• 東征

【東征】堕ちた城を奪還せよ

マスター:松尾京

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/06/19 12:00
完成日
2015/06/26 16:02

みんなの思い出

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オープニング

●東征へ
 東方はエトファリカ連邦国。
 時の帝スメラギがハンターたち西方の人間と交わした作戦、それは各地の拠点を歪虚から奪還し、その地の龍脈を活性化させ、本土の結界を強めるというものだった――

 拠点は東方に、大小様々ある。
 大きいものとしては東の諸島にあるものが代表的で、既に多数の人員が割かれることになっている。
 反して比較的小さい拠点は、ここ、連邦首都“天ノ都”の周辺にも点在していた。
 無論、それらも小さいからといって無視することは出来ない。まごう事なき龍脈が通っており……本土の結果を強めるためには、決して歪虚の手の内にある状態のまま放っておくことは出来なかった。
 なれば、こういう時に力を発揮するのも、またハンターであった。

●旅路
 そんなわけで、ハンターたちは龍尾城から一路、奪還する拠点へと向かうことになったのだが――
 結界から飛び出たハンターたちを待っていたのは、歪虚に落とされた寂れた世界であった。
 朽ちた植物。壊れた家屋。そして漂う雑魔。
 元は風光明媚であったことがうかがえる東方の風景は、その多くが、混沌の中に巻き込まれて、そのままになっている。
「とても、寂しい風景だと思います」
 ハンターと同行する、装束姿の少年が言った。
 奪還した拠点で龍脈の活性化をする符術師である、“巫子”。今回、ハンターの唯一の同行者であり、護衛対象である。
 森の道を、ハンターに守られながら……まだ年若い少年巫子は、もの悲しげだった。
「歪虚に落とされる前は、この辺りも人がたくさんいて賑やかだったと聞いています」
 この目で見たことはありませんけど、と付け加えた。
 東方が歪虚によって孤立したのが、既に約百五十年前。結界によって守られてはいるものの、少年が見てきた世界は、手放しの平和とは言いきれない部分もあるのだろう。
「ハンターの皆様がやってこられて、僕は嬉しいのです。東方の色々なところに足を伸ばせるようになるかも知れない。天ノ都ももっと賑やかになるかも知れない、と。他力本願にはなってしまいますけれど……」
 今回は是非よろしくお願いします、と、少年はぺこりと頭を下げた。

●牙城
 森を抜けたハンターたちがたどり着いたのは――城であった。
 周りに堀が巡らされ、本丸の敷地は高台となっている。天守閣は、瓦屋根の建物だ。
 歪虚の手に落ちてから、比較的日が浅いのだろう。建造物としてまだまだ頑強であり、城としての機能を充分に保った場所だと言えた。
 だが――すでに、遠くからでもその姿が見える。
 単なる雑魔とは少々異なる、面妖な姿形をした敵影が。
 まさしく妖怪――憤怒の歪虚である。
 それらが、城の敷地に蔓延っている。城を奪還するとなれば、全滅させる必要があるだろう。
 踏み出そうとしたハンターたちだったが……ふと見ると、少年巫子が立ち止まっている。

 怪訝な顔を浮かべるハンターたちの、服の裾を、少年は握っていた。
「実は、妖怪を目の前にしたことはほとんどありません」
 結界を立てる仕事はそれなりにやってきたが、幸いどれも平和に済んでいたと言った。
 見ると、少年は若干、涙目になっていた。
 途中守っているときは気付かなかったが、どうやら彼は、憤怒の歪虚が少々苦手らしい。
「一応言っておきますが……僕はポンコツではありません。符術の腕は、確かです。でも、そうですね……、ここでは……怖いから……ちゃんと守って頂けると助かります……」
 ぐるぐると目を回しながら、少年巫子は言った。

