ゲスト
(ka0000)
ゴブリンチームの挑戦
マスター:植田誠

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/06/22 07:30
- 完成日
- 2015/06/30 23:12
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
5匹のゴブリンがいた。
彼らは狡猾ではあったが仲間思いであり、常に5匹一緒に悪事を働いていた。
それに、個々の能力も決して低いものではない。単なる兵士数人ぐらいが相手であれば赤子の手を捻るかのように殺すことができる。
だが、それ故にゴブリン達は増長した。強い力を持つという覚醒者……ようはハンターたちが相手であっても自分たちが勝利を収めるだろう。そう考えたのだ。
その考えを証明するための機会を彼らは思いがけず手にした。その視線は街道を行く隊商へと向けられていた。
●
街道を3台の馬車が行く。積荷は例によって鉱物やら木材やら。帝国は軍事面に力を入れいているため、こういった物資の輸送依頼は少なくないのだ。そのお陰で隊商も仕事にありつけるというものだが。
「で、そんなに強いのか?」
「はい。なんでも討伐の帝国兵を返り討ちにしたとかなんとか」
隊商のリーダーと御者は馬車に揺られながらそんなことを話していた。
御者の言う通り、確かにこのルートはここのところゴブリンによる被害が多いと聞いている。
情報によるとそれぞれ別々の武器を持っており、連携を取って行動するという。
「そう聞くと確かに厄介な気がするが……まぁ所詮ゴブリンだろ。敵じゃないさ」
もちろんこのリーダーが強いわけではない。彼は一般人だ。だが、彼が雇った護衛は違う。彼らは幾度となく隊商を救ってくれた……
「……リーダー!」
御者が声を上げるのと馬が嘶くのは同時だった。馬車を引く馬の脚から血が流れている。
「あいつです! あいつが……」
御者が指差した方向には……噂に聞くゴブリン達がいた。そのうち一匹が銃を持っている。あれが馬を撃ったのだろう。
「くそっ……あんたら頼む!」
後方の2台はともかく、馬を撃たれたこの馬車はすぐには動けない。リーダーは馬車に乗せてきていた護衛……ハンターたちに声をかけた。
5匹のゴブリンがいた。
彼らは狡猾ではあったが仲間思いであり、常に5匹一緒に悪事を働いていた。
それに、個々の能力も決して低いものではない。単なる兵士数人ぐらいが相手であれば赤子の手を捻るかのように殺すことができる。
だが、それ故にゴブリン達は増長した。強い力を持つという覚醒者……ようはハンターたちが相手であっても自分たちが勝利を収めるだろう。そう考えたのだ。
その考えを証明するための機会を彼らは思いがけず手にした。その視線は街道を行く隊商へと向けられていた。
●
街道を3台の馬車が行く。積荷は例によって鉱物やら木材やら。帝国は軍事面に力を入れいているため、こういった物資の輸送依頼は少なくないのだ。そのお陰で隊商も仕事にありつけるというものだが。
「で、そんなに強いのか?」
「はい。なんでも討伐の帝国兵を返り討ちにしたとかなんとか」
隊商のリーダーと御者は馬車に揺られながらそんなことを話していた。
御者の言う通り、確かにこのルートはここのところゴブリンによる被害が多いと聞いている。
情報によるとそれぞれ別々の武器を持っており、連携を取って行動するという。
「そう聞くと確かに厄介な気がするが……まぁ所詮ゴブリンだろ。敵じゃないさ」
もちろんこのリーダーが強いわけではない。彼は一般人だ。だが、彼が雇った護衛は違う。彼らは幾度となく隊商を救ってくれた……
「……リーダー!」
御者が声を上げるのと馬が嘶くのは同時だった。馬車を引く馬の脚から血が流れている。
「あいつです! あいつが……」
御者が指差した方向には……噂に聞くゴブリン達がいた。そのうち一匹が銃を持っている。あれが馬を撃ったのだろう。
「くそっ……あんたら頼む!」
後方の2台はともかく、馬を撃たれたこの馬車はすぐには動けない。リーダーは馬車に乗せてきていた護衛……ハンターたちに声をかけた。
リプレイ本文
●
