ゲスト
(ka0000)
【AN】調査は自分の足で!2
マスター:朝臣あむ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/05/27 12:00
- 完成日
- 2015/06/04 15:29
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
ラテン語で下水道の意味を持つ【Aqua Nigura】の略称である【AN】はゾンネンシュトラール帝国においては定期的に実施されるある掃討作戦の通称だ。
近代都市であるバルトアンデルスの地下を走る下水道の規模は全長1000km以上に及び、迷路のように張り巡らされている。
だが、最新鋭の機導術を誇る代償としての魔導汚染に常に悩まされている帝国の、首都ともなれば下水道の汚染から雑魔が発生するレベルの汚染となるのは避けられない。
そう、【AN】とは第一師団による定期的な掃討作戦行動の名称なのだ。
●地下下水道入口
「――そうですね。確かに前回マテリアル装置を設置した際、メンテナンスは必要だと思いましたし異論はありません」
そう語るのは錬金術師組合組合長のリーゼロッテ・クリューガー(kz0037)だ。彼女はオズワルド(kz0027)が差し出した指令書に目を通すと、微かに笑んで顔を上げた。
「今回も地下下水道への侵入許可を頂けるという事は、前回同様にハンターの方に護衛して頂けるという事ですよね?」
「ああ、流石に何の力もない組合長を下水に放り込むほど帝国も鬼畜じゃねぇ。今回もハンターを護衛につけた状態で下水に潜ってもらう」
「ありがとうございます!」
にこりと笑って頭を下げた彼女に、オズワルドの目が向かう。そうして咥える葉巻を口から放すと、何処か面白そうに目を細めた。
「嬉しそうだな? この短期間でそんなにハンターと仲良くなったのか?」
「仲良くなったと言うよりも、彼等に興味が湧いてきた、と言う言葉の方があっている気がします。研究や錬金術の布教だけでは得られない知識が、彼等と行動を共にする事で見えてきた気がするんです」
「そうか」
そりゃ良かった。そう口にした所で、オズワルドはこちらに近付いてくる存在に気付き、眉を上げた。
「こりゃ珍しいな。光合成にでもしに来たのか?」
「酷いですねぇ。光合成なんかしなくても栄養はそれとなぁ~く体のどこかから出て来ますよぉ」
へらへら笑って言葉を返すのはナサニエル・カロッサ(kz0028)だ。
彼はリーゼロッテとオズワルドの顔を交互に見比べると、どこか楽しげに笑って首を傾げた。
「リーゼの仕事、ボクにくれませんかぁ?」
「「は?」」
「うふふ~♪ 新しい機械が出来たのでぇ、その実験をしつつ行ってこようかと思いましてぇ」
「実験をしつつ、行ってくる?」
ピキッとリーゼロッテの米神が揺れた。
それに気付いたのだろう、オズワルドの目が若干だが泳いでいる。彼は口から放した葉巻を咥え直すと、耳だけナサニエルの方に向けた。
余計な口を挟んで話をややこしくするよりは良いだろう。そう判断してのことだ。
「良いじゃないですかぁ。戦える僕が行く方が闘えないリーゼが行くよりも、何倍も、何十倍も、有意義ですよぉ?」
確かに一理ある。けれど問題はそこじゃない。
「お言葉ですがナサニエル院長。今回の件は私に直接回って来た仕事です。己の実験をしたいがために行きたいと豪語する輩には、一寸たりともお任せする事は出来ません!」
言い切るのと同時に足を踏み鳴らす彼女に、ナサニエルの首が竦む。
どうにも彼女は苛立つとこうして地面を踏み締める癖があるらしい。特にナサニエル相手には、言い聞かせたいことがあるのに上手くいかない時など、こうした行動を取ることが多い。
確か前回のAN作戦の折にも、こうやって足を踏み鳴らした後で調査を強行したはずだ。
「でもぉ、やっぱりリーゼが行くよりも」
「行かせません!」
これまたはっきりと言い切った。
こうなって来ると彼女はテコでも動かない。
「仕方ないですねぇ」
こうなったら1人でも潜って――そう思案した時、彼の耳に思いがけない声が届いた。
「オズワルド様。オズワルド様にはナサニエル院長の監視をお願いしたく思います。汚染をこれ以上酷くしないためにも彼の下水道への侵入は許可しない様お願いします。もし行かせた時は――」
お分かりですね? そう微笑んだ彼女に、オズワルドは「わかった、好きにしろ」と言って、長い溜息を零した。
近代都市であるバルトアンデルスの地下を走る下水道の規模は全長1000km以上に及び、迷路のように張り巡らされている。
