ゲスト
(ka0000)
馬度MAX
マスター:韮瀬隈則

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/07/31 15:00
- 完成日
- 2015/08/07 20:47
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
(──まんまと)
辺境の地、有力とは程遠いチンケな歪虚が臍をかむ。
つい数日前。商人とハンターらしい数名がこの地を訪れ、数頭の馬をつれて帰っていった。
それが軍馬の調達だと思い当たったのがつい先ほど。
人類側の機動力を僅かなりとも殺ぎ、地味な嫌がらせでありながら上役には尤もらしい成果を計上できる。もし調達を阻止できていればひどく簡単な仕事だったのに、敵情視察を怠っていた隙にしてやられてしまった。
ここいらへんの高地には、人間ども曰く良い牧草地があり、小規模ながらも軍馬産出を担う数家族がその生業を営んでいるらしい。らしい、というのは規模の小ささから今まで意にも留められなかったことと、この歪虚が現況に気付いたときにはもう、めぼしい軍馬は忌々しいハンター共へ引き渡された後だったためである。
いかに優れた軍馬だろうが数を産出するわけでもあるまいし。
それがこの下位の歪虚の弁であったが、しかし。人類の得は歪虚の損。である。なにやら東方に動きのあるさなか、なにもしなかったでは座りが悪い。一応仕事はしてますよ、的な姿勢は今後も昼行灯をかこつためにも上役向けに示しておく必要があった。
「ああ。逆に考えれば、いま放牧されているのは母馬とその仔、か。文字通り、赤子の手をひねれば、労せずして将来の軍馬へ損害を与えられるわけだ」
モノは言いよう考えようだ。
不如意なのは意欲だけではなく、手元の戦力も、なのだ。
そういえば、馬と牧童を襲うにはうってつけの雑魔が居た。
逃げ惑う馬と抵抗する人間に対し、まさに人馬一体の働きをしてくれるだろう。そう皮算用して、この下級歪虚は雑魔を放ち。昼行灯を灯す仕事にもどった。
●
「放牧地はこの先の高台なの。ここまで同行してくれてありがとう」
そう言って牧童の姉弟らがハンター達と別れたのは、ほんの数分前。のぞめば確かに青々と牧草の茂る丘が広がっている。
居住地から小一時間、近隣地域のヤボ用に訪れたハンター達が帰りの転送装置までの移動中、途中まで行く道は同じだとつきあったのは十数頭の子馬とその母馬、それと幼さの残る牧童数名。馬喰の規模としては中途半端ではある、が、良い軍馬の血統なのだと言われればそういうものかとも思う。
なんにせよ。あの子馬達の成長は楽しみだ、とハンター達はショップの品揃えを思い出す。
と、その時。
鋭い警笛の音が牧草地と街道の間を貫き──
ハンター達が警笛の主を探した先に、つい先ほど別れたばかりの馬と牧童たちが、何者かに追われ高台からの坂を一目散に下っていた。
敵は4騎。
馬に騎乗した亜人。得物はまだ判別つかないが、そう長距離を攻撃できるものでなさそうなのは不幸中の幸いか。
諮詢は無かった。
ハンターのなすべきこと。
人々の救助と歪虚の殲滅。
やがて。
急行したハンター達が敵の姿をはっきりととらえる。
──異形。
誰とも無く口をつくセリフ。
「なんかこいつら、UMA度MAXじゃね?」
(──まんまと)
辺境の地、有力とは程遠いチンケな歪虚が臍をかむ。
つい数日前。商人とハンターらしい数名がこの地を訪れ、数頭の馬をつれて帰っていった。
それが軍馬の調達だと思い当たったのがつい先ほど。
人類側の機動力を僅かなりとも殺ぎ、地味な嫌がらせでありながら上役には尤もらしい成果を計上できる。もし調達を阻止できていればひどく簡単な仕事だったのに、敵情視察を怠っていた隙にしてやられてしまった。
ここいらへんの高地には、人間ども曰く良い牧草地があり、小規模ながらも軍馬産出を担う数家族がその生業を営んでいるらしい。らしい、というのは規模の小ささから今まで意にも留められなかったことと、この歪虚が現況に気付いたときにはもう、めぼしい軍馬は忌々しいハンター共へ引き渡された後だったためである。
いかに優れた軍馬だろうが数を産出するわけでもあるまいし。
それがこの下位の歪虚の弁であったが、しかし。人類の得は歪虚の損。である。なにやら東方に動きのあるさなか、なにもしなかったでは座りが悪い。一応仕事はしてますよ、的な姿勢は今後も昼行灯をかこつためにも上役向けに示しておく必要があった。