「ほうほう、アレが話に出てきた……なるほどー。こりゃ少々手こずりそうだ」
フィーサ(ka4602)の言うアレ……5匹のゴブリン達。
「ふむ、これは……なかなかの練度であるな」
ゴブリン達はまず馬車の馬を攻撃して足を止めさせてから攻撃を開始した。エランド・グラント(ka0245)はそのゴブリン達の行動を見て半ば感心しているようだった。
「それに、剣術や銃、それに魔法を使うんだよな。やるなぁ」
ミリア・コーネリウス(ka1287)は戦闘前に馬を隊商に預け、武器を抱える。馬無しだと多少移動に難がありそうな重装だが、この際仕方ない。
「確かに侮れない相手ではありそうだな……」
そう考え、ヒースクリフ(ka1686)は敵の出方を見るためまずは様子見。そこから隙を見て突っ込むつもりだ。
「色分けしてるとか……リアルブルーの戦隊ものみたい。あっちの写真とか見て、何か感化させられちゃったのかな?」
時音 ざくろ(ka1250)はスカーフを利用して色分けしているゴブリン達を見てそんなことを考える。が、実際どうなのかはゴブリン達に直接聞かなければ分からないだろう。
「あのゴブリン戦隊から隊商を守って! 全て返り討ちにするよ!」
「待って!」
ジェットブーツを使い距離を詰めようとしたざくろをアデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)が呼び止める。閉じている瞳を見開くと、アデリシアは魔法を使う。ホーリーセイバーだ。ざくろの剣に光が灯る。
「馬車の護りは私に任せて……一気に攻めてきてくれ」
「ありがとう! そっちは頼むよ!」
今度こそ、ざくろはジェットブーツを使用して一気にゴブリン達に向かう。ざくろは以前の依頼で受けた傷が多少残っているようだ。本当は、あまり無理はしないでくれと言いたかった。
(だが……言いたくとも言えないのが些か苦しいところだな)
アデリシアはその背を心配そうに見つめていた。
「さて、お仕事だね」
フィーサはあえて仲間たちから離れた方向に移動していく。何か考えがあるようだ。
「ゴブリンは我々が討伐します、お任せを」
「ボクら人間を襲うゴブリンなんて、粛清対象だな」
ユナイテル・キングスコート(ka3458)、ミーニャ・A・ユリエヴァ(ka5057)はともに馬に乗り、ゴブリン達の後方に位置していた桃色のスカーフを付けたゴブリンへと向かう。
「それでは、説教をしてやるとするか!」
その後方からはエランドが追いかけていく。こうして、戦闘が開始された。
●
突っ込んできたハンターたちと正面からぶつかっていったのは黄のゴブリン。大斧を振りかぶり振り回すように全周囲を攻撃。
「ぬぅ! その程度ではこの私の肉体を傷つけられんぞ!」
範囲に入っていたのはエランドとざくろ。二人は飛び退いて回避。
「そんな動きじゃ当たらないよ……っ!」
ざくろが回避した先で待ち構えていたのは赤のゴブリン。ざくろに対し双剣を振りかざし攻撃。一振り目を大剣の刃に沿って滑らせるように回避するも、二振り目は逸らせず柄で防御。なかなか素早く強力な攻撃を放ってくる。
「昔からリーダーは赤だって言うもんね。そりゃ強いか……でも任せて。ざくろがひとまず……頭を抑える!」
この間にユナイテル、ミーニャは馬を走らせる。ハンターたちの基本方針は各個撃破。それぞれ1対1の状況を作り、その間に回復担当である桃に戦力を集中し一気に倒そうというものだ。
「Ураааааааа!!」
ミーニャが気合を入れながら攻めの構えを取る。大斧を振り回しながら進むその様は見た目に反して屈強な戦士そのものだった。そのまま2人は桃のゴブリンへ一気に接近……
「何!?」
出来ない。ユナイテルの馬が嘶き倒れた。
「一体どうして……これは……!」
見ると、馬の腹部に銃弾が当たっている。青ゴブリンの銃撃を受けたのだ。まずは機動力を削ぐ。知能のある敵ならば当然の選択だろう。ユナイテルは馬から落ち、そこへ青ゴブリンがさらに射撃。
「くっ……」
かろうじて銃弾を受け逸らすが、弾は腕に当たり多少のダメージを受ける。
「ん? 何だ!?」