リプレイ本文

●進攻
 頭上からの水鉄砲攻撃に、ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)は、城壁を見上げる。
「敵に気付かれたな。皆のもの、注意するんだぞ!」
 城の北西側。囮班の四人が城壁を登っていると、途中で北西に陣取る妖怪二匹がこちらを発見していた。
 アバルト・ジンツァー(ka0895)も、登りながら上方を見つめる。
「思いのほか、早かったか。それも作戦通りといえば、そうなるが」
 ちらつく妖怪の影に……アバルトは慌てず、オートマチックで牽制の射撃を放つ。
 どっ、と壁を穿つ衝撃に、妖怪達は頭を引っ込め、壁の影に隠れた。
 間を置いてから、再び攻撃をする様子を見せる妖怪達だが――今度はそこに、炎が舞う。
 久延毘 大二郎(ka1771)が投げたファイアーボールが、妖怪の至近で爆発したのだ。
「これでは、ダメージ無しとはいかんだろう」
「まあ。さすが大二郎様でございますね」
 八雲 奏(ka4074)は喜ばしげに言うと、敵が炎にまみれている隙に――しゅうっとショットアンカーを放ち、一気に上まで登り詰めた。
 ディアドラも登り切る。遅れて河童が水鉄砲を撃ってくるが……堅牢なディアドラにダメージは無い。一ツ目がふうっ、と放った息吹も、すんでのところで躱すと――アバルトをロープで引き上げた。
 そして、敵の注意を十分に引けている、と判断すると……トランシーバーで連絡をはじめた。
 大二郎も、奏の助けで上に立つ。
 間近で、妖怪を見つめた。
「リアルブルーでは紙上や伝承の存在でしかなかった妖怪が、こうして目の前に現れてくれるとは……その上、戦国時代さながらの合戦ができる」
 身震いするように、大二郎は戦場で笑った。
「クク……嗚呼、東方よ、エトファリカよ! なんと素晴らしき国であることか!」

 奇襲班は隠し通路を進んでいた。
 暗く、通るだけでやっとという道を、一列になって進む。
 巫子はこちらに同行していた。なんとかここまでついてきたものの……ここに来て、明らかに落ち着きを失い、唸っている。
「僕はもう駄目かも知れません……」
 目を回しながら言う巫子に……アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)は振り返って、微笑みかけた。
「怖いという感情を恥じる必要はないと、ボクは思うよ。それを認めて……逃げずに乗り越えればいい」
「そう。怖いのは、皆と同じです。大丈夫ですよ」
 瑚月(ka3909)も安心させるように、巫子の頭に軽く、ぽふりと手を乗せる。
 それでほんの少しだけ落ち着いたらしい巫子に……アルバ・ソル(ka4189)は穏やかに笑いかけた。
「僕が、君の護衛をさせてもらうからね」
「……最後まで守ってくださるのですか?」
「まあね。侮っているとかじゃなく……君がこの作戦の鍵だからこそね」
 うん、とアルトも続ける。
「君には君に出来ることが、あるんだよ。だから、自信を持って、それを頼んだよ。敵は、ボクらが倒すから」
「出来ること……」
 巫子はゆっくりと繰り返し……そして、はい、と答えた。
 そこで、南條 真水(ka2377)がトランシーバーから顔を離す。
「――どうやらちょうどタイミングらしいよ。敵は下にかかりっきりだとさ」
 既に、五人は出口の前までやってきている。
「では、妖怪達に、さっさといなくなってもらいましょう」
 瑚月の言葉が、出撃の合図だ。
 漏れる明かりから、そこが天守閣の真東であること、近くに敵影がないことを確認すると……出口から出撃、一斉に、行動を開始した。
 アルトと瑚月は天守閣。アルバは一ツ目に狙いを付けた。
 真水も、城を眺めつつ……一ツ目に向かい、機杖を構える。
「廃墟のお城も、悪くない。兵どもが夢の跡ってね。――それじゃ行こうか。この地に眠る兵どもの、夢の続きの始まりだ」
 
