ゲスト
(ka0000)
躑躅と牡丹の祭典
マスター:秋月雅哉

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~50人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 8日
- 締切
- 2015/05/26 07:30
- 完成日
- 2015/05/26 21:57
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●春爛漫、花々は艶やかに咲き誇り
赤紫に似たピンク、花嫁衣装のような純白、珍しいものでは淡いオレンジ。
ツツジと牡丹をメインにした花園が最近オープンした。
種別ごとに分けて見やすくしたコースと、花の色をバランスよく織り交ぜて鮮やかな色どりを楽しめるコースがある。
牡丹の方も同様でこちらは大輪の花々が艶やかだ。
喫茶室では今が旬のエディブルフラワーを使った料理や、摘み取ったばかりのハーブティー、それらが苦手な人のために普通の料理やデザート、お茶に珈琲も用意されている。
少し離れた場所には芝が植えられ、お弁当を持参する人はそこで飲食を楽しむこともできる。
ツツジの花の蜜を吸える場所もあるがあまり大量に吸ってしまって花がなくなるのはご勘弁。
あとはご自由に、晩春と初夏の間の日差しの中、思い思いに楽しんでみてはいかがだろうか。
なお、見に来る人のための花園なので枝を折ったりするのはもちろんご法度。
植えてみたくなったら喫茶室横の園芸コーナーで苗木を買い求めるのがいいだろう。
自分で手入れした花はきっと、どんな花より雄弁に心に語りかけてくれるだろうから。
「今回もお礼としてツツジと牡丹メインの園にご招待を頂いたよ。喫茶室もあるけど、お弁当の持ち込みも可能。
花の蜜を吸ってみたい人はそれ専用の場所でね。
売店でもいろいろ売ってるみたいだし、園芸コーナーでは苗木だけじゃなく園芸道具一式がそろってるみたいだ。
この間の藤は幽玄な世界でそれはそれで楽しんでもらえたなら何よりだけど、このツツジ園で太陽の光を浴びながら咲き誇る花々の競演をみるのも楽しいんじゃないかな。
小夜子君も誘っているから、見かけたら声をかけてみるのもいいかもね。
僕もご一緒させてもらうよ。よかったら気軽に声をかけておくれ」
赤紫に似たピンク、花嫁衣装のような純白、珍しいものでは淡いオレンジ。
ツツジと牡丹をメインにした花園が最近オープンした。
種別ごとに分けて見やすくしたコースと、花の色をバランスよく織り交ぜて鮮やかな色どりを楽しめるコースがある。
牡丹の方も同様でこちらは大輪の花々が艶やかだ。
喫茶室では今が旬のエディブルフラワーを使った料理や、摘み取ったばかりのハーブティー、それらが苦手な人のために普通の料理やデザート、お茶に珈琲も用意されている。
少し離れた場所には芝が植えられ、お弁当を持参する人はそこで飲食を楽しむこともできる。
ツツジの花の蜜を吸える場所もあるがあまり大量に吸ってしまって花がなくなるのはご勘弁。
あとはご自由に、晩春と初夏の間の日差しの中、思い思いに楽しんでみてはいかがだろうか。
なお、見に来る人のための花園なので枝を折ったりするのはもちろんご法度。
植えてみたくなったら喫茶室横の園芸コーナーで苗木を買い求めるのがいいだろう。
自分で手入れした花はきっと、どんな花より雄弁に心に語りかけてくれるだろうから。
「今回もお礼としてツツジと牡丹メインの園にご招待を頂いたよ。喫茶室もあるけど、お弁当の持ち込みも可能。
花の蜜を吸ってみたい人はそれ専用の場所でね。
売店でもいろいろ売ってるみたいだし、園芸コーナーでは苗木だけじゃなく園芸道具一式がそろってるみたいだ。
この間の藤は幽玄な世界でそれはそれで楽しんでもらえたなら何よりだけど、このツツジ園で太陽の光を浴びながら咲き誇る花々の競演をみるのも楽しいんじゃないかな。
小夜子君も誘っているから、見かけたら声をかけてみるのもいいかもね。
僕もご一緒させてもらうよ。よかったら気軽に声をかけておくれ」
