断崖と翼竜と謎の秘宝

マスター:蒼かなた

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
締切
2015/07/03 19:00
完成日
2015/07/09 06:25

みんなの思い出

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オープニング

●謎の秘宝の伝説
 むかしむかしのお話です。
 最愛の人を亡くした男は天に乞いました。
「あの人を帰してくれ」
 天はそれに応えました。
「いいでしょう。あの断崖の先に宝を用意しました。それを手にすることが出来たらその願いを叶えましょう」
 その断崖はとても有名な場所でした。その先に向かった者は誰も返ってこないと。何でもその先には竜が棲んでいるのだと。
 だが男は諦めず、持ちうる限りの力と、財産と、交友を使い準備を整えました。
「待っていてくれ、私の愛しい人よ」
 男は断崖へと挑みます。ただ一縷の望みに全てを賭けて。

「なんて話があるらしい」
「眉唾にも程があるだろう?」
 食堂で男が2人、そんな噂話をツマミに真昼間から酒を飲んでいた。
「けど火のないところに煙は立たないって言うだろ」
「確かにそうだが。そんな話なんて腐るほどあるだろう?」
 その話に否定気味の男が言う通り、そんな逸話がこの世界に数え切れないほど存在している。
 そういう話を信じて宝探しに出かけて骨折り損のくたびれ儲けになったらまだいいほうで、そのまま帰ってこないこともよくある話だ。
「確かに人を生き返らせるってところは信じちゃいないけどさ。ほれ、そーゆー話でマテリアルの宝珠が見つかったことがあっただろ?」
「あー、そういえばそんなこともあったな」
 無数にあるハズレの中でたまにそんな大当たりが見つかることがある。だからこそそういった夢を追い求める人は耐えることがないのだ。
 と、そこまで話したところで突然、男達のテーブルの上にすとんと何かが飛び乗ってきた。視線を向ければそこには白い猫が1匹。
「あん? なんだ、この猫は」
 さらに人の少ない食堂の中でカタンと椅子が音が鳴る。
 そこに座っていた浅黒い肌の少女が、かちゃかちゃと背負う大剣から金属音を鳴らしつつ、2人の男の元に近寄る。
「んっ、なんだお嬢ちゃん?」
「……詳しく教えて」
 茜色の髪の隙間から猫のような瞳を覗かせて、少女は男達に話しかけた。

●断崖の先には
 切り立つ崖。その先を目指した少女は剣を振るっていた。
「……強い」
 空からの襲撃者。それは予想以上の難敵だった。
 刃は届かず、その攻撃は当たり所が悪いとこちらは一撃で戦闘不能になりかねない。
 少女は考える。どうすればこの先へ進むことが出来るだろうか。
 だが、それが隙となってしまった。急降下してきた襲撃者に僅かに反応が遅れる。
「ぐっ!」
 喰らいついてくる牙を少女は剣で受け止めるが、それすらも噛み砕かんと襲撃者は顎に力を込める。
 そこでニィと鳴く声と共に小さな白い猫が襲撃者に飛び掛る。
「セイン……!」
 思わぬ存在に襲撃者は怯む。そして飛び去った。小さな少女だけを置き去りにして。

●ハンターオフィス
「断崖の探索と、護衛?」
 依頼申請の処理をしていたオフィス職員は、1つの依頼申請を見て首を傾げる。
 その断崖というのが辺境の奥地にあるのだが、そこは最近まで歪虚の占領下にあった場所なのだ。
 掃討作戦で怠惰の歪虚の大半は退治されているが、まだ完全に人の手に戻ったとは言い難い場所だ。
「うーん、それにあの辺りは確かワイバーンの生息区域だけど……まあ、ハンターなら大丈夫かしら」
 オフィス職員は少し悩んだ末に、その依頼申請を許可として処理した。

