ゲスト
(ka0000)
ロックバンド『エクリプス』とサマーフェス
マスター:sagitta

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~10人
- サポート
- 0~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/08/08 19:00
- 完成日
- 2015/08/17 23:24
このシナリオは1日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「おまえら! 暑さなんかに負けてるんじゃねぇ! 俺たちの曲で、もっともっと暑くなろうぜ!!」
ヴォーカル、蒼(ソウ)の叫びに応え、観客からウォーッと歓声が上がった。それにあわせ、紅(ベニ)のかき鳴らしたギターがギューン、と歪んだ音を響かせる。
「聴いてくれ、この日の為につくってきた新曲、『燃える紅』!」
蒼の言葉に合わせ、白(ハク)のドラムが、激しいビートを刻みはじめた。彼と目を合わせて笑顔を見せ、ベースの烏(カラス)が軽やかなフレーズをつま弾いた。
わずかに遅れて、鳴り響く鍵盤の音。キーボードの翠(スイ)が、メロディアスな音を奏ではじめると、熱気に満ちていた観客の視線が、吸い込まれるようにステージに引きよせられた。
一度しかない人生を 燃え上がらせてみようぜ
紅く紅く たとえ燃え尽きてしまっても
さぁ 俺たちが今 手を伸ばすから
今すぐこの手を取って 走り出そうぜ
Burnin' out together!
●
「この時期になると、いつも思い出すよな。……真夏の野外でやった、ロックフェスを」
リアルブルーから転移してきたロックバンド、『エクリプス』のヴォーカルの蒼(ソウ)が、昼下がりの酒場で興奮気味につぶやいた。
「懐かしいなぁ。あの熱狂、興奮、音楽三昧の日々、またやりたいなぁ」
ベースの烏(カラス)が、遠い目をしながら応じた。
「蒼なんて興奮しちゃって、ステージから落ちそうだったもんね!」
ニコニコしながら言ったのは、少年のような見た目の、キーボードの翠(スイ)。
「そういう翠だって、前日眠れない、ってたいへんだったじゃないか」
翠の頭を小突いておおらかに笑ったのは、ドラムの白(ハク)だ。
「……やろう。こっちでも」
ぼそり、とつぶやいたギターの紅(ベニ)に、メンバー全員の視線が集中した。
「できないことはないだろう。たぶん」
「そうだよね、こっちでのライブも、成功したんだしね!」
紅の言葉に、翠がうんうん、とうなずいてみせる。
彼ら『エクリプス』は、少し前にハンターたちの協力を得て、ここ、クリムゾンウェストでの初ライブを成功させたばかりだった。彼らの得意とする電子楽器は、こちらでは電力を思うように供給できない。それでも、代替の楽器と、「エクラ教の聖堂」という、思いがけない会場を得て、盛況のうちにライブをやり遂げたのだった。
「この間のように電気のいらない楽器を使えば、野外だってなんとかなるな。さすがに聖堂のオルガンを使うわけにはいかないが――」
「ま、なんとかなるでしょ。なんなら手拍子だっていいよ? それとも僕踊っちゃう?」
烏の言葉に、翠がうれしそうに茶々を入れる。いつも明るい美少年の翠が踊れば、確かに目を引きそうではあるが。
「出演メンバーの、音楽のジャンルはこだわらないようにしよう。こっちの世界の音楽を発表するステージがあってもいい。なんならハンターたちにステージに上がってもらってもいいな」
蒼が言うと、メンバーたちが、もっともだ、というようにうなずいた。
「ってことはまた、ハンターたちの協力を頼んでみるんだね。楽しみだなぁ」
白がメンバーの心を代弁するかのように、期待に満ちた笑顔でそう言った。
「おまえら! 暑さなんかに負けてるんじゃねぇ! 俺たちの曲で、もっともっと暑くなろうぜ!!」
ヴォーカル、蒼(ソウ)の叫びに応え、観客からウォーッと歓声が上がった。それにあわせ、紅(ベニ)のかき鳴らしたギターがギューン、と歪んだ音を響かせる。
「聴いてくれ、この日の為につくってきた新曲、『燃える紅』!」
蒼の言葉に合わせ、白(ハク)のドラムが、激しいビートを刻みはじめた。彼と目を合わせて笑顔を見せ、ベースの烏(カラス)が軽やかなフレーズをつま弾いた。
わずかに遅れて、鳴り響く鍵盤の音。キーボードの翠(スイ)が、メロディアスな音を奏ではじめると、熱気に満ちていた観客の視線が、吸い込まれるようにステージに引きよせられた。
一度しかない人生を 燃え上がらせてみようぜ
紅く紅く たとえ燃え尽きてしまっても
さぁ 俺たちが今 手を伸ばすから
今すぐこの手を取って 走り出そうぜ
Burnin' out together!
