ゲスト
(ka0000)
【夜煌】儀式の後に
マスター:猫又ものと

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~50人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2015/06/26 07:30
- 完成日
- 2015/07/11 09:05
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●夜煌祭
夜煌祭。
大精霊に捧げる感謝と祈りの祭りである。
辺境の民族達の言い伝えによると、雑魔は禍が呼び寄せられて出来たものであると考えられていた。
禍を祓う為、沢山の巫女達が数日間、大精霊に祈り、大地に浄化と癒しを願い請う。
そして儀式を無事終えた後は、儀式の成功を祝して大規模な宴会を催すのが通例だ。
同盟の目ざとい商人達ががこの席に合わせて様々なものを持ち込む事から、ここ毎年、辺境では大規模な宴会が繰り広げられている。
しかも今回は、聖地奪還が叶った後の夜煌祭とあって、宴会は更に盛り上がりを見せそうな気配で――。
●儀式の後に
「……という訳でですね。皆さん宴会しませんか」
ハンターズソサエティに現れた赤毛の青年、イェルズ・オイマトは極めて明るい口調でそう切り出した。
「あれ。お前、確かバタルトゥの小間使いだっけ」
「補佐役って言ってくださいよ!」
ハンターとイェルズのやり取りにハンター達がぷっと吹き出す。
「それで、宴会がどうしたの?」
「ああ。そうでした。族長に、皆さんを宴会に招待するよう申し付かりまして……」
本題を思い出したのか、頭を掻きながら続けるイェルズ。
彼の一族の族長であるバタルトゥ・オイマト(kz0023) が、温泉地『テミス』に、ハンター達を招待したいと言っているのだそうだ。
「え? でも、今テミスってホラ、妙なパルムが占拠してて大変なことになってなかったっけ」
「毒パルムですよね。概ね排除に成功して、営業できるレベルになったそうなんです」
「へー。そうだったんだ。良かったな」
「はい。夜煌祭の儀式も無事終わりましたし、聖地奪還が成功したのに、皆さんに礼もしていなかったからと……我が大首長殿がお礼を兼ねて皆様を招待したいと、そう申しておりまして」
「え。でも宴会って言ってたわよね。温泉でやるの?」
「はい。さすがに温泉に入りながら宴会はちょっと厳しいので、会場は分けますけれども。お食事もお酒もご用意しますよ」
「うおー! さすが大首長! 太っ腹ー!」
「皆さんが来て下さったら、仏頂面の族長も喜ぶと思います。気が向いたら、足を運んでみてください」
イェルズの言葉に頷きながら、どうしようかなと考えるハンター達。
仕事の合間に、宴会を楽しむのもいいかもしれない――。
今年も、儀式の後の宴会が始まろうとしていた。
夜煌祭。
大精霊に捧げる感謝と祈りの祭りである。
辺境の民族達の言い伝えによると、雑魔は禍が呼び寄せられて出来たものであると考えられていた。
禍を祓う為、沢山の巫女達が数日間、大精霊に祈り、大地に浄化と癒しを願い請う。
そして儀式を無事終えた後は、儀式の成功を祝して大規模な宴会を催すのが通例だ。
同盟の目ざとい商人達ががこの席に合わせて様々なものを持ち込む事から、ここ毎年、辺境では大規模な宴会が繰り広げられている。
しかも今回は、聖地奪還が叶った後の夜煌祭とあって、宴会は更に盛り上がりを見せそうな気配で――。
●儀式の後に
「……という訳でですね。皆さん宴会しませんか」
ハンターズソサエティに現れた赤毛の青年、イェルズ・オイマトは極めて明るい口調でそう切り出した。
「あれ。お前、確かバタルトゥの小間使いだっけ」
「補佐役って言ってくださいよ!」
ハンターとイェルズのやり取りにハンター達がぷっと吹き出す。
「それで、宴会がどうしたの?」
「ああ。そうでした。族長に、皆さんを宴会に招待するよう申し付かりまして……」
本題を思い出したのか、頭を掻きながら続けるイェルズ。
彼の一族の族長であるバタルトゥ・オイマト(kz0023) が、温泉地『テミス』に、ハンター達を招待したいと言っているのだそうだ。
「え? でも、今テミスってホラ、妙なパルムが占拠してて大変なことになってなかったっけ」
「毒パルムですよね。概ね排除に成功して、営業できるレベルになったそうなんです」
「へー。そうだったんだ。良かったな」
「はい。夜煌祭の儀式も無事終わりましたし、聖地奪還が成功したのに、皆さんに礼もしていなかったからと……我が大首長殿がお礼を兼ねて皆様を招待したいと、そう申しておりまして」
「え。でも宴会って言ってたわよね。温泉でやるの?」
「はい。さすがに温泉に入りながら宴会はちょっと厳しいので、会場は分けますけれども。お食事もお酒もご用意しますよ」
「うおー! さすが大首長! 太っ腹ー!」
「皆さんが来て下さったら、仏頂面の族長も喜ぶと思います。気が向いたら、足を運んでみてください」
イェルズの言葉に頷きながら、どうしようかなと考えるハンター達。
仕事の合間に、宴会を楽しむのもいいかもしれない――。
今年も、儀式の後の宴会が始まろうとしていた。
リプレイ本文
宴会場にずらりと並ぶ料理。それはどれも美味しそうではあったが、とにかく肉ばかりで……。
「ようこそ。足りないものがあったら言ってくださいね」
皆を出迎えたイェルズ・オイマトの声に、シャーリーン・クリオール(ka0184)とエミリー・ファーレンハイト(ka3323)、エーディット・ブラウン(ka3751)は顔を見合わせる。
「ふむ。流石ドワーフ族、見事なまでに肉料理だねぇ」
「肉料理ばかりではカロリーがえらいことになりそうですよね……」
「うーん。ちょっと食べ方に工夫が必要でしょうか……」
「そうだね。イェルズ、ちょっと厨房を借りてもいいかな」
「折角ですから、皆さんにお料理を振舞いたいんです」
「お肉をもっと美味しく食べられたらいいと思いませんか?」
「はい。構いませんよ。皆さんの手料理楽しみです」
三人の言葉に笑顔を浮かべるイェルズ。彼女達は頷き合うと、それぞれ手にした材料を持って厨房へと入ってゆく。
女性陣が料理の支度をしている間、畦一座の座長、時雨(ka4272)も己の横笛を磨いていた。
「酒を飲むのはちっとばかし待ってくれ。楽しい宴会にするために、余興ってことでさ! 皆も一緒にやろうぜ!」
「ふむ。仕方ないな」
「はーい! シロもお歌うたうの! 風花は?」
「う、うた、くらいなら歌えなくもな……歌わない!」
三味線を手にして立ち上がる藤切(ka4813)。小首を傾げる白樺(ka4596)に、ぷいっと横を向く風花(ka4542)。
そんな少女の頭を撫でて、時雨は横笛を構え、仲間達に向き直る。
始まりは厳かに。低く、高く――時雨の笛の音と、藤切の三味線の音が絡み合う。
そして突然訪れる静寂。一拍の間。刻が止まったような……そんな一瞬。
「楽しい宴会の始まりだぁぁ!!!」
時雨の叫び。次の瞬間、一気に膨れ上がる音。賑やかで明るい音楽に合わせて、白樺の高らかな声が響く。
「皆さん浮かれてますねぇ……でも宴会なら踊って騒がないと損だよね♪ さあ、紫辰も一緒に」
「む? そうか。では……」
楼(ka4581)に促され、席を立つ鬼揃 紫辰(ka4627)。
心が浮き立つ音に合わせて、静かに始まる2人の舞。
響く笛の音。それに合わせて、速くなる足運び。
かき鳴らす三味線を合図に、切り替わる静と動。
そして座し。笛が終演の音を発したところで……拍手の音で我に返る。
「すごいのだ! きれいなのだ!」
「座長、かっこいいの!」
「ああ、なかなか良かったぜぇ」
ぱちぱちぱちと手を叩いている葉月(ka4528)と風花、そして月舟(ka4529)。
杜若(ka4559)も拍手をしながらこくこくと頷いている。
「本当、皆良かったぜ。これだから余興はやめられねえや! いよっし! それじゃ飲もうぜー!」
全員に杯を配って回る時雨。そこに、厨房に篭っていた女性陣が戻ってくる。
「ほら、皆、デザートが出来たぞ」
「お野菜もたっぷり用意しましたから、一緒に食べてくださいね」
「わあああ! 美味しそう! 食べるう!」
シャーリーンとエーディットが並べる料理に、目を輝かせる白樺。
アーモンドミルクのブラン・マンジェ、サクランボのゼリー寄せ、フルーツポンチ……色とりどりのそれらに、肉料理が進むようにと用意された野菜達は、どれも美味しそうで――。
そして、エミリーもまた、謎の物体をせっせとテーブルに並べていた。
「エミリー殿。それは何であるか?」
「これはぷるぷるねっとりな食感が楽しめる、名づけて『スライムゼリー』です!」
杜若の問いに胸を張って答えるエミリー。杜若はふむと頷いて、まじまじと皿の上のぷるぷるした物体を見る。
「……すらいむ。あの雑魔であるな」
「ああ、本当にスライムを使ってる訳じゃないですよ? 美味しさの中に面白さを追求してみました。暑い日にヒヤっとした食感で温泉との相性も抜群! これは流行る!」
続く説明。ドギツイ色のゼリーはちょっと食べるのに勇気が要りそうだったが……杜若は抵抗がないのか、美味しそうに食べ始めた。
「色々と差し入れありがとな! シャーリーン達もゆっくりしてくれ!」
「ああ、そうさせて貰うよ」
「お気遣いありがとうございます」
「うふふ。お肉お肉~♪」
時雨の労いに微笑むシャーリーンとエミリー。
エーディットは早速、様々な肉を取り分けて色々な味に挑戦し始める。
タレの味、塩コショウの味。鶏肉豚肉牛肉猪肉……!
