ゲスト
(ka0000)
沼の底から……
マスター:ラムレーズン

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/07/12 19:00
- 完成日
- 2015/07/19 11:49
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
都市部から数日離れたとある森の中、近くの村に住むその狩人は帰り道を急いでいた。
「このままだと日が暮れちまうな……。仕方ない、近道を使うか……」
そう呟いて進路を変えた狩人の前に現れたのは、森の中に開けた沼地。ここには底なし沼があり、普通の村人は近づかない危険地帯だが、狩人達にとっては慎重に進めば何ら問題ない近道として認識されている。
この狩人も先の地面を棒でつついたりして進んでいたのだが、ある場所で棒がずぶりと沈む。
「おっと、ここはヤバイな……」
狩人が棒を引き抜こうとしたその時……、沼の中から突然何かがせり上がって来た!
「う、うわぁぁぁっ!」
狩人の前に現れたのは、現れた部分だけでも5mはあろうかという大蛇。身の危険を感じた狩人は一目散に逃げ出すも、10mほど走ると濡れた草に足を滑らせる。
「あれ? 追って……来ない?」
後ろの沼に大蛇の姿が無いことに狩人が安堵の溜息をもらし、とりあえずこの一帯を出ようと立ち上がり前を向いた時だった。
「ま、前にいるぅぅぅっ!?」
そこには、先程まで真後ろにいたはずの大蛇が、別の沼から鎌首をのぞかせていた……。
なお、この狩人はこの後で運よく逃げ切ることができ、ハンターズオフィスに依頼が持ち込まれることとなる。
「今回現れたのは、大蛇を素体とした雑魔と推定されます」
沼の中に潜み続けるなど、呼吸の必要がない雑魔でなければできない芸当だろう。突然目の前に現れたことについては、沼の底を移動しているのではというのが目撃者の意見だ。
「どうもこの沼は底同士で繋がっているらしく、色々な場所から顔を出しては攻撃を仕掛けて来るようです」
大蛇といえば、噛み付いたり締め付けたりといった攻撃方法を思い浮かべる者が多いだろうが、この雑魔は沼から出ずに獲物を狩るスタイルのようだ。
「近付けば噛み付かれることもあるでしょうが、主な攻撃方法は毒液の散布です」
実際に、襲われた狩人もこれを噴きかけられている。咄嗟に荷物を盾に難を逃れたが、荷物の状態は凄惨たるものだったという。
「どこから出て来るか分からないため、銃器や遠距離魔法があると戦い易いでしょう」
もし近接攻撃を軸とするならば、出てきそうな場所で待ち構えることになるだろう。不用意に駆け回って沼にはまれば、人の手を借り抜け出す必要が出てくる。
「この観点からも、騎乗動物やバイクからは降りた方が良いですね」
基本的にこれらは人間より重いため、戦闘中沼にはまれば助ける暇が無くロストする可能性が高い。
「足元に敵の出現位置と集中力の要求される依頼ですが、皆様なら成し遂げられるはずです。どうか、宜しくお願い致します」
頭を下げて退出する受付嬢を見送ると、ハンター達は準備を整え転移門へと向かうのだった……。
「このままだと日が暮れちまうな……。仕方ない、近道を使うか……」
そう呟いて進路を変えた狩人の前に現れたのは、森の中に開けた沼地。ここには底なし沼があり、普通の村人は近づかない危険地帯だが、狩人達にとっては慎重に進めば何ら問題ない近道として認識されている。
この狩人も先の地面を棒でつついたりして進んでいたのだが、ある場所で棒がずぶりと沈む。
「おっと、ここはヤバイな……」
狩人が棒を引き抜こうとしたその時……、沼の中から突然何かがせり上がって来た!