●
「この時期になると、いつも思い出すよな。……真夏の野外でやった、ロックフェスを」
リアルブルーから転移してきたロックバンド、『エクリプス』のヴォーカルの蒼(ソウ)が、昼下がりの酒場で興奮気味につぶやいた。
「懐かしいなぁ。あの熱狂、興奮、音楽三昧の日々、またやりたいなぁ」
ベースの烏(カラス)が、遠い目をしながら応じた。
「蒼なんて興奮しちゃって、ステージから落ちそうだったもんね!」
ニコニコしながら言ったのは、少年のような見た目の、キーボードの翠(スイ)。
「そういう翠だって、前日眠れない、ってたいへんだったじゃないか」
翠の頭を小突いておおらかに笑ったのは、ドラムの白(ハク)だ。
「……やろう。こっちでも」
ぼそり、とつぶやいたギターの紅(ベニ)に、メンバー全員の視線が集中した。
「できないことはないだろう。たぶん」
「そうだよね、こっちでのライブも、成功したんだしね!」
紅の言葉に、翠がうんうん、とうなずいてみせる。
彼ら『エクリプス』は、少し前にハンターたちの協力を得て、ここ、クリムゾンウェストでの初ライブを成功させたばかりだった。彼らの得意とする電子楽器は、こちらでは電力を思うように供給できない。それでも、代替の楽器と、「エクラ教の聖堂」という、思いがけない会場を得て、盛況のうちにライブをやり遂げたのだった。
「この間のように電気のいらない楽器を使えば、野外だってなんとかなるな。さすがに聖堂のオルガンを使うわけにはいかないが――」
「ま、なんとかなるでしょ。なんなら手拍子だっていいよ? それとも僕踊っちゃう?」
烏の言葉に、翠がうれしそうに茶々を入れる。いつも明るい美少年の翠が踊れば、確かに目を引きそうではあるが。
「出演メンバーの、音楽のジャンルはこだわらないようにしよう。こっちの世界の音楽を発表するステージがあってもいい。なんならハンターたちにステージに上がってもらってもいいな」
蒼が言うと、メンバーたちが、もっともだ、というようにうなずいた。
「ってことはまた、ハンターたちの協力を頼んでみるんだね。楽しみだなぁ」
白がメンバーの心を代弁するかのように、期待に満ちた笑顔でそう言った。
リプレイ本文
●
「えんどれす さまあぁ あげいん! です!」
「えんどれす さまあぁ あげいん?」
来未 結(ka4610)が興奮気味に、かわいらしく拳を突き出してみせると、彼女の恋人であるミューレ(ka4567)もよくわからないながらに唱和する。野外ロックフェスの打ち合わせの場で久しぶりに『エクリプス』のメンバーと再会した結が、「夏ふぇすとは何か」、恋人のミューレに向かって熱く語っていたところだった。興奮した結が思わず口にしたのが冒頭の言葉だ。
「おう、エンドレスサマー、アゲイン!」
楽しそうに語る結の様子をながめていた『エクリプス』のヴォーカルの蒼が、心からうれしそうな笑顔を見せ、握り拳をつくって結の拳にこつん、とぶつける。彼らの声に何事かと近づいてきたキーボードの翠も、はしゃいだ様子でそれに乗ってくる。
「お前ら、いったい何やってるんだー?」
ベースの烏が、半分呆れたような、しかし優しげな微笑みを浮かべながら声をかけてくる。
「ロックだよ、ロック!」
蒼が唾を飛ばしながら応えると、烏がコツン、と彼の頭を小突きながら言う。
「ロックは本番のステージの上まで取っとけ、まずは作戦会議するぞー。せっかくまた、ハンターのみんなが協力してくれてるんだ。見ろ、みんなやる気満々だぞ」
烏が、打ち合わせ会場である酒場のテーブルを示してみせる。そこに集まったハンターたちの表情は、彼の言うとおり、生き生きしていた。
「初めまして、エルバッハ・リオンです。よろしければ、エルと呼んでください。よろしくお願いします」
丁寧にメンバーに向けて挨拶をしたのは、エルバッハ・リオン(ka2434)だ。
「音楽祭……素晴らしいと思います」
「音楽祭ね……ま、たまには息抜きもしないとね」
口々に言ったのは、アニス・エリダヌス(ka2491)とミルティア・ミルティエラ(ka0155)だ。
「もう一回エクリプスが聞けるってことなら、全力で力を貸すぜ!」
頼もしくも親指を立ててみせたのはヒュムネ・ミュンスター(ka4288)だ。
「まず最初に決めなくちゃいけないのは、屋外ライブの会場だが……俺様に考えがあるんだ」
