ゲスト
(ka0000)
死神たちの戦場
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/06/01 22:00
- 完成日
- 2015/06/09 14:37
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「まるちぷる……ですさいず?」
同盟領内の蒸気工業都市「フマーレ」に近い小さな田舎集落で、集まった住民が不思議そうに斉唱した。
「そうです! 『マルチプルデスサイズ』です」
赤い蝶ネクタイをした商人が甲高い声を上げて大きく頷いた。どうやらこの商人が売り込みに来たらしい。
そのマルチプルデスサイズ、どす黒い赤一色のカラーリングで柄には橈骨(とうこつ)や尺骨(しゃっこつ)、さらに上腕骨(じょうわんこつ)につながっているような彫り込みがなされ、刀身根本には大きな眼球を模したガラスが、さらに刃の背部分に鎖骨が彫り込まれているなど禍々しい。
「見てください、この素晴らしいデザイン! 盗賊に襲われてもこれを構えるだけで敵はびびって逃げてしまいそうです。さらに凄いのは威力が通常の3倍なんですっ!」
「通常の……3倍?」
「そうっ! 一般的な片手の大型草刈り鎌より3倍の大きさ、3倍の重さがあるので容易に3倍の威力を出すことができるんですっ!」
「待った!」
ここで住民の中の知恵者一人がピンときた。
「これ、草刈り鎌なのか?」
「いーえ、マルチプルデスサイズですっ!」
さらに甲高く声を張る商人。
「なぜマルチプルかというと、草刈りもでき死神的武器としても使えるからなんですよ。びっくりでしょう? 同盟の誇る蒸気工業都市『フマーレ』の職人が、地方の農家のために実作業と非常用の武器として開発した新商品です。どこにもまだ売っていません!」
これに困ったような顔をする住民たち。
「いや……戦闘したいわけじゃねぇし……」
「どこにも売ってないんじゃなくて、どこにも売れねぇんじゃねぇか?」
「とんでもないっ!」
商人、さらにヒートアップ。
「いいですか? 世の中、戦闘は見た目なんです。ハンターたちはそのへんわかってらっしゃるから、きっとこの武器にほれぼれするはずですっ。さらに、こんな武器を軒先に立て掛けてある農村を盗賊が襲いますか? ゴブリンが急襲しますか? さらに、困ったことがあってハンターを呼んでも、この武器があると知れば喜んでやって来て使いたがるでしょう!」
ぐいい、と詰め寄る商人。その勢いに押され住民の口も閉ざされた。というか、もう早く帰ってもらいたがっている。皆が困ったような視線を交わし合っていた。
「いいでしょう。この魔除けにもなる『マルチプルデスサイズ』、大特価のこの値段で……お話を聞いてくれたこの集落だけのために、赤字覚悟でご提供します」
ぱちぱちぱち~ん、とそろばんを弾いてみせる。おお、と住民たち。「そ、そうか……魔除けにはなるか……」との呟きも出る。
これに商人、ニヤリとした。瞳をきらんと輝かせ息を吸い込んだ。
そしてっ。
「さらに、今なら一本ご購入につきもう一本、無料でサービスします!」
「えええっ!」
最後の一押しの声に、驚きと歓喜の入り交じった声が響くのだった。
その後。
「買ってしもうた……」
住民たちは自らのものとなったマルチプルデスサイズを見上げる。視線には「もしかして不要じゃったかも」という後悔の色も交じっている。
「そ、そうじゃ。そろそろ草刈りの季節じゃ。ハンターを呼んで、このマルチプルなんとかで刈ってもらおう」
「そうじゃの。あそこはたまに大蛇が出るし」
「死神部隊、として呼べば来てくれるじゃろう」
「だましてないか?」
「いや、あの草むらには突然変異して人の顔のような形になった毒キノコもある。それを刈るのは死神の役目じゃの」
なんだか都合良し理論が繰り広げられ、結局ハンターを雇うことになる。大蛇がいればハンターを雇うので、転ばぬ先の杖ということらしい。
というわけで、死神部隊、求ム。
同盟領内の蒸気工業都市「フマーレ」に近い小さな田舎集落で、集まった住民が不思議そうに斉唱した。
「そうです! 『マルチプルデスサイズ』です」
赤い蝶ネクタイをした商人が甲高い声を上げて大きく頷いた。どうやらこの商人が売り込みに来たらしい。
そのマルチプルデスサイズ、どす黒い赤一色のカラーリングで柄には橈骨(とうこつ)や尺骨(しゃっこつ)、さらに上腕骨(じょうわんこつ)につながっているような彫り込みがなされ、刀身根本には大きな眼球を模したガラスが、さらに刃の背部分に鎖骨が彫り込まれているなど禍々しい。
「見てください、この素晴らしいデザイン! 盗賊に襲われてもこれを構えるだけで敵はびびって逃げてしまいそうです。さらに凄いのは威力が通常の3倍なんですっ!」
