ゲスト
(ka0000)
商店街で七夕セール
マスター:篠崎砂美

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~15人
- サポート
- 0~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/07/08 19:00
- 完成日
- 2015/07/12 01:14
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「七夕セールですか?」
お嬢様が、バイトのハンターたちに聞き返しました。
「ええ、た・な・ば・たです」
ハンターが、聞き慣れない言葉を繰り返します。
なんでも、バンブー材に願い事を書いたメモをつり下げると、一年に一回だけカップルの神様が現れてそのお願いを叶えてくれるらしいのですが……。あれ? どこか違うのでしょうか?
「とにかく、異国の風習にあわせて儲けるのは商売の基本ですわ。ちょうど、東方と雰囲気も合いそうですし、サルヴァトーレ・ロッソに合わせて、適当にでっちあげ……コホン、稼ぎますわよ」
ということで、お嬢様のお店は、テキパキと七夕セールの準備に入りました。どうやら、浴衣の販売をするようです。
当然ですが、それはあっという間に商店街中に知れ渡り、抜け目のない各商店がセールに乗っかってきました。
こうなると、ぱらぱらにセールをするよりも、商店街での一大イベントにしてしまった方が効率もよく、集客も望めると言うことになります。
「ということで、商店街をあげて七夕セールを行いますので、皆様、よろしくお願いします」
案内所のデレトーレ支配人が、各お店を挨拶して回りました。
「ええと、この紙に、願いを書けばいいのですわよね」
赤い短冊に『虹の怪盗様にまた会えますように』と書くと、お嬢様は商店街中央のCAM像の周りをこんもりと被っている笹の枝に結びつけました。
「ふふふふ、なんという素晴らしいイベント。我々はこの時を待っていた!」
笹の陰に隠れた者たちが、ニヤリとしました。何やら、巫女服に半透明のマントと長いリボン(領布)をつけています。どうやら、管理事務所に雇われた、セールを盛り上げる者たちのようですが、大丈夫なのでしょうか。
商店街の左右には、お店にちなんだ大きな笹飾りが立てられ、きらびやかなアーチのようです。他にも、変わった飾りがあちこちにおかれているようでした。
さてさて、どんな七夕祭りになるのでしょうか。
お嬢様が、バイトのハンターたちに聞き返しました。
「ええ、た・な・ば・たです」
ハンターが、聞き慣れない言葉を繰り返します。
なんでも、バンブー材に願い事を書いたメモをつり下げると、一年に一回だけカップルの神様が現れてそのお願いを叶えてくれるらしいのですが……。あれ? どこか違うのでしょうか?
「とにかく、異国の風習にあわせて儲けるのは商売の基本ですわ。ちょうど、東方と雰囲気も合いそうですし、サルヴァトーレ・ロッソに合わせて、適当にでっちあげ……コホン、稼ぎますわよ」
ということで、お嬢様のお店は、テキパキと七夕セールの準備に入りました。どうやら、浴衣の販売をするようです。
当然ですが、それはあっという間に商店街中に知れ渡り、抜け目のない各商店がセールに乗っかってきました。
こうなると、ぱらぱらにセールをするよりも、商店街での一大イベントにしてしまった方が効率もよく、集客も望めると言うことになります。
「ということで、商店街をあげて七夕セールを行いますので、皆様、よろしくお願いします」
案内所のデレトーレ支配人が、各お店を挨拶して回りました。
「ええと、この紙に、願いを書けばいいのですわよね」
赤い短冊に『虹の怪盗様にまた会えますように』と書くと、お嬢様は商店街中央のCAM像の周りをこんもりと被っている笹の枝に結びつけました。
「ふふふふ、なんという素晴らしいイベント。我々はこの時を待っていた!」
笹の陰に隠れた者たちが、ニヤリとしました。何やら、巫女服に半透明のマントと長いリボン(領布)をつけています。どうやら、管理事務所に雇われた、セールを盛り上げる者たちのようですが、大丈夫なのでしょうか。
商店街の左右には、お店にちなんだ大きな笹飾りが立てられ、きらびやかなアーチのようです。他にも、変わった飾りがあちこちにおかれているようでした。
さてさて、どんな七夕祭りになるのでしょうか。
リプレイ本文
●七夕セール案内所
ザッと地面に半円の車輪の跡をつけて、ザレム・アズール(ka0878)が、商店街入り口の宅配所前に魔導二輪「龍雲」を停めました。
「ここが、タナ=ガタとかいう新型CAMの、祭りの場所か」