●攻城
 北西部。囮班は、寄ってくる妖怪達を目前にしている。
 ディアドラはトランシーバーをしまい、騎士剣を妖怪へ向けた。
「連絡は無事に済んだぞ。このまま注意を引きながら掃討していくとしよう!」
「ふむ。せいぜい、派手に暴れてやろうではないか」
 アバルトも同時に、銃口を至近の一ツ目に向ける。
 この面妖な入道が息吹を吹きかけてくる前に――冷気を纏った射撃を放った。ぱき、ぱき、と顔が凍り付いた一ツ目は、攻撃もままならなくなる。
 河童には、ディアドラがチャージングからの攻撃。勢いを付けた斬撃で、ぴぎっ、と悲鳴を上げさせる。
 奏は刀へと持ち替え、妖怪達をまじまじと見つめていた。
「退魔の巫女として、妖怪の姿が気になっておりましたが……。すねこすり……いませんでしたね」
 微妙にしゅんとしながらも……青白い河童を見ると、表情を変える。
「ですが、河童さんはテンションが上がりますし! やってやりましょう!」
「後ろは私に任せろ。君は、存分に舞ってくるといい」
 大二郎がかすかに微笑みを向けてストーンアーマーをかけると――奏はありがとうございます、とこちらも笑顔を向ける。
 そして、正面から、河童の胸元へ入り込んだ。
「東方の方々の未来のため、武神が戦巫女・京! 八雲の名に恥じぬ戦いを! はあっ!」
 水鉄砲をその身に受けながらも、一閃。河童を両断し、消滅させた。
 大二郎は、後ろにいる一ツ目へアースバレット。どぉん!と強烈な一撃で、そちらも倒した。
 既に二匹目の河童が迫っているが、即座にディアドラがチャージングからの斬撃。
 ぼっ、とアバルトも高加速射撃を用い、河童の体力を減らしてゆく。
「誘導はうまく運んでいるようだな」
 物見台から鳥獣が飛んでくるのが見えたが――アバルトはどこまでも冷静に、武器を空に向けて構えた。

 天守閣内部。
 腐食しかけた内装の中に陣取るのは、憤怒化したゴブリンナイトだ。
 赤いオーラを纏うゴブリンは――グガァァッ! 暴悪な魔物と化したリトルラプターを駆り、突進してくる。
「弱くはなさそう、か」
 天守閣に入ったアルトは、反して冷徹なまでの落ち着き。続く瑚月もすぐに攻撃に移った。
「俺が先制します」
 ワイヤーウィップの射程を活かし、ばちっ! スラッシュエッジの一撃を加える。
 ダメージ自体は、浅い。だが、アルトがその隙に瞬脚で接近し――ザザッ!と連撃を叩き込んでいた。
 大きなダメージに、ゴブリンは暴れて槍を突き出す。アルトはひらりと躱すが――
「――喰らわないように、注意した方がいい」
 忠告するように言う。
 続く二人の攻撃からの、ゴブリンの反撃を、瑚月はドッジダッシュで躱そうと試みるが――
 ざっ、と槍をかすめられて、瑚月は少しだけ、顔を歪める。その痛みで、理解した。
「……これが憤怒の攻撃力ですか」

「きゃ~っ!」
 その外では、一ツ目を見た巫子が、悲鳴を上げて逃げ出していた。
 が、ぼむっ、とアースウォールの壁にぶつかる。アルバが作ったものだ。
 アルバは鼻を押さえる巫子に顔を向ける。
「そこに隠れていなよ。ただ……君は、逃げるべきではないよ」
「……」
「君の国を守る闘いだろう? 後悔しないためにも、なすべきことをしよう。互いにね」
 そこで微笑むと、巫子は壁に隠れつつも、はいと頷いた。
 真水は、一ツ目にデルタレイ。光の三角から光が一条、ブンッ、と一ツ目を貫いた。
 だが一ツ目は死なず――ふっ! 息吹を吐く。
 それが風の縄のように、真水を拘束した。
「うっ、……あれ? ちょっと、南條さん全く動けないんだけど」
 一ツ目は次の攻撃動作に入っている。真水は藻掻くがびくともしない。
「むう。……もしかして南條さんずっとこのままなのかな? ちょっと楽そうとか思う自分もいるけど」
 と、そこでアルバがファイアーボールで一ツ目を燃やし尽くして倒した。
 拘束がふっと消えて、真水はほっとする。
「ごめん、遅れたよ。大丈夫かい?」
「ありがとう。全くどうなることかと思ったよ」
 真水は眼鏡を直しつつ、その足で天守閣へと向かう。