どの肉が、どの味に一番合うかしらっ。
お肉自体の味を確かめるのも良さそう……!
「なあなあ。ふじきりは いちにんまえか?」
「そのはずだが」
「よし! いっしょにさけ のむぞ!」
「ふむ。一献、貰おうか」
「あー。待て、葉月。こっちへ来い」
葉月に言われるままに杯を受け取る藤切。月舟が己の膝を叩くと、葉月は当然のように彼の膝にちょこんと座る。
「つきふね! なんだ?」
「おまえには、この酒の方がいい。果実酒だぞ。飲んでみろ」
「うん! うまい!」
「そうか。良かったな」
にぱっと笑う葉月に、頷く月舟。
実はこの果実酒、ただの果汁だったりするのだが……少女は全く気付く様子もない。
「藤切もこっちにしときな」
「そうさせて貰うとするか」
「つきふね! ごはん!」
「ちゃんと噛めよ?」
酒が余り強くない藤切を気遣う月舟。
口を開けて食べ物をせがむ葉月に小さく笑い、親鳥のように口に運んでやる。
「シロもお酒のみたいな。……でもでも、シロまだお酒飲めないお歳なの」
「……もう少し大きくなってから、だ。これで我慢してくれ」
しょんぼりとする白樺に、酒饅頭を差し出す紫辰。それに白樺は明るい笑顔を返す。
「ありがと! ご飯いっぱい食べるの! 皆一緒でうれしいね! 杜若もたべてる?」
「ああ、食べている」
「お面、邪魔じゃない?」
「ん? ああ、気にならないな……」
白樺に言われるまで、天狗の面をつけていることを忘れていた杜若。
最近では、面をつけていることも当たり前になりつつある。
これも、故郷と切り離され始めたということなのだろうか……。
彼女がそんな事を考えている横で、楼がにこにこしながら時雨に酒を勧めていた。
「いかがですか?」
「ああ。美味いな」
「さあさあ、遠慮しなくていいんだよ。お酌は杯を乾かさなければいいんだよね」
「ちょっとそれ無理がないか……」
杯が乾く前にとどんどん酒を注ぐ楼にボヤく時雨。それに白樺が小首を傾げる。
「そうなの? じゃあシロもいっぱい果汁飲む!」
「ああ。飲むといいよ」
「あああ。美味しいけど太っちゃうのおおお!」
今度は白樺の杯にどばどばと果汁を注ぐ楼。白樺の嬉しい悲鳴が響く。
「紫辰は楽しんでるか? ん? お?」
「……童のような事を……」
酔っているのか、己の周りをぐるぐる回り始めた時雨に、苦笑する紫辰。
それにムッとした彼女は、紫辰の顔から面を引き剥がす。
「そんなこと言うやつはこうしてやる!」
「め、面を! 面をお返しください!」
「やーだよーーーん」
「いやあの、それがないと……!」
「だーめーだーよーーーん」
「……なにしてんのしぐ……座長。静かにしないとダメだよ!」
幼いながらも座長の暴走を必死で止めようとする風花。それに、時雨はにんまりと笑みを返す。
「んー? これはな、紫辰の修行なんだ。それより風花、こっちにおいで。ほら、あーんして食べさせてやるよ」
「あ、あー……!? ……し、しぐ……座長がどうしてもっていうなら、仕方ないからしてあげてもいい、けど」
「うん。どうしてもしたい。風花かわいい。かわいいよ風花」
「時雨さん、面……!」
「こーら、お嬢」
紫辰の面を持ったまま、風花をむぎゅっと抱きしめる時雨。藤切に頭を掴まれて大人しくなる。
「飲んでばっかりはだめよ。紫辰にお面返してあげて?」
「そうか? 風花に言われちゃ仕方ないな」
「座長、酔い覚ましに一曲いかがですか」
「ん? よし、弾いてやるか! お前達踊れ!」
「しらかば いっしょ おどるぞ!」
「うんっ! 踊るのっ♪ いくよ、葉月♪」
楼の声に応えて、横笛を構える時雨。
白樺と葉月が、鮮やかでキレのある剣舞を始める。
「おー。皆元気だな」
「シャーリーンさん。このお肉、野菜に巻いて食べると美味しいですよ」
「本当か? 試してみるよ。エミリー、ワインは足りてるかい?」
「はい。エーディットさんは飲み物いかがです?」
「戴きます! あ、すみませーん! 鶏に野菜を詰めて油を掛けて揚げて、皮だけ食べるという伝説の料理も食べたいんですけど、ありますかぁ?」
畦一座に混じり、もりもりと食べて飲んでいるシャーリーンとエミリー。
エーディットは、肉料理の追及に余念がないようだった。
「やっぱり、混浴よね。……まあ、だいたい予想はしていたわ」
「本当だよ! ざくろ混浴だなんて知らなかったんだよ……!」
諦めたようにため息をつくコーシカ(ka0903)。アワアワと慌てる時音 ざくろ(ka1250)を、アルラウネ(ka4841)が肘でつつく。
「またまたそんなこと言って知ってたんでしょー。えっちー」
「まあまあ、ざくろさんですから仕方ないですよ」
「そうですわね」
「うむ。気にせず温泉を楽しむとしよう」
乱暴だが妙に説得力のある結論を導き出すアデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)に、うんうんと頷く舞桜守 巴(ka0036)とイレーヌ(ka1372)。
ざくろ自身、温泉大好きだし、大事な人達と素敵な時間を過ごせればいいと思って来たのだが……。水着必須という時点で疑うべきだったのかもしれない。今更な話ではあったが。
「はぁ……いいお湯ですね……」
「ああ、アデリシア、酒はどうだ?」
「あら。美味しそうですね。戴きます」
アデリシアの虹色のストライプのビキニが張り付いたふくよかな膨らみがぷかぷかお湯に浮き、イレーヌは紺地に赤のラインが入った競泳水着を着ているため、柳の枝でも矯めるようなしなやかな身体のラインがくっきりと見えて何とも絶景だった。
「んんー、アルラウネ可愛いですわー♪」
「ちょ、ちょっと巴さん、水着脱げちゃうよ」
ピンクのホルターネックの水着に包まれた豊かな丸い胸を、小柄だが均整の取れた体つきを黄緑色の水着で包んだアルラウネにぎゅうぎゅうと押し付けて頬ずりしている巴。
二人の形の良い双丘がくっつく度にむにむにと形を変えて……。
目のやり場に困り、目線を反らすと、どんよりとしたコーシカと目が合う。
「コ、コーシカ。元気ないね。どうしたの?」
「……皆、胸が大きくて良いわよね。イレーヌは覚醒したら大きくなるし……アデリシアも巴もアルラウネも大きいし……。しかも形もいいし……」
はあぁ……とため息をつくコーシカ。
皆、自分を繊細でたおやかな体つきだし、女性らしい丸みもあると言ってくれるけれど。どうしても貧相に感じて……。
皆素敵なのに、どうしてざくろは私なんかを選んだのかと首を傾げたくなる。
「……どうしたら大きくなれるかしら。皆みたいに、大きく……」
ぶくぶくと温泉に沈みながら呟く彼女に、ざくろが必死で言い募る。
「コーシカはコーシカのいいところがあるし。……あ、ざくろがマッサージしてあげようか? そしたら元気に……って、ああっ。変な意味じゃないよ!? 違うからっ」
うっかり誤解を招く発言をしてしまい、更に慌てるざくろ。それに巴とアルラウネがぽん、と手を打つ。
「それですわ! 胸を大きくする方法!」
「ざくろにマッサージして貰えばいいんだよ! 主に胸を!」
「あら。いい考えですね」
「いや、あの。ここじゃまずいよ……!」
「じゃあここじゃなければいいのか?」
「えっ……? その……あの……」
にっこり笑うアデリシアにいよいよテンパるざくろ。イレーヌに逃げ道を塞がれて、ぴきーんと固まる。
「大丈夫ですわ、コーシカ。私もアルラウネも手伝って差し上げますから」
「うん。全身使って……ね? イレーヌ?」
「うむ。こう見えてもマッサージは得意だぞ。任せておけ」
「あ、じゃあ私も皆にマッサージしてあげる」
「うふふ。良いですね、皆さん。……もう少し、既成事実を進めちゃいましょうか?」
きゃっきゃと盛り上がる巴とアルラウネ、イレーヌにコーシカ。
アデリシアがちょっと悪い笑みを浮かべて……ざくろの細くて華奢なように見えて、しっかりと筋肉のついた身体をつつつ……と撫でる。
「あの……えっと……」
あうあう、と口篭るざくろ。困るような嬉しいような……!
――お風呂から上がった後は、大変なことになりそうだった。
「ちゃんと肩まで浸かるのよ」
「はい」
ラミア・マクトゥーム(ka1720)に促され、素直に頷くマリエル(ka0116)。
彼女に聞くまで、温泉では服を脱ぐことすら知らず、いつものメイド服で来てしまった。
ラミアに着替えを手伝って貰って今の状況がある。
水着で、皆でお風呂に浸かるのは何だか新鮮で……。
そうしている間も、温泉に浮かべた桶の中に置いたお酒をラウィーヤ・マクトゥーム(ka0457)が『メネル傭兵隊』の隊員にせっせと振舞う。
「聖地奪還戦、お疲れ様でした」
「やー。おおきに。最近なんや忙しくて全然落ち着けんかったし嬉しわー。ほんまお疲れさんな」
「とんでもない。本当に、皆さんに助けられてばかりで……英気を養って、次もしっかり、お仕事して行きましょう」
「ねーさん。こんなところまできて堅苦しくしなくたっていいじゃない」
ラウィーヤから冷酒を受け取り、にんまりする冬樹 文太(ka0124)。
こんな所でまで隊長の顔を覗かせる姉にラミアが苦笑する。
そこに聞こえてきたバシャバシャという水音。見るとカーミン・S・フィールズ(ka1559)が那月 蛍人(ka1083)にしがみついていて……。
「それー! スキンシップだー!!」
「うわっ。そ、そういうのはちょっと……」
「いーじゃない! 遠慮しないで!」
「おいカーミン。あんまはしゃぐなや」
「あら、ブンタもやって欲しい?」
「何でそうなるねん」
「とか言って、ちゃっかり目の保養してるんでしょ!」
「いや……むしろガキを風呂に入れてる感じやな」
ジト目を向けて来る文太にガビーン! となるカーミン。
そのままがばっと女性陣に抱きつく。
「マリエルー! ラミアー! ブンタがいぢめたー!」
「あらあら」
「もう、あんたがからかうからでしょ」
「おー。マリエル肌すべすべー♪ ラミアもいい胸ですぞ!」
「きゃああ?!」
絡まり合って遊び始める女性陣にくすりと笑う蛍人。
賑やかなカーミン達のお陰で気恥ずかしさも薄れて来た。
そこにひょっこり、冷酒を持ったルア・パーシアーナ(ka0355)が顔を覗かせる。
「那月副長さん、お酒いかがです?」
「ありがとうルアさん。戴きましょうか」
「はい! お酌しますね。……ふふ、水着姿でお酌するなんて経験、最初で最後だと思いますし」
その一言にぶぼーーっと酒を噴出した蛍人。
――水着でお酌……。いかがわしく聞こえるのは俺が悪いのか、そうなのか……!