両側に羽根飾りのついたレイヴンクラウンをシートの上に投げかけると、ザレムは宅配所で龍雲を預かってもらいました。宅配所には厩もあるので、サービスでバイクも預かってくれます。
「それにしても、いつの間に新型CAMなんか作ったんだ。そのお披露目に祭りを開くなど、なんとも粋なはからいだな。きっと、地下に同盟の秘密工房があるに違いない」
盛大に勘違いしながら、ザレムは色とりどりの笹飾りがアーチのように飾られた商店街の通りを進んで行きました。
「いらっしゃいませー。ただいま、七夕セールでスタンプラリーを行っていまーす」
CAM像側の案内所の前では、J(ka3142)が声を張りあげていました。七夕セールの幟につられた天央 観智(ka0896)が、スタンプ帳をもらっています。
「とりあえず、屋台か何かで昼飯かな……。おお、これが、新型か!」
「お食事でしたら、このあたりにお店が集まっています。幟が目印です」
商店街のマップを指さして、Jがザレムにお店を案内しました。
「飲めるか?」
「もちろん、大丈夫ですよ」
「そうか、ありがとよ」
スタンプ帳を受け取ると、さっそくザレムが腹ごしらえにむかいます。ついでに一杯引っ掛ける気満々です。
「ルー君、タナバタだよ、タナバタ! よく分からないけど、カップルの神様が、わんだほーなんだよ!」
幼なじみのルーエル・ゼクシディア(ka2473)を引っぱってきたレイン・レーネリル(ka2887)が、歓声をあげます。なぜか、まるごとでゅなみすを着込んで、ノリノリです。
「七夕って、リアルブルーでの伝説を元にしたお祭りだっけ? カップルは関係あるのかなぁ」
よく分からないやと、ルーエルが答えます。さすがに、着ぐるみと手を繋いでの散策は、ちょっと恥ずかしい気がします。でも、まあ、レインお姉さんは根っからのCAMファンなので仕方ありません。
「関係ありますとも。二人で短冊に願いをかけると、必ず結ばれるのです」
五色の短冊を渡しながら、Jが言い切りました。
「そこのカップルもどうぞ」
「えっ? えっ!?」
突然Jにカップルと言われて、近くにいた浪風 白露(ka1025)がちょっとどぎまぎします。問われるように振り返られて、鬼塚 雷蔵(ka3963)が、さあっとちょっとごまかしました。
「あちらのお店では、浴衣の販売や試着もしておりますよ。どうですか?」
すかさず用意しておいたセールストークで、Jが二人を誘導しました。
●CAM像広場
「今日も、商店街が平和でありますように」
パン屋さんの店先からCAM像を見あげて、ミオレスカ(ka3496)が柏手を打ちました。
「やっぱり、イベント中は、いつもと雰囲気が違いますね」
CAM像の周りは笹飾りで囲まれて、いつになく華やかです。さらに、CAM像は、巨大な笹飾りを剣の代わりに両手に持っています。
「おお、CAMがこんなに大人気とは。さすがだ」
コップ酒を片手にCAM像を見あげて、ザレムが喜びました。拝む者まで出るとは、まさに御神体です。観光に来た甲斐がありました……って、あれ? 視察でしたっけ? まあ、CAMが見られればなんでもいいということにしましょう。
「そうそう、支度しなくちゃ。ちょっとお願いしますね」
何かを思い出して、ミオレスカが水牛の「ひこ」さんに言いました。イベント用にとなぜか連れてこられた「ひこ」さんが、「もう~」と返事をします。任せとけということなのでしょうか。
「それにしても、これほどの物を作るとは。同盟の秘密工房も侮れないな。特に、あの手に持った新兵器が素敵だ。ああ、乗ってみたいなあ。なあ、そうは思わないか……」
ザレムがミオレスカに同意を求めようとしましたが、店にいたのはなぜか水牛の「ひこ」さんです。
「酔ったか? エルフが牛に変わった……」
目をごしごしとこすって見なおしますが、やっぱり牛です。……見なかったことにしましょう。何ごともなかったかのように、ザレムはCAM像の方へ移動していきました。
「やあ、今日も男前だね!」
自分たちが制作に関わったCAM像の健在を確かめて、レインが片手を上げて挨拶をしました。
「相変わらず大きいね。まったく、よく作れたものだよ」
ルーエルが改めて感心します。みんなでこのCAM像を作ったのが、もうずいぶん昔のことのようです。
「うん。いいなあ、格好いいなあ。なで回したいなあ」
目をキラキラと輝かせるレインでしたが、反対側でザレムが本当にCAMの足をなでなでしていることには気づいていません。
「ええと、せっかくのお祭りなんだから、もっといろいろ見て回ろうよ」
手をワキワキさせてCAM像に近づいていくレインを引っぱって、ルーエルが言いました。ちょっと、周囲の視線が痛い気がします。
「あ、ごめんね、ルー君」
改めて手を繋ぎなおすと、レインとルーエルは商店街の他の場所を見に行きました。
「しかし、所変われば品変わると言いますが……」
