ゲスト
(ka0000)
【聖呪】歪虚ライダー ネル・ベル
マスター:赤山優牙

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/07/27 07:30
- 完成日
- 2015/08/02 23:42
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●フレッサ領主の館にて
王国北西部に位置するフレッサ領でも、王国北部で発生する亜人騒ぎが問題となっていた。
それと同時に、少し厄介な事情にも陥っていた。
具体的には、隣接しているブルダズルダ領が、先のフレッサ領への歪虚侵攻の際に、援軍と称して火事場泥棒していたという事実が判明したからだ。
「これは凄い! これだけの支援を受けられるなんて!」
そういう状況にあるにも関わらず、フレッサ領主は上機嫌だった。目の前の机には金銀宝石が山となっている。
王国からの復興援助が、度重なる遠征や王国北部での騒ぎで渋られているにも関わらず、まったく別のルートから復興支援を受けられたからだ。
「当たり前だ。私の指示通りに、貴様が動いたのだからな」
領主の部屋の一角に、歪虚ネル・ベルが腕組をして立っていた。
復興援助が断られた事、王家派であったブルダズルダ領主と敵対する事をアピールしろというのがネル・ベルの指示であった。
それだけで、ある貴族派の者が近付いてきた。復興支援の援助をしようと……。
見返りは、貴族派への帰順であった。
王国西部は王家派が比較的多い。その中に、楔を入れる為、貴族派が動いたのだ。
「さらに領民から絞り取れれば、私はもっと、もっと、大金持ちだ!」
高笑いが止まらないフレッサ領に、ネル・ベルは炎の矢を飛ばした。
本気で狙ったわけではない。事実、炎の矢は、領主の顔元を通り過ぎていった。
「ひぃぃぃ!」
驚きのあまり、腰を抜かす領主。
「その財宝は貴様の物ではない。今後の為に使うのだ」
「こ、今後!?」
「まずはこの街を復興させる。壊滅した村もだ」
自信満々な表情でカツカツと音を鳴らし歩くと、フワフワのソファーに優雅に腰かけた。
疲弊した領地を回復させる事ができれば、援助した貴族の面目を保つ事ができる。
復興を果たした手腕も評価されれば、フレッサ領主としての影響力を無視できないはずだ。
その領主は、腰を抜かした状態から、なんとか立ち上がり、オロオロとしていた。
「壊滅した村の周辺には、亜人が居座っていると報告が……。それに歪虚の残党も領内にいるという話しで……」
「歪虚の残党は、私の支配下にいるから安心しろ。それより、亜人の方だ」
報告によると亜人は普通のゴブリンではなさそうという事だ。
雰囲気の違うラプターを駆っていた。
一撃離脱で襲いかかってきて、罠を設置しても見抜かれてしまうという狡猾さも併せ持っているという。
「街の兵力は無きに等しい状態でありまして……」
領主の言う通り、街を防衛するのに精一杯なのが現状だ。
「ならば、私自らが赴こう。試したい事もあるしな。貴様はハンターを数人雇っておけ」
それだけ命令すると、ネル・ベルは立ち上がった。
●放棄された畑、荒れた大地
派手さはないが、禍々しい形の黒いエアロパーツが装着された魔導バイクが土煙りをあげて疾走してきた。
バイクは、亜人退治に集まったハンター達の前で止まる。
「貴様ら、ハンター達か」
バイクに乗っていたのは、歪虚ネル・ベルであった。
「その様子を見ると、亜人退治を依頼されたハンターの様だな」
ハンター達の姿を見てネル・ベルはニヤッと笑った。
「私は、この地方の同族を逃す為、邪魔となる亜人を狩っている最中だ。貴様ら、命拾いしたな」
わざわざ、そんな事を言う為に立ち留まったのかという台詞。
立ち去るかと思いきや、なにかと、ポーズを取ったり、考える振りをしている。
「こ、この辺りに出没する亜人は変わったラプターに乗っているという。討伐するなら機動力が必要だろう」
求めてもいないのに、なぜか、説明を始めるネル・ベル。
そして、乗って来たバイクを撫でる。
「この様な、機動力がなければ、苦戦するのは必至だろう……分かっているのか、貴様ら!」
クワっと、突然、声を荒げた。
きっと、なにかを期待しているのだろう。
正直に言えばいいのに、面倒な歪虚である……。
王国北西部に位置するフレッサ領でも、王国北部で発生する亜人騒ぎが問題となっていた。
それと同時に、少し厄介な事情にも陥っていた。
具体的には、隣接しているブルダズルダ領が、先のフレッサ領への歪虚侵攻の際に、援軍と称して火事場泥棒していたという事実が判明したからだ。
「これは凄い! これだけの支援を受けられるなんて!」
そういう状況にあるにも関わらず、フレッサ領主は上機嫌だった。目の前の机には金銀宝石が山となっている。