だが、最新鋭の機導術を誇る代償としての魔導汚染に常に悩まされている帝国の、首都ともなれば下水道の汚染から雑魔が発生するレベルの汚染となるのは避けられない。
そう、【AN】とは第一師団による定期的な掃討作戦行動の名称なのだ。
●地下下水道入口
「――そうですね。確かに前回マテリアル装置を設置した際、メンテナンスは必要だと思いましたし異論はありません」
そう語るのは錬金術師組合組合長のリーゼロッテ・クリューガー(kz0037)だ。彼女はオズワルド(kz0027)が差し出した指令書に目を通すと、微かに笑んで顔を上げた。
「今回も地下下水道への侵入許可を頂けるという事は、前回同様にハンターの方に護衛して頂けるという事ですよね?」
「ああ、流石に何の力もない組合長を下水に放り込むほど帝国も鬼畜じゃねぇ。今回もハンターを護衛につけた状態で下水に潜ってもらう」
「ありがとうございます!」
にこりと笑って頭を下げた彼女に、オズワルドの目が向かう。そうして咥える葉巻を口から放すと、何処か面白そうに目を細めた。
「嬉しそうだな? この短期間でそんなにハンターと仲良くなったのか?」
「仲良くなったと言うよりも、彼等に興味が湧いてきた、と言う言葉の方があっている気がします。研究や錬金術の布教だけでは得られない知識が、彼等と行動を共にする事で見えてきた気がするんです」
「そうか」
そりゃ良かった。そう口にした所で、オズワルドはこちらに近付いてくる存在に気付き、眉を上げた。
「こりゃ珍しいな。光合成にでもしに来たのか?」
「酷いですねぇ。光合成なんかしなくても栄養はそれとなぁ~く体のどこかから出て来ますよぉ」
へらへら笑って言葉を返すのはナサニエル・カロッサ(kz0028)だ。
彼はリーゼロッテとオズワルドの顔を交互に見比べると、どこか楽しげに笑って首を傾げた。
「リーゼの仕事、ボクにくれませんかぁ?」
「「は?」」
「うふふ~♪ 新しい機械が出来たのでぇ、その実験をしつつ行ってこようかと思いましてぇ」
「実験をしつつ、行ってくる?」
ピキッとリーゼロッテの米神が揺れた。
それに気付いたのだろう、オズワルドの目が若干だが泳いでいる。彼は口から放した葉巻を咥え直すと、耳だけナサニエルの方に向けた。
余計な口を挟んで話をややこしくするよりは良いだろう。そう判断してのことだ。
「良いじゃないですかぁ。戦える僕が行く方が闘えないリーゼが行くよりも、何倍も、何十倍も、有意義ですよぉ?」
確かに一理ある。けれど問題はそこじゃない。
「お言葉ですがナサニエル院長。今回の件は私に直接回って来た仕事です。己の実験をしたいがために行きたいと豪語する輩には、一寸たりともお任せする事は出来ません!」
言い切るのと同時に足を踏み鳴らす彼女に、ナサニエルの首が竦む。
どうにも彼女は苛立つとこうして地面を踏み締める癖があるらしい。特にナサニエル相手には、言い聞かせたいことがあるのに上手くいかない時など、こうした行動を取ることが多い。
確か前回のAN作戦の折にも、こうやって足を踏み鳴らした後で調査を強行したはずだ。
「でもぉ、やっぱりリーゼが行くよりも」
「行かせません!」
これまたはっきりと言い切った。
こうなって来ると彼女はテコでも動かない。
「仕方ないですねぇ」
こうなったら1人でも潜って――そう思案した時、彼の耳に思いがけない声が届いた。
「オズワルド様。オズワルド様にはナサニエル院長の監視をお願いしたく思います。汚染をこれ以上酷くしないためにも彼の下水道への侵入は許可しない様お願いします。もし行かせた時は――」
お分かりですね? そう微笑んだ彼女に、オズワルドは「わかった、好きにしろ」と言って、長い溜息を零した。
リプレイ本文
濁った空気と濁った臭い。その双方に愛された帝都バルトアンデルスの地下下水道。
そこに下り立った雪村 練(ka3808)は、鼻につく臭いに眉を寄せると、僅かに身震いして腕と巨大な布を抱いた。
「むー。さすがに4足歩行は無理か。あたし氏、下水道に立つ光景。畜生恥ずい」
そう口にする彼女が抱く布とは、そう「布団」だ。
普段はこの布団を背負った状態で四つん這いになって歩くのだが、流石に今回の汚染された空間では相棒を背負った状態で這う事は出来ない。そう判断した。
その結果、不本意ながら自己の体力を大幅に使用する2足歩行に頼らざる終えなくなったのだが、
「なんか、厚手の幽霊的な光景」
ボソッと零して視線が泳いだ。
そもそもこの様な場所に清潔感を求めるのは無理というもの。発生している雑魔も汚染された水が原因なのは間違いない。