リプレイ本文

●断崖を行く
 ハンター達はシャルという少女と共に断崖を歩いていた。
「しかし、こりゃ絶景じゃねーか! この場所でコレなんだから。自由に空を飛んで見れたらもっとおもしれー景色が見られそうだよな」
 蛇のようにうねる形をしている断崖の道、その曲がり道の丁度山の部分に到達した岩井崎 旭(ka0234)は額に手をやって射す太陽の光を防ぐ。
 その目に映るのは、ずっと奥まで続く断崖絶壁で、それはまるで大地が二つに割れたかのような景色だった。このクリムゾンウェストでも早々見られる場所ではないだろう。
「いや、全くだな。まさしく物語に出てきそうな場所だよなっ!」
 旭の後ろからその光景を覗くティト・カミロ(ka0975)も同じような表情を浮かべる。思わず口笛でも吹きたくなる気持ちになるが、ここに生息しているらしいワイバーンを呼んでしまうかもしれないことを考え、咄嗟に口元に手を当ててそれを防ぐ。
「どうだ、加茂っち。素晴らしい景色だぜっ!」
 ティトがそう言いながら振り返ると、出発する前に比べると随分と顔色の悪い加茂 忠国(ka4451)がそこにいた。
「どうした? もしかして高所恐怖症とか?」
「いえ、女性分欠乏症というか。男性の後ろ姿ばかり見てると気分が悪くなる体質なんです、僕」
「うわー、俺が男だからってそんなあからさまにテンション下げんなよ」
 あんまりな理由にティトも苦笑いするしかない。
「ああ、でも後ろには可憐なエルフっ娘、ネムリアたんがいる。だから僕は頑張れる!」
 ぐっと拳を握り突然元気になり後ろを振り返る忠国に、その視線を向けられたネムリア・ガウラ(ka4615)は困ったような笑みを浮かべる。
 と、そこでネムリアの肩口から茜色の髪をした少女、シャルの顔が覗く。
「何かあった?」
 歩みが止まったことに対しての問いなのだろう。シャルは背中に背負う大剣の柄に手を掛けている。
「いや、何でもない。ワイバーンの姿も見えないしな」
「そう、なら早く進んで」
 旭の返事に、シャルは大剣からすっと手を放しながら淡々とそう口にする。
「ああ、シャルたんの頼みとあらば! さあ、きりきり進むぞ、野郎諸君!」
「加茂っち、突然元気になったな」
 先頭を進む3人が歩みを再開すれば、後に続く2つの班もそれに続く。
「しかしこの断崖に入ってそろそろ1時間くらいか。嬢ちゃん、なんか聞こえるか?」
「えっと……」
 一番後ろの班の先頭を進む冬樹 文太(ka0124)が崖側に少し体を傾かせながら、ネムリアに向けて話しかける。
 ネムリアはそっと自分の顔の横に手を当てて耳を澄ます。聞こえるのは断崖の下を激しく流れる川の音、遠くで鳴く鳥の声、そしてどこかに生えているのか風に揺られ擦れ遭う草木の音、様々な音がその耳に届く。
「うん、大丈夫。まだ何も近くにはいないみたい」
「そうか。ならサクサクと進もうぜ。ほら、おっちゃん早く行けよ」
 ネムリアの言葉にニッと気さくな笑みを返すと、自分の前を歩くジャンク(ka4072)の尻に蹴りをいれる。
「馬鹿野郎、本当に落ちたらどうするんだ」
「大丈夫やろ。おっちゃん軽いから前の2人のお嬢ちゃんでも十分引っ張りあげられるって」
 悪戯に笑う文太に、ジャンクは僅かに咎めるような視線を向けた後にもう蹴るなよ、と一言だけ告げて前を向く。
 そして最後尾を行く2人、一番後ろを歩く時音 ざくろ(ka1250)はこの以下にも冒険、といった空気にご満悦の様子だ。
「やっぱりいいよね。この断崖の先には伝説の秘宝とかがあったりするのかな!」
 それなりの険しい道を歩いてきたが、ざくろは元気溌剌と言った感じで前を行くアルラウネ(ka4841)に話しかける。
「そうね。けど、一番後ろで目立たないからって、悪戯は程々にして頂戴ね?」
「い、悪戯って。してないからっ。指一本触れてないよねっ!?」
 事実無根だと慌てるざくろに、振り返ったアルラウネは驚いたと言った風に目を少し広げる。
「しないの、悪戯?」
「しないってば! ざくろのこと何だと思ってるのさ」
 きっぱりと否定するざくろに、アルラウネは今度は目を細めて言う。
「やっぱり女の子より男の子のほうが――」
「もっと違うからねっ!?」
 皆まで言わせないとばかりにざくろが叫ぶ。いささか賑やかな一場面もあったが、ハンター達はそのまま断崖の道の奥深くへと進んでいく。