「通常の……3倍?」
「そうっ! 一般的な片手の大型草刈り鎌より3倍の大きさ、3倍の重さがあるので容易に3倍の威力を出すことができるんですっ!」
「待った!」
ここで住民の中の知恵者一人がピンときた。
「これ、草刈り鎌なのか?」
「いーえ、マルチプルデスサイズですっ!」
さらに甲高く声を張る商人。
「なぜマルチプルかというと、草刈りもでき死神的武器としても使えるからなんですよ。びっくりでしょう? 同盟の誇る蒸気工業都市『フマーレ』の職人が、地方の農家のために実作業と非常用の武器として開発した新商品です。どこにもまだ売っていません!」
これに困ったような顔をする住民たち。
「いや……戦闘したいわけじゃねぇし……」
「どこにも売ってないんじゃなくて、どこにも売れねぇんじゃねぇか?」
「とんでもないっ!」
商人、さらにヒートアップ。
「いいですか? 世の中、戦闘は見た目なんです。ハンターたちはそのへんわかってらっしゃるから、きっとこの武器にほれぼれするはずですっ。さらに、こんな武器を軒先に立て掛けてある農村を盗賊が襲いますか? ゴブリンが急襲しますか? さらに、困ったことがあってハンターを呼んでも、この武器があると知れば喜んでやって来て使いたがるでしょう!」
ぐいい、と詰め寄る商人。その勢いに押され住民の口も閉ざされた。というか、もう早く帰ってもらいたがっている。皆が困ったような視線を交わし合っていた。
「いいでしょう。この魔除けにもなる『マルチプルデスサイズ』、大特価のこの値段で……お話を聞いてくれたこの集落だけのために、赤字覚悟でご提供します」
ぱちぱちぱち~ん、とそろばんを弾いてみせる。おお、と住民たち。「そ、そうか……魔除けにはなるか……」との呟きも出る。
これに商人、ニヤリとした。瞳をきらんと輝かせ息を吸い込んだ。
そしてっ。
「さらに、今なら一本ご購入につきもう一本、無料でサービスします!」
「えええっ!」
最後の一押しの声に、驚きと歓喜の入り交じった声が響くのだった。
その後。
「買ってしもうた……」
住民たちは自らのものとなったマルチプルデスサイズを見上げる。視線には「もしかして不要じゃったかも」という後悔の色も交じっている。
「そ、そうじゃ。そろそろ草刈りの季節じゃ。ハンターを呼んで、このマルチプルなんとかで刈ってもらおう」
「そうじゃの。あそこはたまに大蛇が出るし」
「死神部隊、として呼べば来てくれるじゃろう」
「だましてないか?」
「いや、あの草むらには突然変異して人の顔のような形になった毒キノコもある。それを刈るのは死神の役目じゃの」
なんだか都合良し理論が繰り広げられ、結局ハンターを雇うことになる。大蛇がいればハンターを雇うので、転ばぬ先の杖ということらしい。
というわけで、死神部隊、求ム。
リプレイ本文
●
「いやあ、死神じゃあ」
「ホンマに死神の鎌を持って来ちょる……」
ざわめく村人たちが遠巻きにハンターたちを見ている。
「ふうん、これがマルチプルデスサイズ……」
佐井 灯(ka4758)はそんな様子を気にもせず、持参した装備「デスサイズ」と村の死神の鎌を見比べている。その横では月影 夕姫(ka0102)も同じく持参の「クロノスサイズ」と比較中。
「これ見て襲わないんじゃなくて、私ならこんなのが多数立て掛けてある村には関わりたくないわね」
夕姫、ため息交じり。
ちら、と村人を見ると、「おお、早速あの死神娘さんに気に入ってもらったようじゃの」とかこそこそ話している。
「おう、貸してみな」
ここで飄々とした声が響く。アルフォード(ka4161)である。
「なんだか妙なモン作ったんだねえ……」
しみじみと人間の骨格をところどころに意匠として彫り込んである鎌を見る。
「しっかし最近の若いのには、こういうの流行ってんだろう?」
ヴァルキリーズフォールドなどを纏ったブリジット(ka4843)に話を振ってみる。
「さあ? 私は母の誂えてくれた戦乙女のような装備を身に着けてますから……」
ブリジット、流行には流されないらしい。
ちなみに、彼女を見た村人たちは。
「あの娘さんは死神という感じではないの」
「デスサイズ、使ってくれんのんかのぅ……」
なんだか物足りなさそうである。
これに気付いたアルフォード。自分の姿を改めて見る。
「やれやれ、一応使ってやるけどよう。死神部隊ねえ……」
とか言いつつ、髑髏の意匠で飾られている「スカルアイパッチ」を片目に装着した。
遠巻きにして見ている村人たちは「おお~、死神眼帯の男じゃあ~」などと拍手していたり。
「……」
この様子に灯が気付いた。
仕方ないなぁ、とかいう表情を作ってから自らのデスサイズの刃先を仰ぎ見て呟いた。
「此は数多の命を刈り取りし魔鎌……迂闊に触れば、それだけでも命を吸いかねぬ故、用心せよ……なんちゃって」