王国からの復興援助が、度重なる遠征や王国北部での騒ぎで渋られているにも関わらず、まったく別のルートから復興支援を受けられたからだ。
「当たり前だ。私の指示通りに、貴様が動いたのだからな」
領主の部屋の一角に、歪虚ネル・ベルが腕組をして立っていた。
復興援助が断られた事、王家派であったブルダズルダ領主と敵対する事をアピールしろというのがネル・ベルの指示であった。
それだけで、ある貴族派の者が近付いてきた。復興支援の援助をしようと……。
見返りは、貴族派への帰順であった。
王国西部は王家派が比較的多い。その中に、楔を入れる為、貴族派が動いたのだ。
「さらに領民から絞り取れれば、私はもっと、もっと、大金持ちだ!」
高笑いが止まらないフレッサ領に、ネル・ベルは炎の矢を飛ばした。
本気で狙ったわけではない。事実、炎の矢は、領主の顔元を通り過ぎていった。
「ひぃぃぃ!」
驚きのあまり、腰を抜かす領主。
「その財宝は貴様の物ではない。今後の為に使うのだ」
「こ、今後!?」
「まずはこの街を復興させる。壊滅した村もだ」
自信満々な表情でカツカツと音を鳴らし歩くと、フワフワのソファーに優雅に腰かけた。
疲弊した領地を回復させる事ができれば、援助した貴族の面目を保つ事ができる。
復興を果たした手腕も評価されれば、フレッサ領主としての影響力を無視できないはずだ。
その領主は、腰を抜かした状態から、なんとか立ち上がり、オロオロとしていた。
「壊滅した村の周辺には、亜人が居座っていると報告が……。それに歪虚の残党も領内にいるという話しで……」
「歪虚の残党は、私の支配下にいるから安心しろ。それより、亜人の方だ」
報告によると亜人は普通のゴブリンではなさそうという事だ。
雰囲気の違うラプターを駆っていた。
一撃離脱で襲いかかってきて、罠を設置しても見抜かれてしまうという狡猾さも併せ持っているという。
「街の兵力は無きに等しい状態でありまして……」
領主の言う通り、街を防衛するのに精一杯なのが現状だ。
「ならば、私自らが赴こう。試したい事もあるしな。貴様はハンターを数人雇っておけ」
それだけ命令すると、ネル・ベルは立ち上がった。
●放棄された畑、荒れた大地
派手さはないが、禍々しい形の黒いエアロパーツが装着された魔導バイクが土煙りをあげて疾走してきた。
バイクは、亜人退治に集まったハンター達の前で止まる。
「貴様ら、ハンター達か」
バイクに乗っていたのは、歪虚ネル・ベルであった。
「その様子を見ると、亜人退治を依頼されたハンターの様だな」
ハンター達の姿を見てネル・ベルはニヤッと笑った。
「私は、この地方の同族を逃す為、邪魔となる亜人を狩っている最中だ。貴様ら、命拾いしたな」
わざわざ、そんな事を言う為に立ち留まったのかという台詞。
立ち去るかと思いきや、なにかと、ポーズを取ったり、考える振りをしている。
「こ、この辺りに出没する亜人は変わったラプターに乗っているという。討伐するなら機動力が必要だろう」
求めてもいないのに、なぜか、説明を始めるネル・ベル。
そして、乗って来たバイクを撫でる。
「この様な、機動力がなければ、苦戦するのは必至だろう……分かっているのか、貴様ら!」
クワっと、突然、声を荒げた。
きっと、なにかを期待しているのだろう。
正直に言えばいいのに、面倒な歪虚である……。
リプレイ本文
●オープニングの続きより
「……というか、また、貴様らか」
ネル・ベル(kz0082)の視線の先には見知ったハンター達の姿。2人ばかりが初めて見る顔だが、残りの者はなにかと、それぞれ因縁がある。
「そうじゃ! 亜人を倒す為に、ぜひ、ネル・ベル殿の力が不可欠じゃ! かっこ良く助けて欲しいのじゃ!」
満面の笑みを浮かべる星輝 Amhran(ka0724)。
直後、仲間達を振り返る。その顔は笑顔から一転、超絶ジト目であった。これは、この歪虚を褒めちぎり、能力を引き出そうと考えている策士の目だ。
(妹に窘められておる故、手出しはせぬが、フフ……今回は超絶技巧演技で技術と力量を見せてもらうぞ)
なにか黒い声が漏れているが、幸い、歪虚には聞こえなかったようだ。
「まぁ、たまにはこーゆーのも、悪くないね」
十色 エニア(ka0370)が予備に持ってきたトランシーバーを歪虚に渡す。
今回の目的は異形ラプターと亜人の討伐。星輝の狙いもあるし、歪虚を利用するだけ利用しようと思うのは自然なはずだ。
「姐さんが世話んなったそうだな」
歪虚の胸に指を差すジルボ(ka1732)。
この歪虚が星輝の胸に剣を突き立てた時の事を言っているのだろう。
「まぁ、今回は共闘。その力、頼りにしてるぜ」
そう言いながら心の中で、
(仕事が楽になるなら儲けモン。利用できるものは利用しないとな!)
