ゲスト
(ka0000)
【春郷祭】自費出版小説絵画の販売所
マスター:龍河流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/06/21 22:00
- 完成日
- 2015/06/30 10:28
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
同盟領内に存在する農耕推進地域ジェオルジ。
この地では初夏と晩秋の頃に、各地の村長が統治者一族の土地に集まって報告を行う寄り合いが行われる。その後、労をねぎらうべくささやかなお祭りが催されていたのだが、昨年の秋から状況が一変。同盟の商人や各地からの観光客が集まるお祭りとして賑わっていた。
そして今年の春。遠き辺境の地での戦いが終息に向かったのを見計らい、延期にしていた春の村長祭を開催する運びとなった。
今回は辺境のお祭りとの共催となり、より一層の盛り上がりが予想されるが、今回のジェオルジ村長祭はどんな催しが行われるのか。
祭りの一角。
なかなか立派な建物に、次々と女性達が集まっていた。
おおむね若い、十代半ばから二十代前半くらい。たまにもう少し年上が、ごくまれにもっと年下や更なるお姉様年代が混じっている。
服装はまちまちで、あちらはこれでもかと着飾っているかと思えば、こちらは部屋着のままのような、様々な身なりで来る。
共通点は、全員が大きな荷物を提げたり、抱えたりしてすることだ。
そして、そわそわと浮き足立って、とても楽しそうに歩いてきたこと。
「やっと着いたわ~。あー、荷物重かった」
「あの、もしかして蒼海お姉様じゃありませんか? カモメです」
「え、カモメちゃん? 会いたかったわぁっ!!」
なんとも微笑ましい光景だが、はてさて、建物の中では何が行われているものか。
入場するのに書類提示が必要らしく、入口には小一時間も前から常に五、六人が並んでいた。彼女達は知り合いでなくてもすぐに仲良くなれるようで、並びながらも会話が弾んでいる。
こんな楽しそうな女性達を見れば、一体何の集まりであろうかと気に掛かる者がいても不思議はない。
この時は、人の良さそうな年配のご夫婦連れだった。
「あらぁ、皆さん、楽しそうね。一体何の集まりなんです?」
「えっ」
「あのぅ」
「ええっとぉ」
並んでいる六人ほどに、にこにこと奥さんが尋ねた途端に、彼女達の会話は途切れ、視線は泳ぎ回る。
何故だか五人までもが口ごもる中、その中では最年長と思しき二十歳前後の女性がにこにこと会釈しながらこう言った。
「自費出版の小説や画集を持ち寄って、交換や販売をしたり、交流をする即売会という集まりですの。まあ、趣味の会の延長ですけれど」
「へえ。最近の若い人は、文化的な活動に熱心なんだね」
「素敵な趣味ねぇ」
ご夫婦はとても感心しながら、蒼海と呼ばれていた女性と微笑み交わし、他の人にも手を振って歩き去った。
彼らが離れるにつれ、列に満ちていた緊張感もほぐれていく。
「そ、蒼海お姉様、今の説明は」
「嘘は、言っていません」
「そ、そうですよね……」
「さてさて、この地域では初めて大きな即売会ですもの。お買い物しなくてはね~。相変わらず同盟海軍ものがアツいのでしょ?」
「お姉様の書く、軍船という閉鎖空間で繰り広げられる、上司と部下の秘密の関係……新刊を楽しみにしてたんです」
「ごめんなさい。今回は船内だけじゃなくて、若手船長と陸の造船所技師の間に、有力商船団の壮年商人が食い込もうとする三角関係なのだけれど」
「あーっ、蒼海さんってもしかして、あの『紺碧に囚われる』の作者さんですか?」
「絵師の水凪さんは、いらっしゃってます?」
「主催だもの。中で忙しくしているのじゃないかしら」
きゃあきゃあと賑やかさを増した一団が、建物に吸い込まれていく。
その後も続々と女性ばかりが集まってきたが、何をしているものかは外部からはうかがい知れない。
とにもかくにも、女性達が百人くらい、大きな建物の中で『趣味の会』を執り行っている。
もし、あなたがこの『趣味の会』の噂を耳にしているなら、入場に必要な合言葉はすぐに分かるだろう。
「いらっしゃいませ。『攻め』の反対はなんでしょう?」
この地では初夏と晩秋の頃に、各地の村長が統治者一族の土地に集まって報告を行う寄り合いが行われる。その後、労をねぎらうべくささやかなお祭りが催されていたのだが、昨年の秋から状況が一変。同盟の商人や各地からの観光客が集まるお祭りとして賑わっていた。