(だいたいマテリアル使わなきゃ歪虚は来ねんだから、リーゼロッテ氏の理想には懐疑的なんだが……)
今下りてきた場所の左右には錬魔院と錬金術師組合がある。練はその地上を見上げると、頭に浮かんだ思いを隠すように布団を被り直した。そうして再び梯子に視線を戻す。
「暗い地下へサバイバル。ゾンビが出れば完璧ホラーゲーですな?」
いきなりな言葉を向けられた神代 誠一(ka2086)は、梯子を最後まで下りると、布団を被る練を見てクスリと笑んだ。
「はは、ホラーゲームですか。確かに雰囲気は似ていますが今回の相手は鼠らしいですよ」
前回はミジンコで、今回は鼠。それを思い出して苦笑すると、彼はどこか懐かしそうな眼差しで辺りを見回した。
「……覚悟はしてましたが、やっぱりこの匂いには慣れませんねぇ」
彼がここを訪れるのは2度目だ。多少は臭いに耐性が出来ているかと思ったが、やはり上手くはいかないらしい。
「まあ、仕事ですし頑張りましょう。ああ、足元に気を付けて下さい」
誠一は持参したLEDライトを点灯させると、次に降りてくるチョココ(ka2449)の足元を照らした。
これに「ありがとうですの♪」と言葉が返って元気に梯子を下りきる。と、彼女の首が傾げられた。
「ここがちゅーたろうの巣窟ですの? ちゅーたろうの巣窟~、近寄るな危険。されどいかねばならん、ですわ」
今日は相棒のパルムはお留守番だ。
うっかり連れて来て毒キノコにでもなったら大変。とはチョココ談。
彼女は歌うように「ちーたろうの巣窟~」と繰り返すと、くるりと回って下水道の様子を窺う。そこに微かな笑い声が届く。
「なんだいその歌は?」
そう微笑んで下りてきたレオン・フォイアロート(ka0829)は、「自作ですわ」の返答に笑みを深めると、感慨深げに辺りへ視線を這わせた。
「私が初めて受けた依頼も下水関係でしたね。あの時より、成長できていればいいのですが……っと、リーゼロッテさん。足元に注意を――ぅ!?」
「ありがとうございま」
す? と下を見た直後。リーゼロッテとレオンの顔が真っ赤に染まった。そして次の瞬間、悲鳴に近い声が上がる。
「きゃああああっ!」
「む、無実です! 私は何もっ!!」
慌てて両手を振るレオン。そんな彼に抗議の視線を送りながら、リーゼロッテはスカートを押さえて梯子を下りきった。
「レオン氏、ラキスケの称号不可避事案発生。ある意味オイシイ」
「ラキスケってなんですの?」
「説明しよう。ラキスケとは――」
「はい。その説明は良いでしょう。それよりもお静かに。敵が集まって来てしまいますからね」
しーっと人差し指を立てて微笑む誠一に、チョココと練の口が噤まれる。そして次に下りてきたヴォルフガング・エーヴァルト(ka0139)に目を向けると、彼は下水に落ちていたらしい木の棒を差し出した。
「ご所望の品です。長さ的には如何でしょう?」
「おう、悪くねぇな」
受け取りながら棒の長さを確認する。
棒はヴォルフガングの腿くらいまでの長さだ。希望は10フィートだが、別に敵を攻撃する訳ではないので問題ない。
彼は手近な床を棒で叩いて具合を確認すると、先ほどまで真っ赤になっていたリーゼロッテを振り返った。
「あの程度でなぁ……」
見た所、うぶな反応をするには年が行っている気もするが。
そう誰にも言わずに内心で思っていたのに、思わぬところで突っ込みが入る。
「組合長とてまだ乙女の領域。恥じらうのは道理と言うものよ」
「乙女、か?」
思わず聞き返した声にイーリス・クルクベウ(ka0481)が頷く。それを受けて胡散臭い視線を寄越すこと一瞬、ヴォルフガングは懐に伸ばしかけた手を下げた。
「……ったく、やれやれ。乙女に子供に……こりゃ依頼が終わるまで煙草を吸うのは諦めた方が良さそうだな」
やれやれ。もう一度そんな溜息を零し、ヴォルフガングは松明に火を灯した。
●
誠一の計算によると、地下に潜って30分。その時間よりも遥かに長い時間歩いていたと感じる地下で、ハンターたちの持参した灯りが揺らめく。
「これは想像以上に多いですね」
そう零すレオンの手には知らず力が篭っている。
ここは目的地である錬魔院の地下にかなり近づいた場所。もう少しで目的地と言うそんな距離で、ハンターたちは問題の雑魔とぶち当たっていた。
彼等が灯す明かりに照らされて、地下には無数の影が浮かび上がっている。
「強行突破、もしくは全撃破、か?」
道中でも数体相手にしたが、素早いばかりで力は殆どなかった。きっと正面から闘っても負ける事は無いだろう。とは言え。