リプレイ本文
●芳しい、初夏の一日を
お礼としてツツジと牡丹を中心に植えられた花園へと招待を受けたハンターたちは思い思いに休日を楽しんでいた。
初夏の日差しを受け、風に揺れる花々は見た目に楽しく、空気が芳しくなったような錯覚を受けるほど艶やかで美しい。
「うっわー、綺麗な花がいっぱいだー!!」
アルカ・ブラックウェル(ka0790)は歓声を上げながら花々を見回す。
「ねぇ、カフカ。あの花は食べられるの?」
久々に兄妹水入らずで過ごせることにテンションはやや高め。
双子の兄であるカフカ・ブラックウェル(ka0794) は自分が知らないことを尋ねるとすぐに答えてくれる物知りな存在だった。
「これはまた、見事な花園だね……。
ツツジは蜜が吸えるけど、牡丹を食べるのは聞いたことがないな」
食い気全開の妹に苦笑気味ではあるが、今まで自分一人で出かけることが多かったのでアルカと出かけられることは素直にうれしい。
顔にはあまり出ていないが喜んでいるのはカフカも同様だった。
二人はまず喫茶室でエディブルフラワーの料理を楽しんだ後、のんびりと花園を散策することに。
花の説明をしながら見て回るとクルクルと表情を変えるアルカ、そしてそんな彼女を見て笑みをこぼすカフカははた目に見ても仲のいい兄妹だ。
視界に広がる鮮やかな世界に興味津々になったあまりうっかり兄を置いていきそうになった妹の腕をカフカが掴む。
「こーら。1人で先に行こうとするなよ。僕らは2人で1つなんだから」
「へへ……ごめーん。手、繋いで一緒に行こ、お兄ちゃん!」
手を繋ぎ、カフカの肩に頭を乗せて甘えるアルカにそっと自分も顔を寄せてカフカは妹と一緒に改めて歩き出した。
nil(ka2654) が生まれ、育ったのは山奥の何もないところだった。
本当はそこで生まれたかどうかも分からないけれど、咲く花は山百合か彼岸花。
ツツジや牡丹を見るのは初めてだった。
「……綺麗かどうかは、分からないけれど……いろんな色があって不思議……。
海のように……海のような色の花は、あるのかな……」
例えば夏の南国の海のような鮮やかなマリンブルーの花は、あるのだろうか。
辺りを見回すが鮮烈な蒼は残念ながら見つからない。
代わりに見つけたのは。
「あぁ、それね。リアルブルーから転移してきた時に突然変異が起きたみたいで、今数を増やせないかと計画中なんだよ」
足を止めたnilに花の手入れとガイドを兼任しているという花園の職員が声をかけた。
白いツツジの茎の方から花弁の方へと向けて、通常なら淡い赤やピンクの線が走っているように見える種類があるが、その突然変異したというツツジは淡い青の線が走っていた。
入道雲の中、青空を見つけたような。そんな不思議な気分になってnilは暫くその花をじっと見つめていた。
海は見つからなかったけれど、海によく似た空は見つけた。
「……苗木、買ったら私にも育てられるかな……。
不思議な花が咲く、不思議な場所になるか、な……」
花を落とさないようにそっと触れる。
艶やかな花弁は指の動きに小さく揺れた。
「花は如何して咲くんだろう……。花は一体何を考えているんだろう……。咲いても枯れてしまう……でも、また咲く……。
花の咲いていない間……それは緑で綺麗だけど……何となく、寂しい気もするけど……。
力強い緑……本当に不思議……」
思いを巡らせ、気が済むまで花園をゆっくりゆっくり見て回った後は売店へ。
花を、育ててみようと新しい出会いを求めて歩いていく。
小金沢 光波(ka3780) は色彩豊かな絨毯のような景色にへぇ? すごいんだね、と目を見張る。
クリムゾンウェストでエルフとして生まれた彼女はリアルブルーの文化を人伝でしか知らない。
それでも、否、だからこそだろうか。思う、リアルブルーとの調和で生まれる生命というのは力強いものだ、と。
「あちら側の知識があるわけじゃないけど、こちらに来てからも力強いよね、人間は。
それほど長く生きてるわけじゃないけどね。感じることはできるよ。
君たちは普段どんなことを考えて咲き誇るんだろうね。
雨が少ない、日が照りすぎ、風が吹きすぎ?