クリムゾンウェストでの七夕祭りを目の当たりにして、観智が軽く溜め息をつきました。まあ、リアルブルーでも、結構フリーダムな飾りが横行していた気もしますが。もともとは乞巧奠とお盆などの行事が混ざり合って生まれた行事ですから、ごった煮や誤解があっても、そうそう気にするものでは……。
「いやいやいや……」
でも、あれはないだろうと、観智は、レインとルーエルの前に現れて勝手に祝福して去って行く七夕仮面を見て頭をかかえました。
「あのう、これで、ホントにいいんでしょうか……」
なんだか分からないままに、願い事叶え隊にされてしまった駐在さんが、隣にいるノリノリのフィネステラ嬢に訊ねました。
羽衣を着けた浴衣でお祓い串サイズの笹飾りを持つという、なんとも納得しがたい格好をさせられています。一応、メガネ型のキラキラした仮面を被って、申し訳程度に顔を隠しています。
「いいのよ、楽しいんだから。ほら、またカップルよ。リア充、爆発おめでとー!」
今度は白露と雷蔵を見つけたフィネステラが、駐在さんの手を引っぱって駆け寄っていきました。
「ほう、ここに願い事を書いた紙を吊すんか。まあ、他人を頼るような願い事なんか……。あっ、いや……」
CAM像の周りの笹に下げられた短冊を眺めて、真龍寺 凱(ka4153)は考え込んでいました。側には、真新しい短冊と筆が用意された机があります。御自由にお書きくださいということなのでしょう。せっかくのお祭りだからと短冊と筆を手に取ってみた凱ですが、はたして何を書いていいのやら。
ふと見ると、仲良くお手々繋いだレインとルーエルの姿が目に入りました。
「いいなあ……」
思わず、『彼女ください』と書いてしまって、正気に返って顔を赤らめます。まあ、誰が書いたか分からないうちに、笹に結んでしまえばいいだけのことです。
自然体を装って短冊を結んでいると、何やら騒がしい人たちが近づいてきます。
「逃げるぞ!」
「きゃあ!」
「待ってー、そこのカップルぅ!」
わけが分からなくて逃げる白露と雷蔵を、フィネステラが追いかけていました。
「なんや、あれ?」
唖然として凱が見とれていると、バッチリとフィネステラと目が合ってしまいました。ピタッと急停止したフィネステラが、凱の方へと方向転換します。
「願い事したのですか? その願い叶えます。見せてください!」
「な、な、何ぃ!?」
フィネステラに迫られて、凱が慌てて短冊を握り締めました。
「いらんから。しっしっ!」
「遠慮しないで見せてください。ちゃんと読みあげて実行してさしあげます!」
ちょっと小悪魔的な可愛い少女に飛びかかられて、凱が慌てます。死んでも、短冊は見せられません。
「見せて、見せて!」
小柄なフィネステラが、ひょんびょん飛び跳ねて凱の持つ短冊に手をのばしました。
「しっしっ、あっちいかんと殺すぞ!」
そう威嚇すると、凱はあわてて逃げだしました。
●浴衣
「前をこう合わせて、それから、こう帯を……」
「きゅううう……」
覚えたての着つけ知識を使って、お嬢様がミオレスカに浴衣を着せていきました。
「うんうん、以前もらった東方の着物とだいたい同じですね」
手順を覚えていきながら、ミオレスカがだいたいの感覚を掴みます。
浴衣販売を目玉にしたお嬢様のお店でしたが、馴染みの薄いデザインの衣服が突然バカ売れすると言うことはありません。やはり、ここは宣伝が大事です。そのため、商店街内での着用を条件に、格安でレンタルを始めたのでした。借りた人は、いわば歩く広告塔となるので、実に効果的な宣伝となります。
「ここなら、安全だろう」
そこへ、フィネステラたちから逃げてきた白露と雷蔵が飛び込んできました。ホッと一息ついて、そこで初めて固く手を握りあっていたことに気づいて、ちょっと慌てて手を離しました。
「いらっしゃいませー」
ミオレスカの着つけを終えたお嬢様が、二人に声をかけました。
「浴衣か。ちょっといいかもしれない。一緒に着てみないか」
そう言って、雷蔵が白露を誘いました。どのみち、しばらくは願い事叶え隊の目から隠れていたいところです。
「はい、お二人様ですねー」
ちょっと戸惑う白露を、有無をも言わせずにお嬢様が更衣室に押し込みました。客は一人たりとも逃がしてはなりません。
白露が着替えている間に、雷蔵が店の者にちょっと何ごとか相談します。その後、雷蔵も別の更衣室に入っていきました。こちらは男なので、さっさと着替え終わります。
「ど、どうかな……?」
浴衣に着替えて戻ってきた白露が、ちょっとうつむきがちに雷蔵に訊ねました。
白地に藍色の金魚模様の浴衣が優艶です。細い腰は、紗の帯でキュッと絞って、解いた銀髪は自然に背へと流しています。素足には、赤い鼻緒の黒い駒下駄なので、ちょっとだけ歩きにくそうです。
「に、似合うぞ」