そして今年の春。遠き辺境の地での戦いが終息に向かったのを見計らい、延期にしていた春の村長祭を開催する運びとなった。
今回は辺境のお祭りとの共催となり、より一層の盛り上がりが予想されるが、今回のジェオルジ村長祭はどんな催しが行われるのか。
祭りの一角。
なかなか立派な建物に、次々と女性達が集まっていた。
おおむね若い、十代半ばから二十代前半くらい。たまにもう少し年上が、ごくまれにもっと年下や更なるお姉様年代が混じっている。
服装はまちまちで、あちらはこれでもかと着飾っているかと思えば、こちらは部屋着のままのような、様々な身なりで来る。
共通点は、全員が大きな荷物を提げたり、抱えたりしてすることだ。
そして、そわそわと浮き足立って、とても楽しそうに歩いてきたこと。
「やっと着いたわ~。あー、荷物重かった」
「あの、もしかして蒼海お姉様じゃありませんか? カモメです」
「え、カモメちゃん? 会いたかったわぁっ!!」
なんとも微笑ましい光景だが、はてさて、建物の中では何が行われているものか。
入場するのに書類提示が必要らしく、入口には小一時間も前から常に五、六人が並んでいた。彼女達は知り合いでなくてもすぐに仲良くなれるようで、並びながらも会話が弾んでいる。
こんな楽しそうな女性達を見れば、一体何の集まりであろうかと気に掛かる者がいても不思議はない。
この時は、人の良さそうな年配のご夫婦連れだった。
「あらぁ、皆さん、楽しそうね。一体何の集まりなんです?」
「えっ」
「あのぅ」
「ええっとぉ」
並んでいる六人ほどに、にこにこと奥さんが尋ねた途端に、彼女達の会話は途切れ、視線は泳ぎ回る。
何故だか五人までもが口ごもる中、その中では最年長と思しき二十歳前後の女性がにこにこと会釈しながらこう言った。
「自費出版の小説や画集を持ち寄って、交換や販売をしたり、交流をする即売会という集まりですの。まあ、趣味の会の延長ですけれど」
「へえ。最近の若い人は、文化的な活動に熱心なんだね」
「素敵な趣味ねぇ」
ご夫婦はとても感心しながら、蒼海と呼ばれていた女性と微笑み交わし、他の人にも手を振って歩き去った。
彼らが離れるにつれ、列に満ちていた緊張感もほぐれていく。
「そ、蒼海お姉様、今の説明は」
「嘘は、言っていません」
「そ、そうですよね……」
「さてさて、この地域では初めて大きな即売会ですもの。お買い物しなくてはね~。相変わらず同盟海軍ものがアツいのでしょ?」
「お姉様の書く、軍船という閉鎖空間で繰り広げられる、上司と部下の秘密の関係……新刊を楽しみにしてたんです」
「ごめんなさい。今回は船内だけじゃなくて、若手船長と陸の造船所技師の間に、有力商船団の壮年商人が食い込もうとする三角関係なのだけれど」
「あーっ、蒼海さんってもしかして、あの『紺碧に囚われる』の作者さんですか?」
「絵師の水凪さんは、いらっしゃってます?」
「主催だもの。中で忙しくしているのじゃないかしら」
きゃあきゃあと賑やかさを増した一団が、建物に吸い込まれていく。
その後も続々と女性ばかりが集まってきたが、何をしているものかは外部からはうかがい知れない。
とにもかくにも、女性達が百人くらい、大きな建物の中で『趣味の会』を執り行っている。
もし、あなたがこの『趣味の会』の噂を耳にしているなら、入場に必要な合言葉はすぐに分かるだろう。
「いらっしゃいませ。『攻め』の反対はなんでしょう?」
リプレイ本文
自費出版本こと同人誌の即売会は、盛況のうちに閉幕した。
「野郎ってみんな悪戯されて喘ぎたいのね。私、初めて知ったわ」
本日入手した大量の本を、一気に数冊広げて眺めながら、ケイ(ka4032)が心底から感心したように呟いた。
「……流石に、全員がそういう嗜好ではないと思いますよ」
「そっだねー。いきなり知り合いに見せたら大抵ビビるから、いや、普通はビビるから」
自分はここに居てもいいのだろうかと、いささか不思議に思いつつも、主催者からお茶に誘われた静架(ka0387)と高務 穂(ka4524)の少年と青年の端境期にいる男子二人が、一応はケイに真っ当なことを言った。返って来たのが疑心に溢れた瞳では、なんとも言えない心地になるが。
とはいえ、即売会は初めてではない高務は、『この人の知り合いの男は大変だ』と内心では諦めていた。おそらくケイには、俗にいう腐女子属性が備わっていたのだ。開花してしまえば、もう後戻りは出来まい。