●意志
 アバルトは空飛ぶ鳥獣に弓を引いていた。先手を取れれば、怖い相手ではない。
「そのまま落ちてもらおうか」
 びしゅうっ!と高加速射撃、鳥獣の胴を貫いた。
 それでも鳥獣は翼をはためかせて近づいてきたが――魔法の射程内に入ったところで、大二郎のファイアーボール。一切の攻撃を許さず、その身体を焼き尽くした。
「よし! このまま南下するぞ」
 ディアドラが二匹目の河童に、剣でとどめを刺して言う。城壁東側の妖怪は、片付いていた。
 その言葉に、前衛の奏も先陣を切る。
 角からは、一斉に二匹の河童が現れる。が――奏は後衛の盾になり、退かず刀を振った。斬撃は袈裟懸けに命中するが、一撃では倒せない。
 それで、至近から水鉄砲を喰らった。
 ディアドラの前にいたもう一匹も、弱った奏に飛びつき……爪で、大きく切り裂いた。
 奏の胸元から、鮮血が舞う。大二郎が叫んだ。
「八雲君!」

 天守閣。
 ぽた、と瑚月の腹部から血が落ちる。敵は確かに、弱い相手ではなかった。
「正面からやりあうのは中々厳しい、というわけですか」
 元々、少人数で相対すべき敵ではなかったのかも知れない。アルトは冷戦な判断で言った。
「……退くのも、戦術の一つではある」
 瑚月は確かに、と思った。けれど。
(見慣れた風景が「寂しい」事に気付けるあの少年を……裏切る訳にはいきませんしね)
 だから、この敵にはまっすぐ立ち向かうことに決めた。
「はあっ!」
 ランアウトから、素速くスラッシュエッジ。先ほどより深いが、ゴブリンは倒れない。
『グガァッ!』
 吼えながら槍を振り回し、瑚月を一撃。体力を奪われ、瑚月は倒れた。
「……よくやってくれた」
 アルトは――瑚月の戦いを間近に見ながら、ゴブリンの背後に迫っていた。
 ずざざっ! 強烈な二連続の斬撃。巨大なダメージに、ゴブリンはうめきを上げて倒れ込む。
 そこに、真水が走ってきた。
「遅くなったよ!」
 状況をすぐに把握すると、真水は――即座に機杖を突き出す。光の三角形を生み……デルタレイをゴブリンへ放った。
 びっ!と貫かれたゴブリンは、体液を流し、瀕死の様相だ。
 アルトはそんなゴブリンを、逃さない。
「これで終わりだ」
 全力で、刀を振るう。熾烈な刃に叩き切られ、ゴブリンナイトは醜い悲鳴と共に散った。

 その外では、アルバが外側の高台に河童を見つけていた。北側の、無傷で残っている二匹である。
「安全なところから、ダメージを与えておこうかな」
 炎を生み、投てきする――ファイアーボール。ぼおっ! と頭上から燃やされ、河童は散るように南へ走った。その妖怪達の様子を、巫子はしっかりと見つめていた。最初ほど、怖がっていない。
「妖怪には慣れたかい?」
「それはその……。少しだけ……」
「それで、いいんだよ。そうやって少しずつ、自分の意志で、進んで行けば」
 アルバの言葉に……巫子はいつしか、その視線に力強さを宿していた。

 奏を攻撃した河童を、アバルトとディアドラは急いで攻撃し、遠ざける。
 大二郎は、奏を抱き留めていた。息はあるが、傷は深かった。
「八雲君、平気か」
「河童さんは、思ったより強かった、ですね……」
「……全く、そんなことを言っている場合ではないだろうに」
 血を流しながら微笑む奏を、大二郎は抱き上げる。壁にその背を預けさせると――河童を向いた。
「……いいだろう。それなら、私が相手になってやる」
 怒りを炎へ変えるかのように、ファイアーボールをまっすぐ投げ放つ。
 ぼおぉっ! 燃え広がった炎は……苛烈なまでの威力。河童を巻き込み――二匹をもろとも、一撃で消し炭にした。
 これで、南側の妖怪はいなくなった。そこで、アルバが上から顔をのぞかせた。
「平気かい! 僕も手伝うけれど、北から河童が回ってくるから一応気をつけて!」