ヒュムネが、自信ありげにニヤリと笑った。
「屋外ライブで真っ先に悩んだのは音響だ。此処じゃまともな音響機器が無いせいで、野外じゃ音が響かねぇ……。次に集客だ。あんまり辺鄙な場所だったり、前例の少ない場所だと人や出店が集まらねぇ。あんまり遠くから来れる奴らは少ねぇから、交通の便も良い所が望ましい。……これらすべてを解決する場所が、ひとつある」
ヒュムネがそこで、メンバーたちの顔を見回した。5人とも、真剣な表情で話を聞いている。
「ピースホライズンだ」
そう口にすると、メンバーたちの顔に、なるほど、という表情が浮かぶ。
「そうか、谷の音響効果を使うのか」
感心した表情で、ぼそりと言ったのはギターの紅。
崖上都市とよばれる「ピースホライズン」は、王国と帝国の国境西部に横たわる大峡谷の、橋の上につくられた都市だ。
「その通り! あそこは、よく祭りをやるし、芸人の聖地とも言われてる。イベントをやるにはもってこいだろ? 転移門もあるからハンターならひとっ飛びで行けるし、王国と帝国の間だから、観客も気安い」
「……凄い! これはうってつけですね!」
結がはしゃいだ声で賛意を示す。
「いいね、僕も賛成。町の名前も素敵だしね」
「私も賛成です。今回の企画にとてもよくあっていると思います」
ミューレとアニスもそれぞれに同意する。
「……ヒュムネのアイディアにはいつも驚かされるな。みんな、会場の候補はピースホライズンで問題ないな?」
烏がメンバーたちの顔を見回して尋ねると、それぞれがうなずいて賛意を示した。
「なら、使用許可の交渉にはボクも行こうかな。誠心誠意話をして……許可、もらえるといいんだけど」
ミルティアが手を挙げると、ヒュムネが表情を輝かせた。
「ありがたい。市長と商店の組合にかけ合ってみようと思ってる。『コイツを新しい目玉にできねぇか?』ってな」
「今回の企画のための予算が心配だったが、そういうことなら、現地の業者たちにかけ合って代金を後払いにしてもらうことができるかもしれないな。その制作費の回収については、俺に考えがある……」
口を開いたのは、今まで黙って考えを整理していたザレム・アズール(ka0878)だ。
「ありがとう。金のことについては、正直俺たちはあまり得意じゃないので、助言してくれると助かる!」
蒼がそう言ってザレムに手を差し出す。
「俺もこの企画に参加して、一緒に楽しませてもらいたい。できる限り協力する」
ザレムが蒼の手を握り返した。
(くひひひ……これはうまくいけば、大金が手に入るぞ!)
声には出さず、心の中でひそかにつぶやいたのは、龍華 狼(ka4940)だ。会場に押し寄せる観客たち、彼らを相手にどんな商売をしようか……頭の中でさまざまな計画が浮かび、頬がゆるむのを抑えきれずにいる。
「素晴らしいイベントにするために、僕も力を尽くしますよ! 宣伝と、当日は購買があると便利でしょうから、僕はそれを担当したいと思います!」
(なにせ、グッズ販売がいちばんお金になりそうだからな……)
そんな下心は隠しつつ、胸を張って宣言してみせる狼。
「私も、屋台を出店しようかと思ってます。しあわせな時間には、音楽だけじゃなくて美味しい食べものも、必要でしょうから」
エルが申し出る。彼女はどうやら、やってみたい屋台があるようだ。
「よし! そうと決まったら、早速準備開始だ。忙しくなるぞ!」
烏が宣言すると、ハンターとメンバーたちが一斉に立ち上がった。
そんな彼らをじっとながめる視線が、ひとつ。テーブルの隅で、みんなの話にじっと耳をかたむけていたセリア・シャルリエ(ka4666)だ。
(私の夢は何処へ行ったのか……異世界に飛ばされても夢を失わずにいられるものなら、案外、見失っただけでどこかに残っているのかもしれませんね)
異世界に突然飛ばされて動揺していたはずの『エクリプス』と自分とを重ね合わせ、夢を取り戻しはじめた彼らの姿を見て、思わず胸を押さえる。
(夢に向かって輝く彼らの姿を見ていたら、私ももう一度、見つけられるでしょうか)
仄かな思いを抱えつつ、セリアもまた、立ち上がった。
●
数日後。
会場に決まったピースホライズンの広場では、設営の準備が進んでいた。
「この暑い時期に、野外でのイベントだからな。ちゃんと休める場所をつくらないと」
ヒュムネは、会場の地形や木陰の有無を確認してまわり、ステージの位置や全体のレイアウトを細かく調整していた。