ミーニャの馬もふらつき倒れる。脚を貫かれているようだ。これは緑ゴブリン。馬に匹敵しようかという驚異的な機動力で馬を倒した。ミーニャは落馬。なんとか立ち上がるも、ユナイテル同様もう馬は使えそうにない。
(だが、行くしかない)
重い斧を背負い、それでも桃ゴブリンを狙い動き出す。
「この程度でボクを止められるものか! Урааа!」
再度気合を入れ、斧を振り回しミーニャは駆ける。
「ちっ……まだ間合いには遠いか」
黄ゴブリンを狙うのはミリア。だが、まだ武器の間合いには入っていない。
「お前の相手はざくろだ……邪魔はさせないよ。必殺、デルタエンド!」
ざくろはデルタレイを使用。3本の光が伸び、赤、青、黄、3匹のゴブリンに対し攻撃する。赤、青は回避するが黄色は斧で防御。鈍重なのか回避行動は鈍い。
「馬をやられては……俺もあっちに向かう」
状況を見てヒースクリフも行動を開始。ジェットブーツを使用して移動を始める。
「分かった、こっちは私が……」
アデリシアはこの間馬にヒールを使用しつつ隊商の護衛についている。
「ほらほら、アタシと追いかけっこだよー! ……おーい!」
フィーサは緑ゴブリンの方を見て挑発するような言葉を投げかける。フィーサの担当する予定だった緑ゴブリン。これを主戦場から離れた場所におびき寄せ戦闘を行う予定だった。だが、緑ゴブリンは完全に無視している。ゴブリンは思いのほか理性的だ。そして連携が取れている。
「エランド・グラント! 推して参る!」
エランドは背を向けユナイテルの馬を撃ち抜いていた青ゴブリンに攻撃。
「ぬぅん!!」
大ぶりのラリアット。だがこれは見せ技だ。それを回避した青ゴブリンに対しラリアットの勢いを利用して体を回転させて裏拳を当てる。防御されたが手ごたえはあった。
「このまま神の教えを受けるがいい……ぬわっ!?」
さらに追撃しようとしたが、そこに黄色が割って入るように攻撃。大ぶりの一撃をまともに受け、かなりのダメージ。致命傷といっても差し支えなかったが、マテリアルヒーリングを使用してこの場を何とかしのぐ。
ざくろの方には再度赤ゴブリンが攻撃。リーダー格なのか、判断力戦闘力とも高い。ざくろは1撃目を剣で受け流す。そのまま返す刃で反撃を試みるが、その際開いた防御の隙を突くようにもう一振りが突き刺さる。大剣は受け自体には適していても、連撃の全てを流し切るほど柔軟で素早い動きには向かないと見える。正面にしっかりと構え受け切る方がましだったか。それでもざくろは倒れない。頑強だ。だが……
「これぐらいじゃ……まだ……!」
無情に放たれるのは青ゴブリンの銃弾。デルタレイによる攻撃を脅威と取ったのか、それとも倒すチャンスと見たのか。2発の銃弾のうち1発は切り返した刃を振りおろし弾く。だが、2発目が運悪く鎧の継ぎ目を貫く。致命傷だ。
「ざくろ!」
後方でその様子を目にしたアデリシアが叫ぶ声が聞こえた。だが、それに応える力も無い。あるいは以前の依頼での怪我が完全に癒えた状態であれば耐えられたかもしれないが……それは言っても詮無きことだ。こうしてざくろは倒れた。
●
前線の黄ゴブリンに対しヒールを行う桃ゴブリン。それの対処に向かうユナイテル。馬がいなくなったことで重量負荷が重くのしかかる。馬の状態も心配だがとにかく桃ゴブリンに接近していく。
それはミーニャとて同じこと。自身に攻撃してきた緑ゴブリンを無視してとにかく桃ゴブリンに向かう。だが、ミーニャが無視してもゴブリンの方はそうもいかない。緑ゴブリンが回り込むように桃ゴブリンとの線上に割って入る。
「邪魔だ!」
それを振り払うように斧を振る。凄まじい速度。威力も非常に高い。
だが、当たらなければどうということは無いのだ。緑ゴブリンは軽く距離を取って身をかわすと、そのまま踏込み。踏み込んだ勢いを乗せた突きがミーニャの体を貫き浮かせる。槍は腹部を貫通していた。緑ゴブリンが槍を引き抜くとそこから血が吹きだす。
「……чёрт возьми」
「くそったれ」と呟き、ミーニャの意識は途絶えた。
「これ以上やらせるわけにはいかんな……」
その様子をみながら急ぐヒースクリフ。ジェットブーツを駆使し距離を詰めていく。だが、そうはさせないと青ゴブリンが銃撃。一発目は回避するが、二発目は避けきれず直撃。