「……あの、どうかしました?」
「いや、何でもないって!」
「あ、慌ててますか? 敬語が崩れていますよ」
「あ。すまん」
「いえ、いつもそれでいいのにと思って」
笑顔のルアにハッとする蛍人。
そういえば、以前話し方が堅苦しいと言われたっけ……。
彼は少し考えると、彼女に笑顔を返す。
「……わかった。じゃあそうさせてもらうよ」
「じゃあ、私も蛍人さんって呼びますね……じゃなくて、呼ぶね! ……うわ、何だかくすぐったい!」
「遠慮するような間柄じゃないんだろ? これからもよろしくな、ルア」
「うん!」
にこにこと笑いあう二人。呼び方が変わって、絆が深まったようで……何だか嬉しい。
その頃、友人から開放されたラウィーアは、パルムを膝に抱えて隅っこでしゃがんでいた。
「どしたの? 何縮こまってんのさ。カーミンに触られてショックだった?」
「あ、いえ……えっと、何でも、ないですから」
心配そうなラミアに、曖昧な笑顔を返す彼女。
今日は慰安の為に来たのだし、部隊の親睦を深めるのは大変いいことだ。
――でも、やはり、混浴の必要はなかったんじゃ……。
「今日は連れて来て戴いてありがとうございます」
突然のマリエルの声に小首を傾げるラウィーア。
マリエルは少し遠い目をして続ける。
「私には記憶が……思い出といえるものがありません。だから皆さんとこうして思い出を作れて、嬉しいんです」
「そっか……。そうでしたね」
今日の企画も、少しは皆の役に立てたのだろうか……とホッとするラウィーア。
そこに、ずずいっとカーミンが割って入る。
「で、マリエルはどんな男が好みなの? 記憶はなくても気になる男くらいはいるでしょ? 調べてあげるから教えなさいよ!」
「あの、そういうのは特に……」
アワアワと慌てるマリエル。懲りないカーミンに文太が苦笑する。
「ほれ、ラウィーヤの嬢ちゃんもラミアの嬢ちゃんも飲めや。たまには羽を伸ばすのもいいと思うで」
「うん! 姉さん、肴もあるよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
姉妹の杯に酒を注ぐ文太。己の腕についた傷にふと気付く。
こちらの世界に来てから得たもの。それを見ると色々な事が思い出せて……。
――ああ、こっちの世界も、存外悪くないかもな。
静かに笑い、酒を煽る文太。その味もまた、特別美味に感じられた。
「ちょっと待て……さすがに裸は不味いから」
「どうしてぇ?」
「お風呂は普通裸なのであるぞ!」
「今回は混浴だから勘弁してやってくれ……。お前達の裸体を見たら鼻血の海になる」
キョトンとしているIX(ka3363)と黒の夢(ka0187)に湯浴み着を着せるヘルヴェル(ka4784)。
IXは温泉というものを良く知らず、黒の夢はそもそも下着をつける習慣がないようで……。
感覚が盛大にズレている二人を、入浴前に捕獲出来て良かったと、ヘルヴェルは豊かな胸を撫で下ろす。
――ノブレス・オブリージュ……それは力持つ者の責任。
そう、俺様は貴族で覚醒者で、イケメンだ。
イケメンてのは持たざる者にその雄姿を魅せ付ける必要がある。
それがイケメンの……イケメン・オブリージュ。
「それを全うする為に、温泉でやらなきゃいけねぇ事がある。裸体を、筋肉を、魅せ付けんだ!」
一片の無駄もない筋肉を積み上げ、鍛え上げられた肉体に、厚い胸板をピクピクさせながらビシィ! とポーズを決めてそんな事を言い出したジャック・J・グリーヴ(ka1305)に、その場にいる者は『お前は何を言っているんだ』という顔をしていた。
「要するに、肉体自慢をしたいということですか?」
「そうだ! そこのお前、良く分かってるじゃねえか! どうだ。この俺様と勝負しないか?」
「はぁ。勝負は構いませんけど……私、この通り骨皮筋衛門なんですけどねえ」
顎をぽりぽりと掻く紫条京真(ka0777)。
確かに京真の身体は哀れな程に薄く、肋骨が一つ一つくっきりと浮き上がっている。これはこれで、細身が好きなマニアックな人にはウケそうではあったが……。
「肉体自慢ですか……。やってる人は以外と少ないですね……」
「そこのお前も勝負しろ!」
「あの……私はれっきとした女ですから……」
案の定ジャックに声をかけられ、がっくりと肩を落とすサクラ・エルフリード(ka2598)。
細身で胸が控えめであることと、戦うもの特有のしなやかな筋肉が全身を包んでいる故か、水着を着ていると男の娘と勘違いされるのが目下の悩みだった。
「皆、何してるのぉ?」
「ジャックのポーズ面白いのである」
「おっ! お前達丁度いいところに! 肉体美の審査を頼む!」
「いいわよぅ~」
「分かったのである!」
ジャックの頼みを快く引き受けたIXと黒の夢。
IXは引き受けたが良いが、目が極端に悪いため良く見えていなかったりする。
今も温泉を手探りで入ってたりするし。
それでは審査にならないと思うのだが……まあ、ノリで何とかなるのだろうか。
「魂に刻み込みな、これが本当のイケメンだッ!! ほれ、京真もポージングだ!」
「はぁ。こうですかねぇ」
「ジャックさんはポーズが変態っぽいですし。京真さんは細すぎて不気味ですよね」
筋肉をビキビキと動かすジャックに促されるままポーズを決める京真。そんな2人に、サクラが身も蓋もないコメントをする。
黒の夢はにこにこと笑顔で2人を見比べていたが……とことこと歩みより、順番にきゅっと抱きしめる。
「んー。京真は結構ゴツゴツしてるである。でも思ったより抱き心地は悪くない。ジャックは筋肉むちむちで、腕とか枕にむいてると思うのである」
「そうですか。ありがとうございます」
「……!!? さ、三次元の女が俺様に触ったあああああああ!!?」
「気にすることないですよ。世の中の半分は女子ですし」
のんきに頭を下げる京真。
ぎゃああああああああああ! と、悲鳴をあげるジャックに容赦ないサクラの突っ込み。それをチラリと見て花厳 刹那(ka3984)がため息をつく。
「あっちの騒ぎは凄いね」
「本当、賑やかですねえ……」
「ヘルヴェルさんと有希弥さんは肉体美コンテストに出なくて良かったんですか?」
「ん? あたしの筋肉を見ろーーーというほどでもないしね」
「うちはのんびりしに来ただけなんで。そういうあなたは?」
「僕もノンビリできればいいなと。あとはちょっと、ここの温泉の成分が気になりましてね」
肩まで浸かって気持ち良さそうなヘルヴェルと守原 有希弥(ka0562)に、笑顔を返す天央 観智(ka0896)。
そのコメントに、刹那がくすくすと笑う。
「2人とも女の子だもん、筋肉美っていうのもねえ」
「残念。うちは男ですよ。……女性と思った方、素直に挙手ー」
暗黒の笑顔を浮かべながらざばーーーっとお湯から上半身を出す有希弥。
中世的な細面に反して、靭やかな細い身体には固そうな筋肉がきっちりとついて、まるで大型の猫科の獣を思わせる。拳も、滑らかな筋肉が美しい凹凸を作っていて……それを見れば、確かに男性であることは疑いようもなかった。
「あ。すまん。あたしも女だと思ってた」
「わたくしもですの!」
「ひどっ」
はい、と素直に挙手するヘルヴェルとチョココ(ka2449)にガビーンとショックを受ける有希弥。
そこに、何やらハートマークを飛ばながら巨大なパルムがずずいっと寄って来る。
「うわっ。な、何ですか、こいつ!?」
「この子はこの温泉のマスコットさんですのよ。オネェパルムさんですの」
「な、何かうちの身体触りまわしてるんですけどっ」
「……ちょっとアンタ、良い身体してるじゃなーい。好みよぉ……って言ってる気がする」
「いやあの。うちそういう趣味はないんで……」
チョココとヘルヴェルの解説に、じりじりと後退する有希弥。
負けじと迫るオネェパルムに、観智の目がキラリと光る。
「これがオネェパルム……。温泉で変化したパルムですね。パルムは一応精霊ですので……この温泉のマテリアルが、パルムに影響を与えているということでしょうか……」
「あの、観智さん助けてくれません?」
「今ちょっと研究に忙しいので後にしてください」
「男の筋肉は……贄。チョココ覚えたですの」
救いを求める有希弥の声をピシャリと撥ね退けた観智。
身体の疲れを癒しに来たのに、思考の方は疲れ知らずのようで……。