「これを、ここに……しかし、重いですね」
「お、大丈夫かい、手伝うよ。って、ホントに重いな! なんだいこれは?」
大きな鉄板を抱えたエルを手伝った白が、驚いた声を上げた。
「鉄板です。屋台に使おうと思いまして」
「いったい、どんな屋台を?」
ミューレの問いに、エルがふふ、と笑みを浮かべる。
「焼きそばですよ」
「……焼きそば! こっちでまさか焼きそばが食えるなんてなぁ! 楽しみだ!」
白が、うれしそうに口笛を吹く。
「白さんは、焼きそばをご存じですか?」
「もちろん、大好物だよ! でもエルさんは……確か、こっちの出身だよね?」
「ええ。焼きそばもリアルブルーの本で学んだのです。では、できあがったら味見をお願いしますね」
エルが言うと、白がうれしそうにうなずいた。
「任せといて!」
ピースホライズンの町中の広場に、軽快な笛の音が響き渡っていた。横笛を奏でるのは狼。その隣で、華やかなコスチュームに身を包んだアニスが、竪琴を奏でながら歌う。そして、アニスを引き立てるようにミルティアが元気な踊りを披露していた。
アニスが最後の曲を歌い終え、愛嬌たっぷりに一礼したころには、周囲にたくさんの人が集まっていた。
「音楽の力で皆がひとつになる催しです。きっと素敵な日になると思います!」
「参加者も募集してるよ! 一緒に夏を盛り上げようね!」
狼とミルティアが、すかさず周囲の人にチラシを配りはじめる。ザレムが描いたエクリプスメンバーの似顔絵が入った、手製のチラシだ。
「わたしも、ライブをやります……ぜひ、来てくださいね」
アニスがそう言ってウィンクを投げると、集まった人だかりから歓声が上がった。
「ふぅ、なんとか準備、間に合いそうですね」
すっかり夜の帳が降りたころ、ようやく整いつつある会場をながめて、結がつぶやいた。
「結が頑張ったお陰だよ。今日まですごく忙しかったけど……充実していたね」
そっと結のとなりに寄りそったミューレが、優しい声をかける。
結が表情をゆるませてちょこん、と、頭をミューレの肩に乗せる。
「……ちょっとつかれたから、す、少しだけっ、甘えても、いいですか?」
「もちろん。ほら、すごい星空」
「……きれい」
●
抜けるような青空。絶好のフェス日和。
ステージではすでにいくつもの音楽家や吟遊詩人、歌手たちが音楽を披露し、会場は多くの人で賑わっていた。
「入場は無料ですが、感動したら『協力費』をこちらに入れてください。お好きな額でかまいません。『協力費』を入れていただいた方には、こちらの『ウチワ』を差し上げています!!」
普段はクールなザレムがめずらしく声を張り上げて、イベントのシステムを説明する。ちなみにこのシステムは彼が考案したものだ。プレゼントの「ウチワ」には、『エクリプス』のロゴと今回のために書き下ろされた新曲、『流れ星を掴もう』のサビの歌詞が印字されているというこだわりよう。ウチワほしさに「協力費」をカンパする人も多く、ザレムの開くSHOPはなかなかの賑わいを見せていた。ポスターやタオルなど、グッズもさまざまに用意されている。
賑わっていたと言えば、その隣に設置されたエルの『焼きそば屋台』も、つくるのが追いつかないほどの盛況ぶりだった。「なんか面白い食べものがあるぞ」というクリムゾンウェストの人と、「懐かしい! 夏の屋台と言えば焼きそばだよなぁ」というリアルブルー出身の人のどちらにも大人気。
「あつい……熱いです」
エルの手伝いで接客を担当しているセリアも汗びっしょりだったが、実際に焼きそばを焼き続けているエルはそれ以上だ。屋台が予想以上に大盛況なのは、保護欲をかき立てられる少女ふたりの頑張りのせいもあったりなかったり。
「冷たい飲みもの~タオル~食べものはいかがですか~」
抜け目なく会場内を歩きつつ、移動式購買でバンバンとものを売りまくっているのは狼だ。エクリプスのライブ直前を狙い、場所取りをしている人たちのもとへ行けば、飲みものは飛ぶように売れる。一方で、熱すぎて倒れる人がいないか、ものを売りながらの巡回も欠かさない。彼の提案で、会場内にはちゃんと救護室も設けられている。こうした機転は、彼が東方にいたころに行った数々の仕事経験の賜物だ。
(先手必勝、ってね。んじゃま、思う存分盛り上がってくれ……俺の、稼ぎの、ために!)