「そこまで軽くは無いが……気にしている余裕は無いな」
多少ダメージを受けるが気にせず移動していく。青ゴブリンもそれを追い移動していく。
「来いよデカいの! そっちの大斧とこっちの大剣……どっちが勝つか決めようぜ!」
それを横目にミリアがチャージングを使用。勢いを乗せた渾身撃を黄ゴブリンにうちこむ。エランドに攻撃した直後だった黄ゴブリンは反応が遅れ防御するのが精一杯。だが、防御しても大きなダメージを与える。凄まじい威力だ。
「おいおい、そんなもんか?」
そのまま追撃をかけようとするミリア。その動きに対応するため赤ゴブリンが突っ込んでくる。だがアデリシアがシャドウブリットを使用。
「……素早いな。だが、牽制としては上出来だろう」
倒れたざくろの治療を速くしたいところだったが、隊商の護衛についているのは自身だけとなっておりそうもいかない。アデリシアはだからこそ、ここから出来る仕事をこなしていく。
「サンキュー! ま、そっちだって1対1やってるわけじゃないんだから文句は言わねぇよな!」
黄ゴブリンはミリアへの返礼と言わんばかりに再度斧を振り回し周囲を攻撃。素早く反応したミリアは攻撃を受け止める。強い衝撃が武器から手に伝わってくる。威力は高い。
「しまっ……グワァッ!」
自己回復を行っていたエランドは対応できずまともに喰らってしまう。吹き飛ばされたエランドは巨体を横たえピクリとも動かない。気を失ってしまったようだ。
一方、桃ゴブリンに向かうユナイテルはようやく射程に。
「不逞の輩よ、我が剣の錆と散れ!」
すでに攻めの構えをとっているユナイテルはチャージングを使用しながら接近し、剣を振り抜く。桃ゴブリンは杖で防御するがかなり高い威力の攻撃で、防御を弾かれ傷を負う。
(回復役だけあって他より基本的な能力は低そうだ)
さっきの攻撃も十分に手応えはあった。これなら後数度攻撃を加えれば倒せるだろう。だが、その機会は訪れない。
背後から緑ゴブリンの槍が突き刺さる。血を吐きながら膝を付くユナイテル。目の前では桃ゴブリンがヒールを自身にかけ、ユナイテルによって受けた傷を治療していた。
「……少し遅かったか」
フィーサは敵が挑発に乗ってこないと見て全力で移動し、緑に肉薄しようとしていたが、ユナイテルが倒されるまでには間に合わなかった。おびき出そうとせず最初から戦闘をしかけていればあるいは……それも結果論ではあるが。
「やれやれ、誘いに乗ってくれないからこっちから来ちゃったよ……覚悟はいいかな? アタシと踊ってもらうよ!」
そのままフィーサは緑ゴブリンに攻撃。槍の射程外からワイヤーを振るい攻撃。それを緑ゴブリンは容易く躱す……が、フィーサは直前で手を返しワイヤーの軌道を変異させる。フェイントアタックだ。この攻撃に緑ゴブリンは惑わされ直撃を受ける、ある程度ダメージを与えた。
●
戦闘不能が4名。ゴブリンはダメージを受けているものの5匹が健在な状態で残っている。
「ゴブリン達も成長してきてるってことだな……この辺りで数を減らさねぇとな!」
だからこそ、倒せそうな敵は倒しておく。ミリアは先程と同様チャージングを使用。さらに渾身撃を打ち込む。先程よりしっかりと防御されたが、かなりのダメージを与えたはずだ。黄ゴブリンが膝を付く。
「回復はさせない。このまま倒させてもらうぞ」
ヒースクリフは桃ゴブリンに追いつき、刀を振りおろし攻撃。杖で防御されたものの近接戦ではヒースクリフに分がありそうだ。このまま押していけば倒せるだろう。心配なのは青ゴブリンの動きだが、どうも弾丸の装填に手間取っているらしい。二挺の銃を同時に扱うデメリットが出ているのだろう。
緑ゴブリンもフィーサのフェイントアタックに対応できていないようだ。
(このままいければ……互角には戦えそうだが……)
赤ゴブリンの動きを見ながらいつでもシャドウブリットを撃てる体勢をとるアデリシア。
この時……赤ゴブリンが黄ゴブリンを見つつ何かを言った。
「……っ!?」
それを聞いた直後、黄ゴブリンが攻撃……手に持った斧をミリアに思い切り放り投げてきた。
「苦し紛れか!?」