と呟く。星輝とジルボの2人がアイコンタクトでお互いの心の声を通わせ、肩を揺らして笑う。
「ここは一時休戦しようと、そういうことで良いのですね」
怪訝な顔を浮かべるマヘル・ハシバス(ka0440)は、緑髪の少女ノゾミの事を思い出しながら、話をまとめた。
(この人が……ノゾミさんの……本当で無ければいいそう思っていたのですけどね……せめてどんな人物かは見ておきましょうか)
ノゾミと歪虚との関係……今は、それを確認している時でもないし、敢えて訊ねる事でもないと思う。
スッと、エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029)がニッコリと笑いながらスケッチブックを掲げる。彼女は後天性の聴唖者の為、会話時は筆談だからだ。
『とてもかっこいいバイクね』
その言葉に歪虚は誇らしげに胸を張った。
もっと、褒めろという事なのだろうか。ページをめくり、次の言葉を紡ぐ。
『傲慢するに値する姿、貴方にとても似合っているわ』
「よくわかっているではないか」
随分と嬉しそうな雰囲気を醸し出している。
「今の貴方は前より確実に“人らしく”なっていますよ」
そんな歪虚の様子にUisca Amhran(ka0754)が声をかけた。
「歪虚は人にはなれないそうですが、私は人とは心のあり方だと思っていますから」
「面白い事を言う。ますます、連れて帰りたくなったぞ。島へ行っても、そう思っていられるのかな」
不気味な表情を湛えた歪虚に、器用にも怒りの目を浮かべながら最高の笑顔で星輝が間に割って入った。
「さぁ! いざ、亜人狩りへ!」
「その前に、貴様らの名を教えろ。コレを使うのに不便だ」
歪虚がトランシーバーを掲げたのであった。
●探索
ジルボが馬から降りて泥濘を調べていた。
こういう時は狩猟の経験や知識がモノを言う。彼は、くっきり残るある足跡を見つけたのだ。
「どうやら、ラプターの足跡の様だ」
声をかけた相手から言葉の返事は無かった。
エヴァがキュキュとスケッチブックに手早く文字を描いてみせてくる。
『近くなってきた事かな?』
「かもしれないな。事前情報とマヘルからの話によると、狡猾で、危険な存在みたいだし、不意打ちにも気をつけたい」
ただのラプターではないというのは確かのようだ。更に、それに乗るゴブリンである。通常体とは考えにくい。
『ならば、こちらも罠を仕掛けてみましょうか』
「見破られる可能性も……いや、それなら、ありかもな……」
エヴァがスケッチブックに描いた罠を見て、ジルボがニヤリと笑った。
ここは放置された畑である。偶然にも馬耕に使う道具も使える状態で捨ててあったのも幸運であった。それに狩猟の罠知識を組み合わせれば……。
ギュっと鉢巻を締め直すジルボ。それを見て、エヴァはスケッチブックに大きな文字を書き、強調線を入れた。そこには一言、『頑張る!』と記されていた。
魔導エンジンが唸る。
3台のバイクが悪路を、まるで、競う様に駆け抜けて行く。段差を跳ねのけ、泥を吹き飛ばす。
(覚醒の力とはありがたいものですね。バイクなんて乗った事もなかったのに……)
マヘルが自身の力に驚きながらバイクを扱う。覚醒状態ゆえ、身体能力もあがっている事や精霊のサポートもあるからというのも理由かもしれないが。
異形ラプター――巷では「茨」と冠している存在について、知っている情報は仲間に伝えた。後は、ひたすら探索エリアを走り抜けるだけだ。
「もう少し、東側に展開してきます」
「気をつけるのじゃぞ」
距離を広げていったマヘルに向かって星輝が忠告する。
彼女もまた、魔導バイクに乗っている。漆黒の流線型エアロに包まれた二輪は、彼女の小さくまな板な体格に合わせ、小型改造している。ライト下に伸びる紅のアイラインが印象的だった。
「へんた……コホン。ネル・ベル殿! 泥濘にハマったら助太刀します!」
少しは機械知識も持ち合わせているので、多少の事が起こっても乗り越えられる自信があるようで、歪虚に話しかけた。
歪虚は涼しい顔で歪虚仕様のバイクに乗っている。悪路というのに片手運転だ。
「この私が泥にハマるなど、あるわけなかろう」
「そ、そうでした! さすが、ネル・ベル殿です! カッコいい!」
気持ち悪い程の笑顔を歪虚に向ける星輝だった。
「イスカさんの馬は早いね~」
段差が多くありそうな探索エリアを選んだエニアは、同方面を行くUiscaを呼ぶ。