「守る対象がいる以上、無茶は出来ねぇか」
そう。ヴォルフガングの言うように今回は護衛対象に一般人のリーゼロッテがいる。彼女に万が一の事があれば、依頼の達成は厳しくなる。
そもそも何の為に隊列を前中後の3つに分けて対応して来たのか。
このまま乱戦になれば隊列は乱れ、中衛に置いたリーゼロッテに危険が及ぶのは目に見えている。
「ここは体勢を立て直して――」
「いえ、大丈夫ですよ」
慎重な意見を口にしたレオンを、誠一の優しい声が止めた。
「レオンさん以外、光源を下げて下さい」
「ん?」
何ぞ? そう首を傾げた練だったが、言われた通りに首から下げたLEDライトの明かりを消す。そうして皆も明かりを消すと、全員の目が「あ」と見開かれた。
「複数の光が重なると今のような現象が起きるんです。とは言え、複数いるわけでも一匹一匹の力が強い訳でもありませんが、こんな視界の悪い場所で囲まれでもしたら厄介ですからね。早々に倒してしまいましょう」
誠一はそう言うと、緊張したままだったレオンの肩を叩いた。これに彼の表情が引き締まる。
そもそも彼は今回、帝都に住まう人々の安全を確保する為にここに来たのだ。地道な努力をし、平和を維持することこそが彼の望み。
「ここで立ち止まっている訳にはいかない」
レオンは手にしていた松明を下ろすと、元々持っていた盾をそのままに、空いた手で刀を抜いた。
その仕草にイーリスもアサルトライフルを構える。そうしてリーゼロッテを内側に押し込むよう動くと、下水の影から様子を窺っていた鼠型雑魔2匹が飛び出してきた。
「組合長は下がっておれ!」
イーリスはそう叫ぶと、素早く照準を合わせて引き金を引く。
ガッ。
「外したか!」
器用に横飛びをして左右に回避した鼠。壁に当った銃弾が鈍い音を立てる中、イーリスは再び銃を構える。だが敵の動きの方が早い。
「っ、甘く見るでないわ!」
後方にチラついたリーゼロッテの存在に回避しそうになる足を踏ん張る。そして即座に盾を構えると、真正面から鼠の牙を受け止めた。
「これでも喰らうが良い!」
至近距離からの一撃。
流石にこの距離からの回避は不可能だったらしく、イーリスが迎え撃った雑魔は彼女の放った銃弾によって崩れ落ちた。
一方、練に流れた雑魔は未だ健勝。
素早い動きで彼女との距離を詰めるべく、下水の壁を伝って猛突進してきている。
「速えぇ……さっきの鼠と合せてチューマッハ兄弟かぁ!」
若干感性がズレているが嬉しそうなので良しとしよう。要は彼女自身、この戦闘を楽しんでいる。そう、楽しんでいるのだ――たぶん。
「あ、チューマッハ兄弟の兄の方。これ脂身ばっかで美味くねーから諦めろ」
な? そんな声を掛けながら、アルケミストタクトを振り上げる。そして布団の下からダイヤモンドダストのような輝きを放つと、「機導剣はとくいちゅうのとくいさ」と光の剣を出現させて鼠を両断した。
「これぞ事故……ああ、あの隻眼、柳生チュウ兵衛か!」
喰い付き方がやはりおかしい。
練曰く柳生チュウ兵衛なる鼠は、後方で小さな火球を飛ばすチョココに狙いを定め駆け出していた。
これにレオンが立ち塞がる。
「これより先は行かせない!」
敵の数が多ければ盾で応戦するところだが、1体が相手ならば刀で問題ない。
レオンは迫る鼠に意識を集中すると、武器にマテリアルを送り込んだ。そして敵が間合いに入るか否かと言う部分で一気にそれを振り抜く。
「はああああああッ!」
ザッと下水を踏み締める音が響き、両断された鼠の亡骸が下水に落ちる音が響く。そして次なる敵を探そうと目を向けた彼の頬を、光源以上の光が掠めた。
「――っ?」
「間一髪ですの♪」
ニコッと笑った彼女の視界に落ちた黒焦げの鼠。どうやらレオンの背後に迫った敵をファイアーボールで仕留めてくれたらしい。
「あ、ありがとうございます……」
自分も色々な意味で間一髪だった事に気付き、ゾッとする。思わず生唾を呑み込んで目を瞬く事僅か、彼の耳に前衛2人の声が届いた。
「下水には下水に相応しい雑魔が蔓延ってるな……誠一、行くぞ」
先の戦闘でも、今の仲間との戦闘でも把握できた敵の動き。確かに動きは早いがそれだけだ。
「的が大きくなってる分、戦り易いのは僥倖だぜ。リーゼロッテのところには通さねぇよ」
スッと細めた青の目が、天井と地上の双方から迫る鼠を捉える。その上で両の足をしっかり地面に押し付けると、手にしている太刀を大きく振り上げ――薙いだ。
「良いバッティングです!」
まるで野球のボールの様に打ち上げた鼠。それを正面から引き受けた誠一は、器用に片手で開いた鉄扇で勢いよく地面に叩き付ける。