ミリアは冷静に剣を斬り上げ投げられた斧を防ぐとともに柄を断つ。その間に黄ゴブリンは一目散に桃ゴブリン達の方に走っていく。ミリアと黄ゴブリンの間には赤ゴブリンが道を塞ぐようにカバー。刺突一閃を狙えなくはないが、体勢を整える間に距離が離れて間合いから出てしまうだろう。間に入ってきた赤ゴブリンもミリアとアデリシアに注意しながら少しずつ距離を取っているように見える。
他のゴブリンもこの動きを見て意図を察したようだ。緑ゴブリンはフィーサから距離を取って桃ゴブリンに攻撃しているヒースクリフに突撃。
「邪魔をする気か?」
ヒースクリフはこの攻撃を受け止める。その間に桃ゴブリンは距離を取っていく。フィーサが緑ゴブリンを追いかけようとするとリロードを終えた青ゴブリンが牽制してくる。
攻撃を躱している間に武器を投げ捨てた黄ゴブリンが駆け抜けていく。鈍重とは言え武器が無い分体も軽やかだ。その後を追って赤ゴブリンも駆けだす。
「追えなくはないない……けど……ここまでかな」
移動能力という点ではフィーサは辛うじて追いかけることが出来ただろう。あるいはミリアが馬を使うという手もある。だが、その結果突出して撃破される可能性はあった。結局ハンターたちは逃げていくゴブリン達を見送るほかなかった。
こうして戦闘は終了した。全体的に敵の連携にしてやられた感はあるものの、とりあえず成功したといっていいだろう。
「でも……何故ゴブリン達はあの状況で逃げ出したのでしょうか……」
ざくろをはじめ倒れた仲間たちの介抱を行っていたアデリシアは、ふとそんな疑問を口にしていた。被害状況を鑑みてこれ以上の戦闘はリスキーだと判断した……というのが一応の結論だったが、本当のところどうなのかはゴブリン達しか分からない。
「とにかく移動しよう。このままってわけにもいかないしね」
怪我人、倒れた馬も数多い。フィーサの言葉に従い、隊商たちは予定を変更して近くの村に進路を取るのだった。
「ほうほう、アレが話に出てきた……なるほどー。こりゃ少々手こずりそうだ」
フィーサ(ka4602)の言うアレ……5匹のゴブリン達。
「ふむ、これは……なかなかの練度であるな」
ゴブリン達はまず馬車の馬を攻撃して足を止めさせてから攻撃を開始した。エランド・グラント(ka0245)はそのゴブリン達の行動を見て半ば感心しているようだった。
「それに、剣術や銃、それに魔法を使うんだよな。やるなぁ」
ミリア・コーネリウス(ka1287)は戦闘前に馬を隊商に預け、武器を抱える。馬無しだと多少移動に難がありそうな重装だが、この際仕方ない。
「確かに侮れない相手ではありそうだな……」
そう考え、ヒースクリフ(ka1686)は敵の出方を見るためまずは様子見。そこから隙を見て突っ込むつもりだ。
「色分けしてるとか……リアルブルーの戦隊ものみたい。あっちの写真とか見て、何か感化させられちゃったのかな?」
時音 ざくろ(ka1250)はスカーフを利用して色分けしているゴブリン達を見てそんなことを考える。が、実際どうなのかはゴブリン達に直接聞かなければ分からないだろう。
「あのゴブリン戦隊から隊商を守って! 全て返り討ちにするよ!」
「待って!」
ジェットブーツを使い距離を詰めようとしたざくろをアデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)が呼び止める。閉じている瞳を見開くと、アデリシアは魔法を使う。ホーリーセイバーだ。ざくろの剣に光が灯る。
「馬車の護りは私に任せて……一気に攻めてきてくれ」
「ありがとう! そっちは頼むよ!」
今度こそ、ざくろはジェットブーツを使用して一気にゴブリン達に向かう。ざくろは以前の依頼で受けた傷が多少残っているようだ。本当は、あまり無理はしないでくれと言いたかった。
(だが……言いたくとも言えないのが些か苦しいところだな)
アデリシアはその背を心配そうに見つめていた。
「さて、お仕事だね」
フィーサはあえて仲間たちから離れた方向に移動していく。何か考えがあるようだ。
「ゴブリンは我々が討伐します、お任せを」
「ボクら人間を襲うゴブリンなんて、粛清対象だな」
ユナイテル・キングスコート(ka3458)、ミーニャ・A・ユリエヴァ(ka5057)はともに馬に乗り、ゴブリン達の後方に位置していた桃色のスカーフを付けたゴブリンへと向かう。