「エニアさん、なにか見つかりましたか?」
「足跡らしきものが……ね」
小高い丘にいくつものラプターの足跡が残っていた。
「地図で言うと、今、この辺りでしょうか」
仲間と連絡を取り合って、地図に探索したエリアを書き込んでいた。自分達の現在地の目星をつける。
「皆と近い位置だね。狭まってきたのかな」
「そうだと思います」
その時、Uiscaが放ったイヌワシが普段と違う鳴き声をあげた。何かを見つけたようだ。
飛んでいくイヌワシの方角の先、ラプターの集団の影をUiscaとエニアが発見したのは、それから、間もなくの事だった。
●戦闘
横一線で向かってくる異形ラプターがサッと散開した。
「明らかに範囲攻撃を警戒していますね」
引き付けた後、攻撃のつもりが、先に散開されてしまっては意味がない。マヘルは魔導エンジンを駆動させた。
機動戦になると想定したからだ。同様に星輝もバイクに跨ったまま、長大な太刀を抜き放つ。あまりの長さに近くにいた歪虚のバイクをかすめた。
「おっと、危なかったのじゃ」
「星輝さん、目が本気です」
エニアがすました顔で呟いた。
「無駄口はいいから、早く乗れ。ただし、どうなってもしらんぞ」
歪虚仕様のバイクに乗っているネル・ベルがエニアに向かって声をかけた。
エニアが2人乗りすると提案したのだ。戦闘に集中できる分、確かに、合理的かもしれないが……。
歪虚のバイクは1人乗りだ。それに無理矢理乗って戦闘できるのは、そのバイクが『歪虚仕様』他ならない。そして、当然の如く、そこには代償も存在した。
「ひゃう!」
歪虚の後ろに乗った途端、バイクの形状がぐにゃりと曲がり、エニアの腰にしがみ付いたのだ。
「だ、大丈夫ですか!? エニアさん!」
驚いてUiscaが心配する。
エニアの顔色が急に悪くなった――気がしたからだ。
「おいおい、旦那。無理矢理2人乗りで、しかも、戦闘できるのか?」
その状態を見てジルボは歪虚に質問する。
バイクの性能を越えた状態で、しかも、悪路。どんなに運転に自信があっても、危険なはずだからだ。
「貴様、この私を誰だと思っているのだ」
歪虚はそう言うと、急発進させた。慌てて歪虚に抱きつくエニア。
当たっている所はビキニアーマーの鎧だから、色々大丈夫な……はず。
『罠を張った場所に巧く誘導できればいいのですが』
エヴァがスケッチブックを掲げた。
仲間には罠の場所を知らせている。機動戦で誘導できれば有利になるはずだ。
ジルボが魔導銃の引き金を連続で引き続ける。
「やっかいな亜人だ!」
彼の言葉通り、異形ラプターを駆るゴブリンは戦い方を知っていた。
二体一組になって、散開すると、立ち留まる事なく、左右から襲いかかってくる。
その中の一組は、ジルボの弾幕によって動きが止まった所で、エヴァが眠りの雲の魔法を使う。
【時間稼ぎ】
と書かれたカードを掲げながら、再び眠りの魔法を使う準備に入る。
ラプターとゴブリン両方が眠らないと、完全に動きが止まる事がなく、その為、時間稼ぎにしかならないからだ。
「移動しながら仲間を掩護する! ついて来れるな?」
馬を前に進めながら、エヴァに声をかけた。彼女も頷きながら足で騎乗している馬に指示を与える。
「足を奪わせて貰いますよ」
マヘルが迫ってくる敵に向かって、デルタレイを放った。光るマテリアルの筋がラプターに直撃した。
ラプターからは、酸を射出したり、乗っている亜人からは弓が放たれる。それらを姿勢を低くしたり、後輪をスライドさせて避ける。
「マヘルさん!」
すれ違うように、ゴースロンを駆る、Uiscaが駆け抜けながら、マテリアルを込めた強烈な一撃をラプターの1体に叩きつける。
吹き飛ぶ亜人。ラプターの方は健在で、酸を鋭く射出したが、ゴースロンのスピードが速く、届かない。
乗り手を失った異形ラプターの背後から、星輝が迫る。
「個々の能力は、わしらの方が上じゃの」
片手で振りかぶった太刀は、魔導バイクの勢いもあり、ラプターの首を切断した。
そこへ、エヴァとマヘルが誘導したラプターが集まる。
Uiscaが片手を天に向けると、そこから光の波動が放たれる。強力な聖導士のスキルだ。
その範囲内に歪虚もいた事に気がついたのは、スキルを放った後の事だった。
「ご、ごめんなさい! 壊すつもりはなかったんです!」
思わず叫んだ。
だが、歪虚の乗るバイクが奇妙な動きを見せて、波動から逃れる。避けられたようだ。
(……ノゾミさんの歌声!?)