「うおおっ! 死神じゃあ、ホンマもんの死神じゃあ!」
盛り上がる村人を背にして灯は「……うん、なんかノリで言っちゃった」とか赤面してたり。
――ざ……。
そこに新たな男が現れた。
「……死神部隊、か……」
名を、モヒカン皇帝(ka4918)。
髪型はもちろんモヒカンで、死神装束である。いま、マルチプルデスサイズを手にした。
「おおっ、死神なのに髪型がっ!」
「死神モヒカンじゃあ!」
あまりの風格に怖がる村人。
「まぁ、のんびりやればいいか」
モヒカン皇帝の今度の呟きは村人にも聞こえたようで。村人もほっとしている。
その時。
――ギュイィィーン。
不気味な魔導機械音が別の方向から響く。
「死神のコスプレ会場はここだよね?」
紙袋を頭からかぶった人物がやって来た。手にはリボルビングソー。籠った声が不気味だ。
「ひいい……何か違うの来た―っ!」
「え? 何か違うの?」
後ずさった村人に言われ紙袋を取った姿は、超級まりお(ka0824)だった。
●
そして。
「……なんだ草刈りかぁ。てっきり……」
てへ、と後頭部に手をやるまりお。
「とにかく、片付けてしまいましょう」
ブリジットはマルチプルデスサイズを手に、そそくさと草刈り場へ。
「一応、何かあればすぐに駆けつけられる程度の距離を空けて手分け作業……かな?」
灯がデスサイズを手に続く。
「これ、使ってあげないとあの人たち悲しむのよね……」
夕姫はやれやれと言う感じ。クロノスサイズを背負い、マルチプルデスサイズを手に続く。
「まっ、一服しながら適当にやるさ」
片目の視界はこんな感じか、と首の角度を変えつつアルフォードも持ち場に就く。
「さて、仕事の時間だ……」
モヒカン皇帝も草刈り場に近寄りた。
次の瞬間、村人たちは目を見開いて恐怖することになるッ!
「ヒャッ……ハー!」
掲げられまがまがしく陽光を跳ねたマルチプルデスサイズが振り下ろされるとばっさと雑草が舞った。
何というパワー。
何という破壊力。
「通常の……三倍」
村人たちは一応、あの商人は嘘を言っていたわけではないことを理解した。
別の場所でも雑草が一度にばっさり刈られていた。
「なるほど。外側、内側の違いはあれど刀と使い方は同じですね。引いて斬る、ですか」
ブリジットが普段とは違う、戦乙女的ではない武器の使い勝手を確認しながら作業していた。
別の場所では、夕姫。
「最近、武器をサイズ系に替えた処だから、練習にちょうどいいのよね」
自前のデスサイズのキレ味に満足している。
ところで、一人突出している者がいた。
「しっかし、どんな感じに使えばいいんだいこいつは」
アルフォードである。
ごちゃごちゃ言ってるようだが、中腰で刃を地面水平に左右に振りながら前進。コツをつかんで、それが心地良くついつい振るってしまうようで
それが、落とし穴だった。
「草の揺れてる場所に近づく時は、一応注意……って、あれ。アルフォードさんどうしたの?」
斜め後ろにいた灯が、彼の異変に気付いたらしい。アルフォードの姿が消えたのだ。慌てて彼の刈り進んでいたルートに分け入って駆け寄る。
「……そういや自分の体の事考えてなかったねえ。俺もそれなりになっちまったからよう」
アルフォード、しゃがみ込んで腰をとんとん後ろ手で叩いていた。
ただ、これでコツを完全につかんだ。
「こうすりゃ良かったんだな」
小休止中に考えたようで、規則的に、力よりも遠心力を一定に使い、自身の力は極力抜いて刈りだした。今度は急がない。これで作業も安定した。
それはそれとして。
「折角だからこのままやっちゃおうかな」
――ギュイィィーン。
再び響く魔導機械音。
まりおがリボルビングソーを構えている。再び紙袋を被る。
「ひいい……」
「コレも面白い様に草刈れる武器だし。マルチプルなんちゃらには負けないよー♪」
耳慣れない音に身を縮める村人に、今度はにこやかに言うまりお。そのまま草刈り場に突っ込んだ。
こうして、死神の群れに殺人鬼型が混ざるのだった。
●
作業は面白いようにはかどっていた。
「しっかり腰を落として、根元からしっかり刈り取れるように」
灯がばっさばっさと刈って、草を一カ所にまとめている。
「進行方向から目を切った後はしっかり周りを見て」
蛇の気配がないか確認してまた刈る。
少し遠くでは、リボルビングソーの音。
おや、音が止まったぞ?
この時まりお、しげしげと足元を見ていた。
そこには、蒼の世界なら帽子をちょこんと被ったモアイ像と呼ばれそうな形のキノコがあった。もちろんキノコなのでくるぶしから少し上程度の大きさしかないが。
その顔が、どうにもにこにこしているように見える。「どうぞ刈って♪」と言わんばかりだ。
「……巨大化できるキノコじゃないならどうでもいいや」
再び響くリボルビングソーの音。
まりお、キノコの脳天から一刀両断にした。
――ぶしゅう!