白露の浴衣姿に見とれる雷蔵も、デュミナス柄の黒い浴衣に下駄という姿になっています。
そのまま、二人は寄り添うようにして、七夕飾りの色鮮やかな商店街へと出ていきました。
●硝子細工屋
チリンチリンと、澄んだ風鈴の音が、夕方の商店街に鳴り響きました。笹の葉をゆらす風に乗って、涼しげに響き渡ります。
たくさんの風鈴を吊り下げた屋台に座っているのは、ウル=ガ(ka3593)です。そこで、透明な硝子の風鈴に、筆で模様を描いています。今ここに飾られているガラス細工は、すべてウルの手作りでした。
「へえ、これが七夕の飾りなんかあ」
そう言って、屋台をのぞき込んだのは耀華(ka4866)です。
「いや、これは風鈴と言って、七夕専用の飾り……というわけではないらしい」
「そうなんやあ」
ウルに言われて、耀華が感心したようにうなずきました。
「今、道の左右に立てた木から吊り下げている飾り、あれが七夕飾りと言うらしい」
「その通りです。あれこそが、リアルブルーの七夕飾り!」
説明するウルに、横から出てきた観智が同意しました。
「綺麗やねえ。そや、なんか買ってこーかな。何がいいやろ、綺麗で目移りしてしまうわあ」
風鈴や、手に持てる小さな笹飾りを見回して、耀華が言いました。じっくりと選んでから、硝子でできた鷺の置物とミニ笹飾りを買います。
「はい、スタンプ。後で、案内所で景品をもらうといい」
耀華の持っていたスタンプ帳に星形のスタンプを押して、ウルが言いました。
●パン屋
ミニ笹飾りを軽く振りながら、耀華は次にミオレスカのパン屋さんにやってきました。『スタンプラリー開催中』、『七夕大売り出し』という幟が、パタパタとはためいています。
「いらっしゃいませ。短冊パン、絶賛販売中です」
店番をしていてくれた「ひこ」さんと交代した浴衣姿のミオレスカが、さかんに客寄せをしています。
「これも、七夕の正式な食べ物なのですか?」
短冊形に焼かれたパンに興味を持って、耀華が訊ねました。
「そんなわけねーやろ。怪しい土産物というところやな」
横からのぞき込んで、凱が言いました。短冊パンだなんて、聞いたこともありません。
「怪しくなんてないですよ。ほら、こうやってチョコで願い事を書いて、サルヴァトーレ・ロッソの方をむいて一気に食べるんです。このとき、声を出してはいけません」
ミオレスカが説明しましたが、ちょっと胡散臭さが増しただけのような気もします。
●短冊
「ほう、短冊コーナーですか。こういうところは、ちゃんとしているんですね」
変に感心してみせると、CAM像側の机で、観智は短冊に願い事を書いてみました。
『パルム達との様に、契約した精霊と思う存分、交流したい』
短冊に文字が躍ります。
「願いが叶うといいのですが……」
そろそろ星が出てきた空には、知っているリアルブルーの星座は見つかりません。綺麗な星空と言うことでは変わりはないのですが。ただ、アルタイルもベガも見つけられない夜空が、ちょっと淋しくも思えたのでした。
「ひえっほ、『リアルブルーに行ってみたい』ひょ……。あぁっ、ひゃべっひゃった!」
短冊パンを口にくわえたままの耀華が、願い事を思わず口にしてしまい、困ったようにもぐもぐと叫びました。
とりあえず結びつけた短冊の横では、ミオレスカの書いた『お料理コンテスト一等賞』の短冊がゆれています。
「これを結びつければ、カップルの神様の不思議パワーで、願いが叶うのよね」
願い事を書いた短冊を持って、レインが言いました。
「カップルの神様って……。だから、それ、絶対に違うと……」
「違いません。カップルは神様で、神様はカップルなのです!」
レインの勘違いを正そうとしたルーエルの前に、突然願い事叶え隊のフィネステラが現れました。
「さあ、願い事を大々的に読みあげるのです!」
フィネステラに短冊を取りあげられそうになって、レインとルーエルがきゃーっと逃げ回りました。
「すみません、すみません」
「にゃあ~」
駐在さんがお客さんたちに謝りながら、フィネステラの首根っこをひょいとつまんで連れていきました。
「ふう、助かった。それで、レインお姉さんは何を書いたの?」
ホッと一息ついたルーエルが、レインに訊ねました。
「ダメ! 見られたら効力なくなっちゃうんだから。ふっ、でも、そっちのは見せてくれてもいいのよ」
「効力なくなるんでしょ。ダメだよ、ダメ!」
そう言ってじゃれ合う二人の短冊には、『お姉さんと、これからも一緒にいられます様に。』、『ルー君がいつまでも私の傍に居てくれますよーに』と書かれていました。
「さあ、この申請書を受理して、願いを叶えてくれ!」
願い事を恥ずかしがるカップルたちとは違って、ザレムはストレートです。一杯引っ掛けてきたので、かなりできあがっています。
「もちろん、叶えましょう。どれどれ……」