そしてチョココは、何やらしきりに納得していた。
「刹那。身体は大丈夫か?」
「うん。思いっきりやられちゃってさー。おのれ、アレクサンドル……って感じ」
ヘルヴェルの気遣いに、礼を言いながら肩を竦める刹那。チョココが寄って来て、彼女の身体を撫でる。
「お大事にですのよ。パルパルもナデナデしてあげてくださいですの」
「あははっ。くすぐったい」
「ところでさ……刹那、水着のサイズ合ってないんじゃないか?」
「えっ!? これでも買い直したんだけどっ」
「もうワンサイズ大きいほうが良さそうですのよ?」
「うわーん! また買い直しかー!」
温泉の片隅で、きゃっきゃと乙女トークで盛り上がる三人とパルム1匹。
その間も、ジャックと有希弥の悲鳴が響き渡っていて……。
周囲は何だか修羅場だけれど。こういう休日も悪くない。
「んー。気持ちいいですね」
足湯に足を浸して笑顔になるメープル・マラカイト(ka0347)。
持参した試作米酒も美味しいし、身体に染み渡る感じがする。
「フットバスで疲れをフットバス……ふふ」
オヤジギャグを呟き、一人で笑うメープル。
結構酔いが回っているのかと思いきや、これが素らしい。
ミステリアスな雰囲気のお嬢さんなのに、人は見た目によらないものである。
「はぁ、本当にいいお湯。こういうお祭りならいくらでも歓迎ですね」
たまには一人でゆっくりするのも悪くない。夜は水着なしで、女湯めぐりをしよう。そう心に決めた彼女。
温泉巡りは、まだ始まったばかりだ。
「あ~。やっぱり温泉はいいね~」
「そうだけど……ちょっとはしゃぎすぎ」
赤いワンピースの水着から伸びるすらりとした小麦色の手足と、引き締まった身体を湯船に投げ出し、ご機嫌で鼻歌を歌う天竜寺 舞(ka0377)にくすりと笑う天竜寺 詩(ka0396)。
妹を見ると、白い肌がほんのり上気して……黄色いビキニからマシュマロのように柔らかなたわわな胸が毀れそうになっている。
――双子なのに何故ここまで大きさが違うんだろう。
「あんた、また胸が大きくなった? ちょっと触らせなさい」
「えっ!? こらっ! 他の人もいるんだから騒いじゃ駄目!」
胸をふにふにと触って来た舞の手をピシャリと払いのける詩。
舞はそれに悪びれもせずにえへへ、と笑う。
「でもさ、やっぱり詩は可愛いよね。色も白いし、胸もあるし、流石あたしの自慢の妹!」
「急に何言ってるの。お姉ちゃんだってカッコ良くて素敵だよ?」
「もう、詩ったら♪ 可愛いやつめ! よーし! 思いっきり可愛がってやる!」
「ちょっとお姉ちゃん! こんなところでちゅーはやめなさい! ああっ、水着、水着外れるから! 胸持ち上げないでってば……!」
「良いではないか良いではないか!」
「あーれー! ……っていい加減にしなさい!」
姉の頭に鉄拳を落とす詩。
姉妹の入浴は、何だかとっても賑やかだ。
「ハンターの方だったんですね……」
「ねー。知らなかったわ。っていうかすごい偶然じゃない?」
並んで温泉に浸かりながら笑い合う日野 翔子(ka2659)とシュテル・クーヘン(ka0644)。
シュテルは翔子が贔屓にしている書店の店員で、普段から良く会ってはいたのだが……まさか同業者だとは思わなかった。
日々の何気ない話で盛り上がる二人。
シュテルはふと、ワインの入ったグラスを傾ける翔子の艶やかな黒髪に目をやる。
――やっぱすごい髪キレーだなこの人。羨ましい。
胸は砲弾みたいだし。身体はきちんと筋肉がついて締まってるし、まさに『ぼんきゅっぼーん』だよね……。
彼女がそんなことを考えている間、翔子もシュテルを注視していた。
蜂蜜のような艶のある金髪と宝石のような紫の瞳が宝飾品のよう……白い肌も透き通るようで、とても綺麗――。
「……少し、触ってみてもいいでしょうか」
「へっ? 何を?」
「勿論シュテルさんをですよ」
「えっと……」
「ふふ……冗談ですよ?」
そういいながらもシュテルに手を伸ばす翔子。
――よくわかんないケド、この人こんな感じだったっけ……?
「んん~。やっぱりすべすべですね」
「ちょっ。くすぐったい!」
「んふふふ」
いつもと違う翔子に困惑するシュテル。
どうやら翔子は完全に出来上がっているようだった。
「大丈夫か? 痛みはないか?」
「はい。大丈夫です。ありがとうございます」
八雲 奏(ka4074)を抱き支え、そっと湯船に下ろす久延毘 大二郎(ka1771)。
今日は、依頼で負った傷の湯治にやって来た。
「ふふ、役得です。……こんなご褒美戴いて」
「君が嬉しいなら何よりだが……あまり無茶はしないでくれよ?」
「わたくしは戦巫女。戦場での傷は誉れですから……」
大二郎を守って負った傷。こんなに誇らしいものはない。
守られた本人は心配で身が切れる思いだったけれど……。
「……それにどんな死地に向かい、どんな傷を負っても、連れ戻して下さいますよね?」
「前にも言った筈だ。どれほど私自身が傷つこうと、何としてでも連れ戻す。その思いは変わらん」
「ありがとうございます。普段だったら顔を真っ赤にされていますのに、今日は大丈夫なんですか?」
「……そ、そりゃ。普段とは状況が違うから……!」
くすくすと笑う奏にぐぬぬとなる大二郎。奏は甘えて彼に身体を預ける。
「うふふ。ご飯もあーんで食べさせて下さいね♪」
「……その様子なら大分持ち直しているみたいだな」
「えっ。痛いですよ!?」
「はいはい」
しっかり動ける様になるまで、巫女殿の望みは出来る限り叶えてやらないと――。
大二郎はそんな事を考えながら、慌てる奏の頭をくしゃくしゃと撫でた。
神谷 春樹(ka4560)は細いだけかと思っていたが、強靭な肉体を持っていたらしい。張り詰めた筋肉に、胸板も厚くしっかりとしていて……。
「イーディ。水着は……?」
「え? 着てるよ。この方が恥ずかしくないかなって」
「ああ。そうなんだ。でも、さすがに温泉でタオルはまずいんじゃないかな」
「それもそうか」
彼の指摘に我に返り、渋々バスタオルを外すイーディス・ノースハイド(ka2106)。
現れたビキニ姿に、彼は目を丸くする。
ほっそりとして引き締まってはいるが女性らしい柔らかさがあり、胸は程よい大きさで、水着越しでもその形の良さが分かる。
「……春樹?」
「あっ。じろじろ見てゴメン! ……その、凄く似合ってて綺麗だったから」
「ほ、褒めても何も出ないぞ」
何となく気恥ずかしくて慌てて温泉に入る二人。お湯は勿論気持ち良かったが、隣の人が気になって……。
「あー、えっと、二人きり……か。……も、もう少しキミの方へ寄っても、いいだろうか?」
「へっ?」
「あ、いや、ヘンな意味じゃない。うん、嫌なら構わない」
「嫌なんてことはないけど……」
イーディスの申し出に狼狽する春樹。嫌じゃない。それどころか嬉しい、けど……。
それって身が持たないんじゃないだろうか……。
既に目のやり所に困っている彼は、早々にのぼせる事になりそうだ……。
――我が故郷は温泉で名高い。
浸かっていると故郷の事を思い出してしまう……。
リナリス・リーカノア(ka5126)が温泉にやってくると、しょんぼりしているオンサ・ラ・マーニョ(ka2329)が目に入る。
「どうしたの? 迷子?」
「あ、ああ。母上えええ!!」
顔を上げると、そこにはマイクロビキニからこぼれそうになっているたわわな双丘があって……郷愁に浸っていたオンサが、リナリスを母と勘違いしたのは無理もない話だった。
最初は驚いたリナリスだったが、すぐに悪戯心に火がついた。
オンサは抱きしめれば折れそうな程に細く、白い褌から褐色のお尻が丸見えで……そう。まさに彼女の好みど真ん中だったのだ!
「いいよ、私でよければ甘えて」
優しい言葉をかけるリナリス。その手は幼女の頭や小さな身体を這い回り……。
気付いてないみたいだし、もうちょっとイッちゃって大丈夫かなー……なんて思った瞬間、オンサが顔を上げた。
「……おぬし、今不埒なことを考えたであろう?」
「えっ? やだな。気のせいだよー」
「母と間違い、突然甘えてしまって悪かったが……我が部族にとって温泉は聖地。斯様な振る舞いは看破できぬ! そこに直れ!」
「ああんっ、ごめんなさーい!」
リナリスを叱り飛ばし、お仕置きを始めるオンサ。リナリスが何だか嬉しそうなのは気のせいだろうか……?