同時に広がる紫色の霧。毒である。
「けほ……」
紙袋を脱いだ彼女の頬はすっかり上気していた。
「はっ!」
ほぼ同時にまりおの背後で毒キノコが首ちょんぱされて跳ねた。毒煙が広がる中、月姫が激しく跳び退ってしていた。マテリアル噴出移動だ。
「毒受けた? 回復しようか?」
察したまりお、振り向き聞くが月姫の頬はほんのり朱に染まっているということはなかった。
平然とモデル立ちしている。
「火照るってことは体温が上がるってことで、ヘビのピット器官に反応しやすくなるって事よね」
月姫、そこまで読んで大げさな回避をしていたらしい。
「モヒカァァンッビィィィーーーーーッム!!」
突然の雄たけびにびくっとしたまりおと月姫。
振り向くとモヒカン皇帝がシルバーバレットを構え発砲していた。
その先でぼふりと上がる毒煙。ああ、モヒカンの餌食になったのね、と理解する二人。
が、ちょい騒ぎすぎたか!
――ざざざっ!
不穏な気配。
ざぱーん、と草むらの波から鎌首をもたげ接近する大蛇がまりおに迫る。
「マンマ・ミーア!! 蛇出たよー!」
まりお、構える。
が、いったん波間に沈んだ後に大蛇が襲い掛かったのは……。
「こっち?」
月姫だ。
いったん沈んでから長い体をまとめ、長い距離を一気に横飛びしてきた。あっという間に巻き付かれる。
「巻き付き方がエロいのよ」
月姫、マルチプルを捨てて背負っていたクロノスサイズに手を掛け……捻じった。蛇はエロくも胸を強調するような巻き付き方をしていた。背負っていた鎌ごとなので、横に捻じれば緩む。これで脱出成功。
「消毒だぁぁぁ!」
横合いからモヒカン皇帝、赤熱するヒートソードで斬りつける。意外と表皮、硬い。
「狙い辛いように動き回って……そらっ!」
「機導砲!」
今度はまりおが狙われたが、横に移動中で事なきを得る。月姫が鎌の先から砲撃し援護する中、リボルビングソーが迎撃し……ここで付けた傷で腹側の方が柔らかいことに気付く。
「狙うなら腹だね」
この時、正面月姫、左右にまりおとモヒカン。死神と殺人鬼型とモヒカンという、レアな三角包囲が完成した。
そして大蛇、巻き付き具合が心地良かったのか、再び月姫に襲い掛かる!
「某映画の大蛇は爆弾飲み込ませてドカンだったけど……」
月姫、今度は惑わされない。鎌を下に半回転させ……。
「魔導剣!」
下段からすくい上げた!
首筋を斬られのけぞる大蛇。
「スラッシュエッジだよ」
まりおも驚異的な跳躍を見せて大蛇の横を取り、今度は上から脳天に回転刃。上下からの激痛に蛇がたまらず逃げを打つ。
そこへ……。
「モヒカン…バスタァァァァァァ!!」
殺到していたモヒカンがだらりと空いた大蛇の口に拳を突っ込み、ロケットナックル!
吹っ飛んだ大蛇は、完全に戦意を喪失した。
●
一方、アルフォード。
「なんか近付きたくねえよなあ……」
どうやら毒キノコを発見したらしい。
関わりたくない、とばかりに黄金拳銃で鉛玉プレゼント。
が、毒を吐くだけで根本的な解決になっていない。
「仕方ねぇなぁ」
鎌で刈る。
ドッジダッシュで吹きだす毒から逃げようとするが……残念風上は草むらだ。手まくってる間に毒を食らい、酒飲みのように鼻の頭を真っ赤にする。
その向こうで、屈んでいたブリジットが顔を上げた。
「やはりいざやってみると大変なものです、なお一層食事時には感謝の祈りを忘れてはいけませんね」
頬をほんのり染めて手でぱたぱた仰いでいる。えらく色っぽい。
「……ぁふ、身体が熱いけど……うん、大丈夫」
さらに向こうで灯も顔を上げた。
こちらはぽーっと紅潮した感じで可愛らしい。
「この差はなんだ? 俺がおっさんだからか?」
アルフォード、納得がいかないようだがまあ、おっさんが色っぽくなってもどうしようもない。
この時!