「それでは、説教をしてやるとするか!」
その後方からはエランドが追いかけていく。こうして、戦闘が開始された。
●
突っ込んできたハンターたちと正面からぶつかっていったのは黄のゴブリン。大斧を振りかぶり振り回すように全周囲を攻撃。
「ぬぅ! その程度ではこの私の肉体を傷つけられんぞ!」
範囲に入っていたのはエランドとざくろ。二人は飛び退いて回避。
「そんな動きじゃ当たらないよ……っ!」
ざくろが回避した先で待ち構えていたのは赤のゴブリン。ざくろに対し双剣を振りかざし攻撃。一振り目を大剣の刃に沿って滑らせるように回避するも、二振り目は逸らせず柄で防御。なかなか素早く強力な攻撃を放ってくる。
「昔からリーダーは赤だって言うもんね。そりゃ強いか……でも任せて。ざくろがひとまず……頭を抑える!」
この間にユナイテル、ミーニャは馬を走らせる。ハンターたちの基本方針は各個撃破。それぞれ1対1の状況を作り、その間に回復担当である桃に戦力を集中し一気に倒そうというものだ。
「Ураааааааа!!」
ミーニャが気合を入れながら攻めの構えを取る。大斧を振り回しながら進むその様は見た目に反して屈強な戦士そのものだった。そのまま2人は桃のゴブリンへ一気に接近……
「何!?」
出来ない。ユナイテルの馬が嘶き倒れた。
「一体どうして……これは……!」
見ると、馬の腹部に銃弾が当たっている。青ゴブリンの銃撃を受けたのだ。まずは機動力を削ぐ。知能のある敵ならば当然の選択だろう。ユナイテルは馬から落ち、そこへ青ゴブリンがさらに射撃。
「くっ……」
かろうじて銃弾を受け逸らすが、弾は腕に当たり多少のダメージを受ける。
「ん? 何だ!?」
ミーニャの馬もふらつき倒れる。脚を貫かれているようだ。これは緑ゴブリン。馬に匹敵しようかという驚異的な機動力で馬を倒した。ミーニャは落馬。なんとか立ち上がるも、ユナイテル同様もう馬は使えそうにない。
(だが、行くしかない)
重い斧を背負い、それでも桃ゴブリンを狙い動き出す。
「この程度でボクを止められるものか! Урааа!」
再度気合を入れ、斧を振り回しミーニャは駆ける。
「ちっ……まだ間合いには遠いか」
黄ゴブリンを狙うのはミリア。だが、まだ武器の間合いには入っていない。
「お前の相手はざくろだ……邪魔はさせないよ。必殺、デルタエンド!」
ざくろはデルタレイを使用。3本の光が伸び、赤、青、黄、3匹のゴブリンに対し攻撃する。赤、青は回避するが黄色は斧で防御。鈍重なのか回避行動は鈍い。
「馬をやられては……俺もあっちに向かう」
状況を見てヒースクリフも行動を開始。ジェットブーツを使用して移動を始める。
「分かった、こっちは私が……」
アデリシアはこの間馬にヒールを使用しつつ隊商の護衛についている。
「ほらほら、アタシと追いかけっこだよー! ……おーい!」
フィーサは緑ゴブリンの方を見て挑発するような言葉を投げかける。フィーサの担当する予定だった緑ゴブリン。これを主戦場から離れた場所におびき寄せ戦闘を行う予定だった。だが、緑ゴブリンは完全に無視している。ゴブリンは思いのほか理性的だ。そして連携が取れている。
「エランド・グラント! 推して参る!」
エランドは背を向けユナイテルの馬を撃ち抜いていた青ゴブリンに攻撃。
「ぬぅん!!」
大ぶりのラリアット。だがこれは見せ技だ。それを回避した青ゴブリンに対しラリアットの勢いを利用して体を回転させて裏拳を当てる。防御されたが手ごたえはあった。
「このまま神の教えを受けるがいい……ぬわっ!?」
さらに追撃しようとしたが、そこに黄色が割って入るように攻撃。大ぶりの一撃をまともに受け、かなりのダメージ。致命傷といっても差し支えなかったが、マテリアルヒーリングを使用してこの場を何とかしのぐ。
ざくろの方には再度赤ゴブリンが攻撃。リーダー格なのか、判断力戦闘力とも高い。ざくろは1撃目を剣で受け流す。そのまま返す刃で反撃を試みるが、その際開いた防御の隙を突くようにもう一振りが突き刺さる。大剣は受け自体には適していても、連撃の全てを流し切るほど柔軟で素早い動きには向かないと見える。正面にしっかりと構え受け切る方がましだったか。それでもざくろは倒れない。頑強だ。だが……