その瞬間、マヘルの耳に歌声が聞こえた……気がした。
マテリアルの力で足元が氷付けになって身動きが取れないラプターをエニアが、水球の魔法で粉砕した。
「やるな。なら、この私も少しは本気を出すとするか」
歪虚が不敵な笑みを浮かべると、運転中というのにも関わらず、宙に向かって両手を突き出し、炎の魔法を唱える。
「ちょ、ちょっとぉぉぉ!」
エニアは驚きながら、ショットアンカーを用意する。転倒すると思ったからだ。
だが、バイクは転がる事も、速度も落とす事なく、次の目標に向かって曲がって走る。
「言ってるだろう。歪虚仕様だと」
つまり――歪虚用ではなく、バイクが歪虚化しているようだ。
「だから、わたし、なんだか、疲れやすいのね……」
どうやら、エニアのマテリアルを吸っているようだった。
ジルボの足止め。エヴァとエニアの魔法攻撃に、積極的な機動戦を繰り出す、Uiscaとマヘルと星輝に敵わないと判断して、ラプターが散開して逃げ出す。
『罠の方に行ったのを追撃する』
スケッチブックに走り書きしたエヴァは、それを仲間に見せると、追撃する。その後をマヘルが追いかける。
「私も行きます」
2人が追いかけた先、放置された畑の中でもがくラプターと亜人。
エヴァとジルボが用意した即席の水罠だった。泥を掘って、水を流したので、パッと見は気が付きにくくしてあったのが役に立ったようだ。
魔法による炎と機導術による炎により、罠にハマった敵は黒こげになった。
広く散開して逃げるラプター。その内の2体が遠くの方へ行ってしまうのが見えた。
「アノ距離はワシは無理じゃ……ネル・ベル殿、奴の動きを止めて欲しいのじゃ!」
星輝がこれ以上にない笑顔を歪虚に向けて言った。狙いは逃亡を防ぐ事ではない。傲慢の持つ能力を解明する為だ。
「貴様……私の力を確認したいだけじゃないのか?」
「こ、この前の力の差を見せられて、心を入れ替えたのじゃ!」
胸に残る傷がチラっと見えた。
「俺にもかっちょいいところ見せて欲しいな~」
内心ほくそ笑いながら、ジルボが何度も頷いて見せる。
「ふむ。なら、貴様らに見せよう。星輝よ、太刀を構えていろ」
歪虚がバイクから降りる。
バイクは別のラプターを追いかけるUiscaの後に向かって勝手に走りだして行った。――エニアを乗せたまま。
「降ろしてぇぇぇ~」
エニアの声が響く中、歪虚が星輝に近付く。
思わず身構える星輝。胸の傷痕に歪虚の手が触れ――たと思った瞬間の事だった。
その異様な感覚に、星輝は激しい吐き気に襲われる。しかし、込み上げてきた何かを無理矢理飲みこむと、突如、目の前に現れたラプターを太刀で両断する。
「な、なんじゃ、急に目の前に……いや、違うの。わしが、移動したのじゃ、な……」
歪虚と共に瞬間移動したのだ。
「人間と一緒に飛ぶ事は普通はできないのだがな。どうやら、私自身の力の様だ」
彼にとっても、この状況は初体験であったようだ。
●戦い終えて
ネル・ベルが歪虚バイクの横に立っていた。
彼女がどうしても歪虚とバイクの姿を描きたいと願ったから、上機嫌な歪虚は、描かせていたのだ。
一通り終わった様で、エヴァは歪虚に近付くと、名刺を渡しながらスケッチブックを掲げる。
『バイクをかっこいい塗装にしたくなれば絵描きするので呼んでね』
「まぁ、すぐに剥がれるだろうがな」
歪虚の言葉にバイクが勝手に唸る。抗議しているのか、同意しているのか、分からない。
「それでは、私は行く。ハンター共、さらばだ」
歪虚は高笑いの中、夕日に向かってバイクに乗り、走り去っていった。
「旦那、ちょろかったっすね」
ジルボが目を細めながら、去っていくバイクをみつめると、星輝は深く頷いた。
「まったくじゃ」
そんな2人の後ろで、Uiscaがエニアに回復魔法をかけていた。
怪我はない様なのだが、エニアはぐったりとしている。
「色々と、大惨事になりましたね」
「ほんとだよ……」
バイクの事で言いたい事もあったが、この状況では諦めるしか無いようだ。
マヘルは仲間達の様子と小さくなっていく歪虚の姿を見て、ある事を思っていた。
(いつかは、あの歪虚と戦う事になるでしょうね……)
その時、果たして、あの少女はどうしているのだろうか。
確実に言えるのは、歪虚は敵という事だけ。
なぜなら、彼は、歪虚ライダー ネル・ベル なのだから。
おしまい。
「……というか、また、貴様らか」
ネル・ベル(kz0082)の視線の先には見知ったハンター達の姿。2人ばかりが初めて見る顔だが、残りの者はなにかと、それぞれ因縁がある。
「そうじゃ! 亜人を倒す為に、ぜひ、ネル・ベル殿の力が不可欠じゃ! かっこ良く助けて欲しいのじゃ!」
満面の笑みを浮かべる星輝 Amhran(ka0724)。
直後、仲間達を振り返る。その顔は笑顔から一転、超絶ジト目であった。これは、この歪虚を褒めちぎり、能力を引き出そうと考えている策士の目だ。
(妹に窘められておる故、手出しはせぬが、フフ……今回は超絶技巧演技で技術と力量を見せてもらうぞ)
なにか黒い声が漏れているが、幸い、歪虚には聞こえなかったようだ。
「まぁ、たまにはこーゆーのも、悪くないね」
十色 エニア(ka0370)が予備に持ってきたトランシーバーを歪虚に渡す。
今回の目的は異形ラプターと亜人の討伐。星輝の狙いもあるし、歪虚を利用するだけ利用しようと思うのは自然なはずだ。
「姐さんが世話んなったそうだな」
歪虚の胸に指を差すジルボ(ka1732)。
この歪虚が星輝の胸に剣を突き立てた時の事を言っているのだろう。
「まぁ、今回は共闘。その力、頼りにしてるぜ」
そう言いながら心の中で、
(仕事が楽になるなら儲けモン。利用できるものは利用しないとな!)