「ああ。逆に考えれば、いま放牧されているのは母馬とその仔、か。文字通り、赤子の手をひねれば、労せずして将来の軍馬へ損害を与えられるわけだ」
モノは言いよう考えようだ。
不如意なのは意欲だけではなく、手元の戦力も、なのだ。
そういえば、馬と牧童を襲うにはうってつけの雑魔が居た。
逃げ惑う馬と抵抗する人間に対し、まさに人馬一体の働きをしてくれるだろう。そう皮算用して、この下級歪虚は雑魔を放ち。昼行灯を灯す仕事にもどった。
●
「放牧地はこの先の高台なの。ここまで同行してくれてありがとう」
そう言って牧童の姉弟らがハンター達と別れたのは、ほんの数分前。のぞめば確かに青々と牧草の茂る丘が広がっている。
居住地から小一時間、近隣地域のヤボ用に訪れたハンター達が帰りの転送装置までの移動中、途中まで行く道は同じだとつきあったのは十数頭の子馬とその母馬、それと幼さの残る牧童数名。馬喰の規模としては中途半端ではある、が、良い軍馬の血統なのだと言われればそういうものかとも思う。
なんにせよ。あの子馬達の成長は楽しみだ、とハンター達はショップの品揃えを思い出す。
と、その時。
鋭い警笛の音が牧草地と街道の間を貫き──
ハンター達が警笛の主を探した先に、つい先ほど別れたばかりの馬と牧童たちが、何者かに追われ高台からの坂を一目散に下っていた。
敵は4騎。
馬に騎乗した亜人。得物はまだ判別つかないが、そう長距離を攻撃できるものでなさそうなのは不幸中の幸いか。
諮詢は無かった。
ハンターのなすべきこと。
人々の救助と歪虚の殲滅。
やがて。
急行したハンター達が敵の姿をはっきりととらえる。
──異形。
誰とも無く口をつくセリフ。
「なんかこいつら、UMA度MAXじゃね?」
リプレイ本文
●
異変のほんの数十秒前──
「可愛いかったよねぇ。仔馬ちゃんも妹ちゃんも」
リナリス・リーカノア(ka5126)は先ほど別れた一行との短い同道を思い出し、何度目かの感想に同意を求める。
牧童姉弟の姉は最年長で、それでも十代半ばには達しておらず。弟は先日10歳になったばかり。その弟におねえさん面で接する双子姉妹も、数か月差。辺境の子供たちの早熟さでいっぱしの牧童だけれど、ハンター達と同道のあいだは年相応の受け答えで、リナリスの保護欲は大いに刺激されたものである。
そういえば──
自慢の牧草を試してみてね、と牧童達に勧められてたっけ、とリナリスは自分のバイク燃料が牧草じゃないのを残念に思いながらミルティア・ミルティエラ(ka0155)とフランソワーズ・ガロッテ(ka4590)を振り返る。
「わふー! フランさんと、ゆっくり帰れるのって久しぶりー」
草を食む馬の体を撫でていたフランソワーズの背後に、ぴと、とミルティアが体を密着させる。
「ミルティアちゃんとご一緒しても、いつも忙しないものね……って、ぎゅってするトコ……そこ?」
抱きしめるついでに、フランソワーズの豊満なバストがミルティアにわしわしされる。
(フランさんと戯れるなら! むぎゅっとしなきゃだよね!?)
それがミルティアの弁なら、返すフランソワーズの弁は
(ミルティアちゃんへのお返しはくすぐりの刑に勝るものはなし! だわよ)
ということである。
「ちょっ! やめっ!」
あははと明るい女性二人の歓声に、割って入るか見守るべきか。No.0(ka4640)──レイヴェンの視線が惑う。
「なるほど良い牧草だ。馬の成長が楽しみであるな」
同じく草を食ませていたアバルト・ジンツァー(ka0895)が自分でも葉を噛み、水質が素晴らしいのだと頷く。並ぶ無限 馨(ka0544)がキャップとマスクをずらし、深呼吸して答える。
「空気も気持ちイイっす。VOIDに侵されてない緑の大地、こいつでの初ツーリングがここで良かったっす」
無限自慢の新車、である。鉄馬の主たちにもある種の理想郷を思わせる丘。
──その時、響き渡る警笛。
ささやかな平穏が切り裂かれた。
●
歪虚に追われ坂を駆け下りていく牧童と馬達が、一瞬、進行方向を迷うかのように足を乱す。
「妹ちゃーん! こっちっ!」
リナリスの叫び。急行するハンター達の声は騎乗の振動と向かい風に揺れて、リナリスの声も、いもーたん、と響く。
敵の異形──
まるで馬とともに生きる牧童一族を狙いあざ笑うかのような悪意。
馬の頭を持つ亜人と、亜人の顔を持つ馬と。
双方とも目を血走らせ、口の端から泡を噴きながら、不格好な武装をかかげて牧童を追う。
『ヒャッハー!』『ヒャヒャヒャァ』『焦土ォオ!』
狙いは明らかだ。人馬を問わぬ弱者根絶やし──
このまま街道に逃げて、それからどうする?