栄養は足りてるのかな。……失礼だったかな? これは申し訳ないね」
物言わぬ花に光波は淡々と語りかける。
「私はまだまだ生きていくし、いろんなことを知って、行動していくよ。
君たちは私に何を教えてくれるのかな。
えっ? こんな喋り方をしてるけど女の子なんだよ?
純名乙女の感情は秋の空に例えるのが君たち流じゃないかな。
今日は楽しかったよ、またいずれ」
花々と会話するように語りかけた後、お土産は貰えるのかな、と呟いて歩き出す。
売店に寄ってみようか。気に入ったものがあれば今日の出会いを記念して購入してみるのもいいかもしれない。
そんなことを思いながらエルフの少女は弾むような足取りで歩きだした。
屋外(ka3530) は最愛の人と一緒にきていたらこの景色はどんなふうに見えていたのだろうか、と思いをはせて花園を歩いていた。
思い人の人間性を疑うような想像はしない。
故に、悪い想像は一般事象の可能性の一つとしてのみ考えるという節度を持ち続ける。
けれど会えないのはやはり寂しさを伴って。
その寂しさを彼の人も感じていることを心のどこかで願いながら、帰ってきたときには、全力の思いやりを捧げたいと願うのだった。
花園で『節度』の花言葉を持つツツジと、『思いやり』の花言葉を持つ牡丹を鑑賞しながら歩きながら願うのは愛しい人の無事と、一刻も早い再会。
喫茶コーナーでは店自慢のメニューと説明を聞いて、今年は時期的にもう難しいかもしれないから来年こられたら、と紹介する際の予行練習を。
「今の私が見ても十分に美しいのですから……一緒だったら更に美しさを感じたのでしょうね……」
少しだけ感傷的になりつつ、屋外は静かな時を過ごすのだった。
「あ、ルカさんごぉっ!」
ルカ・シュバルツエンド(kz0073)は一人で花園を散策していると聞き馴染んだ声と、呼びかけの最後にかぶさった奇声に訝しげに振り返った。
「……大丈夫かい、ミネット君」
声の主は確認するまでもない、もうすっかり顔なじみというかダークマター作成の助手、兼一緒に味わう相手、そしてその後看護する存在として頻繁に一緒に行動しているミネット・ベアール(ka3282) だ。
「いたた……だ、大丈夫です! それよりルカさん、綺麗なツツジを見ていると……」
いつもならここでお腹がすきますね、や創作意欲にかられますね(食べ物方面の、つまりダークマターの)などが続くのだが今日のミネットの言葉はルカの意表を突くには十分なものだった。
「すごくロマンチックな気分になりますね」
「……打ち所が悪かったなら休憩所まで連れていってあげるよ。熱中症が患者の主な割合を占めているようだけど、医者もいたはずだし」
「酷いなぁ、大丈夫ですって。ほら、こっちも! すっごく可愛いお花です。綺麗ですね、ルカさん」
年頃の少女らしく拗ねた表情を見せた後純粋な笑顔で語りかけてくるミネット。
「こんな大きな庭園は無理ですけど、庭に少し植えてみたりしたいなぁ。
あ、ルカさんあっちにも綺麗なのありますよ!
いってみま……ふぐ」
また派手に転ぶミネットに一応年上の男として起き上がるのに手を貸すルカ。
「いたた……今日はよく転びますね。それより、早く売店にいきましょうよ! こんな美味しそうなお花見てたら食べなくてはお腹が収まりませんぐぇへへ」
「……通常運転に戻ったみたいだね。何事だったんだい、さっきの少女らしさは」
「どっちがお好みかな、と思って実験です」
「身もふたもない……。どういう好き、にしろ、飾らない人が好きだよ。
特に君が食欲より鑑賞美を優先させてると調子が狂うというか心配になる」
「そういうものですか?」
「そういうものだよ。ほら、喫茶室行く前に救護室行くよ。二回も派手に転んだんだ、腫れたりすりむいたりしてないか見て貰った方がいい」
「えー、早く食べたいですよ。私のおなかの方が危機を訴えています、空腹で!」
「却下」
ミネットを軽くいなすとルカは引きずるようにして彼女を医務室に連行したのだった。
「クリムゾンウェストにも、リアルブルーと同じ花があるのですね。
何だか不思議な感じがします。ツツジも綺麗ですけど、牡丹を中心に見ようかな……。
あ、ルカさん、よかったらご一緒しませんか?」
ミネットと別れた後再び順路に戻ったルカに声をかけたのはユキヤ・S・ディールス(ka0382) だった。
「やぁ、ユキヤ君。楽しんでるかい?」
「えぇ。見ごたえがありますね、この花園」
牡丹を植えてあるコーナーを二人で歩きながらユキヤが口を開く。
「リアルブルーでは、立てば芍薬、座れば牡丹。歩く姿は百合の様。と言って、美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを花にたとえて形容したりするんですよ。
僕なんかと出なく、そういう美人と花を見たかったかもしれませんけど」
くすくすと笑うユキヤにそれは御同様じゃないかい、とルカが笑みを含んだ返事を返す。
「ルカさんはどの色の牡丹がお気に入りですか?