「これぐらいじゃ……まだ……!」
無情に放たれるのは青ゴブリンの銃弾。デルタレイによる攻撃を脅威と取ったのか、それとも倒すチャンスと見たのか。2発の銃弾のうち1発は切り返した刃を振りおろし弾く。だが、2発目が運悪く鎧の継ぎ目を貫く。致命傷だ。
「ざくろ!」
後方でその様子を目にしたアデリシアが叫ぶ声が聞こえた。だが、それに応える力も無い。あるいは以前の依頼での怪我が完全に癒えた状態であれば耐えられたかもしれないが……それは言っても詮無きことだ。こうしてざくろは倒れた。
●
前線の黄ゴブリンに対しヒールを行う桃ゴブリン。それの対処に向かうユナイテル。馬がいなくなったことで重量負荷が重くのしかかる。馬の状態も心配だがとにかく桃ゴブリンに接近していく。
それはミーニャとて同じこと。自身に攻撃してきた緑ゴブリンを無視してとにかく桃ゴブリンに向かう。だが、ミーニャが無視してもゴブリンの方はそうもいかない。緑ゴブリンが回り込むように桃ゴブリンとの線上に割って入る。
「邪魔だ!」
それを振り払うように斧を振る。凄まじい速度。威力も非常に高い。
だが、当たらなければどうということは無いのだ。緑ゴブリンは軽く距離を取って身をかわすと、そのまま踏込み。踏み込んだ勢いを乗せた突きがミーニャの体を貫き浮かせる。槍は腹部を貫通していた。緑ゴブリンが槍を引き抜くとそこから血が吹きだす。
「……чёрт возьми」
「くそったれ」と呟き、ミーニャの意識は途絶えた。
「これ以上やらせるわけにはいかんな……」
その様子をみながら急ぐヒースクリフ。ジェットブーツを駆使し距離を詰めていく。だが、そうはさせないと青ゴブリンが銃撃。一発目は回避するが、二発目は避けきれず直撃。
「そこまで軽くは無いが……気にしている余裕は無いな」
多少ダメージを受けるが気にせず移動していく。青ゴブリンもそれを追い移動していく。
「来いよデカいの! そっちの大斧とこっちの大剣……どっちが勝つか決めようぜ!」
それを横目にミリアがチャージングを使用。勢いを乗せた渾身撃を黄ゴブリンにうちこむ。エランドに攻撃した直後だった黄ゴブリンは反応が遅れ防御するのが精一杯。だが、防御しても大きなダメージを与える。凄まじい威力だ。
「おいおい、そんなもんか?」
そのまま追撃をかけようとするミリア。その動きに対応するため赤ゴブリンが突っ込んでくる。だがアデリシアがシャドウブリットを使用。
「……素早いな。だが、牽制としては上出来だろう」
倒れたざくろの治療を速くしたいところだったが、隊商の護衛についているのは自身だけとなっておりそうもいかない。アデリシアはだからこそ、ここから出来る仕事をこなしていく。
「サンキュー! ま、そっちだって1対1やってるわけじゃないんだから文句は言わねぇよな!」
黄ゴブリンはミリアへの返礼と言わんばかりに再度斧を振り回し周囲を攻撃。素早く反応したミリアは攻撃を受け止める。強い衝撃が武器から手に伝わってくる。威力は高い。
「しまっ……グワァッ!」
自己回復を行っていたエランドは対応できずまともに喰らってしまう。吹き飛ばされたエランドは巨体を横たえピクリとも動かない。気を失ってしまったようだ。
一方、桃ゴブリンに向かうユナイテルはようやく射程に。
「不逞の輩よ、我が剣の錆と散れ!」
すでに攻めの構えをとっているユナイテルはチャージングを使用しながら接近し、剣を振り抜く。桃ゴブリンは杖で防御するがかなり高い威力の攻撃で、防御を弾かれ傷を負う。
(回復役だけあって他より基本的な能力は低そうだ)
さっきの攻撃も十分に手応えはあった。これなら後数度攻撃を加えれば倒せるだろう。だが、その機会は訪れない。
背後から緑ゴブリンの槍が突き刺さる。血を吐きながら膝を付くユナイテル。目の前では桃ゴブリンがヒールを自身にかけ、ユナイテルによって受けた傷を治療していた。
「……少し遅かったか」
フィーサは敵が挑発に乗ってこないと見て全力で移動し、緑に肉薄しようとしていたが、ユナイテルが倒されるまでには間に合わなかった。おびき出そうとせず最初から戦闘をしかけていればあるいは……それも結果論ではあるが。