集落まで歪虚を引き連れて逃げることはできまい。
撒くにしても、仔馬と母馬はそう長くは走られまい。戦う? 覚醒者でもなく武器もないのに?
絶望の中から牧童達が見い出した生への希望が、ハンター達に届けと吹いた警笛。であった。
(割って入るのは?)
(全員。その後、避難誘導と壁役。そして足止め役に分担……かしら?)
化け物どもと牧童達を物理的に隔てるのが最優先。そうでしょう? と、巨大な三角錐の兜に隠れたレイヴェンの瞳に、フランソワーズも目で答える。
「安全圏まで彼らを頼む……」
「そっちこそ、反転攻勢までよろしく」
猛攻に耐えて弱きを助け、返す刀で敵を討つ。そういうのが燃えるのよね。旧知には手に取るようにわかる、フランソワーズの性分。
「何かを護るお仕事は私の存在意義なんだと思う。だから、壁は任せておいてね」
ミルティアが二人に並ぶ。
抜かせはしないよ。だって私がサポートするんだからね。いつのまにか変わった口調で付け加える。
ハンター達を確認した牧童達が、馬を引き連れ進路を絞る。
──と、再びリナリスの怒号。
「ぅおお? ボ……少年ィィ!?」
一騎だけ……足並みが遅れていた牧童の理由。10歳になったばかりの、牧童姉弟の弟、その少年が。逃走する隊列の殿を買って出ていた。牧童の矜持。男としての名誉。
だれが彼を責められようか。勇気を称えこそすれ。
急がねばなるまい。小さな漢気を無駄に散らせてはなるまい。
ハンター達の横を牧童と馬達がすり抜ける。
先頭の最年長の少女。隊列の行く手と運命を手綱に握りしめ、不安と責任感に歯を食いしばる。これでよいのか。よかったのか。
「それでいい。馬は任せた」
すれ違う一瞬の言葉。少女を重責から救ったレイヴェンのそれは、慰労ではなく自信の回復、である。
少女の顔からこわばりが消える。
「大丈夫よ。その調子。安全圏まで、お姉さんたちがついているから」
フランソワーズが乗騎の向きをかえ、少女に寄り添う。
「街道でも集落でも、行先はどこでも大丈夫。でも、回避と速度が保持できるルートがいいわね」
心当たり、ある? そう問われて少女は頷く。視線の先にはいくつかの大岩と樹木。
あのくらいの障害物、生まれた時から馬の背に乗っていた牧童達と、部族が誇る血筋の軍馬にはなんの縛りにもならない。放牧の戯れに跳び回って遊ぶ彼らの庭だ。
……ただ。今逃げているのは仔馬とその母馬、である。
「長時間は無理、ね。わかった。でもそれ、心配するまでもないことよ?」
ハンターには物足りないくらいの雑魚よ。疲れるヒマなんかないうちに、片付いちゃうからね。そう、フランソワーズはわきわきと指をコミカルに鳴らせてみせる。
「妹たん! 双子たん! 馬の孤立化だけはさせちゃダメだよ!?」
後に続く双子姉妹に、リナリスが呼びかける。バイクのエンジンを噴かせ、これより大きい音でドンパチやるからね、と注意喚起を行う。
やがて軍馬となる仔馬、である。戦闘でトラウマを残せば元も子もない。育成のコントロールはまさに牧童達にかかっていた。
「退避中に危険が及ぶことは、私がさせない。動じず確実に進む軍馬のタマゴ達に期待してるよ」
聖導士の証、法具クロイツハンマーを掲げミルティアが壁役を少女達にも宣言する。信仰心の表明は少し苦手なのだけれど、人を護るためならば抵抗は霧散するのはなぜだろう。
最後の馬列の通過。
頑なに殿を務める少年へ、武人アバルトが役割交代を告げる。
「殿の務めは踏みとどまることだけではない……。おぬしは無事に馬を逃がすことに注力せよ。あのようなゲテモノの対処は、我らハンターの専門だからな」
逆に、馬の扱いはおぬしだけ。我らには出来んのだ。言外に含めた殿の意義。重み。
「俺が鉄壁となる。見えるだろう? 男なら何が立ち塞がっているかを」
レイヴェンの構えるツヴァイシュトースツァーンと魔導タブレット。少年は即座に理解した。軍馬産出を担う一族。生業は違えど彼も男、である。
「ここは俺に任せて安全なところへ馬を連れていくっすよ!」
新手が来る前に手近な獲物を、とでも狙ったのだろうか?
少年に迫っていた異形の歪虚……振り上げられた武器は、あえなく無限の投げたカードで動揺し勢いを削がれた。
本格的な会敵、である。
●
「壁役も足止め役も、ぶっぱオーライ!?」
扇状の包囲迎撃態勢、OK! 仔馬の孤立化防止、OK!
衝撃で一気にあいだを突き放す準備は……もちろんOKだよね!?