ぼくはやっぱり、リアルブルーにもあるピンクのボタンが綺麗だと……。
本当に華やか……美人に例えられるのも分かる気がしますね」
「『火の奥に牡丹崩るる様を見つ』……だったかな、リアルブルーで詠まれたものは。花の終わり方を言葉を変えたり何かになぞらえたり、風流な文化だよね。僕はリアルブルーを直接には知らないんだけど。
色なら……そうだなぁ、中心に行くにつれ濃くなっていくこれかな」
中心はピンクだが外側に行くにつれ色は薄まり白っぽい品種を差すルカ。
「クリムゾンウェストの方からリアルブルーの俳句を聞けるとは思いませんでした」
驚きが去った後、どことなく嬉しそうな顔をするユキヤにルカは「ちょっと調べて覚えていただけだよ」と肩をすくめる。
「他にも薬効があるとか色々興味深くはあったけどね。今は純粋に美しさを楽しもうか」
「はい」
花の王といわれる牡丹の咲き乱れる中を、二人はゆっくりと歩いてみて回った。
大まかに分類すると牡丹とツツジだけだったが様々な品種があり、どちらも艶やかな花だったため百花繚乱といっても差支えない花園の景色を、ハンターたちは各々の見方で楽しみ、花園に別れを告げた。
お礼としてツツジと牡丹を中心に植えられた花園へと招待を受けたハンターたちは思い思いに休日を楽しんでいた。
初夏の日差しを受け、風に揺れる花々は見た目に楽しく、空気が芳しくなったような錯覚を受けるほど艶やかで美しい。
「うっわー、綺麗な花がいっぱいだー!!」
アルカ・ブラックウェル(ka0790)は歓声を上げながら花々を見回す。
「ねぇ、カフカ。あの花は食べられるの?」
久々に兄妹水入らずで過ごせることにテンションはやや高め。
双子の兄であるカフカ・ブラックウェル(ka0794) は自分が知らないことを尋ねるとすぐに答えてくれる物知りな存在だった。
「これはまた、見事な花園だね……。
ツツジは蜜が吸えるけど、牡丹を食べるのは聞いたことがないな」
食い気全開の妹に苦笑気味ではあるが、今まで自分一人で出かけることが多かったのでアルカと出かけられることは素直にうれしい。
顔にはあまり出ていないが喜んでいるのはカフカも同様だった。
二人はまず喫茶室でエディブルフラワーの料理を楽しんだ後、のんびりと花園を散策することに。
花の説明をしながら見て回るとクルクルと表情を変えるアルカ、そしてそんな彼女を見て笑みをこぼすカフカははた目に見ても仲のいい兄妹だ。
視界に広がる鮮やかな世界に興味津々になったあまりうっかり兄を置いていきそうになった妹の腕をカフカが掴む。
「こーら。1人で先に行こうとするなよ。僕らは2人で1つなんだから」
「へへ……ごめーん。手、繋いで一緒に行こ、お兄ちゃん!」
手を繋ぎ、カフカの肩に頭を乗せて甘えるアルカにそっと自分も顔を寄せてカフカは妹と一緒に改めて歩き出した。
nil(ka2654) が生まれ、育ったのは山奥の何もないところだった。
本当はそこで生まれたかどうかも分からないけれど、咲く花は山百合か彼岸花。
ツツジや牡丹を見るのは初めてだった。
「……綺麗かどうかは、分からないけれど……いろんな色があって不思議……。
海のように……海のような色の花は、あるのかな……」
例えば夏の南国の海のような鮮やかなマリンブルーの花は、あるのだろうか。
辺りを見回すが鮮烈な蒼は残念ながら見つからない。
代わりに見つけたのは。
「あぁ、それね。リアルブルーから転移してきた時に突然変異が起きたみたいで、今数を増やせないかと計画中なんだよ」
足を止めたnilに花の手入れとガイドを兼任しているという花園の職員が声をかけた。
白いツツジの茎の方から花弁の方へと向けて、通常なら淡い赤やピンクの線が走っているように見える種類があるが、その突然変異したというツツジは淡い青の線が走っていた。
入道雲の中、青空を見つけたような。そんな不思議な気分になってnilは暫くその花をじっと見つめていた。
海は見つからなかったけれど、海によく似た空は見つけた。
「……苗木、買ったら私にも育てられるかな……。
不思議な花が咲く、不思議な場所になるか、な……」