●翼を持つ者の襲撃
 断崖を進んで数時間。時折休憩を挟みながら進み、その足取りは順調だった。
 だがここに来て、予想していた襲撃者がその姿を現す。
 エルフ特有の尖った耳をぴくりと揺らすネムリア、彼女の耳がこれまでにない音を拾った。
「羽ばたきの音。鳥じゃない、もっと大きい……皆、来たよ!」
「ついに来たか。おい、少し戻るぞ。さっき休憩してたとこなら足場も安定してる」
 ジャンクの提案に皆一度頷いて、来た道を少しばかり戻る。そして迎撃体制を整えようと各々が武器を構えた時、それはやってきた。
 ハンター達に頭上から影が差す。それは一瞬で過ぎ去り、羽ばたきの空気を叩く音だけが残される。
「あれが、ワイバーンか」
 旭が見上げた空の先に、それは居た。蜥蜴のような爬虫類の鱗に覆われた体、背には蝙蝠を思わせる膜のある翼を生やし、そしてその顔は厳しく刺々しい。ただの空を飛ぶ蜥蜴と侮ってはいけない、その大きさは優に人の3倍はあるのだから。
 ハンター達がワイバーンを認識したように、ワイバーンもハンター達を捉えたのだろう。180度旋回し、断崖の谷間に体を滑り込ませたワイバーンがまたハンター達目掛けて迫ってくる。
「後ろから突っ込んでくるで。何かに掴まり!」
 文太が叫ぶと同時に、ワイバーンがハンター達のいるすぐ傍を高速で通り過ぎる。
 先ほどの文太の叫びを千切り飛ばすような轟音、さらに風という名の空気の塊がハンター達の体に叩きつけられる。幸いに誰も滑落することなくその場で耐え抜いた。
「小賢しい真似をするねぇ。それじゃ反撃と行きますか」
「それじゃ、足場を作りますよっと」
 銃の安全装置を外したジャンクの前に、正方形の形をした岩場が迫り出す。
「へぇ、アースウォールってこんな事にも使えるんだ。便利だなぁ」
「感心してる場合じゃないぜ。来るぞ」
 作られた岩場乗るティトに、短弓を構えた旭が声を掛ける。
 ワイバーンはまた旋回し、こちらに向かって突撃してくる腹積りらしい。
「迎え撃つよ。防御はざくろに任せて!」
 そう言って大剣を構えるざくろの隣に、同じく大剣を抜いたシャルが無言で並ぶ。
「引き付けろよ、まだだぜ」
 ぐんぐんと迫ってくるワイバーンの姿、それに慌てることなくジャンクがタイミングを図る。全員の武器の射程内にワイバーンが入るその瞬間を待つ。
「今だ。ぶっ放しな!」
 響く銃声、風を切る音。それに加え高速で飛ぶ水球に、マテリアルに包まれたイヌワシの姿も同時にワイバーンに向けて殺到した。
『グオォォォ!!』
 攻撃を真正面から受けたワイバーンが叫び声を上げる。特に顔に当たったイヌワシの一撃が効いたのか、ふらりとその体の軸がぶれる。が、それが思わぬ事態を招いた。
「っ! 全員、壁に向かって飛べぇ!?」
 ジャンクが叫ぶ。それとほぼ同時にワイバーンの体が、作られた足場にぶつかる。その衝撃とワイバーンの重さに耐えられなかった岩場に罅が入り、次の瞬間には粉々に砕けて崖の下へと落下していく。
「全員無事かっ!」
 足場に戻れた文太は周囲を見渡す。
「うわわっ、放さないでくださいよぉ!?」
「加茂っち大丈夫かっ。って、下見たら怖ぇ……!」
「ファイト一発! って、くそ! こんなん実際にやりたくなかったぜ!!」
 落ちかけた忠国はローブで繋がっていた2人が引っ張り上げている。
 真ん中の3人も問題なし。残りは、と文太は背後にいるはずの2人を見る。が、その光景を見て思わず眉を顰める。
 そこにはアルラウネの胸に飛び込み抱きついているざくろの姿があった。
「やっぱり悪戯したかったのね。でも時と場所は弁えないと駄目よね?」
「ちっ、違っ! 事故だよっ。不可抗力だよ!?」
 まるで子供を諭すような口調のアルラウネに、ざくろはすぐに彼女から離れると首を横に振る。
「いちゃついとる場合か。来るで!」
 文太の一喝とほぼ時を同じくして、崖下に落ちかけていたワイバーンが翼をはためかせながらぐんぐんと上がってくる。
 すぐさま打ち下ろすように攻撃を浴びせようとするハンター達だが、ワイバーンはその巨躯では狭いであろう谷間の中を、まるで曲芸のように飛び回りそれを避けてみせる。
「チッ、素早い奴やな」
「このまま様子見されても厄介だな。それ以上にここで逃げられるともっと厄介になる」
 ジャンクは目の角を僅かに立ててワイバーンを睨む。
「えっ、シャル? 何してるの!?」
 と、そこでネムリアの戸惑いの声が発せられる。そちらを見れば、シャルが自分に結んでいたロープを解いてするりとそこから抜け出していたのだ。
「嬢ちゃん、てめぇの命を守るのが俺らの仕事だ。頭に血が昇ってんなら冷まさせるぞ」
 今までの調子の良い声とは違い、真剣みを帯びた声がジャンクの口から言葉となって出る。だがシャルはその言葉に対して首を左右に一度振った。
「大丈夫、信じて」
 その言葉の返事を聞かず、シャルは崖下へと飛び降りる。
「このっ。ちっ、全員あの無茶な嬢ちゃんを援護しな!」
 ワイバーンの動ける範囲を狭めるように、ハンター達の攻撃がばらまかれる。そしてシャルは大剣を持つ手とは逆の、白い手袋をした手を振るった。そしてそのままワイバーンのすぐ真横を下へと落ちる。
「シャルっ!」
 ネムリアがシャルの名を呼ぶ。だが次の瞬間に、シャルの体は斜めに滑り、弧を描くようにして上昇するとワイバーンの背中へと降り立つ。
 背中に何かが乗ったのを知ったワイバーンは体を捻り暴れる、そしてそのまま谷間から上昇していくのだが、飛び去られる前にシャルの大剣が閃いた。
『グルルル!?』
 片方の翼膜を横一文字に切り裂かれたワイバーンは浮力を失い、そのまま下へと落下する。もちろん、シャルも一緒に落ちてくる。
「おっと!」
 そのシャルをジャンクは上手いことキャッチした。
「無茶しすぎだろ、嬢ちゃん」
「ちゃんと言った。信じて、って」
「シャル、良かったぁ」
 地面に降ろされたシャルにネムリアが抱きつく。ん、と一言言葉を漏らすが、シャルは困ったような顔を浮かべるばかりだ。
「あっ、皆下見て、下!」
 と、そこでティトが叫ぶ。崖下を見れば、そのまま落ちていったかと思ったワイバーンが両腕両足の鍵爪を岸壁に突き立てながら昇ってきているのだ。
「しつこい奴やな」
「まあ、それならそれでこっちにも考えがあるぜ!」
 そう言って旭は肩に担いでいた槍を手に取る。他のハンター達も近接用の武器に持ち替えていく。ワイバーンはすぐにハンター達のいる足場まで這い上がって来て、凶暴なその鋭い牙を見せ付ける。だが、それに臆するハンターは1人もいない。
 振るわれる爪も、食いついてくる牙も、連携し合い交わしながらワイバーンの体に傷を増やしていく。
「しつこい男は嫌われるのよ。ねえ、ざくろ?」
「マテリアルと大地のー、って、え? あっ、と、とりあえず、超・重・斬!」
 そして、ざくろの一撃が深々とワイバーンの首筋を切り裂き、ぐらりと体を揺らしたワイバーンは崖下へと落ちていく。
「なんか、しまらん終わり方やったな」
「まっ、全ての冒険が英雄譚みたいにカッコいいわけじゃないってことだ」
 落ちていくワイバーンを眺めながら、文太とジャンクはそんな言葉を交わした。