リナリスのカウントダウン。
「援護もらえれば、懐もぐってかき回すのなんかラクショーっす。……多分!」
俺もバイクも装甲薄いっすからねぇ。早速お世話になってるっすよ。と、無限がミルティア防御支援を受けたナグルファルを突入態勢に構える。
「一撃離脱は俺も得意とするところだ。存分に暴れて構わん」
アバルトの首肯。巻き込みの心配は要らぬ。タイミング合わせに不都合などありはしない。
「スリープクラウドからのぉ、情け無用のリナリスちゃんファイアー!」
寝落ち(文字通り!)は無理でもドでかい隙は狙えちゃうよね!?
実際、一瞬だけ体をよろめかせた人馬歪虚は、自らの踏んだたたらの揺れですぐ我に返り、しかし続くレイヴェンのデルタレイに手足を貫かれた。そこに重なるリナリスの炎。
「が、墜ちんか……」
文字通りに人馬一体の機動。超回避を包囲で封じるが、片方のダメージを相方即座にカバーする。理性や作戦ではない、本能同志の補完に近い。1対1ではとうてい対処できない超機動。足止めに張りつくつもりが、予想以上に厄介な敵であった。
再度レイヴェンがデルタレイを放ち、アバルトのペネトレイトC26が威嚇射撃に吼える。リナリスの炎の隙間を縫って、超機動の回避先に無限が爆音とともにバイクを割り込ませる。
その無限の鞭、熱気を纏うフィーニクスの一撃を歪虚は防ぎきれなかった。
多面多段、欺瞞と牽制と飽和攻撃。それが短い時間でおきたこと。
無限は転移前の脱出行での現代戦を想起して、アバルトに同意を求める。
「亜人と馬の頭入れ替えるアホで、やりたかった事って……もしかしてアレっすかね?」
「何をどう間違えれば珍妙な兵器ができるのか。リアルブルーの軍事ジョークが皮肉にも的を得た答えだったようだ」
え? なに、どういうこと?
有効攻撃のヒントを観測していたリナリスが蒼世界の元軍人アバルトに問う。
「『何がしたいかわかるが、どうしてこうなった?』というやつだ。欠点を補うのに安易な奇策に走った結果よ」
「厭なニコイチっすよね……」
無限の相槌。次の妨害機会を横目で睨む。
「つまり、馬の感知能力と亜人の攻撃力、亜人の耐性や知能と馬の機動力。良いとこ取りで補完を狙った結果があの化け物だ」
兜に隠れても不機嫌さを滲ませてレイヴェンが言う。冷静さを保つ戦闘メソッドが仇になるとは。
「なーんだ。個々の弱味はそのままじゃない。むしろ欠点倍増?」
「補完が出来なくなった時が見ものね」
せっかく開いた敵と牧童達の距離、大暴れして弱味さらけだすチャンスだわ。
所詮、馬と亜人じゃん?
リナリスとミルティア。紅世界の女性陣はポジティブだ。
「フランさんとの距離、交戦圏から離脱。遠慮はもういりません」
まだ安全圏ではないけれど、流れ弾の心配は皆無。
「索敵潰しから翻弄して叩き落とせ!」
●
──迸る爆音。
「ファイアーボールをガン積みしとくべきだったかなー」
いや、でも、水鉄砲も旬だし色々個人的に都合がよいし?
「構わん。飽和と欺瞞と牽制を浴びせる。矢継ぎ早の一撃離脱と浸透に、奴らの連携は対応できておらん」
そら!
アバルトの威嚇射撃とは違う銃声。
リナリスの魔法と空焚き、無限のバイク機動で揺さぶられ低下した馬頭の索敵で、回避しそこねた歪虚はアバルトのターゲティングのいい的であった。一騎落馬。いや馬から馬が落ちたのをなんと言うべきか?
「アバルトの旦那! そっちにUMAが向かったっすから、俺は背後からUMAを……ってどっちもUMAで紛らわしいわっ!」
流石、機動力抜群のナグルファルっすね。マフラー噴かせて鞭で横薙ぎで、VOIDどもは挙動不審っすよ。とは軽口ではない。疾影士の機動力をそのままに、無限は縦横無尽に駆ける。
すでに落とした歪虚は2騎。一気に落とせないのは敵の超機動のほか、ハンター側のキャパシティ問題である。分離した敵の欠点、その発見と周知を見図るべく、無限はカードをリロードすると揺らいだ態勢を立て直した馬クズ──人面馬に吶喊した。
「ぎゃぁぁあああっっっ!」
無限の悲鳴。そして勝ち誇る『焦土化ァ』という鳴き声。
万一に抜けた歪虚を屠るべく、また万一の怪我人を救うべく、レイヴェンとともに迎撃網を固く構築していたミルティアの耳にも届く。
「いま治療に参ります!」
「大丈夫だ。それより都合3匹の馬クズどもが抜けた。トゲ付き馬具で人間を標的に体当たり、恐れを知らぬが回避は低い」
魔法の衝撃音と銃声の合間にアバルトの返答。冷気付きの一撃を脚に見舞った、とも。
「ちくしょー! 新車のコレが10円傷なら俺は大金持ちっすよ!」
続く無限の雄叫びに、バイクは悲惨でも本人は元気そうだとミルティアの気が抜ける。
「俺が出る。一歩も進ませはしない」
レイヴェンが得物、二つの牙の異名の武器を斧に変化させた。
ミルティアの返答を待たず、レイヴェンのバイクを急転回するその先は、落ち窪んだ眼窩に血走った眼、頭部から繋がる馬のたてがみと一体化した髪を振り乱し走る人面馬。まさに馬のクズ。会敵から今まで、全員の位置関係と戦況把握に努めてきたミルティアならば、トドメを任せたところで回避の利かない劣化馬歪虚など敵ではあるまい。
──スピン、そして一閃!