そうして次に飛んで来た鼠を扇の腹で滑らせ、再び上空へと舞わせる。
「締めはお願いします」
「はいよ」
くるくると宙を舞った鼠に、轟音を響かせるヴォルフガングの太刀が迫る。そうして彼の刃が鼠の胴を真っ二つにすると、辺りは戦闘前と同じ静けさを取り戻した。
●
錬魔院の地下近くに設置されたマテリアル観測装置。そのメンテナンスを行うリーゼロッテの傍らで、誠一は汚染された下水を見ていた。
「豊かさと引き換えに、侵される自然……心が痛みますね」
リアルブルーでもあった環境汚染。それが別世界のクリムゾンウェストでも起こっている。
その事実に憂いてしまう。そんな誠一にチョココが近付いて来た。
「うん?」
「お怪我してますの」
先程の戦闘の際に傷付けたのだろう。
手の甲についた掠り傷に、小さな手が伸びる。そして普通に消毒をするのかと思いきや――
「!?」
「やべぇな……火気厳禁、だ」
突如として吹きかけられた酒に、ヴォルフガングが面白そうに目を細めて呟く。その傍では何故か興奮する練の姿も。
「……アルコール消毒と言うものも存在しますし……ありがとうございます」
それにしても。と言葉を切った彼に、ヴォルフガングを始め、皆の視線が向かう。
「ミジンコ型の次は鼠型。本当に次から次へとどっから湧いてくるんでしょうね。汚染によって雑魔化したってことは、侵入経路もあるってことなんでしょうけれど……」
零して自然と視線が錬魔院のある頭上へ向く。
「侵入経路と言うものは厳密にはないかもしれませんね。彼等は元々ここにいた可能性がありますし……敢えて言うのであれば、錬金術が彼等を生み出してしまった。でしょうか」
苦笑交じりに微笑んで手を止めたリーゼロッテに、練が咳払いを零す。
「終わったのか?」
ん。と差し出したミネラルウォーターは彼女の補給物資だ。
「ありがとうございます。まだもう少しだけ作業が残っていますので、終わったら頂きますね」
リーゼロッテはそう言うと、作業に戻って行った。その姿を見て誠一が零す。
「……これが打開策に繋がる一歩であることを祈るばかりです」
「まあ、データは嘘をつかんさ」
大丈夫。そんな言葉を含ませて布団を被り直した彼女に、誠一は微かに頷くと、リーゼロッテの作業が終わるのを、周囲を警戒しながら待った。
●
メンテナンス終了後、後は入口に戻るだけと下水道を進んでいた中で、イーリスはある問いをリーゼロッテに投げかけた。
「そういえば、開発途中の部分甲冑方式魔導アーマー……アレの開発の進捗具合はどうなっておる? わしとしては、非常に気になっておってのう」
そう語るイーリスの言う部分甲冑式魔導アーマーとは、錬魔院の開発者が主導で行っている既存の魔導アーマーの形を覆す新型の魔導アーマーの事だ。
訳あってリーゼロッテもその開発に携わっているのだが、以前に依頼を受けてから研究が進んでいるのか耳にしない。
だから問いかけたのだが、この問いにリーゼロッテの表情が曇った。
「それに関しては、ブリちゃんのご機嫌を損ねてしまいまして……」
「機嫌を損ねるじゃと? まさか、ハイデマリーの件かのう?」
「ええ、まあ……勝手に、あの子の魔導アーマーを弄ってしまいましたから……」
そう言って視線を落としたリーゼロッテにイーリスの視線も落ちる。元々ハイデマリーの容態も気になっていたが、ブリジッタも問題あるとなると色々面倒そうだ。
「そういうことならば、参考までに聞いてはくれんかのう」
言って彼女が示したのは、今日一日中付けていた試作型アーマースーツだ。
特殊モーターを装着した機械式の鎧で、開発途中の魔導アーマーに近い部分もある装備は、きっと開発のヒントになる。そう思って今日この場に着て来たのだ。
「かなり重く、移動などの動きが鈍るのが難点じゃがのう……どうじゃろう?」
そう首を傾げるイーリスに、リーゼロッテは少しだけ考える間を持って、頷いた。
「わかりました。折を見て伝えておきます」
「うむ、すまんのう……」
そこに下り立った雪村 練(ka3808)は、鼻につく臭いに眉を寄せると、僅かに身震いして腕と巨大な布を抱いた。
「むー。さすがに4足歩行は無理か。あたし氏、下水道に立つ光景。畜生恥ずい」
そう口にする彼女が抱く布とは、そう「布団」だ。
普段はこの布団を背負った状態で四つん這いになって歩くのだが、流石に今回の汚染された空間では相棒を背負った状態で這う事は出来ない。そう判断した。
その結果、不本意ながら自己の体力を大幅に使用する2足歩行に頼らざる終えなくなったのだが、
「なんか、厚手の幽霊的な光景」