●解放
 言葉通り、左回りと右回りで、河童が一匹ずつ現れた。ちょうどそのとき、天守閣から出たアルトも声をかけてくる。
「こっちは、敵の首領は獲ったよ。瑚月さんも、頑張ってくれたから」
「あとは残ったものを片付けるだけだな! 急ぐぞ、皆のもの!」
 ディアドラは右側からやってきた一匹に狙いを付けた。
 ずさっ!と一気にチャージングで距離を詰めると、真っ向から剣を突き出す。
 胴を刺された河童は――同時に飛んできた、アルバのウインドスラッシュも喰らって、塵と消えた。
 その間、東の物見台にいた鳥獣が遅まきながら飛んでくるが――こちらも、アバルトが既に、矢を射ている。ひゅうっ、と高加速射撃で飛んだ矢は、狙い違わず鳥獣の頭部に命中。
 よろけるような飛行になった鳥獣に……アバルトはさらに銃口を向ける。
「悪いが、そこで散ってもらおう」
 敵の攻撃射程に入る前に、さらなる高加速射撃。ぼっ! と続けて頭部を撃ち抜き――鳥獣を空に散らせた。
「これであと一匹だな」
 アバルトが悠々と武器を下ろすのを、真水は高台から巫子と一緒に見ていた。と、座らされている奏を見つけて言った。
「彼女は平気かい?」
「ああ」
 答えるのは大二郎だ。最後の河童をアースバレットで倒すと……すぐに、奏のそばに寄っていた。

 天守閣の目の前。
 妖怪が全滅した静けさの中……龍脈の上だというそこに、巫子は立っていた。ハンターに頭を下げる。
「本当に、ありがとうございました。これで、龍脈の活性化が行えます」
「君が勝ち取った栄光でもあるよ」
 アルバが言うと、巫子はまたぺこりと会釈した。
「お役目を果たせそうで、よかったです」
 そう声をかけるのは瑚月。まともに動けない状況ではあったが、意識は回復させて、仲間に介抱されていた。
 瑚月へもはい、と答えつつ、巫子は、龍脈を活性化させるための儀式を始めると言った。
「お怪我をされている方もいますので、出来るだけ急ぎたいと思います」
 そうして、祈りを唱えはじめる。
 朗々と響き渡る、どこか清きものを含んだ祈りであった。
 それを、大二郎も奏のそばに付きながら、見ていた。
 城壁の外へ視線をやると、アルトが見回りをしている。目が合うと、こちらは大丈夫、というように頷きを返すアルトだった。
 そのうちに、その場から光の柱が発生した。
 それは天高く、空へ昇ってゆき――辺りを包み込んでゆく。何か、淡いものに包まれたような感覚でもあった。
 巫子はふう、と息をついた。
「活性化が済みました。今は、この周囲も結界の中です」
「これで……完全に攻略完了、というわけか。ひとまずこの城も、歪虚に襲われる心配はないのだろうな」
「はい。本当に、ありがとうございました」
 アバルトの言葉に、巫子は再び礼を言った。
「巫子とはすごいな!」
 ディアドラが感心したように言う横では――真水が、空を仰ぐ。
「この夢は、これにておしまい。望む終わりは見られたかい? ――さぁて、次はどんな夢に出会えるかな」
 厳しい戦いを経て――
 空に残った光が、しばしの間、きらきらと輝いていた。

依頼結果

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MVP一覧

  • 大王の鉄槌
    ディアドラ・ド・デイソルクスka0271
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニka3109
  • 正義なる楯
    アルバ・ソルka4189

重体一覧

参加者一覧

  • 大王の鉄槌
    ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271
    人間(紅)|12才|女性|闘狩人
  • 孤高の射撃手
    アバルト・ジンツァー(ka0895
    人間(蒼)|28才|男性|猟撃士
  • 飽くなき探求者
    久延毘 大二郎(ka1771
    人間(蒼)|22才|男性|魔術師
  • ヒースの黒猫
    南條 真水(ka2377
    人間(蒼)|22才|女性|機導師
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士

  • 瑚月(ka3909
    エルフ|22才|男性|疾影士
  • 重装鉄壁
    八雲 奏(ka4074
    人間(蒼)|16才|女性|闘狩人
  • 正義なる楯
    アルバ・ソル(ka4189
    人間(紅)|18才|男性|魔術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
久延毘 大二郎(ka1771
人間(リアルブルー)|22才|男性|魔術師(マギステル)
最終発言
2015/06/19 08:02:43
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/06/15 12:44:12