「ひっ!」
頬を染めたブリジットの可愛らしい悲鳴が響いた。
一瞬で大蛇に巻き付かれている。
同時にアルフォードの銃が火を噴く。この隙にブリジット、身体を回転させヴァルキリーズフォールドを広げて脱出。
そこへ、両手首から光を棚引かせ、灯がステップ・イン。
「今日のボクは無慈悲な死神……踊りましょうか、ダンスマカブルっ♪」
上半身を海老反りにして背後に回した死神の鎌を構えている。隙あり、と大蛇が襲ってきたところを後退しつつ反動を生かした鎌を振る。
横っ面に食らう蛇だがひるまない。さらに飛びつく。
「お客さん……しつこいね」
灯は踊りながらさらに後退。間合いギリギリで鎌が振り回され細かく蛇の表皮を削る。
業を煮やした大蛇、今度はアルフォード方面に横っ飛び。
「いやヘビっつーか、こいつはヘビーだねえ」
改めて顔の大きさを知るアルフォード。
もっとも、彼もまともに相手しない。
ドッジダッシュで伸身ひねりしつつジャンプ。手にした死神の鎌を支柱に大きく跳んだ。
いや、それだけではない!
「……飛燕」
地に刃の方を突いていた鎌を、蛇の体が通過しているときに引いたのだ。スラッシュエッジを込めて!
――びくっ!
蛇の体は大きく波打ち、血をしぶかせながら横に波打った。改めて顔を上げた先に、白い姿。いや、死神の鎌が来ている。
ブリジットの一撃だ。
大蛇、くわっと口を開けて刃にかみつき止めてひねる。梃子の原理で武器をひったくるが……。
「私の武器はこちらだ。手加減は出来ぬ故わるく思うな」
ブリジット、日本刀「景幸」を抜き放ち風となる。空を翔ける戦乙女の如く軽やかに詰め、疾風剣の太刀筋がひらめく。
「うん…一気に仕留める」
灯は円舞しながら今度は近付き、勢いをつけた死神の鎌を蛇の胴体に突き刺す!
たぁん、と銃声もした。
――どさ……。
大蛇は倒れたが……アルフォードも片膝をついている。
「どうしました?」
ブリジットが掛け寄ると、どうやら腰をとんとん叩いている様子。
「いやあ、昔のようにはいかねえもんだねえ…腰によくねえや」
どうやらやられたわけではないようで。
「……葉巻」
「毒を食らうくらいなら、な」
続いてやって来た灯の言葉に返す。
アルフォード、戦闘に夢中で毒キノコを踏んで毒も食らっていたらしい。
●
そして夕暮れ。草刈りと大蛇退治は終わった。
「せっかく湯浴みの用意もしてくれたし、汗もかいたからサッパリしましょうか……覗いたら砲撃ね」
夕姫がアルフォードとモヒカン帝王に振り向いて、にこり。
それもそのはず。
村人が用意した風呂は、草原の見える野外にドラム缶を設置しただけ。どうやらマルチプルデスサイズ、これに大量に入れて売りに来ていたらしい。
隣の天幕は更衣室。
「……うん、折角だし」
灯、ぴっとりと汗で上着の張り付いたふっくらした胸元を気にしつつ、更衣室へる
「草っぽい変なニオイがついちゃって正直お風呂の用意をして貰えるのは有難いんだよね♪」
入れ替わりにバスタオルを体に巻いたマリオが出てきた。足をレの字に上げているのは下着を脱いぎつつだから。下着は天幕に隠れて見えないが。
「これで大丈夫でしょうか?」
夕姫と更衣室に入ったブリジットが戦乙女的な装甲を外しながら首をひねる。
「大蛇の穴は埋めたし、毒キノコの下にあった朽ちた木も取り払ったし、大丈夫でしょ?」
何と夕姫、根本的なことも対処していた。
この時、男性陣。
「何やってんだ?」
アルフォードが草刈りした原っぱに座り込むモヒカン皇帝のところまで行ってみる。
「……これか? 蛇の肉だ。ああ、キノコの調理は無理だぞ」
何とモヒカン、火を起こして蛇を捌いていた。
「上手に焼けました、ってか?」
ぽりぽり頭をかく背後、遠くでは、バスタオルに身を包んだ女性たちが背中の流しっこをしてきゃいきゃいしていた。
ブリジットは湯に漬かり、死神部隊の活躍を歌っている
これぞ田舎村の夕暮れ風景である。
「いやあ、死神じゃあ」
「ホンマに死神の鎌を持って来ちょる……」
ざわめく村人たちが遠巻きにハンターたちを見ている。
「ふうん、これがマルチプルデスサイズ……」
佐井 灯(ka4758)はそんな様子を気にもせず、持参した装備「デスサイズ」と村の死神の鎌を見比べている。その横では月影 夕姫(ka0102)も同じく持参の「クロノスサイズ」と比較中。
「これ見て襲わないんじゃなくて、私ならこんなのが多数立て掛けてある村には関わりたくないわね」
夕姫、ため息交じり。
ちら、と村人を見ると、「おお、早速あの死神娘さんに気に入ってもらったようじゃの」とかこそこそ話している。
「おう、貸してみな」
ここで飄々とした声が響く。アルフォード(ka4161)である。
「なんだか妙なモン作ったんだねえ……」
しみじみと人間の骨格をところどころに意匠として彫り込んである鎌を見る。
「しっかし最近の若いのには、こういうの流行ってんだろう?」
ヴァルキリーズフォールドなどを纏ったブリジット(ka4843)に話を振ってみる。
「さあ? 私は母の誂えてくれた戦乙女のような装備を身に着けてますから……」
ブリジット、流行には流されないらしい。