と呟く。星輝とジルボの2人がアイコンタクトでお互いの心の声を通わせ、肩を揺らして笑う。
「ここは一時休戦しようと、そういうことで良いのですね」
怪訝な顔を浮かべるマヘル・ハシバス(ka0440)は、緑髪の少女ノゾミの事を思い出しながら、話をまとめた。
(この人が……ノゾミさんの……本当で無ければいいそう思っていたのですけどね……せめてどんな人物かは見ておきましょうか)
ノゾミと歪虚との関係……今は、それを確認している時でもないし、敢えて訊ねる事でもないと思う。
スッと、エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029)がニッコリと笑いながらスケッチブックを掲げる。彼女は後天性の聴唖者の為、会話時は筆談だからだ。
『とてもかっこいいバイクね』
その言葉に歪虚は誇らしげに胸を張った。
もっと、褒めろという事なのだろうか。ページをめくり、次の言葉を紡ぐ。
『傲慢するに値する姿、貴方にとても似合っているわ』
「よくわかっているではないか」
随分と嬉しそうな雰囲気を醸し出している。
「今の貴方は前より確実に“人らしく”なっていますよ」
そんな歪虚の様子にUisca Amhran(ka0754)が声をかけた。
「歪虚は人にはなれないそうですが、私は人とは心のあり方だと思っていますから」
「面白い事を言う。ますます、連れて帰りたくなったぞ。島へ行っても、そう思っていられるのかな」
不気味な表情を湛えた歪虚に、器用にも怒りの目を浮かべながら最高の笑顔で星輝が間に割って入った。
「さぁ! いざ、亜人狩りへ!」
「その前に、貴様らの名を教えろ。コレを使うのに不便だ」
歪虚がトランシーバーを掲げたのであった。
●探索
ジルボが馬から降りて泥濘を調べていた。
こういう時は狩猟の経験や知識がモノを言う。彼は、くっきり残るある足跡を見つけたのだ。
「どうやら、ラプターの足跡の様だ」
声をかけた相手から言葉の返事は無かった。
エヴァがキュキュとスケッチブックに手早く文字を描いてみせてくる。
『近くなってきた事かな?』
「かもしれないな。事前情報とマヘルからの話によると、狡猾で、危険な存在みたいだし、不意打ちにも気をつけたい」
ただのラプターではないというのは確かのようだ。更に、それに乗るゴブリンである。通常体とは考えにくい。
『ならば、こちらも罠を仕掛けてみましょうか』
「見破られる可能性も……いや、それなら、ありかもな……」
エヴァがスケッチブックに描いた罠を見て、ジルボがニヤリと笑った。
ここは放置された畑である。偶然にも馬耕に使う道具も使える状態で捨ててあったのも幸運であった。それに狩猟の罠知識を組み合わせれば……。
ギュっと鉢巻を締め直すジルボ。それを見て、エヴァはスケッチブックに大きな文字を書き、強調線を入れた。そこには一言、『頑張る!』と記されていた。
魔導エンジンが唸る。
3台のバイクが悪路を、まるで、競う様に駆け抜けて行く。段差を跳ねのけ、泥を吹き飛ばす。
(覚醒の力とはありがたいものですね。バイクなんて乗った事もなかったのに……)
マヘルが自身の力に驚きながらバイクを扱う。覚醒状態ゆえ、身体能力もあがっている事や精霊のサポートもあるからというのも理由かもしれないが。
異形ラプター――巷では「茨」と冠している存在について、知っている情報は仲間に伝えた。後は、ひたすら探索エリアを走り抜けるだけだ。
「もう少し、東側に展開してきます」
「気をつけるのじゃぞ」
距離を広げていったマヘルに向かって星輝が忠告する。
彼女もまた、魔導バイクに乗っている。漆黒の流線型エアロに包まれた二輪は、彼女の小さくまな板な体格に合わせ、小型改造している。ライト下に伸びる紅のアイラインが印象的だった。
「へんた……コホン。ネル・ベル殿! 泥濘にハマったら助太刀します!」
少しは機械知識も持ち合わせているので、多少の事が起こっても乗り越えられる自信があるようで、歪虚に話しかけた。
歪虚は涼しい顔で歪虚仕様のバイクに乗っている。悪路というのに片手運転だ。
「この私が泥にハマるなど、あるわけなかろう」
「そ、そうでした! さすが、ネル・ベル殿です! カッコいい!」
気持ち悪い程の笑顔を歪虚に向ける星輝だった。
「イスカさんの馬は早いね~」
段差が多くありそうな探索エリアを選んだエニアは、同方面を行くUiscaを呼ぶ。