世の中にはこんな会合があると、本日初めて知った様子の静架も、わざわざ言葉を尽くしてケイの思い込みを正してやる気分にはならなかった。彼女が何をどう思っても、自分には影響がない。うかつなことを言うのも、はばかられる雰囲気もある。
なにしろ。
「男は男同士、女の女同士が、真実の愛だと思うのよ!」
「あらあら、愛に貴賤はありませんわ。男女の愛も素敵ではありません?」
「組み合わせは当然重要だけど、まず自分の好みに合致するかでしょ。ジャンルに白衣がないのが、残念だったなぁ」
「文学は萌え。文学はホモ」
迂闊に口を挟むと、何をどう攻め込まれるか予想もつかない論争を繰り広げる女性陣の中に、ほぼ孤立無援で放り込まれている真っ最中だ。
会話のすべてに納得顔で相槌が打てる高務と違い、静架はティナ・レミントン(ka2095)とラル・S・コーダ(ka4495)の真実の愛論も、遠火 楓(ka4929)のジャンル話題も、小鳥遊 時雨(ka4921)の妙にうっとりとした一言にも、いま一つ、否、三つか四つ、共感が持てなかった。女性の世界には、まだまだ自分の理解が及ばぬ一面が潜んでいるのだと思うばかり。
そうして、黙っていようと理性的な思考に落ち着いた静架に、横合いから一撃食らわせたのは、オカメインコの着ぐるみという場違いな出で立ちのインテグラ・C・ドラクーン(ka4526)だった。着ぐるみなのに明朗に声が出るのは、一体どういう仕組みやら。
更には、平然とお茶も飲んでいるようなのだが、これもどうやっているものか。
なにはともあれ、おそらく彼だろうインテグラは、静架の結構大きな荷物を指して、こう尋ねたのだ。
「これを頼んだのは、ご家族か? 家まで持って帰るなら、手提げか何かを用意しないと汚れるぞ」
「いや、家族はいない。それに、家に持って帰るわけでもないので。あいつは、こういうのは読まないだろうし」
「「「「「あいつ?」」」」」
家族はいないけど、あいつって呼ぶような同居人がいるわけですねと、最初ににじり寄ったのは誰だったか。
じりっと狭まった円から少し外れて、高務は円の中心に『頑張れ~』と心の中でエールを送った。
怪しげなインコは、ンふふふふっと含み笑っている。
同人誌即売会なのに、イベント名がないとは残念だと、本日は本名・遠火 楓を封印した嵯峨野は手慣れた様子でスペース設営を終えた。
「えぇと、彼岸に群青にマリンブルー、あとエリュシオンと。ポストカードは……何枚か飾っておくか」
彼女の本日の新刊は三冊。『彼岸に燃ゆ』と『群青と熔ける暁』と『マリンブルーの煌めき』、最後のマリンブルーはシリーズものの三巻目だ。あと、既刊はリアルブルーにいた頃に作ったエリュシオン二次創作の総集編。
客側通路に回って、スペースの本が見やすい並びになっているかも確かめた。もはや、開場を待つばかりだが……実は嵯峨野はほぼ会場一番乗り。主催者と一緒に入場したくらいなので、周囲はまだこれからやってくるサークルもある。
お隣がいままさに、重そうな荷物を引きずるようにして辿り着いたところだった。
「「あ、おはようございまーすぅ!?!」」
同人誌即売会は一期一会。たとえ半日余りのお隣さんでも、にこやかな挨拶は欠かせない。故に、あまり得意ではないがにこやかな挨拶を繰り出した嵯峨野に対して、相手もにこにこと可愛らしいよそゆきの声で挨拶を寄越し……
「あらっ、遠火さんがお隣だなんて」
「え、レミントン、じゃなくて、確か竜川……なんだっけ?」
「あ、嵯峨野さんて呼ばなくちゃ駄目? 竜川淀です、よろしくぅ」
唐突に、どちらも素の声に戻った。お隣は旧知のティナだったのだ。この場では竜川淀。
流行を外さぬ同盟海軍もの新刊を引っさげ現われたが、実は女性同士の恋愛模様を示す百合ジャンル好き。こっそりそっちの本も用意しているのは、嵯峨野には余裕で分かる。
何はともあれ、こういう場のお約束で新刊を一冊ずつ交換し、ついでに差し入れをしたりされたり、相互の新刊傾向をチェックしたり。
「この郵便を利用して遊べる百合シナリオって、何?」
「集める参加費が運営資金に消えちゃって、執筆者は無給状態ですけどねー」
「それ、イベント参加する同人屋と大差ないよね?」
楽しげに話していたはずが、いつの間にやら『異世界に来たばっかりに人脈が』だの『そもそもイベントがなさすぎる』だのといった愚痴になりかけている。いつの時代もどこの世界も、同人誌愛好家の印刷費と移動費は悩ましいものなのだ。
それでも、今日も新たな本との出会いや楽しい同好の士との語らいを、二人とも楽しみにしていた。
この時点では、単純に楽しみにしていられた。
同人誌即売会である。即売会なのである!