ちなみに、彼女を見た村人たちは。
「あの娘さんは死神という感じではないの」
「デスサイズ、使ってくれんのんかのぅ……」
なんだか物足りなさそうである。
これに気付いたアルフォード。自分の姿を改めて見る。
「やれやれ、一応使ってやるけどよう。死神部隊ねえ……」
とか言いつつ、髑髏の意匠で飾られている「スカルアイパッチ」を片目に装着した。
遠巻きにして見ている村人たちは「おお~、死神眼帯の男じゃあ~」などと拍手していたり。
「……」
この様子に灯が気付いた。
仕方ないなぁ、とかいう表情を作ってから自らのデスサイズの刃先を仰ぎ見て呟いた。
「此は数多の命を刈り取りし魔鎌……迂闊に触れば、それだけでも命を吸いかねぬ故、用心せよ……なんちゃって」
「うおおっ! 死神じゃあ、ホンマもんの死神じゃあ!」
盛り上がる村人を背にして灯は「……うん、なんかノリで言っちゃった」とか赤面してたり。
――ざ……。
そこに新たな男が現れた。
「……死神部隊、か……」
名を、モヒカン皇帝(ka4918)。
髪型はもちろんモヒカンで、死神装束である。いま、マルチプルデスサイズを手にした。
「おおっ、死神なのに髪型がっ!」
「死神モヒカンじゃあ!」
あまりの風格に怖がる村人。
「まぁ、のんびりやればいいか」
モヒカン皇帝の今度の呟きは村人にも聞こえたようで。村人もほっとしている。
その時。
――ギュイィィーン。
不気味な魔導機械音が別の方向から響く。
「死神のコスプレ会場はここだよね?」
紙袋を頭からかぶった人物がやって来た。手にはリボルビングソー。籠った声が不気味だ。
「ひいい……何か違うの来た―っ!」
「え? 何か違うの?」
後ずさった村人に言われ紙袋を取った姿は、超級まりお(ka0824)だった。
●
そして。
「……なんだ草刈りかぁ。てっきり……」
てへ、と後頭部に手をやるまりお。
「とにかく、片付けてしまいましょう」
ブリジットはマルチプルデスサイズを手に、そそくさと草刈り場へ。
「一応、何かあればすぐに駆けつけられる程度の距離を空けて手分け作業……かな?」
灯がデスサイズを手に続く。
「これ、使ってあげないとあの人たち悲しむのよね……」
夕姫はやれやれと言う感じ。クロノスサイズを背負い、マルチプルデスサイズを手に続く。
「まっ、一服しながら適当にやるさ」
片目の視界はこんな感じか、と首の角度を変えつつアルフォードも持ち場に就く。
「さて、仕事の時間だ……」
モヒカン皇帝も草刈り場に近寄りた。
次の瞬間、村人たちは目を見開いて恐怖することになるッ!
「ヒャッ……ハー!」
掲げられまがまがしく陽光を跳ねたマルチプルデスサイズが振り下ろされるとばっさと雑草が舞った。
何というパワー。
何という破壊力。
「通常の……三倍」
村人たちは一応、あの商人は嘘を言っていたわけではないことを理解した。
別の場所でも雑草が一度にばっさり刈られていた。
「なるほど。外側、内側の違いはあれど刀と使い方は同じですね。引いて斬る、ですか」
ブリジットが普段とは違う、戦乙女的ではない武器の使い勝手を確認しながら作業していた。
別の場所では、夕姫。
「最近、武器をサイズ系に替えた処だから、練習にちょうどいいのよね」
自前のデスサイズのキレ味に満足している。
ところで、一人突出している者がいた。
「しっかし、どんな感じに使えばいいんだいこいつは」
アルフォードである。
ごちゃごちゃ言ってるようだが、中腰で刃を地面水平に左右に振りながら前進。コツをつかんで、それが心地良くついつい振るってしまうようで
それが、落とし穴だった。
「草の揺れてる場所に近づく時は、一応注意……って、あれ。アルフォードさんどうしたの?」
斜め後ろにいた灯が、彼の異変に気付いたらしい。アルフォードの姿が消えたのだ。慌てて彼の刈り進んでいたルートに分け入って駆け寄る。
「……そういや自分の体の事考えてなかったねえ。俺もそれなりになっちまったからよう」
アルフォード、しゃがみ込んで腰をとんとん後ろ手で叩いていた。
ただ、これでコツを完全につかんだ。
「こうすりゃ良かったんだな」
小休止中に考えたようで、規則的に、力よりも遠心力を一定に使い、自身の力は極力抜いて刈りだした。今度は急がない。これで作業も安定した。
それはそれとして。
「折角だからこのままやっちゃおうかな」
――ギュイィィーン。
再び響く魔導機械音。
まりおがリボルビングソーを構えている。再び紙袋を被る。
「ひいい……」
「コレも面白い様に草刈れる武器だし。マルチプルなんちゃらには負けないよー♪」
耳慣れない音に身を縮める村人に、今度はにこやかに言うまりお。そのまま草刈り場に突っ込んだ。
こうして、死神の群れに殺人鬼型が混ざるのだった。
●
作業は面白いようにはかどっていた。
「しっかり腰を落として、根元からしっかり刈り取れるように」
灯がばっさばっさと刈って、草を一カ所にまとめている。
「進行方向から目を切った後はしっかり周りを見て」
蛇の気配がないか確認してまた刈る。
少し遠くでは、リボルビングソーの音。
おや、音が止まったぞ?