「エニアさん、なにか見つかりましたか?」
「足跡らしきものが……ね」
小高い丘にいくつものラプターの足跡が残っていた。
「地図で言うと、今、この辺りでしょうか」
仲間と連絡を取り合って、地図に探索したエリアを書き込んでいた。自分達の現在地の目星をつける。
「皆と近い位置だね。狭まってきたのかな」
「そうだと思います」
その時、Uiscaが放ったイヌワシが普段と違う鳴き声をあげた。何かを見つけたようだ。
飛んでいくイヌワシの方角の先、ラプターの集団の影をUiscaとエニアが発見したのは、それから、間もなくの事だった。
●戦闘
横一線で向かってくる異形ラプターがサッと散開した。
「明らかに範囲攻撃を警戒していますね」
引き付けた後、攻撃のつもりが、先に散開されてしまっては意味がない。マヘルは魔導エンジンを駆動させた。
機動戦になると想定したからだ。同様に星輝もバイクに跨ったまま、長大な太刀を抜き放つ。あまりの長さに近くにいた歪虚のバイクをかすめた。
「おっと、危なかったのじゃ」
「星輝さん、目が本気です」
エニアがすました顔で呟いた。
「無駄口はいいから、早く乗れ。ただし、どうなってもしらんぞ」
歪虚仕様のバイクに乗っているネル・ベルがエニアに向かって声をかけた。
エニアが2人乗りすると提案したのだ。戦闘に集中できる分、確かに、合理的かもしれないが……。
歪虚のバイクは1人乗りだ。それに無理矢理乗って戦闘できるのは、そのバイクが『歪虚仕様』他ならない。そして、当然の如く、そこには代償も存在した。
「ひゃう!」
歪虚の後ろに乗った途端、バイクの形状がぐにゃりと曲がり、エニアの腰にしがみ付いたのだ。
「だ、大丈夫ですか!? エニアさん!」
驚いてUiscaが心配する。
エニアの顔色が急に悪くなった――気がしたからだ。
「おいおい、旦那。無理矢理2人乗りで、しかも、戦闘できるのか?」
その状態を見てジルボは歪虚に質問する。
バイクの性能を越えた状態で、しかも、悪路。どんなに運転に自信があっても、危険なはずだからだ。
「貴様、この私を誰だと思っているのだ」
歪虚はそう言うと、急発進させた。慌てて歪虚に抱きつくエニア。
当たっている所はビキニアーマーの鎧だから、色々大丈夫な……はず。
『罠を張った場所に巧く誘導できればいいのですが』
エヴァがスケッチブックを掲げた。
仲間には罠の場所を知らせている。機動戦で誘導できれば有利になるはずだ。
ジルボが魔導銃の引き金を連続で引き続ける。
「やっかいな亜人だ!」
彼の言葉通り、異形ラプターを駆るゴブリンは戦い方を知っていた。
二体一組になって、散開すると、立ち留まる事なく、左右から襲いかかってくる。
その中の一組は、ジルボの弾幕によって動きが止まった所で、エヴァが眠りの雲の魔法を使う。
【時間稼ぎ】
と書かれたカードを掲げながら、再び眠りの魔法を使う準備に入る。
ラプターとゴブリン両方が眠らないと、完全に動きが止まる事がなく、その為、時間稼ぎにしかならないからだ。
「移動しながら仲間を掩護する! ついて来れるな?」
馬を前に進めながら、エヴァに声をかけた。彼女も頷きながら足で騎乗している馬に指示を与える。
「足を奪わせて貰いますよ」
マヘルが迫ってくる敵に向かって、デルタレイを放った。光るマテリアルの筋がラプターに直撃した。
ラプターからは、酸を射出したり、乗っている亜人からは弓が放たれる。それらを姿勢を低くしたり、後輪をスライドさせて避ける。
「マヘルさん!」
すれ違うように、ゴースロンを駆る、Uiscaが駆け抜けながら、マテリアルを込めた強烈な一撃をラプターの1体に叩きつける。
吹き飛ぶ亜人。ラプターの方は健在で、酸を鋭く射出したが、ゴースロンのスピードが速く、届かない。
乗り手を失った異形ラプターの背後から、星輝が迫る。
「個々の能力は、わしらの方が上じゃの」
片手で振りかぶった太刀は、魔導バイクの勢いもあり、ラプターの首を切断した。
そこへ、エヴァとマヘルが誘導したラプターが集まる。
Uiscaが片手を天に向けると、そこから光の波動が放たれる。強力な聖導士のスキルだ。
その範囲内に歪虚もいた事に気がついたのは、スキルを放った後の事だった。
「ご、ごめんなさい! 壊すつもりはなかったんです!」
思わず叫んだ。
だが、歪虚の乗るバイクが奇妙な動きを見せて、波動から逃れる。避けられたようだ。
(……ノゾミさんの歌声!?)