駐在さんから逃げだしてきたフィネステラが、喜んでザレムの短冊を受け取りました。
「新型CAMに乗れますように……うーん」
短冊を読みあげたフィネステラがちょっと考え込みます。さすがに、新型CAMは……。
「こいつだ、こいつに乗りたいんだ。ハシゴをくれ!」
「それなら、バッチリよ!」
CAM像の足をバンバン叩くザレムに、フィネステラがニッコリと微笑みました。
「よっしゃ、タナ=ガタ! 今だ、必殺兵器発射だあ!!」
フィネステラが持ってきてくれたハシゴを使って、CAM像の肩によじ登ったザレムが、空を見あげて叫びました。その瞳が赤く輝き、背中に黒い影が伸びます。
すると、CAM像の手に持った笹飾りが一瞬大きくなり、次々と光る三角形を空へと放ちました。それは、角から三方に光を発して、夜空に美しい模様を描きます。まるで、花火のようです。
ザレムはといえば、後で駐在さんにこってりとお説教されることになるわけですが……。
●帰路
「わあ、きれーだねー」
空を見あげて、ルーエルが言いました。
「うん、そろそろ帰ろうか」
そう言って、レインがそっとルーエルの手を握りました。
「いいじゃん、こういう時くらい恋人らしくしようよー!」
ちょっとはにかみながら、レインが言いました。
「どうしても手を繋ぎたいんだね、お姉さん。うん、いいよ。じゃあ、帰ろうっか」
レインの手をしっかり握ると、ルーエルは歩き出しました。
「面白かったねー。いい記念になったね」
同じようにして商店街を出てきた白露が、ニコニコしながら雷蔵に言いました。レンタル浴衣はすでに返したので、二人は最初に商店街に来た時と同じ格好です。
「記念か。これは、ちょっと、今日の記念という物ではないのだけれど……」
そう言うと、雷蔵がお嬢様の店で買っておいた指輪を取り出しました。
「えっ、指輪?」
なんの記念なのかと戸惑う白露の指に、雷蔵が素早く、でもそっとやさしく指輪を填めました。
「さあ、帰るぞ」
用は済んだとばかりに、雷蔵が白露の手を引きます。その指には、真新しい指輪が輝いています。最初に商店街に来る時とは違う格好で、二人は家路へとつきました。
ザッと地面に半円の車輪の跡をつけて、ザレム・アズール(ka0878)が、商店街入り口の宅配所前に魔導二輪「龍雲」を停めました。
「ここが、タナ=ガタとかいう新型CAMの、祭りの場所か」
両側に羽根飾りのついたレイヴンクラウンをシートの上に投げかけると、ザレムは宅配所で龍雲を預かってもらいました。宅配所には厩もあるので、サービスでバイクも預かってくれます。
「それにしても、いつの間に新型CAMなんか作ったんだ。そのお披露目に祭りを開くなど、なんとも粋なはからいだな。きっと、地下に同盟の秘密工房があるに違いない」
盛大に勘違いしながら、ザレムは色とりどりの笹飾りがアーチのように飾られた商店街の通りを進んで行きました。
「いらっしゃいませー。ただいま、七夕セールでスタンプラリーを行っていまーす」
CAM像側の案内所の前では、J(ka3142)が声を張りあげていました。七夕セールの幟につられた天央 観智(ka0896)が、スタンプ帳をもらっています。
「とりあえず、屋台か何かで昼飯かな……。おお、これが、新型か!」
「お食事でしたら、このあたりにお店が集まっています。幟が目印です」
商店街のマップを指さして、Jがザレムにお店を案内しました。
「飲めるか?」
「もちろん、大丈夫ですよ」
「そうか、ありがとよ」
スタンプ帳を受け取ると、さっそくザレムが腹ごしらえにむかいます。ついでに一杯引っ掛ける気満々です。
「ルー君、タナバタだよ、タナバタ! よく分からないけど、カップルの神様が、わんだほーなんだよ!」
幼なじみのルーエル・ゼクシディア(ka2473)を引っぱってきたレイン・レーネリル(ka2887)が、歓声をあげます。なぜか、まるごとでゅなみすを着込んで、ノリノリです。
「七夕って、リアルブルーでの伝説を元にしたお祭りだっけ? カップルは関係あるのかなぁ」
よく分からないやと、ルーエルが答えます。さすがに、着ぐるみと手を繋いでの散策は、ちょっと恥ずかしい気がします。でも、まあ、レインお姉さんは根っからのCAMファンなので仕方ありません。
「関係ありますとも。二人で短冊に願いをかけると、必ず結ばれるのです」
五色の短冊を渡しながら、Jが言い切りました。
「そこのカップルもどうぞ」
「えっ? えっ!?」
突然Jにカップルと言われて、近くにいた浪風 白露(ka1025)がちょっとどぎまぎします。問われるように振り返られて、鬼塚 雷蔵(ka3963)が、さあっとちょっとごまかしました。
「あちらのお店では、浴衣の販売や試着もしておりますよ。どうですか?」