予想外の売れ行きに、狼は終始、ほくほく顔だった。
「レディースエンジェントルメン! ボーイズエンガールズ! お待たせしましたっ! いよいよ、お待ちかね、ロックバンド『エクリプス』の登場だ!」
ステージの上で、ヒュムネが声を張り上げた。ステージを囲む観客たちが、一斉に歓声を上げ、拳を突き上げる。
光が、弾けた。
舞台袖に控えていたアニスとミルティア、結とミューレがいっせいに演出のための魔法を放ったのだ。
「待たせたなお前たち! 最高のロックを聞かせてやるぜ!」
ヴォーカルの蒼が、マイクを手に叫んだ。観客たちが一斉に立ち上がる。
「おいおい、なんだよこれ……」
蒼が呆然とした声でつぶやく。言葉尻が少し震えていた。
「うまくいったようですね」
少し離れたところからステージを見ていたセリアが、満足そうにつぶやいた。
「……お前らホントに、サイコーだな!」
蒼のうれしそうな声が聞こえてくる。
観客たちが立ち上がった途端、彼らが掲げたシートが組み合わされ、『巨大なエクリプスのロゴ』が浮かびあがって見えたのだ。セリアが仕込み、観客たちに協力を要請した「ファンからエクリプスへのサプライズプレゼント」。
「サイコーの音楽聴かせてやるから、覚悟しろよ!」
翠の奏でるハーモニカの音が響き渡り、白のドラムがビートを刻む。メロディが、リズムが、動き出した。
ライブの中盤、テンションは最高潮の中。
「今日のゲストを紹介するぜ! アニス!」
紅のアイドルコスチュームをまとったアニスがステージに立つ。
エクリプスの演奏に乗せて、アニスは歌い始める。しっとりとしたギターとハーモニカの響きに、会場は一転、静まりかえった。
『ここにいない貴方 わかっているの だけど何もかも 隙間開いたままで……』
透き通った声で紡がれるレクイエム。アニスの声が、会場に響き渡った。歌い上げたアニスの頬を、一筋の涙が伝い落ちる。彼女が一礼すると、暖かい拍手が、会場全体を包んだ。
「ボクもあそこに立ってたこと、あったんだなぁ……」
観客席に降りてステージを眩しそうに見上げながら、ミルティアが小さくつぶやく。今のボクには、ステージに立つ資格は、ないけれど。
「……またいつか、こういう晴れ舞台に立ってみたいもんだね」
今なら素直にそう思える。そしてミルティアは、ステージから去るときのアニスの満足そうな顔を見逃さなかった。
「……少しは君への借り、返せたかな」
楽しい時間はあっという間だ。
いよいよステージでは、エクリプスの最後の曲になろうとしていた。日は落ちかけ、あたりは暗くなりはじめている。
「今日はサイコーだった! こっちの世界でもこんなに音楽を聴いてもらえるなんて、本当にしあわせだ。それは協力してくれたハンターのみんなと、聞きに来てくれたあなたたちのお陰だ。最後の曲、『流れ星を掴もう』」
アップテンポなメロディ。踊るドラム、弾むベース、奏でるハーモニカ、飛び回るギター。
そして蒼は歌い始める。
『夢ははかない 流れ星のよう 瞬きをしたら 見失ってしまう
今も探している あの夢の続きを
無謀だと言われてもいい 流れ星を追いかけて
……さぁこの手に掴もう Fly high!』
「すごい……これがリアルブルーの音楽なんだ」
ミューレが呆然とつぶやく。
「『ロックンロール』。代替できない魔法の言葉」
結が得意げに言った。
「……私も、流れ星を追いかけてみましょうか」
セリアが、自分自身に言い聞かせるように、そうつぶやいた。
「えんどれす さまあぁ あげいん! です!」
「えんどれす さまあぁ あげいん?」
来未 結(ka4610)が興奮気味に、かわいらしく拳を突き出してみせると、彼女の恋人であるミューレ(ka4567)もよくわからないながらに唱和する。野外ロックフェスの打ち合わせの場で久しぶりに『エクリプス』のメンバーと再会した結が、「夏ふぇすとは何か」、恋人のミューレに向かって熱く語っていたところだった。興奮した結が思わず口にしたのが冒頭の言葉だ。
「おう、エンドレスサマー、アゲイン!」