「やれやれ、誘いに乗ってくれないからこっちから来ちゃったよ……覚悟はいいかな? アタシと踊ってもらうよ!」
そのままフィーサは緑ゴブリンに攻撃。槍の射程外からワイヤーを振るい攻撃。それを緑ゴブリンは容易く躱す……が、フィーサは直前で手を返しワイヤーの軌道を変異させる。フェイントアタックだ。この攻撃に緑ゴブリンは惑わされ直撃を受ける、ある程度ダメージを与えた。
●
戦闘不能が4名。ゴブリンはダメージを受けているものの5匹が健在な状態で残っている。
「ゴブリン達も成長してきてるってことだな……この辺りで数を減らさねぇとな!」
だからこそ、倒せそうな敵は倒しておく。ミリアは先程と同様チャージングを使用。さらに渾身撃を打ち込む。先程よりしっかりと防御されたが、かなりのダメージを与えたはずだ。黄ゴブリンが膝を付く。
「回復はさせない。このまま倒させてもらうぞ」
ヒースクリフは桃ゴブリンに追いつき、刀を振りおろし攻撃。杖で防御されたものの近接戦ではヒースクリフに分がありそうだ。このまま押していけば倒せるだろう。心配なのは青ゴブリンの動きだが、どうも弾丸の装填に手間取っているらしい。二挺の銃を同時に扱うデメリットが出ているのだろう。
緑ゴブリンもフィーサのフェイントアタックに対応できていないようだ。
(このままいければ……互角には戦えそうだが……)
赤ゴブリンの動きを見ながらいつでもシャドウブリットを撃てる体勢をとるアデリシア。
この時……赤ゴブリンが黄ゴブリンを見つつ何かを言った。
「……っ!?」
それを聞いた直後、黄ゴブリンが攻撃……手に持った斧をミリアに思い切り放り投げてきた。
「苦し紛れか!?」
ミリアは冷静に剣を斬り上げ投げられた斧を防ぐとともに柄を断つ。その間に黄ゴブリンは一目散に桃ゴブリン達の方に走っていく。ミリアと黄ゴブリンの間には赤ゴブリンが道を塞ぐようにカバー。刺突一閃を狙えなくはないが、体勢を整える間に距離が離れて間合いから出てしまうだろう。間に入ってきた赤ゴブリンもミリアとアデリシアに注意しながら少しずつ距離を取っているように見える。
他のゴブリンもこの動きを見て意図を察したようだ。緑ゴブリンはフィーサから距離を取って桃ゴブリンに攻撃しているヒースクリフに突撃。
「邪魔をする気か?」
ヒースクリフはこの攻撃を受け止める。その間に桃ゴブリンは距離を取っていく。フィーサが緑ゴブリンを追いかけようとするとリロードを終えた青ゴブリンが牽制してくる。
攻撃を躱している間に武器を投げ捨てた黄ゴブリンが駆け抜けていく。鈍重とは言え武器が無い分体も軽やかだ。その後を追って赤ゴブリンも駆けだす。
「追えなくはないない……けど……ここまでかな」
移動能力という点ではフィーサは辛うじて追いかけることが出来ただろう。あるいはミリアが馬を使うという手もある。だが、その結果突出して撃破される可能性はあった。結局ハンターたちは逃げていくゴブリン達を見送るほかなかった。
こうして戦闘は終了した。全体的に敵の連携にしてやられた感はあるものの、とりあえず成功したといっていいだろう。
「でも……何故ゴブリン達はあの状況で逃げ出したのでしょうか……」
ざくろをはじめ倒れた仲間たちの介抱を行っていたアデリシアは、ふとそんな疑問を口にしていた。被害状況を鑑みてこれ以上の戦闘はリスキーだと判断した……というのが一応の結論だったが、本当のところどうなのかはゴブリン達しか分からない。
「とにかく移動しよう。このままってわけにもいかないしね」
怪我人、倒れた馬も数多い。フィーサの言葉に従い、隊商たちは予定を変更して近くの村に進路を取るのだった。
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作戦会議室 ミリア・ラスティソード(ka1287) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/06/21 00:10:54 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/20 11:14:14 |