人生初、リアルブルーからクリムゾンウェストにやって来て、一度も参加しないままに同人誌即売会とは縁遠くなってしまうのかと諦めかけていた小鳥遊 時雨は、自分の情報収集能力を一人褒め称えていた。
「はい、攻めの反対は?」
「もち、受けっしょー!」
元気よく大きな声で答えて、意気揚々と会場に入っていく。その後ろから、至極当たり前のように『受けよ』と口にして入場したのがケイなのだが……
「しかし、受けってなんのことかしら?」
声がひときわ大きかった時雨の返答を真似しただけとは、時雨も受け付けの人達もまるで気付かなかった。あまりに堂々としているので、すっかり同好の士だと思い込んだのだ。
そして二人は、それぞれに衝撃的な出会いを果たす。
「楓、ナニしてんの?」
「これは……レアカードの野郎じゃない。何をしているのかしら。触手と戯れて」
かたや同好の士とは思わなかった知人と、かたや異世界伝来の小説で見たキャラクターが人外と戯れる冊子との邂逅を経た。
この二人の動線が再び交わるのは、イベント終了間際まで待たねばならない。特に誰も待っていないとしても。
ちなみにこの時、静架はハンターオフィスで顔馴染みの受付嬢から『仕事で行けないから、代わりに行って来て』と合言葉を授けられていた。この日は仕事の都合でいわゆる男の娘状態の彼を選んだあたり、受付嬢の作為がうかがわれる、かもしれない。
イベントに行くのに必要なもの。
年齢が証明できるもの。丈夫で大きな布製トートバッグ、中身が見えない蓋などがあればなお良し。細かく崩したお金。
この三つを用意万端、高務は小耳に挟んだ自費出版書籍販売会と呼ばれているイベントに、無事に入り込み……
「なんで、ここにいるんすか」
「あらあら、穂さんたら。まさか同好の士とは思いませんでしたわよ。教えてくださればよろしかったのに」
黙って立っていればエルフの淑女、どこぞの貴婦人で通るラルと一緒に会場内をそぞろ歩いていた。どう見ても、上品なお姉様に連れられた荷物持ち。
しかし、高務もラルが同好の士だとは予想外。その上、ここで出会うとはなんたることか。まさか知り合いにあうなんて、思いもしなかったのに。
というのは、もはや序章でしかなく。
「うわぁっ、カップル参加だ。すごーい」
たまたますれ違った多分女子高生、つまりは同世界出身者に指さして騒がれ、あっさりと会場内の注目を集めるに至った。それまでも、皆がちらちらと見てくるのは、まあこうした薔薇咲き誇るイベント会場ではよくあることなので、高務は慣れていた。ラルはそもそも、他人からどう見られても害意があるとは考えない性質なので、まったく気にしていない。
しかし、こうまで注目され、しかも事実と違う認識は困ったなぁと高務が思った時だ。
「ふむ、その二人はカップルではなく、ご近所の親しいご友人といった風情と見た。年上の女性を立てることを知るとは、なかなか見所がある青年だ。そちらのご婦人を性別転換して、一作書いてみたいくらいだな」
途中までは、目端の利く人だなあと思った高務も、後半に行くにつれて能面のような無表情に変わっていった。ラルは面白いことを言う人だくらいの認識でいる様子だが、オカメインコの着ぐるみ男性をそれで済ませていいものかどうか。
しかも、自分がモデルにされようというのに、にこにこと楽しそうとのたまった。世の中、楽しんだ奴が勝ちだみたいな、満面の笑みである。
「あー、ラルさんがいいんなら、俺も気にしないけどぉ」
この瞬間、いつかどこかでラルと高務がモデルの話が一冊と言わず出来上がることが、周囲の歓声から確定した。致し方ないので、高務は自分の希望を述べてみる。
「コスプレ好きなんで、服装は色々ある方がいいな。海軍制服なんかも、誰かよろしく」
「わたしも海軍ものとエリュシオンが熱いんですのよ。距離を置き難い閉鎖された空間で、抑えられない恋心と覆せない階級のジレンマが」
「お姉様と呼んでもいいですか!」
うっとり一人語りに入り込みかけたラルの両手を、がしと掴んだ時雨が妙なことをのたまい、高務は心中で『今度は百合の世界になった』と思い、オカメインコことインテグラは持参のメモ帳になにやら書き付けている。
しばらくして周囲のお嬢さん、お姉さん方の興奮が静まってから、今度は三人が連れだってお買い物三昧をしはじめた。
「まあ、緑青華さんがいらっしゃるなんて。新刊に続き物もしっかり出されて、素晴らしいですわ」
「世の中って……狭いのね」
「そこのお嬢さん、これは年齢制限なしよ。それにとっときの本がここに」