楽しそうに語る結の様子をながめていた『エクリプス』のヴォーカルの蒼が、心からうれしそうな笑顔を見せ、握り拳をつくって結の拳にこつん、とぶつける。彼らの声に何事かと近づいてきたキーボードの翠も、はしゃいだ様子でそれに乗ってくる。
「お前ら、いったい何やってるんだー?」
ベースの烏が、半分呆れたような、しかし優しげな微笑みを浮かべながら声をかけてくる。
「ロックだよ、ロック!」
蒼が唾を飛ばしながら応えると、烏がコツン、と彼の頭を小突きながら言う。
「ロックは本番のステージの上まで取っとけ、まずは作戦会議するぞー。せっかくまた、ハンターのみんなが協力してくれてるんだ。見ろ、みんなやる気満々だぞ」
烏が、打ち合わせ会場である酒場のテーブルを示してみせる。そこに集まったハンターたちの表情は、彼の言うとおり、生き生きしていた。
「初めまして、エルバッハ・リオンです。よろしければ、エルと呼んでください。よろしくお願いします」
丁寧にメンバーに向けて挨拶をしたのは、エルバッハ・リオン(ka2434)だ。
「音楽祭……素晴らしいと思います」
「音楽祭ね……ま、たまには息抜きもしないとね」
口々に言ったのは、アニス・エリダヌス(ka2491)とミルティア・ミルティエラ(ka0155)だ。
「もう一回エクリプスが聞けるってことなら、全力で力を貸すぜ!」
頼もしくも親指を立ててみせたのはヒュムネ・ミュンスター(ka4288)だ。
「まず最初に決めなくちゃいけないのは、屋外ライブの会場だが……俺様に考えがあるんだ」
ヒュムネが、自信ありげにニヤリと笑った。
「屋外ライブで真っ先に悩んだのは音響だ。此処じゃまともな音響機器が無いせいで、野外じゃ音が響かねぇ……。次に集客だ。あんまり辺鄙な場所だったり、前例の少ない場所だと人や出店が集まらねぇ。あんまり遠くから来れる奴らは少ねぇから、交通の便も良い所が望ましい。……これらすべてを解決する場所が、ひとつある」
ヒュムネがそこで、メンバーたちの顔を見回した。5人とも、真剣な表情で話を聞いている。
「ピースホライズンだ」
そう口にすると、メンバーたちの顔に、なるほど、という表情が浮かぶ。
「そうか、谷の音響効果を使うのか」
感心した表情で、ぼそりと言ったのはギターの紅。
崖上都市とよばれる「ピースホライズン」は、王国と帝国の国境西部に横たわる大峡谷の、橋の上につくられた都市だ。
「その通り! あそこは、よく祭りをやるし、芸人の聖地とも言われてる。イベントをやるにはもってこいだろ? 転移門もあるからハンターならひとっ飛びで行けるし、王国と帝国の間だから、観客も気安い」
「……凄い! これはうってつけですね!」
結がはしゃいだ声で賛意を示す。
「いいね、僕も賛成。町の名前も素敵だしね」
「私も賛成です。今回の企画にとてもよくあっていると思います」
ミューレとアニスもそれぞれに同意する。
「……ヒュムネのアイディアにはいつも驚かされるな。みんな、会場の候補はピースホライズンで問題ないな?」
烏がメンバーたちの顔を見回して尋ねると、それぞれがうなずいて賛意を示した。
「なら、使用許可の交渉にはボクも行こうかな。誠心誠意話をして……許可、もらえるといいんだけど」
ミルティアが手を挙げると、ヒュムネが表情を輝かせた。
「ありがたい。市長と商店の組合にかけ合ってみようと思ってる。『コイツを新しい目玉にできねぇか?』ってな」
「今回の企画のための予算が心配だったが、そういうことなら、現地の業者たちにかけ合って代金を後払いにしてもらうことができるかもしれないな。その制作費の回収については、俺に考えがある……」
口を開いたのは、今まで黙って考えを整理していたザレム・アズール(ka0878)だ。
「ありがとう。金のことについては、正直俺たちはあまり得意じゃないので、助言してくれると助かる!」
蒼がそう言ってザレムに手を差し出す。
「俺もこの企画に参加して、一緒に楽しませてもらいたい。できる限り協力する」
ザレムが蒼の手を握り返した。
(くひひひ……これはうまくいけば、大金が手に入るぞ!)