「おう。まずは俺様が背中を流してやるよ」
「じゃあ、お言葉に甘えて……お願いしますね」
湯船に浸かる前に身体を洗うのが温泉の流儀なんだぜ! と力説する鹿島 雲雀(ka3706)に頷くリリティア・オルベール(ka3054)。
リリティアの背中を優しく洗う雲雀。
――彼女の引き締まった筋肉の上に柔らかな脂肪が包み、括れた腰から丸みのある大きな臀部にかけてのラインがとても美しい。白いビキニに包まれた柔らかそうな得盛の胸も形が良くて、ついつい手が伸びる。
「……なんつーか、また大きくなったか? 気のせいかね」
「な、何言ってるんですかっ! そんな事、無い……です、よ?」
胸を持ち上げられて慌てるリリティア。最近ちょっと胸がきつくなったのは秘密だ。
「ホントか? じゃ、俺様も頼むわ」
そう言って背中を向ける雲雀。彼女の身体は引き締まり、程よい筋肉がついている。
丸く盛り上がった胸と、大きな臀部がハッキリと目立ち、黒いビキニを着ているせいか、黒豹のようにも見えた。
「いやー、力抜けるわー……」
「本当ですね。温泉気持ちいいです……」
「これで、酒とつまみでもありゃ格別なんだかなぁ」
「あがったら探してみましょうか、宴会のほうに何か残ってるかも…」
「そうだな」
石鹸を洗い流して、湯船に浸かる二人。
温泉の湯に、疲れが溶けて出て行く。
煉華(ka2548)は戸惑った。
温泉に入ろうとしたら、声をかけ損ねていたスヴィトラーナ=ヴァジム(ka1376)が湯船の中で微笑んでいたので……。
白いビキニに包まれた彼女の大きく熟した胸。滑らかな褐色の肌に、女性らしい丸みを帯びた身体を見ていると、そんな戸惑いも溶けて行く。
「……まさか、他所でそんな格好を晒したりしてないだろうな」
「どうかしらね。入らないの? ……ちゃんと顔を見せて」
微笑む彼女は、いつ見ても目が覚める程に美しい。
「綺麗、だな……。昔はよく結ってみせたものだが、今となっては……」
無意識に、従妹の髪に手を伸ばす煉華。
――片腕を失い、彼女に触れることを躊躇っていた。
触れる資格も、失っていたような気になっていたから。
「……昔みたいに出来なくても、私はこの手が好きよ?」
彼の手に、そっと頬を寄せるスヴィトラーナ。
好きなのは手だけではない。鞭のようにしなやかな筋肉のついた身体、戦いを刻んで来た無数の傷……全てが好きだけれど。本人には、言うつもりはない。
だけど、今は――。
「……スヴィトラーナ?」
「ふふ、ちょっと甘えたい気分なの」
するりと膝の上に滑り込んで来た彼女に慌てる煉華。
スヴィトラーナは甘えるように彼の首に腕を回す。
「今夜は、一緒に寝る? 一人寝は寂しいもの」
「言ったな? 甘やかすのにも手加減はしないぞ」
「甘やかしてくれるの?」
「いつもそうして来たはずだが?」
「そうだったわね……」
煉華の優しさが痛い。
スヴィトラーナはそっと目を伏せて、小さくため息をついた。
施設の中に輝く灯火。温泉の中に響く明るい声。
大精霊に捧げる感謝と祈りと、浄化の儀式を終えた開放感。
合戦の疲れを温泉のお湯と、酒と食事と……仲間達の笑顔が溶かしてゆく。
ハンター達のそれぞれの時間が、楽しく優しく過ぎて行った。
「ようこそ。足りないものがあったら言ってくださいね」
皆を出迎えたイェルズ・オイマトの声に、シャーリーン・クリオール(ka0184)とエミリー・ファーレンハイト(ka3323)、エーディット・ブラウン(ka3751)は顔を見合わせる。
「ふむ。流石ドワーフ族、見事なまでに肉料理だねぇ」
「肉料理ばかりではカロリーがえらいことになりそうですよね……」
「うーん。ちょっと食べ方に工夫が必要でしょうか……」
「そうだね。イェルズ、ちょっと厨房を借りてもいいかな」
「折角ですから、皆さんにお料理を振舞いたいんです」
「お肉をもっと美味しく食べられたらいいと思いませんか?」
「はい。構いませんよ。皆さんの手料理楽しみです」
三人の言葉に笑顔を浮かべるイェルズ。彼女達は頷き合うと、それぞれ手にした材料を持って厨房へと入ってゆく。
女性陣が料理の支度をしている間、畦一座の座長、時雨(ka4272)も己の横笛を磨いていた。
「酒を飲むのはちっとばかし待ってくれ。楽しい宴会にするために、余興ってことでさ! 皆も一緒にやろうぜ!」
「ふむ。仕方ないな」
「はーい! シロもお歌うたうの! 風花は?」
「う、うた、くらいなら歌えなくもな……歌わない!」
三味線を手にして立ち上がる藤切(ka4813)。小首を傾げる白樺(ka4596)に、ぷいっと横を向く風花(ka4542)。
そんな少女の頭を撫でて、時雨は横笛を構え、仲間達に向き直る。
始まりは厳かに。低く、高く――時雨の笛の音と、藤切の三味線の音が絡み合う。
そして突然訪れる静寂。一拍の間。刻が止まったような……そんな一瞬。
「楽しい宴会の始まりだぁぁ!!!」
時雨の叫び。次の瞬間、一気に膨れ上がる音。賑やかで明るい音楽に合わせて、白樺の高らかな声が響く。
「皆さん浮かれてますねぇ……でも宴会なら踊って騒がないと損だよね♪ さあ、紫辰も一緒に」
「む? そうか。では……」
楼(ka4581)に促され、席を立つ鬼揃 紫辰(ka4627)。
心が浮き立つ音に合わせて、静かに始まる2人の舞。
響く笛の音。それに合わせて、速くなる足運び。
かき鳴らす三味線を合図に、切り替わる静と動。
そして座し。笛が終演の音を発したところで……拍手の音で我に返る。
「すごいのだ! きれいなのだ!」
「座長、かっこいいの!」
「ああ、なかなか良かったぜぇ」
ぱちぱちぱちと手を叩いている葉月(ka4528)と風花、そして月舟(ka4529)。
杜若(ka4559)も拍手をしながらこくこくと頷いている。
「本当、皆良かったぜ。これだから余興はやめられねえや! いよっし! それじゃ飲もうぜー!」
全員に杯を配って回る時雨。そこに、厨房に篭っていた女性陣が戻ってくる。
「ほら、皆、デザートが出来たぞ」
「お野菜もたっぷり用意しましたから、一緒に食べてくださいね」
「わあああ! 美味しそう! 食べるう!」
シャーリーンとエーディットが並べる料理に、目を輝かせる白樺。
アーモンドミルクのブラン・マンジェ、サクランボのゼリー寄せ、フルーツポンチ……色とりどりのそれらに、肉料理が進むようにと用意された野菜達は、どれも美味しそうで――。
そして、エミリーもまた、謎の物体をせっせとテーブルに並べていた。
「エミリー殿。それは何であるか?」
「これはぷるぷるねっとりな食感が楽しめる、名づけて『スライムゼリー』です!」
杜若の問いに胸を張って答えるエミリー。杜若はふむと頷いて、まじまじと皿の上のぷるぷるした物体を見る。
「……すらいむ。あの雑魔であるな」
「ああ、本当にスライムを使ってる訳じゃないですよ? 美味しさの中に面白さを追求してみました。暑い日にヒヤっとした食感で温泉との相性も抜群! これは流行る!」
続く説明。ドギツイ色のゼリーはちょっと食べるのに勇気が要りそうだったが……杜若は抵抗がないのか、美味しそうに食べ始めた。
「色々と差し入れありがとな! シャーリーン達もゆっくりしてくれ!」
「ああ、そうさせて貰うよ」
「お気遣いありがとうございます」
「うふふ。お肉お肉~♪」
時雨の労いに微笑むシャーリーンとエミリー。
エーディットは早速、様々な肉を取り分けて色々な味に挑戦し始める。
タレの味、塩コショウの味。鶏肉豚肉牛肉猪肉……!
どの肉が、どの味に一番合うかしらっ。
お肉自体の味を確かめるのも良さそう……!