変則的なバイク機動と腕全体に固定し構えた斧の薙ぎ払いは、しかし、それさえもブラフであった。
避けきれず四肢を切断され転がる1匹のすぐ横。レイヴェンを避けた、と慢心したもう1匹が機導砲によってあいた腹の大穴に気付かぬまま突き進み、ミルティアのストライクブロウで人面を割られ塵と化した。
「私も背に護るものが居ると肝がすわるみたいだから、あまり人のことは言えないのだけれど、ね」
ため息をつくミルティアの背後。
残る抜けた1匹……
姑息にも落ちた回避を障害物で補い、一路、街道に牧童を追おうと図ったクズを、当の大岩の陰に隠れ待ち受けていたフランソワーズのグングニルが貫いていた。
「反転攻勢からの真打登場。爽快にして燃える展開よねぇ。……で、いつから気付いてた?」
ねぇねぇ。期待に満ちた目でフランソワーズがミルティアとレイヴェンに聞く。
「最初から」「絶対来ると思っていた」
「んもぅ。暴れ足りないぶんはくすぐりの刑で発散しちゃうわよ!?」
●
「VOIDのような老馬がいるか!」
心の傷とバイクの傷を深く負った無限が、移動手段を失った最後の馬頭歪虚に怒りをぶつけている。
汚物の消毒、いや残党の掃討は呆れるほど楽だった。
「七支刀で撫でて一発、ってすごい雑魚ちゃんだよねぇ」
「設計ミス以前の珍兵器とはそういうものだ。笑うしかないな」
アバルトの言葉にそういうものかと納得して、リナリスは歪虚殲滅完了の笛を吹いていいものか、確認のため周囲を見回す。
(妹たん、じょーってなってないかな、心配だよ……)
「って、あれ? レイヴェンちゃんぐったりしてるけど大丈夫?」
寄り添うフランソワーズが、「レイくん、しっかりして?」と手を触れると『ほぁぁっ』と悲鳴を上げて鍛えあげられた身体が仰け反った。
「彼、私よりくすぐったがりって、ちょっと意外だったな……」
ミルティアが、弱いのはフランさんに対してだけかもしれないあたり、そういうことだから大丈夫よと目くばせする。
いわゆる、UMAも食わない……というやつだった。
異変のほんの数十秒前──
「可愛いかったよねぇ。仔馬ちゃんも妹ちゃんも」
リナリス・リーカノア(ka5126)は先ほど別れた一行との短い同道を思い出し、何度目かの感想に同意を求める。
牧童姉弟の姉は最年長で、それでも十代半ばには達しておらず。弟は先日10歳になったばかり。その弟におねえさん面で接する双子姉妹も、数か月差。辺境の子供たちの早熟さでいっぱしの牧童だけれど、ハンター達と同道のあいだは年相応の受け答えで、リナリスの保護欲は大いに刺激されたものである。
そういえば──
自慢の牧草を試してみてね、と牧童達に勧められてたっけ、とリナリスは自分のバイク燃料が牧草じゃないのを残念に思いながらミルティア・ミルティエラ(ka0155)とフランソワーズ・ガロッテ(ka4590)を振り返る。
「わふー! フランさんと、ゆっくり帰れるのって久しぶりー」
草を食む馬の体を撫でていたフランソワーズの背後に、ぴと、とミルティアが体を密着させる。
「ミルティアちゃんとご一緒しても、いつも忙しないものね……って、ぎゅってするトコ……そこ?」
抱きしめるついでに、フランソワーズの豊満なバストがミルティアにわしわしされる。
(フランさんと戯れるなら! むぎゅっとしなきゃだよね!?)
