないのが実情でござる。今の征夷大将軍は八代目、立花院 紫草殿でござる」
サムライ風の男が説明してくれた。
有希弥はそれを聞いて、故郷の歴史を思い出す。似たような文化をたどっているのだな、とぼんやり感じていた。
「かつては朝廷と幕府の権力争いがあった時期もありもうしたが、歪虚という共通の敵が現れてからは総力を挙げて対処しておる。ただ……歪虚の攻勢に前線の後退を余儀なくされ、結果として天ノ都周辺以外は奪われておりまする。かつての四十八家門のほとんども滅び、陰陽寮の巫術師も少なくなっておる現在、予断を許せぬ状況であることは間違いないのだ」
リーダー格の三十路がらみの男が、現状を補足してやる。危険な状態であるのは理解出来ていたが、そこまでとは。
「あと、西方には災厄の十三魔と呼ばれる強力な歪虚がいます。ハンターの力で撃退してもいるのですが……東方にはそのような強力な歪虚の存在は確認されていますか?」
ウィスカが声を出す。
「そう呼ばれる歪虚の存在はありません……が、強力な歪虚として、山本五郎左衛門、悪路王と言った名前はよく耳にいたします。もっとも伝承的な存在と思われることも多いのですが」
陰陽師風の少年がそう、大きくない声で呟く。歪虚はその存在が脅威の為、あまり大きな声で言いたくないのだろう。
「ちなみにどんな戦術を?」
「こちらは防衛戦力の圧倒的な不足ゆえ、奇襲攻撃が主体であるな。ただ、攻撃を仕掛けることは今や随分と減ってしまっているが」
禿頭の男はため息をついた。ここまでのことを考えて、気詰まりも起こしてしまっているのだろう。
「更に、先ほどもちらりとでましたが、符術師や侍といった人材そのものが大幅に減少しておりまして……どなたかの意図かはわかりかねるのですが……いまは符術や結界に必要な人手が足りず、それらを展開するのは厳しいのが現実です」
巫女装束の女が、小さく目を伏せた。しかし、『いまは』と言うことは、もしかしたらなにがしかの希望があるのかも知れない。もっとも、それが何かまではわからないが。
「そういえば歪虚には分類があるのはなんとなく理解出来ていると思うが、エトファリカを脅かす歪虚はどの分類に属するのか」
ファンは、自らの仕入れてきた歪虚の分類を簡単に説明し、それからそう尋ねる。自身で故郷の歪虚をはっきり見たというわけではないので、わかる人がいればと尋ねたのである。
「……その中で言うと、おそらくは憤怒、ですな。もっとも、変則的な勢力の変化はありまするが」
リーダー格の男は、そう言って頷いた。伝承にある存在たちも、思えばそんな感じなのだろう。そして勢力の変則的な変化――は、たとえばこの間の聖地奪還のときのような、怠惰の軍勢に十三魔が関わってきたようなときのことを指しているに違いない。
ふむふむ、と質問の回答に頷くハンターたち。
一方で、東方の使者たちも鋭い問いかけに内心驚いていた。普段はあまり気になっていなかったことも、それを知らぬ人からすればそれだけで話題を引き出すきっかけになるのだから。ちらちらと視線を交わしながら、その理解力に緊張していた。
●
「聖地の白龍は消滅してしまいましたが……」
観那がおそるおそる問う。
「東方を守護するという黒龍。この結界はどれほど持ちこたえられると思われますか?」
大巫女の顔にも緊張が走った。
白龍の消滅によって、黒龍にも影響がある可能性はゼロではないだろう。
「……それは、」
巫女装束の女が、言葉を一瞬詰まらせる。
「白龍が消滅したことによって、その対となる黒龍の力も弱まっていると思われます。すぐに消滅……と言うことは流石にないでしょうが、こちらも予断を許せない状況になりつつあります」
そう言って、女は顔を伏せる。大巫女やリムネラ、ウィスカも同様に。
龍の存在に近しい巫女たちは、それだけ龍を尊いものと認識している。だからこそ、その話は苦々しく苦しいのだった。
「それから、ゲートなのですが」
質問はまだ続く。何しろ東方との本格的接触は今まで類を見ないのだ、どうしても知りたいこと、教えたいこと、山のように出てくる。
「転移門は、大聖堂に繋がっているもの以外に作成は可能ですか? また、東方地域内を移動する為のゲートは存在しないのですか?」
「転移門は、これも黒龍の力で局所的に開放された状態なのです」
少年が応じる。
「それ以外のゲートは、現状開かれていません。東方内の転移門も、歪虚支配下地域は沈黙した状態です」
もともとハンターズソサエティの転移門というのはたとえて言うなら定期航路のようなもの。今回東方の使者たちが使ったのは仮設のものという認識がどうやら一番近いようだ。しかも東方からのものは基本的に一方通行と聞いている。使用するのはさまざまな意味で難しいだろう。
「あとは、私たちのようなハンターが所属するハンターズソサエティと類似した組織は存在するのですか?」
その問いかけにはリーダー格が首を横に振る。
「いや、そこまで組織だったものは存在しないのだ。ゆえ、もし可能なれば必要になったときにはハンターズソサエティの支部というか、出張所、これを作って頂こうと思っている次第。西方の方々にも、手伝って貰うことはまだまだ多くございますゆえ」
なるほど。これも彼らの目的の一つであったのかとハンターたちも納得した。たしかにハンターズソサエティのような組織とのつながりが出来れば、西方のハンターと東方のハンターの接点も大きくなる。
いまは西方のハンターズソサエティに所属しているファンのようにせずとも、いずれは東方にもハンターズソサエティの支部が出来ればそこに所属することも出来るだろう。……もっとも、まだまだ実現にはほど遠いだろうが。
●
「今後のご予定というのはありますでしょうか?」