この時まりお、しげしげと足元を見ていた。
そこには、蒼の世界なら帽子をちょこんと被ったモアイ像と呼ばれそうな形のキノコがあった。もちろんキノコなのでくるぶしから少し上程度の大きさしかないが。
その顔が、どうにもにこにこしているように見える。「どうぞ刈って♪」と言わんばかりだ。
「……巨大化できるキノコじゃないならどうでもいいや」
再び響くリボルビングソーの音。
まりお、キノコの脳天から一刀両断にした。
――ぶしゅう!
同時に広がる紫色の霧。毒である。
「けほ……」
紙袋を脱いだ彼女の頬はすっかり上気していた。
「はっ!」
ほぼ同時にまりおの背後で毒キノコが首ちょんぱされて跳ねた。毒煙が広がる中、月姫が激しく跳び退ってしていた。マテリアル噴出移動だ。
「毒受けた? 回復しようか?」
察したまりお、振り向き聞くが月姫の頬はほんのり朱に染まっているということはなかった。
平然とモデル立ちしている。
「火照るってことは体温が上がるってことで、ヘビのピット器官に反応しやすくなるって事よね」
月姫、そこまで読んで大げさな回避をしていたらしい。
「モヒカァァンッビィィィーーーーーッム!!」
突然の雄たけびにびくっとしたまりおと月姫。
振り向くとモヒカン皇帝がシルバーバレットを構え発砲していた。
その先でぼふりと上がる毒煙。ああ、モヒカンの餌食になったのね、と理解する二人。
が、ちょい騒ぎすぎたか!
――ざざざっ!
不穏な気配。
ざぱーん、と草むらの波から鎌首をもたげ接近する大蛇がまりおに迫る。
「マンマ・ミーア!! 蛇出たよー!」
まりお、構える。
が、いったん波間に沈んだ後に大蛇が襲い掛かったのは……。
「こっち?」
月姫だ。
いったん沈んでから長い体をまとめ、長い距離を一気に横飛びしてきた。あっという間に巻き付かれる。
「巻き付き方がエロいのよ」
月姫、マルチプルを捨てて背負っていたクロノスサイズに手を掛け……捻じった。蛇はエロくも胸を強調するような巻き付き方をしていた。背負っていた鎌ごとなので、横に捻じれば緩む。これで脱出成功。
「消毒だぁぁぁ!」
横合いからモヒカン皇帝、赤熱するヒートソードで斬りつける。意外と表皮、硬い。
「狙い辛いように動き回って……そらっ!」
「機導砲!」
今度はまりおが狙われたが、横に移動中で事なきを得る。月姫が鎌の先から砲撃し援護する中、リボルビングソーが迎撃し……ここで付けた傷で腹側の方が柔らかいことに気付く。
「狙うなら腹だね」
この時、正面月姫、左右にまりおとモヒカン。死神と殺人鬼型とモヒカンという、レアな三角包囲が完成した。
そして大蛇、巻き付き具合が心地良かったのか、再び月姫に襲い掛かる!
「某映画の大蛇は爆弾飲み込ませてドカンだったけど……」
月姫、今度は惑わされない。鎌を下に半回転させ……。
「魔導剣!」
下段からすくい上げた!
首筋を斬られのけぞる大蛇。
「スラッシュエッジだよ」
まりおも驚異的な跳躍を見せて大蛇の横を取り、今度は上から脳天に回転刃。上下からの激痛に蛇がたまらず逃げを打つ。
そこへ……。
「モヒカン…バスタァァァァァァ!!」
殺到していたモヒカンがだらりと空いた大蛇の口に拳を突っ込み、ロケットナックル!
吹っ飛んだ大蛇は、完全に戦意を喪失した。
●
一方、アルフォード。
「なんか近付きたくねえよなあ……」
どうやら毒キノコを発見したらしい。
関わりたくない、とばかりに黄金拳銃で鉛玉プレゼント。
が、毒を吐くだけで根本的な解決になっていない。
「仕方ねぇなぁ」
鎌で刈る。
ドッジダッシュで吹きだす毒から逃げようとするが……残念風上は草むらだ。手まくってる間に毒を食らい、酒飲みのように鼻の頭を真っ赤にする。
その向こうで、屈んでいたブリジットが顔を上げた。
「やはりいざやってみると大変なものです、なお一層食事時には感謝の祈りを忘れてはいけませんね」
頬をほんのり染めて手でぱたぱた仰いでいる。えらく色っぽい。
「……ぁふ、身体が熱いけど……うん、大丈夫」
さらに向こうで灯も顔を上げた。
こちらはぽーっと紅潮した感じで可愛らしい。
「この差はなんだ? 俺がおっさんだからか?」
アルフォード、納得がいかないようだがまあ、おっさんが色っぽくなってもどうしようもない。
この時!