声には出さず、心の中でひそかにつぶやいたのは、龍華 狼(ka4940)だ。会場に押し寄せる観客たち、彼らを相手にどんな商売をしようか……頭の中でさまざまな計画が浮かび、頬がゆるむのを抑えきれずにいる。
「素晴らしいイベントにするために、僕も力を尽くしますよ! 宣伝と、当日は購買があると便利でしょうから、僕はそれを担当したいと思います!」
(なにせ、グッズ販売がいちばんお金になりそうだからな……)
そんな下心は隠しつつ、胸を張って宣言してみせる狼。
「私も、屋台を出店しようかと思ってます。しあわせな時間には、音楽だけじゃなくて美味しい食べものも、必要でしょうから」
エルが申し出る。彼女はどうやら、やってみたい屋台があるようだ。
「よし! そうと決まったら、早速準備開始だ。忙しくなるぞ!」
烏が宣言すると、ハンターとメンバーたちが一斉に立ち上がった。
そんな彼らをじっとながめる視線が、ひとつ。テーブルの隅で、みんなの話にじっと耳をかたむけていたセリア・シャルリエ(ka4666)だ。
(私の夢は何処へ行ったのか……異世界に飛ばされても夢を失わずにいられるものなら、案外、見失っただけでどこかに残っているのかもしれませんね)
異世界に突然飛ばされて動揺していたはずの『エクリプス』と自分とを重ね合わせ、夢を取り戻しはじめた彼らの姿を見て、思わず胸を押さえる。
(夢に向かって輝く彼らの姿を見ていたら、私ももう一度、見つけられるでしょうか)
仄かな思いを抱えつつ、セリアもまた、立ち上がった。
●
数日後。
会場に決まったピースホライズンの広場では、設営の準備が進んでいた。
「この暑い時期に、野外でのイベントだからな。ちゃんと休める場所をつくらないと」
ヒュムネは、会場の地形や木陰の有無を確認してまわり、ステージの位置や全体のレイアウトを細かく調整していた。
「これを、ここに……しかし、重いですね」
「お、大丈夫かい、手伝うよ。って、ホントに重いな! なんだいこれは?」
大きな鉄板を抱えたエルを手伝った白が、驚いた声を上げた。
「鉄板です。屋台に使おうと思いまして」
「いったい、どんな屋台を?」
ミューレの問いに、エルがふふ、と笑みを浮かべる。
「焼きそばですよ」
「……焼きそば! こっちでまさか焼きそばが食えるなんてなぁ! 楽しみだ!」
白が、うれしそうに口笛を吹く。
「白さんは、焼きそばをご存じですか?」
「もちろん、大好物だよ! でもエルさんは……確か、こっちの出身だよね?」
「ええ。焼きそばもリアルブルーの本で学んだのです。では、できあがったら味見をお願いしますね」
エルが言うと、白がうれしそうにうなずいた。
「任せといて!」
ピースホライズンの町中の広場に、軽快な笛の音が響き渡っていた。横笛を奏でるのは狼。その隣で、華やかなコスチュームに身を包んだアニスが、竪琴を奏でながら歌う。そして、アニスを引き立てるようにミルティアが元気な踊りを披露していた。
アニスが最後の曲を歌い終え、愛嬌たっぷりに一礼したころには、周囲にたくさんの人が集まっていた。
「音楽の力で皆がひとつになる催しです。きっと素敵な日になると思います!」
「参加者も募集してるよ! 一緒に夏を盛り上げようね!」
狼とミルティアが、すかさず周囲の人にチラシを配りはじめる。ザレムが描いたエクリプスメンバーの似顔絵が入った、手製のチラシだ。
「わたしも、ライブをやります……ぜひ、来てくださいね」
アニスがそう言ってウィンクを投げると、集まった人だかりから歓声が上がった。
「ふぅ、なんとか準備、間に合いそうですね」
すっかり夜の帳が降りたころ、ようやく整いつつある会場をながめて、結がつぶやいた。
「結が頑張ったお陰だよ。今日まですごく忙しかったけど……充実していたね」
そっと結のとなりに寄りそったミューレが、優しい声をかける。
結が表情をゆるませてちょこん、と、頭をミューレの肩に乗せる。
「……ちょっとつかれたから、す、少しだけっ、甘えても、いいですか?」
「もちろん。ほら、すごい星空」
「……きれい」
●
抜けるような青空。絶好のフェス日和。
ステージではすでにいくつもの音楽家や吟遊詩人、歌手たちが音楽を披露し、会場は多くの人で賑わっていた。
「入場は無料ですが、感動したら『協力費』をこちらに入れてください。お好きな額でかまいません。『協力費』を入れていただいた方には、こちらの『ウチワ』を差し上げています!!」
普段はクールなザレムがめずらしく声を張り上げて、イベントのシステムを説明する。ちなみにこのシステムは彼が考案したものだ。プレゼントの「ウチワ」には、『エクリプス』のロゴと今回のために書き下ろされた新曲、『流れ星を掴もう』のサビの歌詞が印字されているというこだわりよう。ウチワほしさに「協力費」をカンパする人も多く、ザレムの開くSHOPはなかなかの賑わいを見せていた。ポスターやタオルなど、グッズもさまざまに用意されている。
賑わっていたと言えば、その隣に設置されたエルの『焼きそば屋台』も、つくるのが追いつかないほどの盛況ぶりだった。「なんか面白い食べものがあるぞ」というクリムゾンウェストの人と、「懐かしい! 夏の屋台と言えば焼きそばだよなぁ」というリアルブルー出身の人のどちらにも大人気。
「あつい……熱いです」
エルの手伝いで接客を担当しているセリアも汗びっしょりだったが、実際に焼きそばを焼き続けているエルはそれ以上だ。屋台が予想以上に大盛況なのは、保護欲をかき立てられる少女ふたりの頑張りのせいもあったりなかったり。
「冷たい飲みもの~タオル~食べものはいかがですか~」
抜け目なく会場内を歩きつつ、移動式購買でバンバンとものを売りまくっているのは狼だ。エクリプスのライブ直前を狙い、場所取りをしている人たちのもとへ行けば、飲みものは飛ぶように売れる。一方で、熱すぎて倒れる人がいないか、ものを売りながらの巡回も欠かさない。彼の提案で、会場内にはちゃんと救護室も設けられている。こうした機転は、彼が東方にいたころに行った数々の仕事経験の賜物だ。
(先手必勝、ってね。んじゃま、思う存分盛り上がってくれ……俺の、稼ぎの、ために!)