「う、うわぁぁぁっ!」
狩人の前に現れたのは、現れた部分だけでも5mはあろうかという大蛇。身の危険を感じた狩人は一目散に逃げ出すも、10mほど走ると濡れた草に足を滑らせる。
「あれ? 追って……来ない?」
後ろの沼に大蛇の姿が無いことに狩人が安堵の溜息をもらし、とりあえずこの一帯を出ようと立ち上がり前を向いた時だった。
「ま、前にいるぅぅぅっ!?」
そこには、先程まで真後ろにいたはずの大蛇が、別の沼から鎌首をのぞかせていた……。
なお、この狩人はこの後で運よく逃げ切ることができ、ハンターズオフィスに依頼が持ち込まれることとなる。
「今回現れたのは、大蛇を素体とした雑魔と推定されます」
沼の中に潜み続けるなど、呼吸の必要がない雑魔でなければできない芸当だろう。突然目の前に現れたことについては、沼の底を移動しているのではというのが目撃者の意見だ。
「どうもこの沼は底同士で繋がっているらしく、色々な場所から顔を出しては攻撃を仕掛けて来るようです」
大蛇といえば、噛み付いたり締め付けたりといった攻撃方法を思い浮かべる者が多いだろうが、この雑魔は沼から出ずに獲物を狩るスタイルのようだ。
「近付けば噛み付かれることもあるでしょうが、主な攻撃方法は毒液の散布です」
実際に、襲われた狩人もこれを噴きかけられている。咄嗟に荷物を盾に難を逃れたが、荷物の状態は凄惨たるものだったという。
「どこから出て来るか分からないため、銃器や遠距離魔法があると戦い易いでしょう」
もし近接攻撃を軸とするならば、出てきそうな場所で待ち構えることになるだろう。不用意に駆け回って沼にはまれば、人の手を借り抜け出す必要が出てくる。
「この観点からも、騎乗動物やバイクからは降りた方が良いですね」
基本的にこれらは人間より重いため、戦闘中沼にはまれば助ける暇が無くロストする可能性が高い。
「足元に敵の出現位置と集中力の要求される依頼ですが、皆様なら成し遂げられるはずです。どうか、宜しくお願い致します」
頭を下げて退出する受付嬢を見送ると、ハンター達は準備を整え転移門へと向かうのだった……。
リプレイ本文
●森中行軍
晴れてなお『鬱蒼と』といった表現の似合う森の中を、ハンター達は索敵用にと連れてきた動物達とともに進んで行く。
「ソサエティからの資料だと、もうじき沼に着くはずよ」
ゴールデンレトリバーを先行させる犬養 菜摘(ka3996)が地図を眺めそう言うと、榊 兵庫(ka0010)が作戦確認にと口を開く。
「今回の相手は神出鬼没。俺が囮を務めるから、顔を出したところを思い切り叩いてくれよ」
「……沈まないようにする魔法があるから、ファリス、掛けるの」
死角からの攻撃を覚悟し囮役を買って出た兵庫を始めとする前衛陣が全力を出せるようにと、ウォーターウォークを用意してきたハンター達。ファリス(ka2853)もその使い手の1人だ。
「足場が悪い上に相手は毒持ってるって話だから戦闘が長引くとこちらが不利か、できるだけ速やかに討伐したいところだな」
「そうだな。しかも沼と沼を自在に行き来できると来たもんだ」
柊 真司(ka0705)が敵を分析する横で、ガーレッド・ロアー(ka4994)は相棒のイヌワシを撫でながら強敵の予感にニヤリと笑みを浮かべる。
「沼に出て来る蛇……、ヌルヌル系でシュね」
片や敵の様子を想像したシュマ・グラシア(ka1907)は、カサカサ系との比較を想像して肌をざわざわさせていた。
「いる所にはいるんですよね……。出て来なきゃ狩られる対象にもならなかったんでしょうけど……」
「確かに、世のためには雑魔など出て来ないのが一番じゃな」
出た以上は仕方がないと呟くクオン・サガラ(ka0018)の言葉に、紅薔薇(ka4766)が苦笑を返す頃、ハンター達の前に開けた沼地が姿を現したのだった。
●沼底からの強襲者