●秘宝を求めて
 ワイバーンを倒し、太陽が頂点からやや傾きだした頃、ハンター達は漸く断崖の奥地へと辿り着いた。
 ただ、そこはここまでの苦労に見合うかどうかは、正直微妙な場所だった。
「何これ。車輪?」
「こっちのは光ってるのは、マテリアル鉱物か? でも殆どただの石だなこれ」
 そこはワイバーンの巣のような物があった。そしてその中にはガラクタが沢山転がっている。
「これをハズレと見るか、宝と見るかは……」
「あっ、アルラ。これ綺麗じゃない?」
 そんな様子を眺めながら独白していたアルラウネに、ざくろは巣の隅に生えていた白い花を指差す。
「……その人次第よね。ええ、綺麗だと思うわ」
 子供のように目を輝かせるざくろに、アルラウネは柔らかい微笑を返してその傍へと歩いていく。
「しかし、これじゃあ金銀財宝とかそーゆーのはなさそうだな。シャルは一体何しにここまで来たんだ?」
 恐らく馬車の天幕であったであろう汚れた布切れを広げながら旭が問う。シャルはその問いには答えなかったが、その証明をするつもりなのか巣の中央まで進んでいく。そして一言呼びかけた。
「セイン」
 すると、ちりんという鈴の音が聞こえた。
「やっぱり、シャル。こっちだよ。こっちから聞こえた」
 ネムリアがそう言いながら巣の奥の方へ向かう。シャルも頷いてそれに続いた。
 そこには小さな窪みがあり、岩肌には何度も爪で引っかかれたような跡があった。そこでシャルがもう一度セイン、と名を呼ぶ。