それがミルティアの弁なら、返すフランソワーズの弁は
(ミルティアちゃんへのお返しはくすぐりの刑に勝るものはなし! だわよ)
ということである。
「ちょっ! やめっ!」
あははと明るい女性二人の歓声に、割って入るか見守るべきか。No.0(ka4640)──レイヴェンの視線が惑う。
「なるほど良い牧草だ。馬の成長が楽しみであるな」
同じく草を食ませていたアバルト・ジンツァー(ka0895)が自分でも葉を噛み、水質が素晴らしいのだと頷く。並ぶ無限 馨(ka0544)がキャップとマスクをずらし、深呼吸して答える。
「空気も気持ちイイっす。VOIDに侵されてない緑の大地、こいつでの初ツーリングがここで良かったっす」
無限自慢の新車、である。鉄馬の主たちにもある種の理想郷を思わせる丘。
──その時、響き渡る警笛。
ささやかな平穏が切り裂かれた。
●
歪虚に追われ坂を駆け下りていく牧童と馬達が、一瞬、進行方向を迷うかのように足を乱す。
「妹ちゃーん! こっちっ!」
リナリスの叫び。急行するハンター達の声は騎乗の振動と向かい風に揺れて、リナリスの声も、いもーたん、と響く。
敵の異形──
まるで馬とともに生きる牧童一族を狙いあざ笑うかのような悪意。
馬の頭を持つ亜人と、亜人の顔を持つ馬と。
双方とも目を血走らせ、口の端から泡を噴きながら、不格好な武装をかかげて牧童を追う。
『ヒャッハー!』『ヒャヒャヒャァ』『焦土ォオ!』
狙いは明らかだ。人馬を問わぬ弱者根絶やし──
このまま街道に逃げて、それからどうする?
集落まで歪虚を引き連れて逃げることはできまい。
撒くにしても、仔馬と母馬はそう長くは走られまい。戦う? 覚醒者でもなく武器もないのに?
絶望の中から牧童達が見い出した生への希望が、ハンター達に届けと吹いた警笛。であった。
(割って入るのは?)
(全員。その後、避難誘導と壁役。そして足止め役に分担……かしら?)
化け物どもと牧童達を物理的に隔てるのが最優先。そうでしょう? と、巨大な三角錐の兜に隠れたレイヴェンの瞳に、フランソワーズも目で答える。
「安全圏まで彼らを頼む……」
「そっちこそ、反転攻勢までよろしく」
猛攻に耐えて弱きを助け、返す刀で敵を討つ。そういうのが燃えるのよね。旧知には手に取るようにわかる、フランソワーズの性分。
「何かを護るお仕事は私の存在意義なんだと思う。だから、壁は任せておいてね」
ミルティアが二人に並ぶ。
抜かせはしないよ。だって私がサポートするんだからね。いつのまにか変わった口調で付け加える。
ハンター達を確認した牧童達が、馬を引き連れ進路を絞る。
──と、再びリナリスの怒号。
「ぅおお? ボ……少年ィィ!?」
一騎だけ……足並みが遅れていた牧童の理由。10歳になったばかりの、牧童姉弟の弟、その少年が。逃走する隊列の殿を買って出ていた。牧童の矜持。男としての名誉。
だれが彼を責められようか。勇気を称えこそすれ。
急がねばなるまい。小さな漢気を無駄に散らせてはなるまい。
ハンター達の横を牧童と馬達がすり抜ける。
先頭の最年長の少女。隊列の行く手と運命を手綱に握りしめ、不安と責任感に歯を食いしばる。これでよいのか。よかったのか。
「それでいい。馬は任せた」
すれ違う一瞬の言葉。少女を重責から救ったレイヴェンのそれは、慰労ではなく自信の回復、である。
少女の顔からこわばりが消える。
「大丈夫よ。その調子。安全圏まで、お姉さんたちがついているから」
フランソワーズが乗騎の向きをかえ、少女に寄り添う。
「街道でも集落でも、行先はどこでも大丈夫。でも、回避と速度が保持できるルートがいいわね」
心当たり、ある? そう問われて少女は頷く。視線の先にはいくつかの大岩と樹木。
あのくらいの障害物、生まれた時から馬の背に乗っていた牧童達と、部族が誇る血筋の軍馬にはなんの縛りにもならない。放牧の戯れに跳び回って遊ぶ彼らの庭だ。
……ただ。今逃げているのは仔馬とその母馬、である。
「長時間は無理、ね。わかった。でもそれ、心配するまでもないことよ?」
ハンターには物足りないくらいの雑魚よ。疲れるヒマなんかないうちに、片付いちゃうからね。そう、フランソワーズはわきわきと指をコミカルに鳴らせてみせる。
「妹たん! 双子たん! 馬の孤立化だけはさせちゃダメだよ!?」
後に続く双子姉妹に、リナリスが呼びかける。バイクのエンジンを噴かせ、これより大きい音でドンパチやるからね、と注意喚起を行う。
やがて軍馬となる仔馬、である。戦闘でトラウマを残せば元も子もない。育成のコントロールはまさに牧童達にかかっていた。
「退避中に危険が及ぶことは、私がさせない。動じず確実に進む軍馬のタマゴ達に期待してるよ」
聖導士の証、法具クロイツハンマーを掲げミルティアが壁役を少女達にも宣言する。信仰心の表明は少し苦手なのだけれど、人を護るためならば抵抗は霧散するのはなぜだろう。
最後の馬列の通過。
頑なに殿を務める少年へ、武人アバルトが役割交代を告げる。
「殿の務めは踏みとどまることだけではない……。おぬしは無事に馬を逃がすことに注力せよ。あのようなゲテモノの対処は、我らハンターの専門だからな」
逆に、馬の扱いはおぬしだけ。我らには出来んのだ。言外に含めた殿の意義。重み。
「俺が鉄壁となる。見えるだろう? 男なら何が立ち塞がっているかを」
レイヴェンの構えるツヴァイシュトースツァーンと魔導タブレット。少年は即座に理解した。軍馬産出を担う一族。生業は違えど彼も男、である。
「ここは俺に任せて安全なところへ馬を連れていくっすよ!」
新手が来る前に手近な獲物を、とでも狙ったのだろうか?