「あっ、なんか行間を読ませる感じで素敵っ」
「すみません、このキャラが出る本が他にもあったらまとめて買います」
そして、嵯峨野と竜川が机を並べるところでひとしきり歓談という名のすごい話を繰り広げ、それは楽しいひと時を過ごしたらしい。
同じ頃。
「ほうほほう? つまり野郎を(中略)するのが攻めで、(中略)するのが受けという訳ね。しかも攻めは(以下略)」
攻めと受けの言葉の意味も知らなかったケイは、主催者の水凪に捕まっていた。スペースごとに出ている本を片端から一冊ずつ買い込む姿を面白がって、どんな話が好きなのかと声を掛けられたのが最初だ。
ところが、ケイは知らなかった知識をどん欲に吸収し、速やかにいっぱしの情報通になっていた。仕入れた山を為す本を読むのが楽しみと、ほくそ笑んでいる。
常人なら持って帰るのも難しい量だが、なんとかするのだろう。いざとなったら、荷運びに人を頼みそうな勢いで、まだ買っていない本はなかったかと会場を見回している。
「そうだわ、主催者のお勧めはあるのかしら?」
「全部。主催なのに、どこかだけは勧めないさ」
「至言ね。ちょっと、本をお預けしていい?」
どうぞと頷かれて、ケイはまた会場内を歩き始めた。
ちなみにこの頃、水凪と組んでいる文章書き蒼海が斬新だと褒めたからと、ハンターと契約者の『彼岸に燃ゆ』と、隠れ配布だったはずの百合本が完売寸前になっている。
そうして、即売会は終了したのだが。
「そこのところを詳しくっ。男同士で同居で、スキンシップ過多って美味しすぎる!」
「寝る時は、同じ部屋なんですの?」
「そんなわけ、ないでしょうにっ」
ハンターの経験談を、後学のためにも聞かせてほしいとお茶に誘われたはずの一同は、大半が静架を追及するのに余念がなかった。
ハンターには珍しくもなかろうに、男同士の同居がもう片方の強烈な押しで決まったと聞くや、目の色が変わること。静架もあっさりいなせばよいのだが、うっかり押され気味になったのが良くない。もう生贄状態だ。
「ンふふふふっ、慌てふためく男の娘の姿は、また皆の創作意欲を掻き立てるのかな」
「あら、インコさんはどうですの?」
主催の相方である蒼海に尋ねられたインテグラは、ちっちっと気障に指を振った。
「インコではない。今の私は言うなれば、腐(フ)ェニックス! この度のお客であるお嬢さん方の好みは、大体観察できた。次は少し展開に甘さを追加しつつも、やはりデンジャーでソリッドな読み物を目指すさ」
彼の本は、双子兄弟の悲恋ものに囚人と看守の殺伐ネタ、加えて獣の擬人化という書いた当人と反対傾向の一冊を含めた計三冊。蒼海は擬人化は書いたことがないので、読み込んでみたいと抱えていた。
「ところで、次のイベント予定はどうなっているのかね?」
「そうですわねぇ、本当は季節に一回はどこかで開きたいものですけれど、まだ会場も考えておりませんし……秋にはなんとかしたいと思っていますの」
「あ、じゃあ、今度はコスプレもぜひ。コスプレ、分かる?」
さらっと話に高務が加わり、こちらは次回のイベント開催計画の相談に。
もちろん、生贄を囲んだお嬢様、お姉様方の会話は、未だ留まるところを知らずに続いていた。
「あっ、待って、その先は言わないで。行間を読むがごとく、想像するのが楽しそう」
「で、貴方は受け? それとも攻め?」
「私は、可愛い系攻めが好き」
静架を送り込んだ受付嬢には、もしかしたら明日はないかもしれなかった。
仮にそんな事件が起きても、きっとこの場の誰も気にはしないだろうけれど。
「野郎ってみんな悪戯されて喘ぎたいのね。私、初めて知ったわ」
本日入手した大量の本を、一気に数冊広げて眺めながら、ケイ(ka4032)が心底から感心したように呟いた。
「……流石に、全員がそういう嗜好ではないと思いますよ」
「そっだねー。いきなり知り合いに見せたら大抵ビビるから、いや、普通はビビるから」
自分はここに居てもいいのだろうかと、いささか不思議に思いつつも、主催者からお茶に誘われた静架(ka0387)と高務 穂(ka4524)の少年と青年の端境期にいる男子二人が、一応はケイに真っ当なことを言った。返って来たのが疑心に溢れた瞳では、なんとも言えない心地になるが。
とはいえ、即売会は初めてではない高務は、『この人の知り合いの男は大変だ』と内心では諦めていた。おそらくケイには、俗にいう腐女子属性が備わっていたのだ。開花してしまえば、もう後戻りは出来まい。