ボソッと零して視線が泳いだ。
そもそもこの様な場所に清潔感を求めるのは無理というもの。発生している雑魔も汚染された水が原因なのは間違いない。
(だいたいマテリアル使わなきゃ歪虚は来ねんだから、リーゼロッテ氏の理想には懐疑的なんだが……)
今下りてきた場所の左右には錬魔院と錬金術師組合がある。練はその地上を見上げると、頭に浮かんだ思いを隠すように布団を被り直した。そうして再び梯子に視線を戻す。
「暗い地下へサバイバル。ゾンビが出れば完璧ホラーゲーですな?」
いきなりな言葉を向けられた神代 誠一(ka2086)は、梯子を最後まで下りると、布団を被る練を見てクスリと笑んだ。
「はは、ホラーゲームですか。確かに雰囲気は似ていますが今回の相手は鼠らしいですよ」
前回はミジンコで、今回は鼠。それを思い出して苦笑すると、彼はどこか懐かしそうな眼差しで辺りを見回した。
「……覚悟はしてましたが、やっぱりこの匂いには慣れませんねぇ」
彼がここを訪れるのは2度目だ。多少は臭いに耐性が出来ているかと思ったが、やはり上手くはいかないらしい。
「まあ、仕事ですし頑張りましょう。ああ、足元に気を付けて下さい」
誠一は持参したLEDライトを点灯させると、次に降りてくるチョココ(ka2449)の足元を照らした。
これに「ありがとうですの♪」と言葉が返って元気に梯子を下りきる。と、彼女の首が傾げられた。
「ここがちゅーたろうの巣窟ですの? ちゅーたろうの巣窟~、近寄るな危険。されどいかねばならん、ですわ」
今日は相棒のパルムはお留守番だ。
うっかり連れて来て毒キノコにでもなったら大変。とはチョココ談。
彼女は歌うように「ちーたろうの巣窟~」と繰り返すと、くるりと回って下水道の様子を窺う。そこに微かな笑い声が届く。
「なんだいその歌は?」
そう微笑んで下りてきたレオン・フォイアロート(ka0829)は、「自作ですわ」の返答に笑みを深めると、感慨深げに辺りへ視線を這わせた。
「私が初めて受けた依頼も下水関係でしたね。あの時より、成長できていればいいのですが……っと、リーゼロッテさん。足元に注意を――ぅ!?」
「ありがとうございま」
す? と下を見た直後。リーゼロッテとレオンの顔が真っ赤に染まった。そして次の瞬間、悲鳴に近い声が上がる。
「きゃああああっ!」
「む、無実です! 私は何もっ!!」
慌てて両手を振るレオン。そんな彼に抗議の視線を送りながら、リーゼロッテはスカートを押さえて梯子を下りきった。
「レオン氏、ラキスケの称号不可避事案発生。ある意味オイシイ」
「ラキスケってなんですの?」
「説明しよう。ラキスケとは――」
「はい。その説明は良いでしょう。それよりもお静かに。敵が集まって来てしまいますからね」
しーっと人差し指を立てて微笑む誠一に、チョココと練の口が噤まれる。そして次に下りてきたヴォルフガング・エーヴァルト(ka0139)に目を向けると、彼は下水に落ちていたらしい木の棒を差し出した。
「ご所望の品です。長さ的には如何でしょう?」
「おう、悪くねぇな」
受け取りながら棒の長さを確認する。
棒はヴォルフガングの腿くらいまでの長さだ。希望は10フィートだが、別に敵を攻撃する訳ではないので問題ない。
彼は手近な床を棒で叩いて具合を確認すると、先ほどまで真っ赤になっていたリーゼロッテを振り返った。
「あの程度でなぁ……」
見た所、うぶな反応をするには年が行っている気もするが。
そう誰にも言わずに内心で思っていたのに、思わぬところで突っ込みが入る。
「組合長とてまだ乙女の領域。恥じらうのは道理と言うものよ」
「乙女、か?」
思わず聞き返した声にイーリス・クルクベウ(ka0481)が頷く。それを受けて胡散臭い視線を寄越すこと一瞬、ヴォルフガングは懐に伸ばしかけた手を下げた。
「……ったく、やれやれ。乙女に子供に……こりゃ依頼が終わるまで煙草を吸うのは諦めた方が良さそうだな」
やれやれ。もう一度そんな溜息を零し、ヴォルフガングは松明に火を灯した。
●
誠一の計算によると、地下に潜って30分。その時間よりも遥かに長い時間歩いていたと感じる地下で、ハンターたちの持参した灯りが揺らめく。
「これは想像以上に多いですね」
そう零すレオンの手には知らず力が篭っている。
ここは目的地である錬魔院の地下にかなり近づいた場所。もう少しで目的地と言うそんな距離で、ハンターたちは問題の雑魔とぶち当たっていた。
彼等が灯す明かりに照らされて、地下には無数の影が浮かび上がっている。
「強行突破、もしくは全撃破、か?」