「なあなあ。ふじきりは いちにんまえか?」
「そのはずだが」
「よし! いっしょにさけ のむぞ!」
「ふむ。一献、貰おうか」
「あー。待て、葉月。こっちへ来い」
葉月に言われるままに杯を受け取る藤切。月舟が己の膝を叩くと、葉月は当然のように彼の膝にちょこんと座る。
「つきふね! なんだ?」
「おまえには、この酒の方がいい。果実酒だぞ。飲んでみろ」
「うん! うまい!」
「そうか。良かったな」
にぱっと笑う葉月に、頷く月舟。
実はこの果実酒、ただの果汁だったりするのだが……少女は全く気付く様子もない。
「藤切もこっちにしときな」
「そうさせて貰うとするか」
「つきふね! ごはん!」
「ちゃんと噛めよ?」
酒が余り強くない藤切を気遣う月舟。
口を開けて食べ物をせがむ葉月に小さく笑い、親鳥のように口に運んでやる。
「シロもお酒のみたいな。……でもでも、シロまだお酒飲めないお歳なの」
「……もう少し大きくなってから、だ。これで我慢してくれ」
しょんぼりとする白樺に、酒饅頭を差し出す紫辰。それに白樺は明るい笑顔を返す。
「ありがと! ご飯いっぱい食べるの! 皆一緒でうれしいね! 杜若もたべてる?」
「ああ、食べている」
「お面、邪魔じゃない?」
「ん? ああ、気にならないな……」
白樺に言われるまで、天狗の面をつけていることを忘れていた杜若。
最近では、面をつけていることも当たり前になりつつある。
これも、故郷と切り離され始めたということなのだろうか……。
彼女がそんな事を考えている横で、楼がにこにこしながら時雨に酒を勧めていた。
「いかがですか?」
「ああ。美味いな」
「さあさあ、遠慮しなくていいんだよ。お酌は杯を乾かさなければいいんだよね」
「ちょっとそれ無理がないか……」
杯が乾く前にとどんどん酒を注ぐ楼にボヤく時雨。それに白樺が小首を傾げる。
「そうなの? じゃあシロもいっぱい果汁飲む!」
「ああ。飲むといいよ」
「あああ。美味しいけど太っちゃうのおおお!」
今度は白樺の杯にどばどばと果汁を注ぐ楼。白樺の嬉しい悲鳴が響く。
「紫辰は楽しんでるか? ん? お?」
「……童のような事を……」
酔っているのか、己の周りをぐるぐる回り始めた時雨に、苦笑する紫辰。
それにムッとした彼女は、紫辰の顔から面を引き剥がす。
「そんなこと言うやつはこうしてやる!」
「め、面を! 面をお返しください!」
「やーだよーーーん」
「いやあの、それがないと……!」
「だーめーだーよーーーん」
「……なにしてんのしぐ……座長。静かにしないとダメだよ!」
幼いながらも座長の暴走を必死で止めようとする風花。それに、時雨はにんまりと笑みを返す。
「んー? これはな、紫辰の修行なんだ。それより風花、こっちにおいで。ほら、あーんして食べさせてやるよ」
「あ、あー……!? ……し、しぐ……座長がどうしてもっていうなら、仕方ないからしてあげてもいい、けど」
「うん。どうしてもしたい。風花かわいい。かわいいよ風花」
「時雨さん、面……!」
「こーら、お嬢」
紫辰の面を持ったまま、風花をむぎゅっと抱きしめる時雨。藤切に頭を掴まれて大人しくなる。
「飲んでばっかりはだめよ。紫辰にお面返してあげて?」
「そうか? 風花に言われちゃ仕方ないな」
「座長、酔い覚ましに一曲いかがですか」
「ん? よし、弾いてやるか! お前達踊れ!」
「しらかば いっしょ おどるぞ!」
「うんっ! 踊るのっ♪ いくよ、葉月♪」
楼の声に応えて、横笛を構える時雨。
白樺と葉月が、鮮やかでキレのある剣舞を始める。
「おー。皆元気だな」
「シャーリーンさん。このお肉、野菜に巻いて食べると美味しいですよ」
「本当か? 試してみるよ。エミリー、ワインは足りてるかい?」
「はい。エーディットさんは飲み物いかがです?」
「戴きます! あ、すみませーん! 鶏に野菜を詰めて油を掛けて揚げて、皮だけ食べるという伝説の料理も食べたいんですけど、ありますかぁ?」
畦一座に混じり、もりもりと食べて飲んでいるシャーリーンとエミリー。
エーディットは、肉料理の追及に余念がないようだった。
「やっぱり、混浴よね。……まあ、だいたい予想はしていたわ」
「本当だよ! ざくろ混浴だなんて知らなかったんだよ……!」
諦めたようにため息をつくコーシカ(ka0903)。アワアワと慌てる時音 ざくろ(ka1250)を、アルラウネ(ka4841)が肘でつつく。
「またまたそんなこと言って知ってたんでしょー。えっちー」
「まあまあ、ざくろさんですから仕方ないですよ」
「そうですわね」
「うむ。気にせず温泉を楽しむとしよう」
乱暴だが妙に説得力のある結論を導き出すアデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)に、うんうんと頷く舞桜守 巴(ka0036)とイレーヌ(ka1372)。
ざくろ自身、温泉大好きだし、大事な人達と素敵な時間を過ごせればいいと思って来たのだが……。水着必須という時点で疑うべきだったのかもしれない。今更な話ではあったが。
「はぁ……いいお湯ですね……」
「ああ、アデリシア、酒はどうだ?」
「あら。美味しそうですね。戴きます」
アデリシアの虹色のストライプのビキニが張り付いたふくよかな膨らみがぷかぷかお湯に浮き、イレーヌは紺地に赤のラインが入った競泳水着を着ているため、柳の枝でも矯めるようなしなやかな身体のラインがくっきりと見えて何とも絶景だった。
「んんー、アルラウネ可愛いですわー♪」
「ちょ、ちょっと巴さん、水着脱げちゃうよ」
ピンクのホルターネックの水着に包まれた豊かな丸い胸を、小柄だが均整の取れた体つきを黄緑色の水着で包んだアルラウネにぎゅうぎゅうと押し付けて頬ずりしている巴。
二人の形の良い双丘がくっつく度にむにむにと形を変えて……。
目のやり場に困り、目線を反らすと、どんよりとしたコーシカと目が合う。
「コ、コーシカ。元気ないね。どうしたの?」
「……皆、胸が大きくて良いわよね。イレーヌは覚醒したら大きくなるし……アデリシアも巴もアルラウネも大きいし……。しかも形もいいし……」
はあぁ……とため息をつくコーシカ。
皆、自分を繊細でたおやかな体つきだし、女性らしい丸みもあると言ってくれるけれど。どうしても貧相に感じて……。
皆素敵なのに、どうしてざくろは私なんかを選んだのかと首を傾げたくなる。
「……どうしたら大きくなれるかしら。皆みたいに、大きく……」
ぶくぶくと温泉に沈みながら呟く彼女に、ざくろが必死で言い募る。
「コーシカはコーシカのいいところがあるし。……あ、ざくろがマッサージしてあげようか? そしたら元気に……って、ああっ。変な意味じゃないよ!? 違うからっ」
うっかり誤解を招く発言をしてしまい、更に慌てるざくろ。それに巴とアルラウネがぽん、と手を打つ。
「それですわ! 胸を大きくする方法!」
「ざくろにマッサージして貰えばいいんだよ! 主に胸を!」
「あら。いい考えですね」
「いや、あの。ここじゃまずいよ……!」
「じゃあここじゃなければいいのか?」
「えっ……? その……あの……」
にっこり笑うアデリシアにいよいよテンパるざくろ。イレーヌに逃げ道を塞がれて、ぴきーんと固まる。
「大丈夫ですわ、コーシカ。私もアルラウネも手伝って差し上げますから」
「うん。全身使って……ね? イレーヌ?」
「うむ。こう見えてもマッサージは得意だぞ。任せておけ」
「あ、じゃあ私も皆にマッサージしてあげる」
「うふふ。良いですね、皆さん。……もう少し、既成事実を進めちゃいましょうか?」
きゃっきゃと盛り上がる巴とアルラウネ、イレーヌにコーシカ。
アデリシアがちょっと悪い笑みを浮かべて……ざくろの細くて華奢なように見えて、しっかりと筋肉のついた身体をつつつ……と撫でる。
「あの……えっと……」
あうあう、と口篭るざくろ。困るような嬉しいような……!
――お風呂から上がった後は、大変なことになりそうだった。
「ちゃんと肩まで浸かるのよ」
「はい」
ラミア・マクトゥーム(ka1720)に促され、素直に頷くマリエル(ka0116)。
彼女に聞くまで、温泉では服を脱ぐことすら知らず、いつものメイド服で来てしまった。
ラミアに着替えを手伝って貰って今の状況がある。
水着で、皆でお風呂に浸かるのは何だか新鮮で……。
そうしている間も、温泉に浮かべた桶の中に置いたお酒をラウィーヤ・マクトゥーム(ka0457)が『メネル傭兵隊』の隊員にせっせと振舞う。
「聖地奪還戦、お疲れ様でした」
「やー。おおきに。最近なんや忙しくて全然落ち着けんかったし嬉しわー。ほんまお疲れさんな」
「とんでもない。本当に、皆さんに助けられてばかりで……英気を養って、次もしっかり、お仕事して行きましょう」
「ねーさん。こんなところまできて堅苦しくしなくたっていいじゃない」
ラウィーヤから冷酒を受け取り、にんまりする冬樹 文太(ka0124)。
こんな所でまで隊長の顔を覗かせる姉にラミアが苦笑する。
そこに聞こえてきたバシャバシャという水音。見るとカーミン・S・フィールズ(ka1559)が那月 蛍人(ka1083)にしがみついていて……。
「それー! スキンシップだー!!」
「うわっ。そ、そういうのはちょっと……」
「いーじゃない! 遠慮しないで!」
「おいカーミン。あんまはしゃぐなや」
「あら、ブンタもやって欲しい?」
「何でそうなるねん」
「とか言って、ちゃっかり目の保養してるんでしょ!」
「いや……むしろガキを風呂に入れてる感じやな」
ジト目を向けて来る文太にガビーン! となるカーミン。
そのままがばっと女性陣に抱きつく。
「マリエルー! ラミアー! ブンタがいぢめたー!」
「あらあら」
「もう、あんたがからかうからでしょ」
「おー。マリエル肌すべすべー♪ ラミアもいい胸ですぞ!」
「きゃああ?!」
絡まり合って遊び始める女性陣にくすりと笑う蛍人。
賑やかなカーミン達のお陰で気恥ずかしさも薄れて来た。
そこにひょっこり、冷酒を持ったルア・パーシアーナ(ka0355)が顔を覗かせる。
「那月副長さん、お酒いかがです?」
「ありがとうルアさん。戴きましょうか」
「はい! お酌しますね。……ふふ、水着姿でお酌するなんて経験、最初で最後だと思いますし」
その一言にぶぼーーっと酒を噴出した蛍人。
――水着でお酌……。いかがわしく聞こえるのは俺が悪いのか、そうなのか……!