世の中にはこんな会合があると、本日初めて知った様子の静架も、わざわざ言葉を尽くしてケイの思い込みを正してやる気分にはならなかった。彼女が何をどう思っても、自分には影響がない。うかつなことを言うのも、はばかられる雰囲気もある。
なにしろ。
「男は男同士、女の女同士が、真実の愛だと思うのよ!」
「あらあら、愛に貴賤はありませんわ。男女の愛も素敵ではありません?」
「組み合わせは当然重要だけど、まず自分の好みに合致するかでしょ。ジャンルに白衣がないのが、残念だったなぁ」
「文学は萌え。文学はホモ」
迂闊に口を挟むと、何をどう攻め込まれるか予想もつかない論争を繰り広げる女性陣の中に、ほぼ孤立無援で放り込まれている真っ最中だ。
会話のすべてに納得顔で相槌が打てる高務と違い、静架はティナ・レミントン(ka2095)とラル・S・コーダ(ka4495)の真実の愛論も、遠火 楓(ka4929)のジャンル話題も、小鳥遊 時雨(ka4921)の妙にうっとりとした一言にも、いま一つ、否、三つか四つ、共感が持てなかった。女性の世界には、まだまだ自分の理解が及ばぬ一面が潜んでいるのだと思うばかり。
そうして、黙っていようと理性的な思考に落ち着いた静架に、横合いから一撃食らわせたのは、オカメインコの着ぐるみという場違いな出で立ちのインテグラ・C・ドラクーン(ka4526)だった。着ぐるみなのに明朗に声が出るのは、一体どういう仕組みやら。
更には、平然とお茶も飲んでいるようなのだが、これもどうやっているものか。
なにはともあれ、おそらく彼だろうインテグラは、静架の結構大きな荷物を指して、こう尋ねたのだ。
「これを頼んだのは、ご家族か? 家まで持って帰るなら、手提げか何かを用意しないと汚れるぞ」
「いや、家族はいない。それに、家に持って帰るわけでもないので。あいつは、こういうのは読まないだろうし」
「「「「「あいつ?」」」」」
家族はいないけど、あいつって呼ぶような同居人がいるわけですねと、最初ににじり寄ったのは誰だったか。
じりっと狭まった円から少し外れて、高務は円の中心に『頑張れ~』と心の中でエールを送った。
怪しげなインコは、ンふふふふっと含み笑っている。
同人誌即売会なのに、イベント名がないとは残念だと、本日は本名・遠火 楓を封印した嵯峨野は手慣れた様子でスペース設営を終えた。
「えぇと、彼岸に群青にマリンブルー、あとエリュシオンと。ポストカードは……何枚か飾っておくか」
彼女の本日の新刊は三冊。『彼岸に燃ゆ』と『群青と熔ける暁』と『マリンブルーの煌めき』、最後のマリンブルーはシリーズものの三巻目だ。あと、既刊はリアルブルーにいた頃に作ったエリュシオン二次創作の総集編。
客側通路に回って、スペースの本が見やすい並びになっているかも確かめた。もはや、開場を待つばかりだが……実は嵯峨野はほぼ会場一番乗り。主催者と一緒に入場したくらいなので、周囲はまだこれからやってくるサークルもある。
お隣がいままさに、重そうな荷物を引きずるようにして辿り着いたところだった。
「「あ、おはようございまーすぅ!?!」」
同人誌即売会は一期一会。たとえ半日余りのお隣さんでも、にこやかな挨拶は欠かせない。故に、あまり得意ではないがにこやかな挨拶を繰り出した嵯峨野に対して、相手もにこにこと可愛らしいよそゆきの声で挨拶を寄越し……
「あらっ、遠火さんがお隣だなんて」
「え、レミントン、じゃなくて、確か竜川……なんだっけ?」
「あ、嵯峨野さんて呼ばなくちゃ駄目? 竜川淀です、よろしくぅ」
唐突に、どちらも素の声に戻った。お隣は旧知のティナだったのだ。この場では竜川淀。
流行を外さぬ同盟海軍もの新刊を引っさげ現われたが、実は女性同士の恋愛模様を示す百合ジャンル好き。こっそりそっちの本も用意しているのは、嵯峨野には余裕で分かる。
何はともあれ、こういう場のお約束で新刊を一冊ずつ交換し、ついでに差し入れをしたりされたり、相互の新刊傾向をチェックしたり。
「この郵便を利用して遊べる百合シナリオって、何?」
「集める参加費が運営資金に消えちゃって、執筆者は無給状態ですけどねー」
「それ、イベント参加する同人屋と大差ないよね?」
楽しげに話していたはずが、いつの間にやら『異世界に来たばっかりに人脈が』だの『そもそもイベントがなさすぎる』だのといった愚痴になりかけている。いつの時代もどこの世界も、同人誌愛好家の印刷費と移動費は悩ましいものなのだ。
それでも、今日も新たな本との出会いや楽しい同好の士との語らいを、二人とも楽しみにしていた。
この時点では、単純に楽しみにしていられた。
同人誌即売会である。即売会なのである!