道中でも数体相手にしたが、素早いばかりで力は殆どなかった。きっと正面から闘っても負ける事は無いだろう。とは言え。
「守る対象がいる以上、無茶は出来ねぇか」
そう。ヴォルフガングの言うように今回は護衛対象に一般人のリーゼロッテがいる。彼女に万が一の事があれば、依頼の達成は厳しくなる。
そもそも何の為に隊列を前中後の3つに分けて対応して来たのか。
このまま乱戦になれば隊列は乱れ、中衛に置いたリーゼロッテに危険が及ぶのは目に見えている。
「ここは体勢を立て直して――」
「いえ、大丈夫ですよ」
慎重な意見を口にしたレオンを、誠一の優しい声が止めた。
「レオンさん以外、光源を下げて下さい」
「ん?」
何ぞ? そう首を傾げた練だったが、言われた通りに首から下げたLEDライトの明かりを消す。そうして皆も明かりを消すと、全員の目が「あ」と見開かれた。
「複数の光が重なると今のような現象が起きるんです。とは言え、複数いるわけでも一匹一匹の力が強い訳でもありませんが、こんな視界の悪い場所で囲まれでもしたら厄介ですからね。早々に倒してしまいましょう」
誠一はそう言うと、緊張したままだったレオンの肩を叩いた。これに彼の表情が引き締まる。
そもそも彼は今回、帝都に住まう人々の安全を確保する為にここに来たのだ。地道な努力をし、平和を維持することこそが彼の望み。
「ここで立ち止まっている訳にはいかない」
レオンは手にしていた松明を下ろすと、元々持っていた盾をそのままに、空いた手で刀を抜いた。
その仕草にイーリスもアサルトライフルを構える。そうしてリーゼロッテを内側に押し込むよう動くと、下水の影から様子を窺っていた鼠型雑魔2匹が飛び出してきた。
「組合長は下がっておれ!」
イーリスはそう叫ぶと、素早く照準を合わせて引き金を引く。
ガッ。
「外したか!」
器用に横飛びをして左右に回避した鼠。壁に当った銃弾が鈍い音を立てる中、イーリスは再び銃を構える。だが敵の動きの方が早い。
「っ、甘く見るでないわ!」
後方にチラついたリーゼロッテの存在に回避しそうになる足を踏ん張る。そして即座に盾を構えると、真正面から鼠の牙を受け止めた。
「これでも喰らうが良い!」
至近距離からの一撃。
流石にこの距離からの回避は不可能だったらしく、イーリスが迎え撃った雑魔は彼女の放った銃弾によって崩れ落ちた。
一方、練に流れた雑魔は未だ健勝。
素早い動きで彼女との距離を詰めるべく、下水の壁を伝って猛突進してきている。
「速えぇ……さっきの鼠と合せてチューマッハ兄弟かぁ!」
若干感性がズレているが嬉しそうなので良しとしよう。要は彼女自身、この戦闘を楽しんでいる。そう、楽しんでいるのだ――たぶん。
「あ、チューマッハ兄弟の兄の方。これ脂身ばっかで美味くねーから諦めろ」
な? そんな声を掛けながら、アルケミストタクトを振り上げる。そして布団の下からダイヤモンドダストのような輝きを放つと、「機導剣はとくいちゅうのとくいさ」と光の剣を出現させて鼠を両断した。
「これぞ事故……ああ、あの隻眼、柳生チュウ兵衛か!」
喰い付き方がやはりおかしい。
練曰く柳生チュウ兵衛なる鼠は、後方で小さな火球を飛ばすチョココに狙いを定め駆け出していた。
これにレオンが立ち塞がる。
「これより先は行かせない!」
敵の数が多ければ盾で応戦するところだが、1体が相手ならば刀で問題ない。
レオンは迫る鼠に意識を集中すると、武器にマテリアルを送り込んだ。そして敵が間合いに入るか否かと言う部分で一気にそれを振り抜く。
「はああああああッ!」
ザッと下水を踏み締める音が響き、両断された鼠の亡骸が下水に落ちる音が響く。そして次なる敵を探そうと目を向けた彼の頬を、光源以上の光が掠めた。
「――っ?」
「間一髪ですの♪」
ニコッと笑った彼女の視界に落ちた黒焦げの鼠。どうやらレオンの背後に迫った敵をファイアーボールで仕留めてくれたらしい。
「あ、ありがとうございます……」
自分も色々な意味で間一髪だった事に気付き、ゾッとする。思わず生唾を呑み込んで目を瞬く事僅か、彼の耳に前衛2人の声が届いた。
「下水には下水に相応しい雑魔が蔓延ってるな……誠一、行くぞ」
先の戦闘でも、今の仲間との戦闘でも把握できた敵の動き。確かに動きは早いがそれだけだ。
「的が大きくなってる分、戦り易いのは僥倖だぜ。リーゼロッテのところには通さねぇよ」
スッと細めた青の目が、天井と地上の双方から迫る鼠を捉える。その上で両の足をしっかり地面に押し付けると、手にしている太刀を大きく振り上げ――薙いだ。
「良いバッティングです!」