すかさず用意しておいたセールストークで、Jが二人を誘導しました。
●CAM像広場
「今日も、商店街が平和でありますように」
パン屋さんの店先からCAM像を見あげて、ミオレスカ(ka3496)が柏手を打ちました。
「やっぱり、イベント中は、いつもと雰囲気が違いますね」
CAM像の周りは笹飾りで囲まれて、いつになく華やかです。さらに、CAM像は、巨大な笹飾りを剣の代わりに両手に持っています。
「おお、CAMがこんなに大人気とは。さすがだ」
コップ酒を片手にCAM像を見あげて、ザレムが喜びました。拝む者まで出るとは、まさに御神体です。観光に来た甲斐がありました……って、あれ? 視察でしたっけ? まあ、CAMが見られればなんでもいいということにしましょう。
「そうそう、支度しなくちゃ。ちょっとお願いしますね」
何かを思い出して、ミオレスカが水牛の「ひこ」さんに言いました。イベント用にとなぜか連れてこられた「ひこ」さんが、「もう~」と返事をします。任せとけということなのでしょうか。
「それにしても、これほどの物を作るとは。同盟の秘密工房も侮れないな。特に、あの手に持った新兵器が素敵だ。ああ、乗ってみたいなあ。なあ、そうは思わないか……」
ザレムがミオレスカに同意を求めようとしましたが、店にいたのはなぜか水牛の「ひこ」さんです。
「酔ったか? エルフが牛に変わった……」
目をごしごしとこすって見なおしますが、やっぱり牛です。……見なかったことにしましょう。何ごともなかったかのように、ザレムはCAM像の方へ移動していきました。
「やあ、今日も男前だね!」
自分たちが制作に関わったCAM像の健在を確かめて、レインが片手を上げて挨拶をしました。
「相変わらず大きいね。まったく、よく作れたものだよ」
ルーエルが改めて感心します。みんなでこのCAM像を作ったのが、もうずいぶん昔のことのようです。
「うん。いいなあ、格好いいなあ。なで回したいなあ」
目をキラキラと輝かせるレインでしたが、反対側でザレムが本当にCAMの足をなでなでしていることには気づいていません。
「ええと、せっかくのお祭りなんだから、もっといろいろ見て回ろうよ」
手をワキワキさせてCAM像に近づいていくレインを引っぱって、ルーエルが言いました。ちょっと、周囲の視線が痛い気がします。
「あ、ごめんね、ルー君」
改めて手を繋ぎなおすと、レインとルーエルは商店街の他の場所を見に行きました。
「しかし、所変われば品変わると言いますが……」
クリムゾンウェストでの七夕祭りを目の当たりにして、観智が軽く溜め息をつきました。まあ、リアルブルーでも、結構フリーダムな飾りが横行していた気もしますが。もともとは乞巧奠とお盆などの行事が混ざり合って生まれた行事ですから、ごった煮や誤解があっても、そうそう気にするものでは……。
「いやいやいや……」
でも、あれはないだろうと、観智は、レインとルーエルの前に現れて勝手に祝福して去って行く七夕仮面を見て頭をかかえました。
「あのう、これで、ホントにいいんでしょうか……」
なんだか分からないままに、願い事叶え隊にされてしまった駐在さんが、隣にいるノリノリのフィネステラ嬢に訊ねました。
羽衣を着けた浴衣でお祓い串サイズの笹飾りを持つという、なんとも納得しがたい格好をさせられています。一応、メガネ型のキラキラした仮面を被って、申し訳程度に顔を隠しています。
「いいのよ、楽しいんだから。ほら、またカップルよ。リア充、爆発おめでとー!」
今度は白露と雷蔵を見つけたフィネステラが、駐在さんの手を引っぱって駆け寄っていきました。
「ほう、ここに願い事を書いた紙を吊すんか。まあ、他人を頼るような願い事なんか……。あっ、いや……」
CAM像の周りの笹に下げられた短冊を眺めて、真龍寺 凱(ka4153)は考え込んでいました。側には、真新しい短冊と筆が用意された机があります。御自由にお書きくださいということなのでしょう。せっかくのお祭りだからと短冊と筆を手に取ってみた凱ですが、はたして何を書いていいのやら。
ふと見ると、仲良くお手々繋いだレインとルーエルの姿が目に入りました。
「いいなあ……」
思わず、『彼女ください』と書いてしまって、正気に返って顔を赤らめます。まあ、誰が書いたか分からないうちに、笹に結んでしまえばいいだけのことです。
自然体を装って短冊を結んでいると、何やら騒がしい人たちが近づいてきます。
「逃げるぞ!」
「きゃあ!」
「待ってー、そこのカップルぅ!」
わけが分からなくて逃げる白露と雷蔵を、フィネステラが追いかけていました。
「なんや、あれ?」
唖然として凱が見とれていると、バッチリとフィネステラと目が合ってしまいました。ピタッと急停止したフィネステラが、凱の方へと方向転換します。