少年に迫っていた異形の歪虚……振り上げられた武器は、あえなく無限の投げたカードで動揺し勢いを削がれた。
本格的な会敵、である。
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「壁役も足止め役も、ぶっぱオーライ!?」
扇状の包囲迎撃態勢、OK! 仔馬の孤立化防止、OK!
衝撃で一気にあいだを突き放す準備は……もちろんOKだよね!?
リナリスのカウントダウン。
「援護もらえれば、懐もぐってかき回すのなんかラクショーっす。……多分!」
俺もバイクも装甲薄いっすからねぇ。早速お世話になってるっすよ。と、無限がミルティア防御支援を受けたナグルファルを突入態勢に構える。
「一撃離脱は俺も得意とするところだ。存分に暴れて構わん」
アバルトの首肯。巻き込みの心配は要らぬ。タイミング合わせに不都合などありはしない。
「スリープクラウドからのぉ、情け無用のリナリスちゃんファイアー!」
寝落ち(文字通り!)は無理でもドでかい隙は狙えちゃうよね!?
実際、一瞬だけ体をよろめかせた人馬歪虚は、自らの踏んだたたらの揺れですぐ我に返り、しかし続くレイヴェンのデルタレイに手足を貫かれた。そこに重なるリナリスの炎。
「が、墜ちんか……」
文字通りに人馬一体の機動。超回避を包囲で封じるが、片方のダメージを相方即座にカバーする。理性や作戦ではない、本能同志の補完に近い。1対1ではとうてい対処できない超機動。足止めに張りつくつもりが、予想以上に厄介な敵であった。
再度レイヴェンがデルタレイを放ち、アバルトのペネトレイトC26が威嚇射撃に吼える。リナリスの炎の隙間を縫って、超機動の回避先に無限が爆音とともにバイクを割り込ませる。
その無限の鞭、熱気を纏うフィーニクスの一撃を歪虚は防ぎきれなかった。
多面多段、欺瞞と牽制と飽和攻撃。それが短い時間でおきたこと。
無限は転移前の脱出行での現代戦を想起して、アバルトに同意を求める。
「亜人と馬の頭入れ替えるアホで、やりたかった事って……もしかしてアレっすかね?」
「何をどう間違えれば珍妙な兵器ができるのか。リアルブルーの軍事ジョークが皮肉にも的を得た答えだったようだ」
え? なに、どういうこと?
有効攻撃のヒントを観測していたリナリスが蒼世界の元軍人アバルトに問う。
「『何がしたいかわかるが、どうしてこうなった?』というやつだ。欠点を補うのに安易な奇策に走った結果よ」
「厭なニコイチっすよね……」
無限の相槌。次の妨害機会を横目で睨む。
「つまり、馬の感知能力と亜人の攻撃力、亜人の耐性や知能と馬の機動力。良いとこ取りで補完を狙った結果があの化け物だ」
兜に隠れても不機嫌さを滲ませてレイヴェンが言う。冷静さを保つ戦闘メソッドが仇になるとは。
「なーんだ。個々の弱味はそのままじゃない。むしろ欠点倍増?」
「補完が出来なくなった時が見ものね」
せっかく開いた敵と牧童達の距離、大暴れして弱味さらけだすチャンスだわ。
所詮、馬と亜人じゃん?
リナリスとミルティア。紅世界の女性陣はポジティブだ。
「フランさんとの距離、交戦圏から離脱。遠慮はもういりません」
まだ安全圏ではないけれど、流れ弾の心配は皆無。
「索敵潰しから翻弄して叩き落とせ!」
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──迸る爆音。
「ファイアーボールをガン積みしとくべきだったかなー」
いや、でも、水鉄砲も旬だし色々個人的に都合がよいし?