沼地に辿り着いたハンター達の中には、雑魔を誘導できないかと仕掛けを考えた者達もいたが、流石にそこまでの時間は無い。各自が配置に着き、兵庫が中央付近の沼に足を踏み入れると同時に、沼の水面が微かに揺れる。
「来るぞ! 皆構えろっ!」
掛け声が響いた直後に沼からせり上がる雑魔に吹き飛ばされながらも、兵庫は体を捻ると渾身の力で長槍を振るう。
「妾は銃がそれほど得意では無いのでな。刀の届く範囲に来てくれて助かったわ」
「蛇野郎、これでも食らいやがれ!」
沼の近くに陣を取っていた紅薔薇が雑魔の腹を薙ぐと、沼の反対側にた真司が巨大化させた刀で鎌首を下から突き上げる。
「この魔法が効けばいいのだけれど……」
味方を巻き込まぬよう、射線に注意し撒かれたクオンの炎が雑魔へ傷を負わせる。魔力そのものはともかく、属性的には普通の手応えだ。
「おじ様のためにも早く倒すの」
火属性魔法の効きが普通なことから風属性ではないと判断したファリスは、敵の属性を見極めようと礫を飛ばすも効果は普通。光属性の刀でも弱点を突けていないところを見るに、どうやらこの雑魔は属性を持っていないようだ。
「となれば、届くなら火力の高い魔法からでシュね」
シュマの放ったファイアアローが雑魔の右側頭部に当たると、左側頭部を菜摘の銃弾が穿つ。
「少し下か……。そう簡単に脳みそ直撃とはいかないわね」
当たったところで意味があるかは微妙だけどねと呟くと、レバーを引き次弾を装填する。歪虚は肉体的には死んでいるので、重要臓器を破壊しても倒せるとは限らない。
「ちょっと遠いが……、狙えるかっ!?」
沼地の角からガーレッドが撃ち出した光線は頭部ではなく、人に当てはめるなら喉の下辺りを撃ち抜いた。先程からハンター達の射線が上部に集中しているが、味方が雑魔の下に集まっているため、誤射を避けると自然にそうなるのだろう。
顔を出した途端に集中砲火を受けた雑魔だが、当然やられてばかりではない。近くにいたハンター達を見回すと、紅薔薇のいる方へ向け毒液を噴きかける。
「防護障壁、展開っ……!」
盾と真司の障壁で実ダメージは殆ど無く、今回は毒液自体もあまり被らずに済んだのだが……。
「蛇の奴め、潜りおったか……」
反撃しようと刀を構えた時には、雑魔は沼に潜っていたのだった……。
●モグラならぬヘビ叩き
その後も顔を出してはハンターとの攻防を繰り広げていた雑魔だったが、段々と頭を出す感覚が長くなっていた。
「頭を出してくれないと話にならないと分かってはいたが、こう粘られるとな……」
「でも、その時間でおじ様が回復できるのは助かるの」
辺りを警戒する真司に、囮として沼に立ちながら回復する兵庫を見つめるファリスが応える。
「……よし、もう大丈夫みたいだね。後はここで休んでな」
犬やワシを使い探索を続けていた菜摘は、毒液に巻き込まれた犬の方を自分の近くに下がらせる。幸運にも致死量では無かったものの、以降は射程を取った自分が狙われないことを祈るしかない。動物に歪虚の間合いを把握してサポートさせるのはやはり至難の業だ。
「上にいる相棒達へ攻撃してこないのは幸いだな」
してこないというよりは、自らを攻撃してくるハンター達を優先して狙っているのだろうが、ガーレッドや菜摘のように射程を取る者にとっては、囮のいる沼が遠く水面が見辛いこともあり、鳥の一鳴きは結構ありがたい。
そして、呟いた直後にその鳴き声が沼地に響き渡った。
「来るか! 頭を出した瞬間に仕掛けるぞ!」
紅薔薇が先手必勝の構えを取ると同時に仲間達も身構える。
「待っていたぞ。とびっきりの斬撃を喰らわせてやろう!」
槍で攻撃を受け流してダメージを抑えた兵庫が返す刃で斬り付けると、仲間達もそれに続き雑魔を攻め立てる。
「アツイ展開になってきたでシュね!」
「向こうも大分削れているはずです……」
シュマやクオンの魔法を受けてのたうつ雑魔は、再び毒液を撒き散らしながら沼の底へと身を隠す。