「……あの、どうかしました?」
「いや、何でもないって!」
「あ、慌ててますか? 敬語が崩れていますよ」
「あ。すまん」
「いえ、いつもそれでいいのにと思って」
笑顔のルアにハッとする蛍人。
そういえば、以前話し方が堅苦しいと言われたっけ……。
彼は少し考えると、彼女に笑顔を返す。
「……わかった。じゃあそうさせてもらうよ」
「じゃあ、私も蛍人さんって呼びますね……じゃなくて、呼ぶね! ……うわ、何だかくすぐったい!」
「遠慮するような間柄じゃないんだろ? これからもよろしくな、ルア」
「うん!」
にこにこと笑いあう二人。呼び方が変わって、絆が深まったようで……何だか嬉しい。
その頃、友人から開放されたラウィーアは、パルムを膝に抱えて隅っこでしゃがんでいた。
「どしたの? 何縮こまってんのさ。カーミンに触られてショックだった?」
「あ、いえ……えっと、何でも、ないですから」
心配そうなラミアに、曖昧な笑顔を返す彼女。
今日は慰安の為に来たのだし、部隊の親睦を深めるのは大変いいことだ。
――でも、やはり、混浴の必要はなかったんじゃ……。
「今日は連れて来て戴いてありがとうございます」
突然のマリエルの声に小首を傾げるラウィーア。
マリエルは少し遠い目をして続ける。
「私には記憶が……思い出といえるものがありません。だから皆さんとこうして思い出を作れて、嬉しいんです」
「そっか……。そうでしたね」
今日の企画も、少しは皆の役に立てたのだろうか……とホッとするラウィーア。
そこに、ずずいっとカーミンが割って入る。
「で、マリエルはどんな男が好みなの? 記憶はなくても気になる男くらいはいるでしょ? 調べてあげるから教えなさいよ!」
「あの、そういうのは特に……」
アワアワと慌てるマリエル。懲りないカーミンに文太が苦笑する。
「ほれ、ラウィーヤの嬢ちゃんもラミアの嬢ちゃんも飲めや。たまには羽を伸ばすのもいいと思うで」
「うん! 姉さん、肴もあるよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
姉妹の杯に酒を注ぐ文太。己の腕についた傷にふと気付く。
こちらの世界に来てから得たもの。それを見ると色々な事が思い出せて……。
――ああ、こっちの世界も、存外悪くないかもな。
静かに笑い、酒を煽る文太。その味もまた、特別美味に感じられた。
「ちょっと待て……さすがに裸は不味いから」
「どうしてぇ?」
「お風呂は普通裸なのであるぞ!」
「今回は混浴だから勘弁してやってくれ……。お前達の裸体を見たら鼻血の海になる」
キョトンとしているIX(ka3363)と黒の夢(ka0187)に湯浴み着を着せるヘルヴェル(ka4784)。
IXは温泉というものを良く知らず、黒の夢はそもそも下着をつける習慣がないようで……。
感覚が盛大にズレている二人を、入浴前に捕獲出来て良かったと、ヘルヴェルは豊かな胸を撫で下ろす。
――ノブレス・オブリージュ……それは力持つ者の責任。
そう、俺様は貴族で覚醒者で、イケメンだ。
イケメンてのは持たざる者にその雄姿を魅せ付ける必要がある。
それがイケメンの……イケメン・オブリージュ。
「それを全うする為に、温泉でやらなきゃいけねぇ事がある。裸体を、筋肉を、魅せ付けんだ!」
一片の無駄もない筋肉を積み上げ、鍛え上げられた肉体に、厚い胸板をピクピクさせながらビシィ! とポーズを決めてそんな事を言い出したジャック・J・グリーヴ(ka1305)に、その場にいる者は『お前は何を言っているんだ』という顔をしていた。
「要するに、肉体自慢をしたいということですか?」
「そうだ! そこのお前、良く分かってるじゃねえか! どうだ。この俺様と勝負しないか?」
「はぁ。勝負は構いませんけど……私、この通り骨皮筋衛門なんですけどねえ」
顎をぽりぽりと掻く紫条京真(ka0777)。
確かに京真の身体は哀れな程に薄く、肋骨が一つ一つくっきりと浮き上がっている。これはこれで、細身が好きなマニアックな人にはウケそうではあったが……。
「肉体自慢ですか……。やってる人は以外と少ないですね……」
「そこのお前も勝負しろ!」
「あの……私はれっきとした女ですから……」
案の定ジャックに声をかけられ、がっくりと肩を落とすサクラ・エルフリード(ka2598)。
細身で胸が控えめであることと、戦うもの特有のしなやかな筋肉が全身を包んでいる故か、水着を着ていると男の娘と勘違いされるのが目下の悩みだった。
「皆、何してるのぉ?」
「ジャックのポーズ面白いのである」
「おっ! お前達丁度いいところに! 肉体美の審査を頼む!」
「いいわよぅ~」
「分かったのである!」
ジャックの頼みを快く引き受けたIXと黒の夢。
IXは引き受けたが良いが、目が極端に悪いため良く見えていなかったりする。
今も温泉を手探りで入ってたりするし。
それでは審査にならないと思うのだが……まあ、ノリで何とかなるのだろうか。
「魂に刻み込みな、これが本当のイケメンだッ!! ほれ、京真もポージングだ!」
「はぁ。こうですかねぇ」
「ジャックさんはポーズが変態っぽいですし。京真さんは細すぎて不気味ですよね」
筋肉をビキビキと動かすジャックに促されるままポーズを決める京真。そんな2人に、サクラが身も蓋もないコメントをする。
黒の夢はにこにこと笑顔で2人を見比べていたが……とことこと歩みより、順番にきゅっと抱きしめる。
「んー。京真は結構ゴツゴツしてるである。でも思ったより抱き心地は悪くない。ジャックは筋肉むちむちで、腕とか枕にむいてると思うのである」
「そうですか。ありがとうございます」
「……!!? さ、三次元の女が俺様に触ったあああああああ!!?」
「気にすることないですよ。世の中の半分は女子ですし」
のんきに頭を下げる京真。
ぎゃああああああああああ! と、悲鳴をあげるジャックに容赦ないサクラの突っ込み。それをチラリと見て花厳 刹那(ka3984)がため息をつく。
「あっちの騒ぎは凄いね」
「本当、賑やかですねえ……」
「ヘルヴェルさんと有希弥さんは肉体美コンテストに出なくて良かったんですか?」
「ん? あたしの筋肉を見ろーーーというほどでもないしね」
「うちはのんびりしに来ただけなんで。そういうあなたは?」
「僕もノンビリできればいいなと。あとはちょっと、ここの温泉の成分が気になりましてね」
肩まで浸かって気持ち良さそうなヘルヴェルと守原 有希弥(ka0562)に、笑顔を返す天央 観智(ka0896)。
そのコメントに、刹那がくすくすと笑う。
「2人とも女の子だもん、筋肉美っていうのもねえ」
「残念。うちは男ですよ。……女性と思った方、素直に挙手ー」
暗黒の笑顔を浮かべながらざばーーーっとお湯から上半身を出す有希弥。
中世的な細面に反して、靭やかな細い身体には固そうな筋肉がきっちりとついて、まるで大型の猫科の獣を思わせる。拳も、滑らかな筋肉が美しい凹凸を作っていて……それを見れば、確かに男性であることは疑いようもなかった。
「あ。すまん。あたしも女だと思ってた」
「わたくしもですの!」
「ひどっ」
はい、と素直に挙手するヘルヴェルとチョココ(ka2449)にガビーンとショックを受ける有希弥。
そこに、何やらハートマークを飛ばながら巨大なパルムがずずいっと寄って来る。
「うわっ。な、何ですか、こいつ!?」
「この子はこの温泉のマスコットさんですのよ。オネェパルムさんですの」
「な、何かうちの身体触りまわしてるんですけどっ」
「……ちょっとアンタ、良い身体してるじゃなーい。好みよぉ……って言ってる気がする」
「いやあの。うちそういう趣味はないんで……」
チョココとヘルヴェルの解説に、じりじりと後退する有希弥。
負けじと迫るオネェパルムに、観智の目がキラリと光る。
「これがオネェパルム……。温泉で変化したパルムですね。パルムは一応精霊ですので……この温泉のマテリアルが、パルムに影響を与えているということでしょうか……」
「あの、観智さん助けてくれません?」
「今ちょっと研究に忙しいので後にしてください」
「男の筋肉は……贄。チョココ覚えたですの」
救いを求める有希弥の声をピシャリと撥ね退けた観智。
身体の疲れを癒しに来たのに、思考の方は疲れ知らずのようで……。
そしてチョココは、何やらしきりに納得していた。
「刹那。身体は大丈夫か?」
「うん。思いっきりやられちゃってさー。おのれ、アレクサンドル……って感じ」
ヘルヴェルの気遣いに、礼を言いながら肩を竦める刹那。チョココが寄って来て、彼女の身体を撫でる。
「お大事にですのよ。パルパルもナデナデしてあげてくださいですの」
「あははっ。くすぐったい」
「ところでさ……刹那、水着のサイズ合ってないんじゃないか?」
「えっ!? これでも買い直したんだけどっ」
「もうワンサイズ大きいほうが良さそうですのよ?」
「うわーん! また買い直しかー!」
温泉の片隅で、きゃっきゃと乙女トークで盛り上がる三人とパルム1匹。
その間も、ジャックと有希弥の悲鳴が響き渡っていて……。
周囲は何だか修羅場だけれど。こういう休日も悪くない。
「んー。気持ちいいですね」
足湯に足を浸して笑顔になるメープル・マラカイト(ka0347)。
持参した試作米酒も美味しいし、身体に染み渡る感じがする。
「フットバスで疲れをフットバス……ふふ」
オヤジギャグを呟き、一人で笑うメープル。
結構酔いが回っているのかと思いきや、これが素らしい。
ミステリアスな雰囲気のお嬢さんなのに、人は見た目によらないものである。
「はぁ、本当にいいお湯。こういうお祭りならいくらでも歓迎ですね」
たまには一人でゆっくりするのも悪くない。夜は水着なしで、女湯めぐりをしよう。そう心に決めた彼女。
温泉巡りは、まだ始まったばかりだ。
「あ~。やっぱり温泉はいいね~」
「そうだけど……ちょっとはしゃぎすぎ」
赤いワンピースの水着から伸びるすらりとした小麦色の手足と、引き締まった身体を湯船に投げ出し、ご機嫌で鼻歌を歌う天竜寺 舞(ka0377)にくすりと笑う天竜寺 詩(ka0396)。
妹を見ると、白い肌がほんのり上気して……黄色いビキニからマシュマロのように柔らかなたわわな胸が毀れそうになっている。
――双子なのに何故ここまで大きさが違うんだろう。
「あんた、また胸が大きくなった? ちょっと触らせなさい」
「えっ!? こらっ! 他の人もいるんだから騒いじゃ駄目!」
胸をふにふにと触って来た舞の手をピシャリと払いのける詩。
舞はそれに悪びれもせずにえへへ、と笑う。
「でもさ、やっぱり詩は可愛いよね。色も白いし、胸もあるし、流石あたしの自慢の妹!」
「急に何言ってるの。お姉ちゃんだってカッコ良くて素敵だよ?」
「もう、詩ったら♪ 可愛いやつめ! よーし! 思いっきり可愛がってやる!」
「ちょっとお姉ちゃん! こんなところでちゅーはやめなさい! ああっ、水着、水着外れるから! 胸持ち上げないでってば……!」
「良いではないか良いではないか!」
「あーれー! ……っていい加減にしなさい!」
姉の頭に鉄拳を落とす詩。
姉妹の入浴は、何だかとっても賑やかだ。
「ハンターの方だったんですね……」
「ねー。知らなかったわ。っていうかすごい偶然じゃない?」
並んで温泉に浸かりながら笑い合う日野 翔子(ka2659)とシュテル・クーヘン(ka0644)。
シュテルは翔子が贔屓にしている書店の店員で、普段から良く会ってはいたのだが……まさか同業者だとは思わなかった。
日々の何気ない話で盛り上がる二人。
シュテルはふと、ワインの入ったグラスを傾ける翔子の艶やかな黒髪に目をやる。
――やっぱすごい髪キレーだなこの人。羨ましい。
胸は砲弾みたいだし。身体はきちんと筋肉がついて締まってるし、まさに『ぼんきゅっぼーん』だよね……。
彼女がそんなことを考えている間、翔子もシュテルを注視していた。
蜂蜜のような艶のある金髪と宝石のような紫の瞳が宝飾品のよう……白い肌も透き通るようで、とても綺麗――。
「……少し、触ってみてもいいでしょうか」
「へっ? 何を?」
「勿論シュテルさんをですよ」
「えっと……」
「ふふ……冗談ですよ?」
そういいながらもシュテルに手を伸ばす翔子。
――よくわかんないケド、この人こんな感じだったっけ……?