花を落とさないようにそっと触れる。
艶やかな花弁は指の動きに小さく揺れた。
「花は如何して咲くんだろう……。花は一体何を考えているんだろう……。咲いても枯れてしまう……でも、また咲く……。
花の咲いていない間……それは緑で綺麗だけど……何となく、寂しい気もするけど……。
力強い緑……本当に不思議……」
思いを巡らせ、気が済むまで花園をゆっくりゆっくり見て回った後は売店へ。
花を、育ててみようと新しい出会いを求めて歩いていく。
小金沢 光波(ka3780) は色彩豊かな絨毯のような景色にへぇ? すごいんだね、と目を見張る。
クリムゾンウェストでエルフとして生まれた彼女はリアルブルーの文化を人伝でしか知らない。
それでも、否、だからこそだろうか。思う、リアルブルーとの調和で生まれる生命というのは力強いものだ、と。
「あちら側の知識があるわけじゃないけど、こちらに来てからも力強いよね、人間は。
それほど長く生きてるわけじゃないけどね。感じることはできるよ。
君たちは普段どんなことを考えて咲き誇るんだろうね。
雨が少ない、日が照りすぎ、風が吹きすぎ?
栄養は足りてるのかな。……失礼だったかな? これは申し訳ないね」
物言わぬ花に光波は淡々と語りかける。
「私はまだまだ生きていくし、いろんなことを知って、行動していくよ。
君たちは私に何を教えてくれるのかな。
えっ? こんな喋り方をしてるけど女の子なんだよ?
純名乙女の感情は秋の空に例えるのが君たち流じゃないかな。
今日は楽しかったよ、またいずれ」
花々と会話するように語りかけた後、お土産は貰えるのかな、と呟いて歩き出す。
売店に寄ってみようか。気に入ったものがあれば今日の出会いを記念して購入してみるのもいいかもしれない。
そんなことを思いながらエルフの少女は弾むような足取りで歩きだした。
屋外(ka3530) は最愛の人と一緒にきていたらこの景色はどんなふうに見えていたのだろうか、と思いをはせて花園を歩いていた。
思い人の人間性を疑うような想像はしない。
故に、悪い想像は一般事象の可能性の一つとしてのみ考えるという節度を持ち続ける。
けれど会えないのはやはり寂しさを伴って。
その寂しさを彼の人も感じていることを心のどこかで願いながら、帰ってきたときには、全力の思いやりを捧げたいと願うのだった。
花園で『節度』の花言葉を持つツツジと、『思いやり』の花言葉を持つ牡丹を鑑賞しながら歩きながら願うのは愛しい人の無事と、一刻も早い再会。
喫茶コーナーでは店自慢のメニューと説明を聞いて、今年は時期的にもう難しいかもしれないから来年こられたら、と紹介する際の予行練習を。
「今の私が見ても十分に美しいのですから……一緒だったら更に美しさを感じたのでしょうね……」
少しだけ感傷的になりつつ、屋外は静かな時を過ごすのだった。
「あ、ルカさんごぉっ!」
ルカ・シュバルツエンド(kz0073)は一人で花園を散策していると聞き馴染んだ声と、呼びかけの最後にかぶさった奇声に訝しげに振り返った。
「……大丈夫かい、ミネット君」
声の主は確認するまでもない、もうすっかり顔なじみというかダークマター作成の助手、兼一緒に味わう相手、そしてその後看護する存在として頻繁に一緒に行動しているミネット・ベアール(ka3282) だ。
「いたた……だ、大丈夫です! それよりルカさん、綺麗なツツジを見ていると……」
いつもならここでお腹がすきますね、や創作意欲にかられますね(食べ物方面の、つまりダークマターの)などが続くのだが今日のミネットの言葉はルカの意表を突くには十分なものだった。
「すごくロマンチックな気分になりますね」
「……打ち所が悪かったなら休憩所まで連れていってあげるよ。熱中症が患者の主な割合を占めているようだけど、医者もいたはずだし」
「酷いなぁ、大丈夫ですって。ほら、こっちも! すっごく可愛いお花です。綺麗ですね、ルカさん」
年頃の少女らしく拗ねた表情を見せた後純粋な笑顔で語りかけてくるミネット。
「こんな大きな庭園は無理ですけど、庭に少し植えてみたりしたいなぁ。
あ、ルカさんあっちにも綺麗なのありますよ!