おそらく、次に頭を出した時が決着の時となるだろう。
●刹那の一撃
先程よりもさらに長い時間が経ち、ウォーターウォークの残り時間が気になりだした頃、真司は沼の水面が微かに揺らいだのを感じ取った。
「……来るぞ!」
「やっとでシュか! こんなに女の子を待たせるなんてお仕置きでシュね!」
掛け声にシュマ達魔法使いや後衛陣が攻撃のタイミングを計る中、今日何度目かの光景が再生される……。
「何度も喰らえば流石に慣れるわっ!」
かと思われたが、兵庫がギリギリで一撃を交わし反撃を入れると、雑魔の動きが一瞬止まる。
「その隙、逃しませんよ……」
「狙うなら、今なの」
そこにファリスやクオン、シュマの魔法が殺到するが、トドメには至らない。雑魔はその瞳に怒りを漲らせると、一撃を入れた兵庫に噛み付き沼に引きずり込もうと大口を開けて迫る。
「お前が攻撃をするその瞬間、それが最大の弱点を曝け出している時だ!」
「お主の口の中は、外の鱗よりも硬いのかのう?」
しかし、かねてからこの時を狙っていたガーレッドの光線が口内を撃ち抜くと、続く紅薔薇も刀を刺し込み口内から雑魔を横に斬り裂いく。それでも雑魔は最期の力を振り絞り兵庫を引きずり込もうとするが、これを一発の銃声が遮った。
「……弱点とは限らなくても、撃たれて効かない場所ではなかったようね」
歪虚の脳天を貫いた菜摘が引いたレバーの音とともに、戦いはハンター達の勝利で幕を閉じた。
長時間に及ぶ戦いが終わり、沼地に張りつめていた緊張が解けていく。
「中々の強敵だったな……。次元の彼方でまた会おう!」
勝利のポーズを決めるガーレッドの後ろでは、前衛陣が跳ねた泥の処理に追われている。
「やはり、随分と泥が跳ねてしまったのう……。早く武具の手入れをして、風呂と洗濯に行きたいのじゃ」
「スキルで自由に動き回れるとはいっても、泥跳ねは防ぎようがないからな」
正直なところ、紅薔薇はともかく兵庫は全身泥まみれ状態だ。
「特に、榊のおじ様は傷に障らないか心配なの……」
「途中に川があったし、そこで少し流しておいたほうがいいでしょうね」
兵庫の身を案じるファリスに、菜摘も化膿などしてはいけないと同意する。
「そうと決まれば、そろそろここを出ましょうか」
となればとクオンが呼びかけると、ここでシュマが手を上げた。
「あ、回数余ってまシュからウォーターウォーク掛けまシュね」
「ああ……。ここにきて沼に落ちたくはないよな」
真司を始めとする仲間達に魔法をかけ終ると、ハンター達は沼地を後にしたのだった……。
晴れてなお『鬱蒼と』といった表現の似合う森の中を、ハンター達は索敵用にと連れてきた動物達とともに進んで行く。
「ソサエティからの資料だと、もうじき沼に着くはずよ」
ゴールデンレトリバーを先行させる犬養 菜摘(ka3996)が地図を眺めそう言うと、榊 兵庫(ka0010)が作戦確認にと口を開く。
「今回の相手は神出鬼没。俺が囮を務めるから、顔を出したところを思い切り叩いてくれよ」
「……沈まないようにする魔法があるから、ファリス、掛けるの」
死角からの攻撃を覚悟し囮役を買って出た兵庫を始めとする前衛陣が全力を出せるようにと、ウォーターウォークを用意してきたハンター達。ファリス(ka2853)もその使い手の1人だ。
「足場が悪い上に相手は毒持ってるって話だから戦闘が長引くとこちらが不利か、できるだけ速やかに討伐したいところだな」
「そうだな。しかも沼と沼を自在に行き来できると来たもんだ」
柊 真司(ka0705)が敵を分析する横で、ガーレッド・ロアー(ka4994)は相棒のイヌワシを撫でながら強敵の予感にニヤリと笑みを浮かべる。
「沼に出て来る蛇……、ヌルヌル系でシュね」
片や敵の様子を想像したシュマ・グラシア(ka1907)は、カサカサ系との比較を想像して肌をざわざわさせていた。