「構わん。飽和と欺瞞と牽制を浴びせる。矢継ぎ早の一撃離脱と浸透に、奴らの連携は対応できておらん」
そら!
アバルトの威嚇射撃とは違う銃声。
リナリスの魔法と空焚き、無限のバイク機動で揺さぶられ低下した馬頭の索敵で、回避しそこねた歪虚はアバルトのターゲティングのいい的であった。一騎落馬。いや馬から馬が落ちたのをなんと言うべきか?
「アバルトの旦那! そっちにUMAが向かったっすから、俺は背後からUMAを……ってどっちもUMAで紛らわしいわっ!」
流石、機動力抜群のナグルファルっすね。マフラー噴かせて鞭で横薙ぎで、VOIDどもは挙動不審っすよ。とは軽口ではない。疾影士の機動力をそのままに、無限は縦横無尽に駆ける。
すでに落とした歪虚は2騎。一気に落とせないのは敵の超機動のほか、ハンター側のキャパシティ問題である。分離した敵の欠点、その発見と周知を見図るべく、無限はカードをリロードすると揺らいだ態勢を立て直した馬クズ──人面馬に吶喊した。
「ぎゃぁぁあああっっっ!」
無限の悲鳴。そして勝ち誇る『焦土化ァ』という鳴き声。
万一に抜けた歪虚を屠るべく、また万一の怪我人を救うべく、レイヴェンとともに迎撃網を固く構築していたミルティアの耳にも届く。
「いま治療に参ります!」
「大丈夫だ。それより都合3匹の馬クズどもが抜けた。トゲ付き馬具で人間を標的に体当たり、恐れを知らぬが回避は低い」
魔法の衝撃音と銃声の合間にアバルトの返答。冷気付きの一撃を脚に見舞った、とも。
「ちくしょー! 新車のコレが10円傷なら俺は大金持ちっすよ!」
続く無限の雄叫びに、バイクは悲惨でも本人は元気そうだとミルティアの気が抜ける。
「俺が出る。一歩も進ませはしない」
レイヴェンが得物、二つの牙の異名の武器を斧に変化させた。
ミルティアの返答を待たず、レイヴェンのバイクを急転回するその先は、落ち窪んだ眼窩に血走った眼、頭部から繋がる馬のたてがみと一体化した髪を振り乱し走る人面馬。まさに馬のクズ。会敵から今まで、全員の位置関係と戦況把握に努めてきたミルティアならば、トドメを任せたところで回避の利かない劣化馬歪虚など敵ではあるまい。
──スピン、そして一閃!
変則的なバイク機動と腕全体に固定し構えた斧の薙ぎ払いは、しかし、それさえもブラフであった。
避けきれず四肢を切断され転がる1匹のすぐ横。レイヴェンを避けた、と慢心したもう1匹が機導砲によってあいた腹の大穴に気付かぬまま突き進み、ミルティアのストライクブロウで人面を割られ塵と化した。
「私も背に護るものが居ると肝がすわるみたいだから、あまり人のことは言えないのだけれど、ね」
ため息をつくミルティアの背後。
残る抜けた1匹……
姑息にも落ちた回避を障害物で補い、一路、街道に牧童を追おうと図ったクズを、当の大岩の陰に隠れ待ち受けていたフランソワーズのグングニルが貫いていた。
「反転攻勢からの真打登場。爽快にして燃える展開よねぇ。……で、いつから気付いてた?」
ねぇねぇ。期待に満ちた目でフランソワーズがミルティアとレイヴェンに聞く。
「最初から」「絶対来ると思っていた」
「んもぅ。暴れ足りないぶんはくすぐりの刑で発散しちゃうわよ!?」
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「VOIDのような老馬がいるか!」
心の傷とバイクの傷を深く負った無限が、移動手段を失った最後の馬頭歪虚に怒りをぶつけている。
汚物の消毒、いや残党の掃討は呆れるほど楽だった。
「七支刀で撫でて一発、ってすごい雑魚ちゃんだよねぇ」
「設計ミス以前の珍兵器とはそういうものだ。笑うしかないな」
アバルトの言葉にそういうものかと納得して、リナリスは歪虚殲滅完了の笛を吹いていいものか、確認のため周囲を見回す。
(妹たん、じょーってなってないかな、心配だよ……)
「って、あれ? レイヴェンちゃんぐったりしてるけど大丈夫?」
寄り添うフランソワーズが、「レイくん、しっかりして?」と手を触れると『ほぁぁっ』と悲鳴を上げて鍛えあげられた身体が仰け反った。
「彼、私よりくすぐったがりって、ちょっと意外だったな……」
ミルティアが、弱いのはフランさんに対してだけかもしれないあたり、そういうことだから大丈夫よと目くばせする。
いわゆる、UMAも食わない……というやつだった。
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相談の場 No.0(ka4640) 人間(リアルブルー)|20才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2015/07/30 03:42:18 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/28 15:26:15 |