 ――ニィ

 そこから鳴き声と共に顔をだしたのは白い猫だった。
「お待たせ、セイン」
 そう言ってシャルはセインを抱き上げる。
「嬢ちゃん、お宝とはご対面できたかい?」
 そんなシャルの背中に声をかけたのはジャンクだった。だがシャルはその言葉をそのままの意味で捉えたのか、首を横に振った。その様子にジャンクは口元を押さえ少し顔を下に向けて笑う。
「あっ、セイン。怪我してる」
 ネムリアの言葉通り、よく見れば後ろ足の片方の毛並みが少しだけ赤く染まっている。
「手当てしてあげないと。いいよね、シャル?」
「うん、お願い」
 そう言ってシャルは白猫をネムリアへと渡した。
「シャルたん、探し物が見つかってよかったね。ところで報酬のちゅーをだね!」
「阿呆。そんな報酬あるか」
 と、勢いよく詰め寄ってきた忠国、そしてその頭を文太がひっぱたく。
「あたた、まあそれは後の置いといて。シャルたんには僕からこれをプレゼント!」
 片手で頭を摩りながら忠国は懐からピンクのリボンを結んだオカリナを取り出す。
「プレゼント?」
 首を傾げるシャルに、忠国は押し付けるようにしてそれを差し出す。
「そう、今日みたいに困ったことがあったら吹いてみて。そしたら僕が颯爽と現れて助けてあげますから!」
 決まった、といった顔をする忠国、シャルは不思議そうな顔をしながらもそのオカリナを受け取った。
「ありがとう、オカリナの人」
 そう一度言葉を切ったところで、シャルはそこにいるハンター達を一度見渡して、もう一度言葉にする。
「ありがとう、みんな」
 少女の目に少しだけ温かみが見えた気がした。

依頼結果

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  • 明敏の矛
    ジャンクka4072
  • それでも尚、世界を愛す
    加茂 忠国ka4451
  • 希望の火を灯す者
    ネムリア・ガウラka4615

重体一覧

参加者一覧

  • 弾雨のイェーガー
    冬樹 文太(ka0124
    人間(蒼)|29才|男性|猟撃士
  • 戦地を駆ける鳥人間
    岩井崎 旭(ka0234
    人間(蒼)|20才|男性|霊闘士
  • 勇敢と献身に混在する無謀
    ティト・カミロ(ka0975
    人間(紅)|16才|男性|闘狩人
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 明敏の矛
    ジャンク(ka4072
    人間(紅)|53才|男性|猟撃士
  • それでも尚、世界を愛す
    加茂 忠国(ka4451
    人間(蒼)|15才|男性|魔術師
  • 希望の火を灯す者
    ネムリア・ガウラ(ka4615
    エルフ|14才|女性|霊闘士
  • 甘えん坊な奥さん
    アルラウネ(ka4841
    エルフ|24才|女性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ジャンク(ka4072
人間(クリムゾンウェスト)|53才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2015/07/03 01:47:18
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/06/30 21:45:50