予想外の売れ行きに、狼は終始、ほくほく顔だった。
「レディースエンジェントルメン! ボーイズエンガールズ! お待たせしましたっ! いよいよ、お待ちかね、ロックバンド『エクリプス』の登場だ!」
ステージの上で、ヒュムネが声を張り上げた。ステージを囲む観客たちが、一斉に歓声を上げ、拳を突き上げる。
光が、弾けた。
舞台袖に控えていたアニスとミルティア、結とミューレがいっせいに演出のための魔法を放ったのだ。
「待たせたなお前たち! 最高のロックを聞かせてやるぜ!」
ヴォーカルの蒼が、マイクを手に叫んだ。観客たちが一斉に立ち上がる。
「おいおい、なんだよこれ……」
蒼が呆然とした声でつぶやく。言葉尻が少し震えていた。
「うまくいったようですね」
少し離れたところからステージを見ていたセリアが、満足そうにつぶやいた。
「……お前らホントに、サイコーだな!」
蒼のうれしそうな声が聞こえてくる。
観客たちが立ち上がった途端、彼らが掲げたシートが組み合わされ、『巨大なエクリプスのロゴ』が浮かびあがって見えたのだ。セリアが仕込み、観客たちに協力を要請した「ファンからエクリプスへのサプライズプレゼント」。
「サイコーの音楽聴かせてやるから、覚悟しろよ!」
翠の奏でるハーモニカの音が響き渡り、白のドラムがビートを刻む。メロディが、リズムが、動き出した。
ライブの中盤、テンションは最高潮の中。
「今日のゲストを紹介するぜ! アニス!」
紅のアイドルコスチュームをまとったアニスがステージに立つ。
エクリプスの演奏に乗せて、アニスは歌い始める。しっとりとしたギターとハーモニカの響きに、会場は一転、静まりかえった。
『ここにいない貴方 わかっているの だけど何もかも 隙間開いたままで……』
透き通った声で紡がれるレクイエム。アニスの声が、会場に響き渡った。歌い上げたアニスの頬を、一筋の涙が伝い落ちる。彼女が一礼すると、暖かい拍手が、会場全体を包んだ。
「ボクもあそこに立ってたこと、あったんだなぁ……」
観客席に降りてステージを眩しそうに見上げながら、ミルティアが小さくつぶやく。今のボクには、ステージに立つ資格は、ないけれど。
「……またいつか、こういう晴れ舞台に立ってみたいもんだね」
今なら素直にそう思える。そしてミルティアは、ステージから去るときのアニスの満足そうな顔を見逃さなかった。
「……少しは君への借り、返せたかな」
楽しい時間はあっという間だ。
いよいよステージでは、エクリプスの最後の曲になろうとしていた。日は落ちかけ、あたりは暗くなりはじめている。
「今日はサイコーだった! こっちの世界でもこんなに音楽を聴いてもらえるなんて、本当にしあわせだ。それは協力してくれたハンターのみんなと、聞きに来てくれたあなたたちのお陰だ。最後の曲、『流れ星を掴もう』」
アップテンポなメロディ。踊るドラム、弾むベース、奏でるハーモニカ、飛び回るギター。
そして蒼は歌い始める。
『夢ははかない 流れ星のよう 瞬きをしたら 見失ってしまう
今も探している あの夢の続きを
無謀だと言われてもいい 流れ星を追いかけて
……さぁこの手に掴もう Fly high!』
「すごい……これがリアルブルーの音楽なんだ」
ミューレが呆然とつぶやく。
「『ロックンロール』。代替できない魔法の言葉」
結が得意げに言った。
「……私も、流れ星を追いかけてみましょうか」
セリアが、自分自身に言い聞かせるように、そうつぶやいた。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/08/08 18:31:31 |
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夏フェス運営会議室 来未 結(ka4610) 人間(リアルブルー)|14才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/08/08 18:26:46 |