「願い事したのですか? その願い叶えます。見せてください!」
「な、な、何ぃ!?」
フィネステラに迫られて、凱が慌てて短冊を握り締めました。
「いらんから。しっしっ!」
「遠慮しないで見せてください。ちゃんと読みあげて実行してさしあげます!」
ちょっと小悪魔的な可愛い少女に飛びかかられて、凱が慌てます。死んでも、短冊は見せられません。
「見せて、見せて!」
小柄なフィネステラが、ひょんびょん飛び跳ねて凱の持つ短冊に手をのばしました。
「しっしっ、あっちいかんと殺すぞ!」
そう威嚇すると、凱はあわてて逃げだしました。
●浴衣
「前をこう合わせて、それから、こう帯を……」
「きゅううう……」
覚えたての着つけ知識を使って、お嬢様がミオレスカに浴衣を着せていきました。
「うんうん、以前もらった東方の着物とだいたい同じですね」
手順を覚えていきながら、ミオレスカがだいたいの感覚を掴みます。
浴衣販売を目玉にしたお嬢様のお店でしたが、馴染みの薄いデザインの衣服が突然バカ売れすると言うことはありません。やはり、ここは宣伝が大事です。そのため、商店街内での着用を条件に、格安でレンタルを始めたのでした。借りた人は、いわば歩く広告塔となるので、実に効果的な宣伝となります。
「ここなら、安全だろう」
そこへ、フィネステラたちから逃げてきた白露と雷蔵が飛び込んできました。ホッと一息ついて、そこで初めて固く手を握りあっていたことに気づいて、ちょっと慌てて手を離しました。
「いらっしゃいませー」
ミオレスカの着つけを終えたお嬢様が、二人に声をかけました。
「浴衣か。ちょっといいかもしれない。一緒に着てみないか」
そう言って、雷蔵が白露を誘いました。どのみち、しばらくは願い事叶え隊の目から隠れていたいところです。
「はい、お二人様ですねー」
ちょっと戸惑う白露を、有無をも言わせずにお嬢様が更衣室に押し込みました。客は一人たりとも逃がしてはなりません。
白露が着替えている間に、雷蔵が店の者にちょっと何ごとか相談します。その後、雷蔵も別の更衣室に入っていきました。こちらは男なので、さっさと着替え終わります。
「ど、どうかな……?」
浴衣に着替えて戻ってきた白露が、ちょっとうつむきがちに雷蔵に訊ねました。
白地に藍色の金魚模様の浴衣が優艶です。細い腰は、紗の帯でキュッと絞って、解いた銀髪は自然に背へと流しています。素足には、赤い鼻緒の黒い駒下駄なので、ちょっとだけ歩きにくそうです。
「に、似合うぞ」
白露の浴衣姿に見とれる雷蔵も、デュミナス柄の黒い浴衣に下駄という姿になっています。
そのまま、二人は寄り添うようにして、七夕飾りの色鮮やかな商店街へと出ていきました。
●硝子細工屋
チリンチリンと、澄んだ風鈴の音が、夕方の商店街に鳴り響きました。笹の葉をゆらす風に乗って、涼しげに響き渡ります。
たくさんの風鈴を吊り下げた屋台に座っているのは、ウル=ガ(ka3593)です。そこで、透明な硝子の風鈴に、筆で模様を描いています。今ここに飾られているガラス細工は、すべてウルの手作りでした。
「へえ、これが七夕の飾りなんかあ」
そう言って、屋台をのぞき込んだのは耀華(ka4866)です。
「いや、これは風鈴と言って、七夕専用の飾り……というわけではないらしい」
「そうなんやあ」
ウルに言われて、耀華が感心したようにうなずきました。
「今、道の左右に立てた木から吊り下げている飾り、あれが七夕飾りと言うらしい」
「その通りです。あれこそが、リアルブルーの七夕飾り!」
説明するウルに、横から出てきた観智が同意しました。
「綺麗やねえ。そや、なんか買ってこーかな。何がいいやろ、綺麗で目移りしてしまうわあ」
風鈴や、手に持てる小さな笹飾りを見回して、耀華が言いました。じっくりと選んでから、硝子でできた鷺の置物とミニ笹飾りを買います。
「はい、スタンプ。後で、案内所で景品をもらうといい」
耀華の持っていたスタンプ帳に星形のスタンプを押して、ウルが言いました。
●パン屋
ミニ笹飾りを軽く振りながら、耀華は次にミオレスカのパン屋さんにやってきました。『スタンプラリー開催中』、『七夕大売り出し』という幟が、パタパタとはためいています。
「いらっしゃいませ。短冊パン、絶賛販売中です」
店番をしていてくれた「ひこ」さんと交代した浴衣姿のミオレスカが、さかんに客寄せをしています。
「これも、七夕の正式な食べ物なのですか?」
短冊形に焼かれたパンに興味を持って、耀華が訊ねました。
「そんなわけねーやろ。怪しい土産物というところやな」
横からのぞき込んで、凱が言いました。短冊パンだなんて、聞いたこともありません。
「怪しくなんてないですよ。ほら、こうやってチョコで願い事を書いて、サルヴァトーレ・ロッソの方をむいて一気に食べるんです。このとき、声を出してはいけません」