人生初、リアルブルーからクリムゾンウェストにやって来て、一度も参加しないままに同人誌即売会とは縁遠くなってしまうのかと諦めかけていた小鳥遊 時雨は、自分の情報収集能力を一人褒め称えていた。
「はい、攻めの反対は?」
「もち、受けっしょー!」
元気よく大きな声で答えて、意気揚々と会場に入っていく。その後ろから、至極当たり前のように『受けよ』と口にして入場したのがケイなのだが……
「しかし、受けってなんのことかしら?」
声がひときわ大きかった時雨の返答を真似しただけとは、時雨も受け付けの人達もまるで気付かなかった。あまりに堂々としているので、すっかり同好の士だと思い込んだのだ。
そして二人は、それぞれに衝撃的な出会いを果たす。
「楓、ナニしてんの?」
「これは……レアカードの野郎じゃない。何をしているのかしら。触手と戯れて」
かたや同好の士とは思わなかった知人と、かたや異世界伝来の小説で見たキャラクターが人外と戯れる冊子との邂逅を経た。
この二人の動線が再び交わるのは、イベント終了間際まで待たねばならない。特に誰も待っていないとしても。
ちなみにこの時、静架はハンターオフィスで顔馴染みの受付嬢から『仕事で行けないから、代わりに行って来て』と合言葉を授けられていた。この日は仕事の都合でいわゆる男の娘状態の彼を選んだあたり、受付嬢の作為がうかがわれる、かもしれない。
イベントに行くのに必要なもの。
年齢が証明できるもの。丈夫で大きな布製トートバッグ、中身が見えない蓋などがあればなお良し。細かく崩したお金。
この三つを用意万端、高務は小耳に挟んだ自費出版書籍販売会と呼ばれているイベントに、無事に入り込み……
「なんで、ここにいるんすか」
「あらあら、穂さんたら。まさか同好の士とは思いませんでしたわよ。教えてくださればよろしかったのに」
黙って立っていればエルフの淑女、どこぞの貴婦人で通るラルと一緒に会場内をそぞろ歩いていた。どう見ても、上品なお姉様に連れられた荷物持ち。
しかし、高務もラルが同好の士だとは予想外。その上、ここで出会うとはなんたることか。まさか知り合いにあうなんて、思いもしなかったのに。
というのは、もはや序章でしかなく。
「うわぁっ、カップル参加だ。すごーい」
たまたますれ違った多分女子高生、つまりは同世界出身者に指さして騒がれ、あっさりと会場内の注目を集めるに至った。それまでも、皆がちらちらと見てくるのは、まあこうした薔薇咲き誇るイベント会場ではよくあることなので、高務は慣れていた。ラルはそもそも、他人からどう見られても害意があるとは考えない性質なので、まったく気にしていない。
しかし、こうまで注目され、しかも事実と違う認識は困ったなぁと高務が思った時だ。
「ふむ、その二人はカップルではなく、ご近所の親しいご友人といった風情と見た。年上の女性を立てることを知るとは、なかなか見所がある青年だ。そちらのご婦人を性別転換して、一作書いてみたいくらいだな」
途中までは、目端の利く人だなあと思った高務も、後半に行くにつれて能面のような無表情に変わっていった。ラルは面白いことを言う人だくらいの認識でいる様子だが、オカメインコの着ぐるみ男性をそれで済ませていいものかどうか。
しかも、自分がモデルにされようというのに、にこにこと楽しそうとのたまった。世の中、楽しんだ奴が勝ちだみたいな、満面の笑みである。
「あー、ラルさんがいいんなら、俺も気にしないけどぉ」
この瞬間、いつかどこかでラルと高務がモデルの話が一冊と言わず出来上がることが、周囲の歓声から確定した。致し方ないので、高務は自分の希望を述べてみる。
「コスプレ好きなんで、服装は色々ある方がいいな。海軍制服なんかも、誰かよろしく」
「わたしも海軍ものとエリュシオンが熱いんですのよ。距離を置き難い閉鎖された空間で、抑えられない恋心と覆せない階級のジレンマが」
「お姉様と呼んでもいいですか!」
うっとり一人語りに入り込みかけたラルの両手を、がしと掴んだ時雨が妙なことをのたまい、高務は心中で『今度は百合の世界になった』と思い、オカメインコことインテグラは持参のメモ帳になにやら書き付けている。
しばらくして周囲のお嬢さん、お姉さん方の興奮が静まってから、今度は三人が連れだってお買い物三昧をしはじめた。