「んん~。やっぱりすべすべですね」
「ちょっ。くすぐったい!」
「んふふふ」
いつもと違う翔子に困惑するシュテル。
どうやら翔子は完全に出来上がっているようだった。
「大丈夫か? 痛みはないか?」
「はい。大丈夫です。ありがとうございます」
八雲 奏(ka4074)を抱き支え、そっと湯船に下ろす久延毘 大二郎(ka1771)。
今日は、依頼で負った傷の湯治にやって来た。
「ふふ、役得です。……こんなご褒美戴いて」
「君が嬉しいなら何よりだが……あまり無茶はしないでくれよ?」
「わたくしは戦巫女。戦場での傷は誉れですから……」
大二郎を守って負った傷。こんなに誇らしいものはない。
守られた本人は心配で身が切れる思いだったけれど……。
「……それにどんな死地に向かい、どんな傷を負っても、連れ戻して下さいますよね?」
「前にも言った筈だ。どれほど私自身が傷つこうと、何としてでも連れ戻す。その思いは変わらん」
「ありがとうございます。普段だったら顔を真っ赤にされていますのに、今日は大丈夫なんですか?」
「……そ、そりゃ。普段とは状況が違うから……!」
くすくすと笑う奏にぐぬぬとなる大二郎。奏は甘えて彼に身体を預ける。
「うふふ。ご飯もあーんで食べさせて下さいね♪」
「……その様子なら大分持ち直しているみたいだな」
「えっ。痛いですよ!?」
「はいはい」
しっかり動ける様になるまで、巫女殿の望みは出来る限り叶えてやらないと――。
大二郎はそんな事を考えながら、慌てる奏の頭をくしゃくしゃと撫でた。
神谷 春樹(ka4560)は細いだけかと思っていたが、強靭な肉体を持っていたらしい。張り詰めた筋肉に、胸板も厚くしっかりとしていて……。
「イーディ。水着は……?」
「え? 着てるよ。この方が恥ずかしくないかなって」
「ああ。そうなんだ。でも、さすがに温泉でタオルはまずいんじゃないかな」
「それもそうか」
彼の指摘に我に返り、渋々バスタオルを外すイーディス・ノースハイド(ka2106)。
現れたビキニ姿に、彼は目を丸くする。
ほっそりとして引き締まってはいるが女性らしい柔らかさがあり、胸は程よい大きさで、水着越しでもその形の良さが分かる。
「……春樹?」
「あっ。じろじろ見てゴメン! ……その、凄く似合ってて綺麗だったから」
「ほ、褒めても何も出ないぞ」
何となく気恥ずかしくて慌てて温泉に入る二人。お湯は勿論気持ち良かったが、隣の人が気になって……。
「あー、えっと、二人きり……か。……も、もう少しキミの方へ寄っても、いいだろうか?」
「へっ?」
「あ、いや、ヘンな意味じゃない。うん、嫌なら構わない」
「嫌なんてことはないけど……」
イーディスの申し出に狼狽する春樹。嫌じゃない。それどころか嬉しい、けど……。
それって身が持たないんじゃないだろうか……。
既に目のやり所に困っている彼は、早々にのぼせる事になりそうだ……。
――我が故郷は温泉で名高い。
浸かっていると故郷の事を思い出してしまう……。
リナリス・リーカノア(ka5126)が温泉にやってくると、しょんぼりしているオンサ・ラ・マーニョ(ka2329)が目に入る。
「どうしたの? 迷子?」
「あ、ああ。母上えええ!!」
顔を上げると、そこにはマイクロビキニからこぼれそうになっているたわわな双丘があって……郷愁に浸っていたオンサが、リナリスを母と勘違いしたのは無理もない話だった。
最初は驚いたリナリスだったが、すぐに悪戯心に火がついた。
オンサは抱きしめれば折れそうな程に細く、白い褌から褐色のお尻が丸見えで……そう。まさに彼女の好みど真ん中だったのだ!
「いいよ、私でよければ甘えて」
優しい言葉をかけるリナリス。その手は幼女の頭や小さな身体を這い回り……。
気付いてないみたいだし、もうちょっとイッちゃって大丈夫かなー……なんて思った瞬間、オンサが顔を上げた。
「……おぬし、今不埒なことを考えたであろう?」
「えっ? やだな。気のせいだよー」
「母と間違い、突然甘えてしまって悪かったが……我が部族にとって温泉は聖地。斯様な振る舞いは看破できぬ! そこに直れ!」
「ああんっ、ごめんなさーい!」
リナリスを叱り飛ばし、お仕置きを始めるオンサ。リナリスが何だか嬉しそうなのは気のせいだろうか……?
「おう。まずは俺様が背中を流してやるよ」
「じゃあ、お言葉に甘えて……お願いしますね」
湯船に浸かる前に身体を洗うのが温泉の流儀なんだぜ! と力説する鹿島 雲雀(ka3706)に頷くリリティア・オルベール(ka3054)。
リリティアの背中を優しく洗う雲雀。
――彼女の引き締まった筋肉の上に柔らかな脂肪が包み、括れた腰から丸みのある大きな臀部にかけてのラインがとても美しい。白いビキニに包まれた柔らかそうな得盛の胸も形が良くて、ついつい手が伸びる。
「……なんつーか、また大きくなったか? 気のせいかね」
「な、何言ってるんですかっ! そんな事、無い……です、よ?」
胸を持ち上げられて慌てるリリティア。最近ちょっと胸がきつくなったのは秘密だ。
「ホントか? じゃ、俺様も頼むわ」
そう言って背中を向ける雲雀。彼女の身体は引き締まり、程よい筋肉がついている。
丸く盛り上がった胸と、大きな臀部がハッキリと目立ち、黒いビキニを着ているせいか、黒豹のようにも見えた。
「いやー、力抜けるわー……」
「本当ですね。温泉気持ちいいです……」
「これで、酒とつまみでもありゃ格別なんだかなぁ」
「あがったら探してみましょうか、宴会のほうに何か残ってるかも…」
「そうだな」
石鹸を洗い流して、湯船に浸かる二人。
温泉の湯に、疲れが溶けて出て行く。
煉華(ka2548)は戸惑った。
温泉に入ろうとしたら、声をかけ損ねていたスヴィトラーナ=ヴァジム(ka1376)が湯船の中で微笑んでいたので……。
白いビキニに包まれた彼女の大きく熟した胸。滑らかな褐色の肌に、女性らしい丸みを帯びた身体を見ていると、そんな戸惑いも溶けて行く。
「……まさか、他所でそんな格好を晒したりしてないだろうな」
「どうかしらね。入らないの? ……ちゃんと顔を見せて」
微笑む彼女は、いつ見ても目が覚める程に美しい。
「綺麗、だな……。昔はよく結ってみせたものだが、今となっては……」
無意識に、従妹の髪に手を伸ばす煉華。
――片腕を失い、彼女に触れることを躊躇っていた。
触れる資格も、失っていたような気になっていたから。
「……昔みたいに出来なくても、私はこの手が好きよ?」
彼の手に、そっと頬を寄せるスヴィトラーナ。
好きなのは手だけではない。鞭のようにしなやかな筋肉のついた身体、戦いを刻んで来た無数の傷……全てが好きだけれど。本人には、言うつもりはない。
だけど、今は――。
「……スヴィトラーナ?」
「ふふ、ちょっと甘えたい気分なの」
するりと膝の上に滑り込んで来た彼女に慌てる煉華。
スヴィトラーナは甘えるように彼の首に腕を回す。
「今夜は、一緒に寝る? 一人寝は寂しいもの」
「言ったな? 甘やかすのにも手加減はしないぞ」
「甘やかしてくれるの?」
「いつもそうして来たはずだが?」
「そうだったわね……」
煉華の優しさが痛い。
スヴィトラーナはそっと目を伏せて、小さくため息をついた。
施設の中に輝く灯火。温泉の中に響く明るい声。
大精霊に捧げる感謝と祈りと、浄化の儀式を終えた開放感。
合戦の疲れを温泉のお湯と、酒と食事と……仲間達の笑顔が溶かしてゆく。
ハンター達のそれぞれの時間が、楽しく優しく過ぎて行った。
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【濃密】温泉だぜ!【肉体描写】 ジャック・J・グリーヴ(ka1305) 人間(クリムゾンウェスト)|24才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/06/25 22:12:56 |
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【酒盛会場はコチラ】 時雨(ka4272) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/06/25 23:43:53 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/26 00:09:59 |