ミオレスカが説明しましたが、ちょっと胡散臭さが増しただけのような気もします。
●短冊
「ほう、短冊コーナーですか。こういうところは、ちゃんとしているんですね」
変に感心してみせると、CAM像側の机で、観智は短冊に願い事を書いてみました。
『パルム達との様に、契約した精霊と思う存分、交流したい』
短冊に文字が躍ります。
「願いが叶うといいのですが……」
そろそろ星が出てきた空には、知っているリアルブルーの星座は見つかりません。綺麗な星空と言うことでは変わりはないのですが。ただ、アルタイルもベガも見つけられない夜空が、ちょっと淋しくも思えたのでした。
「ひえっほ、『リアルブルーに行ってみたい』ひょ……。あぁっ、ひゃべっひゃった!」
短冊パンを口にくわえたままの耀華が、願い事を思わず口にしてしまい、困ったようにもぐもぐと叫びました。
とりあえず結びつけた短冊の横では、ミオレスカの書いた『お料理コンテスト一等賞』の短冊がゆれています。
「これを結びつければ、カップルの神様の不思議パワーで、願いが叶うのよね」
願い事を書いた短冊を持って、レインが言いました。
「カップルの神様って……。だから、それ、絶対に違うと……」
「違いません。カップルは神様で、神様はカップルなのです!」
レインの勘違いを正そうとしたルーエルの前に、突然願い事叶え隊のフィネステラが現れました。
「さあ、願い事を大々的に読みあげるのです!」
フィネステラに短冊を取りあげられそうになって、レインとルーエルがきゃーっと逃げ回りました。
「すみません、すみません」
「にゃあ~」
駐在さんがお客さんたちに謝りながら、フィネステラの首根っこをひょいとつまんで連れていきました。
「ふう、助かった。それで、レインお姉さんは何を書いたの?」
ホッと一息ついたルーエルが、レインに訊ねました。
「ダメ! 見られたら効力なくなっちゃうんだから。ふっ、でも、そっちのは見せてくれてもいいのよ」
「効力なくなるんでしょ。ダメだよ、ダメ!」
そう言ってじゃれ合う二人の短冊には、『お姉さんと、これからも一緒にいられます様に。』、『ルー君がいつまでも私の傍に居てくれますよーに』と書かれていました。
「さあ、この申請書を受理して、願いを叶えてくれ!」
願い事を恥ずかしがるカップルたちとは違って、ザレムはストレートです。一杯引っ掛けてきたので、かなりできあがっています。
「もちろん、叶えましょう。どれどれ……」
駐在さんから逃げだしてきたフィネステラが、喜んでザレムの短冊を受け取りました。
「新型CAMに乗れますように……うーん」
短冊を読みあげたフィネステラがちょっと考え込みます。さすがに、新型CAMは……。
「こいつだ、こいつに乗りたいんだ。ハシゴをくれ!」
「それなら、バッチリよ!」
CAM像の足をバンバン叩くザレムに、フィネステラがニッコリと微笑みました。
「よっしゃ、タナ=ガタ! 今だ、必殺兵器発射だあ!!」
フィネステラが持ってきてくれたハシゴを使って、CAM像の肩によじ登ったザレムが、空を見あげて叫びました。その瞳が赤く輝き、背中に黒い影が伸びます。
すると、CAM像の手に持った笹飾りが一瞬大きくなり、次々と光る三角形を空へと放ちました。それは、角から三方に光を発して、夜空に美しい模様を描きます。まるで、花火のようです。
ザレムはといえば、後で駐在さんにこってりとお説教されることになるわけですが……。
●帰路
「わあ、きれーだねー」
空を見あげて、ルーエルが言いました。
「うん、そろそろ帰ろうか」
そう言って、レインがそっとルーエルの手を握りました。
「いいじゃん、こういう時くらい恋人らしくしようよー!」
ちょっとはにかみながら、レインが言いました。
「どうしても手を繋ぎたいんだね、お姉さん。うん、いいよ。じゃあ、帰ろうっか」
レインの手をしっかり握ると、ルーエルは歩き出しました。
「面白かったねー。いい記念になったね」
同じようにして商店街を出てきた白露が、ニコニコしながら雷蔵に言いました。レンタル浴衣はすでに返したので、二人は最初に商店街に来た時と同じ格好です。
「記念か。これは、ちょっと、今日の記念という物ではないのだけれど……」
そう言うと、雷蔵がお嬢様の店で買っておいた指輪を取り出しました。
「えっ、指輪?」
なんの記念なのかと戸惑う白露の指に、雷蔵が素早く、でもそっとやさしく指輪を填めました。
「さあ、帰るぞ」
用は済んだとばかりに、雷蔵が白露の手を引きます。その指には、真新しい指輪が輝いています。最初に商店街に来る時とは違う格好で、二人は家路へとつきました。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/08 15:08:39 |