まるで野球のボールの様に打ち上げた鼠。それを正面から引き受けた誠一は、器用に片手で開いた鉄扇で勢いよく地面に叩き付ける。
そうして次に飛んで来た鼠を扇の腹で滑らせ、再び上空へと舞わせる。
「締めはお願いします」
「はいよ」
くるくると宙を舞った鼠に、轟音を響かせるヴォルフガングの太刀が迫る。そうして彼の刃が鼠の胴を真っ二つにすると、辺りは戦闘前と同じ静けさを取り戻した。
●
錬魔院の地下近くに設置されたマテリアル観測装置。そのメンテナンスを行うリーゼロッテの傍らで、誠一は汚染された下水を見ていた。
「豊かさと引き換えに、侵される自然……心が痛みますね」
リアルブルーでもあった環境汚染。それが別世界のクリムゾンウェストでも起こっている。
その事実に憂いてしまう。そんな誠一にチョココが近付いて来た。
「うん?」
「お怪我してますの」
先程の戦闘の際に傷付けたのだろう。
手の甲についた掠り傷に、小さな手が伸びる。そして普通に消毒をするのかと思いきや――
「!?」
「やべぇな……火気厳禁、だ」
突如として吹きかけられた酒に、ヴォルフガングが面白そうに目を細めて呟く。その傍では何故か興奮する練の姿も。
「……アルコール消毒と言うものも存在しますし……ありがとうございます」
それにしても。と言葉を切った彼に、ヴォルフガングを始め、皆の視線が向かう。
「ミジンコ型の次は鼠型。本当に次から次へとどっから湧いてくるんでしょうね。汚染によって雑魔化したってことは、侵入経路もあるってことなんでしょうけれど……」
零して自然と視線が錬魔院のある頭上へ向く。
「侵入経路と言うものは厳密にはないかもしれませんね。彼等は元々ここにいた可能性がありますし……敢えて言うのであれば、錬金術が彼等を生み出してしまった。でしょうか」
苦笑交じりに微笑んで手を止めたリーゼロッテに、練が咳払いを零す。
「終わったのか?」
ん。と差し出したミネラルウォーターは彼女の補給物資だ。
「ありがとうございます。まだもう少しだけ作業が残っていますので、終わったら頂きますね」
リーゼロッテはそう言うと、作業に戻って行った。その姿を見て誠一が零す。
「……これが打開策に繋がる一歩であることを祈るばかりです」
「まあ、データは嘘をつかんさ」
大丈夫。そんな言葉を含ませて布団を被り直した彼女に、誠一は微かに頷くと、リーゼロッテの作業が終わるのを、周囲を警戒しながら待った。
●
メンテナンス終了後、後は入口に戻るだけと下水道を進んでいた中で、イーリスはある問いをリーゼロッテに投げかけた。
「そういえば、開発途中の部分甲冑方式魔導アーマー……アレの開発の進捗具合はどうなっておる? わしとしては、非常に気になっておってのう」
そう語るイーリスの言う部分甲冑式魔導アーマーとは、錬魔院の開発者が主導で行っている既存の魔導アーマーの形を覆す新型の魔導アーマーの事だ。
訳あってリーゼロッテもその開発に携わっているのだが、以前に依頼を受けてから研究が進んでいるのか耳にしない。
だから問いかけたのだが、この問いにリーゼロッテの表情が曇った。
「それに関しては、ブリちゃんのご機嫌を損ねてしまいまして……」
「機嫌を損ねるじゃと? まさか、ハイデマリーの件かのう?」
「ええ、まあ……勝手に、あの子の魔導アーマーを弄ってしまいましたから……」
そう言って視線を落としたリーゼロッテにイーリスの視線も落ちる。元々ハイデマリーの容態も気になっていたが、ブリジッタも問題あるとなると色々面倒そうだ。
「そういうことならば、参考までに聞いてはくれんかのう」
言って彼女が示したのは、今日一日中付けていた試作型アーマースーツだ。
特殊モーターを装着した機械式の鎧で、開発途中の魔導アーマーに近い部分もある装備は、きっと開発のヒントになる。そう思って今日この場に着て来たのだ。
「かなり重く、移動などの動きが鈍るのが難点じゃがのう……どうじゃろう?」
そう首を傾げるイーリスに、リーゼロッテは少しだけ考える間を持って、頷いた。
「わかりました。折を見て伝えておきます」
「うむ、すまんのう……」
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相談卓 レオン・フォイアロート(ka0829) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/05/26 23:45:14 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/23 16:03:20 |