「ひっ!」
頬を染めたブリジットの可愛らしい悲鳴が響いた。
一瞬で大蛇に巻き付かれている。
同時にアルフォードの銃が火を噴く。この隙にブリジット、身体を回転させヴァルキリーズフォールドを広げて脱出。
そこへ、両手首から光を棚引かせ、灯がステップ・イン。
「今日のボクは無慈悲な死神……踊りましょうか、ダンスマカブルっ♪」
上半身を海老反りにして背後に回した死神の鎌を構えている。隙あり、と大蛇が襲ってきたところを後退しつつ反動を生かした鎌を振る。
横っ面に食らう蛇だがひるまない。さらに飛びつく。
「お客さん……しつこいね」
灯は踊りながらさらに後退。間合いギリギリで鎌が振り回され細かく蛇の表皮を削る。
業を煮やした大蛇、今度はアルフォード方面に横っ飛び。
「いやヘビっつーか、こいつはヘビーだねえ」
改めて顔の大きさを知るアルフォード。
もっとも、彼もまともに相手しない。
ドッジダッシュで伸身ひねりしつつジャンプ。手にした死神の鎌を支柱に大きく跳んだ。
いや、それだけではない!
「……飛燕」
地に刃の方を突いていた鎌を、蛇の体が通過しているときに引いたのだ。スラッシュエッジを込めて!
――びくっ!
蛇の体は大きく波打ち、血をしぶかせながら横に波打った。改めて顔を上げた先に、白い姿。いや、死神の鎌が来ている。
ブリジットの一撃だ。
大蛇、くわっと口を開けて刃にかみつき止めてひねる。梃子の原理で武器をひったくるが……。
「私の武器はこちらだ。手加減は出来ぬ故わるく思うな」
ブリジット、日本刀「景幸」を抜き放ち風となる。空を翔ける戦乙女の如く軽やかに詰め、疾風剣の太刀筋がひらめく。
「うん…一気に仕留める」
灯は円舞しながら今度は近付き、勢いをつけた死神の鎌を蛇の胴体に突き刺す!
たぁん、と銃声もした。
――どさ……。
大蛇は倒れたが……アルフォードも片膝をついている。
「どうしました?」
ブリジットが掛け寄ると、どうやら腰をとんとん叩いている様子。
「いやあ、昔のようにはいかねえもんだねえ…腰によくねえや」
どうやらやられたわけではないようで。
「……葉巻」
「毒を食らうくらいなら、な」
続いてやって来た灯の言葉に返す。
アルフォード、戦闘に夢中で毒キノコを踏んで毒も食らっていたらしい。
●
そして夕暮れ。草刈りと大蛇退治は終わった。
「せっかく湯浴みの用意もしてくれたし、汗もかいたからサッパリしましょうか……覗いたら砲撃ね」
夕姫がアルフォードとモヒカン帝王に振り向いて、にこり。
それもそのはず。
村人が用意した風呂は、草原の見える野外にドラム缶を設置しただけ。どうやらマルチプルデスサイズ、これに大量に入れて売りに来ていたらしい。
隣の天幕は更衣室。
「……うん、折角だし」
灯、ぴっとりと汗で上着の張り付いたふっくらした胸元を気にしつつ、更衣室へる
「草っぽい変なニオイがついちゃって正直お風呂の用意をして貰えるのは有難いんだよね♪」
入れ替わりにバスタオルを体に巻いたマリオが出てきた。足をレの字に上げているのは下着を脱いぎつつだから。下着は天幕に隠れて見えないが。
「これで大丈夫でしょうか?」
夕姫と更衣室に入ったブリジットが戦乙女的な装甲を外しながら首をひねる。
「大蛇の穴は埋めたし、毒キノコの下にあった朽ちた木も取り払ったし、大丈夫でしょ?」
何と夕姫、根本的なことも対処していた。
この時、男性陣。
「何やってんだ?」
アルフォードが草刈りした原っぱに座り込むモヒカン皇帝のところまで行ってみる。
「……これか? 蛇の肉だ。ああ、キノコの調理は無理だぞ」
何とモヒカン、火を起こして蛇を捌いていた。
「上手に焼けました、ってか?」
ぽりぽり頭をかく背後、遠くでは、バスタオルに身を包んだ女性たちが背中の流しっこをしてきゃいきゃいしていた。
ブリジットは湯に漬かり、死神部隊の活躍を歌っている
これぞ田舎村の夕暮れ風景である。
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死神たちの相談所 モヒカン皇帝(ka4918) 人間(リアルブルー)|35才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2015/06/01 00:48:12 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/30 09:02:37 |