「いる所にはいるんですよね……。出て来なきゃ狩られる対象にもならなかったんでしょうけど……」
「確かに、世のためには雑魔など出て来ないのが一番じゃな」
出た以上は仕方がないと呟くクオン・サガラ(ka0018)の言葉に、紅薔薇(ka4766)が苦笑を返す頃、ハンター達の前に開けた沼地が姿を現したのだった。
●沼底からの強襲者
沼地に辿り着いたハンター達の中には、雑魔を誘導できないかと仕掛けを考えた者達もいたが、流石にそこまでの時間は無い。各自が配置に着き、兵庫が中央付近の沼に足を踏み入れると同時に、沼の水面が微かに揺れる。
「来るぞ! 皆構えろっ!」
掛け声が響いた直後に沼からせり上がる雑魔に吹き飛ばされながらも、兵庫は体を捻ると渾身の力で長槍を振るう。
「妾は銃がそれほど得意では無いのでな。刀の届く範囲に来てくれて助かったわ」
「蛇野郎、これでも食らいやがれ!」
沼の近くに陣を取っていた紅薔薇が雑魔の腹を薙ぐと、沼の反対側にた真司が巨大化させた刀で鎌首を下から突き上げる。
「この魔法が効けばいいのだけれど……」
味方を巻き込まぬよう、射線に注意し撒かれたクオンの炎が雑魔へ傷を負わせる。魔力そのものはともかく、属性的には普通の手応えだ。
「おじ様のためにも早く倒すの」
火属性魔法の効きが普通なことから風属性ではないと判断したファリスは、敵の属性を見極めようと礫を飛ばすも効果は普通。光属性の刀でも弱点を突けていないところを見るに、どうやらこの雑魔は属性を持っていないようだ。
「となれば、届くなら火力の高い魔法からでシュね」
シュマの放ったファイアアローが雑魔の右側頭部に当たると、左側頭部を菜摘の銃弾が穿つ。
「少し下か……。そう簡単に脳みそ直撃とはいかないわね」
当たったところで意味があるかは微妙だけどねと呟くと、レバーを引き次弾を装填する。歪虚は肉体的には死んでいるので、重要臓器を破壊しても倒せるとは限らない。
「ちょっと遠いが……、狙えるかっ!?」
沼地の角からガーレッドが撃ち出した光線は頭部ではなく、人に当てはめるなら喉の下辺りを撃ち抜いた。先程からハンター達の射線が上部に集中しているが、味方が雑魔の下に集まっているため、誤射を避けると自然にそうなるのだろう。
顔を出した途端に集中砲火を受けた雑魔だが、当然やられてばかりではない。近くにいたハンター達を見回すと、紅薔薇のいる方へ向け毒液を噴きかける。
「防護障壁、展開っ……!」
盾と真司の障壁で実ダメージは殆ど無く、今回は毒液自体もあまり被らずに済んだのだが……。
「蛇の奴め、潜りおったか……」
反撃しようと刀を構えた時には、雑魔は沼に潜っていたのだった……。
●モグラならぬヘビ叩き
その後も顔を出してはハンターとの攻防を繰り広げていた雑魔だったが、段々と頭を出す感覚が長くなっていた。
「頭を出してくれないと話にならないと分かってはいたが、こう粘られるとな……」
「でも、その時間でおじ様が回復できるのは助かるの」
辺りを警戒する真司に、囮として沼に立ちながら回復する兵庫を見つめるファリスが応える。
「……よし、もう大丈夫みたいだね。後はここで休んでな」
犬やワシを使い探索を続けていた菜摘は、毒液に巻き込まれた犬の方を自分の近くに下がらせる。幸運にも致死量では無かったものの、以降は射程を取った自分が狙われないことを祈るしかない。動物に歪虚の間合いを把握してサポートさせるのはやはり至難の業だ。
「上にいる相棒達へ攻撃してこないのは幸いだな」
してこないというよりは、自らを攻撃してくるハンター達を優先して狙っているのだろうが、ガーレッドや菜摘のように射程を取る者にとっては、囮のいる沼が遠く水面が見辛いこともあり、鳥の一鳴きは結構ありがたい。
そして、呟いた直後にその鳴き声が沼地に響き渡った。
「来るか! 頭を出した瞬間に仕掛けるぞ!」
紅薔薇が先手必勝の構えを取ると同時に仲間達も身構える。