「まあ、緑青華さんがいらっしゃるなんて。新刊に続き物もしっかり出されて、素晴らしいですわ」
「世の中って……狭いのね」
「そこのお嬢さん、これは年齢制限なしよ。それにとっときの本がここに」
「あっ、なんか行間を読ませる感じで素敵っ」
「すみません、このキャラが出る本が他にもあったらまとめて買います」
そして、嵯峨野と竜川が机を並べるところでひとしきり歓談という名のすごい話を繰り広げ、それは楽しいひと時を過ごしたらしい。
同じ頃。
「ほうほほう? つまり野郎を(中略)するのが攻めで、(中略)するのが受けという訳ね。しかも攻めは(以下略)」
攻めと受けの言葉の意味も知らなかったケイは、主催者の水凪に捕まっていた。スペースごとに出ている本を片端から一冊ずつ買い込む姿を面白がって、どんな話が好きなのかと声を掛けられたのが最初だ。
ところが、ケイは知らなかった知識をどん欲に吸収し、速やかにいっぱしの情報通になっていた。仕入れた山を為す本を読むのが楽しみと、ほくそ笑んでいる。
常人なら持って帰るのも難しい量だが、なんとかするのだろう。いざとなったら、荷運びに人を頼みそうな勢いで、まだ買っていない本はなかったかと会場を見回している。
「そうだわ、主催者のお勧めはあるのかしら?」
「全部。主催なのに、どこかだけは勧めないさ」
「至言ね。ちょっと、本をお預けしていい?」
どうぞと頷かれて、ケイはまた会場内を歩き始めた。
ちなみにこの頃、水凪と組んでいる文章書き蒼海が斬新だと褒めたからと、ハンターと契約者の『彼岸に燃ゆ』と、隠れ配布だったはずの百合本が完売寸前になっている。
そうして、即売会は終了したのだが。
「そこのところを詳しくっ。男同士で同居で、スキンシップ過多って美味しすぎる!」
「寝る時は、同じ部屋なんですの?」
「そんなわけ、ないでしょうにっ」
ハンターの経験談を、後学のためにも聞かせてほしいとお茶に誘われたはずの一同は、大半が静架を追及するのに余念がなかった。
ハンターには珍しくもなかろうに、男同士の同居がもう片方の強烈な押しで決まったと聞くや、目の色が変わること。静架もあっさりいなせばよいのだが、うっかり押され気味になったのが良くない。もう生贄状態だ。
「ンふふふふっ、慌てふためく男の娘の姿は、また皆の創作意欲を掻き立てるのかな」
「あら、インコさんはどうですの?」
主催の相方である蒼海に尋ねられたインテグラは、ちっちっと気障に指を振った。
「インコではない。今の私は言うなれば、腐(フ)ェニックス! この度のお客であるお嬢さん方の好みは、大体観察できた。次は少し展開に甘さを追加しつつも、やはりデンジャーでソリッドな読み物を目指すさ」
彼の本は、双子兄弟の悲恋ものに囚人と看守の殺伐ネタ、加えて獣の擬人化という書いた当人と反対傾向の一冊を含めた計三冊。蒼海は擬人化は書いたことがないので、読み込んでみたいと抱えていた。
「ところで、次のイベント予定はどうなっているのかね?」
「そうですわねぇ、本当は季節に一回はどこかで開きたいものですけれど、まだ会場も考えておりませんし……秋にはなんとかしたいと思っていますの」
「あ、じゃあ、今度はコスプレもぜひ。コスプレ、分かる?」
さらっと話に高務が加わり、こちらは次回のイベント開催計画の相談に。
もちろん、生贄を囲んだお嬢様、お姉様方の会話は、未だ留まるところを知らずに続いていた。
「あっ、待って、その先は言わないで。行間を読むがごとく、想像するのが楽しそう」
「で、貴方は受け? それとも攻め?」
「私は、可愛い系攻めが好き」
静架を送り込んだ受付嬢には、もしかしたら明日はないかもしれなかった。
仮にそんな事件が起きても、きっとこの場の誰も気にはしないだろうけれど。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/19 21:14:34 |
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【相談卓】即売会パンフレット 遠火 楓(ka4929) 人間(リアルブルー)|22才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2015/06/20 20:53:31 |