その瞬間、マヘルの耳に歌声が聞こえた……気がした。
マテリアルの力で足元が氷付けになって身動きが取れないラプターをエニアが、水球の魔法で粉砕した。
「やるな。なら、この私も少しは本気を出すとするか」
歪虚が不敵な笑みを浮かべると、運転中というのにも関わらず、宙に向かって両手を突き出し、炎の魔法を唱える。
「ちょ、ちょっとぉぉぉ!」
エニアは驚きながら、ショットアンカーを用意する。転倒すると思ったからだ。
だが、バイクは転がる事も、速度も落とす事なく、次の目標に向かって曲がって走る。
「言ってるだろう。歪虚仕様だと」
つまり――歪虚用ではなく、バイクが歪虚化しているようだ。
「だから、わたし、なんだか、疲れやすいのね……」
どうやら、エニアのマテリアルを吸っているようだった。
ジルボの足止め。エヴァとエニアの魔法攻撃に、積極的な機動戦を繰り出す、Uiscaとマヘルと星輝に敵わないと判断して、ラプターが散開して逃げ出す。
『罠の方に行ったのを追撃する』
スケッチブックに走り書きしたエヴァは、それを仲間に見せると、追撃する。その後をマヘルが追いかける。
「私も行きます」
2人が追いかけた先、放置された畑の中でもがくラプターと亜人。
エヴァとジルボが用意した即席の水罠だった。泥を掘って、水を流したので、パッと見は気が付きにくくしてあったのが役に立ったようだ。
魔法による炎と機導術による炎により、罠にハマった敵は黒こげになった。
広く散開して逃げるラプター。その内の2体が遠くの方へ行ってしまうのが見えた。
「アノ距離はワシは無理じゃ……ネル・ベル殿、奴の動きを止めて欲しいのじゃ!」
星輝がこれ以上にない笑顔を歪虚に向けて言った。狙いは逃亡を防ぐ事ではない。傲慢の持つ能力を解明する為だ。
「貴様……私の力を確認したいだけじゃないのか?」
「こ、この前の力の差を見せられて、心を入れ替えたのじゃ!」
胸に残る傷がチラっと見えた。
「俺にもかっちょいいところ見せて欲しいな~」
内心ほくそ笑いながら、ジルボが何度も頷いて見せる。
「ふむ。なら、貴様らに見せよう。星輝よ、太刀を構えていろ」
歪虚がバイクから降りる。
バイクは別のラプターを追いかけるUiscaの後に向かって勝手に走りだして行った。――エニアを乗せたまま。
「降ろしてぇぇぇ~」
エニアの声が響く中、歪虚が星輝に近付く。
思わず身構える星輝。胸の傷痕に歪虚の手が触れ――たと思った瞬間の事だった。
その異様な感覚に、星輝は激しい吐き気に襲われる。しかし、込み上げてきた何かを無理矢理飲みこむと、突如、目の前に現れたラプターを太刀で両断する。
「な、なんじゃ、急に目の前に……いや、違うの。わしが、移動したのじゃ、な……」
歪虚と共に瞬間移動したのだ。
「人間と一緒に飛ぶ事は普通はできないのだがな。どうやら、私自身の力の様だ」
彼にとっても、この状況は初体験であったようだ。
●戦い終えて
ネル・ベルが歪虚バイクの横に立っていた。
彼女がどうしても歪虚とバイクの姿を描きたいと願ったから、上機嫌な歪虚は、描かせていたのだ。
一通り終わった様で、エヴァは歪虚に近付くと、名刺を渡しながらスケッチブックを掲げる。
『バイクをかっこいい塗装にしたくなれば絵描きするので呼んでね』
「まぁ、すぐに剥がれるだろうがな」
歪虚の言葉にバイクが勝手に唸る。抗議しているのか、同意しているのか、分からない。
「それでは、私は行く。ハンター共、さらばだ」
歪虚は高笑いの中、夕日に向かってバイクに乗り、走り去っていった。
「旦那、ちょろかったっすね」
ジルボが目を細めながら、去っていくバイクをみつめると、星輝は深く頷いた。
「まったくじゃ」
そんな2人の後ろで、Uiscaがエニアに回復魔法をかけていた。
怪我はない様なのだが、エニアはぐったりとしている。
「色々と、大惨事になりましたね」
「ほんとだよ……」
バイクの事で言いたい事もあったが、この状況では諦めるしか無いようだ。
マヘルは仲間達の様子と小さくなっていく歪虚の姿を見て、ある事を思っていた。
(いつかは、あの歪虚と戦う事になるでしょうね……)
その時、果たして、あの少女はどうしているのだろうか。
確実に言えるのは、歪虚は敵という事だけ。
なぜなら、彼は、歪虚ライダー ネル・ベル なのだから。
おしまい。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/24 20:41:55 |
|
![]() |
【相談卓】噂の歪虚ライダー現る Uisca=S=Amhran(ka0754) エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/07/27 00:59:11 |
|
![]() |
【質問卓】私が質問に答えよう ネル・ベル(kz0082) 歪虚|22才|男性|歪虚(ヴォイド) |
最終発言 2015/07/26 09:05:42 |