「待っていたぞ。とびっきりの斬撃を喰らわせてやろう!」
槍で攻撃を受け流してダメージを抑えた兵庫が返す刃で斬り付けると、仲間達もそれに続き雑魔を攻め立てる。
「アツイ展開になってきたでシュね!」
「向こうも大分削れているはずです……」
シュマやクオンの魔法を受けてのたうつ雑魔は、再び毒液を撒き散らしながら沼の底へと身を隠す。
おそらく、次に頭を出した時が決着の時となるだろう。
●刹那の一撃
先程よりもさらに長い時間が経ち、ウォーターウォークの残り時間が気になりだした頃、真司は沼の水面が微かに揺らいだのを感じ取った。
「……来るぞ!」
「やっとでシュか! こんなに女の子を待たせるなんてお仕置きでシュね!」
掛け声にシュマ達魔法使いや後衛陣が攻撃のタイミングを計る中、今日何度目かの光景が再生される……。
「何度も喰らえば流石に慣れるわっ!」
かと思われたが、兵庫がギリギリで一撃を交わし反撃を入れると、雑魔の動きが一瞬止まる。
「その隙、逃しませんよ……」
「狙うなら、今なの」
そこにファリスやクオン、シュマの魔法が殺到するが、トドメには至らない。雑魔はその瞳に怒りを漲らせると、一撃を入れた兵庫に噛み付き沼に引きずり込もうと大口を開けて迫る。
「お前が攻撃をするその瞬間、それが最大の弱点を曝け出している時だ!」
「お主の口の中は、外の鱗よりも硬いのかのう?」
しかし、かねてからこの時を狙っていたガーレッドの光線が口内を撃ち抜くと、続く紅薔薇も刀を刺し込み口内から雑魔を横に斬り裂いく。それでも雑魔は最期の力を振り絞り兵庫を引きずり込もうとするが、これを一発の銃声が遮った。
「……弱点とは限らなくても、撃たれて効かない場所ではなかったようね」
歪虚の脳天を貫いた菜摘が引いたレバーの音とともに、戦いはハンター達の勝利で幕を閉じた。
長時間に及ぶ戦いが終わり、沼地に張りつめていた緊張が解けていく。
「中々の強敵だったな……。次元の彼方でまた会おう!」
勝利のポーズを決めるガーレッドの後ろでは、前衛陣が跳ねた泥の処理に追われている。
「やはり、随分と泥が跳ねてしまったのう……。早く武具の手入れをして、風呂と洗濯に行きたいのじゃ」
「スキルで自由に動き回れるとはいっても、泥跳ねは防ぎようがないからな」
正直なところ、紅薔薇はともかく兵庫は全身泥まみれ状態だ。
「特に、榊のおじ様は傷に障らないか心配なの……」
「途中に川があったし、そこで少し流しておいたほうがいいでしょうね」
兵庫の身を案じるファリスに、菜摘も化膿などしてはいけないと同意する。
「そうと決まれば、そろそろここを出ましょうか」
となればとクオンが呼びかけると、ここでシュマが手を上げた。
「あ、回数余ってまシュからウォーターウォーク掛けまシュね」
「ああ……。ここにきて沼に落ちたくはないよな」
真司を始めとする仲間達に魔法をかけ終ると、ハンター達は沼地を後にしたのだった……。
依頼結果
依頼成功度 | 普通 |
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面白かった! | 4人 |
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MVP一覧
- 亜竜殺し
榊 兵庫(ka0010)
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 犬養 菜摘(ka3996) 人間(リアルブルー)|21才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/07/12 17:30:32 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/11 19:06:52 |