いってみま……ふぐ」
また派手に転ぶミネットに一応年上の男として起き上がるのに手を貸すルカ。
「いたた……今日はよく転びますね。それより、早く売店にいきましょうよ! こんな美味しそうなお花見てたら食べなくてはお腹が収まりませんぐぇへへ」
「……通常運転に戻ったみたいだね。何事だったんだい、さっきの少女らしさは」
「どっちがお好みかな、と思って実験です」
「身もふたもない……。どういう好き、にしろ、飾らない人が好きだよ。
特に君が食欲より鑑賞美を優先させてると調子が狂うというか心配になる」
「そういうものですか?」
「そういうものだよ。ほら、喫茶室行く前に救護室行くよ。二回も派手に転んだんだ、腫れたりすりむいたりしてないか見て貰った方がいい」
「えー、早く食べたいですよ。私のおなかの方が危機を訴えています、空腹で!」
「却下」
ミネットを軽くいなすとルカは引きずるようにして彼女を医務室に連行したのだった。
「クリムゾンウェストにも、リアルブルーと同じ花があるのですね。
何だか不思議な感じがします。ツツジも綺麗ですけど、牡丹を中心に見ようかな……。
あ、ルカさん、よかったらご一緒しませんか?」
ミネットと別れた後再び順路に戻ったルカに声をかけたのはユキヤ・S・ディールス(ka0382) だった。
「やぁ、ユキヤ君。楽しんでるかい?」
「えぇ。見ごたえがありますね、この花園」
牡丹を植えてあるコーナーを二人で歩きながらユキヤが口を開く。
「リアルブルーでは、立てば芍薬、座れば牡丹。歩く姿は百合の様。と言って、美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを花にたとえて形容したりするんですよ。
僕なんかと出なく、そういう美人と花を見たかったかもしれませんけど」
くすくすと笑うユキヤにそれは御同様じゃないかい、とルカが笑みを含んだ返事を返す。
「ルカさんはどの色の牡丹がお気に入りですか?
ぼくはやっぱり、リアルブルーにもあるピンクのボタンが綺麗だと……。
本当に華やか……美人に例えられるのも分かる気がしますね」
「『火の奥に牡丹崩るる様を見つ』……だったかな、リアルブルーで詠まれたものは。花の終わり方を言葉を変えたり何かになぞらえたり、風流な文化だよね。僕はリアルブルーを直接には知らないんだけど。
色なら……そうだなぁ、中心に行くにつれ濃くなっていくこれかな」
中心はピンクだが外側に行くにつれ色は薄まり白っぽい品種を差すルカ。
「クリムゾンウェストの方からリアルブルーの俳句を聞けるとは思いませんでした」
驚きが去った後、どことなく嬉しそうな顔をするユキヤにルカは「ちょっと調べて覚えていただけだよ」と肩をすくめる。
「他にも薬効があるとか色々興味深くはあったけどね。今は純粋に美しさを楽しもうか」
「はい」
花の王といわれる牡丹の咲き乱れる中を、二人はゆっくりと歩いてみて回った。
大まかに分類すると牡丹とツツジだけだったが様々な品種があり、どちらも艶やかな花だったため百花繚乱といっても差支えない花園の景色を、ハンターたちは各々の見方で楽しみ、花園に別れを告げた。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
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面白かった! | 4人 |
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参加者一覧
サポート一覧
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依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/26 01:56:18 |