エルバッハが尋ねる。緑茶をすすりながら。禿頭の男が、その問いかけに応じた。
「先発隊としての役目はそろそろ我々は終わりですからな。帰還したら、天ノ都の防衛戦力と合流し、敵の進軍を食い止めるつもりです。結界が展開されていても少数の歪虚の侵入があることがあるので、それらの対処や逃げ遅れた民の救援などを行い、体制の立て直しを優先するつもりです」
と言うことは、彼らはまもなく帰還するのだろう。その前に話すことが出来てよかったと、ハンターたちも巫女たちも、しみじみと感じた。
「それと、これは個人的興味もあっての問いだけど……舟屋の生活というのはどう言うものなのかな? 特に情報の共有について、興味があるんだけど」
ヴァレスが問う。
「いえ、リアルブルーはスペースコロニーという巨大な人工的居住物を作っていたからね。どことなく似ているなと思ったんだ」
問うた理由に納得する使者たち。しかし、その返事はあまりほほえましいとは言えないものだった。
「舟屋はたしかに存在するでござる。されど、いまはそれらのある海に面した地域も歪虚の支配地域でござる。舟屋で生活するものは今はいないでござるよ。かつては、舟屋同士の連絡というのは節減したり伝書用の鳥を使ったり、そうやって情報を共有していたと聞いているでござるが」
一瞬の沈黙。
やはり予想以上に東方の状況は厳しいらしい。
●
「手伝えることがあれば、俺たちも力を惜しまない」
防人はゆっくりと口にした。
「ただ、ハンターに力を借りるなら、ソサエティをと推して頂くことになる。詳しい説明はおそらく聞いていると思うが」
見れば彼は菓子の類に一切口をつけていない。軍人としての癖なのだろう。
司会進行のアカーシャはしかし、会談自体は成功していることに胸をなで下ろしていた。
こちらから聞きたいことはだいたい聞き出せたと思う。
そして、こちらから提供すべき情報も、おおよそ与えることが出来ただろう。
「まあ、まだ東方とのやりとりは始まったばかりや。これからどう変化するか、それを模索することは十分に出来る。……そういえば、この会談の内容やけど、西方諸地域のお偉いさんの手元にも渡るように手配してええかな?」
アカーシャが、にっこり笑って尋ねる――目は笑っていないが。
東方の情報をこの場限りのものにするのはさまざまな意味で惜しい。情報を西方地域で共有し合うことにより、東方への援助の、なにがしかのきっかけが出来る可能性は高いのだ。
「それは勿論かまいませぬ。我々も、多くの知識を得ることが出来ましたゆえ」
リーダー格の男がそう言って笑う。……見た目よりも年齢が上そうな、理知的な笑みだった。
●
「お疲れさまでした。会談も終わりましたし、お食事を用意したのですが」
笑顔を見せたのはウィスカ。手には大きな鍋を持っている。
「祖霊たる動物……雉をともに食すのは、私たちの部族では、相手を同胞と認めた証なんです」
ほう、と瞬きをする使節の者たち。とはいえ、大巫女は少しばかり難しい顔。
――初対面である相手の習俗を知らぬままにすすめてしまうのは、場合によっては相手に不快感を与えてしまわないだろうか、と言う危惧をしたからだ。特に相手は西方と勝手の違う東方の使節。もし肉食をよしとしなければどうするのか、そこがわからない相手へのもてなしとしては、大巫女からすればやや不適切に感じられてしまったのである。
「まったく、ウィスカは本当に奔放だねぇ」
ため息をつきながら、大巫女はしかし苦笑する。
「しかし東方の御仁とこうやって語り合ったり、食事をともにする機会があるとは思わなかったよ。何しろ、ずっと断絶状態だったからね」
「ワタシも、驚いていマス……伝説のような場所、デスから」
リムネラも頷いた。
「東方の御仁よ、エトファリカに戻ったら是非に伝えておくれ。我々西方のものも、出来ることは手伝うつもりだとね」
その言葉が辺境の中立と呼ばれる巫女、それも大巫女から出ると思わず。ハンターたちは、わずかに顔を見合わせる。
しかし、きっと何かが彼女の眼鏡にかなったのだろう――彼らも、それを理解して頷いた。
「東方への助力、ありがたく受けさせて貰いまする」
リーダー格の男が、深く頭を下げた。正座のままで。
「人が困っているときに手をさしのべるのは当然だからね」
「そうです。私たちも、それを思って皆さんからお話しを聞こうと思ったんですから」
ハンターたちも口々にいい、そして笑いあう。
それを酷く救いに感じたのだろう。
東方の使者たちは、更に深く頭を下げたのだった。
――そして、東方の使者たちは去って行く。
次は、エトファリカの危機を救う為のハンターを探す為に。
ハンターたちも、彼らの言葉を胸に刻む。
助けを求める声に応える為に。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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プレ置き場 アカーシャ・ヘルメース(ka0473) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/05/22 01:09:33 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/17 23:13:58 |
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![]() |
【相談卓】リタ・ティト会談 Uisca=S=Amhran(ka0754) エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/05/22 01:18:38 |